以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
図1及び図2は、本発明の筒状抄造体の製造装置の一実施形態を示すものである。これらの図において、符号1は筒状抄造体の製造装置(以下、単に製造装置ともいう。)、10は連結される前の抄造体、10’は延設された抄造体を示している。
図1に示すように、製造装置1は、複数の筒状の抄造体10を抄造して、それらを脱水域Aを経て連結域Bに逐次移送し、連結域Bに先に移送した抄造体10に後から移送した抄造体10を継ぎ足して、先に移送した抄造体10を延設するように設計されている。
製造装置1は、貯留槽2に貯留された原料スラリー20から抄造体10を逐次抄造する抄造手段3と、抄造手段3と協働し、抄造手段3で抄造した抄造体10を脱水域Aで脱水する脱水手段4と、脱水した抄造体10を脱水手段4から受け取って連結域Bまで移送する第1の移送手段(以下、単に移送手段ともいう。)5と、連結域Bにおいて移送手段5から抄造体10を受け取って保持する保持手段6とを備えている。移送手段5は、先に移送した抄造体10の連結端部10Aに後から移送した抄造体10の連結端部10Bを内挿又は外挿するとともに、保持手段6と協働して抄造体10どうしを連結するように設計されている。
また、製造装置1は、延設した抄造体10’を保持手段6から受け取って移送する第2の移送手段7を備えている。第2の移送手段7は、継ぎ足した抄造体10に、新たに移送されてくる他の抄造体10を連結域Bで連結できるように、延設した抄造体10’を移送するように設計されている。製造装置1では、移送手段5が第2の移送手段7を兼ねている。
さらに、製造装置1は、保持手段6と協働し、先に移送した抄造体10に後から移送した抄造体10を継ぎ足す前に、一方の連結端部を拡開させる拡開手段8を備えている。製造装置1では、移送手段5が拡開手段8を兼ねている。
貯留槽2は、調整槽21及びポンプ22とともに循環経路23に接続されている。貯留槽2内には、調整槽21で濃度調整された原料スラリー20がポンプ22によって供給され、ほぼ一定量の原料スラリー20が貯留される。
抄造手段3は、抄造コア30と、抄造コア30を貯留槽2のほぼ中央において上下動自在に支持する支柱31と、支柱31を上下動させる上下動機構32とを備えている。
図2に示すように、抄造コア30は、筒状の本体300と、その外周に配された拡縮自在の中空の第1弾性押圧体301と、その外側に配された多孔性で気液流通性を有する伸縮性の気液流通体302と、さらにその外側に配された抄造ネット303とを備えている。
第1弾性押圧体301には流体の流通路304が接続されている。流通路304の他端部は流体供給源及び吸引ポンプに切り替え弁(いずれも図示せず)を介して接続されている。第1弾性押圧体301は、前記流体供給源から流通路304を介して内部に流体が供給されたときには膨張し、流通路304を介して前記吸引ポンプで吸引されたときは収縮する。第1弾性押圧体301の材質としては、例えば、ウレタン、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー等が挙げられる。第1弾性押圧体301を膨張させる前記流体としては、例えば圧縮空気(加熱空気)、油(加熱油)、その他各種の流体が挙げられる。
気液通液体302には液体の流通路305が接続されている。流通路305の他端部は、図示しない吸引ポンプに接続されており、流通路305を介して前記吸引ポンプで吸引されたときは、原料スラリー中の水分が吸引されて排出される。
抄造ネット303には、原料スラリーに応じて従来から湿式抄造に用いられているものを特に制限なく使用することができる。
支柱31の内部は中空になっており、該中空部には後述する移送手段5の支柱51が挿通され、支柱51に支持された第2弾性押圧体50が上下に移動する。なお、第1弾性押圧体301は、原料スラリー20中から脱水域Aまでを往復上下動し、第2弾性押圧体50は、少なくとも脱水域Aと連結域B間を往復上下動する。
上下動機構32は、キャリッジ320を上下にスライドさせることにより、当該キャリッジ320に連結された支柱31を上下動させるように設計されている。そして、かかる上下動に伴って、前記抄造コア30が原料スラリー20の内外を往復移動する。
図1に示すように、脱水手段4は、脱水型40と、脱水型40を開閉する開閉手段(図示せず)とを備えている。脱水型40は、一組(本実施形態では一対)の割型400で構成されている。これらの割型400が組み合わされ、脱水型40が閉じた状態では、抄造体10が抄造コア30とともに収容される収容空間が形成される。割型400の抄造体10に臨む面には、脱水ネット(図示せず)が取り付けられており、後述する流通路401を介して伝えられる吸引力が抄造体の表面に均一にかかるようになっている。割型400には、流体の流通路401が接続されている。割型400の内部には、一端が抄造体10に臨む面で多数開口し、他端が流通路401に通じる流通路(図示せず)が設けられている。流通路401の他端部は吸引ポンプ及び流体供給源に切り替え弁(いずれも図示せず)を介して接続されている。割型400は、流通路401を介して前記吸引ポンプで吸引されたときは抄造体10を脱水ネット側に吸着し、前記流体供給源から流通路401を介して流体が供給されたときは抄造体10を割型400から脱型させる。
図1に示すように、移送手段5は、第2弾性押圧体50と、これを支持する支柱51と、支柱51を上下動させる上下動機構52とを備えている。
第2弾性押圧体50は、内部が中空で拡縮自在の袋状の弾性部材から構成され、前記第1弾性押圧体301と同じ材質で構成することができる。
支柱51は内部が中空で上下が封止されている。支柱51の下方部には流体の流通路501が接続されている。流通路501の他端部は流体供給源及び吸引ポンプに切り替え弁(いずれも図示せず)を介して接続されている。支柱51の上方部には、弾性押圧体50の内部に支柱51内と第2弾性押圧体50内とを連通する連通孔(図示せず)が設けられている。
第2弾性押圧体50は、前記流体供給源から流通路501、支柱51内及び前記連通孔を介して内部に流体が供給されたときは膨張し、流通路501を介して前記吸引ポンプで吸引されたときは収縮する。第2弾性押圧体50を膨張させる前記流体としては、例えば圧縮空気(加熱空気)、油(加熱油)、その他各種の液体が挙げられる。
上下動機構52は、キャリッジ520を上下にスライドさせることにより、当該キャリッジ520に連結された支柱51を上下動させるように設計され、かかる上下動に伴って、前記第2弾性押圧体50が上下に往復移動する。
移送手段5は、前述のように第2の移送手段7を兼ねており、継ぎ足した抄造体10に移送手段5で新たに移送されてくる他の抄造体10を連結域Bで連結できるように、延設された抄造体10’を移送する。また、移送手段5は、拡開手段7を兼ねており、後述するように保持手段6と協働し、先に移送された抄造体10に後から移送された抄造体10を継ぎ足す前に先に移送された抄造体10の連結端部10Aを拡開させるように設計されている。
図1に示すように、保持手段6は、半乾燥型60と、その上方に配された本乾燥型61と、これらの半乾燥型60及び本乾燥型61を開閉する開閉手段(図示せず)とを備えている。本実施形態の製造装置1では、脱水手段4で脱水された抄造体10を連結域Bに移送し、連結域Bにおいて移送手段5と半乾燥型60とが協働して抄造体10一旦半乾燥型60で半乾燥する。そして、移送手段5が半乾燥した抄造体10を本乾燥型61に移送する。
半乾燥型60は、一組(本実施形態では一対)の割型600で構成されている。これらの割型600が組み合わされて、半乾燥型60が閉じた状態では、前記移送手段5で脱水域Aから移送された抄造体10が移送手段5の第2弾性押圧体50とともに収容される収容空間が形成される。割型600には、流体の流通路601が接続されている。割型600の内部には、一端が抄造体10に臨む面(以下、この面を内面ともいう。)で多数スリット状に開口し、他端が流通路601に通じる流通路(図示せず)が設けられている。流通路601の他端部は吸引ポンプ及び流体供給源に切り替え弁(いずれも図示せず)を介して接続されている。割型600の内部にはヒーター602が配されており、このヒーター602で割型600を加熱することによって、抄造体10を半乾燥する。割型600は、流通路601を介して前記吸引ポンプで吸引されたときは抄造体10を当該抄造体10に臨む面に吸着し、前記流体供給源から流通路601を介して内部に流体が供給されて加圧されたときは抄造体10を割型600から脱型させる。半乾燥型60は、割型600が閉じたときの前記収容空間の断面寸法が、脱水された抄造体10の外径寸法よりも広く設けられており、これによって、移送手段5の第2弾性押圧体50と協働して抄造体10を半乾燥する際に、抄造体10が内側から拡開されてその外径寸法が広げられる。
本乾燥型61は、半乾燥型60と同様に、一組(本実施形態では一対)の割型610で構成されている。これらの割型610が組み合わされて、本乾燥型61が閉じた状態では、前記移送手段5で半乾燥型60から移送された抄造体10が移送手段5の弾性押圧体50とともに収容される収容空間が形成される。割型610には、流体の流通路611が接続されている。割型610の内部には、一端が抄造体10に臨む面(以下、この面を内面ともいう。)で多数スリット状に開口し、他端が流通路611に通じる流通路(図示せず)が設けられている。流通路611の他端部は吸引ポンプ及び流体供給源に切り替え弁(いずれも図示せず)を介して接続されている。割型610の内部にはヒーター612が配されており、このヒーター612で割型610を加熱することによって、抄造体10を本乾燥する。割型610は、流通路611を介して前記吸引ポンプで吸引されたときは抄造体10を当該抄造体10に臨む面に吸着し、前記流体供給源から流通路611を介して内部に流体が供給されて加圧されたときは抄造体10を割型610から脱型させる。後述するような表面粗度を有し、且つ抄造体どうしが継ぎ目のないように一体化された筒状抄造体を得るためには、割型610の内面の表面粗度(Ra)を15μm以下、特には10μm以下、さらには3μm以下とすることが好ましい。
製造装置1は、保持手段6の上方に、把持手段90を備えている。この把持手段90は、水平及び上下に移動可能に設けられた把持部900を有しており、該把持部を水平に移動させて本乾燥された抄造体10’を保持し、移送手段5と協働して把持部900を上方に引き上げて当該抄造体10’を保持する。
製造装置1は、把持手段90のさらに上方に、筒状抄造体を所定長さに切断する切断手段91及び切断手段91による切断時に筒状抄造体を把持して支持する支持手段92を備えている。切断手段91は、水平に移動可能に設けられたカッター910を有しており、支持手段92は、水平に移動可能に設けられた把持部920を有している。
また、製造装置1は、所定長さに切断された筒状抄造体を運搬する運搬手段93を備えている。運搬手段93は、水平移動及び回転可能で筒状抄造体を吸着自在の吸着部930を有している。
製造装置1は、上記各手段を所定のシーケンスに沿って動作させる制御部(図示せず)を備えており、該制御部は、例えば、後述のような手順で筒状抄造体を製造するように該各手段を作動させる。
次に、本発明の筒状抄造体の製造方法を、製造装置1を使用し、鋳物の製造に用いられる筒状抄造体の製造に適用した実施形態に基づいて説明する。
本実施形態で製造される筒状抄造体は、炭素当量が4.2%以下、好ましくは4.0%以下の溶融金属からの鋳物の製造に特に好適である。ここで、炭素当量が4.2%以下の鋳物材質としては、鋳物材質FC−300以上の強度の鋳鉄、鋳鋼、ステンレス鋼等が挙げられる。ここで炭素当量とは、鋳鉄では〔C(%)+Si(%)/3〕、鋳鋼では〔C+(1/6)Mn+(1/24)Si+(1/40)Ni+(1/5)Cr+(1/4)Mo+(1/14)V〕%で与えられ、一般的な鋳造材質の炭素当量は、例えば、中江秀雄著「鋳造工学」p20、産業図書、1995年に記載されている。
本実施形態で製造される筒状抄造体は、有機繊維、無機繊維、無機粒子及び熱硬化性樹脂を含有するものである。
前記有機繊維、前記無機繊維、前記無機粒子及び前記熱硬化性樹脂の配合比は、製造された筒状抄造体を使用して鋳込みを行う際の筒状抄造体からのガス発生量の低減、鋳込み終了後の筒状抄造体の除去容易性、更に筒状抄造体自体の耐熱性の維持や成形容易性等の観点から、前記有機繊維/前記無機繊維/前記無機粒子/前記熱硬化性樹脂=10〜70/1〜80/10〜70/10〜70(重量比率)、さらには15〜50/5〜50/20〜60/10〜50(重量比率)、特に20〜40/5〜30/30〜60/10〜40(重量比率)が好ましい。
前記有機繊維は、主として筒状抄造体において鋳造に用いられる前の状態ではその骨格をなし、筒状抄造体の成形性を向上させる成分である。また、鋳造に用いられたときには溶融金属の熱によってその一部若しくは全部が燃焼し、鋳物製造後の筒状抄造体の内部に空隙を形成して筒状抄造体の除去性を向上させる成分でもある。
前記有機繊維としては、紙繊維、フィブリル化した合成繊維、再生繊維(例えば、レーヨン繊維)等の繊維が挙げられる。有機繊維は、これらを単独で又は二種以上を選択して用いることができる。そして、これらの中でも、特に、抄造により多様な形態に成形できるほか、脱水後と乾燥後に十分な強度が得られる点から紙繊維が好ましい。
前記紙繊維としては、木材パルプ、コットンパルプ、リンターパルプ、竹やわらその他の非木材パルプが挙げられる。紙繊維は、これらのバージンパルプ若しくは古紙パルプを単独で又は二種以上を選択して用いることができる。紙繊維は、入手の容易性、環境保護、製造費用の低減等の点から、特に古紙パルプが好ましい。
前記有機繊維は、筒状抄造体の成形性、表面平滑性、耐衝撃性を考慮すると、その平均繊維長は0.3〜2.0mm、特に0.5〜1.5mmが好ましい。
前記有機繊維の筒状抄造体における配合割合は、筒状抄造体の成形性、鋳物製造後の筒状抄造体の除去性を考慮すると、10〜70wt%、特に10〜50wt%が好ましい。
前記無機繊維は、主として筒状抄造体において鋳造に用いられる前の状態ではその骨格をなし、鋳造に用いられたときには溶融金属の熱によって燃焼せずにその形状を維持する成分である。特に、本実施形態で使用する熱硬化性樹脂等の有機成分が溶融金属の熱によって熱分解して生じる熱収縮を抑える成分である。
前記無機繊維としては、炭素繊維、ロックウール等の人造鉱物繊維、セラミック繊維、天然鉱物繊維が挙げられる。無機繊維は、これらを単独で又は二以上を選択して用いることができる。そして、これらの中でも、熱硬化性樹脂の炭化に伴う収縮を効果的に抑える点から高温でも高強度を有するピッチ系やポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましく、特にPAN系の炭素繊維が好ましい。
前記無機繊維は、筒状抄造体を抄造して脱水する場合の脱水性、筒状抄造体の成形性、均一性の観点から平均繊維長は0.2〜10mm、特に0.5〜8mmが好ましい。
前記無機繊維は、筒状抄造体の熱分解に伴う熱収縮を抑える機能を有している。
前記無機繊維は、前記有機繊維100重量部に対し、5〜200重量部、特に10〜100重量部配合することが好ましい。無機繊維を斯かる範囲で配合することで、筒状抄造体の耐熱性が十分に保たれるとともにガス発生による鋳物表面欠陥の発生を抑えることができる。
前記無機粒子は、溶融金属の熱により軟化して耐火膜を形成し、該熱による熱硬化性樹脂の熱分解で生成する炭素皮膜が低炭素当量の溶融金属へ溶解するのを防止する成分であり、筒状抄造体の外側や中空中子内に鋳物砂を配した場合には、鋳物表面への砂の付着を防止して得られる鋳物の表面平滑性をより向上させる成分である。前記無機粒子は、筒状抄造体の成形性、鋳物の表面平滑性を考慮すると、前記配合比において、有機繊維100重量部に対して50〜400重量部、特に100〜300重量部とすることが好ましい。
前記無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ムライト、マグネシア、ジルコニア、雲母、黒鉛、黒曜石等の耐火度800〜2000℃、好ましくは1000〜1700℃の無機粒子が挙げられ、軟化時の粘度が高く、溶融金属への炭素皮膜の溶解防止効果が特に高い点から黒曜石、ムライト粉が好ましい。 なお、これらの無機粒子は単独で又は二種以上を併用しても良い。該無機粒子の粒子径は、200μm以下が好ましい。特に、鋳造する溶融金属の鋳込温度に対し±300℃、特に±200℃の耐火度を有する無機粒子が好ましい。ここで、無機粒子の耐火度は、ゼーゲルコーンを用いた測定方法(JIS R2204)に拠る。
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、フラン系樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、常温強度及び熱間強度を維持させると共に、鋳物の表面粗度を向上させるために必要な成分であり、塗型剤を塗布した砂型と同等の表面平滑性が得られ、塗型剤を使用しなくても良いほどである。従来のアルコール系塗型剤等使用時の着火乾燥が困難な有機繊維等を含有する本発明の筒状抄造体に重要な性能である。
斯かる性能を有する前記熱硬化性樹脂には、特に、可燃ガスの発生が少なく、燃焼抑制効果があり、熱分解(炭化)後における残炭率が25%以上と高く、鋳造時に炭素皮膜を形成するために良好な鋳肌を得ることができる点からフェノール系樹脂を用いることが好ましい。なお、残炭率は、示査熱分析により還元雰囲気下(窒素雰囲気下)にて1000℃に加熱後の残留重量により求めることができる。
前記フェノール系樹脂としては、ノボラックフェノール樹脂、レゾールタイプ等のフェノール樹脂、尿素、メラミン、エポキシ等で変性した変性フェノール樹脂等が挙げられるが、好ましくはノボラックフェノール樹脂又はその変性樹脂である。
前記熱硬化性樹脂は、単独で又は二以上を選択して用いることもでき、さらにはアクリル系樹脂やポリビニルアルコール系樹脂等と併用することもできる。特に、本発明の筒状抄造体を中空中子に適用する場合には、熱硬化性樹脂(特に残炭率が15%以上、特には25%以上)を使用することで、高い熱間強度が得られ、中空中子としての機能を十分に発揮できる。
前記熱硬化性樹脂は、前記配合比において、前記有機繊維100重量部に対し、30〜300重量部、特に、50〜200重量部配合することが好ましい。硬化性樹脂を斯かる範囲で配合することで、鋳物の表面粗度や形状保持性を向上させることができる。
前記熱硬化性樹脂は、前記有機繊維、前記無機繊維又は前記無機粒子にコーティングしたり、粉末化又は乳化して原料スラリー中に添加したりし、抄造後乾燥成形したときに前記有機繊維、前記無機繊維及び前記無機粒子を結合させるもの、成形体の抄造後に含浸させ、乾燥又は硬化させることで筒状抄造体の強度を高め、鋳込み時に溶融金属の熱によって炭化させて強度を維持するものなど、その後の鋳込み時の溶融金属の熱によって炭化して炭素皮膜を形成し、筒状抄造体の強度の維持と鋳物の表面平滑性の向上に寄与し得るものであれば含有させる形態はいずれでもよい。
前記ノボラックフェノール樹脂を使用した場合に必要となる硬化剤は、水に溶け易いため、湿式抄造による場合には特に成形体の脱水後に塗工することが好ましい。前記硬化剤には、ヘキサメチレンテトラミン等を用いることが好ましい。
本実施形態で製造される筒状抄造体には、前記有機繊維、前記無機繊維、前記無機粒子及び前記熱硬化性樹脂に加えて、必要に応じ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン樹脂等の紙力強化材、ポリアクリルアミド系等の凝集剤、着色剤等の他の成分を適宜の割合で添加することができる。
本実施形態で製造される筒状抄造体は、表面粗度(Ra)が20μm以下、特には3〜15μm、更には5〜10μm以下とするのが好ましい。斯かる表面粗度とすることで、得られる鋳物の表面の平滑性をより優れたものとすることができる。ここで、表面粗度は、市販の測定装置で測定することができる。
本実施形態で製造される筒状抄造体の厚みは、その用いられる部分に応じて適宜設定することができるが、少なくとも溶融金属と接する部分における厚みが、0.2〜5mm、特に0.4〜2mmであることが好ましい。薄すぎると鋳物砂を充填して造型するときに要する強度が不十分となり、筒状抄造体、特に、中子等の構造体の形状機能が維持できない場合があり、厚すぎると鋳込み時にガス発生量が増加して鋳物の表面欠陥が発生しやすくなるほか、成形時間が長くなり、製造費が高くなる場合がある。
本実施形態で製造される筒状抄造体は、鋳造に用いられる前の状態において、抗折強度が5MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましい。
本実施形態で製造される筒状抄造体は、水を分散媒とした原料スラリーを用いた抄造工程を経て製造したときには、鋳込み時のガス発生量を極力抑える点から、鋳造に用いられる前の状態において、含水率(重量含水率)が10%以下、特には8%以下であることが好ましい。
本実施形態で製造される筒状抄造体は、軽量性と、造型作業や二次加工のし易さの点でから、鋳造に用いられる前の状態において、その比重が1.0以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。
本実施形態で製造される筒状抄造体は、内面に鋳物製品形状のキャビティーを有する主型に入れて使用する中子、或いは湯道などの注湯系部材等に適用することができるが、本発明の筒状抄造体が表面平滑性に優れており、良好な鋳肌の鋳物を得ることができるため、中子への適用が好ましい。特に、熱間の圧縮強度にも優れ、高い形状保持性を有し且つ鋳込み後の除去性にも優れているため、中子として、特には中空形状でも高い形状保持性を有し、鋳物砂の充填が不要となる中空中子へ適用することが好ましい。
本実施形態で製造される筒状抄造体を鋳物の製造に用いると、従来のように、主型の周りに充填する鋳物砂、中空中子にバックアップの目的で充填する鋳物砂を必ずしもバインダーで硬化させる必要がないので、鋳物砂の再生が容易となる利点も生じる。
次に、本実施形態の筒状抄造体の製造方法について説明する。本実施形態のように、図1に示すような製造装置1を使用する場合には、原料スラリー20は、循環経路23を通して調整槽21で調整されたものを循環ポンプ22で供給できるような流動性を有していることが好ましい。
本実施形態では、前記有機繊維、前記無機繊維、前記無機粒子及び前記熱硬化性樹脂を前記所定配合比で含む原料スラリーを調製する。
前記原料スラリー20の分散媒としては、水、白水の他、エタノール、メタノール等の溶剤等が挙げられ、これらの中でも抄造・脱水の安定性、品質の安定性、費用、取り扱い易さ等の点から特に水が好ましい。
前記原料スラリーにおける前記分散媒に対する前記各繊維及び無機粒子の合計の割合は、抄造体の肉厚むらの抑制や表面性の向上の観点から、0.1〜3wt%、特に0.5〜2wt%が好ましい。
前記原料スラリーには、必要に応じて、前記紙力強化材、前記凝集剤、防腐剤等の添加剤を適宜の割合で添加することができる。
次に、図2及び図3(a)に示すように、前記原料スラリー20から前記抄造手段3で筒状の湿潤状態の抄造体10が抄造される。
湿潤状態の抄造体10の抄造は、前記抄造コア30が原料スラリー20内に浸漬された状態で行われ、抄造体10は、前記流通路305及び前記気液流通体302を通して前記吸引ポンプで原料スラリー20の液体分を吸引し、原料スラリー20の固形成分を前記抄造ネット303に堆積させることによって抄造される。所定の抄造体10が抄造されると、前記吸引ポンプによる吸引が停止される。
次に、図3(b)に示すように、前記上下動機構32のキャリッジ320が上昇し、抄造コア30が原料スラリー20から引き上げられる。抄造コア30は、脱水型40に収容される脱水域Aまで上昇したところで停止する。
次に、脱水手段4と前記抄造手段3とが協働し、抄造体10が脱水される。この工程では、まず、脱水域Aに停止した抄造コア30の外側の抄造体10を囲むように脱水型40の割型400が閉じる。次いで、前記流通路304を介して前記流体供給源から第1弾性押圧体301内に流体が供給され、これが膨張して抄造体10が前記脱水ネット側に押圧されるとともに、前記流通路401を介した前記吸引ポンプの吸引力で抄造体10の液体分が外部へ排出される。この脱水域Aにおける脱水とは、抄造体10の液体分の割合が20〜96wt%、特に60〜80wt%となるように脱水させることをいう。このような水分割合まで脱水することによって湿潤状態を保ちつつ、抄造体10の移送を可能にすることができる。
所定の脱水が終了した後、前記流通路304を介した流体の供給が停止され、前記切り替え弁が切り替えられて流通路304が前記吸引ポンプに接続され、第1弾性押圧体301内の流体が吸引されてこれが収縮する。そして、図3(c)に示すように、抄造コア30が降下し、脱水された抄造体10は、脱水型40の前記吸引力によって脱水型40に保持され、脱水型40に受け渡される。その後、降下した抄造コア30は、原料スラリー20内で、前述と同様にして湿潤状態の新たな抄造体10の抄造に供される。抄造コア30はこのような抄造体10の抄造、脱水域Aへの移送、脱水型40との協働による脱水を繰り返し行う。
次に、図4(a)に示すように、前記上下動機構52のキャリッジ520が下降し、前記第2弾性押圧体50が収縮状態で脱水型40内まで降される。次いで、前記流通路501を介して第2弾性押圧体50内に流体が供給され、それが膨張して抄造体10の内側に当接し、抄造体10が所定の保持力で保持される。次いで、前記脱水型40の吸引が停止され、割型400が開き、抄造体10が第2弾性押圧体50に受け渡される。抄造体10は、それが変形しない程度の保持力で第2弾性押圧体50に保持される(抄造体10は、第2弾性体50の胴を巻いた状態であるが、それが第2弾性体50の胴回りからずり落ちず且つ抄造体10の壁に亀裂を生じさせない程度の押圧力が生じるように、第2弾性体50に供給する流体の量が調整される)。次いで、図4(b)に示すように、前記キャリッジ520が上昇し、抄造体10が第2弾性押圧体50によって引き上げられる。そして、抄造体10が所定位置まで上昇されところで第2弾性押圧体50の上昇が停止される。この間、脱水を終えた脱水型40は、抄造コア30によって新たに抄造され脱水域Aに移送さてくる抄造体10を、抄造コア30と協働して脱水する。製造装置1では、このような脱水型40による、抄造コア30との協働による抄造体10の脱水、脱水された抄造体10の保持、第2弾性押圧体50への受け渡しが繰り返し行われる。
次に、前記保持手段6の半乾燥型60と前記移送手段5とが協働し、脱水された抄造体10が半乾燥される。この工程では、まず、図4(b)に示すように、第2弾性押圧体50に保持された抄造体10を囲むように半乾燥型60の割型600が閉じる。次いで、前記流通路501及び前記連通孔を介して前記流体供給源から第2弾性押圧体50内に流体が供給され、これが膨張して抄造体10が前記半乾燥型60の内面が押圧されるとともに、ヒーター602による加熱されることによって半乾燥される。抄造体10の液体分は、前記流通路601を介して外部へ排出される。そして、この半乾燥の際に、第2弾性体50によって抄造体10が内側から拡開されて外径寸法が広げられる。ここで半乾燥とは、抄造体10の液体分の割合が40〜75wt%、特に50〜60wt%となるように乾燥させることをいう。このような割合まで乾燥させることによって湿潤状態のままで抄造体どうしを接合することができる。
次に、第2弾性押圧体50への流体の供給が停止され、抄造体10は、変形しない保持力で第2弾性押圧体50に保持される。次いで、図4(c)に示すように、キャリッジ520が上昇し、抄造体10が第2弾性押圧体50によって乾燥型61の途中まで引き上げられ、抄造体10の連結端部10Aが半乾燥型61に収容される位置で第2弾性押圧体50の上昇が停止される。次いで、第2弾性押圧体50に保持された抄造体10を囲むように本乾燥型61の割型610が閉じる。次いで、前記流通路611を介した吸引によって抄造体10が本乾燥型61の内面に吸着される。次いで、前記流通路501を介して前記吸引ポンプで第2弾性押圧体50内の流体が吸引され、それは収縮した後降下する。抄造体10は、本乾燥型61の前記吸引力によって保持されたままとなり、本乾燥型61に受け渡される。このとき、抄造体10は、連結端部10Aが本乾燥型61からはみ出した状態で保持される。
次に、図5(a)に示すように、キャリッジ520が下降し、第2弾性押圧体50が収縮状態で脱水型40内まで下げられて停止する。そして、前述と同様に、新たに抄造され脱水された抄造体10が第2弾性押圧体50に受け渡される。
次に、図5(b)に示すように、キャリッジ520が上昇し、新たに抄造された抄造体10が第2弾性押圧体50によって引き上げられる。新たに抄造された抄造体10の連結端部10Bが本乾燥型61で保持された前記抄造体10の連結端部10Aに内に挿入(内挿)されたところで、第2弾性押圧体50の上昇が停止される。このとき、第2弾性押圧体50の上方部は、本乾燥型61に保持された抄造体10内に配される。その一方で、脱水型40と抄造コア30とが協働し、脱水域Aに移送されてきた新たな抄造体10の脱水が行われる。
次に、第2弾性押圧体50と半乾燥型60とが協働し、2本の抄造体10の連結端部どうしが連結される。この工程では、まず、本乾燥型61からはみ出した抄造体の連結端部10A及び停止した第2弾性押圧体50に保持された抄造体10を囲むように半乾燥型60の割型600が閉じる。次いで、前記流通路501を介して前記流体供給源から第2弾性押圧体50内に流体が供給され、それは膨張して抄造体10が前記半乾燥型60の内面に押圧されるとともに、前記流通路601を介して抄造体10の液体分が外部へ吸引排出される。そして、新たに移送された抄造体10の半乾燥が行われるとともに、抄造体10が内側から拡開されて外径寸法が広げられ、これに伴って各抄造体の連結端部どうしが連結される。そして、先に移送された抄造体10に後から移送された抄造体が継ぎ足され、抄造体10が延設される。その一方で、前記本乾燥型61に保持された抄造体10が第2弾性押圧体50で本乾燥型61の内面に押圧され、ヒーター612からの熱伝導によって本乾燥される。ここで本乾燥とは、抄造体10の当該部分(本乾燥型で乾燥される部分)の液体分の割合が5〜40wt%、特に5〜20wt%となるように乾燥させることをいう。このような割合まで抄造体を乾燥させることによって抄造体の形状が安定する。すなわち、液体分が抜けて、多少の外力を受けても変形しない程度にまで抄造体が固くなる。
乾燥型61の加熱温度(金型温度)は、乾燥時間、焦げによる表面性の低下を考慮すると180〜250℃、特に200〜240℃であることが好ましい。
次に、第2弾性押圧体50への流体の供給が停止され、延設された抄造体10’が、変形しない保持力で弾性押圧体50に保持される一方で、半乾燥型60及び乾燥型61による吸引が停止される。次いで、図5(c)に示すように、半乾燥型60及び乾燥型61が開き、延設された抄造体10’が第2弾性押圧体50に受け渡される。次いで、キャリッジ520が上昇し、延設された抄造体10’が第2弾性押圧体50によってさらに上方まで移送される。延設された抄造体10’の連結端部10Aにその後に新たに移送されてくる他の抄造体10の連結端部10Bが連結できる位置で第2弾性押圧体50が停止される。次いで、第2弾性押圧体50に保持された抄造体10’を囲むように本乾燥型61の割型610が閉じる。次いで、前記流通路611を介した吸引によって延設された抄造体10’が本乾燥型61の内面に吸着される。次いで、前記流通路501を介して前記吸引ポンプから第2弾性押圧体50内の流体が吸引され、それは収縮する。そして、第2弾性押圧体50が降下し、延設された抄造体10’は、本乾燥型61の吸引力によって保持されたままとなり、本乾燥型61に受け渡される。このとき、延設された抄造体10’は、連結端部10Aが本乾燥型61からはみ出した状態で保持される。
延設された抄造体10’へのさらなる抄造体10の継ぎ足しは、延設前の抄造体10に後から移送されてくる抄造体10を継ぎ足す手順と同様にして行われる。
延設された抄造体10’に後から移送された抄造体10が継ぎ足され、延設された抄造体10’がさらに延設される際には、前記本乾燥型61で保持された抄造体10’におけるすでに連結された部分10C(図5(c)参照)が第2弾性押圧体50で本乾燥型61の内面に押圧され、ヒーター612からの熱伝導によって本乾燥され、連結部分が継ぎ目のないように一体化される。
次に、連結域Aで連結され、上述のように連結部分が一体化された抄造体10’は、新たに抄造体が継ぎ足される毎に逐次上方に移送される。まず、第2弾性押圧体50への流体の供給が停止され、延設された抄造体10’は、変形しない保持力で第2弾性押圧体50に保持される一方で、半乾燥型60及び乾燥型61による吸引が停止される。次いで、半乾燥型60及び乾燥型61が開き、延設された抄造体10’が第2弾性押圧体50に受け渡される。次いで、前記キャリッジ520が上昇し、第2弾性押圧体50が、延設された抄造体10’をさらに上方まで移送する。そして、延設された抄造体10’の連結端部10Aにその後に新たに移送されてくる他の抄造体10の連結端部10Bを連結できる位置で第2弾性押圧体50が停止される。次いで、第2弾性押圧体50に保持された抄造体10’を囲むように本乾燥型61の割型610が閉じる。また、本乾燥型61の上方に配された把持手段90(図1参照)によって、延設された抄造体10’の本乾燥された部分が把持される。
製造装置1では、上述のような前記抄造体10の継ぎ足しが繰り返し行われ、延設された前記抄造体10’がさらに延設される毎に上方に移送される。
そして、図1に示すように、本乾燥された抄造体10’(仮想線で示されている)が、支持手段92の把持部920によって切断位置の両側が把持されて支持された状態で、切断手段91のカッター910によって切断され、所定長さの筒状抄造体が得られる。該筒状抄造体は、運搬手段93の吸着部930で吸着されてその後の処理工程に搬送される。
以上説明したように、本実施形態の製造装置1及びこれを使用した筒状抄造体の製造方法によれば、所定長さの継ぎ目のない筒状抄造体を製造することができる。
このようにして製造される筒状抄造体は、有機繊維、無機繊維、無機粒子及び熱硬化性樹脂の各成分がむらなく均一に分散しているため、熱収縮に伴うひび割れ等の発生が抑えられ、高い熱間強度が得られ、表面の平滑性にも優れている。
また、前記繊維積層体がその内部から前記弾性押圧体で乾燥型の内面に押し付けられて成形されているため、内表面及び外表面の平滑性が高い。このため、鋳物の製造に用いた場合には、得られる鋳物は特に表面平滑性に優れたものとなる。また抄造体どうしの継ぎ目がほとんどないので、この点においても、肉厚が均一で成形精度や機械的強度が高く、精度の高く表面の平滑性に優れた鋳物を製造することができる。
得られた筒状抄造体には、必要に応じて、バインダーを部分的又は全体に含浸させ、加熱して熱硬化させることができる。該バインダーとしては、コロイダルシリカ、エチルシリケート、水ガラス等が挙げられる。
また、筒状抄造体は、予め還元雰囲気で150〜300℃、特には200〜250℃で熱処理を行い、熱硬化性樹脂の硬化を進めることが好ましい。このような熱処理を行うことで、より優れた形状保持性を有する筒状抄造体が得られる。特に、鋳物の材質や形状によりガス欠陥の発生が懸念される場合にも好適である。斯かる熱処理による熱硬化性樹脂の硬化度は、下記の熱硬化性樹脂のアセトン不溶分量で30%以上、特には80%以上とすることが好ましい。
前記熱硬化性樹脂の不溶分量は、具体的には、次のように求められる。
すなわち、前記筒状抄造体から試料約5gを採取し、ミルで粉砕して重量(a)を精秤する。この粉砕試料をアセトンとともに容器に加えて十分に振とうさせた後、常温で放置する。次いで、前記容器に前記粉砕試料が残らないようにして、該粉砕試料をろ紙(重量(c))で十分にろ過し、ろ過した該粉砕試料を該ろ紙とともに乾燥してそれら(粉砕試料及びろ紙)の重量(b)を精秤する。そして、得られた各重量(a)〜(c)及び前記粉砕試料中の前記熱硬化性樹脂以外の成分の理論重量(d)に基づいて、下記式から前記熱硬化性樹脂の不溶分量(%)を求める。
不溶分量%=100−(a−(b−d))×100/(a−d)
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
本発明の筒状抄造体の製造方法では、原料スラリーは前記実施形態に制限されるものではなく、製造する筒状抄造体に合わせた原料スラリーが用いられる。
本発明は、前記実施形態のように、第1の移送手段が第2移送手段及び拡開手段を兼ねていることが好ましいが、これらをそれぞれ独立して設けることもできる。
また、本発明は、前記実施形態のように、先に移送した前記抄造体に後から移送した抄造体を継ぎ足す前に、一方の連結端部を拡開させる拡開手段を備えていることが好ましいが、抄造手段で抄造する筒状の抄造体の形態を一方の端部を他方の端部を挿入可能なように広げた形態とすることによって、拡開手段及び拡開手段による拡開を省略することもできる。
本発明は、前記実施形態のように、保持手段が半乾燥型及び本乾燥型を備えていることが好ましいが、半乾燥型又は本乾燥型の一方を省略することもできる。また、保持手段の乾燥機能を省略し、乾燥は別途行うこともできる。
また、本発明は、前記実施形態のように、移送手段で先に移送した前記抄造体の連結端部に後から移送した抄造体の連結端部を内挿して連結し、継ぎ足すことが好ましいが、挿入(外挿)して連結し、継ぎ足すこともできる。
また、本発明は、前記実施形態のように、継ぎ足しを繰り返し行って筒状抄造体を製造することが好ましいが、継ぎ足しの回数は任意に設定することができる。
本発明の筒状抄造体の製造方法及び装置は、上述のような鋳物の製造に用いられる筒状抄造体の他、薄肉で強度を要する容器の中間部分等に用いられる筒状抄造体の製造にも好適に用いられる。