JP4370230B2 - 医療用チューブおよびシャントシステム - Google Patents
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(1)アンチサイフォンデバイスをシャントバルブ装置に内蔵することによりシャントバルブ装置それ自体にアンチサイフォン機能が付与されたシャントシステムを構成した場合には、シャントバルブ装置それ自体が大型のものとなるため、体内に留置した際に患者の異物感が増大するばかりか、皮膚の壊死などが生ずる危険性が高くなる。
(2)アンチサイフォンデバイスをシャントバルブ装置と別個に組み込むことによりシャントシステムを構成した場合には、各デバイスを相互に接続する際にトラブルが生ずる危険性が高くなり、しかも、大きな設置面積(デバイスの占有面積)が必要となり、患者に対する負担が増加する。
特に、特許文献1に開示されている構成のアンチサイフォンデバイスを使用した場合には、腹腔の圧力がある程度低くならないと流路が閉鎖せず、また一旦流路が閉鎖された場合には、脳室の圧力が高くならないと再び流路が開放されない構成とされているので、十分な流量調整を行うことが困難であり、シャントシステム本来の機能を確実に発揮させることが困難である、という問題がある。
また、本発明の他の目的は、上記の医療用チューブが用いられてなり、サイフォン効果に起因して過剰排液が生ずることを確実に防止することができるシャントシステムを提供することにある。
前記機能流路部分は、チューブ本体の内周面の全周にわたって軸方向に螺旋状に伸びるよう形成された流路区画壁により構成されて螺旋状経路が形成されており、
チューブ本体の全長より長い流路を有することを特徴とする。
この医療用チューブにおいては、流路区画壁の、チューブ本体の中心軸に垂直な平面に対してなす角が45°以下とされていることが好ましい。
前記機能流路部分は、互いに軸方向に離間した位置に形成された、チューブ本体の中心軸に対して垂直に伸びる複数の板状要素よりなる流路区画壁により構成されてスラローム状経路が形成されており、
チューブ本体の全長より長い流路を有することを特徴とする。
本発明の医療用チューブにおいては、前記機能流路部分が軸方向における全域にわたって形成されていることが好ましい。
また、螺旋状経路またはスラローム状経路を形成する流路区画壁をチューブ本体内に有することにより、チューブが屈曲した際に医療用チューブにもつれやねじれ(キンク)を防止することができ、仮に、キンクが生じてしまった場合であっても、流路が完全に閉塞されることを確実に防止することができる。
また、医療用チューブそれ自体がアンチサイフォン機能を有するものであるので、シャントシステムが煩雑化することがなく、また、体内における設置面積および占有スペースが大幅に増大することを防止することができると共に、目詰まりやキンク、あるいは接続部が破断するなどのトラブルが発生する危険性が低いものとして構成することができる。
図1は、本発明の医療用チューブの一構成例における機能流路部分を、周面の一部を破断した状態で示す斜視図、図2は、図1に示す医療用チューブの中心軸に沿った断面を示す断面図である。
この医療用チューブ10は、例えばシリコーンゴムよりなり、柔軟性を有するチューブ本体11を備えてなり、このチューブ本体11の内腔には、その軸方向の少なくとも一部の領域に、軸方向に対して平行に流れ得ない機能流路部分を形成する流路区画壁15が設けられている。
また、流路区画壁15は、チューブ本体11の軸方向における全域にわたって形成されていることが好ましい。これにより、上記のような効果を一層確実に得ることができる。
この医療用チューブ10の構成の具体的な数値例を示すと、例えば、外径寸法が1.5〜3mm、内径寸法が0.5〜2.5mmであり、流路区画壁15によって形成される螺旋状部分のピッチpの大きさが0.3〜2.5mmである。
図3は、本発明のシャントシステムの一例における構成の概略を示す部分断面図である。
このシャントシステム20は、例えば脳室腹腔短絡術(V−Pシャント)に用いられるものであって、例えば目的に応じて外部から圧力調整および流量調整の一方または両方が可能に構成されたシャントバルブ装置21と、脳室側カテーテル22と、腹腔側カテーテル24とにより構成されており、脳室側カテーテル22および腹腔側カテーテル24の一方または両方が上記医療用チューブよりなる。同図3において、23は、脳室における髄液が導入される側孔であり、25は、髄液を腹腔に排出するスリットバルブであり、逆流防止機能を有する。なお、脳室側カテーテル22および腹腔側カテーテル24の端部の構成は、図示したものに限られず、目的に応じて適宜に変更することができる。また、本発明のシャントシステムにおいては、医療用チューブ10は流路が長く体液の流量が一定に確保されるものであることから、シャントバルブ装置を含まず、脳室から腹腔まで一本の医療用チューブ10だけで構成されたものとされていてもよい。
また、流路区画壁15がいわば補強材として機能するので、キンクが生じることを確実に防止することができ、仮に、キンクが医療用チューブ10に生じてしまった場合であっても、流路が完全に閉塞されることを確実に防止することができるので、所定の流路を確保することができるので、医療用チューブ10本来の機能が低下することを確実に防止することができる。
従って、このような医療用チューブ10により脳室側カテーテル22および腹腔側カテーテル24の一方または両方が構成されてなるシャントシステム20によれば、脳室側カテーテル22および腹腔側カテーテル24それ自体が垂直になった状態であっても、流路は水平面に対して所定の角度で傾斜した状態であるため、重力の影響が直接的に体液に作用すること、すなわち、体液がチューブ本体に沿って直線的に流れることがなく、例えば患者が仰臥位から座位または立位になるなど体位の変化に伴って高度差が生じることによってサイフォン効果が生ずることを確実に防止することができ、従って、シャントシステム20本来の機能を低下させることなしに、十分なアンチサイフォン効果を得ることができ、髄液を流量が適正な大きさに調整された状態で流すことができる。
また、脳室側カテーテル22および腹腔側カテーテル24を構成する医療用チューブ10それ自体がアンチサイフォン機能を有するものであるので、シャントシステム20が煩雑化することがなく、また、体内における設置面積および占有スペースが大幅に増大することを防止することができると共に、目詰まりやキンク、あるいは接続部が破断するなどのトラブルが発生する危険性が低いものとして構成することができる。
この流路区画壁35を構成する円板状要素36の各々には、外周縁部分に軸方向に貫通して伸びる切り欠き部分37が形成されており、隣接する円板状要素36の切り欠き部分37は、チューブ本体31の中心軸に対して互いに対称な位置(図5において、上方位置および下方位置)に位置される状態とされている。
各々の円板状要素36は、流路の直線性を阻害するよう、軸方向から見たときに一部が互いに重なる状態(先端が中心軸より径方向外方に突出する状態)とされており、これにより、スラローム状経路を有する流路40が形成されている。
このような構成の医療用チューブ30においても、流路区画壁35がチューブ本体31の内腔における少なくとも一部の領域に設けられてさえいれば、実用上十分な効果を得ることができる。
各々の円板状要素36の切り欠き部分37の大きさ(開口面積)、隣接する円板状要素36の離間距離、流路区画壁35の形成領域の大きさおよびその他の具体的な構成は、体液の流れが一定の流量が確保された状態とされると共に、医療用チューブ30全体の柔軟性が損なわれなければ、目的に応じて適宜に設定することができるが、流路区画壁35は、チューブ本体31の内腔における軸方向の全域にわたって設けられていることが好ましい。
さらに、流路区画壁は、チューブ本体に一体に形成されている必要はなく、チューブ本体と別個に成形したものをチューブ本体の内腔に挿通することにより形成された構成とされていてもよい。
さらに、図6に示すように、医療用チューブ50の機能流路部分は、チューブ本体51内に当該チューブ本体51の内径寸法より小さい外径寸法を有するチューブ状部材52を螺旋状に押し込むことにより形成された構成とすることができる。
11 チューブ本体
15 流路区画壁
16 流路
C 中心軸
20 シャントシステム
21 シャントバルブ装置
22 脳室側カテーテル
23 側孔
24 腹腔側カテーテル
25 スリットバルブ
30 医療用チューブ
31 チューブ本体
35 流路区画壁
36 円板状要素
37 切り欠き部分
40 流路
50 医療用チューブ
51 チューブ本体
52 チューブ状部材
Claims (5)
- チューブ本体の内腔における軸方向における少なくとも一部の領域に、当該チューブ本体の軸方向に対して平行に流れ得ない、チューブ本体より細い流路の機能流路部分が形成されており、
前記機能流路部分は、チューブ本体の内周面の全周にわたって軸方向に螺旋状に伸びるよう形成された流路区画壁により構成されて螺旋状経路が形成されており、
チューブ本体の全長より長い流路を有することを特徴とする医療用チューブ。 - 前記流路区画壁の、チューブ本体の中心軸に垂直な平面に対してなす角が45°以下であることを特徴とする請求項1に記載の医療用チューブ。
- チューブ本体の内腔における軸方向における少なくとも一部の領域に、当該チューブ本体の軸方向に対して平行に流れ得ない、チューブ本体より細い流路の機能流路部分が形成されており、
前記機能流路部分は、互いに軸方向に離間した位置に形成された、チューブ本体の中心軸に対して垂直に伸びる複数の板状要素よりなる流路区画壁により構成されてスラローム状経路が形成されており、
チューブ本体の全長より長い流路を有することを特徴とする医療用チューブ。 - 機能流路部分が軸方向における全域にわたって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の医療用チューブ。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の医療用チューブが用いられてなることを特徴とするシャントシステム。
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