JP4377848B2 - スポットサイズ変換器 - Google Patents

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Description

本発明は、スポットサイズ変換器に関し、より詳細には、異なるモードフィールドを持つ光部品の低損失な接続を可能とするスポットサイズ変換器に関するものである。
スポットサイズ変換器(SSC)は、古くから半導体レーザ(LD)から発振された光を高効率にファイバーに導入しようという考えから発展してきており、デバイスへの応用が盛んになされている。特に、半導体レーザにSSCを備えたSSC付LDは良く知られている。ファイバーとLDとの結合効率を決定する要因はスポットサイズの大きさにある。シングルモードファイバーのスポットサイズは5um程度であるのに対しLDのスポットサイズは1um程度と小さい。これらを単純に結合させると、大きな結合損失を生じる。そこで、LDにスポットサイズ変換器を具備することで、LDから出射される光のスポットサイズを大きくしている。このようにして、LDとファイバーとの結合効率の改善がなされている。ただし、LDにSSC構造を持たせると、LDの特性に悪影響を及ぼすことが多く、製造段階でも歩留まりも低下するため、コストが高くなる問題がある。
一方、石英系平面光導波路回路は、ファイバーと同じ石英系材料で作製され、スポットサイズにおいても、ファイバーのものとほぼ等しく設計され、本来ファイバーとの結合が良かった。しかしながら、近年これらの光導波路の小型化が進んでいる。小型化するため導波路の比屈折率差(本明細書では、単に「Δ」とも呼ぶ)を小さくし導波路曲げ半径を小さくすることで、回路小型化を実現する。その際、回路が小さくなるだけでなく、スポットサイズも小さくなってしまい、ファイバーとの結合悪化が問題となってきている。
そこで、石英系導波路においても、従来さまざまなSSCが提案されている。基本的には、これまで半導体分野で示されている構成と変わらない。図1は、従来のスポットサイズ変換器の構成を示した図である。図1(a)は、非特許文献1に示されているような、先端部をテーパー構造1としてあるSSC2を示し、図1(b)は、非特許文献2に示されるような、実際に導波路コア端面を拡大する構造有するSSC3、図1(c)は非特許文献3、4に示されるような、スポットサイズの異なる2つの導波路を積層または内包するSSC5を示している。
図1(a)に示す構造では、テーパー構造1にて、伝播光のモードフィールドを狭めていくとある幅より狭くなるとコア内に光が閉じ込めきれずに、放射し始めフィールドが拡大しスポットサイズが大きくなることを利用したSSCである。図1(b)では、実際にコア3の端面を拡大することで、フィールドを広げスポットサイズを変換する。また図1(c)では、導波路コア6とは異なるΔを持つ導波路コア7を叙所に消滅させ、叙所に他方のコアである導波路コア7に光を移行させることでスポットサイズを変換する。
上記のうち、図1(a)の構造ではSSC2先端より離れる程、スポットサイズは大きくなっていく。所望のスポットサイズが得られる位置にファイバー等のコアを位置させることで低損失な結合を実現する。そのため、このSSCで先端が消滅した後に別の導波路回路を作製できない。また図1(b)においても、コア3を拡大することで、スポットサイズを広げファイバー等と結合する場合は問題とならないが、広げたコアを用いて別の光回路を構成することが難しい。なぜなら、コアが大きくシングルモードを達成できないからである。
一方、図1(c)の場合は、上記一種類のΔのコアから構成されている図1(a),図1(b)のSSCとは異種のものである。すなわち、互いに異なるΔを有する2種類の導波路コア6および7からなり、それぞれの導波路は、各々の回路を構成していても問題なく、SSC部を図1(c)に示すような構造で接続すればよい。図1(a)、(b)では回路基板の端面周辺に位置が限られるが、図1(c)に示す構造は任意の箇所において形成が可能である点で他と区別できる。
以下の記載において、単にSSCと記載するものは、少なくとも2種類のΔの導波路からなり、Δの高い導波路の一部をテーパー構造として、Δの低い導波路上、または内部に配置している図1(c)のようなSSCのことをさすものとする。
非特許文献3では、LDを導波路端面に結合させる際、高Δのスポットサイズの小さな導波路に結合させることで、結合効率の改善を実現し、SSCを介し、スポットサイズ変換を行い低Δ導波路に移行させスポットサイズを拡大している。そして低Δ導波路とファイバーとの低損失な接続を実現している。
これは、薄膜フィルターを用いた平面光導波路型光トランシーバーにも適応が可能である。図2(a)は、従来の平面光導波路回路と薄膜フィルターを用いた光トランシーバー20の構成を示している。また、図2(b)は、図2(a)の、導波路が有するSSCとLDとの接続部の拡大部分Qを示す図である。
図2(a)に示されるように、オーバークラッドおよびアンダークラッドからなるクラッドに埋め込まれた交差型の導波路21の交差部22に溝を形成し、該溝には光を分波するための薄膜フィルター23が挿入され、導波路21の2つの端にはそれぞれSSCが設けられており、それらSSCにはそれぞれ、半導体受光素子、LDが搭載されている。図2(b)に、SSC24とLD25との接続部の拡大図を示す。図2(b)において、SSC24は、高Δ導波路26と低Δ導波路27とを備えており、LD25との接続部とは反対方向にテーパーにて広くなる構造を有する低Δ導波路27上に、上記方向にテーパーにより導波路が狭くなっている構造を有する高Δ導波路26が設けられている。このような構成において、上記テーパー部でコアサイズが減少して漏れ出した光が、下層の導波路である低Δ導波路27に移行する。
出入力ファイバーから入射された信号光は、薄膜フィルター23を透過し受光素子に入射される。また、LD25から出力された光は先に示した非特許文献3に示される構造を介し、高Δ導波路26と高効率に結合し導波路21に導かれる。LD25を直接低Δ導波路27(Δ=0.3%)に入射すると結合損失が11dB程度となるのに対し、非特許文献3によるとSSC24を介することで3dB程度まで8dBもの改善が見られている。
一方、導波路とファイバーとの結合部は、低Δ導波路との接続のため低損失にファイバーとの結合を実現できる。フィルター部は、溝が形成されているため、導波路がなく、伝播光は回折し広がってしまい薄膜フィルター23を透過または反射した光が再度導波路に結合される際に損失が生じる。この損失を低減するためには回折を抑えるようにスポットサイズを大きい、つまり低Δの導波路をフィルター挿入部には使用するのが好ましい。
このように、図1(c)に示すような構造を用いることで、光トランシーバーにおいて、LDとの結合効率の改善とフィルターの挿入損失の低減、ファイバーとの結合との低減の両立が可能となる。
"Compact and low-loss arrayed waveguide grating module with tolerance-relaxed spot-size converter" PJOTO. TECH. LETT., 5, (2), p239, 2003 "High density and low-loss arrayed waveguide gratings composed of high index difference PLCs", IPR’02 (Vancouver, CANADA), IThG1-1-3, Jul, 2002 "Efficient coupling of a semiconductor laser to an optical fiber by means of a tapered waveguide on silicon", Appl. Phys. Lett. 55 (23), 1989 "光ゲートアレイのための積層光分岐素子の試作"第51回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集28p−N−1 河内正男"プレーナ光波回路"電学論C、113巻6号、440〜445ページ、平成5年
図3は、従来の異種Δ導波路を積層した構造のSSCを含む光導波路回路における、透過特性を示している。非常にΔの高くスポットサイズが小さなファイバーを用いて高Δ導波路側から光を入射し、低Δ導波路に通常のシングルモードファイバーを接続した際の透過特性である。前述したように、異種Δ導波路をSSCによってスポットサイズのことなる光部品を低損失に結合することは非常に有用である。しかしながら、実際に図1(c)に示したようなSSCを作製し、評価を行った結果、図3に示すような波長特性上リップルが生じるといった問題が発生することが、発明者らによって明らかとなった。このリップルの振幅は、SSC移行部テーパー長に依存し、テーパーが短い程振幅は大きくなることも解った。
このような、透過特性にリップルが生じることは、先行し開発されていきた半導体レーザ等のSSCにおいても重要視されていない、むしろ把握されていない問題点である。しかし、平面光導波路回路は、主にパッシブ(能動的)な機能を持ち、広帯域の波長範囲で安定して透過率が求められ、透過特性に波長依存性がないことが強く求められる。
図4は、図2に示した光トランシーバーを前述の従来のSSCを搭載した平面光導波路を用いて作製した際の、LDの結合効率の頻度を示している。この場合結合効率は平均4.8dBとなり、最小最大はそれぞれ3.7dB、5.8dBとなった。
同じように作製した素子にもかかわらず、素子特性に大きなばらつきを持つこととなった。その原因は、図3に示した透過特性に現れるリップルにある。このリップルが極大、極小を取る波長は同じ設計のSSCを測定しても、製造誤差により、同じ波長とならない。その波長は、素子ごとにばらつく結果となった。ある素子では、LDの発振波長にて透過率が極大になり、ある素子では極小になるといったようなことが生じるために、素子ごとのばらつきが大きくなるのである。
上述したように、従来のSSCでは、透過特性上制御しきれないリップルが発生することが問題となっていた。また、リップルを抑制しようとして、SSC移行部のテーパー長を長くすると、SSCの回路上の長さが数ミリにもおよび、回路が小型化できないといった問題も生じる。
図5(a)は、従来からあるSSC搭載したアレイ回折格子(AWG)51を高Δ導波路で作製し小型化したものを示している。このようなAWGでは高Δ導波路を用いて作製するとファイバーとの結合が悪化してしまう問題がある。よって、SSCを入出力に搭載することでファイバーとの結合効率の改善を図るものである。図5(a)において、AWG51は、アレイ導波路52と、複数の導波路からなる入出力ポートとしての導波路53を備えている。これら導波路は、オーバークラッドおよびアンダークラッドからなるクラッドに埋め込まれている。この導波路53の各導波路にはそれぞれ、図5(b)に示すように、SSC54が備えられている。SSC54は、高Δ導波路55と低Δ導波路56とを備えており、低Δ導波路56上に高Δ導波路55が設けられている。また、低Δ導波路56と光ファイバー57とは光学的に接続されている。
このようなAWG回路においても、SSC部が透過特性上リップルを生じてしまうため、図6に示すように、AWG透過スペクトルの各チャンネルの透過率がリップルの影響を受けてしまうという問題が生じる。
図7は、SSCを搭載していないAWG71と、SSC73を搭載したAWG72のチップサイズの比較を示す図である。上述のように、SSC部のリップルの影響を防ぐため、SSC移行部の長さを長くしてしまうと、図7に示すように、せっかく高Δ導波路を用いてAWGは小型が実現できてもSSC73が大きくなり、SSC73を含めた回路全体としては小型化できない。今後より高Δ化が進むとAWG回路よりもSSC部の方が大きくなってしまうという、本末転倒な結果を招くことになりかねないという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、装置の小型化が実現でき、透過特性が向上されたスポットサイズ変換器を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1記載の発明は、アンダークラッド上に形成された、該アンダークラッドよりも屈折率が高い第一の導波路であって、第二の導波路と、該第二の導波路の一方端に設けられたスラブ領域と、前記スラブ領域の長さをLとし、前記スラブ領域の幅をWとし前記第一の導波路のクラッドに対する比屈折率差をΔ とすると、W>Ltan(2Δ 1/2 を満たすように前記スラブ領域の幅Wが設定されており、前記スラブ領域の、前記第二の導波路が設けられた側に対して対向する側に設けられた第三の導波路とを有する第一の導波路と、前記第一の導波路上に形成された、第四の導波路とテーパー状の導波路とを有し、前記第一の導波路よりも屈折率が高い第五の導波路とを備え、前記第二の導波路上には、前記第四の導波路または前記テーパー状の導波路のいずれか一方が形成されており、前記第三の導波路上には、前記第四の導波路または前記テーパー状の導波路の他方が形成されており、かつ少なくとも前記スラブ領域上には、前記第四の導波路が形成されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、アンダークラッド上に形成された、該アンダークラッドよりも屈折率が高い第一の導波路であって、第二の導波路と、該第二の導波路の一方端に設けられたスラブ領域と、前記スラブ領域の長さをLとし、前記スラブ領域の幅をWとし前記第一の導波路のクラッドに対する比屈折率差をΔ とすると、W>Ltan(2Δ 1/2 を満たすように前記スラブ領域の幅Wが設定されており、前記スラブ領域の、前記第二の導波路が設けられた側に対して対向する側に設けられた第三の導波路とを有する第一の導波路と、前記第一の導波路内に埋め込まれて形成された、第四の導波路とテーパー状の導波路とを有し、前記第一の導波路よりも屈折率が高い第二の導波路とを備え、前記第二の導波路内には、前記第四の導波路または前記テーパー状の導波路のいずれか一方が埋め込まれて形成されており、前記第三の導波路内には、前記第四の導波路または前記テーパー状の導波路の他方が埋め込まれて形成されており、かつ少なくとも前記スラブ領域内には、前記第四の導波路が埋め込まれて形成されていることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第二の導波路上に前記第四の導波路が形成される場合は、前記第二の導波路の幅と前記第四の導波路の幅とはほぼ等しい幅であることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、第五の導波路よりも屈折率が低い第一の導波路にスラブ領域を設けるようにしたので、リップルの発生を抑えることができ、透過特性の向上が可能となる。また、リップルの発生を抑えるために第五の導波路のテーパー状の導波路を長くする必要がなくなるので、装置の小型化を図ることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する図面で、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
本明細書において、「高Δ導波路」など、Δが高い導波路や、「低Δ導波路」など、Δが低い導波路が意味するところは、対象となる2つの導波路に対する相対的な表現であって、異なるΔを有する2つの導波路において、高い方のΔを有する導波路が「高Δ導波路」となり、低い方のΔを有する導波路が「低Δ導波路」となる。
以下で、低Δ導波路上に高Δ導波路を形成しているSSCにおいて、リップルが生じる原因について説明する。
ファイバーとLDとの結合効率を所望の値にするには、個々の導波路は、シングルモードであることが望ましい。しかしながら、Δが高い導波路をΔが低い導波路上、または内部に作製すると、一つの導波路としてみた際に、個々の導波路はシングルモードを達成する形状であっても、積層、内包させるとコアのサイズや、Δによっては、シングルモードではなくなる。
例えば、Δが高い第2の導波路コアから、Δが低い第1の導波路コアにスポットサイズを変換する場合を考えると、第2の導波路コアだけに理想的に伝播光が入れば良いが、実際には、第2の導波路コア内にほとんどの光が結合した状態でも、第1の導波路コア内の高次モードにも結合し、第1の導波路コア内にも伝播する光が存在する。その状態で、SSCのテーパーにより構成されるスポットサイズ移行部に光が到達すると、各々のモードが結合する。結合効率は、波長依存性を与え、結果として透過スペクトル上にリップルを発生させる。つまり、第1の導波路コア内を伝播する光を、なんらかの方法で除去し、そして第2の導波路コアからなる移行部へと導けばリップルを抑制することが可能となる。
(第1の実施形態)
本実施形態では、シリコン基板上に石英系のガラスを堆積させて作製した石英系平面光導波路回路(PLC)を用いる。
石英系PLCはシリコン基板上に火炎堆積法と反応性イオンエッチング法で作製され、低損失でシングルモード光ファイバーと整合性の良い光導波回路が実現されている(非特許文献5参照)。
本実施形態では、LDとPLCとの結合効率の向上を目的として、PLCの出入力部(PLCが有する光導波路の端部)に、SSCを設けている。図8(a)は、本実施形態に係る、光回路が有するSSC構成の鳥瞰図であり、図8(b)は、図8(a)のSSC構成の上面図である。
図8(a)および(b)において、シリコン基板上に形成されたアンダークラッド86上に後に上層にくるコアである第二コア83よりも屈折率が低く、かつアンダークラッド86よりも屈折率の高い第一コア81が設けられている。第一コア81は、第一コア81の長手方向に平行の長さ(スラブ領域の長さ)Lのスラブ(スラブ導波路)82を有している。このスラブ82は、第一コア81の端面から所定の距離だけ離れて設けられている。
第一コア81上に、直線部分84とテーパー部分85からなる、第一コア81よりも屈折率の高い第二コア83が形成されている。なお、上記テーパー部分85が、スポットサイズ移行部となる。また、上述のように、本実施形態では、第一コア81と第二コア83との屈折率の関係から、第一コア81が低Δ導波路となり、第二コア83が高Δ導波路となる。
本実施形態では、上述のように、第一コア81は、上層に位置する第二コア83の直線部分84の少なくとも一部が形成されている領域に幅が無限長のスラブ82を有し、LDが結合する部分(各コアの端面付近)では、第一コア81、第二コア83の幅がほぼ等しくなっている突起部分87を構成している。すなわち、端面から向かってスラブ領域が少なくとも終わってからテーパー部分85が形成するように、第二コア83は形成さており、少なくともスラブ82上には、必ず第二コア83の直線部分84が形成されている。また、スラブ82が設けられる位置は、少なくとも突起部分87が形成できるように設定されている。これらのコアは、オーバークラッド(不図示)で覆われている。
上述のように、第一コア81は、突起状の導波路(突起部分87に相当)を有するようにスラブ82が形成されており、該スラブには突起状の導波路と対向するように対向導波路が連結されている構成である。なお、本明細書では、「対向導波路」とは、第一コアに含まれる導波路であって、突起状の導波路が設けられているスラブの面と対向する面に設けられている導波路のことを指す。本実施形態では、図8(a)、(b)に示されるように、突起状の導波路と対向導波路とは、スラブ82の長さ方向に対してほぼ直線上に配置されるように、スラブ82に設けられている。
まずは、LDの入力部分、すなわち、端面を含む突起部分87において、第一コア81と第二コア83との幅がほぼ等しくなっている効果について述べる。
LDを端面から入射した際に、高Δ導波路である第二コア83の周りにできるだけ屈折率の低いクラッドを配置し、第二コア83の有効屈折率差を大きく取るようにする。そのために、LD結合部においては、第一コア81と第二コア83との幅を同じにすること、すなわち突起部分87を設けることで、第二コア83周辺にクラッドが配置されるようになる。結果、第二コア83の実効的な屈折率差を大きくできるため、スポットサイズはLDのそれに近づき、結合効率を高める効果がある。
次に、第二コア83が、直線部分84の下部の第一コア81がスラブ82となっている領域を設ける効果について述べる。
LDが、高Δ導波路である第二コア83にすべて結合されれば問題とはならないが、実際は、下層に位置する低Δ導波路である第一コア81にも結合を生じてしまう。すると上述の理由から、波長特性上にリップルが生じる結果となる。そこで、それを防ぐために、第一コア81内に結合してしまった光をスラブ領域(スラブ82)にて放射させる。放射させてから、SSCの移行部(テーパー部分85)により第二コア83内の光を第一コア81に移行させスポットサイズの変換を行う。そうすることで、上下層の導波路内の光の干渉による透過特性上のリップルの発生を抑制することができる。このように、スポットサイズ移行部(テーパー部分85)を長くしなくても、リップルの発生を抑制することができるので、装置の小型化を図ることができる。
ここで、スラブの大きさについて述べる。スラブ領域の長さLは、回路上許されるだけ大きくする方が好ましい。スラブを挟み対向する導波路の結合において、一方の導波路(図8の構成では、第一コア81の突起部分87)からスラブ内に放射した光が、長さL離れた同じ導波路(対向導波路)に結合する場合、計算上、距離Lの二乗の逆数に比例して結合効率が悪くなる。スラブの目的は、上述のように、スラブを有する第一コア81に結合してしまった光を放射させることにあるのでスラブ領域の長さLはできるだけ長くとった方がリップル抑制には効果がある。
スラブの幅に関しては無限長と定義しているが、実際作製する上では有限長となる。ここで、図8に示した、本実施形態に係るSSCにおいて、無限長の幅を有するスラブ82を有限長の幅Wを有するスラブ88に代えた構成の上面図を図9に示す。図9から分かるように、第一コア81の突起部分87から入射したスラブ88に進入した光は、角度φで広がる。よって、第一コア81の突起部分87からスラブに入射して放射された放射光90は、スラブ幅Wが狭い場合、スラブ側面で反射して反射光91となり、第一コア81の対向導波路89に入射してしまうことが考えられる。そうするとスラブ88を設けた効果が薄れるため、この場合は幅Wを広くした方が望ましい。すなわち、スラブ88を設けることでリップルの抑制を行うことができるが、幅Wを広くすることで、更なるリップルの抑制を実現できるのである。
スラブ幅Wがどれほど必要かを簡単に計算することができる。簡単のため、第二コア83はないとして考え、第一コア81のみを考える。第一コアのクラッドに対する比屈折率差Δとすると、一方の導波路からスラブに進入した光は、角度φにて広がる。この角度φは、Δを用いて、
となる。回路上許されるスラブ領域(スラブ88)の長さはLであるので、少なくともスラブの幅Wは、およそ
W>Ltanφ
あれば、スラブ側面で反射した光が他方の導波路に結合することはない。
本実施形態では、第二コアが第一コア上に位置する場合について述べた。しかし導波路構造はこれに限らない。例えば、第一コア内に、第二コアが内包する形状が考えられる。図10(a)および(b)は、本実施形態に係る、高Δ導波路を低Δ導波路内部に埋め込んで設けたSSCの鳥瞰図である。
図10(a)において、シリコン基板上に形成されたアンダークラッド(不図示)上に、内部に設けられるコアである第二コア103よりも屈折率が低く、かつアンダークラッドよりも屈折率の高い第一コア101が設けられている。第一コア101は、第一コア101の長手方向に平行の長さ(スラブ領域の長さ)Lであり、無限長と見なせる幅を有するスラブ102を有している。このスラブ102は、第一コア101の端面から所定の距離だけ離れて設けられている。すなわち、第一コア101の端面から長手方向に沿って所定の距離には、凸部106が形成されており、該凸部106にスラブ102が連結されている構成である。もちろん、凸部106は、第一コア101に含まれる導波路である。
第一コア101内に、直線部分104とテーパー部分105からなる、第一コア101よりも屈折率の高い第二コア103が形成されている。なお、上記テーパー部分105が、スポットサイズ移行部となる。また、上述のように、本実施形態では、第一コア101と第二コア103との屈折率の関係から、第一コア101が低Δ導波路となり、第二コア103が高Δ導波路となる。
図10(a)の構成では、上述のように、第一コア101は、内部に位置する第二コア103の直線部分104の少なくとも一部が存在する領域に幅が無限長のスラブ102を有し、LDが結合する部分(各コアの端面付近)においても、第一コア101内に第二コア103が含まれた構成となっている。すなわち、端面から向かってスラブ領域が少なくとも終わってからテーパー部分105が形成するように、第二コア103は形成さており、スラブ102内には、必ず第二コア103の直線部分104が形成されている。また、スラブ102が設けられる位置は、少なくとも凸部106が形成できるように設定されている。これらのコアは、オーバークラッド(不図示)で覆われている。
図10(b)の構成では、図10(a)の幅が無限長のスラブ102に代えて、有限長の幅を有するスラブ107を備えた構成である。
この場合においても、上述で説明したスラブの効果が得られる。理想的には第二コア103が第一コア101の中央に位置した場合、導波路は完全なシングルモード伝播を達成できるため、問題となっていたリップルの発生は起きないと考えられる。しかしながら現実には、製造誤差等から完全に中央に作製することは困難であり、本明細書にて問題となっているリップルの発生という課題は変わらない。したがって、第二コア103が第一コア101に内包されるようなケースでも、本発明のスラブ領域を設ける構造の効果がある。また、第一コア101内に第二コア103を設ける場合は、スラブの長さLを短くすることが可能となり、回路の小型化を図ることが可能となる。
なお、本実施形態に係る、SSCを備える導波路を複数用いる場合は、各導波路が備えるSSCに別個にスラブ領域を設けるようにしても良い。また、各導波路が備えるSSC間でスラブを共有するようにしても良い。すなわち、ある低Δ導波路のスラブ領域の端面に隣の低Δ導波路が形成されるような形態であっても良い。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で説明したSSCを備えた光トランシーバーについて説明する。
図11は、本実施形態に係る、光トランシーバーの構成を示す図である。また、図11(b)は、図11(a)の、導波路が有するSSCとLDとの接続部の拡大部分Sを示す図である。
図11(a)において、光トランシーバー110は、オーバークラッドおよびアンダークラッドからなるクラッドに埋め込まれた交差型の導波路111を備えている。交差型の導波路111の交差部112に溝を形成し、該溝には光を分波するための薄膜フィルター113が挿入され、導波路111の2つの端にはそれぞれ、図9にて説明したSSC(本実施形態では、符号114で示す)が設けられており、それらSSC114にはそれぞれ、半導体受光素子、LDが搭載されている。上記SSC114とLD115との結合の様子を、図11(b)に示す。
出入力ファイバーから入射された信号光は、薄膜フィルター113を透過し受光素子に入射される。また、LD115から出力された光は、SSC114の、高Δ導波路である第二コア83と高効率に結合し導波路111に導かれる。
図12は、図11に示した光トランシーバーにおける透過特性を示す図である。図12に示される通り、透過特性上のリップルは大幅に削減されている。よって、本実施形態に係る、SSC114を用いることによって、透過特性を向上することが可能となる。また、リップルを抑制するために、スポットサイズ移行部(テーパー部分85)を長くする必要がないので、装置の小型化を実現できる。
図13は、図11に示した光トランシーバーにおける、LDの結合効率の頻度を示した図である。本実施形態によれば、図12から分かるように、リップルの発生を抑えることができるので、その結果、図13からも分かるように、結合効率の素子毎のばらつきを減少することができる。
なお、本実施形態では、第一コア上に第二コアを設けたSSCについて説明したが、第一コア内に第二コアを設けたSSCであっても良い。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態にて説明したSSCにおいて、スラブに多モード干渉導波路(Multi Mode Interference Waveguide;MMI)を適用した構成について説明する。また、スラブの長さを短くするための、有限のスラブ幅の最適化についても説明する。
第1および第2の実施形態に示したように、LD結合を目的としてSSCにスラブ領域を設けることは有用であり効果が高い。しかしながら、スラブ領域で、第一コアに残留する光を十分効果が得られる程度放射させるためには、十分な長さが必要となる。スラブ幅に関しては、石英系光導波路を想定した場合、狭ピッチ光ファイバーの場合でもその間隔は127umとかなり広いため余裕はある。スラブ幅W=127umでΔ=0.3%の時、スラブの長さLが1.6mmより短い場合は、スラブ領域で放射し、スラブ側面で反射した光が対向導波路に結合することはない。しかしスラブ長さは回路面積を大きくしてしまう一要素である。そのためスラブ領域の長さは可能な限り短い方が良い。
第1の実施形態の図8の構成では、スラブ幅Wを無限とみなせる長さをもって、スラブ側面にて反射した光が対向する導波路に入射しないような十分の幅を与えた。しかしながら、反射させることを積極的に利用すれば、あるスラブの幅にすることでてスラブ長さを短くすることが可能である。または、長さが同じであれば、リップル抑制効果をさらに高めることが可能である。
本実施形態では、有限幅のスラブを用いて第一コア(低Δ導波路)内に残った光を除去する手段として、MMIを用いている。MMIとは、高次モードが伝搬可能な多モード導波路を用い、導波路内の各モード間の干渉を利用して光の合分波を行う光の合分波回路である。図14は、Δ=0.3%、入力導波路幅8.0um,スラブ幅60umとした際の、MMI内の伝播の様子をビーム伝播法(Beam propagation method;BPM)より計算した結果を示す図である。図14から、伝播光が4、3、2分岐されている様子が見て取れる。通常MMIは、これらの分岐された光の強度の強いところに出力導波路を設けて分岐デバイスを作製するのに用いられるものである。
図14の中央付近にある領域140で2分岐されているが、それらの分岐間には、光強度が弱くなっている領域141があるのが確認できる。第1の実施形態では、第一コア(低Δ導波路)内に残留する光を放射させて減衰させたが、本実施形態では、スラブ領域の幅を有限とし、第一コアのスラブ領域をMMIとして動作させることで干渉を利用し、第一コア内の光を減衰させる。
またLDとの結合を想定した場合、スラブ端面に位置する第二コア(高Δ導波路)に直接LDを結合させると、MMIとしての動作が困難になる。なぜなら、LDは同じ基板から製造されたものであっても固体差があり、さらに搭載精度の問題からLDと第二コアとの相対位置の制御も一義に決まらないといってよい。そのため、MMIを設計通りには動作させることが困難である。そのため入射端には短くとも、第一、第二コアからなる導波路を入れる必要性がある。すなわち、図8(a)および(b)に示したように、第一コアに突起部(突起部分87)を設けるようにする。
スラブ領域の長さは、構成する回路上許される範囲で長くすることが望ましい。なぜならば、MMIにおいて2分岐された箇所の間隔が長い程、広くなり、出力導波路(対向導波路)内に再結合する割合が減少するからである。回路構成上今許される長さをLとする。今回路上許されるスラブ領域の長さがL=500umの時、第一コアの構成導波路の屈折率n=1.4491、アンダークラッドの屈折率n=1.444とし、入射光の波長λ=1.31umを考えた場合を想定し、BPMを用いて上記説明したように第一コア内の光の減衰効果があるかを確かめる。
計算上、簡単のために第二コアは無視し、第一コア内に基本モードの入力を与えた場合について計算を実施した。実際の回路が例えば、第一コアを屈折率n=1.449、コア形状8×8umとして、計算機によって導波路のモード解析を実施すると図25に示されるような2次モードが観測される。この時、第一コア内の強度分布は、上方に第二コアがない場合の基本モードのそれに非常に似ている。そのため、計算上、第二コアを考慮せず、第一コアの基本モードのみを考慮して第一コア内に残留した光の伝播を議論すれば十分であると言える。
図16(a)は、スラブの長さを500umとした際の、スラブの幅に対する第一コア内残留光の再結合を評価した結果を示す図である。図16(a)では、スラブ幅を関数に、出力導波路(対向導波路)に結合する第一コア内の光強度を1として示している。これによると、ある特定のスラブ幅W、この場合30um付近にて、極小値が存在することがわかる。極小状態ではスラブ出口にて第一コア内の残留光が結合効率は7.8dBとなっている。
図16(b)は、スラブ幅を200umとしてスラブの長さLを関数とした場合についての計算結果を示している。この場合、スラブ幅200umは無限長とみなしてもよい幅である。図16(b)では、図16(a)で極小に相当する7.8dBの消光を得るためには、スラブの長さにして約1.2mm必要だということがわかる。つまり、単にスラブに放射させて第一コア内に残留した光を減衰させるよりも、上記の方法にて減衰させた方がスラブ長さを短くできる効果があり、回路の大きさを小さくすることが可能である。また、1.2mmのスラブ長さが回路上許されるならば、同じ手法を用いるとさらに、消光が得られることとなる。1.2mmで同様の計算をすると18dB以上の消光が可能である。
このような極小値を取るスラブ幅は、以下の計算にて求めることが可能である。上記の回路構成上許容できるスラブの長さLの長さを決定すれば、その時、図14にて伝播光をN分岐する点が、光の入射側から最も短い距離で与えられるスラブ領域の幅Wsは以下の式で与えられる。
=W−(λ/π)(n/n2σ(n −n −(0.5) (式1)
ここで、Wは、スラブ内での基本モードの幅に対応し、λは、スラブへの入射光の波長に対応し、n、nはそれぞれ、スラブを構成する導波路の屈折率、スラブのアンダークラッドの屈折率である。σは入射光の偏光に対応していて、TEの時、σ=0であり、TMの時、σ=1となる。
また、Wは、
=(λ・N・L/n) (式2)
で与えられる。
図14から分かるように、N=2の時が、光分岐領域間の、光が弱め合う領域が最も広い。
上述から分かるように、本実施形態では、MMIで構成されるスラブを伝搬する残留光が第一コアの出力導波路(対向導波路)へと入射されるのを抑制するために、光分岐領域間の、光分岐領域よりも光強度が弱い領域、好ましくは、最も光強度が弱い領域に、対向導波路を連結する。すなわち、図15において、スラブ152の一方端には突起部153が導波路によって構成されており、スラブ152の他方端には対向導波路(出力導波路)154が連結されている。このようにして、第一コア151は形成されている。このとき、(式1)を用いることにより、回路設計に適切なスラブ長さLに応じて、スラブ幅を設定することが可能となる。なお、スラブ152にはMMI導波路を用いれば良い。
図17は、図15にて説明した第一コア151を用いたSSCの構成の一例を示す鳥瞰図である。
図17において、アンダークラッド(不図示)上に形成された第一コア151上に、直線部分156とテーパー部分157からなる、第一コア151よりも屈折率の高い第二コア155が形成されている。なお、上記テーパー部分157が、スポットサイズ移行部となる。また、上述のように、本実施形態では、第一コア151と第二コア155との屈折率の関係から、第一コア151が低Δ導波路となり、第二コア155が高Δ導波路となる。
本実施形態では、上述のように、第一コア151は、上層に位置する第二コア155の直線部分156の少なくとも一部が形成されている領域にMMI導波路により構成されているスラブ152を有し、LDが結合する部分(各コアの端面付近)では、第一コア151、第二コア155の幅がほぼ等しくなっている直線部分158を構成している。すなわち、対向導波路154上にテーパー部分157が形成するように、第二コア155は形成さており、スラブ152上には、必ず第二コア155の直線部分156が形成されている。また、スラブ152が設けられる位置は、少なくとも直線部分158が形成できるように設定されている。すなわち、突起部153が形成されるようにスラブ152は設けられている。これらのコアは、オーバークラッド(不図示)で覆われている。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、スラブ152内の残留光が対向導波路154に入射するのを軽減することができるので、リップルの発生を抑えることができ、また、スラブの長さを決めると、最適な幅を一義に決めることができ、装置の小型化を実現することができる。
なお、本実施形態では、第一コア上に第二コアを設けたSSCについて説明したが、第一コア内に第二コアを設けたSSCであっても良い。
(第4の実施形態)
本実施形態では、曲げ導波路と、スラブ導波路を併用することで、第一コア内残留光の除去を行う方法について述べる。
図18(a)および(b)は、本実施形態に係る、曲げ導波路を有するSSCの構成を説明する上面図である。
第一コア(低Δ導波路)は、第二コア(高Δ導波路)よりも屈折率が低いために、急峻な曲げに対し放射を示す。図18(a)に示すように、第二コア182では光が放射せず曲げが実施できる曲げ半径にて構成する。すると第一コア181内の光は曲がりきらずにクラッド内に放射し、結果第一コア181内の残留光を減衰させる効果がある。図18(a)のように、第一コアおよび第二コアに曲げだけを作製しても効果はあるが、全く第一コア181内の光は曲げに対し曲がらないわけではなく、損失は大きいものの、幾分かは移行部であるテーパー部分183まで残留光が伝播する。
そこで、図18(b)のように、アンダークラッド(不図示)に形成された第一コア184にスラブ185を設け、該スラブ185内で第二コア182を曲げ損失が生じない程度の曲げ半径にて曲線部を持たせる。これらコアはオーバークラッド(不図示)によって覆われている。この際、下部、すなわち第一コア184に残留した光は、角度φの角度にてスラブ185中を放射してゆく。そこで、その放射角の外に出力部である第二コア182の移行部であるテーパー部分183が配置できるように曲げを施す。このとき、テーパー部分183は、スラブ185上には形成されていない。こうすることで、第一コア184内の残留光を効率良く、除去することができ、結果リップルの発生を抑制できる。
例え、放射角φで放射する光の放射範囲内に、第一コア184における、スラブ185と対向導波路186との連結部があったとしても、オフセットを付けることで第一コア内を伝播していた光が再結合する程度は、対向する場合に比べ確実に減少させることが可能である。
なお、図18(a)および(b)では、第一コア上に第二コアを形成する形態を示したが、第一コア内に第二コアを設けるような形態であっても良い。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることは言うまでもない。
(実施例)
本実施例では、図19(a)に示すような構造のアレイ導波路型回折格子の作製を行った。第一コア194は、Δ=0.3%、コア形状が8×8umとし、第二コア195はΔ=1.5%、コア形状が4×4umとし、100G、16チャンネルのものを作製した。第二コア195のテーパー部分196の長さは1mmとした。
図19(a)において、AWG191は、アレイ導波路192と、複数の導波路からなる入出力ポートとしての導波路193を備えているこれら導波路は、オーバークラッドおよびアンダークラッドからなるクラッドに埋め込まれている。この導波路193の各導波路にはそれぞれ、図19(b)に示すように、SSCが備えられている。SSCは、高Δ導波路としての第二コア195と低Δ導波路としての、スラブ領域197を有する第一コア194とを備えており、第一コア194上に第二コア195が設けられている。また、第一コア194と光ファイバー198とは光学的に接続されている。
このAWG191は、まさしく、図18(b)にて説明したように、第一コア194のスラブ197上に形成された第二コア195に曲げを施した形状となっている。シングルモードファイバーから入射した光は、低Δ導波路である第一コア194にまず結合し、PLCないに挿入される。この際の接続損失を別途調べた結果、光ファイバーと第一コア194からなる低Δ導波路との接続損失は、0.1dB/一箇所であった。
第一コア194の矩形コアに伝播した光は、第二コア195のテーパー部分196からなるSSCの移行部に到達し、徐々に屈折率が高い第二コア195に移行し、スポットサイズを変換する。その後、第二コア195は、AWG191を構成する曲線部分に到達する。この際、第二コア195内に移行しきれなかった第一コア194内の光は、スラブ領域へ放射し減衰していく。AWG191のSSC部でのスポット変換により生じる変換損失を別途詳しく調べた結果、0.1dB/一箇所と非常に低損失であった。その後AWG内を伝播し分光された光が出力導波路に到達し、再度スポット変換され出力ファイバーへと導かれる。
この際、入力側の第一コア194が有するスラブ197でスラブ内に放出した光は、スポットサイズ変換損が0.1dBと見積もられているため、それ以下である。その光がスラブ197内で放射され、出力側に達した際には、かなり減衰している。その結果、図6では、SSC部が原因となるリップルの影響を受けチャンネル間の透過率が変動していたが、本実施例のAWGでは、図20に示すように、チャンネル間の透過率の違いは0.2dB以下であった。これは通常のAWGのチャンネル間のばらつきの範囲であり、SSCを搭載したことによる影響ではない。
本実施例では、第一コア194上に第二コア195を設けているが、これに限らず、図21(a)および(b)に示すように、第一コア194内に第二コア195を設けるようにしても良い。
(第5の実施形態)
従来、AWGの高性能化(偏波無依存化、アサーマル化)の手法として、AWGが有するアレイ導波路に溝を形成し、所望に応じて、該溝に波長板の挿入やアサーマル樹脂の充填等が行われている。すなわち、アレイ導波路は溝部で切断され、該切断領域に波長板やアサーマル溝が挿入されることになる。よって、このとき、空間や波長板、アサーマル樹脂など、アレイ導波路以外の領域を介して、切断された導波路を結合する必要がある。
しかしながら、アレイ導波路を高Δ導波路、すなわちモードフィールドの小さい導波路にて構成すると、溝箇所の回折損失が増大してしまう。これは、導波路のモードフィールドが小さくなるほど、すなわち、導波路のΔが大きくなるほど回折損失が増大するためである。
例えば、高Δ導波路のΔを1.5%とすると、この高Δ導波路からなるアレイ導波路に溝を形成して導波路を分断し、該溝に波長板を挿入すると、その損失は約1dBとなってしまう。今後、さらに導波路の高Δ化が進むと、この過剰損失がさらに大きくなってしまう。
そこで、本実施形態では、空間を飛ばすところ、すなわち、ある空間を介した導波路と導波路との結合部に、本発明の一実施形態に係るSSCを用いている。このようにすることで、空間を飛ばすところでは、低Δ導波路を用いてモードフィールドを大きくすることで、回折損失を大幅に低減することが可能となる。
図22は、本実施形態に係るAWGを示す図であり、図23は、図22におけるアレイ導波路の一導波路の拡大部分Vを示す図であり、図24は、図23におけるアレイ導波路の上面図である。
図22において、AWG200は、オーバークラッドおよびアンダークラッドからなるクラッドに埋め込まれたアレイ導波路201を備えている。アレイ導波路201には、図23および24に示すように、波長板挿入溝206が形成されており、該波長板挿入溝206には、波長板207が挿入されている。このとき、波長板挿入溝206によって、アレイ導波路201は分断されている。本実施形態では、分断された導波路の端部の各々に本発明のSSCを対向するように設けている。すなわち、波長板207を挟むようにSSCを設けている。
具体的には、図23および24から分かるように、分断された、波長板挿入溝206側のアレイ導波路の端部において、突起部202とスラブ203とを有する第一コア(低Δ導波路)内に、直線部分204とテーパー部分205とを有する第二コア(高Δ導波路)が形成されている。このとき、テーパー部分205は、突起部202内に含まれ、スラブ203には必ず直線部分204が含まれるようにテーパー部分205および直線部分204は第一コア内に配置されている。第一コアおよび第二コアは別個の回路構成をとることができるので、第二コアが実際のアレイ導波路を構成することになる。
このような構成をとることによって、アレイ導波路(第二コア)を通過する光は、テーパー部分205から突起部202に移行することによって小さなモードフィールドから大きいなモードフィールドに変換され、波長板207を通過して対向する突起部202に入射する。突起部202に入射した光はテーパー部分205を介して第二コアに入射される。
よって、AWGに入射した光は、アレイ導波路中では高Δ導波路を通過し、空間を飛ばす際には、モードフィールドの大きな導波路(低Δ導波路)によって行うので、波長板および波長板挿入溝205での回折損失を低減することが可能となる。
図22〜24において、第一コアのΔを0.3%とすると、アレイ導波路に波長板206を挿入した際の回折損失は、0.1dB以下まで低減することが可能となる。
なお、本実施形態では、第一コア内に第二コアを埋め込んだ形態を説明したが、第一コア上に第二コアを設ける形態であっても良い。
(a)〜(c)は、従来のスポットサイズ変換器の構成を示した図である。 (a)は、従来の平面光導波路回路と薄膜フィルターを用いた光トランシーバーの構成を示す図であり、(b)は、(a)における、導波路が有するSSCとLDとの接続部の拡大部分Qを示す図である。 従来の異種Δ導波路を積層した構造のSSCを含む光導波路回路における、透過特性を示す図である。 従来のSSCを搭載した平面光導波路を用いて作製した際の、LDの結合効率の頻度を示す図である。 (a)は、従来のSSC搭載したアレイ回折格子(AWG)の構成を示す図であり、(b)は、(a)における、導波路が有するSSCと光ファイバーとの接続部の拡大部分Rを示す図である。 従来の、AWGの各チャネルの透過特性を示す図である。 従来の、SSC無しのAWGとSSC搭載のAWGとの構成を示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る、光回路が有するSSC構成の鳥瞰図であり、(b)は、(a)のSSC構成の上面図である。 本発明の一実施形態に係る、SSC構成の上面図である。 (a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る、高Δ導波路を低Δ導波路内部に設けたSSCの鳥瞰図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る、平面光導波路回路と薄膜フィルターを用いた光トランシーバーの構成を示す図であり、(b)は、(a)における、導波路が有するSSCとLDとの接続部の拡大部分Sを示す図である。 本発明の一実施形態に係る、異種Δ導波路を積層した構造のSSCを含む光導波路回路における、透過特性を示す図である。 本発明の一実施形態に係る、SSCを搭載した平面光導波路を用いて作製した際の、LDの結合効率の頻度を示す図である。 本発明の一実施形態に係る、MMI内の伝播の様子をビーム伝播法より計算した結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る、スラブ幅の最適化を実施した場合の伝搬の様子を示す図である。 (a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る、スラブの幅、長さに対する、第一コア内の残留光の再結合を評価した結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る、SSC構成の鳥瞰図である。 (a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る、曲げ導波路を有するSSCの構成を説明する上面図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る、SSC搭載したアレイ回折格子(AWG)の構成を示す図であり、(b)は、(a)における、導波路が有するSSCと光ファイバーとの接続部の拡大部分Tを示す図である。 本発明の一実施形態に係る、AWGの各チャネルの透過特性を示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る、SSC搭載したアレイ回折格子(AWG)の構成を示す図であり、(b)は、(a)における、導波路が有するSSCと光ファイバーとの接続部の拡大部分Uを示す図である。 本発明の一実施形態係るAWGを示す図である。 図22におけるアレイ導波路の一導波路の拡大部分Vを示す図である。 図23におけるアレイ導波路の上面図である。 本発明の一実施形態に係る、導波路のモード解析の結果を示す図である。
符号の説明
81、101 第一コア
82、88、102、107 スラブ
83、103 第二コア
84、104 直線部分
85、105 テーパー部分
86 アンダークラッド
87 突起部分
89 対向導波路
106 凸部

Claims (3)

  1. アンダークラッド上に形成された、該アンダークラッドよりも屈折率が高い第一の導波路であって、第二の導波路と、該第二の導波路の一方端に設けられたスラブ領域と、
    前記スラブ領域の長さをLとし、前記スラブ領域の幅をWとし前記第一の導波路のクラッドに対する比屈折率差をΔ とすると、W>Ltan(2Δ 1/2 を満たすように前記スラブ領域の幅Wが設定されており、
    前記スラブ領域の、前記第二の導波路が設けられた側に対して対向する側に設けられた第三の導波路とを有する第一の導波路と、
    前記第一の導波路上に形成された、第四の導波路とテーパー状の導波路とを有し、前記第一の導波路よりも屈折率が高い第五の導波路とを備え、
    前記第二の導波路上には、前記第四の導波路または前記テーパー状の導波路のいずれか一方が形成されており、前記第三の導波路上には、前記第四の導波路または前記テーパー状の導波路の他方が形成されており、かつ少なくとも前記スラブ領域上には、前記第四の導波路が形成されていることを特徴とする光スポットサイズ変換器。
  2. アンダークラッド上に形成された、該アンダークラッドよりも屈折率が高い第一の導波路であって、第二の導波路と、該第二の導波路の一方端に設けられたスラブ領域と、
    前記スラブ領域の長さをLとし、前記スラブ領域の幅をWとし前記第一の導波路のクラッドに対する比屈折率差をΔ とすると、W>Ltan(2Δ 1/2 を満たすように前記スラブ領域の幅Wが設定されており、
    前記スラブ領域の、前記第二の導波路が設けられた側に対して対向する側に設けられた第三の導波路とを有する第一の導波路と、
    前記第一の導波路内に埋め込まれて形成された、第四の導波路とテーパー状の導波路とを有し、前記第一の導波路よりも屈折率が高い第二の導波路とを備え、
    前記第二の導波路内には、前記第四の導波路または前記テーパー状の導波路のいずれか一方が埋め込まれて形成されており、前記第三の導波路内には、前記第四の導波路または前記テーパー状の導波路の他方が埋め込まれて形成されており、かつ少なくとも前記スラブ領域内には、前記第四の導波路が埋め込まれて形成されていることを特徴とするスポットサイズ変換器。
  3. 前記第二の導波路上に前記第四の導波路が形成される場合は、前記第二の導波路の幅と前記第四の導波路の幅とはほぼ等しい幅であることを特徴とする請求項1または2に記載のスポットサイズ変換器。
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