JP4376508B2 - Dielectric porcelain composition and electronic component - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサの誘電体層などとして用いられる誘電体磁器組成物と、その誘電体磁器組成物を誘電体層として用いる電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の一例である積層セラミックコンデンサは、所定の誘電体磁器組成物からなるグリーンシート上に導電ペーストを印刷し、該導電ペーストを印刷した複数枚のグリーンシートを積層し、グリーンシートと内部電極とを一体的に焼成し、形成されている。
【0003】
近年、内部電極材料として、高価な貴金属(たとえばパラジウムや白金など)ではなく、安価な卑金属(たとえばニッケルや銅など)を用いることができる誘電体磁器組成物が、種々提案されている(たとえば特許文献1〜4参照)。
【0004】
たとえば、特許文献1では、組成式(Sr1−x Cax )m (Ti1−y Zry )O3 で示される誘電体酸化物(ただし、0.30≦x≦0.50、0.03≦y≦0.20、0.95≦m≦1.08)を主成分とし、この主成分100重量部に対して、副成分として、MnをMnO2 換算で0.01〜2.00重量部、SiO2 を0.10〜4.00重量部含有する誘電体磁器組成物が提案されている。 特許文献2では、前記主成分に対し、前記MnおよびSiO2 に加えて、さらにZnOを0.01〜1.00重量部含有する誘電体磁器組成物が提案されている。
特許文献3では、組成式(Sr1−x Cax )m (Ti1−y Zry )O3 で示される誘電体酸化物(ただし、0.30≦x≦0.50、0.00≦y≦0.20、0.95≦m≦1.08)を主成分とし、その粉末粒径を0.1〜1.0μmの範囲にしてある誘電体磁器組成物が提案されている。
特許文献4では、組成式(MeO)k TiO2 で示される誘電体酸化物(ただし、MeはSr、CaおよびSr+Caから選択された金属、kは1.00〜1.04)を主成分とし、この主成分100重量部に対して、ガラス成分として、Li2 O、M(ただし、MはBaO、CaOおよびSrOから選択される少なくとも1種の金属酸化物)およびSiO2 を所定のモル比で用いたものを0.2〜10.0重量部含有する誘電体磁器組成物が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの特許文献1〜4に記載の誘電体磁器組成物では、何れも焼成後の絶縁抵抗の加速寿命が短く、該誘電体磁器組成物を用いてニッケルなどの卑金属製内部電極を有する積層セラミックコンデンサを製造した場合には、得られる積層セラミックコンデンサの信頼性が低くなるといった問題があった。また、誘電体磁器組成物の微細構造と信頼性との関係についても何ら言及されていない。
【特許文献1】
特開昭63−224108号公報
【特許文献2】
特開昭63−224109号公報
【特許文献3】
特開昭4−206109号公報
【特許文献4】
特公昭62−24388号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、焼成時の耐還元性に優れ、絶縁抵抗の加速寿命が高められた誘電体磁器組成物を提供することである。また、本発明は、このような誘電体磁器組成物を用いて製造され、信頼性が高められた積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る誘電体磁器組成物は、
誘電体酸化物で構成される誘電体粒子と、Siを含む誘電体磁器組成物であって、
前記誘電体磁器組成物における前記SiのCV値x1をX軸に表し、前記誘電体粒子の平均粒径と前記誘電体磁器組成物の厚みとの比(誘電体粒子の平均粒径/誘電体磁器組成物の厚み)y1をY軸に表したときに、
前記x1およびy1の関係が、前記X軸およびY軸を持つX−Y座標における4つの点A(x1=0,y1=0.1)、B(x1=0.9,y1=0.1)、C(x1=0.9,y1=1.2)、およびD(x1=0,y1=1.2)で囲まれる範囲内(ただし、y1=0.1の線上を除く)にあることを特徴とする(図2の単独斜線部分を参照)。
【0008】
本発明に係る電子部品は、
誘電体酸化物で構成される誘電体粒子と、Siを含む誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品であって、
前記誘電体層における前記SiのCV値x1をX軸に表し、前記誘電体粒子の平均粒径と1層あたりの前記誘電体層の厚みとの比(誘電体粒子の平均粒径/1層あたりの誘電体層の厚み)y1をY軸に表したときに、
前記x1およびy1の関係が、前記X軸およびY軸を持つX−Y座標における4つの点A(x1=0,y1=0.1)、B(x1=0.9,y1=0.1)、C(x1=0.9,y1=1.2)、およびD(x1=0,y1=1.2)で囲まれる範囲内(ただし、y1=0.1の線上を除く)にあることを特徴とする(図2の単独斜線部分を参照)。
【0009】
好ましくは、前記x1およびy1の関係が、前記X−Y座標における4つの点A’(x1=0,y1=0.2)、B’(x1=0.9,y1=0.5)、C(x1=0.9,y1=1.2)、およびD(x1=0,y1=1.2)で囲まれる範囲内にある(図2の二重斜線部分を参照)。
【0010】
好ましくは、前記x1およびy1の関係が、前記X−Y座標における3つの点A’(x1=0,y1=0.2)、C(x1=0.9,y1=1.2)、およびD(x1=0,y1=1.2)で囲まれる範囲内にある(図2の三重斜線部分を参照)。
【0011】
好ましくは、前記誘電体酸化物が、組成式{(Sr1−x Cax )O}m ・(Ti1−y Zry )O2 で示され、該式中の組成モル比を示す記号m、xおよびyが、0.94<m<1.08、0≦x≦1.00、および0≦y≦0.20の関係にある。
【0012】
【発明の作用および効果】
誘電体酸化物で構成される誘電体粒子と、Siを含む従来の誘電体磁器組成物では、絶縁抵抗の加速寿命が低く、その結果、この誘電体磁器組成物で構成された誘電体層を有する積層セラミックコンデンサなどの電子部品では、信頼性を高めることはできなかった。
【0013】
本発明者らは、誘電体酸化物で構成される誘電体粒子と、Siを含む誘電体磁器組成物に関し、SiのCV値と、誘電体磁器組成物の厚みに対する、焼成後の誘電体粒子の平均粒径との関係に着目し、これらの関係が所定の範囲内にあるときに、絶縁抵抗の加速寿命を高めることができることを見出した。そして、このような絶縁抵抗の加速寿命が高められた誘電体磁器組成物を用いて積層セラミックコンデンサなどの電子部品を製造すると、得られる電子部品の信頼性を高めることができることも見出した。
【0014】
すなわち、本発明に係る誘電体磁器組成物では、SiのCV値x1と、誘電体粒子の平均粒径と誘電体磁器組成物の厚みとの比(誘電体粒子の平均粒径/誘電体磁器組成物の厚み)y1との関係が、X−Y座標における4つの点A、B、CおよびDで囲まれる範囲内にあることにより、焼成時の耐還元性に優れるとともに、たとえば200℃,DC8V/μmで測定したときの絶縁抵抗の加速寿命が高められる。
【0015】
本発明に係る電子部品では、本発明の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有するので、絶縁抵抗の加速寿命が高められている結果、その信頼性が向上する。
【0016】
電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2はSiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を示すグラフ、
図3は実施例1〜8および比較例1〜2における、SiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を示すグラフ、
図4は実施例9〜14における、SiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を示すグラフ、
図5は実施例15〜16および比較例3における、SiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を示すグラフである。
【0018】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜1.9mm)程度である。
【0019】
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
【0020】
誘電体層2は、誘電体磁器組成物で構成してある。本実施形態の誘電体磁器組成物は、たとえば組成式{(Sr1−x Cax )O}m ・(Ti1−y Zry )O2 で示される誘電体酸化物で構成される誘電体粒子を含む主成分を有する。この際、酸素(O)量は、上記式の化学量論組成から若干偏倚してもよい。
【0021】
上記式中の組成モル比を示す記号mは、0.94<m<1.08、好ましくは0.97≦m≦1.03である。mを0.94超とすることにより、焼成時の酸素分圧を低くすれば長寿命化を図ることができ、mを1.08未満とすることにより、焼成温度を高くしなくても緻密な焼結体を得ることができる。
【0022】
上記式中の組成モル比を示す記号xは、0≦x≦1.00、好ましくは0.30≦x≦0.50である。xはCa原子数を表し、x、すなわちCa/Sr比を変えることで結晶の相転移点を任意にシフトさせることが可能となる。そのため、容量温度係数や比誘電率を任意に制御することができる。xを上記範囲とすると、結晶の相転移点が室温付近に存在し、静電容量の温度特性を向上させることができる。ただし、本発明においては、SrとCaとの比率は任意であり、一方だけを含有するものであってもよい。
【0023】
上記式中の組成モル比を示す記号yは、0≦y≦0.20、好ましくは0≦y≦0.10である。yを0.20以下とすることにより比誘電率の低下が防止される。yはZr原子数を表すが、TiO2 に比べ還元されにくいZrO2 を置換していくことにより耐還元性がさらに増していく傾向がある。ただし、本発明においては、必ずしもZrを含まなくてもよく、Tiだけを含有するものであってもよい。
【0024】
ただし、本発明では、誘電体層2の組成は、上記に限定されるものではない。
【0025】
本実施形態の誘電体磁器組成物は、Siを含む副成分も有する。このSiは、主として焼結助剤として作用する。
【0026】
本発明では、前記誘電体層2におけるSiのCV値x1と、前記誘電体粒子の平均粒径と1層あたりの前記誘電体層2の厚みとの比(誘電体粒子の平均粒径/1層あたりの誘電体層の厚み)y1とが、所定の関係を有する。
【0027】
具体的には、前記CV値x1をX軸に表し、前記比y1をY軸に表したときに、前記x1およびy1の関係が、前記X軸およびY軸を持つX−Y座標における4つの点A(x1=0,y1=0.1)、B(x1=0.9,y1=0.1)、C(x1=0.9,y1=1.2)、およびD(x1=0,y1=1.2)で囲まれる範囲内(ただし、y1=0.1の線上を除く)にあるものである(図2の単独斜線部分)。x1とy1がこのような関係を有することにより、絶縁抵抗の加速寿命が改善され、信頼性が高められた積層セラミックコンデンサ2が得られる。x1とy1のこのような関係は、たとえば、原料粉の種類、原料の粉砕条件、焼成条件(焼成雰囲気や焼成温度など)などを種々変更することにより、得ることが可能である。
【0028】
ここでいうCV(coefficient of variation)値とは、誘電体層の断面のEPMA面分析を行ったときの、X線強度の変動係数のことである。測定データの分布の拡がり(ばらつき)を数量的に表したものであり、CV値(単位なし)=(標準偏差/平均値)、で求められる値である。
【0029】
SiのCV値とは、誘電体層2の内部で互いに隣接する誘電体粒子同士の結晶粒間に存在する粒界部分や三重点(粒界相)に、SiまたはSiの酸化物がどの程度偏析しているか否か、すなわち誘電体層2におけるSiの偏析状態を示す目安であり、これが少ないほど、粒界部分でのSiの偏析が少ないことを意味する。CV値が少ないほど、Siの偏析が抑えられ、Siが粒界相や粒内に均一に分布していると考えられる。
【0030】
本発明では、前記x1およびy1の関係が、前記X−Y座標における4つの点A’(x1=0,y1=0.2)、B’(x1=0.9,y1=0.5)、C(x1=0.9,y1=1.2)、およびD(x1=0,y1=1.2)で囲まれる範囲内にあることが好ましく(図2の二重斜線部分)、より好ましくは、3つの点A’(x1=0,y1=0.2)、C(x1=0.9,y1=1.2)、およびD(x1=0,y1=1.2)で囲まれる範囲内にある(図2の三重斜線部分)。
【0031】
本実施形態の誘電体磁器組成物には、Siの他に、たとえばY、Gd、Tb、Dy、V、Mo、Zn、Cd、Sn、W、Mn、MgおよびPの酸化物から選ばれる少なくとも1種の副成分が、さらに添加してあってもよい。このような副成分を添加することにより、主成分の誘電特性を劣化させることなく低温焼成が可能となり、誘電体層2を薄層化した場合の信頼性不良を低減することができ、長寿命化を図ることができる。
【0032】
一層あたりの誘電体層2の厚み(層間厚み)は、たとえば0.5〜40μm、好ましくは1〜10μm程度である。
【0033】
誘電体層2は、グレイン(誘電体粒子)と粒界相とで構成され、誘電体層2のグレインの平均粒子径は、0.05〜48μm程度が好ましく、より好ましくは0.1〜12μm程度である。最適な平均粒子径は、誘電体層2の厚み(層間厚み)により、適宜変更される。粒界相は、通常、誘電体材料あるいは内部電極材料を構成する材質の酸化物や、別途添加された材質の酸化物、さらには工程中に不純物として混入する材質の酸化物を成分とし、通常、ガラスないしガラス質で構成される。
【0034】
内部電極層3に含有される導電材は、特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P,Fe,Mg等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.5〜5μm、特に1〜2.5μm程度であることが好ましい。
【0035】
外部電極4に含有される導電材は、特に限定されないが、通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を用いる。なお、AgやAg−Pd合金等も、もちろん使用可能である。なお、本実施形態では、安価なNi,Cuや、これらの合金を用いる。外部電極の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
【0036】
上述した誘電体層2を有する積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
【0037】
まず、誘電体層用ペースト、内部電極用ペースト、外部電極用ペーストをそれぞれ製造する。
【0038】
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。誘電体原料には、前述した本実施形態に係る誘電体磁器組成物の組成に応じ、主成分原料と、副成分原料とが用いられる。
【0039】
主成分原料としては、Sr,Ca,Ti,Zrの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物が用いられる。本実施形態では、主成分原料として、たとえば組成式{(Sr1−x Cax )O}m ・(Ti1−y Zry )O2 で示される誘電体酸化物原料を用いることができる。このような組成の主成分原料は、いわゆる固相法の他、いわゆる液相法により得られるものであってもよい。固相法は、たとえばSrCO3 、CaCO3 、TiO2 、ZrO2 を出発原料として用いる場合、これらを所定量秤量して混合、仮焼き、粉砕することにより、原料を得る方法である。液相合成法としては、しゅう酸塩法、水熱合成法、ゾルゲル法などが挙げられる。
【0040】
副成分原料としては、少なくとも、Siの酸化物および/または焼成後にSiの酸化物になる化合物が用いられる。このSiの酸化物および/または化合物の添加量は、主成分原料100モルに対して、好ましくは0〜15モル程度、より好ましくは0.2〜6モル程度である。その他、副成分原料として、Y、Gd、Tb、Dy、V、Mo、Zn、Cd、Sn、W、Mn、MgおよびPの酸化物、および/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物から選ばれる1種類以上の単一酸化物または複合酸化物を併用してもよい。
【0041】
なお、焼成により酸化物になる化合物としては、例えば炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金属化合物等が例示される。もちろん、酸化物と、焼成により酸化物になる化合物とを併用してもよい。誘電体原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。これらの原料粉末は、通常、平均粒子径0.0005〜5μm程度のものが用いられる。
【0042】
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものであり、有機ビヒクルに用いられるバインダは、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、このとき用いられる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法等利用する方法に応じてテルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の有機溶剤から適宜選択すればよい。
【0043】
また、水溶系塗料とは、水に水溶性バインダ、分散剤等を溶解させたものであり、水溶系バインダは、特に限定されず、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョン等から適宜選択すればよい。
【0044】
内部電極用ペーストは、上述した各種導電性金属や合金からなる導電材料あるいは焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上述した有機ビヒクルとを混練して調製される。また、外部電極用ペーストも、この内部電極用ペーストと同様にして調製される。
【0045】
上述した各ペーストの有機ビヒクルの含有量は、特に限定されず、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されても良い。
【0046】
印刷法を用いる場合は、誘電体ペーストおよび内部電極用ペーストをポリエチレンテレフタレート等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断したのち基板から剥離することでグリーンチップとする。これに対して、シート法を用いる場合は、誘電体ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極ペーストを印刷したのちこれらを積層してグリーンチップとする。
【0047】
次に、このグリーンチップを脱バインダ処理および焼成する。
【0048】
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、特に内部電極層の導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合には、空気雰囲気において、昇温速度を5〜300℃/時間、より好ましくは10〜100℃/時間、保持温度を180〜400℃、より好ましくは200〜300℃、温度保持時間を0.5〜24時間、より好ましくは5〜20時間とする。
【0049】
グリーンチップの焼成雰囲気は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定すればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合には、焼成雰囲気の酸素分圧を好ましくは10−10 〜10−3Paとし、より好ましくは10−10 〜6×10−5Pa、さらに好ましくは10−6〜6×10−5Paとする。焼成時の酸素分圧が低すぎると内部電極の導電材が異常焼結を起こして途切れてしまい、酸素分圧が高すぎると内部電極が酸化されるおそれがある。酸素分圧を10−10 〜6×10−5Paに調整することにより、優れた容量温度特性を有し、しかも絶縁抵抗の加速寿命が向上され、得られる積層セラミックコンデンサ1の信頼性を高めることができる。特に酸素分圧を10−6〜6×10−5Paに調整することにより、優れた容量温度特性を有し、積層セラミックコンデンサ1に求められる信頼性を維持しながら、誘電体層2をたとえば層間4μm程度に薄層化した場合でも、得られるコンデンサ1の絶縁抵抗が劣化し難く、初期絶縁抵抗の不良率の発生を軽減できる。
【0050】
焼成の保持温度は、1000〜1400℃、より好ましくは1200〜1380℃である。保持温度が低すぎると緻密化が不充分となり、保持温度が高すぎると内部電極の異常焼結による電極の途切れまたは内部電極材質の拡散により容量温度特性が悪化するからである。
【0051】
これ以外の焼成条件としては、昇温速度を50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間、温度保持時間を0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間、冷却速度を50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間とし、焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが望ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを加湿して用いることが望ましい。
【0052】
還元性雰囲気で焼成した場合は、コンデンサチップの焼結体にアニール(熱処理)を施すことが望ましい。アニールは誘電体層を再酸化するための処理であり、これにより絶縁抵抗を増加させることができる。アニール雰囲気の酸素分圧は、好ましくは10−4Pa以上、より好ましくは10−1〜10Paである。酸素分圧が低すぎると誘電体層2の再酸化が困難となり、酸素分圧が高すぎると内部電極層3が酸化されるおそれがある。
【0053】
アニールの際の保持温度は、1100℃以下、より好ましくは500〜1100℃である。保持温度が低すぎると誘電体層の再酸化が不充分となって絶縁抵抗が悪化し、その加速寿命も短くなる傾向がある。また、保持温度が高すぎると内部電極が酸化されて容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、容量温度特性、絶縁抵抗およびその加速寿命が悪化する傾向がある。なお、アニールは昇温行程および降温行程のみから構成することもできる。この場合には、温度保持時間はゼロであり、保持温度は最高温度と同義である。
【0054】
これ以外のアニール条件としては、温度保持時間を0〜20時間、より好ましくは6〜10時間、冷却速度を50〜500℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間とし、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、窒素ガスを加湿して用いることが望ましい。
【0055】
なお、上述した焼成と同様に、前記脱バインダ処理およびアニール工程において、窒素ガスや混合ガスを加湿するためには、たとえばウェッター等を用いることができ、この場合の水温は5〜75℃とすることが望ましい。
【0056】
また、これら脱バインダ処理、焼成およびアニールは連続して行っても互いに独立して行っても良い。これらを連続して行う場合には、脱バインダ処理ののち冷却することなく雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行い、続いて冷却してアニールの保持温度に達したら雰囲気を変更してアニール処理を行うことがより好ましい。一方、これらを独立して行う場合には、焼成に関しては脱バインダ処理時の保持温度まで窒素ガスあるいは加湿した窒素ガス雰囲気下で昇温したのち、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、アニールの保持温度まで冷却したのちは、再び窒素ガスまたは加湿した窒素ガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、アニールに関しては窒素ガス雰囲気下で保持温度まで昇温したのち雰囲気を変更しても良く、アニールの全工程を加湿した窒素ガス雰囲気としても良い。
【0057】
以上のようにして得られたコンデンサ焼成体に、たとえば、バレル研磨やサンドブラストにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、たとえば、加湿した窒素ガスと水素ガスとの混合ガス中で600〜800℃にて10分〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じて外部電極4の表面にメッキ等により被覆層(パッド層)を形成する。
【0058】
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、優れた容量温度特性を有するとともに、絶縁抵抗の加速寿命が高められている結果、その信頼性が向上している。
【0059】
また、このようにして製造された本実施形態のセラミックコンデンサ1は、はんだ付け等によってプリント基板上に実装され、各種電子機器に用いられる。
【0060】
以上本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0061】
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサ1を例示したが、本発明に係る電子部品としてはこれに限定されず、上記誘電体層2を有するものであれば良い。
【0062】
【実施例】
次に、本発明の実施の形態をより具体化した実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0063】
実施例1
主成分原料として、固相法により生成された、組成式{(Sr1−x Cax )O}m ・(Ti1−y Zry )O2 で示され、m=0.991、x=0.36、y=0の関係にある誘電体酸化物を準備した。
【0064】
この主成分原料100モルに対して、第1副成分原料としてのV2 O5 をV換算で0.2モル、第2副成分原料としてのMnCO3 をMn換算で0.37モル、第3副成分原料としての(SiO2 +CaO)を(0.4+0.4)モル、第4副成分原料としてのY2 O3 をY換算で0.07モルを秤量し、これらをボールミルで湿式混合した後、乾燥することによって誘電体原料を得た。
【0065】
得られた誘電体原料100重量部と、アクリル樹脂4.8重量部と、塩化メチレン40重量部と、酢酸エチル20重量部と、ミネラルスピリット6重量部と、アセトン4重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
【0066】
平均粒径0.2〜0.8μmのNi粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)40重量部と、ブチルカルビトール10重量部とを3本ロールにより混練してペースト化し、内部電極層用ペーストを得た。
【0067】
平均粒径0.5μmのCu粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)35重量部およびブチルカルビトール7重量部とを混練してペースト化し、外部電極用ペーストを得た。
【0068】
得られた誘電体層用ペーストを用いてPETフィルム上に、厚さ6μmのグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷したのち、PETフィルムからグリーンシートを剥離した。次いで、これらのグリーンシートと保護用グリーンシート(内部電極層用ペーストを印刷しないもの)とを積層、圧着してグリーンチップを得た。内部電極を有するシートの積層数は4層であった。
【0069】
次いで、グリーンチップを所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニール(熱処理)を行って、積層セラミック焼成体を得た。得られた積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極用ペーストを端面に転写し、焼き付け処理して外部電極を形成し、図1に示す積層セラミックコンデンサのサンプルを得た。得られたコンデンササンプルのサイズは、縦3.2mm×横1.6mm×厚み0.6mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の厚さ(層間厚み)は4μm、内部電極層の厚さは2μmであった。
誘電体層を構成する、焼成後の誘電体粒子の平均粒径は1.12μmであった。誘電体粒子の平均粒径は、SEM写真から、コード法により誘電体粒子の形状を球と仮定して算出した。SEMの視野は23μm×30μmであり、1サンプルにつき5〜6枚の写真を用いて、それぞれの粒径を算出し、これの平均値を平均粒径とした。
【0070】
得られたコンデンサのサンプルを用い、誘電体層におけるSiのCV値を算出した。SiのCV値は、加速電圧:20kV、照射電流:0.1μA、計測時間:30msec/点、電子線径:spot、範囲:26μm×23μmの条件で、EPMA(X線マイクロアナライザ、分光結晶:TAP、JOEL製、JXA−8800RL)を用いてデータを収集し、CV値(単位なし)=(標準偏差/平均値)、の式により算出した。その結果、SiのCV値は0.25であった。
【0071】
このようなコンデンサのサンプルに対し、200℃で8V/μmの直流電圧の印加状態に保持することにより、高温負荷寿命を測定した。この高温負荷寿命は、誘電体層を薄層化する際に特に重要となるものである。本実施例では印加開始から抵抗が一桁落ちるまでの時間を寿命と定義し、これを10個のコンデンササンプル(誘電体層の厚み4μm)に対して行い、その平均寿命時間を算出し、1時間以上を良好とした。結果を表1に示す。
【0072】
なお、上記高温負荷寿命の他に、得られたコンデンサのサンプルに対し、基準温度25℃でデジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で、静電容量を測定した。そして、得られた静電容量と、コンデンササンプルの電極寸法および電極間距離とから比誘電率(単位なし)を算出した。比誘電率εrは、小型で高誘電率のコンデンサを作成するために重要な特性である。本実施例では、比誘電率εrの値は、コンデンサの試料数n=10個を用いて測定した値の平均値とし、180以上を良好とした。その結果、比誘電率は180以上であった。
【0073】
その後、絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、25℃においてDC50Vを、コンデンササンプルに60秒間印加した後の絶縁抵抗IRを測定し、この測定値と、コンデンササンプルの電極面積および厚みとから、比抵抗ρ(単位はΩcm)を計算で求めた。本実施例では、比抵抗ρは、良品10個の比抵抗の平均値とし、1×1012Ωcm以上を良好とした。その結果、比抵抗は1×1012Ωcm以上を示した。
【0074】
また、得られたコンデンサのサンプルに対し、LCRメータを用いて、1kHz、1Vの電圧での静電容量を測定し、基準温度を20℃としたとき、20〜85℃の温度範囲内で、温度に対する静電容量変化率が−2000〜0ppm/℃を満足するかどうかを調べた。その結果、満足することが確認された。
【0075】
実施例2〜8、比較例1〜2
主成分原料である誘電体酸化物の製造条件(仮焼条件、粉砕条件など)を様々に変えることにより、表1に示すような平均粒径およびCV値を持つコンデンササンプルを得た。原料の製造条件の他は、実施例1と同様にした。なお、誘電体層を構成する誘電体粒子の平均粒径は実施例1と同様に算出した。得られたコンデンササンプルに対し、実施例1と同様にして高温負荷寿命を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
なお、実施例1〜8および比較例1〜2における、SiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を図3に示した。
【0077】
【表1】
【0078】
表1および図3に示すように、実施例1〜8でのコンデンササンプルのように、SiのCV値x1と、前記誘電体粒子の平均粒径と1層あたりの前記誘電体層2の厚みとの比(誘電体粒子の平均粒径/1層あたりの誘電体層の厚み)y1との関係が本発明の範囲内であるときに、高温負荷寿命が1時間以上となることが確認できた。
【0079】
実施例9〜14
主成分原料である誘電体酸化物の製造条件(仮焼条件、粉砕条件など)を様々に変えることにより、表2に示すような平均粒径およびCV値を持つコンデンササンプルを得た。原料の製造条件、および一層あたりの誘電体層の厚み(層間厚み)を7μmとした以外は実施例1と同様にした。なお、誘電体層を構成する誘電体粒子の平均粒径は実施例1と同様に算出した。得られたコンデンササンプルに対し、実施例1と同様にして高温負荷寿命を測定した。結果を表2に示す。
【0080】
なお、実施例9〜14における、SiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を図4に示した。
【0081】
【表2】
【0082】
表2および図4に示すように、層間厚みを変えても、実施例9〜14でのコンデンササンプルのように、SiのCV値x1と、前記誘電体粒子の平均粒径と1層あたりの前記誘電体層2の厚みとの比(誘電体粒子の平均粒径/1層あたりの誘電体層の厚み)y1との関係が本発明の範囲内であるときに、高温負荷寿命が1時間以上となることが確認できた。
【0083】
実施例15〜16、比較例3
主成分原料である誘電体酸化物の製造条件(仮焼条件、粉砕条件など)を様々に変えることにより、表3に示すような平均粒径およびCV値を持つコンデンササンプルを得た。原料の製造条件、およびm=1.005とした以外は実施例1と同様にした。なお、誘電体層を構成する誘電体粒子の平均粒径は実施例1と同様に算出した。得られたコンデンササンプルに対し、実施例1と同様にして高温負荷寿命を測定した。結果を表3に示す。
【0084】
なお、実施例15〜16および比較例3における、SiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を図5に示した。
【0085】
【表3】
【0086】
表3および図5に示すように、組成、即ちmの値を変えても、実施例15〜16でのコンデンササンプルのように、SiのCV値x1と、前記誘電体粒子の平均粒径と1層あたりの前記誘電体層2の厚みとの比(誘電体粒子の平均粒径/1層あたりの誘電体層の厚み)y1との関係が本発明の範囲内であるときに、高温負荷寿命が1時間以上となることが確認できた。
【0087】
なお、実施例2〜16および比較例1〜3で得られたコンデンササンプルに対し、実施例1と同様に、比誘電率と比抵抗を算出した結果、いずれのサンプルについても、比誘電率は180以上、比抵抗は1×1012Ωcm以上を示した。また、20〜85℃の温度範囲内で、温度に対する静電容量変化率(基準温度20℃)が−2000〜0ppm/℃を満足するかどうかを調べた結果、いずれのサンプルも満足することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
【図2】 図2はSiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を示すグラフである。
【図3】 図3は実施例1〜8および比較例1〜2における、SiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を示すグラフである。
【図4】 図4は実施例9〜14における、SiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を示すグラフである。
【図5】 図5は実施例15〜16および比較例3における、SiのCV値と、誘電体層の厚みに対する誘電体粒子の平均粒径の比との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a dielectric ceramic composition used as, for example, a dielectric layer of a multilayer ceramic capacitor, and an electronic component using the dielectric ceramic composition as a dielectric layer.
[0002]
[Prior art]
A multilayer ceramic capacitor which is an example of an electronic component is obtained by printing a conductive paste on a green sheet made of a predetermined dielectric ceramic composition, and laminating a plurality of green sheets on which the conductive paste is printed. And are integrally baked.
[0003]
In recent years, various dielectric ceramic compositions have been proposed in which inexpensive base metals (such as nickel and copper) can be used as internal electrode materials instead of expensive noble metals (such as palladium and platinum) (for example, patents). References 1-4).
[0004]
For example, in
In Patent Document 3, the composition formula (Sr1-xCax)m(Ti1-yZry) O3The main component is a dielectric oxide (where 0.30 ≦ x ≦ 0.50, 0.00 ≦ y ≦ 0.20, 0.95 ≦ m ≦ 1.08), and the powder particle size is Dielectric ceramic compositions having a range of 0.1 to 1.0 μm have been proposed.
In Patent Document 4, the composition formula (MeO)kTiO2(Wherein Me is a metal selected from Sr, Ca and Sr + Ca, k is 1.00 to 1.04), and the glass component is used with respect to 100 parts by weight of the main component. As Li2O, M (where M is at least one metal oxide selected from BaO, CaO and SrO) and SiO2A dielectric porcelain composition containing 0.2 to 10.0 parts by weight of a material using a predetermined molar ratio is proposed.
[0005]
However, all of the dielectric ceramic compositions described in
[Patent Document 1]
JP 63-224108 A
[Patent Document 2]
JP 63-224109 A
[Patent Document 3]
JP-A-4-206109
[Patent Document 4]
Japanese Patent Publication No.62-24388
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a dielectric ceramic composition that has excellent reduction resistance during firing and has an accelerated accelerated life of insulation resistance. It is another object of the present invention to provide an electronic component such as a multilayer ceramic capacitor manufactured using such a dielectric ceramic composition and having improved reliability.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the dielectric ceramic composition according to the present invention comprises:
A dielectric ceramic composition comprising dielectric particles composed of a dielectric oxide and Si,
The Si CV value x1 in the dielectric ceramic composition is represented on the X axis, and the ratio of the average particle diameter of the dielectric particles to the thickness of the dielectric ceramic composition (average particle diameter of dielectric particles / dielectric) Thickness of porcelain composition) When y1 is represented on the Y axis,
The relationship between x1 and y1 is that four points A (x1 = 0, y1 = 0.1) and B (x1 = 0.9, y1 = 0.1) in the XY coordinates having the X axis and the Y axis. ), C (x1 = 0.9, y1 = 1.2), and D (x1 = 0, y1 = 1.2) (except on the line where y1 = 0.1) (Refer to the single hatched portion in FIG. 2).
[0008]
The electronic component according to the present invention is
An electronic component having dielectric particles composed of a dielectric oxide and a dielectric layer composed of a dielectric ceramic composition containing Si,
The CV value x1 of the Si in the dielectric layer is represented on the X axis, and the ratio of the average particle diameter of the dielectric particles to the thickness of the dielectric layer per layer (average particle diameter of dielectric particles / 1 layer) Per dielectric layer thickness) y1 on the Y axis,
The relationship between x1 and y1 is that four points A (x1 = 0, y1 = 0.1) and B (x1 = 0.9, y1 = 0.1) in the XY coordinates having the X axis and the Y axis. ), C (x1 = 0.9, y1 = 1.2), and D (x1 = 0, y1 = 1.2) (except on the line where y1 = 0.1) (Refer to the single hatched portion in FIG. 2).
[0009]
Preferably, the relationship between x1 and y1 is four points A ′ (x1 = 0, y1 = 0.2), B ′ (x1 = 0.9, y1 = 0.5) in the XY coordinates, It is within a range surrounded by C (x1 = 0.9, y1 = 1.2) and D (x1 = 0, y1 = 1.2) (see the double hatched portion in FIG. 2).
[0010]
Preferably, the relationship between x1 and y1 is three points A ′ (x1 = 0, y1 = 0.2), C (x1 = 0.9, y1 = 1.2) in the XY coordinates, and It is within the range surrounded by D (x1 = 0, y1 = 1.2) (see the triple hatched portion in FIG. 2).
[0011]
Preferably, the dielectric oxide has a composition formula {(Sr1-xCax) O}m・ (Ti1-yZry) O2The symbols m, x, and y indicating the composition molar ratio in the formula are in a relationship of 0.94 <m <1.08, 0 ≦ x ≦ 1.00, and 0 ≦ y ≦ 0.20. is there.
[0012]
Operation and effect of the invention
In the conventional dielectric ceramic composition containing dielectric particles composed of dielectric oxide and Si, the accelerated life of insulation resistance is low, and as a result, the dielectric layer composed of this dielectric ceramic composition is In electronic parts such as a multilayer ceramic capacitor, the reliability could not be improved.
[0013]
The present inventor relates to a dielectric particle comprising a dielectric oxide and a dielectric ceramic composition containing Si, and the dielectric particles after firing with respect to the CV value of Si and the thickness of the dielectric ceramic composition Focusing on the relationship with the average particle size, it was found that the accelerated life of the insulation resistance can be increased when these relationships are within a predetermined range. It has also been found that when electronic parts such as multilayer ceramic capacitors are manufactured using such a dielectric ceramic composition having an accelerated accelerated life of insulation resistance, the reliability of the obtained electronic parts can be improved.
[0014]
That is, in the dielectric ceramic composition according to the present invention, the ratio between the CV value x1 of Si and the average particle diameter of the dielectric particles and the thickness of the dielectric ceramic composition (average particle diameter of dielectric particles / dielectric ceramic) The thickness of the composition) y1 is within the range surrounded by the four points A, B, C and D in the XY coordinates, so that the reduction resistance at the time of firing is excellent. The accelerated life of insulation resistance when measured at DC 8 V / μm is enhanced.
[0015]
Since the electronic component according to the present invention has the dielectric layer composed of the dielectric ceramic composition of the present invention, the accelerated life of the insulation resistance is enhanced, and as a result, the reliability is improved.
[0016]
Although it does not specifically limit as an electronic component, A multilayer ceramic capacitor, a piezoelectric element, a chip inductor, a chip varistor, a chip thermistor, a chip resistor, and other surface mount (SMD) chip type electronic components are illustrated.
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described based on embodiments shown in the drawings.
FIG. 1 is a cross-sectional view of a multilayer ceramic capacitor according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a graph showing the relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of the dielectric particles to the thickness of the dielectric layer;
FIG. 3 is a graph showing the relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of dielectric particles to the thickness of the dielectric layer in Examples 1 to 8 and Comparative Examples 1 and 2,
FIG. 4 is a graph showing the relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of the dielectric particles to the thickness of the dielectric layer in Examples 9 to 14,
FIG. 5 is a graph showing the relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of dielectric particles to the thickness of the dielectric layer in Examples 15 to 16 and Comparative Example 3.
[0018]
As shown in FIG. 1, a multilayer
[0019]
The internal electrode layers 3 are laminated so that the end faces are alternately exposed on the surfaces of the two opposite ends of the
[0020]
The dielectric layer 2 is composed of a dielectric ceramic composition. The dielectric ceramic composition of the present embodiment has, for example, a composition formula {(Sr1-xCax) O}m・ (Ti1-yZry) O2It has the main component containing the dielectric particle comprised with the dielectric material oxide shown by these. At this time, the amount of oxygen (O) may be slightly deviated from the stoichiometric composition of the above formula.
[0021]
The symbol m indicating the composition molar ratio in the above formula is 0.94 <m <1.08, preferably 0.97 ≦ m ≦ 1.03. If m is more than 0.94, the lifetime can be extended if the oxygen partial pressure at the time of firing is lowered, and if m is less than 1.08, the denseness can be achieved without increasing the firing temperature. Can be obtained.
[0022]
The symbol x indicating the composition molar ratio in the above formula is 0 ≦ x ≦ 1.00, preferably 0.30 ≦ x ≦ 0.50. x represents the number of Ca atoms, and the phase transition point of the crystal can be arbitrarily shifted by changing x, that is, the Ca / Sr ratio. Therefore, the capacity temperature coefficient and the relative dielectric constant can be arbitrarily controlled. When x is in the above range, the phase transition point of the crystal exists near room temperature, and the temperature characteristics of the capacitance can be improved. However, in the present invention, the ratio of Sr and Ca is arbitrary, and only one of them may be contained.
[0023]
The symbol y indicating the composition molar ratio in the above formula is 0 ≦ y ≦ 0.20, preferably 0 ≦ y ≦ 0.10. By setting y to 0.20 or less, a decrease in the dielectric constant is prevented. y represents the number of Zr atoms, but TiO2ZrO is less likely to be reduced than2There is a tendency that reduction resistance further increases by substituting. However, in the present invention, Zr may not necessarily be included, and only Ti may be included.
[0024]
However, in the present invention, the composition of the dielectric layer 2 is not limited to the above.
[0025]
The dielectric ceramic composition of this embodiment also has a subcomponent containing Si. This Si mainly acts as a sintering aid.
[0026]
In the present invention, the CV value x1 of Si in the dielectric layer 2 and the ratio between the average particle diameter of the dielectric particles and the thickness of the dielectric layer 2 per layer (average particle diameter of dielectric particles / 1 The dielectric layer thickness per layer (y1) has a predetermined relationship.
[0027]
Specifically, when the CV value x1 is represented on the X axis and the ratio y1 is represented on the Y axis, the relationship between the x1 and y1 is four in the XY coordinates having the X axis and the Y axis. Points A (x1 = 0, y1 = 0.1), B (x1 = 0.9, y1 = 0.1), C (x1 = 0.9, y1 = 1.2), and D (x1 = 0) , Y1 = 1.2) (except for the y1 = 0.1 line) (single hatched portion in FIG. 2). Since x1 and y1 have such a relationship, the accelerated life of the insulation resistance is improved, and the multilayer ceramic capacitor 2 with improved reliability is obtained. Such a relationship between x1 and y1 can be obtained, for example, by variously changing the type of raw material powder, the pulverization conditions of the raw material, the firing conditions (such as firing atmosphere and firing temperature), and the like.
[0028]
The CV (coefficient of variation) value here is a coefficient of variation in X-ray intensity when an EPMA surface analysis of the cross section of the dielectric layer is performed. This is a numerical representation of the spread (variation) of the distribution of measurement data, and is a value obtained by CV value (no unit) = (standard deviation / average value).
[0029]
The CV value of Si is the degree of Si or Si oxide at the grain boundary part or triple point (grain boundary phase) existing between the crystal grains of the dielectric particles adjacent to each other inside the dielectric layer 2. It is a standard indicating whether or not segregation, that is, the segregation state of Si in the dielectric layer 2, and the smaller the value, the smaller the segregation of Si at the grain boundary portion. It is considered that as the CV value is smaller, the segregation of Si is suppressed and Si is uniformly distributed in the grain boundary phase and the grains.
[0030]
In the present invention, the relationship between x1 and y1 is that four points A ′ (x1 = 0, y1 = 0.2) and B ′ (x1 = 0.9, y1 = 0.5) in the XY coordinates. , C (x1 = 0.9, y1 = 1.2), and D (x1 = 0, y1 = 1.2) (indicated by the double hatched portion in FIG. 2). Preferably, it is surrounded by three points A ′ (x1 = 0, y1 = 0.2), C (x1 = 0.9, y1 = 1.2), and D (x1 = 0, y1 = 1.2) (The hatched portion in FIG. 2).
[0031]
In addition to Si, the dielectric ceramic composition of the present embodiment includes, for example, at least selected from oxides of Y, Gd, Tb, Dy, V, Mo, Zn, Cd, Sn, W, Mn, Mg, and P One subcomponent may be further added. By adding such a subcomponent, low temperature firing is possible without deteriorating the dielectric characteristics of the main component, and reliability failure when the dielectric layer 2 is thinned can be reduced, resulting in a long life. Can be achieved.
[0032]
The thickness (interlayer thickness) of the dielectric layer 2 per layer is, for example, about 0.5 to 40 μm, preferably about 1 to 10 μm.
[0033]
The dielectric layer 2 is composed of grains (dielectric particles) and a grain boundary phase, and the average particle diameter of the grains of the dielectric layer 2 is preferably about 0.05 to 48 μm, more preferably 0.1 to 12 μm. Degree. The optimum average particle diameter is appropriately changed depending on the thickness of the dielectric layer 2 (interlayer thickness). The grain boundary phase is usually composed of oxides of materials constituting the dielectric material or internal electrode material, oxides of materials added separately, and oxides of materials mixed as impurities during the process. It is composed of glass or glass.
[0034]
The conductive material contained in the internal electrode layer 3 is not particularly limited, but a base metal can be used because the constituent material of the dielectric layer 2 has reduction resistance. As the base metal used as the conductive material, Ni or Ni alloy is preferable. The Ni alloy is preferably an alloy of Ni and one or more elements selected from Mn, Cr, Co and Al, and the Ni content in the alloy is preferably 95% by weight or more. In addition, in Ni or Ni alloy, various trace components, such as P, Fe, and Mg, may be contained by about 0.1 wt% or less. The thickness of the internal electrode layer may be appropriately determined according to the use and the like, but is usually preferably 0.5 to 5 μm, particularly preferably about 1 to 2.5 μm.
[0035]
The conductive material contained in the external electrode 4 is not particularly limited, but usually Cu, Cu alloy, Ni, Ni alloy or the like is used. Of course, Ag, an Ag—Pd alloy, or the like can also be used. In the present embodiment, inexpensive Ni, Cu, and alloys thereof are used. The thickness of the external electrode may be appropriately determined according to the use, etc., but is usually preferably about 10 to 50 μm.
[0036]
In the multilayer
[0037]
First, a dielectric layer paste, an internal electrode paste, and an external electrode paste are manufactured.
[0038]
The dielectric layer paste may be an organic paint obtained by kneading a dielectric material and an organic vehicle, or may be a water-based paint. As the dielectric material, a main component material and a subcomponent material are used according to the composition of the dielectric ceramic composition according to the present embodiment described above.
[0039]
As the main component material, an oxide of Sr, Ca, Ti, Zr and / or a compound that becomes an oxide by firing is used. In the present embodiment, as the main component material, for example, the composition formula {(Sr1-xCax) O}m・ (Ti1-yZry) O2The dielectric oxide raw material shown by can be used. The main component material having such a composition may be obtained by a so-called liquid phase method in addition to a so-called solid phase method. The solid phase method is, for example, SrCO.3, CaCO3TiO2, ZrO2Is used as a starting material, a predetermined amount is weighed, mixed, calcined, and pulverized to obtain a raw material. Examples of the liquid phase synthesis method include an oxalate method, a hydrothermal synthesis method, and a sol-gel method.
[0040]
As the auxiliary component material, at least a Si oxide and / or a compound that becomes a Si oxide after firing is used. The amount of the Si oxide and / or compound added is preferably about 0 to 15 mol, more preferably about 0.2 to 6 mol, per 100 mol of the main component raw material. In addition, Y, Gd, Tb, Dy, V, Mo, Zn, Cd, Sn, W, Mn, Mg and P oxides and / or compounds that become these oxides after firing are selected as subcomponent materials. One or more kinds of single oxides or composite oxides may be used in combination.
[0041]
In addition, as a compound which becomes an oxide by baking, carbonate, nitrate, oxalate, an organometallic compound, etc. are illustrated, for example. Of course, you may use together an oxide and the compound which becomes an oxide by baking. What is necessary is just to determine content of each compound in a dielectric raw material so that it may become a composition of the above-mentioned dielectric ceramic composition after baking. As these raw material powders, those having an average particle diameter of about 0.0005 to 5 μm are usually used.
[0042]
The organic vehicle is obtained by dissolving a binder in an organic solvent, and the binder used in the organic vehicle is not particularly limited, and may be appropriately selected from usual various binders such as ethyl cellulose and polyvinyl butyral. In addition, the organic solvent used at this time is not particularly limited, and may be appropriately selected from organic solvents such as terpineol, butyl carbitol, acetone, toluene and the like according to a method such as a printing method or a sheet method.
[0043]
The water-based paint is obtained by dissolving a water-soluble binder, a dispersant, etc. in water. The water-based binder is not particularly limited, and is appropriately selected from polyvinyl alcohol, cellulose, water-soluble acrylic resin, emulsion, and the like. do it.
[0044]
The internal electrode paste is prepared by kneading the above-mentioned organic vehicle with various conductive metals and alloys as described above or various oxides, organometallic compounds, resinates and the like that become the above-mentioned conductive materials after firing. The The external electrode paste is also prepared in the same manner as this internal electrode paste.
[0045]
The content of the organic vehicle in each paste described above is not particularly limited, and may be a normal content, for example, about 1 to 5% by weight for the binder and about 10 to 50% by weight for the solvent. Each paste may contain additives selected from various dispersants, plasticizers, dielectrics, insulators, and the like as necessary.
[0046]
When using the printing method, the dielectric paste and the internal electrode paste are laminated and printed on a substrate such as polyethylene terephthalate, cut into a predetermined shape, and then peeled off from the substrate to obtain a green chip. On the other hand, when the sheet method is used, a green sheet is formed using a dielectric paste, an internal electrode paste is printed thereon, and these are stacked to form a green chip.
[0047]
Next, the green chip is subjected to binder removal processing and firing.
[0048]
The binder removal treatment may be performed under normal conditions. In particular, when a base metal such as Ni or Ni alloy is used as the conductive material of the internal electrode layer, the heating rate is 5 to 300 ° C./hour in an air atmosphere. More preferably, the holding temperature is 10 to 100 ° C./hour, the holding temperature is 180 to 400 ° C., more preferably 200 to 300 ° C., and the temperature holding time is 0.5 to 24 hours, more preferably 5 to 20 hours.
[0049]
The firing atmosphere of the green chip may be appropriately determined according to the type of the conductive material in the internal electrode layer paste, but when a base metal such as Ni or Ni alloy is used as the conductive material, the oxygen partial pressure of the firing atmosphere Preferably 10-10-10-3Pa, more preferably 10-10~ 6 × 10-5Pa, more preferably 10-6~ 6 × 10-5Pa. If the oxygen partial pressure during firing is too low, the conductive material of the internal electrode may be abnormally sintered and interrupted, and if the oxygen partial pressure is too high, the internal electrode may be oxidized. Oxygen partial pressure of 10-10~ 6 × 10-5By adjusting to Pa, it has excellent capacity-temperature characteristics, and further, the accelerated life of the insulation resistance is improved, and the reliability of the obtained multilayer
[0050]
The holding temperature of baking is 1000-1400 degreeC, More preferably, it is 1200-1380 degreeC. This is because if the holding temperature is too low, the densification is insufficient, and if the holding temperature is too high, the capacity-temperature characteristics deteriorate due to electrode discontinuity due to abnormal sintering of the internal electrode or diffusion of the internal electrode material.
[0051]
As other firing conditions, the heating rate is 50 to 500 ° C./hour, more preferably 200 to 300 ° C./hour, the temperature holding time is 0.5 to 8 hours, more preferably 1 to 3 hours, and the cooling rate. Is preferably 50 to 500 ° C./hour, more preferably 200 to 300 ° C./hour, and the firing atmosphere is desirably a reducing atmosphere. As the atmosphere gas, for example, a mixed gas of nitrogen gas and hydrogen gas is humidified. It is desirable to use it.
[0052]
When firing in a reducing atmosphere, it is desirable to anneal (heat treat) the sintered body of the capacitor chip. Annealing is a process for re-oxidizing the dielectric layer, thereby increasing the insulation resistance. The oxygen partial pressure in the annealing atmosphere is preferably 10-4Pa or more, more preferably 10-110 Pa. If the oxygen partial pressure is too low, reoxidation of the dielectric layer 2 becomes difficult, and if the oxygen partial pressure is too high, the internal electrode layer 3 may be oxidized.
[0053]
The holding temperature during annealing is 1100 ° C. or lower, more preferably 500 to 1100 ° C. If the holding temperature is too low, reoxidation of the dielectric layer is insufficient, the insulation resistance is deteriorated, and the accelerated life tends to be shortened. On the other hand, if the holding temperature is too high, the internal electrode is oxidized and the capacity is lowered, and it reacts with the dielectric substrate, so that the capacity-temperature characteristic, the insulation resistance, and its accelerated life tend to deteriorate. Note that the annealing can be composed of only the temperature increasing process and the temperature decreasing process. In this case, the temperature holding time is zero, and the holding temperature is synonymous with the maximum temperature.
[0054]
Other annealing conditions include a temperature holding time of 0 to 20 hours, more preferably 6 to 10 hours, a cooling rate of 50 to 500 ° C./hour, more preferably 100 to 300 ° C./hour, and an annealing atmosphere gas. For example, it is desirable to humidify and use nitrogen gas.
[0055]
In addition, in the said binder removal process and annealing process similarly to the baking mentioned above, in order to humidify nitrogen gas and mixed gas, a wetter etc. can be used, for example, The water temperature in this case shall be 5-75 degreeC. It is desirable.
[0056]
Moreover, these binder removal processing, firing and annealing may be performed continuously or independently of each other. When these are performed continuously, the atmosphere is changed without cooling after the binder removal treatment, and then the firing is performed by raising the temperature to the holding temperature at the time of firing, followed by cooling and the annealing holding temperature. It is more preferable to perform the annealing process by changing the atmosphere when the temperature reaches. On the other hand, when these are performed independently, after firing, the temperature can be raised in a nitrogen gas or humidified nitrogen gas atmosphere up to the holding temperature at the time of the binder removal, and then the temperature can be further increased by changing the atmosphere. Preferably, after cooling to the annealing holding temperature, it is preferable to continue cooling by changing to a nitrogen gas or humidified nitrogen gas atmosphere again. As for annealing, the temperature may be changed after raising the temperature to a holding temperature in a nitrogen gas atmosphere, or a humidified nitrogen gas atmosphere may be used for all the annealing steps.
[0057]
The capacitor fired body obtained as described above is subjected to end face polishing by, for example, barrel polishing or sand blasting, and the external electrode paste is printed or transferred and fired to form the external electrode 4. The firing conditions of the external electrode paste are preferably, for example, about 10 minutes to 1 hour at 600 to 800 ° C. in a mixed gas of humidified nitrogen gas and hydrogen gas. Then, if necessary, a coating layer (pad layer) is formed on the surface of the external electrode 4 by plating or the like.
[0058]
The multilayer
[0059]
Further, the
[0060]
Although the embodiments of the present invention have been described above, the present invention is not limited to these embodiments, and can of course be implemented in various modes without departing from the gist of the present invention.
[0061]
For example, in the above-described embodiment, the multilayer
[0062]
【Example】
Next, the present invention will be described in more detail with reference to examples that further embody the embodiment of the present invention. However, the present invention is not limited to these examples.
[0063]
Example 1
As a main component material, a composition formula {(Sr1-xCax) O}m・ (Ti1-yZry) O2A dielectric oxide having a relationship of m = 0.919, x = 0.36, and y = 0 was prepared.
[0064]
V as the first subcomponent raw material with respect to 100 mol of the main component raw material.2O5Of 0.2 mol in terms of V, MnCO as the second subcomponent raw material30.37 mol in terms of Mn, (SiO2 as the third subcomponent raw material2+ CaO) is (0.4 + 0.4) mol, Y as the fourth subcomponent raw material2O30.07 mol in terms of Y was weighed, these were wet mixed by a ball mill, and then dried to obtain a dielectric material.
[0065]
100 parts by weight of the obtained dielectric material, 4.8 parts by weight of acrylic resin, 40 parts by weight of methylene chloride, 20 parts by weight of ethyl acetate, 6 parts by weight of mineral spirit, and 4 parts by weight of acetone are mixed by a ball mill. Thus, a dielectric layer paste was obtained.
[0066]
100 parts by weight of Ni particles having an average particle size of 0.2 to 0.8 μm, 40 parts by weight of an organic vehicle (8 parts by weight of ethyl cellulose dissolved in 92 parts by weight of butyl carbitol), and 10 parts by weight of butyl carbitol A paste for an internal electrode layer was obtained by kneading with three rolls to obtain a paste.
[0067]
Paste obtained by kneading 100 parts by weight of Cu particles having an average particle diameter of 0.5 μm, 35 parts by weight of an organic vehicle (8 parts by weight of ethyl cellulose resin dissolved in 92 parts by weight of butyl carbitol) and 7 parts by weight of butyl carbitol Thus, an external electrode paste was obtained.
[0068]
Using the obtained dielectric layer paste, a green sheet having a thickness of 6 μm was formed on the PET film. After the internal electrode layer paste was printed thereon, the green sheet was peeled off from the PET film. Next, these green sheets and protective green sheets (not printed with internal electrode layer paste) were laminated and pressure-bonded to obtain green chips. The number of laminated sheets having internal electrodes was four.
[0069]
Next, the green chip was cut into a predetermined size and subjected to binder removal processing, firing and annealing (heat treatment) to obtain a multilayer ceramic fired body. After polishing the end face of the obtained multilayer ceramic fired body by sand blasting, the external electrode paste was transferred to the end face and baked to form external electrodes, and the multilayer ceramic capacitor sample shown in FIG. 1 was obtained. The size of the obtained capacitor sample is 3.2 mm long × 1.6 mm wide × 0.6 mm thick, and the thickness of the dielectric layer sandwiched between the internal electrode layers (interlayer thickness) is 4 μm. The thickness was 2 μm.
The average particle diameter of the fired dielectric particles constituting the dielectric layer was 1.12 μm. The average particle diameter of the dielectric particles was calculated from the SEM photograph assuming that the shape of the dielectric particles was a sphere by the code method. The field of view of SEM is 23 μm × 30 μm, and each particle size was calculated using 5 to 6 photographs per sample, and the average value thereof was taken as the average particle size.
[0070]
Using the obtained capacitor sample, the CV value of Si in the dielectric layer was calculated. The CV value of Si was EPMA (X-ray microanalyzer, spectroscopic crystal: under conditions of acceleration voltage: 20 kV, irradiation current: 0.1 μA, measurement time: 30 msec / point, electron beam diameter: spot, range: 26 μm × 23 μm: Data was collected using TAP, manufactured by JOEL, JXA-8800RL, and calculated according to the formula: CV value (no unit) = (standard deviation / average value). As a result, the CV value of Si was 0.25.
[0071]
A high temperature load life was measured by maintaining a DC voltage of 8 V / μm at 200 ° C. with respect to such a capacitor sample. This high temperature load life is particularly important when the dielectric layer is thinned. In this embodiment, the time from the start of application until the resistance drops by an order of magnitude is defined as the lifetime, and this is performed for 10 capacitor samples (dielectric layer thickness 4 μm), and the average lifetime is calculated. Over time was considered good. The results are shown in Table 1.
[0072]
In addition to the above high temperature load life, the sample of the obtained capacitor was subjected to a condition of a frequency of 1 kHz and an input signal level (measurement voltage) of 1 Vrms with a digital LCR meter (YHP 4274A) at a reference temperature of 25 ° C. Then, the capacitance was measured. Then, the relative dielectric constant (no unit) was calculated from the obtained capacitance, the electrode dimensions of the capacitor sample, and the distance between the electrodes. The relative dielectric constant εr is an important characteristic for producing a small and high dielectric constant capacitor. In this example, the value of the relative dielectric constant εr was an average value of values measured using n = 10 capacitor samples, and 180 or more was good. As a result, the relative dielectric constant was 180 or more.
[0073]
Thereafter, using an insulation resistance meter (R8340A manufactured by Advantest Corp.), the insulation resistance IR after applying DC 50 V to the capacitor sample for 60 seconds at 25 ° C. was measured, and this measured value, the electrode area and thickness of the capacitor sample, From this, the specific resistance ρ (unit: Ωcm) was obtained by calculation. In this embodiment, the specific resistance ρ is an average value of ten specific resistances, and 1 × 1012Ωcm or more was considered good. As a result, the specific resistance is 1 × 1012It showed Ωcm or more.
[0074]
Moreover, with respect to the obtained capacitor sample, using an LCR meter, the capacitance at a voltage of 1 kHz and 1 V was measured, and when the reference temperature was 20 ° C., within a temperature range of 20 to 85 ° C., It was investigated whether the capacitance change rate with respect to temperature satisfied −2000 to 0 ppm / ° C. As a result, it was confirmed that they were satisfied.
[0075]
Examples 2-8, Comparative Examples 1-2
Capacitor samples having average particle diameters and CV values as shown in Table 1 were obtained by variously changing the production conditions (calcination conditions, pulverization conditions, etc.) of the dielectric oxide as the main component material. The same procedure as in Example 1 was performed except for the manufacturing conditions of the raw materials. The average particle size of the dielectric particles constituting the dielectric layer was calculated in the same manner as in Example 1. For the obtained capacitor sample, the high temperature load life was measured in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 1.
[0076]
The relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of the dielectric particles to the thickness of the dielectric layer in Examples 1 to 8 and Comparative Examples 1 and 2 is shown in FIG.
[0077]
[Table 1]
[0078]
As shown in Table 1 and FIG. 3, like the capacitor samples in Examples 1 to 8, the CV value x1 of Si, the average particle diameter of the dielectric particles, and the thickness of the dielectric layer 2 per layer When the relationship with the ratio y1 (average particle diameter of dielectric particles / dielectric layer thickness per layer) y1 is within the range of the present invention, it can be confirmed that the high temperature load life is 1 hour or more. It was.
[0079]
Examples 9-14
Capacitor samples having average particle diameters and CV values as shown in Table 2 were obtained by variously changing the production conditions (calcination conditions, pulverization conditions, etc.) of the dielectric oxide as the main component raw material. The same procedure as in Example 1 was conducted, except that the raw material production conditions and the thickness of the dielectric layer per layer (interlayer thickness) were set to 7 μm. The average particle size of the dielectric particles constituting the dielectric layer was calculated in the same manner as in Example 1. For the obtained capacitor sample, the high temperature load life was measured in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 2.
[0080]
The relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of the dielectric particles to the thickness of the dielectric layer in Examples 9 to 14 is shown in FIG.
[0081]
[Table 2]
[0082]
As shown in Table 2 and FIG. 4, even if the interlayer thickness is changed, like the capacitor samples in Examples 9 to 14, the CV value x1 of Si, the average particle diameter of the dielectric particles, and the per layer When the relationship with the ratio of the dielectric layer 2 thickness (average particle diameter of dielectric particles / dielectric layer thickness per layer) y1 is within the scope of the present invention, the high temperature load life is 1 hour. It was confirmed that this was the case.
[0083]
Examples 15 to 16, Comparative Example 3
Capacitor samples having average particle diameters and CV values as shown in Table 3 were obtained by variously changing the production conditions (calcination conditions, pulverization conditions, etc.) of the dielectric oxide as the main component material. Example 1 was repeated except that the raw material production conditions and m = 1.005 were set. The average particle size of the dielectric particles constituting the dielectric layer was calculated in the same manner as in Example 1. For the obtained capacitor sample, the high temperature load life was measured in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 3.
[0084]
The relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of the dielectric particles to the thickness of the dielectric layer in Examples 15 to 16 and Comparative Example 3 is shown in FIG.
[0085]
[Table 3]
[0086]
As shown in Table 3 and FIG. 5, even if the composition, that is, the value of m is changed, like the capacitor samples in Examples 15 to 16, the CV value x1 of Si and the average particle diameter of the dielectric particles When the relationship with the ratio of the dielectric layer 2 per layer to the thickness (average particle diameter of dielectric particles / dielectric layer thickness per layer) y1 is within the scope of the present invention, It was confirmed that the lifetime was 1 hour or more.
[0087]
As a result of calculating the relative dielectric constant and specific resistance of the capacitor samples obtained in Examples 2 to 16 and Comparative Examples 1 to 3 in the same manner as in Example 1, the relative dielectric constant of each sample is 180 or more, specific resistance is 1 × 1012It showed Ωcm or more. In addition, as a result of investigating whether the rate of change in capacitance with respect to temperature (reference temperature 20 ° C.) satisfies −2000 to 0 ppm / ° C. within a temperature range of 20 to 85 ° C., any sample may be satisfied. confirmed.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a multilayer ceramic capacitor according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a graph showing the relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of dielectric particles to the thickness of the dielectric layer.
FIG. 3 is a graph showing the relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of dielectric particles to the thickness of the dielectric layer in Examples 1 to 8 and Comparative Examples 1 and 2.
FIG. 4 is a graph showing the relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of dielectric particles to the thickness of the dielectric layer in Examples 9 to 14;
FIG. 5 is a graph showing the relationship between the CV value of Si and the ratio of the average particle diameter of dielectric particles to the thickness of the dielectric layer in Examples 15 to 16 and Comparative Example 3.
[Explanation of symbols]
1 ... Multilayer ceramic capacitor
10 ... Capacitor element body
2 ... Dielectric layer
3 ... Internal electrode layer
4 ... External electrode
Claims (1)
前記誘電体酸化物が、組成式{(Sr 1−x Ca x )O} m ・(Ti 1−y Zr y )O 2 で示され、該式中の組成モル比を示す記号m、xおよびyが、0.991≦m≦1.005、0.30≦x≦0.50、および0≦y≦0.10の関係にあり、
前記誘電体層における前記SiのCV値x1をX軸に表し、前記誘電体粒子の平均粒径と1層あたりの前記誘電体層の厚みとの比(誘電体粒子の平均粒径/1層あたりの誘電体層の厚み)y1をY軸に表したときに、
前記x1およびy1の関係が、前記X軸およびY軸を持つX−Y座標における3つの点A’(x1=0,y1=0.2)、C(x1=0.9,y1=1.2)、およびD(x1=0,y1=1.2)で囲まれる範囲内にあることを特徴とする電子部品。An electronic component having dielectric particles composed of a dielectric oxide and a dielectric layer composed of a dielectric ceramic composition containing Si,
The dielectric oxide is represented by a compositional formula {(Sr 1-x Ca x ) O} m · (Ti 1-y Zr y ) O 2 , and symbols m, x, and y is in a relationship of 0.991 ≦ m ≦ 1.005, 0.30 ≦ x ≦ 0.50, and 0 ≦ y ≦ 0.10.
The CV value x1 of the Si in the dielectric layer is represented on the X axis, and the ratio of the average particle diameter of the dielectric particles to the thickness of the dielectric layer per layer (average particle diameter of dielectric particles / 1 layer) Per dielectric layer thickness) y1 on the Y axis,
The relationship between x1 and y1 is that three points A ′ (x1 = 0, y1 = 0.2) and C (x1 = 0.9, y1 = 1.x) in the XY coordinates having the X axis and the Y axis. 2) and D (x1 = 0, y1 = 1.2) .
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