JP4376460B2 - 低温での細胞保存用の溶液におけるアポトーシスレギュレーターの含有 - Google Patents

低温での細胞保存用の溶液におけるアポトーシスレギュレーターの含有 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
1.発明の分野
本発明は保存細胞におけるアポトーシスの誘導を制御する冷蔵保存組成物と凍結保存組成物に関連している。特に、本発明は、遺伝子調節細胞死(アポトーシス)の誘導を制御する薬剤を含む細胞内型低温管理及び保存用培地組成物を使用する、低温下における細胞、組織、臓器を維持する方法に関連する。更に本発明は、保存細胞におけるアポトーシスの誘導を制御する試薬が含まれる細胞内型の低温管理および保存用組成物を用いての細胞を低温保存する方法に関連する。
【0002】
【従来の技術】
2.関連分野の説明
臓器、組織、細胞を保存するのに有用な非血液含有溶液は当該分野で周知である。例えば、移植のための組織および臓器を維持する血液代替物はブレトン(Breton)へのU.S.特許No.4,920,044や、ベルザー(Belzer)へのU.S.特許No.4,879,283、No.4,798,824に開示されている。セガル(Segall)らへのU.S.特許No.4,923,422は移植処置への使用のための摘出臓器の低温保存に有用な4つの血液代替溶液を開示している。一般的に、通常の保存溶液中に4℃でヒト組織を冷蔵保存した場合は、保存し始めてから最初の数日以内に組織サンプルを取り囲んでいる培地中に集合している細胞デブリスを生ずる。多くの細胞は4℃では数日後に収縮し、微小形態の損傷を示す。これらの細胞、組織は結果として冷蔵保存後には生存していない。
【0003】
低温保存溶液は、臓器、組織、細胞の輸送と保存のために開発された。細胞はこれらの溶液中に浸され、4℃、若しくはそれに近い温度で維持され、そこで長期低温の状態のまま維持される。遺伝子工学で作成された組織の飛躍的進歩数により、低温保存を用いずに、短期間、4℃で組織の低温保存するための溶液の開発に対する科学的興味が増大した。ビアスパン(VIASPANTM)[ウイスコンシン(UW)大学溶液とも呼ばれている]、ユーロ‐コリンズ(EURO-COLLINS)のような低温保存溶液、凍結保存溶液、および臓器保存用(1)に使用されてきた他の溶液は、いまもなお細胞および組織を低温の状態で維持する能力を実験され続けている。
【0004】
細胞/組織の保存用のための低温保存溶液を最大限に利用することの重要性は誇張ではない。パヘルニックら(Pahernik et al)は、生物的人工肝臓を開発するための肝細胞を大容量で保存するための施設の重要性に言及している。低温保存溶液はしばしば細胞機能を大きく損なうことから、このグループは低温保存に代わる刺激性の弱い溶液として冷蔵保存溶液に目を向けている。フィッシャーら(Fisher et al)はビアスパン(VIASPANTM)、ユーロ‐コリンズ(EURO-COLLINS)、サックス(Sacks)+プロスタサイクリン(Prostacyclin)およびV-7について組織切片の低温保存能力を試験した。組織切片の保存のためにこれら冷蔵保存溶液を5℃または0℃の範囲内の温度で使用することは、効果的に組織断片の輸送/保存寿命を増加し、それによって化粧品並びに医薬品の試験に使用された動物数は減少した。タイラーら(Taylor et al.)により開発された別の低温溶液は、4℃で1週間以上に渡って遺伝子工学で作成されたヒト表皮を保護することが示された(5)。マットテック(Mat Tek)株式会社(Ashland,MA)により生産されたこの生物学的人工皮膚は、4℃の細胞内様低温血液代替溶液、ハイポサーモゾルTM中で1週間保存した後に37℃に戻しても分化を維持した。単一細胞の冷蔵保存も幾つかのグループによって検討された。例えば、正常ヒト表皮ケラチノサイトは、正常の培養液中では24時間のみであったのと比較しても、ハイポサーモゾルTM中で4℃で1週間を超える期間、維持することが可能である(10)。同様の結果が以下のEPIDERMTMの低温保存(製品の安全性試験で使用される遺伝子工学で作成されたヒト表皮)においても得られた。
【0005】
UW溶液のような低温保存溶液は、心臓(11-13)、肝臓(1-16)、肺臓(17-19)、腎臓(20)および小腸(21)の保存に用いられた。それらの方法は近年毒性学のインビトロ試験の分野で広がっている。フィッシャーら(Fisher et al.)は、動物代替として使用された生肝細胞切片並びに生腎細胞切片を低温保存溶液中で保存することの重要性を示した。クックら(Cook et al.)はハイポサーモゾルTMが5℃または0℃の範囲内の温度で遺伝子工学で産生されたヒト表皮の低温保存に使用可能であることを示した。この観察は、ハイポサーモゾルTMが動物実験の代用として使用された生物的人工ヒト皮膚の貯蔵寿命を延ばすことが出来たという点で重要である。あるいは、ハイポサーモゾルTMまたは別の溶液は臨床においては移植手術前においてヒト表皮を保管するために使用できる。一方で、生物学的人工肝は現在でも使用状態にはないが、それにも関わらず、肝組織工学技術のために肝細胞バンクが重要であることをパヘルニックら(Pahernik)は指摘している。しかしながら、最近の低温保存溶液の効果は、低温保存中の細胞死を助長する遺伝子に調節される事象を含む細胞プロセスによって制限されている。
【0006】
約5℃から0℃での細胞および組織の低温保存は短期間に適しているのに対して、細胞の長期保存においては冷凍開始と液体窒素(-196℃)の温度の間での低温保存を必要とする。低温保存、すなわち液体窒素の温度またはその温度の近くにおいて多くの細胞株を含む生物の維持は、生物医学的研究を支持するために必要な決定的な方法論である。保存における試験方法の開発はまず第一に細胞内氷形成と化学的浸透圧による冷凍誘発細胞死[それは細胞膜破壊を引き起こし、その結果壊死を生ずるためである(43)]を克服することが中心である。従って、多くの研究者は、標準細胞培養液のような細胞外様担体溶液を含む、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはグリセロールのような低温保護剤中に細胞系を低温保存している。この戦略は、まず始めに以下のウシ精子(44)の部分保存において詳述された。その結果、多くの研究者は赤血球(45)、白血球(41)、生殖細胞および受精卵(34)、ならびに心臓弁(32)を含む単一組織を低温保存し、わずかな成功を得た。
【0007】
低温保存に対する伝統的な取り組み方は、等張若しくは低張液の何れかに含まれる凍結保護剤のモル濃度に浸透することを追加することに依存している。この取り組みは、まれにイオンバランス、緩衝能力または低温ストレスの結果を回避するのに必要であると考えられるその他の因子を考慮するものである。この状況は、緩慢な冷凍(〜1℃/min)期間中における細胞は、細胞内の内容物が、保存試験計画の液体窒素(LN2)が急冷する段階においてガラス質に変化するまで低温状態のままであるという事実の見地において問題であろう。解凍後の細胞の生存率は、伝統的な方法論(即ち、5%から10%DMSOを希釈した培養液中に細胞を冷凍しているような方法)では低い。凍結細胞個体群における解凍後の細胞の生存率が約30%になることは、伝統的な試験方法を用いたときに共通することである。解凍後の細胞の生存率の損失が非常に高いのは、凍結時に生じる結晶形成若しくは脱水によると考えられている。
【0008】
研究者の多くは解凍の数時間以内に染色排除法を用いて生存率を定量しているが、長期間の生存率はわずかである(3,27)。例えば、トリパンブルー染色排除アッセーを使用し定量したヒト肝細胞は-80℃で24時間保存ではおおよそ67%の生存率となったが、-80℃で14日間保存後では49%となった(29)。更に最近では、アダムスら(Adams et al.)(26)は肝細胞の保存結果が胎児ウシ血清とDMSOで強化した担体溶液としてビアスパン(VIASPANTM)(細胞内様低温保存溶液)の使用により改良されることを示した。
【0009】
ナグルら(Nagle et al.)(40)は、分子に基づいた細胞死の機構は低温保存に関連していることと、その細胞死はこれまで唯一取り扱われ知られている冷蔵誘発細胞障害により説明することが出来ないことを示唆する事実を証明した。パークス(Parks)(42)は保存過程の間に細胞が経験した低温への暴露の程度が、低温保存の成功に影響している大きな要因でありそうなことに注目した。最近、アポトーシスによる細胞死は低温の暴露の結果として心筋細胞に生じることが報告された(39)。アポトーシスまたはプログラムド細胞死は、正常の発生過程(37)や、細胞ストレス(30)の結果として生じる遺伝子活性化事象である。ホリスターら(Hollister et al.)(36)は、アポトーシスは-75℃以下の氷点下の温度に暴露したヒト前立腺癌細胞株(PC3)において細胞死の重要な構成要素であることを示した。これらのデータは、アポトーシスは低温保存の失敗における十分可能な関与因子であると指摘した。
【0010】
細胞死はアポトーシス若しくは壊死(概要は24を参照されたい)により生じるかもしれない。壊死若しくは病理学的細胞死は細胞膨張の結果、細胞膜の完全性が欠損することにより特徴づけられ、且つ多くの病理学的動因により生じる。壊死を生じている細胞のDNAはランダムな形式で切断される。ゆえに、壊死を受けた細胞からのDNAは、ゲル電気泳動法にかけたとき継続的なスメアを示す。アポトーシスは遺伝子により活性化され、且つ縮んでいる細胞、正常な細胞膜およびアポトーシス形体の形成により特徴づけられる。アポトーシスを受けた細胞のDNAは非ランダム形式に切断され、ゲル電気泳動法においてラダー様パターンを形成する。通常の保存溶液に1-2日以上の期間に亘り低温状態で保存した多くの細胞の主な細胞死の様式はアポトーシスではなく、ネクローシスであるようである。短期間の低温保存とアポトーシスの間の相関関係は明らかではない。
【0011】
アポトーシスを調節している詳細な細胞機序は完全には知られていない。しかしながら、アポトーシスの経路の多くの部分は日に日に明らかにされている。イオン環境の変化は、アポトーシス様の核の変質過程に関連するエンドヌクレアーゼの活性化若しくは阻害が必要であるかもしれない。例えば、Zn++の生理学的濃度は、DNAフラグメンテーションとアポトーシスを阻害することが知られている。RNA合成を阻害するアクチノマイシン、または蛋白合成を阻害するシクロヘキサミドのような大きな分子の合成の阻害剤とある一定の細胞のTreaTMentはアポトーシスを惹起する。アポトーシス過程の完了は、遺伝子調節細胞死、特に細胞周期調節が関与した遺伝子産物の促進または抑制に関連した種々の遺伝子産物の調節された発現に依存しているようである。例えば、細胞死阻害作用物Bcl−2およびBcl−xLの過剰発現は、チトクロームCの放出を妨げる。チトクロームCは、カスパーゼ[アポトーシスに関連する変化の原因である切断基質として知られるプロテアーゼ群である]を活性化すると考えられている。Bax、Bcl−2ファミリーのプロアポトーシスメンバー、のレベルが促進されると、シトクロムC放出と、続く、細胞のアポトーシスが促進される。早期反応遺伝子c−myc、c−junおよびc−fosの特異的な調節は、それらの発現を取り巻く環境に依存して、細胞増殖または細胞死の何れかを促進することが可能である。従って、プログラム細胞死は、細胞事象の複雑な経路に影響を与える。
【0012】
多数の細胞保存溶液の低温保存効果は、極めて多くのアッセイを使用して試験されている。そのようなアッセイは、酵素合成(2)、カリウム含有量(3)、トリパンブルー排除(7)、ニューロン生育および髄鞘形成(8)、収縮(11)、ATP含有量(13)、および超微細構造(17)を含む。前に指摘された通り(10)、これらのアッセイは、生存能アッセイまたは機能性アッセイの何れかであると見なされる。従って、小腸においてカッツ(Katz)らにより使用された当該マルトース耐性試験は、機能性アッセイと見なすことが可能であり;それに対してロドリゲス(Rodriguez)らにより使用されたトリパンブルーは厳密には生存能アッセイである。ここで報告する一連の試験で使用されたアラマーブルーTMアッセイは、生存能アッセイであり、組織特異的な様式において被検細胞が機能しているか否かを示すものではない。前に記載された他の殆どの生存能アッセイまたは機能性アッセイとは分け合うことのない、アラマーブルーTMアッセイが寄与する重要な点の1つは、非毒性のインジケーターとして、連日繰り返して使用できるというアラマーブルーTMの能力である。これは、ヒト皮膚細胞等の幾つかの低温貯蔵された組織に対しては、決定的に重要であることが知られている。
【0013】
細胞、組織および臓器の低温保存は、生体臨床医学的研究のために使用する細胞株の貯蔵、法医学的なサンプルの保存、医学的サンプル(例えば、生検材料および体外受精のためのサンプル等)の貯蔵、並びに移植のための細胞、組織および臓器の管理に重要である。例えば、膵臓島細胞の保存は、今後の臨床細胞移植のために決定的に重要である。コルバットおよびピペリーアズ(Korbutt and Pipeleers)は、膵臓β細胞がビアスパンTMにおける4℃での96時間の保存期間に亘って生存可能であることを示している(6)。他のグループは、肝細胞懸濁液がUW溶液中において保存できることを示している(7)。レビ(Levi)らは、損傷を受けた神経を治療するための材料源としての今後の神経バンクを考えて、神経細胞のための低温保存溶液の候補としてUW溶液を試験している(8)。また、胆管上皮細胞も、低温保存溶液において試験されている(9)。更には、培養において増殖する単離されたヒト皮膚細胞は、ハイポサーモゾルTMにおいて非常に良好に保存されることも示されている(CMS,Rockville,MD)(10)。
【0014】
これらの多くの研究は、低温保存溶液の低温貯蔵効果を増進する多様な添加物を試験したが、しかしながら、そのような保存溶液における長期の保存に続いて細胞がどのように死ぬかの観点で行われたものではない。多様な添加物が、低温貯蔵用溶液に対して添加され、それらの有益な添加物としての可能性が試験された。ロドリゲスらは、UW溶液に対するグルタチオンの添加が、肝細胞の保存に有益であることを示している(7)。ロプヒン(Lopukhin)らは、UW溶液への2,3ブタンジオンモノオキシムの添加が保存された心臓の貯蔵寿命を増加したことを示している(11)。しかしながら、グリシンは、UW溶液に添加された場合に有益ではないことが明らかである(14)。しかしながら、詳細な利益の1つは、抗酸化剤の添加である。例えば、ラザロイド(Lazaroids)は、UW溶液の低温保存効果を増加することが示されている(15、21)。グルタチオンは、ビアスパンTMに添加された場合に、肺の保存を増進することが示されている(19)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
冷蔵保存および冷凍保存技術の両者を使用した従来の研究は、低温保存からの完全な回復を妨害する障壁が、各細胞個体群に存在することを示す。臨床適応、基礎研究および製品安全性試験において有用な工学技術で設計された組織の出現が、低温保存条件に供される細胞および工学技術で設計された多層組織の両方の生存能を保証するような改良された冷蔵保存および凍結保存技術の必要性を大きなものにした(38)。
【0016】
【課題を解決するための手段】
発明の概要
本発明は動物またはヒトの臓器、組織または細胞の低温保存のための細胞非含有溶液組成物に関し、前記細胞非含有溶液は、
(a)35から45mMの濃度のカリウムイオン、80から120mMの濃度のナトリウムイオン、2から10mMの濃度のマグネシウムイオンおよび0.01から0.1mMの濃度のカルシウムイオンからなる群より選択された1以上の電解質;
(b)循環系からの脱出を制限するのに十分に大きいサイズを有し、且つ血漿圧に等しいコロイド浸透圧を維持するのに効果的であり、且つヒト血清アルブミン、多糖およびコロイド状デンプンからなる群より選択された高分子膨張剤;
(c)生理学的および低温の条件下で効果的な生物学的pH緩衝液;
(d)栄養学に有効な量の少なくとも1の単糖;
(e)非透過性であり、且つヒドロキシラジカルのスカベンジに有効な量のマンニトール;
(f)細胞膜に対して非透過性であり、且つ低温暴露の間の細胞腫脹を抑制するのに効果的な非透過性アニオン[前記非透過性イオンは、ラクトビオネート、グルコネート、シトレートおよびグリセロホスフェートからなる群より選択された少なくとも1である];
(g)ATPの再生に効果的な基質[前記基質は、アデノシン、フルクトース、リボースおよびアデニンからなる群より選択された少なくとも1である];
(h)アポトーシスで誘導される細胞死を調節する少なくとも1の薬剤;
(i)一酸化窒素シンターゼ活性を調節する少なくとも1の薬剤;並びに
(j)フリーラジカルの細胞レベルを調節する少なくとも1の薬剤;
を含有する。
【0017】
また、本発明は、動物またはヒト臓器、組織または細胞を約5℃から0℃の間で低温保存するための細胞非含有溶液組成物[ここで、アポトーシス細胞死を調節する少なくとも1の薬剤がビタミンEおよびEDTAからなる群より選択される少なくとも1の薬剤である]を提供する。
【0018】
更に、本発明は、動物またはヒト臓器、組織または細胞を約5℃から0℃の間で低温保存するための細胞非含有溶液組成物[ここで、アポトーシス細胞死を調節する少なくとも1の薬剤がアポトーシスを調節する薬剤を含む]に関する。
【0019】
本発明は更に、動物またはヒト臓器、組織または細胞を、凍結が開始する温度から約−196℃までの間で低温で低温保存するための細胞非含有溶液組成物[ここで、アポトーシス細胞死を調節する少なくとも1の薬剤がアポトーシスを調節する薬剤を含む]に関する。
【0020】
また、本発明は、動物またはヒト臓器を低温保存するための細胞非含有溶液組成物[アポトーシスを調節する前記薬剤が、カスパーゼプロテアーゼのインヒビターを含むことを特徴とする]に関する。
【0021】
加えて、本発明は、動物またはヒト臓器、組織または細胞を低温で保存する方法に関し、前記方法は、
(a)アポトーシスで誘導される細胞死を調節する少なくとも1の薬剤を含む低温保存のための細胞非含有組成物と細胞を混合すること;および
(b)約10℃から0℃の間に細胞を冷やすこと
を具備する。
【0022】
また、本発明は、動物またはヒト臓器、組織または細胞を低温で保存する方法に関し、前記方法は、
(a)アポトーシスで誘導される細胞死を調節する少なくとも1の薬剤を有する低温保存のための細胞非含有組成物と細胞を混合すること;
(b)凍結が始まる温度から−196℃までの温度の間に細胞を冷やすこと;を具備する。
【0023】
定義として、アポトーシス細胞死を調節する薬剤は、典型的にアポトーシスインヒビターと称される。フリーラジカルの細胞レベルを調節する薬剤は、一般的に、フリーラジカルスカベンジャーとして知られる。一酸化窒素シンターゼ活性を調節する薬剤は、本質的に、一酸化窒素産生の上流モジュレータである。
【0024】
【発明の実施の形態】
発明の詳細な説明
好ましい態様である発明は、動物またはヒト臓器、組織若しくは細胞の低温保存のための細胞フリー溶液組成物の改良に関する。ハイポサーモゾルTMは以下を含む細胞フリー溶液である:
(a)35から45mMの濃度のカリウムイオン、80から120mMの濃度のナトリウムイオン、2から10mMの濃度のマグネシウムイオンおよび0.01から0.1mMの濃度のカルシウムイオンからなる群より選択された1以上の電解質;
(b)循環系からの脱出を制限するのに十分に大きいサイズを有し、且つ血漿の圧に等しいコロイド浸透圧を維持するのに効果的であり、且つヒト血清アルブミン、多糖およびコロイド状デンプンからなる群より選択された高分子膨張剤;
(c)生理学的および低温の条件下で効果的な生物学的pH緩衝液;
(d)栄養学に有効な量の少なくとも1の単糖;
(e)非透過性であり、且つヒドロキシラジカルのスカベンジに有効な量のマンニトール;
(f)細胞膜に対して非透過性であり、且つ低温暴露の間の細胞腫脹を抑制するのに効果的な非透過性アニオン[前記非透過性イオンは、ラクトビオネート、グルコネート、シトレートおよびグリセロホスフェートからなる群より選択された少なくとも1である];
(g)ATPの再生に効果的な基質[前記基質は、アデノシン、フルクトース、リボースおよびアデニンからなる群より選択された少なくとも1である]ならびに
(h)グルタチオン。
【0025】
長期間、例えば、5日間以上、ハイポサーモゾルTM(HTS)または皮膚培養用培地において保存された正常なヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)は、蘇生の第1日目の間、低温保存をしていないコントロールと比較して全く生存可能であるように見える。しかしながら、蘇生の48時間後、培養細胞は、蘇生の2、3日以内には生存する細胞がなくなるまでに急激に悪化する(10)。同様な劇的なプロファイルは、工学技術により設計されたヒト表皮でも生ずる(5)。ビアスパンTM(肝臓および腎臓の低温保存のために設計された商業的に入手可能な溶液)において0℃から−5℃で長期間保存されたMDCK細胞もこのような時間依存的な悪化を示すようである(図1)。この時間依存性の死は、ATP依存性の遺伝子活性が細胞死に必要な条件として誘導されることが必要であることを暗示するものである。
【0026】
低温保護溶液として、HTSは、DMSOを含有する細胞培養用培地に匹敵する(図3、9、11、13、14)。ビアスパンTMは、低温保存用培地としては失敗であるが、DMSOの追加で、DMSOを含有する細胞培養用培地以上に、細胞生存をある程度まで改善する(図11)。5%のDMSOを含有するHTS誘導物(クライオスターTMCS5;CRYOSTORTM CS5)は、DMSOで強化された細胞培養用培地またはビアスパンTMの何れに比較してもより優れた低温保存溶液である(図11)。
【0027】
伝統的に、低温保存の成功は、染料排出アッセイを使用して凍結の数時間以内に評価されている。しかしながら、染料排出アッセイは細胞生存能を過剰評価する傾向があることを多くの報告が明記している(33)。延長された期間に亘る低温保存に続く細胞生存についてのより正確な描写を与える評価アッセイの同定が研究された。トリパンブルー、カルセイン−AM、およびアラマーブルーTMの間の比較がなされ、DME+5%DMSOにおいて低温保存されたMDCK細胞の解凍後生存率が評価された。トリパンブルー、カルセイン−AMおよびアラマーブルーTMアッセイにより得られたパーセント生存率は、夫々、95%、65%および28%であった(図2)。これらの観察を基に、より厳しいアッセイであるアラマーブルーTMを第1の評価プローブとして選択した。アラマーブルーTMアッセイは非毒性であり、好気的呼吸における最終的な酸化ステップを基にした代謝活性を測定する生理的なインジケーター染料である(48)。また、アラマーブルーTMはマルチエンドポイントアッセイであるため、長期の細胞生存および回復をモニターすることが可能である。
【0028】
本発明の目的は、当該担体培地の変更、即ち、細胞外型(DME)と細胞内型(HTS)、を介した低温保存の増進である。細胞をDME+5%DMSO中で低温保存し、HTS+5%DMSO(クライオスターTM)中で保存された細胞と比較した(図3)。クライオスターTMCS5(HTS+5%DMSO)において低温保存された細胞は、DME+5%DMSOにおいて低温保存された細胞に比較し、生存能は257%増で得られ、同時に約半分の100%まで回復した。この生存および回復率における有意な増加(p<0.007)は、担体培地の違いの結果のようであった。この仮説を考査するために、細胞培養物を基礎HTS(DMSO非含有)において低温保存した。DME+5%DMSOとHTSとの比較すると、解凍後生存は、28%と32%で等しいものであった(P=0.145)(図3)。HTSにおいて低温保存された細胞の長期間の回復は、5日以内でコントロールの95%までに回復するDME+5%DMSOの回復に類似するものであった。従って、冷蔵保存溶液HTSは更なる低温保護剤の追加を含まない低温保存培地として良好に機能するものである。
【0029】
細胞内用溶液(HTS)の使用を介した低温保存生存の改良にもかかわらず、総合的な結果としては、未だに、有意に不十分な生存率(28%)しか得られなかった(図3)。この不十分な保存レベルは、最適化した低温保存プロトコールを使用した場合でさえも、日常的に遭遇するものである。この一般的な問題の観点から、伝統的な化学浸透性の保護戦略により方向付けられるものを超えた、細胞死の1以上の様式がほぼ全ての細胞死の原因となり得ることを、本発明は示唆した。プログラム細胞死(アポトーシス)を阻害するための標準的な低温保護の起こり得る失敗のために、浸透性ベースの保護は制限される(「キャップされる(capped)」)のかもしれない。
【0030】
【表1】
Figure 0004376460
【0031】
表1.低温保存されたMDCK細胞の解凍後回復期間(1&3日)。対角線上の(強調された)四角は、サンプル数と1日目の回復値の標準偏差を示す。表における凡例は、第1日および第3日のMDCK細胞のパーセント回復率を示す。全ての他の値は、ANOVAにより決定された信頼限界(P-値)である。
【0032】
従って、本発明の目的は、低温保存の失敗に関連する細胞死の様式を崩壊することにより低温保存の失敗を減少することである。1つのアプローチは、フリーラジカル保護戦略であり、ここにおいて保護因子が低温細胞保存溶液に含有され、解凍後細胞生存を増進する。α−トコフェロール(ビタミンE)のHTSへの添加は、ベースHTSにおいて低温保存された細胞よりも有利な162%の生存率を得られた。α−トコフェロール添加HTSは、DME+5%DMSOよりも有利な185%の生存率を与え、且つHTS+5%DMSO(クライオスターTMCS5)と同様な回復率を与えた(図3)。興味深いことに、この抗酸化剤は更に長期の利益は与えることがなく、実際、HTS+5%DMSOと共に使用された場合には不利益となった(図3)。α-トコフェロールのクライオスターTMCS5(HTS+5%DMSO)への添加は、56%の生存率を与え、これはクライオスターTMCS5(HTS+5%DMSO)単独で保存された細胞の全般的な72%の生存率よりも有意に低いものである。この観察は、更に、「低温保存キャップ(cryopreservation cap)」の外側の細胞死は、細胞外の氷の形成とそれによる化学的浸透圧の混乱に無関係な他の1以上の因子が原因である可能性をサポートする。
【0033】
加えて、α-トコフェロール(ビタミンE)とEDTAの両者は、低温保存剤としてハイポサーモゾルTMの効果を増強している。アラマーブルーTM(代謝染色)およびカルセイン(膜完全性染色)の両者によって証明される通り、ハイポサーモゾルTMへのEDTAの添加が、0℃から5℃での溶液の冷蔵保存能力を増進したことを図4は示している。EDTAは細胞外カルシウムイオンのキレーターとして機能するが、これは高い細胞外濃度で細胞毒性があることが知られている。従って、EDTAは、カルシウム活性化プロテアーゼおよび/またはカルシウム活性化エンドヌクレアーゼの作用を衰退させる。ビタミンEの有益な作用は、その抗酸化能力のためであり、それにより、低温細胞保存中の膜の損傷を防止することが可能である。或いは、ビタミンEは、一酸化窒素の放出を阻害するかもしれない(22)。ビタミンEはアポトーシスから細胞を保護すると報告されていることから(23)、ハイポサーモゾルTMにおいて長時間に亘り保存された場合に、ネクローシスまたはプログラム細胞死を経て細胞が死ぬのか否かを決定するために実験を行った。
【0034】
細胞死は、多様なストレスに対する応答において(28)、アポトーシスまたはネクローシスを経て生じる(概要は24を参照されたい)。ホリスター(Hollister)らによる1998年の論文(36)は、低温保存を基礎にしていない研究において、アポトーシスが凍結暴露(-5℃から-75℃)に続き生じることを証明した。加えて、マシュー(Mathew)らは、体温低下法もアポトーシスを誘導することを証明した(個人的な情報による)。低温保存される細胞の凍結速度を制御することが多くのストレスを誘導することから、アポトーシス細胞死が低温保存の失敗の原因であるようである。
【0035】
ネクローシスまたは病理学的な細胞死は、細胞膨張に終わる細胞膜完全性の喪失により特徴付けられ、且つ多くの病理学的な動因により引き起こされる。ネクローシス生じた細胞におけるDNAは、ランダム様式に切断される。従って、ネクローシスを受ける細胞からのDNAは、電気泳動ゲルにおいて連続したスメアとして現れる。アポトーシスまたはプログラム細胞死は、遺伝子で活性化され、細胞が縮むこと、正常な細胞膜およびアポトーシスボディフォーメーションにより特徴付けられる。アポトーシスを受ける細胞におけるDNAは、非ランダム様式に切断され、電気泳動においてはDNA断片の200bpの周期性が示されるようなDNAラダーが形成される。
【0036】
浮き上がった細胞および細胞用プレートに接着した細胞ともに、低温保存された細胞を、DNAゲル電気泳動により分析するために24および48時間の回復期間の後に回収した。DNAゲルの実験において、低温保存の失敗に関連する幾つかの所見に気づいた(図5)。第一に、全ての低温保存溶液のバリエーションにおいて、生細胞(接着細胞)から単離されたDNAは、当該ゲルの最上部で単一バンドを生じた(生存細胞のインジケーターである)(図5)。DME単独において低温保存された浮き上がった細胞(死細胞)からのDNAは、はっきりとしたランダム切断パターン(「スメア」と称する)が現れた。ネクローシス細胞死のインジケーターであるこのパターンは、特に解凍後48時間に見られた。ネクローシス細胞死が有力になるのは解凍後48時間後であるが、DME+5%DMSOにおいて低温保存された浮き上がった細胞からのDNAは、ネクローシスの予備段階である解凍後24時間にも現れ、DNAラダーが観察された。このDNAラダーは、アポトーシスの最終段階の証明である180塩基対のDNA断片由来物を示す。HTSおよびクライオスターTMCS5(HTS+5%DMSO)からの浮き上がった細胞から単離されたDNAを含むレーンの実験(解凍後24および48時間)は、ネクローシス細胞のパターンの減少とアポトーシス細胞死の存在の増加を明らかにした。DNA分析から、アポトーシスは低温保存の失敗に有意に寄与していることが結論付けられた。低温保存の失敗に対するネクローシスとアポトーシスの寄与の相対的なレベルを決定するためには更なる実験が必要である。
【0037】
4℃で冷蔵保存に供したMDCK細胞の死細胞であるデタッチした細胞のDNAと、生細胞である接着細胞のDNAを比較した更なる実験を図6に示す。死細胞のDNAは、アポトーシス細胞の特徴であるDNAラダーを示した(図6)。このラダーは、DME(図6、レーン3,4)またはハイポサーモゾルTM(図6、レーン6-10)の何れにおいてもより長時間保存された細胞において現れた。しかしながら、低温においてより長時間保存された細胞(レーン9および10)は、ネクローシスの特徴(即ち、より広範なスメア)をより多く有し、且つアポトーシスの特徴は殆どなかった(即ち、ラダーがはっきりしない)ことに注目することが重要である。従って、冷蔵保存された細胞はアポトーシスおよびネクローシスの両方を被り、且つ両状態の間の移行は低温保存時間に依存することを当該データが示唆するものである。
【0038】
アポトーシスインヒビターを用いた追加実験(図7および8)は、低温保存中の細胞死においてアポトーシスが役割を担っているという考えをサポートするものである。IDUNアポトーシスインヒビターおよびカスパーゼ−1インヒビターVは、両者ともインターロイキン1β変換酵素(ICE)様プロテアーゼインヒビターであるが、4℃での低温保存の間、細胞を保護した。データの中で明らかに不可解なことの1つは、ネクローシスを経て死んだ細胞が、まず始めに一連のアポトーシスを経てからネクローシス経路に入るように進行したことである。ハーシュ(Hirsch)らは、透過性移行のようなミトコンドリアの変化が、ネクローシスまたはアポトーシスに入る細胞についての決定点において重要であることを示している(25)。更に詳細には、このグループは、アポトジェニックプロテアーゼの有効性が細胞がネクローシスまたはアポトーシスに進むか否かの決定をなし得ると提案している。従って、全く明らかにネクローシスを経て死んで行くように見える細胞におけるアポトーシスインヒビターの予知不可能なレベルの効果は、今後の研究を必要とする。
【0039】
上記の観点から、本発明の目的は、HTSに対するアポトーシスレギュレーターの添加により低温保存の間のアポトーシスによる細胞死を減少することである。カスパーゼカスケードは、エンドヌクレアーゼベースのDNA断片過程の一部分であることから(47)、カスパーゼカスケードの阻害が、アポトーシスのレベルを減少することが見出され、それにより低温保存の結果が改善されている。図9に示される通り、プロテアーゼインヒビターであるカスパーゼIインヒビターVのHTSへの添加は、ベースHTSを超える更なる保護を可能にするものである(夫々65%対32%の生存率)。インヒビターを加えたHTS+5%DMSO(クライオスター CS 5N)において細胞が低温保存された場合、HTS+5%DMSOに比較して解凍後24時間の生存率が増加し、また標準DME+5%DMSOと比較した結果も非常に顕著なものである(夫々、85%:72%:28%)。当該インヒビターのHTS+5%DMSOにおける使用は、全般的な低温保存の結果を非低温保存コントロール細胞に対して85%まで改善した。DMSOありまたはなしのHTSへの該インヒビターの添加は、また、当該細胞のより急速な回復を生じる。
【0040】
低温保存がアポトーシスを誘導するメカニズムは明らかではないが、当該細胞におけるアポトーシスのメカニズムの活性化は、凍結解凍過程において体験されるストレスの直接的な結果であるように見える。考えられる1つの説明は、凍結解凍過程の間の細胞の「収縮と膨張」の結果としての細胞膜において影響する物理的圧力である。深遠なハイパーオスモラリティと合わせたこの構造的な撓みがアポトーシスの開始を生じる細胞表面にある死受容体(35)を活性する可能性がある。アポトーシスインヒビターの組み合わせを介した低温保存における改善された結果(図9)は、カスパーゼカスケードの活性化が低温保存の凍結解凍過程の間に生じることを示唆する。もう1つのアポトーシスの活性化手段の可能性は、ミトコンドリアの透過性移行ポア(MPTp)の活性化を引き起こすサイトゾルにおけるフリーラジカルの蓄積の結果としての可能性である。MPTpの活性化は、正常な活性を混乱するミトコンドリアへのおよびミトコンドリアからのイオンの自由拡散を可能にし、それによってカスパーゼカスケードの活性化を引き起こす(35)。アポトーシス開始の考えられるこの道筋についてのサポートは、フリーラジカルスカベンジャーであるα-トコフェロールをHTSに含ませることによる低温保存結果の改善により証明される(図3)。最終的に、亜死細胞およびDNA損傷への応答において、p53遺伝子が活性化され、それにより細胞においてアポトーシスメカニズムの開始が惹起される(31)。低温保存誘導アポトーシスは、1つの特定のアポトーシス誘導経路に直接的に繋がってはいないが、低温保存の失敗に寄与するアポトーシス開始因子と経路の組み合わせによるものであるのかもしれない。更なる研究が、経路と低温保存誘導アポトーシスとが親しく関係するものであるかどうかを決定するためには必要である。
【0041】
残る問題は、ビタミンEおよび/またはEDTAがアポトーシスの阻害を経てそれらの保護作用を生じているのかどうかということである。現時点では、この質問には容易に答えられない。HTSおよびEDTAプラスビタミンEにおける4℃での11日間のMDCK細胞の冷蔵保存は、EDTAまたはビタミンEの何れかを単独で添加したHTSよりもより高い細胞生存能を提供する(図10)。HTSでの添加物としてのEDTAおよびビタミンEを試験する同様の実験は、ひよこ心筋細胞で達成されている。この興奮しやすい細胞を用いたデータは、ビアスパンTMと同様な保護評価順位を示す。ビタミンEの水可溶性形態、トロロックス(Trolox)による更なる実験は、ビタミンEと同様の結果を示した(データには示さず)。従って、どのようなメカニズムであっても、ビタミンEとEDTAはハイポサーモゾルTMの効果を増強し、2つの薬剤の効果は付加的であるようである。これらのデータは、細胞、哺乳類臓器および工学技術により設計された組織のための低温保存溶液の今後の改良が、低温保存中の細胞質およびゲノムの両方において生じる分子変化において注目されるべきであることを示唆する。
【0042】
特異的な細胞内型溶液、即ち、ハイポサーモゾルTM、の低温保存用液およびDMSOのための担体溶液の両方としての使用は、解凍後の細胞生存能を顕著に増加する。ハイポサーモゾルTMの使用は、凍結解凍過程に当該細胞が曝露されるイオン依存的ストレスを減少すると考えられる。加えて、低温保存後に観察される該細胞死は、損傷および続く凍結誘導外傷性ネクローシスに関連する物理的な凍結解凍を厳密には制限するものでない。最初の時点では、アポトーシスは低温保存の失敗と関連すると示されている。本発明の低温保存中のアポトーシスインヒビターの使用は、低温保存の成功例を増加する。更に、冷蔵保存溶液としてのHTSのパフォーマンスを改善する薬剤であるα−トコフェロールの添加もまた、HTSの低温保存能力を改善する。最後に、低温保存の結果における最高の改善は、クライオスターTMCS5(HTS+5%DMSO)とアポトーシス経路を混乱するカスパーゼインヒビター(クライオスターTMCS5N)との組み合わせての使用により達成される。従って、発明のハイポサーモゾルTM組成物、クライオスターTMCS5Nは、低温保存により誘導されるアポトーシスの開始を阻害するために設計することにより調製される第1の保存溶液である。
【0043】
加えて、HTS(DMSO非含有)は、低温保護剤として使用されることから、当該保存溶液は、現在では多少のプロトコールにより必要とされる、適用前にDMSOを取り除くためのマルチステップウォッシュ処理の排除を介して、臨床的組織工学技術適用に特に有用である。更に、分子学および/または物理学を基礎とした低温保存の失敗を解決するための今後の研究が、「低温保存キャップ」の制限を克服するために必要である。
【0044】
本発明は、0℃−5℃で冷蔵保存することとおよび冷凍保存することとの両方によって、種々の臓器、組織および細胞を保存することにおいて使用することが想像される。これに限られるものではないが、肺、肝、心臓、腎、腸、目および皮膚を含む臓器を、レシピエント患者に移植する前に、本発明に従って冷蔵保存することが可能である。本発明に従って、骨髄等の組織、並びに赤血球および白血球等の細胞を長期間冷凍保存することが可能である。例えば、法医学および病理学的記録のための組織を、生存率の顕著な損失なく、低温保存することが可能である。治療的および研究的興味のための細胞株を、本発明に従って、短期または長期に低温保存することが可能である。詳細な利益の1つは、体外受精等の生殖処置のための生殖体または胚を長期間低温保存するために適用されることである。本発明の改変は、完全な多細胞臓器の長期保存に適用されてもよい。保存に加えて、アポトーシスを制御するこの方法は、液体窒素で貯蔵することを具備する従来の方法によって低温保存される細胞および組織を救助するために使用される。
【0045】
本発明を更に以下の非限定的な例の手段により説明する。
【0046】

方法
MDCK細胞培養。マディン・ダービー・ケーナイン腎(MDCK)細胞はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection,Rockville,MD)から入手した。ストック培養物は、37℃/95%エア5%COで、ファルコンTフラスコ内で維持し、10%胎児ウシ血清および1%ペニシリン/1%ストレプトマイシン(GIBCO-BRL Laboratories,Grand Island,NY)を含有するダルベッコ改変イーグル(DME)培地(4500mg グルコース/リットル)で培養した。細胞は、約1×10/cmの密度でファルコン24ウェルプレートに播種した。全細胞は低温実験に使用される時にはコンフルエントであった。
【0047】
低温保存および蛍光アッセイ。当該細胞培養用培地をMDCK培養物から除去し、該細胞をハンクス平衡化塩溶液を用いて洗浄し、この培地を、夫々に室温まで予加温したハイポサーモゾル(登録商標)、ビタミンEまたはEDTAを用いて改変したハイポサーモゾル(登録商標)、またはビアスパンTM(VIASPAN)の何れかと置換した。当該低温培地は胎児ウシ血清を含有しなかった。次に当該プレートを4℃に1から11日の範囲の期間に亘り維持した。続いて、これらの期間の終わりに、プレートを4℃の培地で洗浄し、10%の胎児ウシ血清を含有する培地中で段階的に37℃まで暖めた。細胞を37℃で24時間維持して回復させた。この期間の最後に、細胞培養プレートを既に記載された通りに(5,10)、1時間37℃で、毒性のない代謝インジケーターであるアラマーブルーTM(ALAMAR BLUETM,Westlake,OH)を用いてアッセイした。アラマーブルーTMは、フェノールレッドを含まないHBSS中で1:20に希釈し、培地を除いた後に0.5mLを各細胞培養ウェルに添加した。その蛍光形態へのアラマーブルーTMの代謝依存的転換をサイトフルオロ2350(CytoFluor2350,Millipore Corporation,Bedford,MA)またはサイトフルオロII(CytoFluor II,PerSeptive Biosystems,Cambridge,MA)を使用し、530nm励起/590nm蛍光フィルタセットを用いてモニターした。該アッセイの後、続いてアラマーブルーTM溶液を取り除き、10%胎児ウシ血清を添加した培地の1.0mLで置き換えた。毎日または2日に1度、アラマーブルーTMを用いて同様な方法により再度アッセイした。このアラマーブルーTM処理は殆どの場合において4から7日間に亘って繰り返した。
【0048】
カルセイン-AM(Calcein-AM)は、モレキュラー・プローブズ・オブ・ユージーン(Molecular Probes of Eugene,OR)から入手し、膜完全性染色として使用した。カルセインのストックバイアルを1mgカルセイン−AM/mLDMSO(シグマ)に溶解した。このストック溶液をHBSS(GIBCO)と1/100で混合し、7日間の4℃で低温保存されたMDCK細胞と1時間のインキュベーションを行った。次に、当該細胞をハンクス平衡化塩溶液で洗浄し、サイトフルオロ2350またはサイトフルオロIIを使用して485nm励起/530nm蛍光フィルタセットを用いて、インサイチュウで該染料の保持を分析した。蛍光ユニットが大きい程、より多くの染料が当該細胞によって保持されると見なされた。
【0049】
低温保存溶液。ハイポサーモゾル(登録商標)は、クライオメディカル・サイエンシーズ(Cryomedical Sciences,Rockville,MD)の許可を得て、当研究室で調製した。この溶液の完全な処方は公開されている(4)。EDTAはシグマから入手した。ビタミンE(α-トコフェロール)およびEDTAは、シグマ・ケミカル・Co.(Sigma Chemical Co.)から入手した。アポトーシスプロテアーゼパンインヒビターIDUN−1529とIDUN−1965は、IDUNファーマシューティカルズ(IDUN pharmaceuticals,San Diego CA)から入手した。アポトーシスプロテアーゼインヒビターであるカスパーゼ-1インヒビターV(Caspase-1 Inhibitor V)はカルバイオケム(CalBiochem,La Jolla,CA)から入手した。全てのストックプロテアーゼインヒビターはDMSOに溶解し、次いでハイポサーモゾルTMに希釈した。ビタミンEは、ハイポサーモゾルTMに添加する前にDMSO(シグマ)に溶解した。ビアスパン(登録商標)は、Dr.アン・ロビコード(Anne Robichaud,Dupont Merck Pharmaceutical Company,Wilmington,DE.)により快く寄贈頂いた。デュポン-メルクとの協定に従い、ビアスパンTMはここに記述した実験のためにどのような変更(例えば、EDTAまたはビタミンEの添加等)も加えなかった。全ての実験は少なくとも3回は繰り返した。
【0050】
DNAゲル電気泳動。MDCK細胞は、75cmTフラスコ(Cornin Inc.,Corning,NY)中でコンフルエントな状態で、ハイポサーモゾルTMまたはDMEの何れかにおいて、4℃で1から6日間、低温保存した。次に、細胞培養物を37℃にし、培地を上述の通りに置換した。当該細胞は、37℃で細胞培養用培地中で再生した。次に、−70℃で保存するために、この再生期間を通して剥離した細胞を、濯ぎ、STE緩衝液(8%のショ糖、50mMのTris-HCl、50mMのEDTA、pH8.0)の0.5mLに再懸濁した。接着細胞をトリプシン/EDTAを使用して剥離し、同様に保存した。
【0051】
これらの細胞を解凍し、1.6mLのマイクロフュージチューブで500×gでペレットにした後、それらを消化緩衝液{100mMのNaCl、10mMのTris-HCl、25mMのEDTA(pH8.0)、10%のSDS}に再懸濁し、26ゲージの皮下用注射針を装着した1.0mLの注射筒を用いて破壊した。異なったフェノール−クロロホルム抽出液を用いてたんぱく質を沈殿した。得られた水相に対して3Mの酢酸ナトリウムと100%の氷冷エタノールの添加に続き、−20℃で全核酸を沈殿した。乾燥核酸ペレットを50mMのTris−HCL(pH8.0)−0.1%ドデシル硫酸ナトリウムに再懸濁した。RNAは、100μg/mLの最終濃度でのRNaseA(シグマ)の添加を経て変性し、続いて、少なくとも30分間37℃でインキュベートした。界面にデブリスがなくなるまで、フェノール−クロロホルム抽出を行った。DNAは前述した通りに沈殿し、TE{10mMのTris-HCl(pH8.0)、1mMのEDTA}に再懸濁した。
【0052】
変性したDNAと正常なDNAを、標準的なアガロースゲル電気泳動を使用して可視化した。DNAは、1.5%アガロースゲル上で90VでTAE緩衝液{40mMのTris-アセテート、2mMのEDTA(pH8.0)}中で分離した。
【0053】
データ分析
蛍光ユニットは、実験コントロールを基にしてパーセント生存率に変換した。標準偏差の算出を行い、統計学的な有意差はANOVAを使用して決定した(表1)。
【0054】
例I
MDCK細胞を24ウェルプレートでコンフルエントになるまで培養した。次に、培地を注ぎ出し、ハイポサーモゾルTM、0.1mMのEDTAを追加したハイポサーモゾルTM、1mMのビタミンEを追加したハイポサーモゾルTM、ビアスパンTMまたはDMEの何れかをウェルに添加した。MDCK細胞を次に4℃で7日間保存し、37℃で4日間与えて再生した。これらの4日間の夫々の日において(低温から移動した直後、即ち「0」日、も同様に)、培地を注ぎ出し、当該細胞を1時間37℃でアラマーブルーTM中でインキュベートした。各ウェルの相対的な蛍光レベルをサイトフルオロを使用して定量した。次に、当該細胞におけるアラマーブルーTM溶液を注ぎ出し、当該ウェルに胎児ウシ血清を含有するDMEで満たし、当該プレートを37℃のインキュベーター内に24時間戻した。この時期の終わりに、他のアラマーブルーTMアッセイを実施した。表1に記述したデータは、ビタミンEまたはEDTAを含むハイポサーモゾルTM中で低温保存した細胞が、改変なしのハイポサーモゾルTMまたはビアスパンTMの何れかにおいて保存された細胞に比較してより高い蛍光レベルを有していたことを示している。
【0055】
例II
アラマーブルーTMが本当に生存率を反映しているかどうかを試験するために、膜完全性染色を同様に使用した。MDCK細胞を、ハイポサーモゾルTM、ビタミンEを追加されたハイポサーモゾルTM、EDTAを追加されたハイポサーモゾルTM、またはDMEの何れかにおいて4℃で7日間維持した。低温から37℃に細胞を移動した直後に、当該細胞をアラマーブルーTMで1時間インキュベートし、サイトフルオロを使用して蛍光量を定量した。続いて、全アラマーブルーTMを細胞から洗い去り、膜完全性染料、即ち、カルセイン-AM、を37℃で1時間添加した。取り込まれなかった染料は細胞から洗い去り、ハンクス平衡化塩溶液に取り替えて、得られた蛍光細胞をサイトフルオロで分析した。得られたデータは図4に示す。アラマーブルーTMの蛍光レベルはカルセインの蛍光レベルに類似することに注意されたい。
【0056】
例III
ビタミンEおよびEDTAを試験し、これらの追加が更なる作用を有するか否かを決定した。ビタミンE含有ハイポサーモゾルTM、EDTA含有ハイポサーモゾルTM、ビタミンEおよびEDTAの両方を含有するハイポサーモゾルTM、ベースのハイポサーモゾルTM中で、MDCK細胞を11日間に亘って低温保存した。これらの種々の溶液をビアスパンTMまたはDME中で保存した細胞と比較した。最高成績の溶液はビタミンEとEDTAを共に含有するハイポサーモゾルTMであることに注目されたい(図3)。
【0057】
例IV
DME中で1または2日間保存されたMDCK細胞を、37℃で3日間与えて再生した。低温保存の結果として、多くの細胞は基層からデタッチされ、これを回収した。それらのDNAを単離し、DNAゲル上で特徴付けした(図6、レーン3および4)。また、1日の低温保存後に基層に対して付着され維持された細胞も回収し、それらのDNAを単離し、DNAゲル上で特徴付けした(図6、レーン2)。(1および2日の低温保存後の付着細胞からのDNAも同様に処理したが、1日間の低温において保存された細胞からのDNAのみ、ここで代表して示した)。レーン3および4のDNAはラダー様外見を有するが、これに対して付着細胞からのDNA(レーン2)は正常に見え、正常なゲノムDNAを示す高分子量のバンドを示す。
【0058】
例V
同様なプロトコールを、ハイポサーモゾルTM中で1、2、4、5および6日間(図6、レーン6-10)保存し、37℃で3日間与えて再生したMDCK細胞について実施した。1日間保存した培養物において付着が維持された細胞のDNA(レーン5)は、2から6日間の低温保存後に付着していた細胞(データは示さず)と同様なシングルバンドのように見えた。しかしながら、剥がれた細胞は、ラダー様の全ての200塩基が現れるバンドを有するアポトーシス性の周期を示した。また、これらのレーンの最上部には、接着した細胞から単離された正常なDNAにおいてははっきりとは認められなかったスメアがあった。当該プレートの4℃での保存が長くなればなる程、デタッチした細胞の数がより多くなった(データは示さず)。図4における各レーンには同量のDNAをロードしたので、この観察は該ゲルにおいては見られない。低温保存のより早い時期ではよりはっきりとしたラダー様が示され(レーン6-8)、より遅い保存期間ではDNAスメアがひどい(レーン9-10)ことに注目されたい。
【0059】
例VI
低温保存に暴露されたための細胞死においてアポトーシスが関連する可能性は、ハイポサーモゾルTMへのアポトーシスプロテアーゼインヒビターの添加により試験できた。アポトーシス特異的プロテアーゼパンインヒビターであるIDUN−1529およびIDUN−1965をハイポサーモゾルTMに添加し、当該細胞を6時間、低温保存した。回復期間においては何れのプロテアーゼインヒビターも添加しなかった。IDUN−1529(100μM)とIDUN−1065(100μM)の両者とも、この期間のMDCK細胞を保護できた(図5)。更なるアポトーシス特異的プロテアーゼインヒビター、カスパーゼ−1インヒビターVも同様に試験した。図6のデータは、カスパーゼ−1インヒビターVの添加が、濃度依存的にハイポサーモゾルTMの低温保存能力を改善することを示す。
【0060】
例VII
実験は、前立腺癌細胞株であるPC−3をインビトロモデルとして使用するように設計し、細胞死の基本的な分子的機序における温度の影響を試験した。コンフルエントのPC−3培養物を37℃から−80度の温度に暴露し、2日間を与えて回復させた。死亡および生存細胞を単離し、アガロースゲル電気泳動を使用してDNA断片化についてアッセイした。−5℃以上の温度に曝した細胞は、非ランダムDNA断片化(アポトーシス細胞死の特徴)を示した;ところが、−15℃より低温に曝した細胞では、ランダムDNA断片化によって明らかである通り、主にネクローシスを経て死に至った。次に、細胞生存能について、非侵略的な代謝インジケーターであるアラマーブルーTMを用いて低温暴露後にアッセイを行った。著しく、アポトーシスインヒビターであるIDN−1529(これは−10℃以下への暴露に続くアポトーシスのDNAラダーリングを完全に阻害した)は、また、−10から−75℃までの範囲の温度に暴露した培養物における細胞死を部分的に阻害した。この阻害は、死の主な原因がネクローシスであるらしい温度でさえも生じた。概略すると、(1)PC−3細胞は、アポトーシスまたはネクローシスの何れかによって死に至り、死の様式は、treaTMent温度により決定されることと、(2)アポトーシスインヒビターは、全くネクローシスであるような処理のPC−3細胞の細胞死でさえも阻害するということが結論付けられる。
【0061】
例VIII
液体窒素中(約-196℃)の低温保存からの解凍後24時間のMDCK細胞株のパーセント生存率を示す標本実験を図12に示す。「培地」:コントロール細胞は、で37℃で、ダルベッコ最小必須培地(DME)、「細胞外様の(extracellular)」培地、において試験細胞が供された凍結から解凍までの同じ期間に亘って維持された;DME:未知の低温保存機能を有するDME培養用培地において凍結および解凍された細胞;DME+5%DMSO:低温保存剤としてDMSOを使用した標準的な従来の条件下で凍結および解凍された細胞;DME+10%DMSO:更なるDMSO低温保存剤を含有する標準的な条件下で凍結および解凍された細胞;ビアスパンTM:腎臓、肝臓および膵臓凍結保存(約0-5℃)に使用される商業的に入手可能な「細胞内様の(intracellular)」臓器維持溶液において凍結および解凍された細胞;HTS:高濃度の公知の低温保護剤を使用せずに、標準的な培地+DMSOと同様の低温保存効果を提供する、細胞、組織および臓器の冷保存のために設計された細胞内様(intracellular)培地であるハイポサーモゾルTM中で凍結および解凍された細胞;クライオスターTMCS5(HTS+5%DMSO):ハイポサーモゾルTMプラス5%DMSOにおいて凍結および解凍された細胞、ここで、DMSOはHTS単独よりも細胞生存能を改善した(統計学的に有意差あり);クライオスターTMCS10(HTS+10%DMSO):ハイポサーモゾルTMプラス10%DMSOにおいて凍結および解凍された細胞、ここでDMSOは、思いがけなくHTS単独よりも細胞生存能を改善した(統計学的に有意差あり);HTS+1mMコレステロール:ハイポサーモゾルTMプラス1mMコレステロールにおいて凍結および解凍された細胞、ここで、コレステロールは、膜安定化剤であり、HTS低温保護レベルを低下する;HTS+5mMビタミンE:ハイポサーモゾルTMおよび5mMビタミンEにおいて凍結および解凍された細胞、ここで、ビタミンEは細胞膜安定化剤であり、HTS低温保護レベルを増進する。
【0062】
本発明は、詳細に且つその明らかな態様について記述されいるが、当該記述分野において通常の技術を有する者には、種々の変更や改良が本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされることは明らかであろう。
【0063】
ここに引用される全ての引用文献は、参照されることによりここに組み込まれる。
【0064】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 DME、ビアスパンTM、ハイポサーモゾルTM、EDTA含有ハイポサーモゾルTM、またはビタミンE含有ハイポサーモゾルTMにおけるマディン・ダービー・ケーナイン腎(MDCK)細胞の7日間の冷蔵保存の効果。MDCK細胞は、24ウェルプレートにおいてコンフルエントまで増殖させ、上記の5溶液の1つにおいて4℃での低温保存に供した。7日の最後に、細胞を4℃から37℃に移動し、更なる4日間維持した。細胞生存能はこれらの各日において評価した。冷蔵保存溶液の効果はビタミンE含有ハイポサーモゾルTM>EDTA含有ハイポサーモゾルTM>ハイポサーモゾルTM>ビアスパンTM>DMEであったことに注目されたい。
【図2】 種々の評価アッセイを使用したMDCK細胞の低温保存(-196℃)の結果であるパーセント生存率の比較。
【図3】 低温保護剤の添加ありおよびなしの、細胞外様(DME)および細胞内様(HTS)担体溶液の両方におけるMDCK細胞の低温保存の解凍蘇生の5日後の比較結果。標準偏差および統計学的有意差を表1に示した。注:クライオスターCS5TMはHTS+5%DMSOである。
【図4】 DME、ハイポサーモゾルTM、EDTA含有ハイポサーモゾルTM、またはビタミンE含有ハイポサーモゾルTMにおけるMDCK細胞の7日間の冷蔵保存の影響−細胞膜完全性および生存能のアッセイ。MDCK細胞は、24ウェルプレートにおいてコンフルエントまで増殖させ、DME、ハイポサーモゾルTM、EDTA含有ハイポサーモゾルTM、またはビタミンE含有ハイポサーモゾルTMにおいて4℃で7日間の低温保存に供した。当該低温からの移動の直後に細胞をアラマーブルーTMとカルセイン−AMとでアッセイした。蛍光レベルはビタミンEを添加したハイポサーモゾルTM中で保存させた細胞において最も高いものだったことに注目されたい。これはこの溶液が生存能(アラマーブルーTM)および細胞膜の完全性(カルセイン−AM)を最もよく保護し得ることを示す。
【図5】 低温保存(-196℃)したMDCK細胞の解凍後の24および48時間のDNAゲル電気泳動。レーン1、7および13は、HindIIIでのλDNA切片(23.1、9.4、6.5、4.3、2.3、2.0および0.5Kb)を含み、それに対してレーン2、8および14は単離された生存する接着MDCK細胞からの正常なゲノムDNAを含む。レーン3−6および9−12は、死んで浮かび上がった細胞から単離されたDNAを示す。レーン3および9はDME中で保存された細胞からのDNAを含み、レーン4および10はDME+5%DMSOで保存された細胞からのDNAを含み、レーン5および11はハイポサーモゾルTMで保存された細胞からのDNAを含み、レーン6および12はクライオスターCS5TMで保存された細胞からのDNAを含む。
【図6】 DMEまたはハイポサーモゾルTMにおいて低温保存されたMDCK細胞から単離されたDNAのゲル電気泳動。MDCK細胞は以下の通りに、DMEまたはハイポサーモゾルTMの何れかにおいて種々の時間に亘り4℃で低温保存された:レーン1−分子量マーカー;レーン2−DMEにおける1日の低温保存後の接着細胞;レーン3−DMEにおける1日の低温保存後の浮き上がった細胞;レーン4−DMEにおける2日間の低温保存後の浮き上がった細胞;レーン5−ハイポサーモゾルTMにおける1日の低温保存後の接着細胞;レーン6−ハイポサーモゾルTMにおける1日の低温保存後の浮き上がった細胞;レーン7−ハイポサーモゾルTMにおける2日の低温保存後の浮き上がった細胞;レーン8−ハイポサーモゾルTMにおける4日の低温保存後の浮き上がった細胞;レーン9−ハイポサーモゾルTMにおける5日の低温保存後の浮き上がった細胞;レーン10−ハイポサーモゾルTMにおける6日の低温保存後の浮き上がった細胞。
【図7】 DME、ハイポサーモゾルTM、IDUN−1529含有ハイポサーモゾルTM(HTS+AI-1、100μM)、およびIDUN−1965含有ハイポサーモゾルTM(HTS+AI-2、100μM)におけるMDCK細胞の6日間の冷蔵保存の影響。MDCK細胞は24ウェルプレート中でコンフルエントまで増殖させ、上記の4の溶液の1において4℃で低温保存に供した。6日目の終わりに細胞を4℃から37℃にし、5日間追加培養した。細胞の生存率は毎日定量した。両阻害剤はハイポサーモゾルTMにおける冷蔵保存力を改良したことをに注目されたい。
【図8】 ハイポサーモゾルTMおよび記述した濃度のカスパーゼ−1インヒビターV(AI V)を含有するハイポサーモゾルTMにおけるDMCK細胞の7日間の冷蔵保存の影響。MDCK細胞は24ウェルプレートにおいてコンフルエントまで培養し、5つのインヒビター溶液の1を含むハイポサーモゾルTMまたはインヒビターを含まないハイポサーモゾルTMにおいて低温保存に供した。7日目の終わりに、細胞を4℃から37℃に移し、3日間追加培養した。細胞の生存能はこれらの毎日において評価した。このインヒビターは濃度依存的にハイポサーモゾルTMの低温保存能を改善したことに注目されたい。
【図9】 細胞内様溶液:ハイポサーモゾルTM(HTS)、HTS+アポトーシスインヒビター(カスパーゼIインヒビターV)、クライオスターCS5TMおよびクライオスターCS5NTM(クライオスターCS5TM+カスパーゼIインヒビターV)における低温保存されたMDCK細胞の解凍回復5日後の比較。標準偏差および統計学的有意差を表1に示す。
【図10】 DME、ビアスパンTM、ハイポサーモゾルTM、ハイポサーモゾルTMとビタミンE、ハイポサーモゾルTMとEDTA、EDTAおよびビタミンE含有ハイポサーモゾルTMにおけるMDCK細胞の冷蔵保存11日間の影響。MDCK細胞は、24ウェルプレートにおいてコンフルエントまで培養し、4℃で11日間低温保存し、それに続いて、37℃で毎日アッセイした。効果の順位はTHS+ビタミンEおよびEDTA>HTS+ビタミンE>TS+EDTA>HTS>ビアスパンTM>DMEであったことに注目されたい。データはビタミンEとEDTAの効果は、付加的であることを示している。
【図11】 低温保護剤添加ありおよびなしの種々の細胞内様担体溶液(HTSおよびビアスパンTM)において低温保存(-196℃)されたMDCK細胞の解凍回復5日後の比較。標準偏差および統計学的有意差を表1において報告する。
【図12】 液体窒素(約-196℃)における24時間の低温保存からの解凍24時間のMDCK細胞株のパーセント生存率を示すサンプル実験。
【図13】 表記濃度のDMSO含有および非含有DME並びにHTS、種々の培地での低温保存、並びに非凍結コントロールの間での影響の比較。凡例は図12に記載する通りである。
【図14】 図13に記載のグループの詳細。ここで、細胞は液体窒素において1−7日間凍結し(グループ当たりの持続期間は重要ではない)、1−5日の凍結後回復期間を測定した。傾斜は時間当たりの細胞回復を示す。当該回復過程は、HTSを低温保護培地として使用した場合、またはDMSOを担体培地として使用した場合に促進される。

Claims (14)

  1. 動物またはヒト臓器、組織または細胞の低温保存のための細胞非含有溶液組成物であって、
    (a)35から45mMの濃度のカリウムイオン、80から120mMの濃度のナトリウムイオン、2から10mMの濃度のマグネシウムイオンおよび0.01から0.1mMの濃度のカルシウムイオンからなる群より選択された1以上の電解質;
    (b)循環系からの脱出を制限するのに十分に大きいサイズを有し、且つ血漿圧に等しいコロイド浸透圧を維持するのに効果的であり、且つヒト血清アルブミン、多糖およびコロイド状デンプンからなる群より選択された高分子膨張剤;
    (c)生理学的および低温の条件下で効果的な生物学的pH緩衝液;
    (d)栄養学に有効な量の少なくとも1の単糖;
    (e)非透過性であり、且つヒドロキシラジカルのスカベンジに有効な量のマンニトール;
    (f)細胞膜に対して非透過性であり、且つ低温暴露の間の細胞膨張を抑制するのに効果的な非透過性アニオンであり、ラクトビオネート、グルコネート、シトレートおよびグリセロホスフェートからなる群より選択された少なくとも1である非透過性アニオン
    (g)ATPの再生に効果的な基質であり、アデノシン、フルクトース、リボースおよびアデニンからなる群より選択された少なくとも1である基質、ならびに
    (h)アポトーシスで誘導される細胞死を阻害する少なくとも1の薬剤;
    を含有する細胞非含有溶液組成物。
  2. 更にグルタチオンを含有する請求項1記載の動物またはヒト臓器、組織または細胞の低温保存のための細胞非含有溶液組成物
  3. 請求項1記載の動物またはヒト臓器、組織または細胞の低温保存のための細胞非含有溶液組成物であって、当該アポトーシスで誘導される細胞死を阻害する少なくとも1の薬剤がフリーラジカルの細胞レベルを減少する薬剤を含む細胞非含有溶液組成物
  4. 請求項記載の動物またはヒト臓器、組織または細胞の低温保存のための細胞非含有溶液組成物であって、当該フリーラジカルの細胞レベルを減少する少なくとも1の薬剤がビタミンEおよびEDTAからなる群より選択される1を含む細胞非含有溶液組成物
  5. 請求項1記載の動物またはヒト臓器、組織または細胞の低温保存のための細胞非含有溶液組成物であって、前記低温保存が10℃から0℃の間で行われる細胞非含有溶液組成物
  6. 請求項5記載の動物またはヒト臓器、組織または細胞の低温保存のための細胞非含有溶液組成物であって、前記アポトーシスで誘導される細胞死を阻害する薬剤が1以上のカスパーゼプロテアーゼのインヒビターを含む細胞非含有溶液組成物
  7. 請求項1記載の動物またはヒト臓器、組織または細胞の低温保存のための細胞非含有溶液組成物であって、前記低温保存が凍結の始まる温度から−196℃までの間の温度の低温保存である細胞非含有溶液組成物
  8. 請求項7記載の動物またはヒト臓器、組織または細胞の低温保存のための細胞非含有溶液組成物であって、当該アポトーシスで誘導される細胞死を阻害する薬剤が1以上のカスパーゼプロテアーゼのインヒビターを含む細胞非含有溶液組成物
  9. 請求項1に記載の低温保存のための細胞非含有溶液組成物を使用する低温での動物またはヒト臓器、組織または細胞の保存方法であって、
    (a)アポトーシスで誘導される細胞死を阻害する少なくとも1の薬剤を含む低温保存のための細胞非含有溶液組成物と細胞を混合すること;および
    (b)10℃から0℃の間の温度まで細胞を冷やすこと;
    を具備する方法。
  10. 請求項9記載の低温で動物またはヒト臓器、組織または細胞を保存する方法であって、前記アポトーシスで誘導される細胞死を阻害する少なくとも1の薬剤が一酸化窒素産生の上流モジュレータを含む方法。
  11. 請求項9記載の低温で動物またはヒト臓器、組織または細胞を保存する方法であって、アポトーシスで誘導される細胞死を阻害する少なくとも1の薬剤がフリーラジカルの細胞レベルを減少する薬剤を含む方法
  12. 請求項1に記載の低温保存のための細胞非含有溶液組成物を使用する低温で動物またはヒト臓器、組織または細胞を保存する方法であって、
    (a)アポトーシスで誘導される細胞死を阻害する少なくとも1の薬剤を有する低温保存のための細胞非含有溶液組成物と細胞を混合すること;
    (b)凍結が始まる温度から−196℃の間の温度まで細胞を冷やすこと;
    を具備する方法。
  13. 請求項12記載の低温で動物またはヒト臓器、組織または細胞を保存する方法であって、前記アポトーシスで誘導される細胞死を阻害する少なくとも1の薬剤が一酸化窒素産生の上流モジュレータを含有する方法。
  14. 請求項12記載の低温で動物またはヒト臓器、組織または細胞を保存する方法であって、当該アポトーシスで誘導される細胞死を阻害する少なくとも1の薬剤がフリーラジカルの細胞レベルを減少する薬剤を含む方法
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