以下、添付の図面を参照しながら、本発明を適用した液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、いわゆるフラットディスプレイの製造ラインに組み込まれるものであり、機能液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出法により、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
図1ないし図4に示すように、液滴吐出装置1は、吐出装置本体2と、これに併設したタンクキャビネット3とを、不活性ガスやドライエアーを導入したチャンバ装置4に収容して構成されている。吐出装置本体2は、床上に設置した大型の架台11と、架台11上に載置された石定盤12と、を備えている。これらの図に示すように、架台11上には、石定盤12を介して描画装置21が広く配設され、また、石定盤12から外れた機台13上には、描画装置21に添設するようにメンテナンス装置22が配設されている。また、吐出装置本体2は、液体供給回収装置23を備えており、タンクキャビネット3には、描画装置21に供給する機能液を貯留する液体供給回収装置23のタンク類が収容されている(詳細は後述する)。さらに、吐出装置本体2には、各装置に圧縮エアー(不活性ガスやドライエアー)を供給するエアー供給装置24や、ワークWを吸引セットするためのエアー吸引装置25、各装置を統括制御する制御装置26が設けられている他、ワーク認識カメラ236やヘッド認識カメラ225等、各種付帯装置が配設されている。
この液滴吐出装置1では、液体供給回収装置23から機能液を供給しながら、エアー吸引装置25で吸着セットしたワークW上に、描画装置21に搭載された機能液滴吐出ヘッド51により機能液滴を吐出して描画を行うと共に、メンテナンス装置22により適宜機能液滴吐出ヘッド51のメンテナンスを行うようにしている。上述したように、吐出装置本体2は、チャンバ装置4内に収容されており、ワークWに対する描画処理や機能液滴吐出ヘッド51のメンテナンス処理等、ほとんどの処理を、これに導入した不活性ガスやドライエアーの雰囲気中で行うようになっている(図1参照)。
ここで、液滴吐出装置1の各装置について簡単に説明する。描画装置21は、セットテーブル141(後述する)にセットしたワークWに機能液を吐出するための吐出手段31と、セットテーブル141に対してワークWを除給(着脱)するためのワーク除給手段32と、を備えている。吐出手段31は、機能液滴吐出ヘッド51を有するヘッドユニット41(サブキャリッジ)と、ヘッドユニット41を着脱可能に支持するメインキャリッジ42と、セットテーブル141(後述する)にセットしたワークWに対してヘッドユニット41を相対的に移動させるX・Y移動機構43と、を有している。
図5に示すように、ヘッドユニット41は、ヘッド保持部材(図示省略)を介して機能液滴吐出ヘッド51を搭載したヘッドプレート52と、メインキャリッジ42に着脱可能に構成されたヘッド支持部材53と、を備えている。ヘッドプレート52の端部には、配管ジョイント55を有するジョイントユニット54が配設されており、配管ジョイント55の一端は、機能液滴吐出ヘッド51(配管アダプタ65)からのヘッド側配管部材(図示省略)が接続され、もう一端は機能液滴吐出ヘッド51に機能液を供給する機能液供給機構(図示省略)からの装置側配管部材(図示省略)が接続される。
ヘッドユニット41には、ヘッドプレート52に12個の機能液滴吐出ヘッド51および12個の配管ジョイント55を搭載した第1ヘッドユニットと、ヘッドプレート52に2個の機能液滴吐出ヘッド51および2個の配管ジョイント55を搭載した第2ヘッドユニットとの2種類のものが用意されており、第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットの機能液滴吐出ヘッド51は、同一の配置パターンに倣って、所定角度傾けた状態でヘッドプレート52に取り付けられている。なお、第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットは、メインキャリッジ42に対する同一の取付形態を有しており、相互に交換可能に構成されている。ただし、機能液滴吐出ヘッド51の個数や配列は、上記したものに限られるものではなく任意である。なお、図5、図7および図8は、第1ヘッドユニットを示している。
図6に示すように、機能液滴吐出ヘッド51は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針62を有する機能液導入部61と、機能液導入部61に連なる2連のヘッド基板63と、機能液導入部61の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体64と、を備えている。各接続針62は、配管アダプタ65を介して、ヘッド側配管部材に接続されており、機能液滴吐出ヘッド51は、各接続針62から機能液の供給を受けるようになっている。ヘッド本体64は、キャビティ71(ピエゾ圧電素子)と、ノズル面73を有するノズルプレート72と、で構成されている。ノズル面73の下面には、多数(180個)の吐出ノズル74からなるノズル列が2列形成されている。機能液滴吐出ヘッド51では、キャビティ71のポンプ作用により吐出ノズル74から機能液を吐出する。
図7および図8に示すように、メインキャリッジ42は、ヘッドユニット41(第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニット)を着脱可能に支持するキャリッジ本体81と、キャリッジ本体81を吊設し、Y軸テーブル122に支持された吊設部材82と、を備えており、吊設部材82には、ヘッドユニット41をθ軸方向に回動させるヘッド回動機構83、およびヘッドユニット41を昇降させるヘッド昇降機構84が組み込まれている。両図に示すように、吊設部材82は、Y軸テーブル122のブリッジプレート241(後述する)に固定される一対のヘッド固定部材91と、一対のヘッド固定部材91の上面に架け渡されたヘッド支持プレート92と、を有しており、ヘッド回動機構83の上部に連結したヘッド昇降機構84がヘッド支持プレート92に支持されている。
ヘッド回動機構83は、ワークWに対するヘッドユニット41の水平面内における角度補正等に用いられるものであり、キャリッジ本体81を支持するようにその上面に固定されたヘッド回動部101と、上側に位置するヘッド昇降機構84に固定されると共にヘッド回動部101をθ軸方向に回動可能に支持するヘッド固定部102と、ヘッド回動部101を回動させる正逆回転可能なヘッド回動モータ103と、を有している。ヘッド回動モータ103は、ヘッド回動部101とヘッド固定部102との間に介設したいわゆるダイレクトモータ(ステッピングモータ)であり、このヘッド回動モータ103を駆動すると、ヘッド回動部101がθ軸を中心に回動する。これにより、キャリッジ本体81を介して、ヘッドユニット41を回動させることができ、水平面内におけるヘッドユニット41(機能液滴吐出ヘッド51)の傾き角度を自在に変更させることが可能となる。ヘッド回動機構83の回動軸となるθ軸は、ヘッドユニット41の重心を通っており、ヘッドユニット41を安定した状態で回動できるようになっている。
なお、ヘッド回動部101の側部には、セットテーブル141の一部を撮像し、セットテーブル141の基準値に対する位置ずれを検出する吐出補正用カメラ104が固定されており、この検出結果に基づいて、機能液滴吐出ヘッド51の吐出タイミングを補正するようになっている(図7参照)。
ヘッド昇降機構84は、ヘッドユニット41に搭載した機能液滴吐出ヘッド51のノズル面73と、X・Y移動機構43のセットテーブル141(後述する)にセットされたワークW表面との間隙、すなわちワークギャップを調整するためのものであり、下部に固定したヘッド回動機構83およびキャリッジ本体81を介してヘッドユニット41を昇降させる。図7および図8に示すように、ヘッド昇降機構84は、一対のヘッド固定部材91に昇降自在に支持されるヘッド昇降スライダ111と、ヘッド固定部材91とヘッド昇降スライダ111との間に介設され、ヘッド昇降スライダ111の昇降移動を案内する4組のヘッド昇降ガイド112と、ヘッド支持プレート92の上面中央に、ヘッド支持プレート92を貫通させて固定したヘッド昇降モータ113(サーボモータまたはステッピングモータ)と、ヘッド昇降モータ113により正逆回転するヘッド昇降ボールねじ(図示省略)と、ヘッド昇降ボールねじに螺合すると共に、ヘッド昇降スライダ111の正面に固定されたヘッド昇降ブロック115と、を備えている。なお、符号116は、ヘッド昇降ブロック115の下限位置を規制するために、ヘッド昇降ブロック115に度当たりする度当り部材であり、度当たり部材116は、度当り調整ねじ117に螺設されている。
ヘッド昇降モータ113を駆動するとヘッド昇降ボールねじが回転し、4組のヘッド昇降ガイド112にガイドされながら、ヘッド昇降ブロック115を介してヘッド昇降スライダ111が昇降する。この結果、ヘッド昇降スライダ111に吊設されたヘッド回動機構83およびキャリッジ本体81を介してヘッド回動機構83に支持するヘッドユニット41が昇降する。この場合、ヘッド昇降モータ113の回転軸は、ヘッド回動機構83のθ軸と一致していると共に、4組のヘッド昇降ガイド112およびヘッド昇降ブロック115は、θ軸に対して点対称に配設されている。これにより、ヘッド昇降スライダ111の水平面内のずれを防止して、ヘッド昇降スライダ111を介して、精度よくヘッドユニット41を昇降させることができるようになっている。
X・Y移動機構43は、いわゆるX・Yロボットであり、X軸方向に延在してワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル121と、X軸テーブル121に直交して配設されたY軸テーブル122と、で構成されている(図2等参照)。なお、Y軸テーブル122の図示手前側の領域がワークWの搬出入が行われるワーク搬出入領域131に、またX軸テーブル121とY軸テーブル122が交わる領域がワークWに描画処理を行う描画領域132になっている。そして、図示しないが、ワーク搬出入領域131に面して、チャンバ装置4には搬出入用開口が形成されており、ワークWは移載ロボットにより、この搬出入用開口から搬入および搬出されるようになっている。
図3、図9および図10に示すように、X軸テーブル121は、ワークWをセットするセットテーブル141(ワークテーブル)と、セットテーブル141をX軸方向にスライド自在に支持するX軸エアースライダ142と、X軸方向に延在し、セットテーブル141を介してワークWをX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ143と、X軸リニアモータ143に並設され、X軸エアースライダ142の移動を案内する一対のX軸ガイドレール144と、を備えており、一対のX軸リニアモータ143を(同期させて)駆動すると、一対のX軸ガイドレール144をガイドにしながら、X軸エアースライダ142がX軸方向に移動し、セットテーブル141にセットされたワークWがX軸方向に移動する。また、一対のX軸ガイドレール144の間には、X軸リニアスケール145が併設されている。X軸リニアスケール145に基づいて、X軸テーブル121を移動するセットテーブル141の刻々の位置を正確に把握し、機能液滴吐出ヘッド51の吐出タイミング用基準パルスを得ている。なお、図中に示す符号146は、各X軸ガイドレール144を上側から覆うように張架された帯状のステンレス製の防液シートであり、これによりX軸ガイドレール144等に対する機能液の付着が防止される。
図10に示すように、セットテーブル141は、X軸エアースライダ142に支持されたθテーブル151に、ワークWを吸着セットする吸着テーブル152を重合させたものである。図11に示すように、θテーブル151は、X軸エアースライダ142に支持されたθテーブル支持部161と、吸着テーブル152の下面に着脱可能に固定され、θテーブル支持部161に対してθ軸方向に回動可能なθテーブル回転部162と、を有している。また、θテーブル支持部161とθテーブル回転部162との間には、θテーブル支持部161側のアウタレース164およびθテーブル回転部162側のインナレース165(環状リング)間に多数のボールを有するベアリング状部材163が組み込まれている。θテーブル回転部162から径方向が外方に延びる作動アーム(図示省略)の先端には、θテーブル回転部162を回転(回動)させるθテーブル駆動部167が設けられている。
θテーブル駆動部167は、モータで構成したアクチュエータ171と、アクチュエータ171に連結したθボールねじ172と、θボールねじ172に螺合する雌ねじ(図示省略)を有するθスライダ173とを有し、このθスライダ173に上記の作動アームが取り付けられている。θスライダ173は、作動アームの角度変化および角度変化に伴う延在方向の寸法変化を許容する回動受け部175および径方向スライド部176を有し、θボールねじ172の正逆回転に伴う進退動を、作動アームの回動動作に動力変換する。これにより、ワークWを吸着テーブル152上にセットした後、アクチュエータ171を駆動すると、θテーブル回転部162がθ軸方向に僅かに回動し、吸着テーブル152を介して、θ軸方向におけるワークWの位置を微調整(補正)できるようになっている。
図12および図13に示すように、吸着テーブル152は、θテーブル151に着脱可能に固定された支持ベース181と、支持ベース181に立設された3点支持機構182と、3点支持機構182に支持され、ワークWを吸着セットするテーブル本体183と、を有している。なお、同図に示すように、吸着テーブル152には、ワーク除給手段32のリフトアップ機構261(後述する)およびプリアライメント機構262(後述する)が組み込まれている。
支持ベース181は、方形に形成した板状の石材で構成されており、支持ベース181の左右両端部下面には、吸着テーブル152の搬出入に用いる一対のテーブル運搬用鋼材184が固定されている。支持ベース181は、吸着テーブル152の重心がθテーブル151の回転軸(すなわちθ軸)と略一致するようにθテーブル回転部162の上面に固定されている。支持ベース181には、θ軸とテーブル本体183の重心が一致するように3点支持機構182が配設されており、この3点支持機構182の3点(後述する3本のテーブル支持部材191)は、上記のインナレース165のほぼ直上部に且つ周方向に等間隔となるように位置している。また、図12および図13に示すように、支持ベース181には、3点支持機構182によって支持されるテーブル本体183の横ブレを規制する4組8個の位置規制部材185が設けられている。詳細は後述するが、この他にも支持ベース181上には、メンテナンス装置22の吐出前フラッシングユニット411や、ワーク除給手段32のリフトアップ機構261およびプリアライメント機構262が配設されていると共に、ワークWを吸着セットするための吸引配管部572(バルブ・配管部)や吸着テーブル152廻りの各機構に圧縮エアーを供給するためのエアー配管部553(バルブ・配管部)等が設置されている。
3点支持機構182は、3点支持により、テーブル本体183を安定して支持するものであり、図13に示すように、3本のテーブル支持部材191(支柱部材)で構成されている。3本のテーブル支持部材191は、各テーブル支持部材191を結んだ三角形が略正三角形となり、かつ各テーブル支持部材191に略均等にテーブル本体の重量がかかるよう(すなわち、テーブル本体183の重心と各テーブル支持部材191を結んだときに形成される三角形の重心を一致させて)配設されている。
各テーブル支持部材191は、その上面中央にテーブル本体183をねじ止めするための雌ねじが螺設された円柱状のテーブル支持部192と、上端にテーブル支持部192をフランジ形式で固定したテーブル高さ調整機構193と、を有している。
3点支持に対応する3つのテーブル高さ調整機構193は、それぞれが上下に微調整されることにより、テーブル本体183(のセット面183a)の水平面に対する平行度を高精度に調整できるようになっている(理論的には3点支持のうち2点が調整できればよい)。図14を参照して説明すると、各テーブル高さ調整機構193は、支持ベース181に位置決め固定されたケース状のベースフレーム194と、ベースフレーム194に対し昇降自在(上下動自在)に支持されたテーブル本体183側の昇降ブロック195と、昇降ブロック195の下面に接触すると共にベースフレーム194に対しX軸方向に進退自在に支持された支持ベース181側の進退ブロック196と、ベースフレーム194に回動自在に軸支され軸部を進退ブロック196に螺合したテーブル高さ調整ねじ197と、を有している。
同図に示すように、進退ブロック196および昇降ブロック195は、相互の接触面が相補的な形状をしており、進退ブロック196の上端面(接触面)は、スライド方向に対して僅かに傾斜して形成される一方、昇降ブロック195の下端面(接触面)は、進退ブロック196のスライド方向に対して、進退ブロック196と反対方向に同角度に傾斜して形成されている。したがって、テーブル高さ調整ねじ197を正逆回転させると、進退ブロック196がX軸方向にスライドし、相互の接触面のカム作用により昇降ブロック195が昇降する。
進退ブロック196および昇降ブロック195の両接触面は、スライド方向に直交する断面形状が凹凸を為して接合しており、これらブロック195,196が相互に横ブレしないようになっている。そして、高さ調整が終了すると、調整した高さが狂わないようにブロック固定ねじ200でねじ止めする。具体的には、昇降ブロック195およびベースフレーム194を2個のブロック固定ねじ200で、高さ調整ねじ197と同じ方向にねじ止めし、進退ブロック196およびベースフレーム194を2個のブロック固定ねじ200で高さ調整ねじ197と直交する方向にねじ止めする。この場合、ベースフレーム194の両側板には、ねじ穴198が、進退ブロック196には、スライド方向に延在する長穴199が形成されており、進退ブロック196のスライド位置に合わせて、これらをねじ止めできるようになっている(図14参照)。
テーブル本体183は、石材で厚板状に構成された平面視略正方形の石盤である。テーブル本体183の一辺の長さは、ワークWの長辺の長さと一致しており、コストダウンを図るべく最小限の大きさに形成されると共に、縦置きおよび横置きのいずれか任意の向きでワークWをセット可能となっている。図15に示すように、テーブル本体183には、後述するリフトアップ機構261の複数のリフトアップピン271を貫通させるための縦4個×横8個、計32個の貫通孔201(挿通孔)が形成されていると共に、3点支持機構182にテーブル本体183を固定ねじ(図示省略)でねじ止めするための固定穴202が3個形成されている。固定穴202は、固定ねじの頭部がテーブル本体183の表面から突出しないようにざぐり穴203を有している。
図15に示すように、テーブル本体183の周縁部には、これに切り込むように後述するプリアライメント機構262のX軸位置決め機構331(後述する)およびY軸位置決め機構361(後述する)を逃がすための逃がし溝204が前後に1箇所ずつ、および左右に2箇所ずつの計6箇所形成されている。また、テーブル本体183の下面周縁部には、左右各一対の逃がし溝204bの外側に位置して、その左右端部に、各一対ずつ計4個の当接溝205が形成されている。上記した4組の位置規制部材185は、その先端部にばね付きの当接ピン186を有しており、2組の位置規制部材185が、逃がし溝204aの外側に位置してテーブル本体183の前後端面に当接し、残り2組が、左右各一対の当接溝205の先端面205aに当接するよう配設されている。すなわち、テーブル本体183は、その側端面に4組の位置規制部材185の当接ピン186を当接させることにより、水平面内における位置規制を受けている。なお、当接溝205により、2組の位置規制部材185はテーブル本体183の輪郭内に納まり、残りの2組の位置規制部材185は、テーブル本体183に添設した一対のフラッシングボックス(後述する)を含む輪郭内に納まるようになっている。
また、図15に示すように、テーブル本体183の表面(セット面183a)には、32個の貫通孔201、3個の固定穴202、および6個の逃がし溝204の他、これらを逃げるように、ワークWを吸引するための吸引溝211が複数形成されている。吸引溝211は、ワークWの主要部を吸引するための主吸引溝212と、ワークWの周縁部を吸引するための副吸引溝213と、を有している。主吸引溝212は、5本の環状吸引溝で構成されており、テーブル本体183の中心から外側に向かって大きくなる(同心状の)五重の正方形にパターニングされている。また、副吸引溝213は、X軸方向に延在する縦吸引溝213aとY軸方向に延在する横吸引溝213bとで構成されており、主吸引溝212の外側に形成されている。縦吸引溝213aは、テーブル本体183の周縁部の左右各2個の逃がし溝204bの間に延在する左右2本の吸引溝で構成されており、ワークWを横置きセットしたときに用いられる。一方、横吸引溝213bはワークWを縦置きセットしたときに用いられるものであり、テーブル本体183周縁部の前後各1個の逃がし溝204aで分断するように形成した4本の吸引溝で構成されている。
図15および図26に示すように、各吸引溝212,213a,213bには、支持ベース181上の吸引配管(図示省略)に連通する吸引孔214(個別吸引孔)が2個ずつ形成されている。吸引孔214の直径は、吸引溝211の幅よりも一回り大きく形成されており、吸引溝211を介して十分な吸引力をワークWに作用させることができるようになっている(実際には、吸引溝211:径2mm、吸引孔214:径3mm)。そして、吸引孔214からエアー吸引を行うと、吸引孔214および吸引溝211からワークWに対して略均一に吸引力を作用させることができ、ワークWの平坦度を維持しつつ、テーブル本体183に対してワークWを不動に吸着セットできるようになっている。
なお、テーブル本体183には、検査用の小型基板をセットするためのセット箇所216が4箇所設けられており、いずれか任意の位置に小型基板をセット可能となっている。4つのセット箇所216は、テーブル本体183の4隅近傍に設けられており、各セット箇所216には、小型基板を吸着セットするための4個の吸引孔217が形成されている。
ワークWに対して精度よく描画処理を行うため、テーブル本体183(セット面183a)の平面度(平坦度)は厳密に調整される。具体的には、装置外において吸着テーブル152をθテーブル151に取り付ける場合、先ず、支持ベース181に固定した3点支持機構182のテーブル支持部材191にテーブル本体183をねじ止めする。このねじ止めによりセット面183aの平面度が微少に狂うため、続いてハンドラップ(セット面183aの表面を僅かに削る)を行い、セット面183aの平面度を出す。次に、これを装置内に運び込み、支持ベース181をθテーブル回転部162に固定した後、支持ベース181の固定により影響を補償するため、テーブル高さ調整機構193のテーブル高さ調整ねじ197によりテーブル本体183の高さ位置を微調整する。これにより、セット面183aに極めて高い平面度を得ることが可能となる。
図3および図11に示すように、X軸エアースライダ142は、セットテーブル141を支持するスライダ本体221と、スライダ本体221の下部に固定され、一対のX軸ガイドレール144にガイドされる一対のガイド部222と、で構成されている。スライダ本体221の上面には、2つの浅溝223が形成されており、各浅溝223内に防液シート146が挿通される。また、スライダ本体221には、テーブル本体183に形成したカメラ開口226に臨み、レンズを上方に(機能液滴吐出ヘッド51側に)向けた上記のヘッド認識カメラ225が設置されている。ヘッド認識カメラ225は、ヘッドユニット41を撮像するものであり、この撮像結果に基づいて、ヘッドユニット41を介して機能液滴吐出ヘッド51の位置を微調整するようになっている。ヘッド認識カメラ225は、焦点距離を調整するためにカメラ本体225aを昇降させる昇降機構を有しており、ヘッドユニット41の高さ位置に合わせてカメラ本体225aの高さ位置を調節可能となっている。
ところで、ワークWは、ガラスや樹脂等で構成されているため、セットするテーブル本体183に温度むらが生じていると、その影響を受けて不均一に熱膨張し、描画処理結果に悪影響を及ぼす。そこで、本実施形態では、テーブル本体183を、温度むらが生じにくく熱膨張率の小さな石材で構成すると共に、温度むらの原因となるテーブル本体183の穴や溝の割合を極力少なくしている。これにより、テーブル本体183の表面における温度むらが削減されると共に、ワークWのテーブル本体183に対する接触面積を増すことができ、テーブル本体183の温度むらによるワークWの歪を防止可能である。
具体的には、ワークWをテーブル本体183上にセットしたときに接触する貫通孔201および固定穴202の直径を可能な限り小さくする(貫通孔201:18mm、固定穴202(ざぐり穴:33mm)と共に、吸引溝211の溝幅を極力細くしている(吸引溝211:2mm)。また、詳細は後述するが、リフトアップピン271の数を極力削減して、貫通孔201の数を減らしている。これにより、本実施形態では、ワークWの96.5%がテーブル本体183の石盤部分(平坦部)に接触する構成となっている。なお、ワークWとテーブル本体183の石盤部分との接触割合は、ワークWの材質(熱膨張率)等やワークWに描画処理を行ったときの歩留まり等を考慮して設定可能であるが、少なくとも80%以上、より好ましくは90%あるいは95%以上とすることが効果的である。
一方、テーブル本体183と、テーブル高さ調整機構193を介してこれを支持する支持ベース181とは、相互に固定状態にあるが、いずれも石材で構成されているため、相互間での熱的影響(熱膨張)はきわめて少ない。支持ベース181を金属で構成した場合には、テーブル高さ調整機構193の下面を支持ベース181に非固定状態とするか、あるいは、テーブル本体183をテーブル高さ調整機構193の上面に対し非固定状態とすることが好ましい。これにより、テーブル本体183が支持ベース181による熱的影響をほとんど受けることがなく、テーブル本体183の平坦度を維持することができる。
もっとも、テーブル高さ調整機構193の下面を支持ベース181に固定し、テーブル本体183の上面をテーブル高さ調整機構193に固定する場合であっても、テーブル高さ調整機構193を介してテーブル本体183および支持ベース181相互間の熱収縮差および熱膨張差を吸収することが可能である。具体的には、進退ブロック196と昇降ブロック195とのねじ止め、および昇降ブロック195とベースフレーム194とのねじ止めを行わず、昇降ブロック195および進退ブロック196間を非固定状態とする。すなわち、昇降ブロック195に対して進退ブロック196をスライド可能とすることにより、テーブル本体183および支持ベース181相互間のX軸方向における熱的影響を吸収できるようになっている。この場合、ベースフレーム194とテーブル高さ調整ねじ197との間に、テーブル高さ調整ねじ197の軸部を進退ブロック196のスライド方向に付勢するばね(図示省略)を介設するなどして、テーブル高さ調整ねじ197の緩みを防止することが好ましい。なお、Y軸方向における熱的影響は、凹凸に形成された進退ブロック196および昇降ブロック195の両接触面の寸法交差によって吸収する。
図16ないし図18に示すように、Y軸テーブル122は、上記した石定盤12に立設した4本の支柱231上に、X軸テーブル121を跨ぐように掛け渡した一対のY軸支持部材232上に支持されている。4本の支柱231は、前後左右2本ずつ並んで配設されており、左右(Y軸方向)に並んだ2本の支柱231上に、Y軸方向に延在するブロック状の石材で構成された一対のY軸支持部材232が架け渡されている。各支柱231の上端とY軸支持部材232との間には、装置の組み立て時に、石材で構成したY軸支持部材232の高さ調整をするための高さ調整プレート233が介設されている。高さ調整プレート233は、支柱231の上端部に固定されており、Y軸支持部材232を非固定状態で支持している。もっとも、高さ調整プレート233の両側部には、Y軸支持部材232を挟むようにしてその横ブレを規制する一対の規制片234が形成されており、これにより非固定状態のY軸支持部材232が位置規制されている。また、前後(X軸方向)に並んだ2本の支柱231間には、上下中間位置よりもやや下側にこれらを連結する連結部材235が架け渡されている。なお、実情に応じて、高さ調整プレート233を省いて構成することも可能である。
また、一対のY軸支持部材232には、その内側に位置して、ワークWのアライメントを認識するための一対のワーク認識カメラ236が描画領域132に臨んで配設されている(図16ないし図18参照)。一対のワーク認識カメラ236は、レンズを下方(ワークW側)に向けており、ヘッド認識カメラ225と同様、ワークWの厚みに対応して焦点距離を調節すべく、カメラ本体(図示省略)を昇降させるカメラ昇降機構(図示省略)を有している。さらに、Y軸支持部材232とワーク認識カメラ236との間には、ワーク認識カメラ236をY軸方向にスライド移動させるスライド機構(図示省略)が介設されており、ワークWの種類などに対応させてワーク認識カメラ236の位置を調整可能になっている。また、図示後方のY軸支持部材232には、セットテーブル141(のセット箇所216)にセットされた検査用の小型基板の位置補正を行うための2眼の検収用カメラ237が配設されている。
Y軸テーブル122は、メインキャリッジ42を挿通して固定したブリッジプレート241と、ブリッジプレート241を両持ちで支持する一対のY軸スライダ(図示省略)と、Y軸方向に延在し、一対のY軸スライダを介してブリッジプレート241をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモータ243と、Y軸リニアモータ243に並設され、ブリッジプレート241の移動を案内する一対のY軸ガイドレール(LMガイド:図示省略)と、メインキャリッジ42(ヘッドユニット41)の移動位置を検出するためのY軸リニアスケール(図示省略)と、を備えている(図2、図4、図16ないし図18等参照)。一対のY軸リニアモータ243を駆動すると、一対のY軸スライダが一対のY軸ガイドレールを案内にして同時にY軸方向を平行移動し、ブリッジプレート241を両持ち状態でY軸方向に移動させる。
ブリッジプレート241は、その略中間位置にメインキャリッジ42を挿通させるための開口(図示省略)が形成されており、ブリッジプレート241にメインキャリッジ42のヘッド固定部材91を上面からねじ止めすると、ヘッド回動機構83およびヘッドユニット41が下方に突出した状態で支持される。なお、一対のY軸支持部材232上には、ブリッジプレート241に並んで、ブリッジプレート241と独立してY軸方向に移動可能なカメラ用ブリッジプレート245が架け渡されており、カメラ用ブリッジプレート245には、ワークWに行った描画処理結果を確認するための描画観察カメラ246が搭載されている(図16ないし図18参照)。描画観察カメラ246にも、ワークWに合わせてカメラ本体を昇降させる昇降機構が組み込まれている。
なお、先に説明したX軸テーブル121では、一対のX軸リニアモータ143、一対のX軸ガイドレール144、X軸リニアスケール145は、上記した石定盤12上に直接設置されている。一方、Y軸テーブル122の各Y軸支持部材232は、直方体の石板で構成されており、各Y軸支持部材232上には、Y軸リニアモータ243、Y軸ガイドレール、Y軸リニアスケールが直接載置されている。このように、X軸テーブル121およびY軸テーブル122の主要部を、平面度を出し易くかつ熱膨張率の小さい石材上に設置することにより、ワークWおよびヘッドユニット41を精度よく移動させることが可能となり、ワークWに対する描画処理精度を極めて高いものとすることができる。この場合、石定盤12を架台11に、Y軸支持部材232を支柱231(高さ調整プレート233)に固定してもよいが、石定盤12を架台11に対し非固定状態で載置し、同様にY軸支持部材232も支柱231に対し非固定状態で載置することが好ましい。これにより、いずれも架台および補強プレートの熱膨張の影響を排除し得る。
図3等に示すように、一対のX軸リニアモータ143は、一対のX軸収容ボックス内に収容されている。X軸収容ボックス251内には、X軸リニアモータ143に並設させて、セットテーブル141等に接続するチューブやケーブル類を収容したX軸ケーブル担持体(ケーブルベア:登録商標)が収容されており、セットテーブル141の移動に追従させて、ケーブル類の可動端を移動させる構成となっている。同様に、Y軸リニアモータ243、Y軸ガイドレール、およびY軸スライダは、ヘッドユニット41等に接続するチューブやケーブル類を収容したY軸ケーブル担持体(ケーブルベア:登録商標)と共に、Y軸支持部材232上に設置された一対のY軸収容ボックス252内に収容されている(図4等参照)。
そして、各Y軸収容ボックス252は、Y軸支持部材232の側面に外向きに固定した一対のブラケット247に支持されている。これにより、Y軸支持部材232は、Y軸ガイドレール等を支持する機能を充足すると共に、コストダウンを図るべく、最小限の大きさに形成されている。なお、図中の符号255は、各組の支柱231の上部間に掛け渡した一対のエアーブロー機構である。各エアーブロー機構255は、チャンバ装置4内の温度と同温度のエアーをブローヘッドからX軸方向に移動するワークW上に吹き付けるものであり、描画後の機能液滴(画素)の溶剤を強制的に気化させる(成膜)。
ここで、描画処理時における吐出手段31の一連の動作について説明する。先ず、X・Y移動機構43により、ヘッドユニット41およびセットテーブル141を描画領域132に移動させる。そして、機能液を吐出する前の準備として、ヘッド認識カメラ225により、機能液滴吐出ヘッド51の位置を確認しながら、ヘッド回動機構83を駆動して、ヘッドユニット41のθ軸方向の位置補正を行う。続いて、セットテーブル141をワーク搬出入領域131に移動させ、ワークWをセットした後、再びセットテーブル141を描画領域132に移動させる。そして、ワーク認識カメラ236に基づいてθテーブル151を駆動し、セットテーブル141にセットされたワークWのθ軸方向の位置補正を行う。なお、本実施形態では、描画処理の前段階として、吐出補正用カメラ104により、予め機能液滴吐出ヘッド51の吐出タイミング補正を行うと共に、セットするワークWに合わせて、ヘッド昇降機構84によりワークギャップを調整している。但し、ワークギャップに関しては、ワークギャップを検出するギャップ検出センサ等を設け、描画処理毎にギャップ調整を行うようにしてもよい。
次に、X・Y移動機構43(X軸テーブル121)が、ワークWを主走査(X軸)方向に往動させる。ワークWの往動と同期して、機能液滴吐出ヘッド51が選択的に駆動され、ワークWに対する機能液の選択的な吐出動作が行われる。ワークWが一往動すると、X・Y移動機構43(Y軸テーブル122)は、ヘッドユニット41を副走査(Y軸)方向に移動させる。そして、X・Y移動機構43により、ワークWを復動させると共に、これと同期して機能液滴吐出ヘッド51の選択的な駆動を行う。ワークWの一復動が終了すると、X・Y移動機構43により、ヘッドユニット41を副走査させる。そして、ワークWの主走査方向へ往復動と機能液滴吐出ヘッド51の駆動と、を繰り返すことにより吐出手段31は、ワークWに機能液による描画を行っている。
ワーク除給手段32は、ワーク搬出入領域131に搬入された未処理のワークWをセットテーブル141に適切にセットすると共に、描画処理を行ったワークWをセットテーブル141から適切にリフトアップするためのものであり、セットテーブル141に対してワークWを離接させるリフトアップ機構261と、リフトアップ機構261によりセットテーブル141に載置された未処理のワークWを位置決めするプリアライメント機構262と、ワークWをセットテーブル141から離間させるときにワークWに生じる剥離帯電を除電するための除電手段263と、を備えている。なお、ワークWをリフトアップさせた状態で、上述の移載ロボットのロボットアーム(図示省略)がこれに下側から臨み、ワークWの装置外への搬入・搬出が行われる。
リフトアップ機構261は、吸着テーブル152の支持ベース181上に配設されており、吸着テーブル152の貫通孔201から昇降するリフトアップピン271を介し、吸着テーブル152に対してワークWを離接させるものである。図12に示すように、リフトアップ機構261は、X軸方向を列方向として、1列を8本のリフトアップピン271で構成した4列のリフトアップピン列272を有している。同図に示すように、4列のリフトアップピン列272は、Y軸方向に等間隔に配設されており、リフトアップ機構261は、両端に位置する各1列のリフトアップピン列272を昇降させる一対の第1リフトアップユニット273と、中央2列のリフトアップピンを同時に昇降させる第2リフトアップユニット274と、で構成されている。
図19に示すように、各第1リフトアップユニット273は、8本の第1リフトアップピン271a(側部ピン群)と、これらをX軸方向に対して等間隔に立設させた第1リフトアッププレート281(側部支持プレート)と、第1リフトアッププレート281を昇降させるための第1リフトアップ機構282(側部上下動機構)と、第1リフトアップ機構282を支持する第1リフトアップベースプレート283(側部ベースフレーム)と、で構成されている。第1リフトアップ機構282は、第1リフトアッププレート281を昇降させる第1リフトアップモータ291(サーボモータ)と、第1リフトアップモータ291により正逆回転する(1本の)第1リフトアップボールねじ292と、第1リフトアップボールねじ292に螺合し、第1リフトアッププレート281を昇降自在に支持する第1雌ねじブロック293と、第1リフトアッププレート281の昇降をガイドする前後一対(2本)の第1リフトアップガイド294と、第1リフトアップピン271aの昇降位置を検出する第1昇降位置検出センサ295と、を有している。
第1リフトアッププレート281の長手方向中間には、第1雌ねじブロック293が固定されている。そして、第1リフトアッププレート281には、その中心位置に第1リフトアップボールねじ292が貫通していると共に、第1リフトアップボールねじ292の前後に離間して一対の第1リフトアップガイド294が貫通している。第1リフトアップボールねじ292は、下端部を第1ベルトボックス297内に位置して第1リフトアップベースプレート283の中心位置に軸支され、且つ上端部を第1リフトアップベースプレート283に立設した第1ボールねじ支持部材296に軸支され、この状態で第1雌ねじブロック293に螺合している。第1リフトアップモータ291は、その出力軸を第1ベルトボックス297内に臨ませる下向き姿勢でこれに支持されている。第1リフトアップモータ291の出力軸および第1リフトアップボールねじ292には、それぞれ第1プーリ298が固定され、この両プーリ間には、第1リフトアップモータ291の動力を第1リフトアップボールねじ292に伝達する第1タイミングベルト299が掛け渡されている。
第1リフトアップモータ291を駆動すると、第1タイミングベルト299を介して第1リフトアップボールねじ292が正逆回転し、第1雌ねじブロック293を介して、第1リフトアッププレート281を昇降させる。これにより、第1リフトアップピン271aが昇降する。なお、第1リフトアップユニット273は、第1リフトアップボールねじ292を中心として対称に構成されており、第1リフトアッププレート281を安定に昇降できるようになっている。
図19に示すように、第1昇降位置検出センサ295は、第1ボールねじ支持部材296に取り付けられており、第1リフトアップピン271aの上動端位置に対応して配設され、第1リフトアッププレート281の上限位置を検出する第1上限位置検出センサ301(フォトインタラプタ)と、第1リフトアップピン271aの下動端位置に対応して配設され、第1リフトアップピン271aの下限位置を検出する第1下限位置検出センサ302(フォトインタラプタ)と、を有している。また、第1下限位置検出センサ302の上側には、第1リフトアップピン271aがワークWに突き当たる状態に対応する第1原点センサ303(フォトインタラプタ)が設けられている。そして、第1リフトアッププレート281には、第1検出片304(透光板)が固定されおり、第1リフトアッププレート281と共に昇降する第1検出片304を、第1上限位置検出センサ301、第1原点センサ303および第1下限位置検出センサ302で検出することにより、第1リフトアップピン271aの上動端位置、ワーク突当て位置および下動端位置を検出する。この場合、上動端位置は、ワークWを載せ替えるためのリフトアップ位置であり、下動端位置は、第1リフトアップピン271aがテーブル本体183の貫通孔201に没入する位置である。
本実施形態では、第1リフトアップピン271aは、テーブル本体183に載置(セット)されているワークWに対し、下動端位置から上昇を開始するが、ワークWの突当て位置まではきわめて低速で上昇する。第1リフトアップピン271aがワークWに突き当たってこれを受け取った後は、高速で上動端位置まで上昇する。また、これと逆の動作で第1リフトアップピン271aの下降動作が行われる。このように、ワークWをテーブル本体183から離間させる前後においてワークWを低速で上昇させるようにしているため、第1リフトアップピン271aの突き当て時の衝撃を抑え、且つ剥離帯電を抑制することができる。同様に、ワークWをテーブル本体183に載置するときに、ワークWを低速で下降させるようにしているため、ワークWをテーブル本体183との間にエアー(気泡)がかみ込むのを防止することができる。
図20に示すように、第2リフトアップユニット274は、16本の第2リフトアップピン271b(中間部ピン群)と、これらを2列に二分して立設させた第2リフトアッププレート311(中間部支持プレート)と、第2リフトアッププレート311を昇降させるための第2リフトアップ機構312(中間部上下動機構)と、第2リフトアップ機構312を支持する第2リフトアップベースプレート313(中間部ベースフレーム)と、第2リフトアップピン271bの昇降位置を検出する第2昇降位置検出センサ320と、を有している。同図に示すように、第2リフトアップ機構312は、第2リフトアップボールねじ314に螺合する第2雌ねじブロック310が第2リフトアッププレート311を昇降自在に支持しており、第1リフトアップユニット273と略同様に構成されているが、前後一対(2本)の第2リフトアップボールねじ314と、前後各一対(4本)の第2リフトアップガイド315が設けられていると共に、前後一対の第2ボールねじ支持部材316が第2リフトアッププレート311を軸支している点で異なっている。第2リフトアップモータ317は、第2リフトアッププレート311を貫通すると共に、一方の第2リフトアップボールねじ314に対峙するように第2リフトアップベースプレート313に立設している。また、第2リフトアップモータ317は、その出力軸を第2ベルトボックス319内に臨ませており、第2リフトアップモータ317の出力軸および一対の第2リフトアップボールねじ314には、それぞれプーリが固定されている。そして、図20に示すように、これら3つのプーリ間には、第2タイミングベルト318が掛け渡されており、単一の第2リフトアップモータ317により、一対の第2リフトアップボールねじ314が同期しながら正逆回転する。第2リフトアップモータ317を除けば、第2リフトアップ機構312は、対称に構成されており、安定して第2リフトアッププレート311をリフトアップできるようになっている。
また、第1リフトアップ機構282と同様に、第2リフトアップモータ317に対峙する第2ボールねじ支持部材316には、第2上限位置検出センサ(フォトインタラプタ)および第2下限位置検出センサ(フォトインタラプタ)から成る第2昇降位置検出センサ320と、第2リフトアップピン271bがワークWに突き当たる状態に対応する第2原点センサ(図示省略)と、が設けられている。一方、第2リフトアッププレート311には、第2検出片(図示省略)が取り付けられており、この第2検出片を介して、第2リフトアップピン271bの上動端位置、下動端位置、および原点位置を検出できるようになっている。
なお、第1リフトアッププレート281および第2リフトアッププレート311の上限位置および下限位置は、各リフトアッププレート281,311上のリフトアップピン271のピン先の位置により規定されており、各リフトアッププレート281,311の上限位置は、リフトアップピン271が吸着テーブル152のセット面183aから約50mm程度突出する位置、各リフトアッププレート281,311の下限位置は、リフトアップピン271が吸着テーブル152のセット面183aよりも約1mm程度低くなる位置となっている。
リフトアップピン271は、ワークWに当接するピン本体276と、先端にピン本体276を固定すると共に、第1リフトアッププレート281または第2リフトアッププレート311にねじ止め固定されるピンホルダ277と、を有している。ピン本体276の先端、すなわちワークWと接触する部分は、樹脂等のピーク材で構成され、ピン本体276の先端以外とピンホルダ277はステンレスやスチールのロッド材で構成されている。
ここで、リフトアップ機構261の一連の動作について説明する。上述したように、一対の第1リフトアップユニット273および第2リフトアップユニット274は、それぞれリフトアップモータを有しているため、一対の第1リフトアッププレート281および第2リフトアッププレート311を独立して昇降させることができる。そこで、これらを異なるタイミングで昇降させることにより、ワークWを適切に吸着テーブル152に載置すると共に、吸着テーブル152からワークWをリフトアップすることができるようになっている。
ワーク搬出入領域131に搬入された未処理のワークWを吸着テーブル152に載置する場合、先ず、一対の第1リフトアッププレート281および第2リフトアッププレート311を上限位置まで上昇させておいて、4列全てのリフトアップピン271により、ワーク搬出入領域131に臨む吸着テーブル152上でワークWを受け取る。次に、第2リフトアップモータ317のみを駆動し、第2リフトアップピン271bのみを下降させていく。これによりワークWは自重で歪み、弧状に反る。第2リフトアップモータ317の駆動から所定時間経過後、第2リフトアップモータ317を駆動したまま、一対の第1リフトアップユニット273の各第1リフトアップモータ291を同時に駆動し、ワークWを弧状に反らした状態(上反り状態)で下降させていく。すなわち、第1リフトアップピン271aに先行して、第2リフトアップピン271bを下降させることにより、先ず、第2リフトアップピン271bに支持されたワークWの中央部を吸着テーブル152に接触させ、これに追従するようにワークWの左右両端部を吸着テーブル152に接触させている。これにより、ワークWおよび吸着テーブル152間の空気は、ワークWの中央部から両端部に向けて押し出されるように逃げてゆくため、ワークWと吸着テーブル152との間に空気を残留させることなく、ワークWを吸着テーブル152上に載置することができる。
この場合、リフトアップピン271の下降と並行して、テーブル本体183のエアー吸引を行うことが好ましい。より好ましくは、上記した副吸引溝213によるエアー吸引に先行して、主吸引溝212によるエアー吸引を行うといったように、セット面183aの中央部から外側に向かって順次エアー吸引を行うようにする。これにより、ワークWおよび吸着テーブル152間に空気が残留することを効果的に防止できる。なお、リフトアップピン271にワークWを支持させた後の一連の動作は、描画処理のためのワークWの描画領域132への移動と並行して行うことが可能である。
一方、描画処理を終えたワークWを吸着テーブル152から持ち上げる(引き剥がす)ときには、先ず、各第1リフトアップモータ291を同時に駆動して、第1リフトアップピン271aを上昇させ、ワークWの両端部を突き上げるように持ち上げる。各第1リフトアップモータ291の駆動から所定時間経過後、各第1リフトアップモータ291を駆動したまま、第2リフトアップモータ317を駆動する。これにより、ワークWの両端部がその中央部よりも先行して持ち上げられ、ワークWは弧状に反った状態で吸着テーブル152から引き剥が(離間)される。したがって、ワークWとテーブル本体183との間に、その端から徐々に空気を流入させることができ、ワークWに無理な力をかけることなくワークWを吸着テーブル152から離間させることができる。また、剥離帯電を抑制することができる。そして、吸着テーブル152からワークWが完全に引き剥がされた後は、一対の第1リフトアップピン271aおよび第2リフトアッププレート311がそれぞれ上動端位置まで達するまで、各第1リフトアップモータ291および第2リフトアップモータ317を駆動する。なお、詳細は後述するが、リフトアップ機構261により吸着テーブル152からワークWを引き離すときには、除電手段263を同期して駆動させ、剥離帯電によりワークWの裏面に生じる静電気の除電を行う。
また、上述したようにワークWを吸着テーブル152に離接させる瞬間には、リフトアップピン271の昇降速度を抑え、吸着テーブル152への離接によってワークWが受ける衝撃を小さくしている。すなわち、吸着テーブル152にワークWを載置する場合、第2リフトアッププレート311を先ず速度Vd1で下降させてゆき、ワークWが吸着テーブルに接触するときには速度Vd2で下降させている(但し、Vd1>Vd2)。一方、吸着テーブル152からワークWを引き剥がす場合には、第1リフトアップピン271aを先ず速度Vu1で上昇させてゆき、ワークWが吸着テーブルから完全に離間した後は速度Vu2で上昇させている(但し、Vd1<Vd2)。このように、吸着テーブル152にワークWを離接させるときの昇降速度を制御することにより、ワークWの昇降に要するサイクルタイムを削減できる。また、ワークWの昇降速度およびワークWを昇降させるときの反らし具合は、ワークWの材質や厚み、形状等を考慮して個別に設定可能である。
また、本実施形態においては、全てのリフトアップピン271を同一の長さで構成し、ワークWの中間部を支持する(第2リフトアップユニット274の)リフトアップピン271とその両側端部を支持する(第1リフトアップユニット273の)リフトアップピン271の昇降タイミングを変えることにより、吸着テーブル152に対する離接時にワークWを弧状に支持するようにしているが、昇降タイミングを同じにして、ワークWの中間部を支持するリフトアップピン271の昇降速度をその両側端部を支持するリフトアップピン271の昇降速度よりも低速としても同様の効果を得ることができる。また、ワークWの中間部に当接するリフトアップピン271を短く形成し、両側端に向かってリフトアップピン271を長くなるように形成してもよい。
また、ワークWをリフトアップピン271に支持させると、ワークWの自重により、リフトアップピン271間でワークWの撓みが生じる。ワークWには、許容撓み量が予め設定されており、この許容撓み量を満たす範囲内で、リフトアップピン271数が最小になるように、各リフトアップピン列272間の距離(ピッチ)および1列を構成するリフトアップピン271間の距離が設定されている。このように、リフトアップ機構261のリフトアップピン271数を、許容可能な最小数とすることにより、リフトアップピン271を貫通させるための貫通孔201数を最小としている。
図12に示すように、プリアライメント機構262は、リフトアップ機構261により吸着テーブル152に載置されたワークWのテーブル本体183に対する位置決め(プリアライメント)を行うものであり、一対のX挟持部材332でワークWの前後端を挟み込むことにより、ワークWの前後方向(X軸方向)の位置決めを行うX軸位置決めユニット321と、2組のY挟持部材362でワークWの左右端を挟み込むことにより、ワークWの左右方向(Y軸方向)の位置決めを行うY軸位置決めユニット322と、を備えている。
同図に示すように、X軸位置決めユニット321は、相互に対峙させて支持ベース181上に配設された一対のX軸位置決め機構331で構成されており、各X軸位置決め機構331は、ワークWを挟持するためのX挟持部材332と、X挟持部材332をX軸方向およびZ軸方向に移動可能に支持するX挟持部材移動機構333と、X挟持部材移動機構333を支持するX機構ベース334と、を有している。X機構ベース334は、テーブル本体183周縁部に形成された各逃がし溝204aの位置に対応して、支持ベース181の周縁部に沿って固定されており、X挟持部材332は、通常、テーブル本体183の下に潜りこんだ状態で支持されている(待機位置)。X挟持部材332は、ワークWに当接してこれを挟持するX挟持片341と、X挟持片341を保持するX挟持片ホルダ342と、を有している。X挟持片341は、ワークWの損傷を防止するため、樹脂等の比較的柔軟性の高い材料で構成されている。
X挟持部材移動機構333は、X機構ベース334に載置固定される第1X移動機構351と、第1X移動機構351に立設した第2X移動機構352と、第2X移動機構352に支持され、X挟持片ホルダ342を介してX挟持片341をスライド自在に支持する第3X移動機構353と、で構成されており、これら第1〜第3X移動機構351、352、353は、それぞれ、Xエアーシリンダ354と、Xエアーシリンダ354にスライド自在に支持されたXスライダ355と、を有している。
図12に示すように、X挟持部材移動機構333は、第1〜第3X移動機構351、352、353により側面視「コ」字状に構成されている。具体的に説明すると、第1X移動機構351の第1Xエアーシリンダ354aは、X機構ベース334に固定され、第1Xスライダ355aをX軸方向にスライド自在に支持している。第1Xスライダ355aには、第2X移動機構352の第2Xエアーシリンダ354bが立設され、第2Xエアーシリンダ354bには、第2Xスライダ355bがZ軸方向(鉛直方向)にスライド自在に支持されている。また、第2Xスライダ355bの上端部には、第3X移動機構353の第3Xエアーシリンダ354cが支持されており、第3Xエアーシリンダ354cには、X挟持片ホルダ342を固定した第3Xスライダ355cがX軸方向にスライド自在に支持されている。
ワークWの位置決めを行うときには、第1X移動機構351、第2X移動機構352、第3X移動機構353の順で、一対のX挟持部材移動機構333を同時に駆動させ、X挟持部材332を逃がし溝204aに臨ませるように、X挟持部材332を「コ」字状に移動させる。すなわち、まず、第1X移動機構351により、X挟持部材332を吸着テーブル152から離間する方向にスライド移動させた後、第2X移動機構352により、所定の高さ(セット面183aの高さ程度)までX挟持部材332を上昇させ、さらに第3X移動機構353により、X挟持部材332をワークWに突き当てるように挟持移動させる(挟持位置)。もっとも、上述したようにワークWは縦置きに加え横置きも可能となっており、縦置きの場合には、X挟持部材332をX軸方向に比較的短い距離を移動させるだけでワークWに突き当てさせることができるため、X軸方向の移動を第1X軸移動機構(または第3X軸移動機構)のみで行ってもよい。これにより、ワークWの前後端をX挟持片341が挟持するように、ワークWの前後端面に一対のX挟持片341が当接し、ワークWの前後方向の位置決めが為される。ワークWの位置決め終了後は、位置決めを行うときと逆の手順でX挟持部材332を移動させ、再びX挟持部材332をテーブル本体183の下(待機位置)に移動させる。なお、X挟持部材332は、通常、テーブル本体183の下に収容されており、吸着テーブル152にワークWを載置するときや、描画処理を行うときなどにX挟持部材332が障害となることがない。
なお、一対のX軸位置決め機構331のうち、一方のX軸位置決め機構331(本実施形態では図示後ろ側)は、他方のX軸位置決め機構331(X軸方向における位置決め基準)の受けとなっており、受け側のX軸位置決め機構331のX挟持片341とX挟持片ホルダ342との間には、X挟持片341を挟持方向に付勢する2個のXばね356が介設されている。したがって、一対のX挟持片341をワークWに当接させたときの当接力を2個のXばね356で吸収することができ、ワークWに過剰な力がかかることを防止することができる。
図12に示すように、Y軸位置決めユニット322は、前後2組(4個)のY軸位置決め機構361により構成されており、テーブル本体183周縁部の左右に形成された各2個の逃がし溝204bに対応させて支持ベース181上に配設されている。各Y軸位置決め機構361は、X軸位置決め機構331と略同様に構成されており、ワークWを挟持するためのY挟持部材362と、Y挟持部材362がセット面183aから突出しないように、テーブル本体183の下(待機位置)にY挟持部材362を支持すると共に、これをY軸方向およびZ軸方向に移動可能に支持するY挟持部材移動機構363(Y挟持片移動機構)と、Y挟持部材移動機構363を支持するY機構ベース364と、を有している。
Y挟持部材362は、ワークWに当接する円柱状のY挟持ピン371(Y挟持片)と、Y挟持ピン371を立設したY挟持プレート372と、を有している。Y挟持ピン371のワーク当接部371aは、X挟持片341と同様、樹脂等の比較的柔軟性の高い材料で構成されている。なお、X軸位置決め機構331と同様、各Y軸位置決め機構361の一方(本実施形態では図示右側)は、他方(Y軸方向における位置決め基準)の受けとなっており、受け側2つのY軸位置決め機構361には、Y挟持ピン371とY挟持プレート372との間に介設され、Y挟持ピン371を挟持方向に付勢する2個のYばね373を有する逃がし機構374が設けられている。
Y挟持部材移動機構363は、Y機構ベース364に載置固定された第1Y移動機構381と、第1Y移動機構381に支持された第2Y移動機構382と、第2Y移動機構382に立設され、Y挟持プレート372を支持する第3Y移動機構383と、で構成されている。第1Y移動機構381の第1Yエアーシリンダ384aは、Y機構ベース364に固定され、第1Yスライダ385aをY軸方向にスライド自在に支持している。第1Yスライダ385aには、第2Y移動機構382の第2Yスライダ385bをY軸方向にスライド自在に支持する第2Yエアーシリンダ384bが支持され、第2Yスライダ385bには、第3Y移動機構383の第3Yエアーシリンダ384cが立設されている。そして、第3Yエアーシリンダ384cには、第3Yスライダ385cがZ軸方向にスライド自在に支持され、第3Yスライダ385cの上端面には、Y挟持プレート372が支持されている。
ワークWの位置決めを行うときには、4つのY挟持部材移動機構363を同時に駆動して、X挟持部材移動機構333と同様に、各Y挟持部材362(Y挟持ピン371)を逃がし溝204bに臨ませるように、「コ」字状に移動させる。この場合、第1Y移動機構381、第3Y移動機構383、第2Y移動機構382の順に駆動させればよい。これにより、4本のY挟持ピン371のワーク当接部371a(の側面)がワークWの左右両端面に当接し、ワークWの左右方向(Y軸方向)の位置決めが為される。なお、ワーク当接部371aは断面円形状であるため、ワークWは各ワーク当接部371aの側面に点で当接する。このため、右側2本、左側2本のY挟持ピン371を精度よく当接させることができ、ワークWを精度よく位置決め可能である。なお、X挟持部材移動機構333と同様に、ワークWの縦置き/横置きに応じて、Y軸方向の移動を第1Y軸移動機構381(または第2Y軸移動機構382)のみで行ってもよい。
なお、プリアライメント機構262は、吸着テーブル152に組み込まれているため、ワークWを描画領域に移動させながらプリアライメント動作を行うことができ、吸着テーブル152に対するワークWのセットと、ワークWの描画領域への移動と、をオーバーラップさせて行うことにより、ワーク1枚当たりの描画処理時間を削減可能である。
除電手段263は、リフトアップ機構261によりワークWを吸着テーブル152から引き離すときに、ワークWの裏面に剥離帯電した静電気を軟X線の照射により除去するものであり、左右一対(2つ)の静電除去装置391で構成されている。図16および図17に示すように、一対の静電除去装置391は、石定盤12に立設した4本の支柱231うち、手前側に配設された左右一対の支柱231に固定(対向配置)されており、描画領域132に臨む吸着テーブル152上のワークWに対して左右両側から(ワークWの移動方向と直交する方向から)軟X線を照射する構成となっている。このように、除電手段263は、2つの静電除去装置391を有しているので、効率的かつ確実に除電を行うことができる。なお、静電除去装置391としては、軟X線を照射するものの他、静電気を(電気的に)中和させるイオン化エアーをワークWに送風するイオン送風型のもの(例えばイオナイザー)を用いることも可能である。この場合も、ワークWの移動方向と直交するように、ワークWの両側からイオン化エアーをブローさせる。なお、上記の静電除去装置391を用いたワークWの除電方法については後述する。
次に、メンテナンス装置22について説明する。メンテナンス装置22は、機能液滴吐出ヘッド51の機能維持(または回復)を目的としたものであり、図21および図22に示すように、フラッシングユニット401と、吸引ユニット402と、ワイピングユニット403と、吐出検査ユニット404と、重量測定ユニット405と、を備えている。両図に示すように、吐出検査ユニット404を除き、メンテナンス装置22の各ユニットは、上記した機台13上に、X軸方向にスライド自在に構成された移動テーブル406上に配設されている。移動テーブル406とヘッドユニット41のY軸方向における移動領域が交わる領域がメンテナンス領域407となっており、機能液滴吐出ヘッド51の保守を行うときには、ヘッドユニット41をメンテナンス領域407に移動させると共に、移動テーブル406を適宜移動させ、メンテナンス領域407に機能液滴吐出ヘッド51のメンテナンスに供するユニットを臨ませる。なお、移動テーブル406上における各ユニットは、各ユニットの使用頻度およびメンテナンス手順を考慮して配置されている。また、各ユニットは、第1ヘッドユニットに対応して構成されているが、上述したように、第2ヘッドユニットは、第1ヘッドユニットの配置パターンに合わせて機能液滴吐出ヘッド51を搭載しているため、第1ヘッドユニットとの兼用でこれら各ユニットを利用することが可能である。
フラッシングユニット401は、フラッシング動作、すなわち機能液滴吐出ヘッド51の予備吐出(捨て吐出)により吐出された機能液を受けるためのものであり、描画処理中において、ワークWに機能液を吐出させる直前に行う吐出前フラッシングの機能液を受けるための吐出前フラッシングユニット411と、ワークWの交換時のように、ワークWに対する機能液の吐出が一時的に休止される時に定期的に行われる定期フラッシングの機能液を受けるための定期フラッシングユニット412と、を有している。
図12に示すように、吐出前フラッシングユニット411は、吸着テーブル152(テーブル本体183)の前後が挟むように配設され、吐出前フラッシングの機能液を受ける一対の吐出前フラッシングボックス415と、一対の吐出前フラッシングボックス415を昇降自在に支持する一対のボックス昇降機構416と、で構成されている。吐出前フラッシングボックス415は、平面視長方形の細長い箱状に形成されており、その長辺の長さをテーブル本体183の一辺の長さと一致させて構成され、テーブル本体183に添設されている。吐出前フラッシングボックス415内には、機能液を吸収させる吸収材417が敷設されている。各ボックス昇降機構416は、テーブル本体183から張り出すように支持ベース181の周縁部に支持された一対のボックス昇降シリンダ418(エアーシリンダ)を有しており、各吐出前フラッシングボックス415は、一対(2つ)のボックス昇降シリンダ418により両持ちで支持されている。このように、テーブル本体183を挟むように一対の吐出前フラッシングボックス415を配設しているので、ワークWをX軸方向に往復動すると、機能液滴吐出ヘッド51は、ワークWに臨む直前に順次フラッシングボックスに臨んで吐出前フラッシングを行うことができる。すなわち、吐出前フラッシングだけのためにヘッドユニット41を移動させることが不要となる。
一対のボックス昇降機構416は、非描画処理時には、一対の吐出前フラッシングボックス415の上端面が吸着テーブル152のセット面183aの高さよりも低くなる位置(待機位置)でこれを支持する。一方、描画処理を行うとき、すなわち吐出前フラッシングを受けるときには、一対のボックス昇降機構416は、吐出前フラッシングボックス415を上昇させ、その上端面をセットされたワークWの表面の高さに一致させた状態でこれを支持する。これにより、吐出前フラッシングの機能液を外部に飛び散らせることなく、吐出前フラッシングボックス415に受けることができる。なお、吸収材423の膨張等を考慮して、上昇時における吐出前フラッシングボックス415の上端面の位置を、ワークWよりも若干低い位置とすることも可能である。
定期フラッシングユニット412は、メンテナンス領域407に臨んで配設されており、図21および図22に示すように、定期フラッシングの機能液を受ける箱状の定期フラッシングボックス421と、定期フラッシングボックス421を支持するボックススタンド422と、を有している。定期フラッシングボックス421は、第1ヘッドユニットに搭載された12個の機能液滴吐出ヘッド51を同時に定期フラッシングできるように十分な大きさで構成されている。なお、本実施形態では、第1ヘッドユニットの二分された12個の機能液滴吐出ヘッド51に対応して、定期フラッシングボックス421には、機能液の吸収材423が2列に敷設されているが、定期フラッシングボックス421の全体に吸収材423を敷設するようにしてもよい。ボックススタンド422は、定期フラッシングボックス421の上端面が、セットされたワークWの表面と同じ高さとなるように定期フラッシングボックス421を支持している。この場合も、吐出前フラッシングボックス415と同様に、定期フラッシングボックス421の上端面をワークW(表面)よりも僅かに低い位置に支持させるようにしてもよい。
図21および図22に示すように、吸引ユニット402は、機能液滴吐出ヘッド51のノズル詰まりを防止(解消)するために、機能液滴吐出ヘッド51の吸引を行うものであり、機能液滴吐出ヘッド51のノズル面73に密着するキャップ426を有するキャップユニット425と、密着させたキャップ426を介して機能液滴吐出ヘッド51を吸引する吸引手段(図示省略)と、を有している。キャップユニット425も、第1ヘッドユニットに対応して構成されており、キャップユニット425は、第1ヘッドユニットに搭載された12個の機能液滴吐出ヘッド51の配置パターンと同一パターンでもって、キャップベース427に12個のキャップ426を配置させている。図示省略したが、吸引手段は、機能液滴吐出ヘッド51に吸引力を作用させる単一のエゼクタと、12個のキャップ426とエゼクタとを接続する吸引チューブと、を有している。吸引チューブのキャップ426とエゼクタとの間には、後述する機能液回収系483の再利用タンク531が介設されており、エゼクタと再利用タンク531との間には開閉バルブ(図示省略)が介設されている。
ワイピングユニット403は、機能液滴吐出ヘッド51の吸引(クリーニング)等により機能液が付着して汚れた各機能液滴吐出ヘッド51のノズル面73を、ワイピングシートを用いて拭き取るものであり、別個独立に構成されたシート供給ユニット431と拭き取りユニット432とを備えている。これらシート供給ユニット431と拭き取りユニット432とは、移動テーブル406上に、拭き取りユニット432を吸引ユニット側に位置させた状態でX軸方向に並べて配置されており、メンテナンス領域407に存するヘッドユニット41に向けて移動テーブル406の動きにより拭き取りユニット432がシート供給ユニット431と一体に払拭方向たるX軸方向一方に移動し、ヘッドユニット41における12個全ての機能液滴吐出ヘッド51のノズル面73を払拭する。
拭き取りユニット432は、Y軸方向両側に立設した一対のスタンド433間においてエアーシリンダにより昇降自在に支持される昇降枠434と、昇降枠434上に両持ちで回転自在に支持される押圧ローラ435と、押圧ローラ435に送り込まれるワイピングシート(図示省略)に機能液の溶剤から成る洗浄液を供給する洗浄液吐出ヘッド51とを備えている(図21および図22参照)。なお、この場合の押圧ローラ435は、周面を弾性体とした自由回転ローラで構成されている。
図23に示すように、シート供給ユニット431は、Y軸方向両側に立設した一対のフレーム439に着脱自在に軸支した上側の繰出しリール440および下側の巻取りリール441と、巻取りリール441を巻取り回転させる巻取りモータ442とを備えている。また、両フレームの上側部には、サブフレーム443が固定されており、このサブフレーム443には、繰出しリール440の先方に位置するように速度検出ローラ444が支持されている。さらに、これら構成部品の下側には、滴下した洗浄液を受ける洗浄液パン445が配設されている。
繰出しリール440には、ロール状のワイピングシート(図示省略)が挿填され、繰出しリール440から繰り出されたワイピングシートは、速度検出ローラ444を介して拭き取りユニット432に送り込まれる。巻取りリール441と巻取りモータ442との間にはタイミングベルト446が掛け渡され、巻取りリール441は巻取りモータ442により回転してワイピングシートを巻き取るようになっている。この場合、巻取りモータ442およびタイミングベルト446等の動力源および動力伝達系は、描画装置21とは逆側に位置しており、ワイピングシートを可能な限り描画装置21側に寄せて配設できるようになっている。
繰出しリール440は、これの軸端に設けたトルクリミッタ447により、巻取りモータ442に抗するように制動回転する。速度検出ローラ444は、自由回転する上下2つのローラ444a、444bから成るグリップローラであり、これの軸端に設けた速度検出器448により、巻取りモータ442を制御する。すなわち、繰出しリール440は、ワイピングシートを張った状態で送り出し、巻取りリール441は、ワイピングシートを弛みが生じないように巻き取るようになっている。また、繰出しリール440と速度検出ローラ444との間のシート走行路部分の下方に光学式のシート検出器449が配設されており、繰出しリール440から繰り出されるワイピングシートの端末が通過したことをこのシート検出器449で検出したとき、繰出しリール440および巻取りリール441の交換指令を出すようにしている。
図23および図24に示すように、繰出しリール440は、中空のリール軸本体450と、リール軸本体450の両端に設けた左右一対のフランジ451R・451Lと、図示右側においてトルクリミッタ447が固定された右部リール短軸452と、図示左側のフランジの外側に延びる左部リール短軸453と、を有しており、右部リール短軸452および左部リール短軸453により、それぞれ軸受けを介して上記一対のフレーム439に回転自在に軸支されている。右部リール短軸452および右側のフランジ451Rとの間には筒状継手454が介設されている。右側のフランジ451Rには、テーパ形状の頭部を有する右部軸ピン456が貫通しており、右部軸ピン456のピン先には、右部リール短軸452と同径に形成され、筒状継手454に嵌合する円柱部材455が固定されている。一方、左側のフランジ451Lには、左部リール短軸453の軸心部分に嵌入係止される左部軸ピン457が貫通している。そして、リール軸本体450は、右部軸ピン456および左部軸ピン457を介し、フランジ451R・451Lに挟持されている。すなわち、右部軸ピン456および左部軸ピン457の両頭部により、リール軸本体450の両端(両小口)が閉塞するように挟持されている。この場合、右側のフランジ451Rは、筒状継手454を介して右部リール短軸452に固定される一方、左側のフランジ451Lは左部リール短軸453に固定されている。
図24に示すように、筒状継手454は、かみ合い形式で係合する右部継手片454Rおよび左部継手片454Lとから成り、右部継手片454Rには右部リール短軸452の軸端が嵌合し、左部継手片454Lには右部軸ピン456に固定した円柱部材455が嵌合している。そして、右部リール短軸452の軸端は、右部継手片454Rを貫通するように螺合した右部ユリアねじ458により右部継手片454Rに押圧固定され、円柱部材455は、左部継手片454Lを貫通するように螺合した左部ユリアねじ459により左部継手片454Lに押圧固定されている。なお、この2つのユリアねじ458・459により、筒状継手454は自在継手として機能する。
右部リール短軸452は、十分な長さを有しており、例えば右部ユリアねじ458を緩め、筒状継手454を介して右側のフランジ451R(右部軸ピン456)を右側に移動させると、リール軸本体450の右端部が右部軸ピン456の頭部から離間する。すなわち、やり返し動作により、リール軸本体450が両フランジから離脱する。この場合、右部軸ピン456のリール軸本体450(小口)への挿入深さL1よりも筒状継手454の移動可能範囲L2が大きくなっている。なお、右部軸ピン456および左部軸ピン457の両頭部には、ガイドピン456a・457aが上方に突出していると共に、リール軸本体450の両端部にはガイドピンに嵌合させる一対の長穴が切り込むように形成されている。これにより、リール軸本体450の装着をガイドすると共に、ワイピングシートの繰り出し時に装着したリール軸本体450が空回転することを防止する。
また、リール軸本体450を右側のフランジ451Rに固定とし、右部ユリアねじ458と共に左部ユリアねじ459を緩めることにより、リール軸本体450、右部軸ピン456、右側のフランジ451R、および円柱部材455を一体として離脱させることも可能である。この場合、筒状継手454内における円柱部材455の挿入深さL3よりも筒状継手454の移動可能範囲L2を大きくする。
ワイピングシートは、リール軸本体450にロール状を巻回して外部から運び込まれるが、このようにリール軸本体450が、筒状継手454を介して径方向に着脱できるようになっているため、ワイピングシートを着脱するためのスペースを左右方向(Y軸方向)に執る必要がなく、且つワイピングシートを簡単に交換することができる。また、着脱のための筒状継手454を単純な筒体ではなく、かみ合い形式の継手としているため、繰出しリール440自体の回転ブレを防止することができる。なお、巻取りリール441も繰出しリール440と同様に着脱形式とすることが、好ましい。
吐出検査ユニット404は、ワークWに対する描画不良を防止するために、機能液滴吐出ヘッド51から実際に吐出された飛翔中の機能液滴を撮像することにより、機能液滴吐出ヘッド51から機能液が適切に吐出されているか否かを検査するものである。図9および図10に示すように、吐出検査ユニット404は、ヘッドユニット41のY軸方向における移動領域に臨み、かつX軸テーブル121から外れた石定盤12上に配設されており、吐出検査のために吐出された機能液を受ける機能液受け461と、機能液受け461に対して吐出された飛翔中の機能液滴を撮像する撮像ユニット462と、撮像する機能液滴に光を照射する照明ユニット463と、を有している。なお、撮像ユニット462による撮像結果は、制御装置26に送信されて画像認識され、この画像認識に基づいて、各機能液滴吐出ヘッド51の各吐出ノズル74が正常に機能液を吐出しているか(ノズル詰まりがないか)否かが判断される。
図21および図22に示すように、重量測定ユニット405は、機能液滴吐出ヘッド51から吐出された機能液滴の重量を測定することにより、機能液滴吐出ヘッド51の吐出不良を検出するためのものであり、検出のための機能液を受ける12個の受け容器472と、12個の受け容器472を12個の機能液滴吐出ヘッド51の並びに合わせて載置する受け皿471と、吐出された機能液を収容した各受け容器472の重量を測定する図外の電子天秤と、を有している。受け皿471も、第1ヘッドユニットに対応した構成となっており、受け皿471には、第1ヘッドユニットの機能液滴吐出ヘッド51の配置パターンに倣って、12個の受け容器472を載置するための12個の浅溝(図示省略)が形成されている。
次に、液体供給回収装置23について説明する。液体供給回収装置23は、ヘッドユニット41(各機能液滴吐出ヘッド51)に機能液を供給する機能液供給系481と、メンテナンス装置22のフラッシングユニット401からの廃液を回収する廃液回収系482と、吸引ユニット402で吸引した機能液および吸引ユニット402に吐出された機能液を回収する機能液回収系483と、ワイピングユニット403に機能材料の溶剤を洗浄用として供給する洗浄液供給系484と、で構成されている。上記したタンクキャビネット3の上段には、洗浄液供給系484の2個の洗浄液タンク541が、中段には機能液供給系481の3個のメインタンク501が、下段には機能液回収系483の3個の再利用タンク531および廃液回収系482の小型の廃液タンク521がそれぞれ配設されている(図4参照)。
機能液供給系481は、主に第1ヘッドユニットを用い、大量のワークWに描画処理を行う場合に対応させた第1機能液供給系491と、主に第2ヘッドユニットを用い、少量のワークWに描画処理を行う場合に対応させた第2機能液供給系492と、を有している。第1機能液供給系491は、大量(3L)の機能液を貯留する3個のメインタンク501と、対応するメインタンク501から送液された機能液を貯留すると共に、各機能液滴吐出ヘッド51に機能液を供給する3個のサブタンク502と、メインタンク501からサブタンク502を経て機能液滴吐出ヘッド51に至る給液流路を形成する第1給液配管部503と、を有している。
メインタンク501は、エアー供給装置24から導入される圧縮エアーにより、第1給液配管部503を介して機能液を対応するサブタンク502に圧送する。3個のサブタンク502は、上記したブリッジプレート241上に横並びで配設されており、ヘッドユニット41と共にY軸方向を移動する(図1ないし図4等参照)。機能液滴吐出ヘッド51とサブタンク502との水頭差を所定値に維持するために、各サブタンク502内は負圧制御されている。これにより、機能液滴吐出ヘッド51の吐出ノズル74から機能液が液垂れすることを防止すると共に、圧電素子のポンプ作用により機能液滴が精度良く吐出されるようになっている。図示省略したが、第1給液配管部503は、メインタンク501およびサブタンク502を接続する3本の共通給液チューブと、各サブタンク502に4本ずつ繋ぎ込まれ、サブタンク502と各機能液滴吐出ヘッド51とを接続する12本の個別給液チューブと、各共通給液チューブを開閉するための3個の開閉バルブと、を有している。なお、ブリッジプレート241上には、12本の個別給液チューブ505を開閉する12個のヘッド側開閉バルブ508を有するヘッド側バルブユニット507が配設されている。
第2機能液供給系492は、機能液を貯留した機能液パック511(または小型のインクタンク)と、これを1個ずつ載置する3つのパック載置部材512と、3つのパック載置部材512を支持するパック支持部材513と、機能液パックと機能液滴吐出ヘッド51とを接続し、機能液を供給するための第2給液配管部(図示省略)と、を有している。パック支持部材513は、右後ろに立設した支柱231に固定されている。パック支持部材513と支柱231との間には、パック支持部材513を昇降させるパック昇降機構515が介設されており、パック昇降機構515の調整ねじ516を調整することにより、機能液パック511の高さ位置を調整できる。これにより、機能液パック511(液面)の高さを機能液滴吐出ヘッド51のノズル面73よりも僅かに低く調整することできるため、機能液パック511と機能液滴吐出ヘッド51との水頭差を所定値に合わせこむことができる。
廃液回収系482は、フラッシングユニット401の両フラッシングボックス415、421および吐出検査ユニット404の機能液受け461で受けられた機能液を回収するためのもので、回収した機能液を貯留する廃液タンク521と、両フラッシングボックス415、421、および機能液受け461の排出口(図示省略)に接続され、これらに吐出された機能液を廃液タンク521に導く廃液チューブ(図示省略)と、を有している。廃液チューブには、廃液ポンプ(図示省略)が介設されており、廃液ポンプを介して機能液が廃液タンク521に回収される。
機能液回収系483は、吸引ユニット402のキャップ426を介して吸引した機能液をメインタンク501毎に個別に回収するためのものであり、回収した機能液を貯留する3個の再利用タンク531を有している。上述したように、再利用タンク531は、キャップ426とエゼクタとの間に設けられており、エゼクタにより吸引された機能液を貯留する。
洗浄液供給系484は、ワイピングユニット403のワイピングシート(図示省略)に滴下する洗浄液を洗浄液ヘッド436に供給するためのもので、洗浄液を貯留する2個の洗浄液タンク541と、洗浄液タンク541と洗浄液ヘッド436を接続する洗浄液供給チューブ(図示省略)と、を有している。洗浄液タンク541は、エアー供給装置24に接続されており、エアー供給装置24から洗浄液タンク541に圧縮エアーを導入することにより、洗浄液タンク541から洗浄液が加圧送液されるようになっている。なお、洗浄液には、比較的揮発性の高い機能液の溶剤が用いられており、機能液滴吐出ヘッド51のノズル面73に付着する機能液を効率的に除去できるようになっている。
次に、エアー供給装置24について説明する。エアー供給装置24は、圧縮エアーを各部に供給するためものであり、主に架台11上に載置された各装置に圧縮エアーを供給する第1エアー供給ユニット551と、主に機台13に載置されたメンテナンス装置22に圧縮エアーを供給する第2エアー供給ユニット(図示省略)と、を備えている。図示省略したが、両エアー供給ユニットには、エアーを圧縮するエアーポンプ550(コンプレッサー)と、エアーポンプ550からの圧縮エアーを供給先に応じて一定圧力に保つレギュレータと、エアーポンプ550と各部とを配管接続するエアー配管部553と、がそれぞれ備えられている。エアー配管部553は、エアー供給チューブ555およびこれを開閉するエアー開閉バルブ556から成る給気側配管部554と、給気(供給)したエアーを回収するエアー回収チューブ558を有する排気側配管部557と、で構成されている。
本実施形態では、エアー配管部553の構成を単純化するため、圧縮エアーの供給を受ける各装置(または機構)を集約的に配置させている。吸着テーブル152に配設されたエアー配管部553を例に説明する。図12および図25に示すように、吸着テーブル152の支持ベース181には、エアーシリンダを有するプリアライメント機構262および吐出前フラッシングユニット411と共に、これらの各エアーシリンダに接続する複数本の個別エアー供給チューブ561と、各エアーシリンダに接続された複数本の個別エアー回収チューブ562と、エアーポンプに接続した共通エアー供給チューブ(図示省略)および複数本の個別エアー供給チューブ561を接続すると共に、複数本の個別エアー回収チューブ562を合流させ、まとめて排気させるためのエアーマニホールド563(分岐マニホールド)と、が配設されている。そして、支持ベース181に配設された複数のエアーシリンダを左右に略二分してエアーを供給するように、支持ベース181には、2個のエアーマニホールド563が配設されている。エアーマニホールド563内には、複数のエアー開閉バルブ556(電磁バルブ:制御バルブ)が設けられており、各エアー開閉バルブ556は、対応する個別エアー供給チューブ561および個別エアー回収チューブ562に接続されている。
このように、支持ベース181上に複数のエアーシリンダを集約配置しているので、エアー供給チューブ555およびエアー回収チューブ558を分岐・合流させるエアーマニホールド563を用いることにより、外部から支持ベース181に接続されるエアー配管部553(エアー供給チューブ数およびエアー回収チューブ数)を削減することができ、エアー配管部553の引き回しを単純にすることができる。なお、本実施形態では、吸着テーブル152がX軸方向に移動する構成であるが、外部から支持ベース181に接続されるエアー配管部553を削減することにより、吸着テーブル152の移動に対するエアー配管部553の影響を抑えることができ、精度よく吸着テーブル152の移動を行わせることが可能となる。また、支持ベース181には、2個のエアーマニホールド563が吸着テーブル152の中心(重心)に対して点対称に配設されており、外部から接続されるエアー配管部553により、吸着テーブル152に不均一な力がかかることを防止し、吸着テーブル152を安定して移動させることができるようになっている。
本実施形態では、ヘッド認識カメラ225をX軸エアースライダ142に支持させているが、支持ベース181に支持するようにしてもよい。この場合、支持ベース181に固定され、支持ベース181から側方に延びるブラケット(すし省略)にヘッド認識カメラ225を支持させ、テーブル本体183のカメラ開口226にヘッド認識カメラ225のカメラ本体225aを臨ませる。また、支持ベース181上に、ヘッド認識カメラ225と略同一構成のノズル観察カメラ(図示省略)を配設してもよい。ノズル観察カメラは、機能液滴吐出ヘッド51のノズル詰まりを観察するためのものであり、テーブル本体183に形成した開口からレンズを臨ませ、各吐出ノズル74を撮像する。これらの場合、カメラ本体を昇降させる昇降機構をエアーシリンダで構成すれば、エアーマニホールド563を介して昇降機構に圧縮エアーを供給することができる。
次に、エアー吸引装置25は、エアー吸引を行う真空ポンプ571と、吸着テーブル152の吸引孔214と真空ポンプ571とを配管接続する吸引配管部572と、を有しており、エアー吸引により、吸着テーブル152に載置されたワークWを不動に吸着セットするものである。図26に示すように、吸引配管部572は、上記した主吸引溝212、副吸引溝213の縦吸引溝213a、横吸引溝213bの吸引孔214にそれぞれ連通する3本の個別エアー吸引チューブ573と、各個別エアー吸引チューブ573を開閉する3個の吸引用開閉バルブ574と、3本の個別エアー吸引チューブ573を真空ポンプ571に接続するためのエアー吸引マニホールド575と、を有しており、ワークWのセット方向に応じてエアー吸引を行うようになっている。また、各個別エアー吸引チューブ573には、ワークWの吸引圧力を検出するための圧力センサ576が介設されている。
ワークWを横置きしたときには横吸引溝213bの吸引孔214に接続する個別エアー吸引チューブ573が吸引用開閉バルブ574により閉塞され、ワークWを縦置きしたときには縦吸引溝213aの吸引孔214に接続する個別エアー吸引チューブ573が閉塞される。すなわち、ワークWに接触する副吸引溝213のみから、エアー吸引が為されるようになっている。なお、ワークWの吸着セットを解除する場合には、各個別エアー吸引チューブ573を介して、エアー供給装置24(第1エアー供給ユニット551)から圧縮エアーを供給して真空破壊を行う構成となっており、各個別エアー吸引チューブ573には、切替え用の開閉バルブ577が介設されたエアー供給チューブ555が接続されている。
制御装置26は、パソコン等で構成されている。図示省略したが、制御装置26は、一時的に記憶可能な記憶領域を有し、制御処理のための作業領域として使用されるRAMと、各種記憶領域を有し、制御プログラムや各種データを記憶するハードディスクと、ハードディスクに記憶されたプログラム等に基づいて、各種データを演算処理するCPUと、これらを相互に接続するバスと、を備えており、液滴吐出装置1全体を相互に関連付けながら、統括的に制御している。
例えば、ワークWに生じる剥離帯電を効果的に除去するために、描画処理を行ったワークWを吸着テーブル152から持ち上げるときには、制御装置26は、上記したリフトアップ機構261、X軸テーブル121、および除電手段263を同期して駆動させている。ワークWを吸着テーブル152から持ち上げるときの除電方法について具体的に説明する。吸着テーブル152からのワークWの持ち上げに先立ち、先ず、X軸テーブル121を駆動して、吸着テーブル152をワーク搬出入領域131に移動させる。そして、エアー吸引装置25の駆動を停止させると共に、開閉バルブ506を開弁して、各個別エアー吸引チューブ573にエアー供給チューブ555を連通させ、ワークWの吸着セットを解除する。(ここでの順序は問わない)
次に、一対の静電除去装置391を駆動させて軟X線の照射を行う。軟X線の照射を行ったまま、リフトアップ機構261の一対の第1リフトアップ機構282を同期させて駆動し、ワークWを左右両端部から徐々に持ち上げていく。そして、ワークWの中央部が吸着テーブル152のセット面183aに接触させたまま、左右両端の高さが所定の高さ(イオン化する空気層が十分となる高さであり、ここでは5cmとする)に達すると、この状態で、X軸テーブル121を駆動し、ワークWを描画領域132の方へ往動させていく。この場合、一対の静電除去装置391による光軸とX軸方向は直交している。これにより、吸着テーブル152と上反り状態のワークWとの間の空気層がイオン化され、ワークWの裏面(およびセット面183a)における静電気を除電することができる。この場合、ワークWの移動速度は、イオン化した空気によりワークWの両端部が十分に除電されるよう、描画処理時の移動速度に比して低速度に設定される。
ワークWの往動が終了してワーク両端部の除電が終了した後、軟X線を照射したまま、X軸テーブル121を駆動してワークWを復動させ、ワークWの左右辺の中心を一対の静電除去装置391に臨ませる。続いて、第2リフトアップ機構312を駆動させ、ワークWの中心部を吸着テーブル152から引き離す。そして、ワークWが吸着テーブル152から完全に引き剥がされた後、一対の静電除去装置391の駆動を停止させる。このように、ワークWを吸着テーブル152から引き剥がす一連の動作において、常に軟X線を照射する構成とすることにより、ワークWの静電気を効果的に除電することが可能となる。
また、本実施形態では、ワークWを左右両端部のみを持ち上げた状態で除電作業を行っているが、ワークWの材質やワークWのリフトアップ方法に起因して、ワークWをリフトアップさせたときの帯電量が少ない場合には、ワークW全体を持ち上げた状態から、除電作業を開始してもよい。例えば、一対の第1リフトアップ機構282の駆動に続き、第2リフトアップ機構312を駆動させ、ワークWを吸着テーブル152から完全に離間させる。そして、X軸テーブル121を駆動して、軟X線を照射する一対の静電除去装置391にワークWを臨ませるように、ワークWの往復動を行い、ワークW全体の除電を行うようにする。
なお当然のことながら、この除電手段263は、吸着テーブル152にワークWを載置したときにも用いることができる。この場合、ワークWを吸着テーブル152に載置した後、一対の静電除去装置391を駆動し、さらにX軸テーブル121を駆動する。これにより、ワークW表面における静電気が中和される。したがって、描画処理の前準備としてワークWの除電を行うことにより、描画処理時におけるワークWの静電気の影響を抑えることができる。
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、更にこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、及び薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板を言う。
先ず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図27は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図28は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ600(フィルタ基体600A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S11)では、図28(a)に示すように、基板(W)601上にブラックマトリクス602を形成する。ブラックマトリクス602は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス602を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス602を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
続いて、バンク形成工程(S12)において、ブラックマトリクス602上に重畳する状態でバンク603を形成する。即ち、まず図28(b)に示すように、基板601及びブラックマトリクス602を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層604を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム605で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図28(c)に示すように、レジスト層604の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層604をパターニングして、バンク603を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク603とその下のブラックマトリクス602は、各画素領域607aを区画する区画壁部607bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド51により着色層(成膜部)608R、608G、608Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
以上のブラックマトリクス形成工程及びバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体600Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク603の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)601の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク603(区画壁部607b)に囲まれた各画素領域607a内への液滴の着弾位置精度が向上する。
次に、着色層形成工程(S13)では、図28(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド51によって機能液滴を吐出して区画壁部607bで囲まれた各画素領域607a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド51を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライブ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層608R、608G、608Bを形成する。着色層608R、608G、608Bを形成したならば、保護膜形成工程(S14)に移り、図28(e)に示すように、基板601、区画壁部607b、および着色層608R、608G、608Bの上面を覆うように保護膜609を形成する。
即ち、基板601の着色層608R、608G、608Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜609が形成される。
そして、保護膜609を形成した後、カラーフィルタ600は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
図29は、上記のカラーフィルタ600を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置620に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ600は図28に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
この液晶装置620は、カラーフィルタ600、ガラス基板等からなる対向基板621、及び、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層622により概略構成されており、カラーフィルタ600を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板621およびカラーフィルタ600の外面(液晶層622側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板621側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
カラーフィルタ600の保護膜609上(液晶層側)には、図29において左右方向に長尺な短冊状の第1電極623が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極623のカラーフィルタ600側とは反対側の面を覆うように第1配向膜624が形成されている。
一方、対向基板621におけるカラーフィルタ600と対向する面には、カラーフィルタ600の第1電極623と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極626が所定の間隔で複数形成され、この第2電極626の液晶層622側の面を覆うように第2配向膜627が形成されている。これらの第1電極623および第2電極626は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
液晶層622内に設けられたスペーサ628は、液晶層622の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材629は液晶層622内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極623の一端部は引き回し配線623aとしてシール材629の外側まで延在している。
そして、第1電極623と第2電極626とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ600の着色層608R、608G、608Bが位置するように構成されている。
通常の製造工程では、カラーフィルタ600に、第1電極623のパターニングおよび第1配向膜624の塗布を行ってカラーフィルタ600側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板621に、第2電極626のパターニングおよび第2配向膜627の塗布を行って対向基板621側の部分を作成する。その後、対向基板621側の部分にスペーサ628およびシール材629を作り込み、この状態でカラーフィルタ600側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材629の注入口から液晶層622を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板621側の部分にカラーフィルタ600側の部分を貼り合わせる前に、シール材629で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材629の印刷を、機能液滴吐出ヘッド51で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜624,627の塗布を機能液滴吐出ヘッド51で行うことも可能である。
図30は、本実施形態において製造したカラーフィルタ600を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置630が上記液晶装置620と大きく異なる点は、カラーフィルタ600を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置630は、カラーフィルタ600とガラス基板等からなる対向基板631との間にSTN液晶からなる液晶層632が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板631およびカラーフィルタ600の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
カラーフィルタ600の保護膜609上(液晶層632側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極633が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極633の液晶層632側の面を覆うように第1配向膜634が形成されている。
対向基板631のカラーフィルタ600と対向する面上には、カラーフィルタ600側の第1電極633と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極636が所定の間隔で形成され、この第2電極636の液晶層632側の面を覆うように第2配向膜637が形成されている。
液晶層632には、この液晶層632の厚さを一定に保持するためのスペーサ638と、液晶層632内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材639が設けられている。
そして、上記した液晶装置620と同様に、第1電極633と第2電極636との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ600の着色層608R、608G、608Bが位置するように構成されている。
図31は、本発明を適用したカラーフィルタ600を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置650は、カラーフィルタ600を図中上側(観測者側)に配置したものである。
この液晶装置650は、カラーフィルタ600と、これに対向するように配置された対向基板651と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ600の上面側(観測者側)に配置された偏光板655と、対向基板651の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ600の保護膜609の表面(対向基板651側の面)には液晶駆動用の電極656が形成されている。この電極656は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極660が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極656の画素電極660とは反対側の面を覆った状態で配向膜657が設けられている。
対向基板651のカラーフィルタ600と対向する面には絶縁層658が形成されており、この絶縁層658上には、走査線661及び信号線662が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線661と信号線662とに囲まれた領域内には画素電極660が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極660上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
また、画素電極660の切欠部と走査線661と信号線662とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ663が組み込まれて構成されている。そして、走査線661と信号線662に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ663をオン・オフして画素電極660への通電制御を行うことができるように構成されている。
なお、上記の各例の液晶装置620,630,650は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
次に、図32は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置700と称する)の要部断面図である。
この表示装置700は、基板(W)701上に、回路素子部702、発光素子部703及び陰極704が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置700においては、発光素子部703から基板701側に発した光が、回路素子部702及び基板701を透過して観測者側に出射されるとともに、発光素子部703から基板701の反対側に発した光が陰極704により反射された後、回路素子部702及び基板701を透過して観測者側に出射されるようになっている。
回路素子部702と基板701との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜706が形成され、この下地保護膜706上(発光素子部703側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜707が形成されている。この半導体膜707の左右の領域には、ソース領域707a及びドレイン領域707bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域707cとなっている。
また、回路素子部702には、下地保護膜706及び半導体膜707を覆う透明なゲート絶縁膜708が形成され、このゲート絶縁膜708上の半導体膜707のチャネル領域707cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極709が形成されている。このゲート電極709及びゲート絶縁膜708上には、透明な第1層間絶縁膜711aと第2層間絶縁膜711bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜711a、711bを貫通して、半導体膜707のソース領域707a、ドレイン領域707bにそれぞれ連通するコンタクトホール712a,712bが形成されている。
そして、第2層間絶縁膜711b上には、ITO等からなる透明な画素電極713が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極713は、コンタクトホール712aを通じてソース領域707aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜711a上には電源線714が配設されており、この電源線714は、コンタクトホール712bを通じてドレイン領域707bに接続されている。
このように、回路素子部702には、各画素電極713に接続された駆動用の薄膜トランジスタ715がそれぞれ形成されている。
上記発光素子部703は、複数の画素電極713上の各々に積層された機能層717と、各画素電極713及び機能層717の間に備えられて各機能層717を区画するバンク部718とにより概略構成されている。
これら画素電極713、機能層717、及び、機能層717上に配設された陰極704によって発光素子が構成されている。なお、画素電極713は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極713の間にバンク部718が形成されている。
バンク部718は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層718a(第1バンク層)と、この無機物バンク層718a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層718b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部718の一部は、画素電極713の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部718の間には、画素電極713に対して上方に向けて次第に拡開した開口部719が形成されている。
上記機能層717は、開口部719内において画素電極713上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層717aと、この正孔注入/輸送層717a上に形成された発光層717bとにより構成されている。なお、この発光層717bに隣接してその他の機能を有する他の機能層を更に形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成する事も可能である。
正孔注入/輸送層717aは、画素電極713側から正孔を輸送して発光層717bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層717aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
発光層717bは、赤色(R)、緑色(G)、又は青色(B)の何れかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層717aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層717bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層717aを再溶解させることなく発光層717bを形成することができる。
そして、発光層717bでは、正孔注入/輸送層717aから注入された正孔と、陰極704から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
陰極704は、発光素子部703の全面を覆う状態で形成されており、画素電極713と対になって機能層717に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極704の上部には図示しない封止部材が配置される。
次に、上記の表示装置700の製造工程を図33〜図41を参照して説明する。
この表示装置700は、図33に示すように、バンク部形成工程(S21)、表面処理工程(S22)、正孔注入/輸送層形成工程(S23)、発光層形成工程(S24)、及び対向電極形成工程(S25)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
まず、バンク部形成工程(S21)では、図34に示すように、第2層間絶縁膜711b上に無機物バンク層718aを形成する。この無機物バンク層718aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層718aの一部は画素電極713の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層718aを形成したならば、図35に示すように、無機物バンク層718a上に有機物バンク層718bを形成する。この有機物バンク層718bも無機物バンク層718aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部718が形成される。また、これに伴い、各バンク部718間には、画素電極713に対して上方に開口した開口部719が形成される。この開口部719は、画素領域を規定する。
表面処理工程(S22)では、親液化処理及び撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層718aの第1積層部718aa及び画素電極713の電極面713aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極713であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層718bの壁面718s及び有機物バンク層718bの上面718tに施され、例えば4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド51を用いて機能層717を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部719から溢れ出るのを防止することが可能となる。
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体700Aが得られる。この表示装置基体700Aは、図1に示した液滴吐出装置1のセットテーブル141に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S23)及び発光層形成工程(S24)が行われる。
図36に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S23)では、機能液滴吐出ヘッド51から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部719内に吐出する。その後、図37に示すように、乾燥処理及び熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面713a)713上に正孔注入/輸送層717aを形成する。
次に発光層形成工程(S24)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層717aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層717aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層717aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層717a上に吐出しても、正孔注入/輸送層717aと発光層717bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層717bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒ならびに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層717aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層717a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層717aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層717aに均一に塗布することができる。
そして次に、図38に示すように、各色のうちの何れか(図38の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部719)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層717a上に広がって開口部719内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部718の上面718t上に着弾した場合でも、この上面718tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部719内に転がり込み易くなっている。
その後、乾燥工程等を行う事により、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図39に示すように、正孔注入/輸送層717a上に発光層717bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層717bが形成されている。
同様に、機能液滴吐出ヘッド51を用い、図40に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層717bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)及び緑色(G))に対応する発光層717bを形成する。なお、発光層717bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決める事も可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライブ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
以上のようにして、画素電極713上に機能層717、即ち、正孔注入/輸送層717a及び発光層717bが形成される。そして、対向電極形成工程(S25)に移行する。
対向電極形成工程(S25)では、図41に示すように、発光層717b及び有機物バンク層718bの全面に陰極704(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極704は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極704の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
このようにして陰極704を形成した後、この陰極704の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置700が得られる。
次に、図42は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置800と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、及びこれらの間に形成される放電表示部803を含んで概略構成される。放電表示部803は、複数の放電室805により構成されている。これらの複数の放電室805のうち、赤色放電室805R、緑色放電室805G、青色放電室805Bの3つの放電室805が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
第1基板801の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極806が形成され、このアドレス電極806と第1基板801の上面とを覆うように誘電体層807が形成されている。誘電体層807上には、各アドレス電極806の間に位置し、且つ各アドレス電極806に沿うように隔壁808が立設されている。この隔壁808は、図示するようにアドレス電極806の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極806と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁808によって仕切られた領域が放電室805となっている。
放電室805内には蛍光体809が配置されている。蛍光体809は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室805Rの底部には赤色蛍光体809Rが、緑色放電室805Gの底部には緑色蛍光体809Gが、青色放電室805Bの底部には青色蛍光体809Bが各々配置されている。
第2基板802の図中下側の面には、上記アドレス電極806と直交する方向に複数の表示電極811が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層812、及びMgOなどからなる保護膜813が形成されている。
第1基板801と第2基板802とは、アドレス電極806と表示電極811が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極806と表示電極811は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極806,811に通電することにより、放電表示部803において蛍光体809が励起発光し、カラー表示が可能となる。
本実施形態においては、上記アドレス電極806、表示電極811、及び蛍光体809を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板801におけるアドレス電極806の形成工程を例示する。
この場合、第1基板801を液滴吐出装置1のセットテーブル141に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド51により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、又はニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
補充対象となる全てのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極806が形成される。
ところで、上記においてはアドレス電極806の形成を例示したが、上記表示電極811及び蛍光体809についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極811の形成の場合、アドレス電極806の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体809の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド51から液滴として吐出し、対応する色の放電室805内に着弾させる。
次に、図43は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置900と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置900を、その一部を断面として示してある。
この表示装置900は、互いに対向して配置された第1基板901、第2基板902、及びこれらの間に形成される電界放出表示部903を含んで概略構成される。電界放出表示部903は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部905により構成されている。
第1基板901の上面には、カソード電極906を構成する第1素子電極906aおよび第2素子電極906bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極906aおよび第2素子電極906bで仕切られた部分には、ギャップ908を形成した導電性膜907が形成されている。すなわち、第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907により複数の電子放出部905が構成されている。導電性膜907は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ908は、導電性膜907を成膜した後、フォーミング等で形成される。
第2基板902の下面には、カソード電極906に対峙するアノード電極909が形成されている。アノード電極909の下面には、格子状のバンク部911が形成され、このバンク部911で囲まれた下向きの各開口部912に、電子放出部905に対応するように蛍光体913が配置されている。蛍光体913は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、各開口部912には、赤色蛍光体913R、緑色蛍光体913Gおよび青色蛍光体913Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
そして、このように構成した第1基板901と第2基板902とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置900では、導電性膜(ギャップ908)907を介して、陰極である第1素子電極906aまたは第2素子電極906bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極909に形成した蛍光体913に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極906a、第2素子電極906b、導電性膜907およびアノード電極909を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体913R,913G,913Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907は、図44(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図44(b)に示すように、予め第1素子電極906a、第2素子電極906bおよび導電性膜907を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極906aおよび第2素子電極906bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜907を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜907を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板901および第2基板902に対する親液化処理や、バンク部911,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。