JP4368632B2 - 光学活性β−アミノ酸類の製造方法 - Google Patents

光学活性β−アミノ酸類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、医農薬や生理活性物質の中間原料として重要で、例えば抗生物質の合成中間体として極めて有用な光学活性なβ−アミノ酸類の製造方法に関する。
従来より、光学活性なβ−アミノ酸類を合成する方法としては、1)所望のβ−アミノ酸類のラセミ体を一旦合成し、これを光学活性な分割剤や酵素などを用いて光学分割する方法や、2)不斉合成による方法等が知られている。
1)の方法としては、例えば酵素を用いてラセミ体を光学分割する方法として、ペニシリンアシラーゼを用いてβ−アミノ酸のN−フェニルアセチル体の一方の光学異性体のみを選択的に加水分解する方法などが知られている(例えば非特許文献1等)。また、2)の方法なども知られている(例えば非特許文献2等)。
しかしながら、1)の方法において、光学活性な分割剤を用いてラセミ体を光学分割する方法では、分割剤がβ−アミノ酸類に対して当量以上必要であり、しかも光学活性なβ−アミノ酸類を得るためには、晶析、分離、精製など煩雑な操作が必要である。また、酵素を用いてラセミ体を光学分割する方法では、比較的高い光学純度のβ−アミノ酸類を得ることができるものの、反応基質の種類に制約があり、しかも得られるβ−アミノ酸類の絶対配置も特定のものに限られるという問題点を有していた。
また、2)の不斉合成による方法では、反応試剤として高価な光学活性体を用いなければならないばかりか、用いる光学活性体が化学量論量以上必要であるという問題点を有していた。
このような問題点を解決するために、触媒的不斉合成方法により光学活性なβ−アミノ酸類を合成する方法が知られている。
この触媒的不斉合成方法としては、i)光学活性ジルコニウムルイス酸触媒を用いたイミンへのシリルエノールエーテルの不斉付加反応による方法(現代科学 2000, 348, 34)、ii)β−(アシルアミノ)−α,β−不飽和エステル類の触媒的不斉水素化反応による方法(特許文献1、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5等)が知られている。
しかしながら、触媒的不斉合成方法は、触媒的不斉合成を行う際に必要な原料の光学活性化合物は少量で良いが、いずれの方法においても原料の光学活性化合物の窒素上を適当な不斉を誘起する置換基、即ち、保護基で保護する必要がある。また、触媒的不斉合成方法により得られてくる化合物は、窒素上が置換されたままのものである。そのため、所望の光学活性β−アミノ酸類を得るためには脱保護等の工程が必要となり、保護基のみを脱保護する条件で脱保護を行う等、操作が煩雑になるという問題点を有していた。
また、ii)に記載の方法では、触媒的不斉水素化反応を行うには、原料化合物のアミノ基にアシル基等の保護基を導入することが必要である。即ち、原料として用いるβ−アミノ−α,β−不飽和エステル類にアシル基等の保護基を導入する際に、該エステル類のE体又はZ体を選択的に製造しなければならない。また、例えばアシル基を導入後、得られたβ−(アシルアミノ)−α,β−不飽和エステル類を精製する必要がある。
更に、β−(アシルアミノ)−α,β−不飽和エステル類の触媒的不斉水素化反応により得られた光学活性β−アミノ酸類は、アミノ基にアシル基等の保護基が導入されたままの状態であるため、所望の光学活性β−アミノ酸類を得るためには、該保護基をエステル部分が加水分解されない条件等で脱保護する必要がある等、種々の問題点を有していた。
そのため、光学活性なβ−アミノ酸類を製造する際に、原料の光学活性化合物を保護基を導入する工程や所望の光学活性β−アミノ酸類を得るために該保護基を脱保護する工程等の煩雑な操作をすることなく製造するための一般性の高い、しかも高活性な触媒を用いて製造する方法の開発が望まれていた。
また、2級アミノ基を有する2−フェニル−2−(2’−ピペリジニリデン)酢酸エステル誘導体の触媒的不斉水素化反応による2−フェニル−2−(2’−ピペリジニル)酢酸エステル誘導体の製造方法が記載されている(特許文献2)。
しかしながら、原料として用いられている前記2−フェニル−2−(2’−ピペリジニリデン)酢酸エステル誘導体は2級アミノ基を有する化合物であり、しかもアミノ基部分が環状となっているものであり、1級アミノ基、即ち、窒素上が無置換であるβ−アミノ−α,β−不飽和エステル類の触媒的不斉水素化反応により、光学純度よく目的の光学活性β−アミノ酸類を得る製造法はまだない。
WO99/59721号公報 特開平10−231286号公報 Synlett, 1993,339 EnantioselectiveSynthesis of β-Amino Acids, Eusebio Juaristi編, Wiley-VCH, NewYork Tetrahedron:Asymmetry, 1991, 2, 543 Tetrahedron Lett.19, 1119 (1978) J. Am. Chem.Soc., 124,4952 (2002)
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、医農薬や生理活性物質の合成中間体として有用な光学活性β−アミノ酸類を製造する際に、原料化合物への保護基の導入や脱保護等の工程が必要なく、高効率でかつ不斉収率のよい触媒的不斉合成方法による光学活性β−アミノ酸類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、光学活性β−アミノ酸類の触媒的不斉合成方法について鋭意検討を行った結果、N−無置換のエナミン類を不斉水素化反応に付すことにより、目的の光学活性β−アミノ酸類を短工程で高効率で不斉収率良く得られることを見出し本発明に到達した。
即ち、本発明は、以下の通りである。
1)一般式(1)
Figure 0004368632
(式中、Rは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基、置換アリール基、脂肪族複素環基、置換脂肪族複素環基、芳香族複素環基、置換芳香族複素環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アラルキルオキシ基、置換アラルキルオキシ基、アリールオキシ基又は置換アリールオキシ基を示し、Rは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基、置換アリール基、脂肪族複素環基、置換脂肪族複素環基、芳香族複素環基、置換芳香族複素環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アラルキルオキシ基、置換アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基又はアラルキルオキシカルボニル基を示し、Rはアルコキシ基、置換アルコキシ基、アラルキルオキシ基、置換アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、アミノ基または置換アミノ基を示し、X’は酸を示し、aは0又は1を示す。また、RとRあるいはRとRとが結合して環を形成していてもよい。但し、R及びRが同時に水素原子であることはない。)で表されるエナミン類を不斉水素化反応に付することを特徴とする、一般式(2)
Figure 0004368632
(式中、bは0又は1を示し、*は不斉炭素であることを示し、R、R、R及びX’は前記と同じ。)で表される光学活性β−アミノ酸類の製造方法。
2)不斉水素化反応を酸の存在下で行うことを特徴とする1)に記載の製造方法。
3)不斉水素化反応を含フッ素脂肪族アルコールの存在下で行うことを特徴とする1)に記載の製造方法。
4)不斉水素化反応を酸及び含フッ素アルコールの存在下で行うことを特徴とする1)に記載の製造方法。
5)不斉水素化反応を不斉水素化触媒の存在下で行うことを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の製造方法。
6)不斉水素化触媒が遷移金属錯体である5)に記載の製造方法。
7)遷移金属錯体が周期表の第VIII族の金属の錯体である6)に記載の製造方法。
8)遷移金属錯体が不斉配位子を有するものである6)又は7)に記載の製造方法。
9)不斉配位子が不斉ホスフィン配位子である8)に記載の製造方法。
本発明の製造方法により光学純度に優れた光学活性β−アミノ酸類を低い触媒使用量で、しかも脱保護等の煩雑な工程を経ることなく短工程で製造することができる。本発明の製造方法により得られた光学活性β−アミノ酸類は医農薬や生理活性物質の中間原料として重要であり、例えば抗生物質の合成中間体として極めて有用な化合物である。また、本発明の光学活性β−アミノ酸類の製造方法は、優れた触媒活性及びエナンチオあるいはジアステレオ選択性を発揮するので産業的にも極めて有用である。
本発明で用いられるエナミン類は、下記一般式(1)で表される(以下、エナミン類と称することもある。)。
Figure 0004368632
(式中、R、R、R、X’及びaは前記と同じ。)
本発明の製造方法により得られる光学活性β−アミノ酸類は、下記一般式(2)で表される(以下、光学活性β−アミノ酸類と称することもある)。
Figure 0004368632
(式中、R、R、R、X’、b及び*は前記と同じ。)
尚、一般式(2)において、R又はRが水素原子の場合は、R又はRが結合している炭素原子は、不斉炭素とはならない。また、R及びRが同時に水素原子であることはない。
一般式(1)及び(2)において、R、R及びRで示される基について説明する。
アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、5−メチルペンチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜7のシクロアルキル基が挙げられ、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、シクロヘプチル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキル基が挙げられ、具体的にはベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、2−フェニルブチル基、3−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、1−フェニルペンチル基、2−フェニルペンチル基、3−フェニルペンチル基、4−フェニルペンチル基、5−フェニルペンチル基、1−フェニルヘキシル基、2−フェニルヘキシル基、3−フェニルヘキシル基、4−フェニルヘキシル基、5−フェニルヘキシル基、6−フェニルヘキシル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
脂肪族複素環基としては、例えば5員又は6員の脂肪族複素環基が好ましく、異種原子として1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる脂肪族複素環基が挙げられ、その具体例としては、例えばピロリジル−2−オン基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば5員又は6員の単環の芳香族複素環基や多環の芳香族複素環基が好ましく、異種原子として1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる芳香族複素環基が挙げられ、その具体例としては、例えばピリジル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フルフリル基、ピラニル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、2−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、5−メチルペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アラルキルオキシ基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキルオキシ基が挙げられ、具体的にはベンジルオキシ基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルプロポキシ基、2−フェニルプロポキシ基、3−フェニルプロポキシ基、1−フェニルブトキシ基、2−フェニルブトキシ基、3−フェニルブトキシ基、4−フェニルブトキシ基、1−フェニルペンチルオキシ基、2−フェニルペンチルオキシ基、3−フェニルペンチルオキシ基、4−フェニルペンチルオキシ基、5−フェニルペンチルオキシ基、1−フェニルヘキシルオキシ基、2−フェニルヘキシルオキシ基、3−フェニルヘキシルオキシ基、4−フェニルヘキシルオキシ基、5−フェニルヘキシルオキシ基、6−フェニルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えば炭素数6〜14のアリールオキシ基が挙げられ、具体的にはフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基等が挙げられる。
アルキルオキシカルボニル基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、例えば炭素数2〜7のアルキルオキシカルボニル基が挙げられ、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アラルキルオキシカルボニル基としては、例えば炭素数8〜12のアラルキルオキシカルボニル基が挙げられ、具体的にはベンジルオキシカルボニル基、フェニルエトキシカルボニル基等が挙げられる。
置換アルキル基としては、上記アルキル基の少なくとも1個の水素原子がアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基又は保護基を有するアミノ基等の置換基で置換されたアルキル基が挙げられる。
置換シクロアルキル基としては、上記シクロアルキル基の少なくとも1個の水素原子がアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基又は保護基を有するアミノ基等の置換基で置換されたシクロアルキル基が挙げられる。
置換アラルキル基としては、上記アラルキル基の少なくとも1個の水素原子がアルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキル基置換アミノ基等の置換基で置換されたアラルキル基が挙げられる。
置換アリール基としては、上記アリール基の少なくとも1個の水素原子がアルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキル基置換アミノ基等の置換基で置換されたアリール基、又は上記アリール基の隣接した2個の水素原子がアルキレンジオキシ基等の置換基で置換されたアリール基が挙げられる。
置換脂肪族複素環基としては、上記脂肪族複素環基の少なくとも1個の水素原子がアルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等の置換基で置換された脂肪族複素環基が挙げられる。
置換芳香族複素環基としては、上記芳香族複素環基の少なくとも1個の水素原子がアルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等の置換基で置換された芳香族複素環基が挙げられる。
置換アルコキシ基としては、上記アルコキシ基の少なくとも1個の水素原子がアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基又は保護基を有するアミノ基等の置換基で置換されたアルコキシ基が挙げられる。
置換アラルキルオキシ基としては、上記アラルキルオキシ基の少なくとも1個の水素原子がアルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキル基置換アミノ基等の置換基で置換されたアラルキルオキシ基が挙げられる。
置換アリールオキシ基としては、上記アリールオキシ基の少なくとも1個の水素原子がアルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキル基置換アミノ基等の置換基で置換されたアリールオキシ基、又は上記アリールオキシ基の隣接した2個の水素原子がアルキレンジオキシ基等で置換されたアリールオキシ基が挙げられる。
置換アミノ基としては、アミノ基の1個又は2個の水素原子がアルキル基、シクロアルキル基、保護基等の置換基で置換されたアミノ基、環状アミノ基等が挙げられる。
上記置換基、即ち、置換アルキル基、置換シクロアルキル基、置換アラルキル基、置換アリール基、置換脂肪族複素環基、置換芳香族複素環基、置換アルコキシ基、置換アラルキルオキシ基、置換アリールオキシ基及び置換アミノ基における各置換基を以下に説明する。
アルキル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基は、上記と同じである。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アルキレンジオキシ基としては、例えば炭素数1〜3のアルキレンジオキシ基が挙げられ、具体的にはメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、例えば上記アルキル基がハロゲン化(例えばフッ素化、塩素化、臭素化、沃素化等。)された炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基が挙げられ、具体的にはクロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
アルキル基置換アミノ基としては、アミノ基の水素原子の1個又は2個が上記アルキル基及び/又は上記シクロアルキル基で置換されたアミノ基が挙げられる。アルキル基置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基等のモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基等のジ置換アミノ基等が挙げられる。
保護基としては、アミノ保護基として用いられるものであれば何れも使用可能であり、例えば「PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS Second Edition(JOHN WILEY & SONS, INC.)」にアミノ保護基として記載されているものが挙げられる。アミノ保護基の具体例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アルキル基、シクロアルキル基及びアラルキル基は、上記と同じである。アシル基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でも良く、カルボン酸由来の例えば炭素数2〜7のアシル基が挙げられ、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。アルキルオキシカルボニル基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
保護基を有するアミノ基は、上記保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。保護基を有するアミノ基の具体例としては、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、tert−ブチルオキシカルボニルアミノ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
環状アミノ基としては、ブチレン基、ペンチレン基等のアルキレン鎖、−CHCHOCHCH−、−CHCHNHCHCH−、−CHCHOCO−基等が窒素原子に結合した環状アミンが挙げられ、その具体例としては、モルホリノ基、ピペリジノ基、1,3−オキサゾリン−2−オン−1−イル基等が挙げられる。
とRとが結合して環を形成する場合には、環は単環でも多環でもよく、5員環又は6員環が好ましい。また、RとRとが結合して環を形成する場合には、環は単環でも多環でもよく、5員環又は6員環が好ましい。
一般式(1)及び(2)において、X’で示される酸としては、無機酸、有機酸、ルイス酸等が挙げられる。
無機酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、吉草酸、ヘキサン酸、クエン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。これら酸は、夫々単独で用いても、2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。これら酸の中でも、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、メタンスルホン酸等が好ましい。
一般式(1)において、aは0又は1を示す。
a=0のとき、上記一般式(1)で表されるエナミン類は、一般式(3)
Figure 0004368632
(式中、R、R及びRは前記と同じ。)で表されるエナミン類である。
a=1のとき、上記一般式(1)で表されるエナミン類は、一般式(4)
Figure 0004368632
(式中、R、R、R及びX’は前記と同じ。)で表されるエナミン類の酸塩である。
本発明で用いられる一般式(1)で表されるエナミン類は、中でもβ−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体が好ましい。β−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体の具体例としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
3−アミノ−3−フェニルアクリル酸メチル、
3−アミノ−3−フェニルアクリル酸エチル、
3−アミノ−3−フェニルアクリル酸プロピル、
3−アミノ−3−フェニルアクリル酸イソプロピル、
3−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)アクリル酸エチル、
3−アミノ−3−フェニルアクリル酸エチル・メタンスルホン酸塩、
3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−アクリル酸メチル、
2−アミノ−1−シクロペンテンカルボン酸メチル、
2−アミノ−1−シクロヘキセンカルボン酸エチル、
3−アミノ−2−メチル−クロトン酸エチル、
4−ベンジルオキシ−3−アミノ−2−ブテン酸エチル、
など。
上記一般式(1)で表されるエナミン類は、市販品を用いても、適宜製造したものを用いてもよい。
一般式(2)において、bは0又は1を示す。
b=0のとき、上記一般式(2)で表される光学活性β−アミノ酸類は、一般式(5)
Figure 0004368632
(式中、R、R、R及び*は前記と同じ。)で表される光学活性β−アミノ酸類である。
b=1のとき、上記一般式(2)で表される光学活性β−アミノ酸類は、一般式(6)
Figure 0004368632
(式中、R、R、R、X’及び*は前記と同じ。)で表される光学活性β−アミノ酸類の酸塩である。
尚、上記一般式(5)及び(6)において、R又はRが水素原子の場合は、R又はRが結合している炭素原子は、不斉炭素とはならない。また、但し、R及びRが同時に水素原子であることはない。
本発明の製造方法により得られる一般式(2)で表される光学活性β−アミノ酸類の具体例としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチル、
(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチル、(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチル、(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチル、(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチル・メタンスルホン酸塩、(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチル・メタンスルホン酸塩、(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸イソプロピル、(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸イソプロピル、
(R)−3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−プロピオン酸メチル、
(S)−3−アミノブタン酸メチル、
(R)−3−アミノブタン酸メチル・メタンスルホン酸塩、
(−)−cis−2−アミノシクロペンタンカルボン酸メチル、
(−)−cis−2−アミノシクロペンタンカルボン酸メチル・メタンスルホン酸塩、
など。
本発明の製造方法において、上記一般式(1)で表されるエナミン類の不斉水素化反応は、不斉水素化触媒の存在下で行うことにより、上記一般式(2)で表される光学活性β−アミノ酸類を効率良くかつ不斉収率良く得ることができる。
不斉水素化触媒は、遷移金属錯体が好ましく用いられる。また、前記遷移金属錯体は、中でも元素周期表の第VIII族の金属の錯体が好ましい。
遷移金属錯体としては、例えば下記一般式(7)又は(8)で表される化合物が挙げられる。
(7)
[M]Z (8)
上記式中、Mは第VIII族の遷移金属を示し、Lは不斉配位子を示し、Xはハロゲン原子、カルボキシラート基、アリル基、1,5−シクロオクタジエン又はノルボルナジエンを示し、Yは配位子を示し、Zはアニオンを示し、m、n、p、q及びsは0〜5の整数を示す。
一般式(7)及び(8)において、Mで示される元素周期表の第VIII族の遷移金属としては、同一又は異なって、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
Lで示される不斉配位子は、同一又は異なって、単座配位子、二座配位子等が挙げられる。好ましい不斉配位子は、光学活性ホスフィン配位子等が挙げられ、より好ましくは光学活性二座ホスフィン配位子等が挙げられる。
不斉配位子の具体例としては、シクロヘキシルアニシルメチルホスフィン(CAMP)、1,2−ビス(アニシルフェニルホスフィノ)エタン(DIPAMP)、1,2−ビス(アルキルメチルホスフィノ)エタン(BisP*)、2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(CHIRAPHOS)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(PROPHOS)、2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5−ノルボルネン(NORPHOS)、2,3−O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(DIOP)、1−シクロヘキシル−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(CYCPHOS)、1−置換−3,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ピロリジン(DEGPHOS)、2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ペンタン(SKEWPHOS)、1,2−ビス(置換ホスホラノ)ベンゼン(DuPHOS)、1,2−ビス(置換ホスホラノ)エタン(BPE)、1−((置換ホスホラノ)−2−(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン(UCAP−Ph)、1−(ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−2−(置換ホスホラノ)ベンゼン(UCAP−DM)、1−((置換ホスホラノ)−2−(ビス(3,5−ジ(t−ブチル)−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)ベンゼン(UCAP−DTBM)、1−((置換ホスホラノ)−2−(ジ−ナフタレン−1−イル−ホスフィノ)ベンゼン(UCAP−(1−Nap))、1−[1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアミン(BPPFA)、1−[1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアルコール(BPPFOH)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ジシクロペンタン(BICP)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−(5,5’,6,6’,7,7’,8,8’,−オクタヒドロビナフチル) (H−BINAP)、2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(TOL−BINAP)、2,2’−ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(DM−BINAP)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル(BICHEP)、((5,6),(5’6’)−ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル−2,2’−ジイル)(ビスジフェニルホスフィン) (SEGPHOS)、((5,6),(5’6’)−ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル−2,2’−ジイル)(ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン) (DM−SEGPHOS)、((5,6),(5’6’)−ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル−2,2’−ジイル)(ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−メトキシフェニル)ホスフィン) (DTBM−SEGPHOS)等が挙げられる。
Yで示される配位子としては、同一又は異なって、芳香族化合物、オレフィン化合物等の中性配位子が挙げられる。芳香族化合物としては、ベンゼン、p−シメン、1,3,5−トリメチルベンゼン(メシチレン)、ヘキサメチルベンゼン等が挙げられる。オレフィン化合物としては、エチレン、1,5−シクロオクタジエン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等が挙げられる。その他の中性配位子としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、クロロホルム等が挙げられる。
Xで示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
一般式(8)において、Zで示されるアニオンとしては、ZはBF、ClO、OTf、PF、SbF、BPh、Cl、Br、I、I、スルホネート等が挙げられる。ここで、Tfは、トリフラート基(SOCF)を示す。
以下に、上記遷移金属錯体の好ましい態様を説明する。
[1]一般式(7)
(7)
1)MがIrあるいはRhのとき、XはCl、Br又はIであり、Lが単座配位子の場合にはm=p=2、n=4、q=0であり、Lが二座配位子の場合にはm=n=p=2、q=0である。
2)MがRuのとき、(i)XはCl、Br又はIであり、Yはトリアルキルアミノ基を示し、Lが単座配位子の場合にはm=2、n=p=4、q=1であり、Lが二座配位子の場合にはm=n=2、p=4、q=1である。
(ii)XはCl、BrまたはIを示し、Yはピリジル基あるいは環置換ピリジル基を示し、Lが単座配位子の場合にはm=1、n=p=2、q=2、Lが二座配位子の場合にはm=n=1、p=2、q=2である。
(iii)Xはカルボキシラート基であり、Lが単座配位子の場合にはm=1、n=p=2、q=0であり、Lが二座配位子の場合にはm=n=1、p=2、q=0である。
(iv)XはCl、Br又はIであり、Lが単座配位子の場合にはm=p=2、n=4、q=0であり、Lが二座配位子の場合にはm=n=p=2、q=0である。
3)MがPdのとき、(i)XはCl、Br又はIであり、Lが単座配位子の場合にはm=1、n=2、p=2、q=0であり、Lが二座配位子の場合にはm=n=1、p=2、q=0である。
(ii)Xはアリル基であり、Lが単座配位子の場合にはm=p=2、n=4、q=0であり、Lが二座配位子の場合にはm=n=p=2、q=0である。
5)MがNiのとき、XはCl、BrあるいはIであり、Lが単座配位子の場合にはm=1、n=2、p=2、q=0であり、Lが二座配位子の場合にはm=n=1、p=2、q=0である。
[2]一般式(8)
[M]Z (8)
1)MがIrあるいはRhのとき、Xは1,5−シクロオクタジエン又はノルボルナジエンであり、ZはBF、ClO、OTf、PF、SbF又はBPhであり、m=n=p=s=1、q=0又はm=s=1、n=2、p=q=0である。
2)MがRuのとき、(i)XはCl、Br又はIであり、Yは芳香族化合物、オレフィン化合物等の中性配位子を示し、ZはCl、Br、I、I、スルホネートであり、Lが単座配位子の場合にはm=p=s=q=1であり、n=2であり、Lが二座配位子の場合にはm=n=p=s=q=1である。
(ii)ZはBF、ClO、OTf、PF、SbF又はBPhで、Lが単座配位子の場合にはm=1、n=2、p=q=0、s=2であり、Lが二座配位子の場合にはm=n=1、p=q=0、s=2である。
3)MがPd及びNiのとき、(i)ZはBF、ClO、OTf、PF、SbF又はBPhであり、Lが単座配位子の場合にはm=1、n=2、p=q=0、s=2であり、Lが二座配位子の場合にはm=n=1、p=q=0、s=2である。
これらの遷移金属錯体は、公知の方法を用いて製造することができる。
尚、以下に示す遷移金属錯体の式中で使用されている記号は、それぞれ、Lは不斉配位子を、codは1,5−シクロオクタジエンを、nbdはノルボルナジエンを、Tfはトリフラート基(SOCF)を、Phはフェニル基を、Acはアセチル基を夫々示す。また、具体例としては煩雑さを避けるために不斉配位子として二座配位子を用いたものを挙げる。
ロジウム錯体:
ロジウム錯体は、日本化学会編「第4版 実験化学講座」、第18巻、有機金属錯体、339−344頁、1991年(丸善)等に記載の方法に従って製造することができる。具体的には、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)ロジウム(I) テトラフロロホウ酸塩と不斉配位子とを反応させることにより得ることができる。
ロジウム錯体の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
[Rh(L)Cl]、[Rh(L)Br]、[Rh(L)I]、[Rh(cod)(L)]BF、[Rh(cod)(L)]ClO、[Rh(cod)(L)]PF、[Rh(cod)(L)]BPh、[Rh(cod)(L)]OTf、[Rh(nbd)(L)]BF、[Rh(nbd)(L)]ClO、[Rh(nbd)(L)]PF、[Rh(nbd)(L)]BPh、[Rh(nbd)(L)]OTf
ルテニウム錯体:
ルテニウム錯体は、文献(T. Ikariya, Y. Ishii, H. Kawano, T. Arai, M. Saburi, S. Yoshikawa, and S. Akutagawa, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1985, 922)等に記載の方法に従って得ることができる。具体的には、[Ru(cod)Clと不斉配位子とをトリエチルアミンの存在下、トルエン溶媒中で加熱還流することにより製造することができる。
また、文献(K. Mashima, K. Kusano, T. Ohta, R. Noyori, H. Takaya, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1989, 1208)に記載の方法によっても得ることができる。具体的には、[Ru(p−cymene)Iと不斉配位子とを塩化メチレン及びエタノール中で加熱撹拌することにより得ることができる。ルテニウム錯体の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
Ru(OAc)(L)、RuCl(L)NEt、[RuCl(benzene)(L)]Cl、[RuBr(benzene)(L)]Br、[RuI(benzene)(L)]I、[RuCl(p−cymene)(L)]Cl、[RuBr(p−cymene)(L)]Br、[RuI(p−cymene)(L)]I、[Ru(L)](BF、[Ru(L)](ClO、[Ru(L)](PF、[Ru(L)](BPh、[Ru(L)](OTf)
イリジウム錯体:
イリジウム錯体は、文献(K. Mashima,T. Akutagawa, X. Zhang, T. Taketomi, H. Kumobayashi, S. Akutagawa, J. Organomet. Chem., 1992, 428, 213)等に記載の方法に従って得ることができる。具体的には、不斉配位子と[Ir(cod)(CHCN)]BFとを、テトラヒドロフラン中で撹拌反応させることにより得ることができる。
イリジウム錯体の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
[Ir(L)Cl]、[Ir(L)Br]、[Ir(L)I]、[Ir(cod)(L)]BF、[Ir(cod)(L)]ClO、[Ir(cod)(L)]PF、[Ir(cod)(L)]BPh、[Ir(cod)(L)]OTf、[Ir(nbd)(L)]BF、[Ir(nbd)(L)]ClO、[Ir(nbd)(L)]PF、[Ir(nbd)(L)]BPh、[Ir(nbd)(L)]OTf
パラジウム錯体:
パラジウム錯体は、文献(Y. Uozumi and T. Hayashi, J. Am.Chem. Soc., 1991, 9887)等に記載の方法に従って得ることができる。具体的には、不斉配位子とπ−アリルパラジウムクロリドとを反応させることにより得ることができる。
パラジウム錯体の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
PdCl(L)、(π−allyl)Pd(L)、[(Pd(L)]BF、[(Pd(L)]ClO、[(Pd(L)]PF、[(Pd(L)]BPh、[(Pd(L)]OTf
ニッケル錯体:
ニッケル錯体は、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、376頁、1991年(丸善)等に記載の方法により得ることができる。また、文献(Y. Uozumi and T. Hayashi, J. Am. Chem. Soc., 1991, 113, 9887)に記載の方法に従って、不斉配位子と塩化ニッケルとを、2−プロパノールとメタノールの混合溶媒に溶解し、加熱撹拌することにより得ることができる。
ニッケル錯体の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
NiCl(L)、NiBr(L)、NiI(L)
上記遷移金属錯体は、市販品を用いても、製造したものを用いてもよい。
本発明で用いられる遷移金属錯体は、中でも不斉配位子を有する錯体がより好ましく用いられ、該不斉配位子が、不斉ホスフィン配位子である遷移金属錯体が更に好ましく用いられる。
本発明の製造方法において、上記不斉水素化触媒の使用量は、用いる上記一般式(1)で表されるエナミン類、使用する反応容器や反応の形式あるいは経済性などによって異なるが、エナミン類に対して、モル比で通常1/10〜1/100,000、好ましくは1/50〜1/10,000の範囲から適宜選択される。
本発明の製造方法は、エナミン類として上記一般式(3)で表されるエナミン類を用いる場合には、酸の存在下で行うことが好ましい。また、エナミン類として上記一般式(4)で表されるエナミン類の酸塩を用いる場合には、必ずしも酸の存在下で行う必要はなく、必要に応じて酸の存在下で行えばよい。
更に、本発明の製造方法は、エナミン類として上記一般式(3)で表されるエナミン類を用いる場合には、含フッ素脂肪族アルコールの存在下で行うことが好ましい。また、エナミン類として上記一般式(4)で表されるエナミン類の酸塩を用いる場合には、必ずしも含フッ素脂肪族アルコールの存在下で行う必要はなく、必要に応じて含フッ素脂肪族アルコールの存在下で行えばよい。
更にまた、本発明の製造方法は、エナミン類として上記一般式(3)で表されるエナミン類を用いる場合には、酸及び/又は含フッ素脂肪族アルコールの存在下で行ってもよい。また、エナミン類として上記一般式(4)で表されるエナミン類の酸塩を用いる場合には、必ずしも酸及び/又は含フッ素脂肪族アルコールの存在下で行う必要はなく、必要に応じて酸及び/又は含フッ素脂肪族アルコールの存在下で行えばよい。
酸としては、無機酸、有機酸、ルイス酸等が挙げられる。
無機酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、吉草酸、ヘキサン酸、クエン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。これら酸は、夫々単独で用いても、2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。これら酸の中でも、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、メタンスルホン酸等が好ましい。
酸の使用量は、エナミン類に対して通常0.1〜10当量、好ましくは0.5〜3当量の範囲から適宜選択される。
含フッ素脂肪族アルコールとしては、例えば炭素数2〜10の飽和又は不飽和の含フッ素脂肪族アルコールが挙げられる。含フッ素脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2−ジフルオロエタノール、3,3,3−トリフルオロプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、2−メチル−3,3,3−トリフルオロエタノール、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブタノール、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール、5,5,6,6,6−ペンタフルオロヘキサノール、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等が挙げられる。これら含フッ素脂肪族アルコールは、夫々単独で用いても、2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。これら含フッ素脂肪族アルコールは、中でも2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2−ジフルオロエタノール、3,3,3−トリフルオロプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3,−テトラフルオロプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等が好ましい。
含フッ素脂肪族アルコールの使用量は、エナミン類に対して通常5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲から適宜選択される。
酸及び含フッ素脂肪族アルコールを併用する場合の使用量は、エナミン類に対して両者を通常0.1〜10当量、好ましくは0.5〜3当量の範囲から適宜選択される。
また、酸及び含フッ素脂肪族アルコールの混合比は、酸と含フッ素脂肪族アルコールとを通常10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5で混合すればよい。
本発明の製造方法は、必要に応じて溶媒中で行うことができる。該溶媒は、必要に応じて用いる酸や含フッ素脂肪族アルコールの種類等により使用すればよく、前記酸や含フッ素脂肪族アルコールが溶媒としても使用可能な場合には、溶媒の使用は必ずしも必要ではない。
溶媒は、上記一般式(1)で表されるエナミン類や不斉水素化触媒を溶解するものが好ましい。
溶媒の具体例としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン等の多価アルコール類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これら溶媒は、夫々単独で用いても、2種以上適宜組み合わせて用いても良い。これら溶媒は、中でもメタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類が好ましい。
溶媒の使用量は、用いる反応基質であるエナミン類の溶解度や経済性により判断される。例えば溶媒としてアルコール類を用いた場合、用いるエナミン類によっては1%以下の低濃度から無溶媒あるいは無溶媒に近い状態で行うことができる。溶媒の使用量としては、通常5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲から適宜選択される。
本発明の製造方法における水素の圧力は、水素雰囲気下や1気圧でも十分であるが、経済性等を考慮すると通常1〜200気圧、好ましくは2〜100気圧の範囲から適宜選択される。また、経済性を考慮して10気圧以下でも高い活性を維持することが可能である。
反応温度は、経済性等を考慮して、通常15〜100℃、好ましくは20〜80℃の範囲から適宜選択される。また、反応温度は、−30〜0℃の低温でも、あるいは100〜250℃の高温でも反応を実施することができる。
反応時間は、用いる不斉水素化触媒の種類や使用量、用いるエナミン類の種類や濃度、反応温度、水素の圧力等の反応条件等により異なるが、数分から数時間の間で反応は完結するが、通常1分〜48時間、好ましくは10分〜24時間の範囲から適宜選択される。
本発明の製造方法は、反応形式がバッチ式においても連続式においても実施することができる。
本発明の製造方法により得られた光学活性β−アミノ酸類は、医農薬や生理活性物質の中間原料として用いられ、例えば抗生物質の合成中間体として有用である。
本発明の光学活性β−アミノ酸類の製造方法は、原料として用いるエナミン類のアミノ基を保護基で保護せずに行うことが特徴である。それにより、保護基の導入及び脱保護という工程を経ずに、短工程で所望の光学活性β−アミノ酸類を得ることができる、という効果を奏するものである。
以下に、実施例及び参考例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び参考例において、物性等の測定に用いた装置は次の通りである。
核磁気共鳴スペクトル:
(1)DRX500(BRUKER JAPAN CO.LTD.)。H−NMR (500.13MHz)、13C−NMR (125.76MHz)。
(2)Gemini 2000 (Varian) H−NMR(200MHz)
融点:Yanaco MP−500D
旋光度:日本分光 DIP−4
ガスクロマトグラフィー(GLC):Hewlett Packard 5890−II
高速液体クロマトグラフィー(HPLC): 島津製作所 LC10AT & SPD10A
質量分析(MASS):日立 M−80B
不斉収率の測定
不斉収率は、例えば以下のようにして測定した。
即ち、得られたエナミン類を、トリエチルアミン等の塩基性物質の存在下、例えば無水酢酸でアシル化(アセチル化)し、一般式(9)
Figure 0004368632
(式中、Rはアセチル基等の保護基を示し、R、R、R及び*は前記と同じ。)で示されるアシル体(アセチル体)とした後、ガスクロマトグラフィー(GLC)でキャピラリーカラムCP−Chirasil DEX−CB(0.25mmI.D.×25m,0.25μm。CHROMPACK社製。)を用いて測定した。
参考例1. 3−アミノ−3−フェニルアクリル酸メチルの製造
ベンゾイル酢酸メチル40.00g(0.2245mol)のメタノール400mL溶液に、ギ酸アンモニウム70.30g(1.115mol)を加え、18時間還流反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を減圧下で留去した。残渣に酢酸エチル200mLと水150mLとを加え、室温で30分間撹拌後、有機層を分液し、水層を酢酸エチル100mLで抽出した。合わせた有機層を水100mL及び飽和食塩水100mLとで順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去した後、残渣を減圧下で蒸留して目的の3−アミノ−3−フェニルアクリル酸メチル(32.44g,無色液状固体)を得た。収率81.6%。
bp:98〜102.5℃/20Pa
H−NMR(CDCl):δ;3.66(s,3H),4.94(s,1H),7.35−7.40(m,3H),7.49−7.51(m,2H)
13C−NMR(CDCl):δ;50.2,83.9,126.0,128.6,130.1,137.4,160.5,170.6
EI−MS(m/z):177([M]
参考例2. 3−アミノ−3−フェニルアクリル酸エチルの製造
ベンゾイル酢酸エチル200.00g(1.041mol)のメタノール2,000mL溶液に、ギ酸アンモニウム328.10g(5.203mol)を加え、14時間加熱還流反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を減圧下で留去した。残渣に酢酸エチル500mLと水400mLとを加え、室温で30分間撹拌後、有機層を分液し、水層を酢酸エチル500mLで抽出した。合わせた有機層を水400mLで2回、飽和食塩水400mLで1回順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去した後、残渣を減圧下で蒸留して目的の3−アミノ−3−フェニルアクリル酸エチル(190.20g,無色オイル)を得た。収率95.1%。
bp:125〜130℃/20Pa
H−NMR(CDCl):δ;1.29(t,J=7.1Hz,3H),4.17(q,J=7.1Hz,2H),4.96(s,1H),7.35−7.45(m,3H),7.50−7.55(m,2H)
13C−NMR(CDCl):δ;14.5,58.8,84.6,126.1,128.8,130.1,137.6,160.4,170.4
EI−MS(m/z):191([M]
参考例3. 3−アミノ−3−フェニルアクリル酸エチル・メタンスルホン酸塩の製造
参考例2で得られた3−アミノ−3−フェニルアクリル酸エチル5.00g(26.01mmol)のトルエン20mL溶液に、メタンスルホン酸2.62g(27.31mmol)を室温で30分かけて滴下し、室温で12時間撹拌反応させた。反応終了後、析出した固体を濾取し、濾取した固体をトルエン15mL、ヘキサン15mLで順次洗浄し、目的の3−アミノ−3−フェニルアクリル酸エチル・メタンスルホン酸塩(7.29g,白色結晶)を得た。収率97.2%。
H−NMR(DMSO−d):δ;1.19(t,J=7.1Hz,3H),2.49(s,3H),4.05(q,J=7.1Hz,2H),4.77(br s,1H),7.40−7.50(m,3H),7.58−7.65(m,2H),7.40−8.00(br,3H)
13C−NMR(DMSO−d):δ;13.8,14.4,57.8,81.5,126.2,128.2,128.4,128.6,130.1,169.3
実施例1. (S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチルの製造
窒素雰囲気下、Ru(OCOCH((R)−H−binap)19.2mg(0.0226mmol)、参考例1で得られた3−アミノ−3−フェニルアクリル酸メチル2.00g(11.3mmol)、クロロ酢酸1.07g(11.3mmol)、及びメタノール5mLをステンレスオートクレーブに入れ、50℃、水素圧3MPaで88時間撹拌反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン=70/30/0.2)にて精製し、目的の(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチル(790mg,無色オイル)を得た。収率39.5%。
H−NMR(CDCl):δ;1.75(s,2H),2.64(dd,J=7.3,1.0Hz,2H),3.66(s,3H),4.40(t,J=6.8Hz,1H),7.22−7.25(m,1H),7.30−7.35(m,4H)
13C−NMR(CDCl):δ;43.8,51.4,52.4,126.0,127.2,128.4,144.5,172.2
EI−MS(m/z):179([M]
絶対配置は、得られた(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチルの比旋光度を測定し、[α] 24 −23.7°(c=2.22,CHCl)であったことから、S体と決定した。文献値は99%eeのS体が[α] 26 −18.2°(c=1.46,CHCl)である(Bull.Chem.Soc.Jpn.1998,71,1221)。
不斉収率は、得られた(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチルをトリエチルアミンの存在下、無水酢酸でアセチル化し、(S)−3−アセタミド−3−フェニルプロピオン酸メチルとした後、測定し、94.4%eeであった。
実施例2. 3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチルの製造
実施例.1において、クロロ酢酸を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして反応及び後処理を行ったところ、3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチルの収率は1.2%であった。
実施例3. (S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチルの製造
実施例1において、Ru(OCOCH((R)−H−binap)19.2mg(0.0226mmol)の代わりにRu(OCOCH((S)−dm−binap)21.6mg(0.0226mmol)を用い、更に、クロロ酢酸を加えないで実施例1と同様にして反応及び後処理を行ったところ、(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチルの収率は9.0%であった。
不斉収率は実施例1と同様に測定し、93.4%eeであった。
実施例4. (R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチルの製造
窒素雰囲気下、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)47.7mg(0.0531mmol)、参考例2で得られた3−アミノ−3−フェニルアクリル酸エチル1.02g(5.31mmol)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール5mLをステンレスオートクレーブに入れ、50℃、水素圧3MPaで15時間撹拌反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン=50/50/5)にて精製し、目的の(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチル(0.554g,淡黄色オイル)を得た。収率53.8%。
H−NMR(CDCl):δ;1.23(t,J=7.2Hz,3H),2.04(br s,2H),2.66(d,J=6.8Hz,2H),4.14(q,J=7.2Hz,2H),4.42(t,J=6.8Hz,1H),7.23−7.28(m,1H),7.31−7.39(m,4H)
13C−NMR(CDCl):δ;14.1,44.2,52.6,60.5,126.2,127.4,128.6,144.6,172.0
EI−MS(m/z):194([M]
絶対配置は、得られた(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチルを塩酸塩として比旋光度を測定し、[α] 24 −6.21°(c=1.04,CHOH)であったことから、R体と決定した。文献値は(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチル・塩酸塩の比旋光度が[α] 22 −5.8°(c=1,CHOH)である(J.Med.Chem.,2001,44,1158)。
不斉収率は、得られた(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチルをトリエチルアミンの存在下、無水酢酸でアセチル化して、(R)−3−アセタミド−3−フェニルプロピオン酸エチルとした後、測定し、96.6%eeであった。
実施例5. (R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチルの製造
実施例4において、2,2,2−トリフルオロエタノール5mLの代わりに2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール5mLを用いた以外は実施例4と同様にして反応及び後処理を行い、目的の(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチル(0.500g,淡黄色オイル)を得た。収率49.5%。
不斉収率は、実施例4と同様にして測定し、95.8%eeであった。
実施例6. (R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチルの製造
窒素雰囲気下、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)31.1mg(0.0347mmol)、参考例3で得られた3−アミノ−3−フェニルアクリル酸エチル・メタンスルホン酸塩1.00g(3.47mmol)、及びエタノール5mLをステンレスオートクレーブに入れ、50℃、水素圧3MPaで15時間撹拌反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン=50/50/5)にて精製し、目的の(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチル(0.550g,淡黄色オイル)を得た。収率81.6%。
実施例7. (S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチルの製造
実施例6において、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)31.1mg(0.0347mmol)の代わりに[{RuCl((R)−segphos)}(μ−Cl)][MeNH]28.5mg(0.0174mmol)を用いた以外は、実施例6と同様にして反応及び後処理を行い、目的の(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチル(0.560g,淡黄色オイル)を得た。収率83.1%。
不斉収率は、得られた(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチルをトリエチルアミンの存在下、無水酢酸でアセチル化して、(S)−3−アセタミド−3−フェニルプロピオン酸エチルとした後、測定し、70.9%eeであった。
実施例8. (S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチル・メタンスルホン酸塩の製造
窒素雰囲気下、[{RuCl((R)−segphos)}(μ−Cl)][MeNH]28.5mg(0.0174mmol)、参考例3で得られた3−アミノ−3−フェニルアクリル酸エチル・メタンスルホン酸塩1.00g(3.47mmol)、及びエタノール5mLをステンレスオートクレーブに入れ、50℃、水素圧3MPaで15時間撹拌反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、残渣をエチルエーテルで洗浄し、目的の(S)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸エチル・メタンスルホン酸塩(0.877g,淡黄色固体)を得た。収率87.1%。
不斉収率は、実施例7と同様にして測定し、71.9%eeであった。
H−NMR(CDOD):δ;1.20(t,J=7.1Hz,3H),2.69(s,3H),3.01(dd,J=6.6,16.8Hz,1H),3.11(dd,J=7.7,16.8Hz,1H),4.14(dq,J=2.1,7.1Hz,2H),4.72(br t,J=7.2Hz),7.40−7.50(m,5H)
13C−NMR(CDOD):δ;14.3,39.4,39.5,53.1,62.4,128.3,130.4,130.6,137.3,171.2
EI−MS(m/z):194([M]
実施例9. (S)−3−アミノブタン酸メチルの製造
窒素雰囲気下、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)78.0mg(0.0869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル1.00g(8.69mmol)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール5mLをステンレスオートクレーブに入れ、50℃、水素圧3MPaで15時間撹拌反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;酢酸エチル/メタノール/トリエチルアミン=95/5/5)にて精製し、目的の(S)−3−アミノブタン酸メチル(0.149g,淡黄色オイル)を得た。収率14.6%。
不斉収率は、得られた(S)−3−アミノブタン酸メチルをトリエチルアミンの存在下、無水酢酸でアセチル化し、(S)−3−アセタミドブタン酸メチルとした後、測定し、96.7%eeであった。
H−NMR(CDCl):δ;1.12(d,J=6.4Hz,3H),2.22−2.45(m,2H),3.30−3.50(m,1H),3.68(s、3H)
実施例10. (S)−3−アミノブタン酸メチルの製造実施例9において、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)78.0mg(0.0869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル1.00g(8.69mmol)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール5mLの代わりに[{RuCl((S)−segphos)}(μ−Cl)[MeNH] 35.5mg(0.0217mmol)、3−アミノクロトン酸メチル0.500g(4.34mmol)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール2mLを用い、反応温度を50℃の代わりに80℃とした以外は実施例9と同様にして反応及び後処理を行い、目的の(S)−3−アミノブタン酸メチル(0.433g,淡黄色オイル)を得た。収率85.0%。 不斉収率は、実施例9と同様にして、(S)−3−アセタミドブタン酸メチルとした後、測定し、96.1%eeであった。
実施例11. (S)−3−アミノブタン酸メチルの製造 実施例9において、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)78.0mg(0.0869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル1.00g(8.69mmol)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール5mLの代わりにRu(OCOCH((S)−tol−binap)62.0mg(0.0690mmol)、3−アミノクロトン酸メチル0.500g(4.34mmol)、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール1.5mLを用い、反応温度を50℃の代わりに80℃とした以外は実施例9と同様にして反応及び後処理を行い、目的の(S)−3−アミノブタン酸メチル(0.308g,淡黄色オイル)を得た。収率60.5%。 不斉収率は、実施例9と同様にして、(S)−3−アセタミドブタン酸メチルとした後、測定し、95.5%eeであった。
実施例A.(R)−3−アミノブタン酸メチルの製造
実施例9において、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)78.0mg(0.0869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル1.00g(8.69mmol)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール5mLの代わりに、Ru(OCOCH((R)−tol−binap)7.8mg(0.00869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル0.20g(1.74mmol)、酢酸104.3mg(1.74mmol)及びメタノール1mLを用い、反応温度を50℃の代わりに80℃とした以外は実施例9と同様にして反応及び後処理を行い、目的の(R)−3−アミノブタン酸メチル(200mg,淡黄色オイル)を得た。収率98.3%。
不斉収率は実施例9と同様にして、(R)−3−アセタミドブタン酸メチルとした後測定し、52.0%eeであった。
実施例B.(R)−3−アミノブタン酸メチルの製造
実施例9において、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)78.0mg(0.0869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル1.00g(8.69mmol)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール5mLの代わりに、Ru(OCOCH((R)−dm−binap)8.3mg(0.00869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル0.50g(4.34mmol)、酢酸260.8mg(4.34mmol)及びメタノール2.5mLを用い、反応温度を50℃の代わりに80℃とした以外は実施例9と同様にして反応を行い、溶媒を減圧下留去して目的の(R)−3−アミノブタン酸メチルを酢酸塩(770mg、淡黄色オイル)として得た。収率100%。
不斉収率は実施例9と同様にして、(R)−3−アセタミドブタン酸メチルとした後測定し、65.6%eeであった。
H−NMR(CDCl):δ;1.26(d,J=6.6Hz,3H),2.45−2.66(m,2H),3.43−3.60(m,1H),3.69(s、3H),5.40−5.80(br,3H)
実施例C.(R)−3−アミノブタン酸メチルの製造
実施例9において、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)78.0mg(0.0869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル1.00g(8.69mmol)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール5mLの代わりに、Ru(OCOCH((R)−tol−binap)7.8mg(0.00869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル0.20g(1.74mmol)、酢酸104.3mg(1.74mmol)、2,2,2−トリフルオロエタノール17.4mg(0.174mmol)及びメタノール1mLを用い、反応温度を50℃の代わりに80℃とした以外は実施例9と同様にして反応及び後処理を行い、目的の(R)−3−アミノブタン酸メチル(190mg,淡黄色オイル)を得た。収率93.4%。
不斉収率は実施例9と同様にして、(R)−3−アセタミドブタン酸メチルとした後測定し、55.5%eeであった。
実施例D.(R)−3−アミノブタン酸メチル・p−トルエンスルホン酸塩の製造
実施例9において、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)78.0mg(0.0869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル1.00g(8.69mmol)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール5mLの代わりに、Ru(OCOCH((R)−tol−binap)195.0mg(0.2171mmol)、3−アミノクロトン酸メチル5.00g(43.43mmol)、酢酸2.61g(43.43mmol)、2,2,2−トリフルオロエタノール4.34g(43.43mmol)及びメタノール25mLを用い、反応温度を50℃の代わりに80℃とした以外は実施例9と同様にして反応及び後処理を行い、溶媒を減圧下留去して(R)−3−アミノブタン酸メチル・酢酸塩(7.70g、淡黄色オイル)を得た。収率100%。酢酸塩の不斉収率は実施例9と同様にして、(R)−3−アセタミドブタン酸メチルとした後測定し、82.9%eeであった。
得られた(R)−3−アミノブタン酸メチル・酢酸塩を酢酸メチル60mLに溶解し、室温でp−トルエンスルホン酸・1水和物8.26g(43.43mmol)の酢酸メチル60mL溶液を30分かけて滴下し、室温で1時間撹拌する。反応混合物を0℃まで冷却し、析出した固体を濾取して目的の(R)−3−アミノブタン酸メチル・p−トルエンスルホン酸塩(7.90g,白色結晶)を得た。収率62.9%。
不斉収率は実施例9と同様にして、(R)−3−アセタミドブタン酸メチルとした後測定し、92.1%eeであった。
H−NMR(DMSO−d):δ;1.19(d,J=6.6Hz,3H),2.28(s、3H),2.50−2.70(m,2H),3.40−3.60(m,1H),3.63(s,3H),7.12(d,J=8.0Hz,2H),7.48(d,J=8.0Hz,2H),7.70−8.00(br,3H)
実施例12. (R)−3−アミノブタン酸メチル・メタンスルホン酸塩の製造
窒素雰囲気下、Ru(OCOCH((R)−tol−binap)78.0mg(0.0869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル1.00g(8.69mmol)、メタンスルホン酸0.83g(8.69mmol)、及びメタノール5mLをステンレスオートクレーブに入れ、50℃、水素圧3MPaで15時間撹拌反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、残渣をメタノール/酢酸エチルから再結晶し、目的の(R)−3−アミノブタン酸メチル・メタンスルホン酸塩(1.135g,白色結晶)を得た。収率61.3%。
不斉収率は、得られた(R)−3−アミノブタン酸メチル・メタンスルホン酸塩をトリエチルアミンの存在下、無水酢酸でアセチル化し、(R)−3−アセタミドブタン酸メチルとした後、測定し、85.0%eeであった。
[α] 24 −9.3°(c=1.08,CHOH)
H−NMR(CDOD):δ;1.35(d,J=6.6Hz),2.70(S,3H),2.69−2.72(m,2H),3.64−3.72(m,1H),3.74(S,3H)
13C−NMR(CDOD):δ;18.7,38.8,39.5,45.7,52.6,172.2
EI−MS(m/z):118([M]
実施例13. 3−(n−ブチルアミノ)クロトン酸メチルの不斉水素化
実施例9において、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)78.0mg(0.0869mmol)、3−アミノクロトン酸メチル1.00g(8.69mmol)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール5mLを、Ru(OCOCH((S)−tol−binap)26.2mg(0.0292mmol)、3−(n−ブチルアミノ)クロトン酸メチル500mg(2.92mmol)、及び10%塩酸−メタノール溶液2.5mLに代えて16時間反応させた以外は、実施例9と同様にして反応及び後処理を行い、3−(n−ブチルアミノ)ブタン酸メチルを収率10.6%で得た。
参考例4. 3−アミノクロトン酸メチル・p−トルエンスルホン酸塩の製造
3−アミノクロトンアクリル酸メチル10.00g(86.86mmol)のトルエン70mL懸濁液に、p−トルエンスルホン酸・1水和物15.70g(82.52mmol)のトルエン60mL溶液を窒素雰囲気下で2時間還流させて、室温まで冷却した溶液を滴下し、5℃で30分かけて滴下し、室温で1時間撹拌反応させた。反応終了後、析出した固体を濾取し、濾取した固体をトルエン30mL、ヘキサン30mLで順次洗浄し、目的の3−アミノクロトン酸メチル・p−トルエンスルホン酸塩(23.29g,白色結晶)を得た。収率98.2%。H−NMR(DMSO−d):δ;1.70−2.10(br,3H),2.28(s,3H),3.49(s,3H),4.15−4.40(br,1H),4.80−6.00(br,3H),7.12(d,J=8.0Hz,2H),7.48(d,J=8.0Hz,2H).
実施例14. (S)−3−アミノブタン酸メチル・p−トルエンスルホン酸塩の製造 窒素雰囲気下、[{RuCl((S)−segphos)}(μ−Cl)[MeNH]14.3mg(0.00868mmol)、参考例4で得られた3−アミノクロトン酸メチル・p−トルエンスルホン酸塩1.00g(3.48mmol)、及びメタノール5mLをステンレスオートクレーブに入れ、50℃、水素圧3MPaで14時間撹拌反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、残渣をメタノール/酢酸メチルから再結晶し、目的の(S)−3−アミノブタン酸メチル・p−トルエンスルホン酸塩(0.473g,白色結晶)を得た。mp:115〜116℃、収率47.0%。
不斉収率は、得られた(S)−3−アミノブタン酸メチル・p−トルエンスルホン酸塩を実施例9と同様にして、無水酢酸でアセチル化し、(S)−3−アセタミドブタン酸メチルとした後、測定し、69.3%eeであった。
H−NMR(DMSO−d):δ;1.19(d,J=6.6Hz,3H),2.28(s,3H),2.50−2.70(m,2H),3.40−3.60(m,1H),3.63(s,3H),7.12(d,J=8.0Hz,2H),7.48(d,J=8.0Hz,2H),7.70−8.00(br,3H).
参考例5. 2−アミノ−1−シクロペンテンカルボン酸メチルの製造
シクロペンタノン−2−カルボン酸メチル10.00g(70.35mmol)のメタノール100mL溶液に、ギ酸アンモニウム22.18g(351.74mmol)を加え、24時間加熱還流反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を減圧下で留去した。残渣に酢酸エチル50mLと水30mLとを加え、室温で30分間撹拌後、有機層を分液し、水層を酢酸エチル50mLで抽出した。合わせた有機層を水30mLで2回、飽和食塩水30mLで1回順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去した後、残渣をメタノールから再結晶し、目的の2−アミノ−1−シクロペンテンカルボン酸メチル(7.34g,白色結晶)を得た。収率73.9%。
mp:95〜96℃
H−NMR(CDCl):δ;1.78−1.86(m,2H),2.43−2.55(m,4H),3.69(s,3H),4.10−7.00(br,2H)
13C−NMR(CDCl):δ;20.8,29.4,35.0,50.2,95.1,162.0,168.4
EI−MS(m/z):141([M]
実施例15. (−)−cis−2−アミノシクロペンタンカルボン酸メチル・メタンスルホン酸塩の製造
窒素雰囲気下、Ru(OCOCH((R)−tol−binap)63.6mg(0.0708mmol)、参考例5で得られた2−アミノ−1−シクロペンテンカルボン酸メチル1.00g(7.08mmol)、メタンスルホン酸0.68g(7.084mmol)、及びメタノール5mLをステンレスオートクレーブに入れ、50℃、水素圧3MPaで15時間撹拌反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、残渣をメタノール/酢酸エチルから再結晶し、目的の(−)−cis−2−アミノシクロペンタンカルボン酸メチル・メタンスルホン酸塩(0.643g,白色結晶)を得た。収率37.9%。
[α] 24 −27.5°(c=1.06,CHOH)
H−NMR(CDOD):δ;1.66−1.80(m,2H),1.81−1.91(m,2H),2.70(s,3H),2.84−2.92(m,1H),3.74(s,3H),3.83(br q,J=ca.7.5Hz)
13C−NMR(CDOD):δ;24.1,30.0,31.9,39.5,49.6,52.8,55.3,174.8
EI−MS(m/z):143([M]
参考例6. 3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−アクリル酸メチルの製造
2−(2−テノイル)酢酸メチル17.83g(0.09679mol)のメタノール180mL溶液に、ギ酸アンモニウム36.62g(0.5807mol)を加え、38時間加熱還流反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を減圧下で留去した。残渣に酢酸エチル100mLと水100mLとを加え、室温で30分撹拌後、有機層を分液し、水層を酢酸エチル50mLで抽出した。合わせた有機層を水40mLと飽和食塩水40mLとで順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去した後、残渣を減圧下で蒸留して目的の3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−アクリル酸メチル(15.80g,無色液体)を得た。収率89.1%。
bp:97℃/10Pa
H−NMR(CDCl):δ;3.69(s,3H),5.11(s,1H),6.50(br s,2H),7.04−7.06(dd,J=4.9,3.9Hz1H),7.34−7.36(m,2H)
13C−NMR(CDCl):δ;50.4,83.8,125.6,127.2,127.7,139.8,153.1,170.4
EI−MS(m/z):184([M+1]
実施例16. (1)(R)−3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−プロピオン酸メチル・メタンスルホン酸塩及び(2)(R)−3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−プロピオン酸メチルの製造
(1)窒素雰囲気下、Ru(OCOCH((R)−segphos)22.5mg(0.0271mmol)、参考例6で得られた3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−アクリル酸メチル1.00g(5.46mmol)、メタンスルホン酸525mg(5.46mmol)、及びメタノール5.0mLをステンレスオートクレーブに入れ、80℃、水素圧3MPaで17時間撹拌反応させた。反応終了時の不斉収率は、HPLCカラムChiral CD−Ph(4.6mmI.D.×25cm,5μm,(株)資生堂製。)を用いて測定した結果、73.9%eeであった。次いで、反応終了後の反応混合物中の溶媒を留去し、残渣に酢酸エチル15mLを加え室温で2時間攪拌した。撹拌後、得られたスラリーを室温で濾過し、固体を酢酸エチル(3mL×2回)で洗浄した後、50℃で18時間真空乾燥して、(R)−3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−プロピオン酸メチル・メタンスルホン酸塩を白色固体として得た(993mg)。得られた塩の(R)−3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−プロピオン酸メチルとメタンスルホン酸との比は、H−NMRの結果から1:1.9であった。得られた塩の不斉収率は、HPLCカラムChiral CD−Phを用いて測定した結果、74.2%eeであった。
(2)(1)で得られた(R)−3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−プロピオン酸メチル・メタンスルホン酸塩801mg、メタノール5.0mL及びトリエチルアミン(847mg,8.37mmol)を混合し、室温で1.5時間撹拌した。撹拌後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチ=70/30)で精製し、(R)−3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−プロピオン酸メチル(390mg,無色オイル)を得た。収率47.8%。
[α] 25 1.1°(c=1.20,CHOH)
H−NMR(CDCl):δ;1.85(s,2H),2.72(dd,J=16.0,9.1Hz,1H),2.81(dd,J=16.0,4.4Hz,1H),3.70(s,3H),4.70(dd,J=9.1,4.4Hz,1H),6.94−6.96(m,2H),7.19−7.21(m,1H)
13C−NMR(CDCl):δ;44.3,48.4,51.6,122.8,123.9,126.5,149.1,171.8
EI−MS(m/z):185([M]
不斉収率は、得られた(R)−3−アミノ−3−チオフェン−2−イル−プロピオン酸メチルをメタノールに溶解し、HPLCカラムChiral CD−Phを用いて測定した結果、74.3%eeであり、水素化反応の終了時(73.9%ee)とほぼ同じであった。
参考例7. 4−ベンジルオキシ−3−アミノ−2−ブテン酸エチルの製造
4−ベンジルオキシ−3−オキソ−ブタン酸エチル14.48g(0.6129mol)のメタノール145mL溶液に、ギ酸アンモニウム20.54g(0.3258mol)を加え、16時間加熱還流反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を減圧下で留去した。残渣に酢酸エチル100mLと水100mLとを加え、室温で30分間撹拌後、有機層を分液し、水層を酢酸エチル50mLで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水50mLで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去した後、残渣を減圧下で蒸留して目的の4−ベンジルオキシ−3−アミノ−2−ブテン酸エチル(7.61g,無色液状固体)を得た。収率52.8%。
bp:132〜135℃/15Pa
H−NMR(CDCl):δ;1.23(t,J=7.1Hz,3H),4.04(s,2H),4.13(q,J=7.1Hz,2H),4.50(s,2H),4.55(s,1H),5.5(br s,1H),7.28−7.38(m,5H),7.7(br s,1H)
13C−NMR(CDCl):δ;14.5,58.6,69.6,72.4,82.1,127.8,128.0,128.5,137.1,158.9,170.0
EI−MS(m/z):235([M]
実施例17. (−)−4−ベンジルオキシ−3−アミノ−ブタン酸メチルの製造
窒素雰囲気下、Ru(OCOCH((R)−segphos)17.6mg(0.0212mmol)、参考例7で得られた4−ベンジルオキシ−3−アミノ−2−ブテン酸エチル1.00g(4.25mmol)、メタンスルホン酸408mg(4.25mmol)、及びメタノール5mLをステンレスオートクレーブに入れ、80℃、水素圧3MPaで25時間撹拌反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン=85/15/2)で精製し、目的の(−)−4−ベンジルオキシ−3−アミノ−ブタン酸メチル(440mg,薄黄色オイル)を得た。収率46.4%。
[α] 23 −4.8°(c=1.13,CHOH)
H−NMR(CDCl):δ;1.85(br s,1H),2.55(d,J=6.3Hz,2H),3.02(br s,1H),3.47(dd,J=9.6,6.0Hz,1H),3.51(dd,J=9.6,4.5Hz,1H),3.68(s,3H),4.21−4.26(m,1H),4.58(s,2H),7.26−7.36(m,5H)
13C−NMR(CDCl):δ;38.0,51.7,67.1,73.1,73.3,127.65,127.72,128.4,137.8,172.4;
EI−MS(m/z):224([M+1]
不斉収率は、得られた(−)−4−ベンジルオキシ−3−アミノ−ブタン酸メチルをメタノールに溶解した後、HPLCカラムChiral CD−Phを用いて測定した結果、57.7%eeであった。

Claims (4)

  1. 一般式(1)
    Figure 0004368632
    (式中、R1は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基、置換アリール基、脂肪族複素環基、置換脂肪族複素環基、芳香族複素環基、置換芳香族複素環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アラルキルオキシ基、置換アラルキルオキシ基、アリールオキシ基又は置換アリールオキシ基を示し、R2は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基、置換アリール基、脂肪族複素環基、置換脂肪族複素環基、芳香族複素環基、置換芳香族複素環基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アラルキルオキシ基、置換アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基又はアラルキルオキシカルボニル基を示し、R3はアルコキシ基、置換アルコキシ基、アラルキルオキシ基、置換アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、アミノ基または置換アミノ基を示し、X’は酸を示し、aは0又は1を示す。また、R1とR2あるいはR2とR3とが結合して環を形成していてもよい。但し、R1及びR2が同時に水素原子であることはない。)で表されるエナミン類を不斉水素化反応に付することを特徴とする、一般式(2)
    Figure 0004368632
    (式中、bは0又は1を示し、*は不斉炭素であることを示し、R1、R2、R3及びX’は前記と同じ。)で表される光学活性β−アミノ酸類の製造方法であって、
    不斉水素化反応を不斉水素化触媒の存在下で行い、
    不斉水素化触媒が遷移金属錯体であり、
    遷移金属錯体が周期表の第VIII族の金属の錯体であり、
    遷移金属錯体が不斉配位子を有するものであり、
    不斉配位子が不斉ホスフィン配位子である、光学活性β−アミノ酸類の製造方法
  2. 不斉水素化反応を酸の存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 不斉水素化反応を含フッ素脂肪族アルコールの存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 不斉水素化反応を酸及び含フッ素脂肪族アルコールの存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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