JP4370046B2 - 太陽電池モジュール及びこれを用いた発電機能付き屋根 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光発電システムに好適な太陽電池モジュール、及びこれを用いた発電機能付き屋根に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年普及している太陽光発電システムは、住宅等の屋根の上に配列設置される複数の太陽電池モジュールにより発電機能付き屋根が構成され、所定個数の太陽電池モジュールをその裏面側出力部を介して互いに直列接続し且つ当該直列接続の始端及び末端に位置する各太陽電池モジュールをそれぞれ屋内へ延びる引込みケーブルに接続してなる直列一系統が多数連設されたものであり、屋内のインバータを通じて商用電力系統と連系し、屋内の電気配線に供給されるシステムが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
太陽電池モジュールは、雨仕舞を考慮して敷設されるが、風雨の強い状況下ではモジュール裏面側に雨水が浸入する場合もあり、通常、屋根本体の野地板上にはアスファルトルーフィング等の防水層を備えた下地シートが設けられ、その上に各太陽電池モジュールが敷設される。
【0004】
また、屋根本体の両側縁部(ケラバ)には、図9に示すように、防腐調整材11と下地シート18の外面に沿って屋根本体10の中央側へ延びるケラバ下地水切り12が棟側から軒側にわたって付設されており、その延出端部には縁部を上方に折り返した返し部12aが形成されている。そして、防腐調整材11とこれに隣接設置される図示しない太陽電池モジュールとの隙間から侵入した雨水は、前記返し部12aで屋根中央側への進水が阻止され、当該ケラバ下地水切り12上に形成された通水路12bを通じて軒側に向けてスムーズに排水される。
【0005】
ところで、支持台を備えた建材一体型の太陽電池モジュール101を用いて発電機能付き屋根100を構成する場合、屋根本体10の両端部において前記ケラバ下地水切り12の上側に覆設される太陽電池モジュールは、図10に示すように、支持台102の底部102aが前記ケラバ下地水切り12の返し部12aを圧潰し、これにより返し部12aの潰された部分から雨水が屋根中央側へ漏水するといった不都合が生じていた。
【0006】
屋根中央側へ漏れた雨水は、各太陽電池モジュールの裏面側に設けられる断熱支持材の隙間を介して、棟側から軒側へ向かって流れるが、屋根の傾斜方向に直交する断熱支持材の棟側壁部や下地シートとの当接面には、これら雨水が溜まり易く、雨水の長期の滞留により当該箇所で屋内への漏水の問題が生じたり、滞留した湿気が太陽電池モジュールの故障原因になる可能性もあった。
【0007】
本発明は係る現況に鑑み為されたものであり、ケラバ下地水切りの返し部をつぶすことなく屋根本体上に設置でき、ケラバ下地水切りの防水機能を維持して屋内への漏水や滞留した湿気による太陽電池モジュールの故障を未然に回避できる建材一体型の太陽電池モジュール及びこれを用いた発電機能付き屋根を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前述の課題を解決するにあたり鋭意検討を進めた結果、支持台を浮かす下駄材を設けることにより、返し部を潰すことなく当該ケラバ下地水切りの通水路を通じて雨水を軒側に向けてスムーズに排出できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、屋根材を構成する太陽電池と、該太陽電池を支持して屋根本体に固定する支持台とを備えた建材一体型の太陽電池モジュールにおいて、前記支持台の屋根本体に面する底部に複数の下駄材を配設し、且つ各下駄材は、当該太陽電池モジュールを屋根本体のケラバ下地水切り上側に覆設するとき、これら下駄材で浮かされた支持台の底部が前記ケラバ下地水切りの返し部をつぶさないよう、その厚みが設定されていることを特徴とする太陽電池モジュールを提供する。
【0010】
このような太陽電池モジュールにあっては、ケラバ下地水切りの上側に覆設する場合であっても、雨水を止水する返し部を潰すことなく、当該ケラバ下地水切りの通水路を通じて雨水をスムーズに排出させる。
【0011】
下駄材の厚みは、一般的なケラバ下地水切りにおける返し部の高さを考慮して、好ましくは4〜5mmに設定されている。
【0012】
下駄材を、支持台の底部に穿設したビス孔の開口部を覆う位置に設けてなるものでは、前記下駄材が当該支持台を取付けビスや釘で屋根本体に固定する際、支持台の底部、ビス孔、および屋根本体の下地シートと密着する防水シール材として機能し、従来から施工時に必要であった固定部のコーキング処理を省略できる。
【0013】
下駄材に、段差を介した厚肉部を設け、該厚肉部にビス孔の開口部を位置させてなるものでは、屋根本体に支持台を固定する際、これら厚肉部が屋根本体に圧着し、当該部位の面圧を増加させることで、防水シール性がより向上する。
【0014】
下駄材は、EPDM(エチレンプロピレンジエン共重合体)或いはクロロプレンからなるものが好ましく、JISA硬度で50〜70であることが好ましい。
【0015】
また、これら下駄材は、異型押出し成形品であることが好ましい。
【0016】
屋根本体上に既に固定された他の支持台に太陽電池の端部を嵌め込んで順次、屋根本体上に配列設置される建材一体型の太陽電池モジュールであって、下駄材の底面における前記嵌め込み方向の先端部位を滑面となしたものでは、各下駄材が支持台から外れることなく、下地シート上をスムーズに滑動し、当該太陽電池モジュールは棟側端部が前記他の支持台にスムーズに嵌め込まれ、施工効率の低下が防止される。
【0017】
特に、下駄材の先端部位に表面蝋引きした片面粘着テープを張り付け、且つその残部を支持台に張り付けてなるものが好ましい。
【0018】
以上のような太陽電池モジュールを屋根本体上に配列設置してなる発電機能付き屋根にあっては、ケラバ下地水切りの防水機能が維持され、屋内への漏水や滞留した湿気による太陽電池モジュールの故障が未然に回避され、長期間の発電能力および信頼性が維持される。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1〜8は本発明の代表的実施形態を示し、図中符号1は太陽電池モジュール、2は太陽電池、3は支持台をそれぞれ示している。
【0020】
本発明の太陽電池モジュール1は、図1に示すように、屋根材を構成する太陽電池2と、該太陽電池を支持して屋根本体10に固定する支持台3とを備えた建材一体型の太陽電池モジュールであり、前記支持台3の屋根本体10に面する底部3aに複数の下駄材5、・・・が配設されている。本発明は、このように支持台3を屋根本体10から浮かす下駄材5を設けたことにより、図8にも示すように、当該太陽電池モジュール1をケラバ下地水切り12の上側に覆設する場合に、雨水を止水する返し部12aを潰すことなく、当該ケラバ下地水切り12の通水路12bを通じて雨水をスムーズに排出させるものである。
【0021】
太陽電池モジュール1は、図2に示すように、太陽電池2の裏面における端子ボックス42が設置された部位を除く略全面にガルバニウム鋼鈑等の金属板プレート7を覆設するとともに、互いに極性の異なる2本の出力ケーブル41、41が延出した端子ボックス42を前記太陽電池2の裏面側略中央に設けることで出力部4が構成されている。前記金属板プレート7の裏面には、前記端子ボックス42を挟む両側方にわたって一体成型された横長な断熱支持材6が接着剤により固定されている。また、同じく金属板プレート7裏面側の軒側端部には、底部3aに複数の下駄材5、・・・が配設された支持台3が設けられ、独立して屋根本体10上に直接葺設可能な屋根材として建材一体型の太陽電池モジュールが構成されている。なお、前記断熱支持材6はこのように一体成型されたものに限定されず、端子ボックス42を挟んで両側方に互いに独立して構成した一対の断熱支持材など、別体構成された複数の断熱支持材を適宜使用することができる。
【0022】
太陽電池5は、単結晶シリコン太陽電池や多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池、有機半導体太陽電池など多種多様な光電変換素子が使用でき、その形状も矩形その他の方形、多角形など、屋根本体の形状や全体の意匠に合わせて適宜な形状が採用できるが、本例では、表面に位置する450mm×900mm程度の横長な矩形状のガラス基板裏面に、酸化スズ等の透明電極層、光半導体層、及び金属等の裏面電極層を順次形成し、これら各層をレーザ加工等でパターニングすることで発電部、配線部が形成された太陽電池素子を構成した後、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)などの充填材やテドラーフィルム等で前記素子形成面側を封止保護して、薄膜系の太陽電池が構成されている。なお、前記光半導体層には、非晶質シリコンa−Si、水素化非晶質シリコンa−Si:H、水素化非晶質シリコンカーバイドa−SiC:H、非晶質シリコンナイトライド等のほか、シリコンと炭素、ゲルマニウム、スズなどの他の元素との合金からなる非晶質シリコン系半導体の非晶質あるいは微結晶を、pin型、nip型、ni型、pn型、MIS型、ヘテロ接合型、ホモ接合型、ショットキバリア型あるいはこれらを組み合わせた型などに合成した半導体層が用いられる。
【0023】
出力部4を構成する端子ボックス42は、太陽電池2の裏面側に突設した図示しない出力取出用電極材を受け入れる筐体43の内部に、前記電極材と出力ケーブル41、41との間を中継する2本の中継端子を備えており、この中継端子間にはバイパスダイオードが接続され、太陽電池2のセルの一部が影になっているときや夜間などに該モジュールへ逆方向電流が流入することを未然に阻止するためのバイパス回路を形成している。出力ケーブル41、41は、外被部分に合成樹脂からなる防水被覆層を有しており、それぞれ太陽電池2の裏面側に固定された筐体43の軒側壁部より外部に延出され、その先端にはプラグ又はソケットを内装した同じく防水被覆層を有する防水コネクタ41a、41bが設けられている。
【0024】
断熱支持材6は、端子ボックス42が設けられる位置に凹欠部63が形成され、該端子ボックス42を挟む両側方にわたって連続した横長矩形状の板状本体部60と、該板状本体部60から屋根本体側に立設配置される互いに独立した複数の扁平な円柱状の脚体61、・・・とを、発泡合成樹脂等により一体成型した弾性体からなり、前記太陽電池2の裏面側に面的に固定される板状本体部60により、屋内の断熱効果およびアモルファスシリコン太陽電池を採用した場合のアニール効果が十分に発揮され、この板状本体部60と屋根本体側に立設配置させた複数の脚体61、・・・とで、太陽電池と屋根本体との間のスペーサとしての緩衝効果も十分に発揮される。
【0025】
前記複数の脚体61、・・・のうち適当な位置に存する脚体61には、屋根本体への当接面6bに開口し、且つその深さがケーブル径よりも深く、挿入されたケーブル41(8)を前記開口から突出させることなく収納状態で保持するケーブル保持溝61aが当該脚体61の側方に連通して設けられている。
【0026】
前記断熱支持材6、好ましくはスチレン、プロピレン、エチレン、ウレタン等の単独重合体あるいはそれらを主成分とする共重合体、または前記の単独重合体あるいは共重合体の混合物からなる発泡合成樹脂で一体成形され、中でもスチレン、プロピレン、エチレンの単独重合体あるいはそれらを主成分とする共重合体の発泡合成樹脂がより好ましく、スチレン、プロピレン、エチレンの単独重合体がさらに好ましい。また、断熱支持材6は太陽電池2の裏面側において人力で容易に外れる程度の強度で固定され、メンテナンス時にこれら断熱支持材6が簡単に外れることで、屋根本体から太陽電池モジュールを容易に取り外しできるように構成されている。たとえば、接合面積が0.3m2の断熱支持材を太陽電池裏面側に固定するのであれば、5kg程度の引き剥がし力で太陽電池裏面から簡単に外れるように接着剤を用いて接合されることが好ましい。
【0027】
支持台3はアルミニウム製で、図3に示すように、その上部には、前記金属板プレート7裏面の軒側端部に沿って当着する内向きフランジ32が太陽電池モジュール1の幅方向、即ち長手方向に沿って突出形成され、同じく上部には、前記金属板プレート7の軒側端縁を下方に折曲形成してなる折曲部71に穿設された取付けネジ72用の図示しない貫通孔に対応して、外方に開口する螺孔が設けられている。
上段中程には、長手方向に沿って外方に開口し且つ軒側に隣接配置される太陽電池モジュール1の棟側端部を、その金属板プレート7及び防水用のガスケット34aとともに受け入れ咬合する取付け溝34が形成されている。また、支持台3の底部3aには、取付けネジや釘等により当該支持台3を屋根本体10に固定するためのビス孔33aが複数箇所に穿設された外向きフランジ33が、同じく長手方向に沿って突出形成され、この外向きフランジ33には、図4(a)〜(c)に示すような、本発明に係る下駄材5が複数配設されている。
【0028】
下駄材5は、当該太陽電池モジュール1を屋根本体縁部のケラバ下地水切り12上側に覆設するとき、これら下駄材5により浮かされた支持台の底部3aが前記ケラバ下地水切りの返し部12aをつぶさないようにその厚みが設定されるスペーサとしての機能を有したものであれば、その形状および素材を問わないが、好ましくはゴム素材からなるもの、より好ましくは、優れた耐久性(耐熱性や耐候性など)が得られるEPDM或いはクロロプレンを用いて成形されており、JISA硬度で、好ましくは50〜70に設定されている。
【0029】
このような下駄材5は、外向きフランジに穿設されたビス孔33aの開口部を覆う位置に設けられることにより、当該下駄材5に対して下穴加工が不要であるとともに、当該外向きフランジ33を取付けビスや釘で屋根本体に固定する際には、支持台の底部3a、ビス孔33a、および屋根本体の下地シートと密着する防水シール材として機能し、従来から施工時に必要であった固定部のコーキング処理を省略することができる。
【0030】
これら下駄材5は、予め支持台3の底部3aに接着剤等で固定されるものや、屋根本体10に支持台3を設置する際、その底部3aと屋根本体10との間に挟み込むものであってもよいが、本例の下駄材5においては、図4(a)〜(c)に示すように、前記外向きフランジ33の突出端縁をコの字状に嵌合保持する抱持部51と、前記外向きフランジ33の基端側より上方に突出して、当該支持台3の内壁に係止される突出部52とを備え、巾約30mmにカットされた異型押出し成形品であり、前記抱持部51と突出部52を用いて、支持台の底部3aを前後に挟持させることにより、該支持台3にワンタッチで装着され、太陽電池モジュールが屋根上に設置される前から、あらかじめ外向きフランジ33に密着保持されている。
【0031】
前記下駄材5において、ビス孔33aの開口部を位置させる部位には、段差53を介して厚肉部54が設けられており、屋根本体10に支持台3を固定する際には、これら厚肉部54が屋根本体に圧着し、当該部位の面圧を増加させることで、前述の防水シール性をより向上させている。また、前記段差53から反対側の突出部52に至る部位には、図2および図3に示すように、表面蝋引きした片面粘着テープ36が張り付けられ、その残部を支持台の前記内壁に張りつけることで、当該下駄材5が支持台3に安定保持されている。
【0032】
これら下駄材5の厚みは、一般的なケラバ下地水切り12における返し部12aの高さを考慮して、該返し部12aを潰さない程度、すなわち該返し部12aを圧接しないか、圧接しても返し部12aによる止水効果を維持しうるように設定され、好ましくは4〜5mmに設定されている。
【0033】
図5は、これら太陽電池モジュール1を屋根本体10表面の下地シート18外面に沿って複数配列設置してなる発電機能付き屋根Rを示し、各太陽電池モジュール1は、図3に示したように、棟側に既に固定されている支持台の取付け溝34により棟側端部が支持され、且つ、裏面側に固定した自らの支持台3により軒側端部を支持することで、屋根本体10上に順次固定されている。
【0034】
ところで、各太陽電池モジュール1の棟側端部を取付け溝34に嵌め込む際には、自らの支持台3を屋根本体の下地シート18上で滑らす必要があるが、下地シート18に直接当接する各下駄材5には、その嵌め込み方向の先端側に粘着テープ36が張り付けてあるため、全体がゴム質であるにもかかわらず、各下駄材5は支持台3から外れることなく、下地シート18上をスムーズに滑動することができる。したがって、当該太陽電池モジュール1の棟側端部は、前記取付け溝34にスムーズに嵌め込まれ、施工効率の低下が防止されている。このように下駄材5を下地シート18上で下駄材5を滑らす手段としては、上記のような表面蝋引きした粘着テープ36を下駄材5に張り付けておくこと以外に、パラフィン紙を張り付けたり、滑材を表面に付着させたりすることも有効であり、更には、当該下駄材5が付設される外向きフランジ33の下面、或いは下駄材5の下面を、前記フランジの突出端側、或いは下駄材5の抱持部51側に向けて、屋根本体上面に対して上方へ2°程度傾斜させておくことも好ましい実施例である。
【0035】
このように各太陽電池モジュール1を屋根本体10上に配列設置してなる発電機能付き屋根Rの配線は、各太陽電池モジュール1の側方に導出される出力ケーブル41を既に側方に隣接固定された太陽電池モジュール1から導出している出力ケーブル41に結線することで互いの太陽電池モジュールが直列接続され、当該直列接続の始端或いは終端に位置する太陽電池モジュール1は、図6に示すような裏面構造を有し、支持台6に設けられた挿通溝31を通じて屋内から延びる引込みケーブル8に接続されている。この引込みケーブル8は、従来通り棟側の屋根本体頂部に設けた挿通孔を介して屋内に導入されるが、好ましくは図7に示すような配線スリーブ13を挿通孔14に装着しておき、該スリーブ内を案内されて屋内に導入される。
【0036】
上記の如く構成される発電機能付き屋根Rにおいては、各太陽電池モジュール1の出力ケーブル41が裏面側の断熱支持材6に設けたケーブル保持溝61a内に収納状態で保持されているため、当該太陽電池モジュール1の固定の際には、断熱支持材6による出力ケーブル41の挟み込み、すなわち脚体61の当接面6bに出力ケーブル41が挟み込まれるといった不都合が未然に回避されるとともに、該太陽電池モジュールを固定した後に前記出力ケーブル41が再び裏面側に入り込んでしまうといった不測の事態が回避され、優れた作業性を維持しており、また、ケーブル保持溝61aの内部に下地シート18から浮いた状態で保持されているため、出力ケーブル41のブリードが防止され、長期間の発電能力および信頼性が維持されている。
【0037】
そして、屋根本体の両側縁部において、ケラバ下地水切り12の上側に設置される各太陽電池モジュール1は、図8に示すように、支持台の底部3aに配設した各下駄材5によって返し部12aを潰すことなく設置され、防腐調整材11と当該太陽電池モジュール1の隙間から進入した雨水は、ケラバ下地水切りの通水路12bを通じて、軒側に向けてスムーズに排水される。なお、このようにケラバ下地水切り12の上側に設置される太陽電池モジュール1は、雨仕舞いの関係上、ケラバ下地水切り12の通水路12bにビス孔が位置しないように、当該支持台3の端部37より90〜100mm離れた位置にビス孔33aが穿設されており、本例では当該位置に合わせて下駄材5が設けられるが、本発明の下駄材はビス孔の開口部を覆う位置に設けることに何ら限定されるものではなく、支持台底部3aのビス孔が開口していない位置に適宜設けることもでき、このようにして設けた下駄材は、通水を著しく妨げないものであれば、ケラバ下地水切りの通水溝12bの内部に当着するものであってもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明の太陽電池モジュール及びこれを用いた発電機能付き屋根によれば、ケラバ下地水切りの上側に太陽電池モジュールを覆設する場合であっても、雨水を止水する返し部を潰すことなく、当該ケラバ下地水切りの通水路を通じて雨水をスムーズに排出でき、屋内への漏水や滞留した湿気による太陽電池モジュールの故障が未然に回避され、長期間の発電能力および信頼性が維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的実施形態における太陽電池モジュールの要部を示す説明図。
【図2】同じく太陽電池モジュールを裏面側からみた斜視図。
【図3】太陽電池モジュールの支持台を固定した状態を示す断面図。
【図4】(a)は、支持台に配設される下駄材を示す正面図。
(b)は、同じく下駄材を示す平面図。
(c)は、同じく下駄材を示す斜視図。
【図5】同じく太陽電池モジュールを用いた発電機能付き屋根を示す説明図。
【図6】引込みケーブルに接続される太陽電池モジュールを裏面側からみた斜視図。
【図7】発電機能付き屋根に用いる配線スリーブを示す説明図。
【図8】太陽電池モジュールをケラバ下地水切り上側に覆設した様子を示す説明図。
【図9】ケラバ下地水切りが雨水を軒側に排水する様子を示す説明図。
【図10】従来の太陽電池モジュールをケラバ下地水切り上側に覆設した様子を示す説明図。
【符号の説明】
R 発電機能付き屋根
1 太陽電池モジュール
2 太陽電池
3 支持台
3a 底部
4 出力部
5 下駄材
6 断熱支持材
6b 当接面
7 金属板プレート
8 引込みケーブル
10 屋根本体
11 防腐調整材
12 ケラバ下地水切り
12a 返し部
12b 通水溝
13 配線スリーブ
14 挿通孔
18 下地シート
31 挿通溝
32 内向きフランジ
33 外向きフランジ
33a ビス孔
34 取付け溝
34a ガスケット
35 取付けビス
36 粘着テープ
37 端部
41 出力ケーブル
41a、41b 防水コネクタ
42 端子ボックス
43 筐体
51 抱持部
52 突出部
53 段差
54 厚肉部
60 板状本体部
61 脚体
63 凹欠部
61a ケーブル保持溝
71 折曲部
72 取付けネジ
101 太陽電池モジュール
102 支持台
102a 底部
Claims (10)
- 屋根材を構成する太陽電池と、該太陽電池を支持して屋根本体に固定する支持台とを備えた建材一体型の太陽電池モジュールにおいて、前記支持台の屋根本体に面する底部に複数の下駄材を配設し、且つ各下駄材は、当該太陽電池モジュールを屋根本体のケラバ下地水切り上側に覆設するとき、これら下駄材で浮かされた支持台の底部が前記ケラバ下地水切りの返し部をつぶさないよう、その厚みが設定されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
- 下駄材の厚みが、4〜5mmに設定されている請求項1記載の太陽電池モジュール。
- 下駄材を、支持台底部に穿設したビス孔の開口部を覆う位置に設けてなる請求項1又は2記載の太陽電池モジュール。
- 下駄材に、段差を介した厚肉部を設け、該厚肉部にビス孔の開口部を位置させてなる請求項3記載の太陽電池モジュール。
- 下駄材が、EPDM或いはクロロプレンからなる請求項1〜4の何れか1項に記載の記載の太陽電池モジュール。
- 下駄材が、JISA硬度50〜70である請求項1〜5の何れか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 下駄材が、異型押出し成形品である請求項1〜6の何れか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 屋根本体上に既に固定された他の支持台に太陽電池の端部を嵌め込んで順次、屋根本体上に配列設置される建材一体型の太陽電池モジュールであって、下駄材の底面における前記嵌め込み方向の先端部位を滑面となした請求項1〜7の何れか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 下駄材の先端部位に、表面蝋引きした片面粘着テープを張り付け、且つその残部を支持台に張り付けてなる請求項8記載の太陽電池モジュール。
- 請求項1〜9の何れか1項に記載の太陽電池モジュールを、屋根本体上に配列設置してなる発電機能付き屋根。
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