JP4372567B2 - 紫外光による水および水溶液測定方法 - Google Patents

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本発明は、水または水溶成分の識別・定量分析に関するものである。
水または水溶成分の識別・定量分析において、分光分析は非常に有効な手段として多種多様に利用されている。その分光分析手法は、測定波長領域によって、紫外可視分光、近赤外分光、赤外分光に大別される。
特に近赤外分光では、水特有の水素結合を反映する吸収スペクトルが800nm〜1400nmに顕著に観測され、たとえば特開平3−175341号公報には、このスペクトルを利用した水中の溶解成分測定方法が提案されている。水分子は液体状態では互いに水素結合しているが、水中に他の溶解成分が混入された場合には、この水素結合の状態がきわめて敏感に変化する。そして、その変化の様子を調べることで、混入成分の定量分析が可能となるのである。より具体的には、無機電解質が水溶液中でイオン電離する際に、イオン水和によって生じるイオン近傍の水分子とバルクの水分子との間の水素結合の切断や歪み、イオンの電場による水分子の分極の影響などによって、水分子自身の結合状態や、水素結合した水分子同士の結合状態が影響を受け、その近赤外吸収スペクトルは純水の場合と異なるものとなる。そこで、あらかじめその変化を検量することで、近赤外に吸収スペクトルを持たないイオン種の濃度を水の吸収スペクトルの変化から定量できる。
特開平3−175341号公報 特開平3−220452号公報
たとえば今日の半導体製造プロセスでは回路の微細化が進み、使用される薬液の無機電解質濃度はそれに伴って低濃度化する傾向がある。また廃液処理に関する環境問題の観点からも非常に低濃度の成分分析が要求されている。しかし近赤外に現れる水の吸収スペクトルは本来禁制遷移で吸収が弱く、極微量の溶解成分の濃度が測定できない。そこで、近赤外スペクトルでは有意差が得られない極微量の溶解成分の濃度の測定が必要になっている。
なお、後で説明するように本発明は遠紫外分光を用いるが、特開平3-220452号公報には、紫外光の吸光度を用いたアンモニアまたは水酸化ナトリウムと共存の過酸化水素定量法が記載されている。ここで測定されているのは、0〜10重量%の過酸化水素濃度、0〜15重量%のアンモニア濃度、0〜8重量%の水酸化ナトリウム濃度であり、本発明の対象とするような微量成分の分析はしていない。
この発明の目的は、遠紫外に現れる水の吸収スペクトルを用いて、種々の微量の溶解成分を含む水の識別・定量分析を可能にすることである。
160nm付近にピークを有する水のn→σ*遷移による吸収スペクトルが、水自身と水中に溶解する水和イオンとの間に形成する電場の影響で長波長側にシフトし、スペクトルの一部が常用分光装置(真空を要しない分光装置)で測定可能な領域に現れることを利用して、水溶液の識別・定量分析を行う。
すなわち、本発明に係る紫外光による水溶液測定方法では、水の160nm付近の吸収ピークの長波長側で、微量成分を含む水溶液における紫外光の吸収強度と微量成分の濃度との検量線を、水の160nm付近の吸収ピークの裾野の部分にあり、かつ、微量成分自体による吸収を生じない1以上の波長(たとえば180〜210nmの範囲内)であらかじめ決定しておく。次に、微量成分を含む水溶液試料の紫外分光スペクトルを、前記の1以上の波長で測定する。そして、得られた紫外分光スペクトルデータより検量線を用いて水溶液試料中の微量成分の濃度を定量する。
遠紫外分光により水溶液中の微量成分の識別および定量分析が可能になる。また、この測定の分析は単純な手法で行える。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
一般に、可視・紫外光線による分光分析では、その吸収スペクトルが測定物質分子の電子遷移のエネルギー準位に及ぶため、近赤外線の吸収スペクトルよりはるかに大きなエネルギー変化を伴う。このことを利用した分光分析の歴史は深く、各種発光基の定性・定量分析に応用されており、今日ではたいていの発色団のスペクトルが知られている。このように紫外可視分光は従来から広く使用されているが、200nm〜800nm領域に吸収バンドを有する溶液に対してのみ適用されていた。たとえば、降水中の硝酸イオン(NO 2−)や亜硝酸イオン(NO -)はそれぞれ201nm、210nmにピークをもつ吸収が知られており、それらの波長を用いた検出や測定が行われている。
ところで、水分子は分子中の酸素原子に不対電子を有しており、この不対電子が他の分子との間の共有結合に関与することができ、その際に形成される反結合性分子軌道σとの間で、n→σ遷移とよばれる紫外線領域のエネルギー変化を伴う。そして、この水の吸収スペクトルは気体状態では波長167.0nmにピークを持つことが知られており、液体ではおよそ160nm付近のピークを示す。しかし、これまで水中に溶解する物質をこの水自身の吸収スペクトルを用いて検出あるいは測定する試みはなされなかった。なぜなら、水中に溶解する成分が微量である場合は、明らかに主成分は水であり、微量成分の混入による水自体のスペクトルの吸収量変化は無視されるほど小さいことが自明であるからである。
本発明者は、この水のn→σ遷移に要するエネルギーが、水中に溶解成分が水和している状態では、その水和イオンに固有の変化を示すことに着目し、各種の水和イオンに関する水のn→σ遷移スペクトルの変化の様子を系統的に調査した。その結果、水中に溶解成分が水和した状態では、水和イオンの電場が影響して、n→σ遷移に起因する160nm付近の吸収ピークの裾野の部分(180nm〜210nmの常用分光装置で測定可能な領域に現れる吸収バンド)の強度、位置、バンド幅が、水の水素結合や水和に非常に敏感に変化していることを突き止め、これを水溶液の識別や定量分析に利用して、水中に溶解する極微量の成分濃度や水質変化の測定が可能であることを実証するにいたった。すなわち、水のn→σ*遷移による吸収スペクトルは、図1に示すように、180nm〜210nmの波長領域で非常に急峻な傾斜を有しているが、この傾斜の位置が水の状態が変化することによってシフトすると、水中に溶解する物質の濃度が微量であって、そのことによる水の吸収ピークの大きさがほとんど変わらない場合でも、わずかなスペクトルのシフトはその変化の様子を103〜10倍に拡大して反映することになる。
例1:純水の紫外スペクトルの温度変化.
純水の紫外スペクトルは、温度変化に対して変化する。たとえば図2に示す紫外スペクトルは、純水の温度を20℃〜55℃の範囲内の5℃おきの8つの温度で変化させた場合の、160nm付近にピークを有する水の吸収の裾野の部分の吸収スペクトルである。純水の温度が上昇して、水自身の水素結合力が緩和されるに従って紫外スペクトルが長波長側へシフトしており、この領域の水のスペクトルが水分子同士の結合状態の変化を反映していることを示している。
例2:水の紫外スペクトルの極微量の溶解成分による変化.
また、水の紫外スペクトルは、水中に溶解する極微量の成分濃度に対して変化する。たとえば、図3は、亜硝酸イオン水溶液に見られる水の遠紫外スペクトル変化の測定例を示す。ここで、25℃の純水に亜硝酸ナトリウムを20μmol/l〜200μmol/lの範囲内で20μmol/lごとの濃度で溶解させている。亜硝酸ナトリウムの濃度上昇に伴って、亜硝酸イオン(NO -)の吸収ピーク(波長210nm)での吸収量が増加する一方で、190nm〜200nmの領域の吸収が亜硝酸イオンの増加に比例して増加していることがわかる。これは、本来の亜硝酸イオンの吸収スペクトル(図の点線で推測されるスペクトル)に亜硝酸ナトリウムの水和による水の吸収スペクトルの長波長シフトが重なったスペクトルと理解することができる。すなわち、190nm〜200nmのスペクトルの変化は、純水中に亜硝酸ナトリウムが水和することによって水分子同士の結合状態が緩和され、亜硝酸ナトリウムの濃度に相関して水の吸収スペクトルがシフトしている様子を反映しており、このシフトによる190nm〜200nmの領域の吸収量の変化から亜硝酸ナトリウムの濃度が定量可能であることを示すものである。例1、例2の測定では、図4の装置を用いた。
なお、前に述べたように、紫外可視分光は従来から広く使用されているが、200nm〜800nm領域に吸収バンドを有する物質に対してのみ適用されていた。これに対し、本発明は、水に溶解する物質によって変化する水のスペクトルで分析を行うため、溶解物質自体のスペクトルが180nm以上の常用分光装置で観測可能な領域に現れない場合でも、極微量の水溶性物質の定量測定を可能にしたものである。
図4は、水の紫外スペルトル測定に用いる紫外分光測定装置の構成を示す。光源10から発生される紫外線が、光学セル12の中の測定試料を透過する。光学セルを透過した測定光は、分光部14に入り、複数の波長に分光される。(分光方法にはグレーティングを用いても良いし、干渉フィルタを用いてもよい。)信号処理部16は、各測定波長での信号を演算して濃度を定量する。さらに、データ出力部18が、演算結果を表示または出力する。この装置構成は、従来と同様である。信号処理部16とデータ表示部18として、具体的には、190nm〜280nmの波長で測定できる常用の分光装置が使用でき、ここでは、島津製作所の紫外・可視分光分析計3100PCを用いた。
濃度計算式は、以下のとおり得られる。光源10が発する光量をI、基準液(純水)を入れたセルを通過後に分光部センサが受光する光量をI、サンプル液を通過後にセンサが受光する光量をIとするとき、それぞれの光量I、Iと濃度cの関係は、ランバートベールの法則より、式(1)、式(2)として表わせる。ここに、aは、測定成分の物質吸光度を表わし、bは試料の厚さ(セル長)を表わす。また、γは検出強度の変動であり、センサの感度変化や光量変化である。
Figure 0004372567
ただし、基準液では、c=0である。
Figure 0004372567
また、これらの式において、aは、系の測定成分以外の物質吸光度であり、たとえば、セル、フィルターやレンズの材質の吸光度やそれらに付着する汚れの吸光度などがあげられる。また、bは、それら吸収をもつ物質の厚みである。これらの式では、それらサンプル以外による光の吸収をまとめてexp(−a×b)と表わしている。
そこで、このような光学光路の構成において、測定成分によって吸収を受けた透過光量Iを、測定成分以外の条件がすべて等価な基準液透過光量Iで割ることによって、濃度にかかわる吸収量のみを取り出し、測定成分濃度cを式(3)により求めることができる。
Figure 0004372567
また、実際の濃度測定には2波長法も用いられる。2波長法では、第1の波長を試料に対して吸光度が大きな波長に選び、第2の波長として、吸光度が第1の波長と異なり、それ以外の要因は第1の波長と同様に変化する波長を選択し、この2つの波長で測定して濃度cを計算する。
また、複数の成分の濃度を定量する場合には、スペクトルから得られる複数の波長の吸光度を多変量解析して検量線を作成し、得られた検量線から各成分の濃度を計算するという手法(重回帰分析や主成分分析)が有効である。
このように、紫外光による水溶液中の微量成分の測定方法では、水の160nm付近の吸収ピークの長波長側での1以上の波長(たとえば180nm〜210nmの範囲内)での吸収強度と1または2以上の微量成分の濃度との検量線をあらかじめ決定しておく。次に、水溶液の紫外分光スペクトルを、前記の1以上の波長で測定する。そして、得られた紫外分光スペクトルデータより検量線を用いて水溶液中の微量成分の濃度を定量する。この測定方法は、溶解物質自体のスペクトルが遠紫外領域に現れない場合でも極微量の水溶性物質の定量測定を可能にしたものであるが、水の160nm付近の吸収ピークの長波長側の裾野に、溶解物質自体の吸収ピークの裾野が重なることもある。その場合も、同様に検量線を決定して水溶液中の微量成分の濃度を定量できる。なお、この測定方法は溶解物質自体の吸収ピークを測定するものではないので、測定波長としては、溶解物質自体の吸収ピークを含めなくてもよく、吸収ピークを含まない適当な波長を選択すればよい。
また、別の測定方法では、検量線を用いる代りに、複数の標準水溶液について紫外分光スペクトルの波長依存性を水の160nm付近の吸収ピークの長波長側の所定の波長範囲(たとえば180nm〜210nmの範囲内)であらかじめ測定しておく。次に、微量成分を含む水溶液試料の紫外分光スペクトルを所定の波長範囲で測定し、水溶液試料の紫外分光スペクトルが、どの標準水溶液の紫外分光スペクトルと一致するかを判断する。
以下に,測定例を説明する。
例3:市販の天然水の識別.
8種の市販の天然水W1〜W8と蒸留水を分析した。表1は、これらの8種の市販天然水W1〜W8のイオン濃度とpH値を示す。純水は、水を2回蒸留し、活性炭と逆浸透フィルタを通して作成した。また、市販天然水のうち、W1は「六甲のおいしい水」(商標)(ハウス食品)であり、W2は「南アルプスの天然水」(商標)(サントリー)であり、W3は「立山連峰の天然水」(商標)(サッポロビール)であり、W4は「森の水だより」(商標)(コカコーラ)であり、W5は「エビアン」(商標) (カルピス)であり、W6は「アルカリイオンの水」(商標)(キリンベバレッジ)であり、W7は「越前の水」(商標)(ハイピース)であり、W8は「ゆうゆう涌水」(商標)(ネスレジャパン)である。
表1は、8種の天然水試料の陽イオンと陰イオンの濃度(mg/100ml)とpH値を示す。
Figure 0004372567
図4に示した装置を用いた測定において、水の温度は25℃であった。光学セル12として10mmの光路長の水晶キュベットセルを用い、測定試料である水または水溶液は、この水晶キュベットセル12に入れられた。そして、180nm〜310nmの波長領域での紫外分光スペクトルを測定した。
図5は、これらの8種の市販天然水W1〜W8および純水(蒸留水)の190nm〜250nmの波長範囲での遠紫外スペクトルパターンを示す。これらのスペクトルの190nm〜210nmの波長範囲は、水のn→σ遷移による160nm付近の吸収バンドの裾野部と重複している。
図5のスペクトルパターンを表1と比較すると分かるように、スペクトルパターンと溶解成分(鉱物)の量との間に単純な関係は存在しない。図5のスペクトルパターンが溶解成分自体の吸収のみで形成されているのではなく、各試料における溶解成分の水和の相違を反映しているためである。つまりデータは、n→σ遷移の強度、ピーク位置、バンド幅が溶解成分の水和により敏感に変化していることを示している。
図5から明らかなように、これらの8種の天然水W1〜W8は、そのスペクトルパターンの違いから明瞭に識別可能であり、いかなるスペクトルの前処理も識別には必要としない。したがって、8種の天然水の標準水溶液について紫外分光スペクトルの波長依存性をあらかじめ測定しておいて、ある水溶液試料の紫外分光スペクトルを測定し、得られた紫外分光スペクトルが、どの標準水溶液の紫外分光スペクトルと一致するかを判断することにより、その水溶液試料がどの天然水であるかを識別できる。これと対照的に、図示しないが、本発明者が測定した8種の水の近赤外スペクトルは、肉眼では同一に見え、また、高度で複雑な主成分分析を行っても完全な識別はできなかった。
例4:水中の0〜20ppmの微量塩酸の定量測定.
塩酸溶液は、以下のように作成した。まず、三菱化学の36%塩酸溶液を純水で1000ppmに希釈し、さらにそれを純水でそれぞれ、1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、20ppmの11通りのHCl濃度に希釈した。
例3と同様に、図4に示した装置を用いた測定において、水の温度は25℃であった。光学セル12として10mmの光路長の水晶キュベットセルを用い、測定試料である水または水溶液は、この水晶キュベットセル12に入れられた。そして、遠紫外スペクトルのうち、193nmと215nmの2つの波長を測定波長に用いた。後者は、2波長法の参照波長である。1成分系のスペクトル解析のため、検量線は上記2波長の差吸光度に対する最小二乗法による近似により得られた。
HClの定量は、今日種々の分野で重要である。たとえば半導体の洗浄工程においてHClは洗剤液として利用され、その工程監視のため濃度は正確に管理されねばならない。図6は、0〜20ppmの範囲内の11の濃度(1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、20ppm)のHCl水溶液の遠紫外スペクトルを示し、図7は、HClの濃度を予測する検量線モデルの相関性を示す。モデルの相関係数Rと標準偏差σは、0.9987と0.18ppmであった。少なくとも100ppmまで微量のHClが高精度で定量測定できることが分かる。本測定例での水溶液中のHClの検出限界は0.5ppmであった。もちろん、より長い光路長のセルを用いれば、検出限界はさらに改善される。また、装置の光学系部分を窒素パージして空気中の酸素による吸収を除去した状態で、測定をより短波長の185nmで行った場合の検出限界は0.05ppmであった。
これに対し、現在、水溶液中の微量のHClの簡単な測定法は知られていない。近赤外分光はハロゲン化イオンの測定に使用されており、簡単であるが、多変量解析を必要とする。また、検出限界は約100ppmである。したがって、上述の遠紫外スペクトルを用いる測定は、微量なHClの定量に非常に有効であることが分かる。
また、より複雑な水溶液中のHCl濃度測定例として、純水中に多種多様の陽イオン・陰イオンを含む天然水(南アルプス天然水)中のHClの測定を実施した。図8は天然水にHClを0〜20ppmの濃度に添加した水溶液のスペクトルを示す。HCl濃度は、2、4、6、8、10、16、20ppmである。HClを含まない天然水をスペクトルのブランクとしている。水溶液中に多様の溶解成分が存在するために、その挙動は純水中でHClが増加する場合と異なってはいるが、そのスペクトルの変化にはHClの増加に対して一定の相関が得られており、検量線を作成した場合の相関係数Rと標準偏差σはそれぞれ0.9971と0.34ppmであった。したがってこの方法では、純水中に定量の溶解成分が存在する状態でも、特定の溶解成分の定量測定が可能であることがわかる。
例5:水中微量アンモニアと微量過酸化水素の混合溶液の0〜100ppmの定量測定.
アンモニア水と過酸化水素水との混合溶液を、純水を用いて、10ppm〜100ppmの濃度範囲の溶液に希釈して用意し、例3、例4と同様に、図4に示した装置を用いて測定した。
図9は、100ppmの濃度のアンモニアと過酸化水素をそれぞれ含む溶液の遠紫外スペクトル(190nm〜330nmの波長範囲)を示す。このように、水溶液中のアンモニアと過酸化水素の遠紫外スペクトルは異なり、それらは純水のスペクトルにも異なる影響を与えている。
図10と図11は、アンモニアと過酸化水素の濃度を予測する検量線モデルの相関性を示す。2成分系の解析のため、重回帰分析を用いた。ここでは測定波長に195、200、205、230、290nmの5波長を用いた。アンモニアと過酸化水素に対するモデルの相関係数Rと標準偏差σは、それぞれ、0.9988と1.44と、0.9999と0.50であった。アンモニアと過酸化水素のいずれも100ppmの濃度まで高精度に定量できることが分かる。アンモニアと過酸化水素の検出限界は、本測定例では0.2ppmである。このように、この方法は2成分系に対しても有用である。
水の分光スペクトル 純水の温度変化に対する紫外スペクトルの変化の様子を示すグラフ 亜硝酸イオン水溶液に見られる水のスペクトル変化の様子を示すグラフ 紫外分光測定装置の図 蒸留水と8種の水溶液の遠紫外スペクトル 0〜20pmの濃度のHCl水溶液の遠紫外スペクトル HClの濃度を予測する検量線モデルの相関性を表すグラフ 天然水中の0〜20ppmの濃度のHCl水溶液の遠紫外スペクル 100ppmの濃度のアンモニアと過酸化水素の溶液の遠紫外スペクトル アンモニアの濃度を予測する検量線モデルの相関性を表すグラフ 過酸化水素の濃度を予測する検量線モデルの相関性を表すグラフ
符号の説明
10 光源、 12 光学セル、 14 分光部、 16 信号処理部、 18 データ出力部。

Claims (4)

  1. 水の160nm付近の吸収ピークの長波長側で、微量成分を含む水溶液における紫外光の吸収強度と微量成分の濃度との検量線を、水の160nm付近の吸収ピークの裾野の部分にあり、かつ、微量成分自体による吸収を生じない1以上の波長であらかじめ決定しておき、
    微量成分を含む水溶液試料の紫外分光スペクトルを、前記の1以上の波長で測定し、
    得られた紫外分光スペクトルデータより検量線を用いて水溶液試料中の微量成分の濃度を定量する
    紫外光による水溶液測定方法。
  2. 前記の波長が180nm〜210nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載された水溶液測定方法。
  3. 前記の紫外分光スペクトルを測定する1以上の波長は、180nm〜210nmの範囲内の2つの波長であることを特徴とする請求項1に記載された水溶液測定方法。
  4. 前記の1以上の波長は、さらに、微量成分自体による吸収を生じる波長を含むことを特徴とする請求項1に記載された水溶液測定方法。
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CN102928375A (zh) * 2012-07-25 2013-02-13 苏州派尔精密仪器有限公司 采用紫外光谱分析方法进行地沟油检测的方法
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