JP4369510B2 - 電気メッキする非導電性基板の調製方法 - Google Patents

電気メッキする非導電性基板の調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンブラック分散体を使用して電気メッキする非導電性基板を作製する方法を対象とする。本発明の新規のカーボンブラック分散体は、水性媒体に分散させた従来型カーボンブラック粒子と高伝導性カーボンブラック粒子との混合物を含む。
プリント配線板(プリント基板)は、概して、非導電性材料層により互いに離間された2つ以上の銅板又は銅箔からなる積層材料である。一般的には、プリント配線板で電気メッキ金属として銅が使用されるが、当業者は、ニッケル、金、パラジウム、銀等の他の金属も電気メッキ可能であることを認識している。非導電層は、好ましくは、ガラス繊維を浸漬させたエポキシ樹脂等の有機材料であるが、また、ガラス繊維及び充填材等の補強材の有無に依らず、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及びその混合物を含んでよい。
多くのプリント配線板設計では、電気経路すなわちパターンは、分離された銅層間をパターンの特定の位置で結線する必要がある。基板の特定の位置で回路層間の結線を確立して所望の電気回路を形成するために、プリント基板にスルーホールが形成される。これは、通常、銅層及び非導電層の所望の位置に穴を開け、スルーホールを金属化(即ち、導電性金属でドリル又はパンチスルーホールの内面を被覆)して離れた回路層を結線することで達成される。プリント基板の穴径は、概して、約0.15mm〜約10.0mmであり、より一般的には、約0.3mm〜約1.0mmである。
電気メッキ法は、銅、及び他の導電性金属を表面に堆積させる所望の方法であるが、電気メッキ法は、未処理のスルーホール等の非導電性表面の被膜には使用できない。よって、電気メッキが適用できるように導電性材料でスルーホールを処理する必要があった。スルーホール内径を導電性にする方法の1つとして、導電性フィルムで物理的に覆うことが挙げられる。覆われたスルーホールは、電気メッキするのに十分に導電性であるが、概して、スルーホールのどちらか一端で、回路層間に永久的な電気接続を形成するには十分に導電性且つ頑丈ではない。そして、覆われたスルーホールは、永久的な接続を提供するために電気メッキされる。電気メッキは、スルーホール内径の抵抗を無視できるレベルに低下させるが、これは、相当な電力量を消費したり、あるいは回路特性を変化させない。電気メッキするスルーホール壁を形成する有利な方法の1つに、炭素分散液の使用が挙げられる。この方法の工程を下記に簡潔に示す。
まず始めに、スルーホール面にドリルで穴を開け、面取りする。多層プリント基板の場合、板をデスミアすなわちエッチバック処理し、銅と接触するスルーホールの内側面を洗浄するのが好ましい。この方法は、当業者に周知である。
そして、好ましくはプリント配線板を、カーボンブラック分散液を受け入れる状態にするために前処理する。洗浄剤を塗布後、プリント配線板を水で洗浄して板から余分な洗浄剤を除去し、次いで調整溶液と接触させる。調整溶液は、実質的に全ての穴壁のガラス/エポキシ面が適切に調製され、結果として生じるカーボンブラック粒子の連続層を受け入れることを確実にするために使用される。例えば、適切な調整溶液が記載される特許文献1を参照されたい。この主題は全体を参照することで本明細書に援用する。
次に、炭素分散液を、調整したプリント配線板に塗布又は接触させる。この分散液は、3つの重要な成分、すなわち、カーボンブラック、炭素を分散可能な1つ以上の界面活性剤、及び水等の液状分散媒体を含む。プリント基板に分散体を塗布する好ましい方法は、プリント基板産業で一般的に使用される化学物質を液浸、噴霧、又は塗布する方法である。概して、この炭素分散体の塗布には1つの処理浴で十分であるが、2つ以上の浴を再処理、又は他の目的に使用してもよい。
そして、炭素被膜板を、塗布した分散体から実質的に全て(即ち、約95重量%を超える)の水を取り除き、炭素を含む乾燥堆積物を穴及び非導電層の他の露出面に残す工程で処理する。穴壁を完全に被覆させるために、板を炭素分散液に浸漬、そして乾燥する手順を繰り返してもよい。
次に、カーボン(ブラック)被覆板は、任意で、更に黒鉛処理して、炭素層の上に黒鉛層を堆積してもよい。この場合、好ましくは、カーボン(ブラック)被覆プリント配線板をカーボン(ブラック)層上に分散した黒鉛粒子の吸着作用を促進するために使用される調整溶液と初めに接触させる。任意で調整溶液を塗布した後で、次に、プリント配線板を水で洗浄して過剰なコンディショナーをプリント配線板から除去する。板は、次いで黒鉛分散液又は懸濁液と接触させる。そして、板を、塗布された分散体から実質的に全て(即ち、約95重量%を超える)の水を取り除き、乾燥した黒鉛堆積物を穴のカーボン(ブラック)堆積物上及び非導電層の他の露出面に残す工程で処理する。
この方法の工程は、例えば、特許文献2により詳細が記載され、この主題は全体を参照することで本明細書に援用する。この方法に対する様々な変更及び改良が特許文献3〜17に示され、これらの各主題は全体を参照することで本明細書に援用する。
炭素を利用した直接メタライゼーション(Carbon−based direct metallization)技術分野における従来からの課題は、非導電面に堆積する炭素被膜の導電性を増加させることにより、電気メッキの高速化、電気メッキの広領域化、また他の利点を提供することである。
堆積炭素被膜の導電率を増加するために様々な方法が提案されている。例えば、分散体に界面活性剤又はバインダーを付加することによる炭素(黒鉛)の変性を提案する特許文献18が挙げられ、この主題は全体を参照することで本明細書に援用する。特許文献19(Ferrier他)は、カーボンブラックそのものを変性させて炭素層の抵抗を減少、すなわち非導電面炭素層の均等性及び/又は炭素層を形成する分散体の均等性を向上させること、メッキするために炭素面の活性度を増加させること、又はこれらを組合せることを開示し、この主題は全体を参照することで本明細書に援用する。
Ferrier他は、分散組成物に混和する前に炭素を染料で処理する、炭素表面に吸着、又は炭素表面に還元される様々な金属で炭素を処理する、及び炭素の化学酸化等(即ち、炭素表面の適切な酸化に効果的な時間及び温度で炭素と硝酸溶液との混合)により炭素表面を酸化させることを含むカーボンブラックの様々な変性を開示する。Ferrier他は、変性炭素で形成された炭素分散体がより均一である、すなわち炭素が非導電面上により均一な、より粘着性のある、より作用性のある、又は抵抗性が低い被膜を形成することを開示する。分散体及び/又は炭素被膜におけるこれらの変化は、炭素そのものの変性によるものであり、非導電面のメッキ金属被覆率の向上、非導電面へのメッキ金属接着性の向上、メッキ伝搬速度の向上、炭素被膜非導電面の抵抗性の減少、又は非導電面のメッキ金属での完全な被膜の達成に必要なメッキ時間の減少を示す。
しかしながら、当技術分野において、非導電性基板に堆積した炭素の導電率の更なる改善が必要である。
米国特許第4,634,691号明細書(Lindsey) 米国特許第4,619,741号明細書 米国特許第4,622,107号明細書 米国特許第4,622,108号明細書 米国特許第4,631,117号明細書 米国特許第4,684,560号明細書 米国特許第4,718,993号明細書 米国特許第4,724,005号明細書 米国特許第4,874,477号明細書 米国特許第4,897,164号明細書 米国特許第4,964,959号明細書 米国特許第4,994,153号明細書 米国特許第5,015,339号明細書 米国特許第5,106,537号明細書 米国特許第5,110,355号明細書 米国特許第5,139,642号明細書 米国特許第5,143,592号明細書 米国特許第5,476,580号明細書(Thorn他) 米国特許第5,759,378号明細書(Ferrier他)
本発明の発明者らは、非導電面に導電性金属面を電気メッキする改良された組成物及び方法を見出した。組成物及び方法は、従来型カーボンブラック(即ち、下記(i)〜(iii)の高伝導カーボンブラックの判定基準の少なくとも1つを満たさないカーボンブラック)と高伝導カーボンブラックとの混合物を使用する。高伝導カーボンブラックとは、即ち、(i)少なくとも約150m/gの表面積、(ii)吸油量がDBP(ジブチルフタレート)吸収量として少なくとも約150cm/100g、及び(iii)揮発分が5%未満のいずれかのカーボンブラックである。混合物は、組成物の分散特性及び方法の電気メッキ特性を最適化する。従って、次の方法が提案される。
非導電性材料面に導電性金属層を電気メッキする方法は、以下の工程を含む:
a.非導電面をカーボンブラック分散液と接触させる工程、
該カーボンブラック分散液は、下記(i)〜(v)を含む:
(i)カーボンブラック粒子、
(ii)下記の群から選択されるカーボンブラック粒子、
(i)表面積が少なくともl50m/gであるカーボンブラック粒子、(ii)吸油量がDBP(ジブチルフタレート)吸収量として少なくとも約150cm/100gであるカーボンブラック粒子、及び(iii)揮発分が5%未満であるカーボンブラック粒子、
(iii)1つ以上の分散剤、
(iv)アルカリ金属水酸化物、並びに
(v)水、
b.従来型及び高伝導カーボンブラック粒子から実質的に全ての水を分離し、該従来型及び高伝導カーボンブラック粒子が実質的に連続層で該非導電面上に堆積する工程、その後
c.該炭素堆積層及び該非導電面上に導電性金属層を電気メッキする工程。
発明者らは、意外にも、炭素懸濁液又は分散体において、従来型カーボンブラックの一部を高伝導カーボンブラックで置き換えることで、導電率が改善された、非導電性基板により強固に付着する炭素層が得られることを見出した。本発明の改善された炭素分散液は、炭素に基づいた直接メタライゼーション技術に使用可能である。
発明者らは、本発明のカーボンブラック分散体、即ち、従来型及び高伝導カーボンブラック混合物を使用して、非導電性基板に対して炭素分散体の優れた接着性が得られ、これにより炭素被膜後の加熱処理工程を行う必要性をなくすことが可能であることを見出した。加熱処理工程を除外すると簡単な処理となる。即ち、銅箔面から残留炭素をより良く除去する上に、処理工程がより少なくなる。
一連の高伝導カーボンブラックが開発され、市販されている。市販されている高伝導カーボンブラックは、例えば、Conductex SC ultra及びConductex SC (コロンビアンカーボン)、バルカンXC 72R(キャボットコーポレーション)及びPrintex XE2(デグサ・ヒュルズ)が挙げられる。
これらの高伝導カーボンブラックの特徴は、従来型カーボンブラックに比べて高構造、高多孔、非酸化面、及び小さいノジュールサイズが挙げられる。概して、高伝導カーボンブラックは、少なくとも約150m/gの比較的高い表面積を有し、好ましくは、約250m/gよりも大きい。更に、高伝導カーボンブラックは、ASTM D−2414による測定で比較的高い吸油量であり、好ましくは、吸油量が少なくとも約115cm/100gであり、より好ましくは、約150cm/100gよりも大きい。高伝導カーボンブラックの他の特徴は、酸化された化学種がほとんどない、化学的にきれいな粒子表面である。本発明で高伝導カーボンブラックとして有用なカーボンブラックは、また、揮発分が5%未満であり、好ましくは3%未満である。
高伝導カーボンブラックは、炭素粒子表面の酸化化学種が少ないため、水性媒体に分散するのが難しく、より多くの分散剤を必要とする。しかしながら、過剰な分散剤を加えると、粒子間抵抗が増大し、カーボンブラックの導電率を減少させる。発明者らは、水系媒体に高伝導カーボンブラックを分散させるのが難しいため、従来型カーボンブラックと高伝導カーボンブラックとを配合して炭素分散体とすることが望ましいことを意外にも見出した。
分散体におけるカーボンブラックの一部は市販されている高伝導カーボンブラックと置き換えられる。高伝導カーボンブラックの従来型カーボンブラックに対する割合は、概して、重量比で約1:10〜10:1であり、好ましくは、重量比で約1:5〜1:1である。
本発明の好適な実施形態は、非導電層で挟まれる導電性金属層の間の接続を形成するために、銅又は他の導電性金属(ニッケル、金、銀等)の電気メッキ層を堆積するためのプリント基板スルーホールの作製に関する。この記載は、プリント基板のスルーホールの電気メッキ(すなわち金属化)に関して示すが、これは、記載を単に簡易にするためであり、開示される方法は、プラスチックを用いる電気メッキ金属層を堆積するための様々な非導電面の作製にも同様に適用可能である。
炭素分散液の調製において、3つの重要な成分、及び他の好適な成分が一緒に混合され、安定した分散体を形成する。これは、高濃度の分散体を、ボールミル、コロイドミル、高剪断ミル、超音波技術、又は他の同様な手法により成分を完全に混合させることで達成されうる。そして、分散体は、処理浴用に、後により多量の水で所望の濃度に希釈可能である。好適な混合方法は、ガラス鉱物又はプラスチックビーズを有する容器内で、高濃度の分散体を少なくとも約1時間ボールミル粉砕することである。混合は、上限約24時間まで継続可能である。この徹底的な混合により、炭素粒子は、界面活性剤で密接に被覆、すなわち湿潤可能になる。そして、混合した濃縮物は、所望の濃度に水又は他の液状分散媒体と混合する。処理浴は、希釈工程及び塗布工程中に、分散安定性を維持するために攪拌し続けるのが好ましい。
特許文献18は、分散体に界面活性剤又はバインダーを加えることによる炭素(黒鉛)の変性を提案し、この主題は全体を参照することで本明細書に援用する。特許文献19は、一歩先の概念を得て、カーボンブラックそのものを変性させて炭素層の抵抗を減少、すなわち非導電面炭素層の均等性及び/又は炭素層を形成する分散体の均等性を向上させること、メッキするために炭素面の活性度を増加させること、又はこれらを組合せることを提案し、この主題は全体を参照することで本明細書に援用する。
水及び炭素に加えて、液状分散媒体に炭素を分散可能である界面活性剤が分散体に用いられる。湿潤能力及び炭素の安定性を向上するために、1つ以上の界面活性剤が分散体に加えられ、プリント基板の非導電層の孔及び繊維内への炭素の最大浸透が可能になる。
適切な界面活性剤は、陰イオン、非イオン及び陽イオン界面活性剤(又は両性界面活性剤等これらの組合せ)が挙げられる。界面活性剤は、炭素分散液に対して可溶、安定及び好ましくは無泡性でなくてはならない。概して、水中などの有極性の連続相に対して、界面活性剤は好ましくは高いHLB値(8〜18)を有する。
界面活性剤の好適な種類は、主に、分散体のpHによる。全分散体がアルカリ性(すなわち、塩基性範囲の全pHを有する)である場合、陰イオン又は非イオン界面活性剤を用いるのが好ましい。許容可能な陰イオン界面活性剤は、ナフタレンスルホン酸ナトリウム又はカリウム塩が挙げられる。陰イオン界面活性剤は、好ましくは、中和されたリン酸エステル型界面活性剤が挙げられる。非イオン界面活性剤は、好ましくは、ノニルフェノールエトキシレート又はアルコキシル化直鎖アルコールが挙げられる。好ましい界面活性剤の具体例は、例えば、米国特許第4,622,108、4,724,005、4,879,164、5,015,339及び5,139,642号明細書に記載され、この主題は全体を参照することで本明細書に援用する。他の適切な界面活性剤もまた、当業者に公知である。
有利なことに、炭素の形体がカーボンブラックの場合は、炭素は、分散体中に分散体の約15重量%未満、好ましくは約5重量%未満、最も好ましくは2重量%未満で存在する。より高濃度でカーボンブラックを使用すると望ましくないメッキ特性となることが分かっている。同様に、固形分(即ち、液状分散媒体以外の全成分)は、好ましくは、分散体の約10重量%未満、より好ましくは、約6重量%未満である。
炭素分散液は一般的に容器内に置かれ、プリント基板を該分散液に浸漬、分散液を噴霧、又は他の方法でプリント基板を分散液と接触させる。浸漬浴内の分散液の温度は、浸漬中は約15℃〜約35℃、好ましくは、約20℃〜約30℃で維持すべきである。有利な浸漬期間は、約15秒〜約10分、より好ましくは約30秒〜約5分である。
そして、浸漬した板を、炭素含有分散液の浴から取りだし、好ましくは圧縮空気と接触させて、分散体のプラグが依然として詰まっている可能性のある全てのスルーホールから該プラグを取り除く。更に、過剰な炭素含有分散基礎液は銅板面から除去する。
次に、塗付された分散体における実質的に全て(即ち、約90重量%を超える)の水(又は、他の液状分散媒体)を除去して、炭素含有乾燥堆積物を非導電性材料の表面に残す。これは、室温で蒸発、真空引き、又は板を高温で短時間加熱する等のいくつかの方法で達成しうる。高温での加熱が好適な方法である。加熱は、概して、約5分〜約45分間、温度が約75℃〜約120℃、より好ましくは、約80℃〜約98℃で実施される。穴壁を完全に被覆するために、炭素分散液へ板を浸漬させて、乾燥させる手法を1回以上繰り返すのがよい。
得られたプリント基板は、しばしば、炭素分散体で完全に被膜される。分散体は、掘られた穴の面を所望のとおりに被膜するだけでなく、銅板又は箔面も被膜するが、これは不都合である。よって、更に処理する前に、炭素を銅板又は箔面から除去するべきである。
炭素の除去は、好ましくは、機械で磨く作業又はマイクロエッチを用いて達成しうる。使用が簡単であるので、マイクロエッチが好ましい。多層板の場合は、このマイクロエッチ工程が特に好ましい。なぜならば、乾燥工程後、外側の銅板又すなわち箔のみが炭素で被膜されるだけでなく、穴内に露出した内側の銅板すなわち箔も被覆されるためである。
次いで、このように処理されたプリント配線板を、非導電層の穴壁に銅被膜を塗付するための適切な電気メッキ浴に浸漬する。
本発明は、プリント基板のスルーホール壁に金属層を塗布するために従来用いられる、いずれか及び全ての電気メッキ操作を使用することを意図する。従って、請求の範囲に記載される発明は、特定の電気メッキ浴パラメータに限定されるべきでない。
一般的な銅電気メッキ浴は、水溶液中で銅、硫酸銅、HSO、及び塩化物イオンからなる。電気メッキ浴は、通常、攪拌され、好ましくは、約20℃〜約25℃の温度で維持される。電気メッキ浴には、一般的に銅からなる陽極が設けられ、また、メッキするプリント基板は電気メッキ回路に陰極として接続される。そして、2枚の銅板間に位置する非導電層の穴壁に銅メッキを生じさせるために、電流を電気メッキ回路の全域に約60分〜約90分間印加する。穴壁の銅メッキにより、プリント基板の銅層間に電流路が設けられる。必要であれば、他の適切な電気メッキ条件としてもよい。必要に応じて、銅塩、又は他のニッケル塩、金塩、銀塩等の他の金属塩を含む他の電気メッキ浴組成が用いられうる。
プリント基板は、プリント基板調製技術で公知であるように、銅電気メッキ浴から取り出されて洗浄及び乾燥され、フォトレジスト化合物等を塗布して更に加工される板として提供される。
本発明を下記実施例を参照して更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものととらえるべきではない。
伝搬速度は、ハルセル連鎖板を使用して測定した。該板は、8つのスルーホール2組からなり、交互面で銅箔によって接続する。よって、スルーホールメッキにより導電路が確立される。電気メッキ後に穴を検査して、メッキされた穴(メッキ穴)の数は伝搬率を示す。より多いメッキ穴の数は、穴を通したより早い伝搬を示す。
脱イオン水385g、アルカリ性水酸化物溶液60g、陰イオン分散剤17g、及びカーボンブラック38gを3分間混合して炭素分散体を調製した。この高濃度の分散体を脱イオン水で希釈して固体含有量を3%〜4%とした。pHは、分散体中で二酸化炭素を泡立てることで10〜11に調整した。
は、実施例で使用した5つの分散体の配合である。
Figure 0004369510
キャボットコーポレーション製
デグサ・ヒュルズ製
コロンビアンカーボン製
実施例1
ハルセル連鎖板を、示された時間、次の順序で処理した。
1) Blackhole(R) conditioner SP (30秒)
2) 脱イオン水で洗浄(30秒)
3) カーボンブラック分散体(45秒)
4) 40℃で空気/乾燥熱処理(2分)
5) Blackhole(R)でマイクロクリーニング(45秒)
6) 脱イオン水で洗浄(30秒)
7) 空気乾燥
8) HSO 10%(30秒)
9) ハルセルでMacuspec(R)9280/85銅溶液を用いて電気メッキ(5分)
10) 脱イオン水で洗浄(30秒)
11) 空気乾燥
この浴の順序で処理後、各板の穴を検査した。電気メッキされたスルーホールの数を表に示す。
Figure 0004369510
実施例1は、炭素分散体における高伝導カーボンブラックの存在がプリント基板でのスルーホールの伝搬を向上させることを実証している。
実施例2
ハルセル連鎖板を、炭素被膜に分散体1、2及び5を使用して実施例1と同じ手順で処理した。電気メッキ穴の数を表に示す。
Figure 0004369510
実施例2は、より速い伝搬を達成するために、従来型カーボンブラック及び高伝導カーボンブラックの配合物が好ましいことを実証している。分散体中で高伝導カーボンブラックだけがカーボンブラックとして使用される場合(分散体5)、高伝導カーボンブラックを分散するために必要とされる分散剤の量が過剰であるため、伝搬は従来の炭素を用いた場合よりもより遅くなる。高伝導カーボンブラックは、従来型カーボンブラックと比較して表面に酸化化学種が少ないため、非常に疎水性であり、より多量の分散剤を必要とする。分散剤は、粒子間抵抗を増大させて導電率を減少させる。
実施例3
ハルセル連鎖板を、電気メッキに異なる酸性銅溶液を使用した以外は実施例1と同じ手順で処理した。分散体1及び2を炭素被膜に使用した。電気メッキ穴の数を表に示す。
Figure 0004369510
実施例4
ハルセル連鎖板を、炭素被膜後の熱処理工程(工程4)を除いた以外は実施例1と同じ手順で処理した。分散体1及び2を炭素被膜に使用した。電気メッキ穴の数を表に示す。Macuspec(R)9280/85銅溶液を電気メッキに使用した。また比較例として熱処理板をメッキした。
Figure 0004369510
実施例4は、非導電性樹脂/ガラス基板への高伝導カーボンブラックの付着が優れているため、高伝導カーボンブラックを炭素被膜用分散体に使用する場合、熱処理工程を除くことが可能であることを示す。従来型カーボンブラックを使用する場合、条件を満たす被膜及び導電性を得るために熱処理工程が必要になる。実施例4もまた、高伝導カーボンブラックの使用が、電気メッキされた場合にスルーホールの伝搬を向上させることを実証している。
実施例5
両面板(銅箔がエポキシ樹脂/ガラス繊維複合材料の反対側に積層される。合計厚み=0.0625インチ)に、様々な大きさの穴(直径0.02〜0.2インチ)をドリルで開けた。板の銅面を機械的にこすり、デスミアして電気メッキ用に両面板を作製した。
デスミアした両面板を、炭素被膜後の熱処理工程を除いた以外は実施例1と同じ手順で処理する。分散体1及び2を炭素被膜に使用した。板をHispec(R)酸性銅メッキ溶液で1.5分間電気メッキし、穴面の銅被膜を検査するためにスルーホールを切断した。比較例として熱処理板もメッキした。
カーボンブラック処理後の電気メッキは、プリント基板の外面に銅箔のすぐ傍で始まり、穴の中心に向けて内側に広がる。スルーホールの両側から電気メッキ銅が中心で接触する場合、橋絡と言われる。両面板が同じ状態で特定の時間メッキされる場合、より多くの「橋絡した」穴が優れた伝搬速度を示す。「橋絡した」穴の数を表に示す。
Figure 0004369510
実施例5は、高伝導カーボンブラックを炭素被膜に使用する場合、熱処理工程を省くことが可能であることを示す。従来型カーボンブラックを使用する場合、熱処理工程が必要である。この実施例もまた、高伝導カーボンブラックの使用が、電気メッキされた場合にスルーホールの伝搬を向上させることを証明している。

Claims (17)

  1. 非導電性材料面に導電性金属層を電気メッキする方法であって、
    a.非導電面をカーボンブラック分散液と接触させる工程、
    前記カーボンブラック分散液は、下記(i)〜(v)を含む:
    (i)吸油量がDBP(ジブチルフタレート)吸収量として少なくとも150cm/100gである第1カーボンブラック粒子、
    (ii)吸油量がDBP(ジブチルフタレート)吸収量として150cm/100g未満である第2カーボンブラック粒子、
    (iii)1つ以上の分散剤としての界面活性剤
    (iv)アルカリ金属水酸化物、及び
    (v)水、
    b.第1及び第2カーボンブラック粒子から実質的に全ての水を分離し、前記第1及び第2カーボンブラック粒子を実質的に連続層で前記非導電面上に堆積させる工程、
    その後
    c.前記カーボンブラック堆積層及び前記非導電面上に導電性金属層を電気メッキする工程
    を含むことを特徴とする非導電性材料面に導電性金属層を電気メッキする方法。
  2. 前記カーボンブラック分散は、前記カーボンブラック粒子合計を1重量%〜5重量%の濃度で有し、前記カーボンブラック粒子は前記吸油量がDBP吸収量として少なくとも150cm/100gであるカーボンブラック粒子を0.1重量%〜2重量%含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記分散剤としての界面活性剤は、中和されたリン酸エステル型界面活性剤、ノニルフェノールエトキシレート及びアルコキシル化直鎖アルコールからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  4. 前記カーボンブラック分散のpHが10〜11である請求項1に記載の方法。
  5. 非導電性材料面に導電性金属層を電気メッキする方法であって、
    a.非導電面をカーボンブラック分散液と接触させる工程、
    前記カーボンブラック分散液は、下記(i)〜(v)を含む:
    (i)表面積が少なくとも150m/gであるカーボンブラック粒子、及び揮発分が5重量%未満であるカーボンブラック粒子からなる群から選択される第1カーボンブラック粒子、
    (ii)表面積が150m/g未満、又は揮発分が5重量%を超える第2カーボンブラック粒子、
    (iii)1つ以上の分散剤としての界面活性剤
    (iv)アルカリ金属水酸化物、及び
    (v)水、
    b.第1及び第2カーボンブラック粒子から実質的に全ての水を分離し、前記第1及び第2カーボンブラック粒子を実質的に連続層で前記非導電面上に堆積させる工程、
    その後
    c.前記カーボンブラック堆積層及び前記非導電面上に導電性金属層を電気メッキする工程
    を含むことを特徴とする非導電性材料面に導電性金属層を電気メッキする方法。
  6. 前記カーボンブラック分散は、前記カーボンブラック粒子合計を1重量%〜5重量%の濃度で有し、前記カーボンブラック粒子は前記表面積が少なくとも150m/g、又は前記揮発分が5重量%未満であるカーボンブラック粒子を0.1重量%〜2重量%含む請求項5に記載の方法。
  7. 非導電性材料面に導電性金属層を電気メッキするのに有用な組成物であって、前記組成物が
    a.吸油量が少なくとも150cm/100gであるカーボンブラック粒子、表面積が少なくとも150m/gであるカーボンブラック粒子、及び揮発分が5重量%未満であるカーボンブラック粒子からなる群から選択される第1カーボンブラック粒子、
    b.吸油量が少なくとも150cm/100g、表面積が少なくとも150m/g、又は揮発分が5重量%未満でない第2カーボンブラック粒子、
    c.1つ以上の分散剤としての界面活性剤
    d.アルカリ金属水酸化物、及び
    e.水、
    を含むことを特徴とする非導電性材料面に導電性金属層を電気メッキするのに有用な組成物。
  8. 前記第1カーボンブラック粒子は、前記吸油量が少なくとも150cm/100gであるカーボンブラック粒子を含む請求項7に記載の組成物。
  9. 前記組成物は、前記カーボンブラック粒子合計を1重量%〜5重量%の濃度で有し、前記カーボンブラック粒子は前記表面積が少なくとも150m/gであるカーボンブラック粒子を0.1重量%〜2重量%含む請求項7に記載の組成物。
  10. 前記組成物が、前記カーボンブラック粒子合計を1重量%〜5重量%の濃度で有し、前記カーボンブラック粒子は前記吸油量が少なくとも150cm/100gであるカーボンブラック粒子を0.1重量%〜2重量%含む請求項8に記載の組成物。
  11. 前記組成物が、前記カーボンブラック粒子を1重量%〜5重量%の濃度で有し、前記カーボンブラック粒子は前記揮発分が5重量%未満であるカーボンブラック粒子を0.1重量%〜2重量%含む請求項7に記載の組成物。
  12. 非導電性材料面に導電性金属層を電気メッキする方法であって、
    a.非導電面をカーボンブラック分散液と接触させる工程、
    前記カーボンブラック分散液は、実質的に下記(i)〜(v)からなる:
    (i)吸油量が少なくとも150cm/100gであるカーボンブラック粒子、表面積が少なくとも150m/gであるカーボンブラック粒子、及び揮発分が5重量%未満であるカーボンブラック粒子からなる群から選択される第1カーボンブラック粒子、
    (ii)吸油量が少なくとも150cm/100g、表面積が少なくとも150m/g、又は揮発分が5重量%未満でない第2カーボンブラック粒子、
    (iii)1つ以上の分散剤としての界面活性剤
    (iv)アルカリ金属水酸化物、及び
    (v)水、
    b.第1及び第2カーボンブラック粒子から実質的に全ての水を分離し、前記第1及び第2カーボンブラック粒子を実質的に連続層で前記非導電面上に堆積させる工程、
    その後
    c.前記カーボンブラック堆積層及び前記非導電面上に導電性金属層を電気メッキする工程
    を含むことを特徴とする非導電性材料面に導電性金属層を電気メッキする方法。
  13. 前記分散剤としての界面活性剤は、中和されたリン酸エステル型界面活性剤、ノニルフェノールエトキシレート及びアルコキシル化直鎖アルコールからなる群から選択される請求項12に記載の方法。
  14. 前記カーボンブラック分散のpHが10〜11である請求項12に記載の方法。
  15. 前記カーボンブラック分散は、前記カーボンブラック粒子合計を1重量%〜5重量%の濃度で有し、前記カーボンブラック粒子は前記表面積が少なくとも150m/gであるカーボンブラック粒子を0.1重量%〜2重量%含む請求項12に記載の方法。
  16. 前記カーボンブラック分散は、前記カーボンブラック粒子合計を1重量%〜5重量%の濃度で有し、前記カーボンブラック粒子は前記吸油量が少なくとも150cm/100gであるカーボンブラック粒子を0.1重量%〜2重量%含む請求項12に記載の方法。
  17. 前記カーボンブラック分散は、前記カーボンブラック粒子を1重量%〜5重量%の濃度で有し、前記カーボンブラック粒子は前記揮発分が5重量%未満であるカーボンブラック粒子を0.1重量%〜2重量%含む請求項12に記載の方法。
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