JP4375649B2 - 薄膜堆積用マスク及び薄膜堆積装置 - Google Patents

薄膜堆積用マスク及び薄膜堆積装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜堆積用マスク及び薄膜堆積装置に関し、例えば光ディスクや光学部品などを製造する際に用いて好適な薄膜堆積用マスク及びそれを備えた薄膜堆積装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、真空中あるいは減圧雰囲気中における薄膜堆積技術が急速に発達し、幅広い産業分野において各種製品の製造工程に採用されつつある。これら薄膜堆積に際して、薄膜を堆積すべき基板の一部を「マスク」により覆った状態で薄膜を堆積すべき場合がある。
【0003】
例えば、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの製造に際しては、円盤状のポリカーボネート(PC)基板の中心部と周縁部とをそれぞれマスクにより覆った状態で、所定の領域のみに、スパッタリングにより光学薄膜を堆積する。
【0004】
このような光学薄膜を連続的に堆積する薄膜堆積装置を開示した文献としては、例えば、特開2000−64042号公報を挙げることができる。
【0005】
図9は、この薄膜堆積装置の全体構成を表す概念図である。すなわち、同図に例示した装置は、CDなどのディスク状の基板に薄膜を堆積するスパッタ装置であり、略円筒状の基板搬送チャンバ312と、略円筒状のスパッタチャンバ311とが連結した構成を有する。被処理物であるディスク基板301は、円盤のサセプタ302の上に載置され、さらにこれが搬送テーブル310の上に載置された状態で、回転機構303を矢印Cの方向に回転することにより、基板搬送チャンバ312内を搬送される。
【0006】
ディスク基板301の出し入れは、搬送チャンバ開口部306から行うが、この際に、ディスク基板301はサセプタ302とともにサセプタプッシャ308により矢印Bの方向に持ち上げられる。すると、搬送チャンバ312とサセプタ302との間に設けられたシール機構320と、サセプタ302とサセプタプッシャ308との間に設けられたシール機構322とにより、ディスク基板301は、搬送チャンバ312から遮蔽された状態となる。すなわち、搬送チャンバ312を真空状態に維持したまま、基板301を開口部306から大気中に出し入れすることができる。この際に、図示しない仕切弁を介して、開口部306の下の空間の真空破壊、真空粗引きを適宜実施することができる。
【0007】
一方、スパッタリングの際には、ディスク基板301は回転機構303によりスパッタチャンバ311の下に搬送され、プッシャ309により矢印Dの方向に持ち上げられる。すると、基板301はセンターマスク330とアウターマスク340に圧接され、基板301の中心付近と周縁部とがそれぞれマスキングされた状態となる。この状態でスパッタ源307を動作させることにより、基板301の所定領域のみに薄膜を堆積することができる。なお、これらのマスク330、340は、スパッタリングの際の基板の加熱を抑制するため、熱伝導性の良好なCu(銅)により形成されている。
【0008】
図9に表した装置は、CDやDVDなどのディスク基板上に光学薄膜を堆積するような場合に、非常に高い生産性を実現できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図9に例示したような装置の場合、スパッタリングチャンバ311に設けられたセンターマスク330やアウターマスク340の表面にも薄膜が堆積するので、所定の間隔でこれらを洗浄する必要がある。
【0010】
従来のCDの製造にあたっては、基板上にAl(アルミニウム)を堆積することが多く、この場合は、マスク330、340を装置から取り外して所定のエッチング液(水酸化ナトリウム溶液など)により洗浄する方法が多く用いられてきた。
【0011】
これに対して、近年急速に需要が伸びているDVDの場合は、Si(シリコン)を堆積する必要がある。ところが、シリコン皮膜を除去する適当なエッチャントがないため、マスク330、340の洗浄は、もっぱら「サンドブラスト」により行う必要がある。「サンドブラスト」とは、例えば粒径1ミリメートル程度の酸化アルミニウムなどの微粒子を、数kgf/cmの程度の圧力で被処理物の表面に噴射する方法である。
【0012】
しかしながら、本発明者の検討の結果、薄膜堆積装置のマスク、特にアウターマスク340をサンドブラスト処理すると、変形が生ずる場合が多いことを知得するに至った。
【0013】
図10(a)は、本発明者が本発明に至る過程で試作したアウターマスク及びそのブラスト治具の断面構造を表す模式図である。すなわち、アウターマスク340と、それを固定するためのマスク押さえ360が薄膜堆積装置から取り外されて、ブラスト治具400に取り付けられる。ここでアウターマスク340とマスク押さえ360は、それぞれ熱伝導性の良好なCu(銅)により形成されている。
【0014】
そして、これらを洗浄する際には、マスク押さえ360に設けられたねじ穴360Mに、ねじ420を挿入してブラスト治具400A及び400Bに固定した状態でサンドブラスト処理を施す。
【0015】
ところが、この状態でサンドブラスト処理を繰り返すと、マスク340の先端付近の部分が、矢印Aで表した方向に「反り返り」、さらに、その最先端部は、矢印Bで表した方向に「伸びる」傾向があることが判明した。
【0016】
図10(b)は、マスク先端部の変形を説明するための模式図である。同図に例示したように、アウターマスク340の先端付近の部分は、サンドブラスト処理により、全体的に矢印Aの方向に持ち上がり、さらに、その先端部が矢印Bの方向に伸びて、「首をもたげたように」変形することが判明した。
【0017】
マスク340がこのように変形すると、基板301においてマスキングされる領域が広がるために、薄膜形成領域の位置とサイズがDVD規格から外れる。これを防ぐためには、マスク340を頻繁に新調しなければならず、マスク340のライフ(寿命)が短いという問題があった。
【0018】
ちなみに、マスク340のライフを伸ばすために、サンドブラストの圧力を下げたり、ブラストの粒径を小さくすることも試みた。
【0019】
しかし、圧力を下げると、ブラストに要する処理時間が加速度的に長くなる傾向が認められ、しかもマスクの変形を効果的に抑制することは困難であった。
【0020】
また、ブラストの粒径を小さくすると、所定のマスクライフに至る前にシリコン皮膜がマスク表面から剥離する傾向が認められた。これは、ブラスト処理によるマスクの表面状態に対応する現象であると考えられる。このために、マスクの寿命は却って短くなってしまう。
【0021】
一方、マスク340の変形を抑制するためには、その先端の厚みを増すことも考えられる。しかし、マスク340の先端の厚みを増すと、いわゆる「シャドウイング(shadowing)効果」によって、それに隣接した薄膜形成領域の膜厚が薄くなる傾向があり、DVD規格により規定される膜厚分布を満たさなくなるという問題が生ずる。
【0022】
以上説明したように、従来の薄膜堆積用マスクを用いてDVDなどの光学薄膜を堆積する場合、サンドブラスト処理によりマスクの変形が生じ、これを解消する有効な手立てがなかった。
【0023】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、サンドブラスト処理を繰り返しても変形が生じない薄膜堆積用マスク及びそれを備えた薄膜堆積装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
基板上に薄膜を堆積する際に前記基板の所定領域をマスキングする薄膜堆積用マスクであって、
ステンレスと同等以上の硬度を有する第1の材料からなり、前記基板の上に延出して前記所定領域をマスキングする肉薄部を有するマスク先端部と、
前記マスク先端部に接合され、前記第1の材料よりも熱伝導性が高い第2の材料からなり、前記肉薄部よりも肉厚のマスク本体部と、
を備えたことを特徴とする薄膜堆積用マスクが提供される。
【0025】
上記構成によれば、サンドブラスト処理を繰り返してもマスク先端部の変形を防ぐことができ、マスク寿命を延ばして生産効率を改善することができる。
【0026】
ここで、前記第1の材料として、ステンレス、Ti(チタン)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)あるいはこれらの合金を主成分とするものを用いると、サンドブラスト処理による変形が生じにくく、真空中でも脱ガスが少ない点で有利である。
【0027】
また、前記第1の材料よりも熱伝導性が高い第2の材料からなるマスク本体部をさらに備えたものとすれば、基板からの放熱を確保することができ、スパッタなどの際の加熱による基板の変形などを効果的に防ぐことができる。
【0028】
また、前記第2の材料としては、Cu(銅)を主成分としたものを用いると熱伝導性が高い点で有利である。
【0029】
さらに、前記マスク先端部にねじ穴が設けられたものとすれば、このねじ穴を用いてサンドブラスト処理の際にブラスト治具に固定することが可能となり、マスク先端部の変形をさらに効果的に抑止することができる。
【0030】
また、前記薄膜堆積用マスクを、光ディスク製造用のアウターマスクとして用いると、マスクを頻繁に新調することなく、高いレベルの膜厚均一性が要求されるDVD規格などに基づいてシリコン薄膜などを安定して堆積することができ、極めて有利である。
【0031】
一方、本発明の薄膜堆積装置は、上記したいずれかの薄膜堆積用マスクを備えたものとして構成され、マスク寿命が長く、DVDなどの製造に好適である。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態にかかる薄膜堆積用マスクの要部断面構成を模式的に例示する概念図である。
【0034】
すなわち、本実施形態の薄膜堆積用マスク140は、円盤状のディスク基板301の周縁部をマスキングするために、略ドーナツ板状の形状を有する。そして、その内周側に設けられたマスク先端部140Aと、外周側に設けられた本体部140Bとを有する。
【0035】
先端部140Aは、例えば、ステンレスなどの比較的硬い材料により形成され、本体部140Bは、Cu(銅)などの熱伝導性の良好な材料により形成されている。
【0036】
このようなマスク140は、例えば、図9に例示したような薄膜堆積装置のスパッタ室に組み込まれ、その先端部140Aが基板の一部をマスキングする役割を有する。
【0037】
本発明によれば、マスクの先端部140Aを硬い材料により形成することにより、サンドブラスト処理を施しても変形が少なく、マスクの寿命を伸ばすことができる。先端部140Aを形成する材料としては、硬く、真空中での脱ガスが少なく、加工が容易であるものが望ましい。具体的には、ステンレスあるいは、それと同等以上の硬度あるいは引っ張り強度を有するものが望ましく、ステンレス(SUS304、316など)、Ti(チタン)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)あるいはこれらの合金などを用いることができる。
【0038】
一方、本体部140Bは、熱伝導性の良好なCu(銅)などの材料により形成することにより、ポリカーボネートなどの基板からの放熱性を確保し、加熱による基板の変形などの問題も解消することができる。
【0039】
マスク先端部140Aとマスク本体部140Bとの接合は、溶接などにより行うことができる。例えば、先端部140Aをステンレス、本体部140BをCu(銅)により形成した場合、電子ビーム溶接あるいはロウ付けにより確実に接合することができる。
【0040】
一方、本発明によれば、ブラスト治具に固定するためのねじ穴140Mをマスク先端部に設けることにより、マスク先端部の「反り返り」などの変形をさらに効果的に抑制することができる。
【0041】
図2は、本発明のアウターマスクをブラスト治具に固定した状態を模式的に表す断面図である。すなわち、本発明のアウターマスク140の場合、固定用のねじ穴140Mがマスク先端部140Aに設けられている。そして、ねじ420によりブラスト治具400A及び400Bに固定される。この状態でサンドブラスト処理を施すと、マスク140の先端部分は、ブラスト治具400に確実に固定され、マスク先端部140Aの「反り返り」を極めて効果的に抑制することができる。
【0042】
さらにまた、本発明によれば、ねじ穴140Mをステンレスなどの硬い材料からなるマスク先端部140Aに設けることにより、ねじ穴の変形も抑制でき、この点からもマスクの寿命を伸ばすことができる。すなわち、図10に例示したような従来のアウターマスク340の場合、Cu(銅)などの柔らかい材料からなるマスク抑え360に固定用のねじ穴360Mを形成し、ステンレスなどのねじ420をねじ込んでブラスト治具400に固定していた。しかし、この場合には、ねじ穴360Mを形成するために、「ヘリサート」などの部品を用いることが必要であり、それでもねじ穴360の寿命はあまり長くできなかった。
【0043】
これに対して、本実施形態によれば、ステンレスなどの硬い材料からなるマスク先端部140Aにねじ穴140Mをタッピングするとができ、ねじ穴140Mの形成も容易でしかも寿命も大幅に伸ばすことができる。
【0044】
一方、図3は、本発明の第2の実施の形態にかかるアウターマスクの断面構造を表す模式図である。すなわち、本実施形態のマスク140は、先端部のみならず、その全体がステンレスなどの硬い材料により形成されている。そして、その先端部付近に、ブラスト治具に固定するためのねじ穴140Mが設けられている。
【0045】
本実施形態においては、マスク140を構成する材料は、第1実施形態におけるマスク先端部140Aの材料を用いることができる。この場合、熱伝導性がCu(銅)などを用いたマスクよりも低下するが、スパッタリング条件や基板の材質などの条件によっては、基板の加熱を許容範囲内に抑えることも可能である。例えば、スパッタリング時に投入する電力パワーが比較的小さい場合などは、基板の昇温も少ないため、ステンレスなどにより形成したアウターマスクを用いても良い場合もある。
【0046】
本実施形態は、このような場合にマスクの変形を確実に抑えることができる点で有利である。
【0047】
本発明者は、以上説明した第1及び第2実施形態のアウターマスクを試作し、比較用に試作したマスクと共に、サンドブラスト処理による変形量を測定した。
【0048】
図4及び図5は、試作したマスクの断面構造を表す模式図である。すなわち、図4(a)は、図10に表したものと同様に全体をCu(銅)により形成した従来のマスクをブラスト治具400に固定した状態を表す。
【0049】
図4(b)は、同図(a)に表したものと同様の従来のマスクを改良したブラスト治具に固定した状態を表す。すなわち、同図のブラスト治具は、マスク先端部の上に、ひさし状の覆い410が設けられ、マスク先端部がブラストに直接晒されないように工夫されている。但し、このブラスト治具は、マスク先端部におけるサンドブラストの影響を調べるためのものであり、マスク先端部の堆積物を除去する点では不利な構造を有する。
【0050】
図5(a)は、本発明の第2実施形態のマスクをブラスト治具に固定した状態を表す。ここで試作したマスクは、全体をステンレス(SUS304)により形成した。
【0051】
図5(b)は、本発明の第1実施形態のマスクをブラスト治具に固定した状態を表す。ここで試作したマスクは、先端部140Aをステンレス(SUS304)、本体部をCu(銅)により形成した。また、これらの接合方法としては、電子ビーム溶接とロウ付けの2種類の方法を採用した。
【0052】
以上説明したそれぞれのマスクについて、サンドブラスト処理を20回繰り返し、各部の寸法を測定した。用いたブラストは、粒径♯20(約1mmφ)の酸化アルミニウム粒であり、噴出圧力は4kgf/cm、1回のブラスト処理の時間は2分間とした。
【0053】
各マスクにおいて測定した寸法は、図4及び図5に表したように、矢印Aの部分における「反り返り」を表す「高さA」と、矢印Bの部分における「高さB」と、マスクの内周先端の「半径R」である。
【0054】
図6は、サンドブラスト処理に伴う高さAの変化を各マスク毎に表したグラフ図である。すなわち、同図の横軸はサンドブラストの回数を表し、同図の縦軸は高さAを表す。
【0055】
ここで、「Cuマスク」は図4(a)、「改良治具」は図4(b)、「SUSマスク」は図5(a)、「Cu+SUS」は図5(b)に表したものをそれぞれ表す。また、「Cu+SUS−EB」は、マスク先端部と本体部とを電子ビーム溶接したものを表し、「Cu+SUS−BR」は、マスク先端部と本体部とをロウ付けしたものを表す。
【0056】
図6において、まず、「Cuマスク」すなわち、全体をCu(銅)で形成した従来のマスクをみると、サンドブラスト処理を繰り返すに従って、先端部が矢印Aの方向に持ち上がり、変形が大きくなることが分かる。
【0057】
また、「改良治具」すなわちマスク先端部をひさし状の覆い410によりカバーした治具を用いた場合にも、マスク先端部が矢印Aの方向に持ち上がり、変形が進行している。
【0058】
一方、本発明の第2実施形態の「SUSマスク」の場合、従来の「Cuマスク」と比較して、変形量Aは半分程度に小さくなっていることが分かる。ただし、次に説明する第1実施形態のマスクと比較して変形量Aは大きい。これは、ねじ420を用いて先端部をブラスト治具400に固定しなかったためであると考えられる。
【0059】
これに対して、本発明の第1実施形態の「Cu+SUS」マスクの場合は、電子ビーム溶接した場合もロウ付けした場合も変形量Aは極めて小さく、マスクの「反り返り」がほぼ解消していることが分かる。
【0060】
図7は、サンドブラスト処理に伴う高さBの変化を各マスク毎に表したグラフ図である。すなわち、同図の横軸はサンドブラストの回数を表し、同図の縦軸は高さBを表す。また、同図に関する凡例も、図6に関して前述したものと同様である。
【0061】
図7から、高さBすなわち、マスク先端の持ち上がり量も、従来のCuマスクの場合は極めて大きく、これに改良治具を用いても高さBはさほど低下しない。
【0062】
これらと比較して、本発明の第2実施形態の「SUSマスク」の場合、高さBは小さく抑制されている。
【0063】
さらに、本発明の第1実施形態の「Cu+SUS」マスクの場合、マスク先端の薄い部分の変形もほぼ解消されていることが分かる。
【0064】
図8は、サンドブラスト処理に伴う各マスクの内周端の半径Rを表したグラフ図である。ここで、同図に関する凡例も、図6に関して前述したものと同様である。
【0065】
図8から、従来のCuマスクの場合は、半径Rは、サンドブラスト処理を繰り返すに従って小さくなることが分かる。これは、マスク先端部の肉薄の部分が先端に向けて伸びるからである。このように、マスクの半径Rが減少すると、マスキング領域が拡大し、DVD規格などの要求を満たさなくなるという問題が生ずる。
【0066】
これに対して、ひさし状の覆い410を設けた改良治具を用いた場合には、マスク先端がブラストから保護されるために、「伸び」も抑制される。但し、この治具を用いた場合は、マスク先端部をブラストで洗浄することはできない。
【0067】
これと比較して、本発明の第2実施形態の「SUSマスク」の場合、半径Rの減少は微少量に抑えられている。つまりマスキング領域の変化が抑制され、マスク寿命を伸ばすことができる。
【0068】
本発明の第1実施形態の「Cu+SUS」マスクの場合も同様に、半径Rの減少は微少量に抑えられ、マスク寿命を伸ばすことができる。
【0069】
以上説明したように、本発明によれば、マスクの少なくとも先端部をステンレスなどの硬い材料により形成することで、サンドブラスト処理に伴う変形を効果的に抑制することかできる。その結果として、マスキング領域の変動に伴うDVDの製造などの製造歩留まりの低下を解消し、マスク寿命を延ばすことができる。
【0070】
次に、本発明者は、第1実施形態のマスクを用いた場合の温度の上昇について測定した。具体的には、図5(b)に例示した「Cu+SUS」マスクを用いて、DVDディスクを連続で500枚スパッタ成膜し、マスク先端部の温度を測定した。スパッタ条件は、投入電力2.4kW、スパッタ時間2.8秒、アルゴン流量25.0SCCM、タクト時間3.8秒である。
【0071】
その結果、先端部140Aと本体部140Bとを電子ビーム溶接したものとロウ付けしたもののいずれにおいても、マスク先端部140Aの温度は48℃未満であり、ポリカーボネート基板の変形温度よりもかなり低い温度に抑制されていることが確認できた。
【0072】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0073】
例えば、マスクの形状は、図示したものには限定されず、薄膜堆積装置の構造や、被堆積物の形状あるいは堆積すべき領域のパターンなどに応じて適宜変更したものも本発明の範囲に包含される。
【0074】
また、マスク先端部と本体部とのバランスについても、図示したものに限定されず、変形量と熱伝導性とを考慮して適宜決定したものは本発明の範囲に包含される。
【0075】
さらに、薄膜堆積方法についても、スパッタには限定されず、その他、電子ビーム蒸着などの各種の蒸着法、酸化性雰囲気などのもとで行う反応性蒸着法、化学気相堆積法(Chemical Vapor Deposition)、イオンプレーティング法などの各種の方法を用いたものは本発明の範囲に包含される。゜
【発明の効果】
本発明は、以上説明した形態で実施され、以下に説明する効果を奏する。
【0076】
まず、本発明によれば、薄膜堆積用マスクの先端部を硬い材料により形成することにより、サンドブラスト処理を施しても変形が少なく、マスク寿命を伸ばすことができる。
【0077】
また、本発明によれば、薄膜堆積用マスクの本体部は、熱伝導性の良好なCu(銅)などの材料により形成することにより、ポリカーボネートなどの基板からの放熱性を確保し、加熱による基板の変形などの問題も解消することができる。
【0078】
さらに、ブラスト治具に固定するためのねじ穴をマスク先端部に設けることにより、マスク先端部の「反り返り」などの変形をさらに効果的に抑制することができる。
【0079】
またさらに、本発明によれば、薄膜堆積用マスクの全体をステンレスなどの硬い材料により形成することによって、溶接やロウ付けなどの手間が不要となり、変形が少なく寿命の長い薄膜堆積用マスクを提供することができる。
【0080】
以上説明したように、本発明によれば、薄膜堆積用マスクの寿命を延ばし、DVDをはじめとした各種の製品の薄膜製造工程を迅速且つ低コストに実施可能とし、産業上のメリットは多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる薄膜堆積用マスクの要部構成を模式的に例示する断面図である。
【図2】本発明のアウターマスクをブラスト治具に固定した状態を模式的に表す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかるアウターマスクの断面構造を表す模式図である。
【図4】 本発明者が試作したマスクの断面構造を表す模式図である。
【図5】 本発明者が試作したマスクの断面構造を表す模式図である。
【図6】サンドブラスト処理に伴う高さAを各マスク毎に表したグラフ図である。
【図7】サンドブラスト処理に伴う高さBを各マスク毎に表したグラフ図である。
【図8】サンドブラスト処理に伴う半径Rを各マスク毎に表したグラフ図である。
【図9】薄膜堆積装置の全体構成を表す概念図である。
【図10】(a)は、本発明者が本発明に至る過程で試作したアウターマスク及びそのブラスト治具の断面構造を表す模式図であり、(b)は、マスク先端部の変形を説明するための模式図である。
【符号の説明】
140 アウターマスク
140A マスク先端部
140B マスク本体部
140M ねじ穴
301 ディスク基板
301 基板
302 サセプタ
303 回転機構
306 搬送チャンバ開口部
306 開口部
307 スパッタ源
308 サセプタプッシャ
309 プッシャ
310 搬送テーブル
311 スパッタチャンバ
311 スパッタリングチャンバ
312 基板搬送チャンバ
312 搬送チャンバ
320 シール機構
322 シール機構
330 センターマスク
340 アウターマスク
360 マスク抑え
360M ねじ穴
400 ブラスト治具
400A,400B ブラスト治具
410 覆い

Claims (6)

  1. 基板上に薄膜を堆積する際に前記基板の所定領域をマスキングする薄膜堆積用マスクであって、
    ステンレスと同等以上の硬度を有する第1の材料からなり、前記基板の上に延出して前記所定領域をマスキングする肉薄部を有するマスク先端部と、
    前記マスク先端部に接合され、前記第1の材料よりも熱伝導性が高い第2の材料からなり、前記肉薄部よりも肉厚のマスク本体部と、
    を備えたことを特徴とする薄膜堆積用マスク。
  2. 前記第1の材料は、ステンレス、Ti(チタン)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)あるいはこれらの合金を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の薄膜堆積用マスク。
  3. 前記第2の材料は、Cu(銅)を主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜堆積用マスク。
  4. 前記マスク先端部にねじ穴が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の薄膜堆積用マスク。
  5. 前記薄膜堆積用マスクは、光ディスク製造用のアウターマスクであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の薄膜堆積用マスク。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の薄膜堆積用マスクを備えたことを特徴とする薄膜堆積装置。
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