JP4378507B2 - 非接触型の粘度計測法 - Google Patents

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Description

本発明は、静止状態または流れのある状態にある被測定対象液体の粘性を非接触で測定できる非接触型粘度計に係り、特に、各種の工業分野に適用可能とするとともに、測定の取り扱いを容易とし、しかも測定時間を短縮しかつ連続測定を可能とした、音波とレーザ光とを用いた非接触型粘度計に関するものである。
合成化学工業、食品工業、薬品化学工業などの製造工程では品質管理のために粘度の測定を必要としている。これら工業分野の製造工程において、液体製品等の粘度を瞬時に測定することができれば、生産性をより向上させることができることは容易に想像がつく。
ところで、従来、各種原理に基づいた粘度測定の方法により、様々な粘度計が開発されてきた。 例えば、ねじり変形可能な棒体の一部を測定対象の液体に浸漬し、当該棒体をモータで回転できるようにし、かつ、棒体に一定間隔を隔てて円盤を設け、当該円盤の外周に反射板を設け、これら円盤の反射板にレーザ光を照射し、それら反射レーザ光によって粘性を測定する粘度計が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、従来の粘度計は、上述したように基本的には接触型のため、粘度測定の簡便性に欠け、製造現場などの生産ラインにおいては不向きである。
特開平10−96687号公報
上述したように特許文献1の粘度計も、その他の原理による粘度計も、基本的には測定対象液体等に接触させて測定対象液体等の粘度を測定するという原理を採用しているため、粘度測定の簡便性に欠け、製造現場などの生産ラインに適用するということができないという欠点があった。
本発明は、上述した従来技術の不都合な点を解消し、被測定対象液体には全く接触することなく、かつ、静止状態または流れのある状態にある被測定対象液体の粘性を確実に測定できる非接触型粘度計を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本願請求項1に係る非接触型粘度計測法は、所定の超低周波信号を発振する発振器と、前記発信器からの低周波信号を増幅する増幅器と、前記増幅器から与えられる超低周波信号を音波に変換するスピーカと、前記スピーカからの低周波数の音波を被測定対象液体に有効に導く音波導波器とからなる超低周波供給手段と、レーザ光を前記被測定対象液体に向けて照射するレーザー送信部と、前記測定対象液体から反射された反射レーザ光を受信して光電信号にする受信部とから構成されたレーザ送受信ヘッドと、前記レーザ送受信ヘッドからの反射光電信号を取込み、前記反射光電信号を基に変位を求めるレーザ変位計とを備えた被測定対象液体の粘性を測定する粘度計を用いて
流れのある状態におかれた前記被測定対象液体に5[Hz]〜20[Hz]の周波数の低周波音波を供給する一方、前記被測定対象液体にレーザ光を照射し、当該被測定対象液体からの反射レーザ光を受信し、前記照射レーザ光と前記反射レーザ光の情報から変位を求め、前記の変位を基に、変位Yと粘度の関数Y=A+B×ln(X)から(ただし、A、Bは定数、Corr.Coeff.=0.9925)、前記被測定対象液体が流れている状態にあるときの粘度を、非接触で測定可能としたことを特徴とする。
上述したように構成された本願各請求項に係る非接触型粘度計によれば、静止状態あるいは流れのある状態にある被測定対象液体には全く接触することなく、かつ、確実に粘度を測定できる効果がある。
以下、本願各請求項に係る発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1ないし図5は本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計を説明するための図である。本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計は、静止状態あるいは被測定対象液体を測定対象にしたものである。
ここに、図1は、本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計を示す原理的構成図である。
この図1において、本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計1は、所定の容器2に収容した被測定対象液体4に所定の周波数の低周波音波を供給する低周波供給手段3と、前記容器2に収容した被測定対象液体4にレーザ光を照射し、当該被測定対象液体からの反射レーザ光を受信し、前記照射レーザ光と前記反射レーザ光の情報から変位を求めるレーザ変位手段5とを備え、前記レーザ変位手段5からの変位を基に所定の容器2に収容した静止状態にある被測定対象液体4の粘性を非接触状態で測定することができる装置である。
さらに詳細に構成を説明すると、前記低周波供給手段3は、所定の低周波信号を発振する発振器31と、前記発信器31からの低周波信号を増幅する増幅器32と、前記増幅器32から与えられる増幅後の低周波信号を低周波数の音波に変換するスピーカ33と、前記スピーカ33からの低周波数の音波を前記被測定対象液体に有効に導くパイプからなる音波導波器34とを備えたものである。
また、前記低周波供給手段3の発振器31は、例えば9〔Hz〕〜15〔Hz〕の低周波を発振させるようにすると被測定対象液体4の粘度測定には好適である。また、音波導波器34としての導波用パイプの内径は17[mm]、長さは100[mm]として構成したものである。音波導波器34としてのパイプの音波放射口は被測定対象液体4の液面より2[cm]くらい離した位置に固定している。なお、本第1の実施形態では、被測定対象液体4は静止状態に置かれている。ここに、被測定対象液体4の静止状態とは、被測定対象液体4に対流や振動等の動きがなく、当該流体4に動きがない状態のことをいうものとする。
また、前記レーザ変位手段5は、所定の制御信号に従ってレーザ光を前記被測定対象液体に向けて照射するとともに前記被測定対象液体からの反射レーザ光を受信して反射光電信号に変換するレーザ送受信ヘッド51と、前記レーザ送受信ヘッド51に所定の制御信号を与えるとともに前記レーザ送受信ヘッド51からの反射光電信号を取込み、前記制御信号および反射光電信号を基に変位を求めるレーザ変位計52とを備えたものである。
ここで、前記レーザ変位手段5のレーザ送受信ヘッド51は、例えば670〔nm〕のレーザ光を例えば10[μS]毎にパルス状に照射できる送信部と、前記照射されたレーザ光が被測定対象液体4から反射された反射レーザ光を受信して光電信号にする受信部とから構成されている。なお、レーザ光の周波数は、上記説明では670〔nm〕としたが、これに限定されるものではなく、粘度測定ができる周波数帯であれば他の周波数であってもよい。また、前記送信部は、例えば10[μS]毎にパルス状にレーザ光を照射しているが、これに限定されるものではなく、粘度測定に支障のないパルス間隔であれば、測定に利用することができる。
また、前記非接触型粘度計1には、地表に設けられた除振台7と、この除振台7の中央部に垂設された柱体71の上に固定された微動台9とが付加されている。この除振台7に設けられた微動台9の上部表面には、前記容器2に収容された被測定対象液体4が載置されており、他からの振動の影響を受けないように配慮されている。
なお、低周波供給手段3の発振器31から低周波周波数の音波信号がオシロスコープ11に入力されるようにしてあり、また、レーザ変位計52からも変位信号がオシロスコープ11に入力されるようにしてある。このように前記発振器31から低周波周波数の音波信号がオシロスコープ11に入力されることにより、レーザ変位計52からの変位信号と同期がとられるようにしてある。なお、オシロスコープでは、測定値の加算平均を取るようにしたことにより、ノイズの低減を図っている。
このような構成に係る非接触型粘度計の作用を図1を基に、図2ないし図5を参照して説明する。
ここに、図2は、本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計によって被測定対象液体である粘度1[cSt]のシリコンオイルを測定した際にオシロスコープに得られた波形を示す波形図であり、横軸に時間を、縦軸にレーザ変位手段から出力された変位をとったものである。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計によって、被測定対象液体である粘度30[cSt]のシリコンオイルを測定した際にオシロスコープに得られた波形を示す波形図であり、横軸に時間を、縦軸にレーザ変位手段から出力された変位をとったものである。
まず、低周波供給手段3の発振器31を発振させて例えば11[Hz]の低周波正弦波信号を発生させる。この発振器31からの正弦波信号は、増幅器32で十分に増幅されてスピーカ33に供給される。スピーカ33では、正弦波信号を音波に変換して、当該音波をパイプからなる音波導波器34によって被測定対象液体4の近傍に導く。前記音波導波器34の先端から容器2内の被測定対象液体4に音波を放射し、被測定対象液体4の液面を振動させる。
前記被測定対象液体4の音波による変位をレーザ変位手段5のレーザ送受信ヘッド51で検出し、これをレーザ変位手段5のレーザ変位計52に導きレーザ変位計52で変位の振幅を測定する。
本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計1の測定原理は、被測定対象液体4の液面が低周波供給手段3から加わる音圧で変化する点と、当該被測定対象液体4の液面の振幅変化量が液体の粘度、密度及び表面張力などの関数となる点とに着目し、密度や表面張力などが分かれば粘度計測が可能であるという考え方に基づいている。
そして、まず、供試液体として、一般の水(粘度1[cSt])を用意するとともに、温度20[℃]において、粘度1[cSt]、2[cSt]、10[cSt]、30[cSt]、100[cSt]、300[cSt]、500[cSt]、1000[cSt]のシリコンオイルを用意し、これらを測定することにより非接触型粘度計1が構成できることを証明した。
まず、除振台7の微動台9の上に載置された容器2に収容した粘度1[cSt]のシリコーンオイルに、低周波供給手段3の音波導波器34から11[Hz]の音波を加え、かつ、レーザ変位手段5のレーザ送受信ヘッド51によりシリコーンオイルの液面にレーザ光を照射して、その反射レーザ光をレーザ送受信ヘッド51で受光し、前記レーザ送受信ヘッド51で得られた受光反射レーザ光の電気信号をレーザ変位計52に取り込んで変位を測定し、その測定結果をオシロスコープ11に入力した。その測定結果は、図2に示すような波形を得ることができた。
また、同様に、除振台7の微動台9の上に載置された容器2に収容した粘度30[cSt]のシリコーンオイルに、低周波供給手段3の音波導波器34から11[Hz]の音波を加え、かつ、レーザ変位手段5のレーザ送受信ヘッド51によりシリコーンオイルの液面にレーザ光を照射して、その反射レーザ光をレーザ送受信ヘッド51で受光し、前記レーザ送受信ヘッド51で得られた受光反射レーザ光の電気信号をレーザ変位計52に取り込んで変位を測定し、その測定結果をオシロスコープ11に入力した。その測定結果は、図3に示すような波形を得ることができた。
図2に示す波形も、図3に示す波形も、加えた周波数と同じ正弦波の出力が得られており、その振幅については表面振動の大きく現れる1[cSt]のシリコンオイルの方が大きくなることが分かる。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計によって、被測定対象液体である粘度1,2,30,300[cSt]のシリコンオイルと、水とを測定した際にオシロスコープに得られた波形を示す波形図であり、横軸に周波数を、縦軸にレーザ変位手段から出力された変位をとったものである。
この図4において、実線と丸で繋がれた波形は粘度1[cSt]のシリコンオイル、破線と四角で繋がれた波形は粘度2[cSt]のシリコンオイル、点線と三角で繋がれた波形は粘度30[cSt]のシリコンオイル、一点鎖線とバツで繋がれた波形は粘度300[cSt]のシリコンオイル、二点鎖線とプラス印で繋がれた波形は粘度1[cSt]の水、の周波数に対する変位の関係を示す図である。
低周波供給手段3の発振器31で周波数9[Hz]〜15[Hz]までの低周波正弦波信号を発振させ、それぞれ低周波供給手段3のスピーカ33から音波に変換して音波導波器34から各粘度の毎の各供試液体(シリコンオイル、水)にそれぞれ加えたの周波数特性を調べた結果が図4に示す波形である。
この図4からは、何らかの共振現象が伴っているように見られ、平坦な特性ではないが、各周波数においてシリコーンオイルの粘度の違いをはっきり区別できるような出力を得ることができている。動粘度が同じ1[cSt]の水と、動粘度が同じ1[cSt]のシリコーンオイルでは特性が大きく異なる結果が得られたが、この原因は水とシリコーンオイルの密度や表面張力の違いによるものと考えられる。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計によって、被測定対象液体である粘度1〜1000[cSt]のシリコンオイルを測定した際に得られた波形を示す波形図であり、横軸に粘度を、縦軸にレーザ変位手段から出力された変位をとったものである。
各粘度1〜1000[cSt]のシリコンオイルに対して11[Hz]の音波を加えたときの、粘度変化に対する振幅特性を調べた結果が図5に示す特性図である。この結果から、粘度の増加と共に振幅が減少することが明確に判別でき、また、低粘度においてはその変化量は大きいが、粘度が高くなるにつれ変化分が少なくなることが分かる。これらの結果から、本測定法において粘度の測定が可能であることが分かる。
今回の測定において、周波数9〜15[Hz]の低周波を使用したことにより、他の周波数を使用したときよりも非常に大きな液面の振動が得られ、検出感度を向上させることができた。この際、音波による測定台や除振台の共振が懸念されたので、供試液体の代わりに円柱状の金属板を置いてその振動を測定したが、ほとんど出力は得られず、その心配のないことが確認できた。
以上説明したように上述した測定結果から、低周波数を用いることによりシリコーンオイルの粘度の測定を感度良く検出でき、非接触で粘度を測定できることが確認できた。また、低周波を用いることにより高粘度まで測定範囲を広げることができることも確認できた。
したがって、本発明に係る非接触型粘度計1は上述したように構成することにより、静止状態にある被測定対象液体の粘性を非接触により確実に測定できるものとすることができる。
<第2の実施形態>
図6ないし図10は本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計を説明するための図である。本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計は、流れのある状態の被測定対象液体を測定対象にしたものである。
ここに、図6は、本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計を示す原理的構成図である。この図6における第2の実施形態において、第1の実施形態と同一構成要素には同一の符号を付して説明することにする。
この図6において、本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aは、所定の容器2に収容した被測定対象液体4に所定の周波数の低周波音波を供給する低周波供給手段3と、前記容器2に収容した被測定対象液体4にレーザ光を照射し、当該被測定対象液体からの反射レーザ光を受信し、前記照射レーザ光と前記反射レーザ光の情報から変位を求めるレーザ変位手段5とを備え、前記レーザ変位手段5からの変位を基に所定の容器2に収容した、流れのある状態におかれた被測定対象液体4の粘性を非接触状態で測定することができる装置である。
また、第1の実施形態と同様に、前記低周波供給手段3は、所定の低周波信号を発振する発振器31と、前記発信器31からの低周波信号を増幅する増幅器32と、前記増幅器32から与えられる増幅後の低周波信号を低周波数の音波に変換するスピーカ33と、前記スピーカ33からの低周波数の音波を前記被測定対象液体に有効に導くパイプからなる音波導波器34とを備えたものである。
第1の実施形態と同様に、前記低周波供給手段3の発振器31は、例えば9〔Hz〕〜15〔Hz〕の低周波を発振させるようにすると被測定対象液体4の粘度測定には好適である。特に、ここでは、発振器31は、例えば10〔Hz〕の低周波を供給している。また、音波導波器34としての導波用パイプの材質はなんでもよいが、ここでは加工がし易いビニールパイプを用いている。また、音波導波器34は、導波用パイプの内径を16[mm]、同長さを70[cm]、同肉厚を1[mm]のものを使用して構成したものであるが、これに限定されるものではない。音波導波器34としてのパイプの音波放射口は被測定対象液体4の液面より2[cm]くらい離した位置に固定している。なお、本第2の実施形態では、被測定対象液体4は流れのある状態に置かれている。ここに、被測定対象液体4の流れのある状態とは、被測定対象液体4に何らかの流動状態にあることをいうものとする。
また、第1の実施形態と同様に、前記レーザ変位手段5は、所定の制御信号に従ってレーザ光を前記被測定対象液体に向けて照射するとともに前記被測定対象液体からの反射レーザ光を受信して反射光電信号に変換するレーザ送受信ヘッド51と、前記レーザ送受信ヘッド51に所定の制御信号を与えるとともに前記レーザ送受信ヘッド51からの反射光電信号を取込み、前記制御信号および反射光電信号を基に変位を求めるレーザ変位計52とを備えたものである。
ここで、前記レーザ変位手段5のレーザ送受信ヘッド51は、第1の実施形態と同様に、例えば670〔nm〕のレーザ光を例えば10[μS]毎にパルス状に照射できる送信部と、前記照射されたレーザ光が被測定対象液体4から反射された反射レーザ光を受信して光電信号にする受信部とから構成されている。
また、本第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aが、第1の実施形態に係る非接触型粘度計1と大きく異なるところは、地表に設けられた振動絶縁テーブル(Vibration-isolation table)7aと、前記振動絶縁テーブル7aの上に配置された攪拌機(スタイラー;Stirrer)15とを備えた点にあって、しかも、前記攪拌機15の上に配置された容器2の内部に収容された被測定対象液体4を、前記攪拌機15によって攪拌することにより被測定対象液体4に流れのある状態を作ることができる点にある。
また、振動絶縁テーブル7aは、第1の実施形態における除振台7・微動台9に相当するものであり、前記容器2に収容された被測定対象液体4に、攪拌機15以外の他の振動源からの振動の影響を受けないようにしたものである。
また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、低周波供給手段3の発振器31から低周波周波数の音波信号がオシロスコープ11に入力されるようにしてあり、また、レーザ変位計52からも変位信号がオシロスコープ11に入力されるようにしてある。このように前記発振器31から低周波周波数の音波信号がオシロスコープ11に入力されることにより、レーザ変位計52からの変位信号と同期がとられるようにしてある。なお、オシロスコープでは、測定値の加算平均を取るようにしたことにより、ノイズの低減を図っている。
次に、図6を用い、測定の原理を簡単に説明する。まず、発振器31からの正弦波電圧を増幅器32で増幅し、音源として用いるスピーカ33に、増幅器32を介して10 [Hz]、100 [mVrms]の正弦波電圧を印加し、スピーカ33から発生した音を音波導波器34であるパイプによって供試液体4の表面近傍に導く。音波導波器34であるパイプ先端から音波を放射して被測定対象液体4の表面を振動させ、そのときの変位をレーザ変位計52を用いて非接触で測定する。
この測定原理は、被測定対象液体4の液面に加わる音圧で振動する当該液面表面の変位の大きさは、被測定対象液体4の粘度や、密度及び表面張力などの関数となるので、密度や表面張力などが分かれば粘度計測が可能であるという考え方に基づいている点についても第1の実施形態と同じである。被測定対象液体4を直径7.8 [cm]の円筒容器2に深さ4 [cm]ほど入れ、便宜上、攪拌機15を用いて被測定対象液体4を攪拌することで流れを発生させている。このときに、容器2の中央部では、被測定対象液体4に流れが発生しないため、粘度の測定位置は容器2の中心から2 [cm]離れた位置で測定を行うようにした。
また、測定の際には振動絶縁テーブル7aを使用して外部からの振動を除去し、オシロスコープ11により測定波形の加算平均を取ることにより、外部からの振動ノイズの低減を図っている。
また、ここで用いた被測定対象液体4は、動粘度100〜1000 [cSt](25 ℃)のシリコーンオイルである。
上述したような第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aが粘度を測定できることを図6を基に、図7〜図10を参照して説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aによって、例えば10 [Hz]の低周波の音波を、静止状態の100〜1000 [cSt]の粘度を有するシリコーンオイルに放射したときのオイル表面をレーザ変位計52で測定した結果をオシロスコープ11の画面上で得られた波形図であって、横軸に時間(Time)〔sec〕を、縦軸に変位(Displcement)〔μm〕を、それぞれとったものである。
この図7において、100 [cSt]の粘度を有するシリコーンオイル(実線で示す)の場合は、大きな振幅の正弦波を示している。また、図7において、300 [cSt]の粘度を有するシリコーンオイル(一点鎖線で示す)の場合は、100 [cSt]の粘度を有するシリコーンオイルの振幅より小さな振幅であるが、その波形は前述同様に正弦波を示している。さらに、図7において、500 [cSt]の粘度を有するシリコーンオイル(二点鎖線で示す)の場合は、300 [cSt]の粘度を有するシリコーンオイルの振幅よりさらに小さい振幅を示すが、その波形は前述同様に正弦波を示している。加えて、図7において、1000 [cSt]の粘度を有するシリコーンオイル(点線で示す)の場合は、500 [cSt]の粘度を有するシリコーンオイルの振幅よりさらにまた小さい振幅であるが、その波形は前述同様に正弦波を示している。
各粘度におけるオイル表面の波形ともに多少の歪みはあるが、それぞれ正弦波に近い波形となっている。また、前記オイル表面の波形の周波数は、照射した音波と同じ値となっていることから、音波によって液面が振動していることが分かる。前記オイル表面の変位の大きさを比較すると、粘度の低いものほど変位は大きく、粘度が高くなるにつれて、変位が小さくなっていくことが分かる。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計において、図7の被測定対象液体4の粘度と被測定対象液体4の表面の変位の大きさの関係を示す波形図であって、横軸に運動学上の動粘度〔cSt]を、縦軸に変位[μm](p-p)を、それぞれとったものである。
この図8からもわかるように、この図は、横軸が自然対数のlnからなるセミログのグラフで書いてあるので、オイル表面(液体表面)の変位の大きさによって関係式Y=A+B×ln(X)(ただし、A=84.6457、B=−11.5469,Corr.Coeff.=0.9925)で表すことができ、その式に基づいて変化することがはっきりと分かり、流れのある状態でも静止液体の場合と同様に測定できることから、非接触で流れのある状態の被測定対象液体の動粘度の測定が可能であることが分かる。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aにより測定した結果を示したもので、攪拌機15によって100 [cSt]のシリコーンオイル(被測定対象液体4)に流れをつくり、そのときのシリコーンオイル(被測定対象液体4)の表面の変位を測定した結果を示す波形図であって、横軸に時間〔sec〕を、縦軸に変位(Displcement)[μm]を、それぞれとったものである。
この図9において、被測定対象液体4であるシリコーンオイルの流速を、攪拌機15の回転子の速度を変えることによって変化させ、かつ、前記容器2の中心から2 [cm]付近に小さな粒子を浮かべて、その粒子の流れる速さを測定することにより、被測定対象液体4であるシリコーンオイルの変位を求めた。
この図9において、実線は0.0〔cm/s〕の流速における被測定対象液体4であるシリコーンオイルの変位であり、一点鎖線は0.9〔cm/s〕の流速における被測定対象液体4であるシリコーンオイルの変位であり、二点鎖線は1.7〔cm/s〕の流速における被測定対象液体4であるシリコーンオイルの変位であり、また、点線は4.0〔cm/s〕の流速における被測定対象液体4であるシリコーンオイルの変位である。
この図9に示されるように、各流速をもった被測定対象液体4の流れのある状態における波形は、流れの速さにもかかわらず、図7に示す被測定対象液体4が静止した状態の波形とほぼ同じ波形が得られることがわかり、被測定対象液体4に流れがある状態であっても静止状態と同様に、音波による液体表面の変位を測定できることが充分に分かる。
図10は、本発明に係る第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aによって、100〜1000 [cSt]のシリコーンオイル(被測定対象液体4)の流速に対する液面変位を測定した結果を示す波形図であって、横軸に流速〔cm/sec〕を、縦軸に変位〔μm〕(p-p)を、それぞれとったものである。
この図10では、100 [cSt]のシリコーンオイル(実線で示す「100[cSt]」の被測定対象液体4)、300 [cSt]のシリコーンオイル(一点鎖線で示す「300[cSt]」の被測定対象液体4)、500 [cSt]のシリコーンオイル(二点鎖線で示す「500[cSt]」の被測定対象液体4)、1000 [cSt]のシリコーンオイル(点線で示す「1000[cSt]」の被測定対象液体4)のそれぞれについて、流速に対する液面変位が示されている。
この図10において、各粘度(100 [cSt](実線で示されている),300 [cSt](一点鎖線で示されている),500 [cSt](二点鎖線で示されている),1000 [cSt](点線でしめされている))ともに、各被測定対象液体4の流れが速くなると(「流速」が大きな数値を示せば示すほど) 、わずかに各被測定対象液体4の表面の変位が大きくなるが、その差は小さく、音波による各被測定対象液体4の表面の変位の大きさは各被測定対象液体4に流れがあってもほとんど影響を受けないことが分かる。このことから、本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aは、被測定対象液体4に流れがある状態でも、粘度を測定することが可能であると結論づけることができる。
本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aを用いることにより、被測定対象液体4に流れのある状態であっても、被測定対象液体4の粘度を測定できるかを調べてみた結果、被測定対象液体4が流れていることによる影響は小さく、静止状態と同様に粘度の測定が可能であることが理解できる。
すなわち、本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aによれば、被測定対象液体4に流れのある状態であっても、被測定対象液体4に接触することなく、確実に、被測定対象液体4の粘性を測定することができる利点がある。
本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計を示す原理的構成図である。 本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計によって被測定対象液体である粘度1[cSt]のシリコンオイルを測定した際にオシロスコープに得られた波形を示す波形図である。 本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計によって、被測定対象液体である粘度30[cSt]のシリコンオイルを測定した際にオシロスコープに得られた波形を示す波形図である。 本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計によって、被測定対象液体である粘度1,2,30,300[cSt]のシリコンオイルと、水に周波数9〜15〔Hz〕の低周波音を加えた時の各供試液体の周波数特性を調べた結果得られた図である。 本発明の第1の実施形態に係る非接触型粘度計によって、被測定対象液体である粘度1〜1000[cSt]のシリコンオイルに11〔Hz〕の音波を加えて測定したときの,粘度変化に対する振幅特性を調べた結果図である。 本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計を示す原理的構成図である。 本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aによって、10 [Hz]の低周波の音波を、静止状態の100〜1000 [cSt]の粘度を有するシリコーンオイル(被測定対象液体)に放射したときのオイル(被測定対象液体)の表面をレーザ変位計で測定した結果をオシロスコープの画面上で得られた波形図である。 本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計において、図7の被測定対象液体の粘度と被測定対象液体の表面の変位の大きさの関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る非接触型粘度計により測定した結果を示したもので、攪拌機によって100 [cSt]のシリコーンオイル(被測定対象液体)に流れをつくり、そのときのシリコーンオイル(被測定対象液体)の表面の変位を測定した結果を示す波形図である。 本発明に係る第2の実施形態に係る非接触型粘度計1aによって、100〜1000 [cSt]のシリコーンオイル(被測定対象液体)の流速に対する液面変位を測定した結果を示す図である。
符号の説明
1,1a 非接触型粘度計
2 容器
3 低周波供給手段
4 被測定対象液体
5 レーザ変位手段
7 除振台
7a 振動絶縁テーブル
9 微動台
11 オシロスコープ
15 攪拌機
31 発振器
32 増幅器
33 スピーカ
34 音波導波器(パイプ)
51 レーザ送受信ヘッド
52 レーザ変位計

Claims (1)

  1. 所定の超低周波信号を発振する発振器と、前記発信器からの低周波信号を増幅する増幅器と、前記増幅器から与えられる超低周波信号を音波に変換するスピーカと、前記スピーカからの低周波数の音波を被測定対象液体に有効に導く音波導波器とからなる超低周波供給手段と、
    レーザ光を前記被測定対象液体に向けて照射するレーザー送信部と、前記測定対象液体から反射された反射レーザ光を受信して光電信号にする受信部とから構成されたレーザ送受信ヘッドと、
    前記レーザ送受信ヘッドからの反射光電信号を取込み、前記反射光電信号を基に変位を求めるレーザ変位計とを備えた被測定対象液体の粘性を測定する粘度計を用いて
    流れのある状態におかれた前記被測定対象液体に5[Hz]〜20[Hz]の周波数の低周波音波を供給する一方
    前記被測定対象液体にレーザ光を照射し、当該被測定対象液体からの反射レーザ光を受信し、前記照射レーザ光と前記反射レーザ光の情報から変位を求め、
    前記の変位を基に、変位Yと粘度の関数Y=A+B×ln(X)から(ただし、A、Bは定数、Corr.Coeff.=0.9925)、前記被測定対象液体が流れている状態にあるときの粘度を、非接触で測定可能としたことを特徴とする非接触型粘度計測法
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