〔発明が解決しようとする課題〕
しかし上述の上記特許文献1に記載されている如き従来の台車型の軌道式自動操向車輌に於いては、台車が枢動することにより左右の車輪が操舵されるので、軌道により車輌を円滑に操向させることが困難であり、また車輌を適正に操向させるためには台車に高いモーメントを付与しなければならず、従って前側及び後側アーム等が強固に構成されると共に、前側案内輪と後側案内輪との間の距離が大きく設定されなければならないという問題がある。
また従来の台車型の軌道式自動操向車輌に於いては、台車はその中央に位置する上下方向軸線の周りに車体に対し相対的に枢動するので、軌道により前側及び後側アーム等を介して台車を枢動させ得る角度を大きく設定することができず、そのため車輪の操舵角度が制限され、従って軌道の曲率等が制限されるという問題がある。
また上述の上記特許文献2に記載されている如き従来の操舵機構駆動型の軌道式自動操向車輌に於いては、少なくとも左右一方の側部案内輪及び中央案内輪がそれぞれ対応する軌道により案内されなければならないため、少なくとも左右一方の側部案内輪及び中央軌道が必要であり、軌道の設備が大規模で複雑なものになると共に、各軌道及び各案内輪が相互に正確な寸法関係になければ車輌を円滑に操向させることができないという問題がある。
本発明は、従来の台車型及び操舵機構駆動型の軌道式自動操向車輌に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、従来の軌道式自動操向車輌に於ける上述の問題を解消し、簡便な構造にて車輌を走行路に沿って円滑に操向させることである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち走行路の側壁面によって案内されることにより自動的に操向される自動操向車輌にして、キングピンを介して車体に枢支され左右一方の車輪を回転可能に支持する車輪支持部材と、一端にて前記車輪支持部材に固定され他端にて前記キングピンに対し車輌進行方向側に位置するアームと、前記キングピンに対し車輌進行方向側に於いて前記車輪の側面より車輌アウトボード側へ隔置された状態にて前記アームにより回転可能に支持された補助輪とを有し、前記アームの少なくとも一部は弾性変形可能であり、前記アームが走行路の側壁面によって車輌インボード側へ押圧されることにより弾性変形すると、前記補助輪が前記車輪の側面を車輌インボード側へ押圧することを特徴とする自動操向車輌によって達成される。
上記請求項1の構成によれば、キングピンを介して車体に枢支され左右一方の車輪を回転可能に支持する車輪支持部材と、一端にて車輪支持部材に固定され他端にてキングピンに対し車輌進行方向側に位置するアームと、キングピンに対し車輌進行方向側に於いて車輪の側面より車輌アウトボード側へ隔置された状態にてアームにより回転可能に支持された補助輪とが設けられ、アームの少なくとも一部は弾性変形可能であり、アームが走行路の側壁面によって車輌インボード側へ押圧されることにより弾性変形すると、補助輪が車輪の側面を車輌インボード側へ押圧する。
従って台車型の軌道式自動操向車輌の場合や、アームが枢動しその枢動によって車輪支持部材がキングピンの周りに回転される場合に比して車輪を容易に且つ確実に操舵することができ、これにより車輌を円滑に操向させることができると共に、車輪を比較的大きい角度に亘り操舵することができるので、走行路の曲率等の設計の自由度を高くすることができ、また走行路の左右一方の側壁により対応する車輪を操舵することができるので、操舵機構駆動型の軌道式自動操向車輌の場合に比して走行路の構造及び車輪の操舵構造を簡便なものにすることができる。
また上記請求項1の構成によれば、アームが走行路の側壁面より受けた力の少なくとも一部がアームのは弾性変形によって吸収されるので、アームが走行路の側壁面より受けた力に起因して衝撃が車体へ伝達される虞れを低減することができ、更には補助輪が車輪の側面を車輌インボード側へ押圧しない場合に比してアームに作用する荷重を低減しその耐久性を向上させることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記補助輪は前記車輪の側面上を転動しつつ前記車輪の側面を車輌インボード側へ押圧するよう構成される(請求項2の構成)。
上記請求項2の構成によれば、補助輪は車輪の側面上を転動しつつ車輪の側面を車輌インボード側へ押圧するので、車輪の回転を阻害することなく車輪の側面を車輌インボード側へ押圧することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記アームは複数個の補助輪を回転可能に支持しているよう構成される(請求項3の構成)。
上記請求項3の構成によれば、アームは複数個の補助輪を回転可能に支持しているので、車輪の側面を効果的に車輌インボード側へ押圧することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記複数個の補助輪は前記車輪の周方向に沿って配列されているよう構成される(請求項4の構成)。
上記請求項4の構成によれば、複数個の補助輪は車輪の周方向に沿って配列されているので、このことによっても車輪の側面を効果的に車輌インボード側へ押圧することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、前記補助輪は前記車輪のタイヤの側面を車輌インボード側へ押圧するよう構成される(請求項5の構成)。
上記請求項5の構成によれば、補助輪は車輪のタイヤの側面を車輌インボード側へ押圧するので、補助輪が車輪のタイヤ以外の部分の側面を車輌インボード側へ押圧する場合に比して、進行方向側案内輪が走行路の側壁面より受けた力に起因して衝撃が車体へ伝達される虞れを一層効果的に低減することができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5の何れか一つの構成に於いて、左右の車輪のキングピンは車輌横方向に延在するアクスルビームの両端により支持されるよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5の何れか一つの構成に於いて、キングピンに対し車輌進行方向側に位置する進行方向側アームの他端により回転可能に支持された進行方向側案内輪と、一端にて車輪支持部材に固定され他端にてキングピンに対し車輌進行方向側とは逆側に於いて逆側案内輪を回転可能に支持する逆側アームとを有し、進行方向側案内輪及び逆側案内輪の回転中心間の距離は車輪の外径よりも小さいよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5の何れか一つの構成に於いて、アームの外端部は車輪の前縁よりも下方に位置するよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5の何れか一つの構成に於いて、一端にて車輪支持部材に固定され他端にてキングピンに対し車輌進行方向とは逆側に於いて逆側案内輪を回転可能に支持する逆側アームを有し、進行方向側アーム及び逆側アームは一つのアーム部材であるよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、進行方向側案内輪は進行方向側案内輪支持部材により進行方向側アームの他端に支持され、進行方向側案内輪支持部材は進行方向側アームに対し車輌インボード方向へ相対変位可能に進行方向側アームに取り付けられるよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様5の構成に於いて、進行方向側アームに対する進行方向側案内輪支持部材の車輌インボード方向へ相対変位を緩衝する緩衝部材を有するよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2乃至5の何れか一つの構成に於いて、補助輪は車輪の周方向に沿って車輪の側面上を転動しつつ車輪の側面を車輌インボード側へ押圧するよう構成される(好ましい態様7)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5の何れか一つの構成に於いて、補助輪はアームに固定された補助輪支持部材により回転可能に支持されるよう構成される(好ましい態様8)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5の何れか一つの構成に於いて、補助輪の回転軸線は車輌の側方より見て車輪の回転軸線の近傍を通過するよう構成される(好ましい態様9)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5の何れか一つの構成に於いて、補助輪の回転軸線は上方より見て補助輪に対向する車輪の側面に対し実質的に平行に延在するよう構成される(好ましい態様10)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態(以下単に実施形態という)について詳細に説明する。
第一の実施形態
図1は左右前輪が自動的に操舵されるよう構成された本発明による自動操向車輌の第一の実施形態を示す概略構成図である。
図1に於いて、10は走行路12に沿って走行する自動操向車輌を全体的に示しており、12L及び12Rは走行路12の左右の案内側壁を示している。車輌10は操舵輪である左右前輪14L及び14Rと非操舵輪である左右後輪16L及び16Rとを有している。左右前輪14L及び14Rはそれぞれ車輪支持部材18L及び18Rにより回転軸線20L及び20Rの周りに回転可能に支持されており、車輪支持部材18L及び18Rは車輌横方向に延在するアクスルビーム22の両端に担持されたキングピン24L及び24Rの周りに枢動可能に支持されている。
車輪支持部材18Lには車輌の上方より見て実質的にL形をなす前側アーム26Lの一端が固定され、前側アーム26Lは他端にてキングピン24Lに対し車輌前方側に於いて前側案内輪28Lを回転可能に支持している。また車輪支持部材18Lには車輌の上方より見て実質的にL形をなす後側アーム30Lの一端が固定され、後側アーム30Lは他端にてキングピン24Lに対し車輌後方側に於いて後側案内輪32Lを回転可能に支持している。前側案内輪28L及び後側案内輪32Lは走行路12の左側の案内側壁12Lに係合し得る高さ位置に設けられ、案内側壁12Lの内面上を転動し得るようになっている。
同様に車輪支持部材18Rには車輌の上方より見て実質的にL形をなす前側アーム26Rの一端が固定され、前側アーム26Rは他端にてキングピン24Rに対し車輌前方側に於いて前側案内輪28Rを回転可能に支持している。また車輪支持部材18Rには車輌の上方より見て実質的にL形をなす後側アーム30Rの一端が固定され、後側アーム30Rは他端にてキングピン24Rに対し車輌後方側に於いて後側案内輪32Rを回転可能に支持している。前側案内輪28R及び後側案内輪32Rも走行路12の右側の案内側壁12Rに係合し得る高さ位置に設けられ、案内側壁12Rの内面上を転動し得るようになっている。
図示の実施形態に於いては、車輪支持部材18L及び18Rにはそれぞれタイロッドアーム34L及び34Rの一端が固定され、タイロッドアーム34L及び34Rは車輌の直進状態について見て実質的に車輌前後方向に沿って車輌後方側へ延在している。タイロッドアーム34L及び34Rの先端はボールジョイント36L及び36Rにより車輌横方向に延在するタイロッド38の両端に枢着されている。
図2は図1に示された右前輪の車輪支持部材等を示す拡大平面図、図3は図2に示された右前輪の車輪支持部材等を車輌のインボード側より見た状態にて示す立面図、図4は右前輪の車輪支持部材をその一部を破断して示す拡大立面図、図5は右前輪のタイロッドアームを示す拡大平面図、図6は(A)及び(B)はそれぞれアクスルビームの右半分を示す平面図及び背面図である。尚左右前輪の自動操舵構造は互いに同一であるので、主として右前輪側の構造について詳細に説明する。
図2乃至図4に於いて、車輪支持部材18Rにはフランジ部40に対しスピンドル42とは反対の側(車輌インボード側)に上側キングピン支持スリーブ部44及び下側キングピン支持スリーブ部46が一体に形成されており、これらのスリーブ部はキングピン軸線48に沿って延在する状態にて上下方向に互いに隔置されている。下側キングピン支持スリーブ部46は上側キングピン支持スリーブ部44に対し僅かに車輌前方側且つ車輌アウトボード側に位置し、これにより右前輪14Rに所要のキャスタトレールが与えられるようになっている。
上側キングピン支持スリーブ部44及び下側キングピン支持スリーブ部46はそれぞれ図には示されていないブッシュを介してキングピン24Rの上端部及び下端部をキングピン軸線48の周りに回転可能に支持し、上側キングピン支持スリーブ部44の上端及び下側キングピン支持スリーブ部46の下端はそれぞれ図には示されていないキングピンカバーにより塞がれている。
キングピン24Rの中央部はアクスルビーム22の端部に設けられたキングピン支持スリーブ部50により担持されている。アクスルビーム22はキングピン支持スリーブ部50より車輌インボード側にフランジ部52を有し、フランジ部52には図には示されていないストラットの下端がボルト締結により固定されている。ストラットの上端はエアスプリングの如きサスペンションスプリングを介して車体54(図1参照)に連結され、またストラットの中間部と車体54との間にはショックアブソーバが連結されている。
図示の実施形態に於いては、前側アーム26L及び後側アーム30Lは鋼棒や鋼管の如き弾性変形可能な実質的にコの字形をなす一つのアーム部材56にて形成されている。アーム部材56は直線的に実質的に水平に延在する中央部56Aと、中央部56Aより下方へ傾斜して車輌前方へJ形に延在する湾曲部56Bと、湾曲部56Bより車輌アウトボード方向へ直線的に水平に延在する先端部56Cと、中央部56Aより下方へ傾斜して車輌後方へJ形に延在する湾曲部56Dと、湾曲部56Dより車輌アウトボード方向へ直線的に水平に延在する先端部56Eとを有している。
アーム部材56は中央部56Aに於いて連結固定部材58により車輪支持部材18Rに連結固定されている。連結固定部材58は互いに共働して中央部56Aを囲繞する上側半円筒体60及び下側半円筒体62を含み、これらの半円筒体は上下方向に延在する図には示されていない複数個のボルトにより中央部56Aを挟み込んだ状態にて互いに一体的に連結され、これにより中央部56Aに固定されている。上側半円筒体60には車輪支持部材18Rに対し車輌後方側に於いて上下方向に延在する二つのブラケット64及び66が一体に設けられており、これらのブラケットの上端は溶接等の手段により連結固定部材58の一部を構成するタイロッドアーム34Rに固定されている。
図5に示されている如く、タイロッドアーム34Rはテーパ部34RAと、テーパ部の大径端より湾曲して車輌後方側へ延在するアーム部34RBと、アーム部の先端に設けられ図5には示されていないボールジョイント36Rが取付けられるボス部34RCと、テーパ部34RAの小径端より車輌前方側へ延在する雄ねじ部34RDと、雄ねじ部より車輌前方側へ延在する断面矩形をなすピン部34REとを有している。
図4に示されている如く、車輪支持部材18Rには下側キングピン支持スリーブ46のインボード側にて回転軸線20Rに垂直に実質的に水平に延在するタイロッドアーム支持スリーブ部68が設けられ、スリーブ部68にはタイロッドアーム34Rのテーパ部34RAが車輌後方側より挿通され、スリーブ部68に対し車輌前方側にて雄ねじ部34RDに螺合するナット70によりスリーブ部68に固定されている。上側半円筒体60の前端には車輌前後方向に延在する図には示されていないボルトにより上下方向に延在するブラケット72の下端が固定されており、ブラケット72の上端部に設けられたピン孔74にはタイロッドアーム34Rの前端に設けられたピン部34REが挿入されている。
かくしてアーム部材56はタイロッドアーム34Rを含む連結固定部材58により車輪支持部材18Rに連結固定されており、従ってアーム部材56、換言すれば前側アーム26R及び後側アーム30Rがキングピン24Rの周りに枢動すると、車輪支持部材18R、右前輪14R、タイロッドアーム34Rもキングピン24Rの周りに枢動し、これにより右前輪14Rが操舵される。
アーム部材56の先端部56Cの先端、即ち前側アーム26Rの先端には前側案内輪支持部材76が取り付けられている。図7に詳細に示されている如く、先端部56Cには外径断面矩形のボス78が溶接等により固定されており、前側案内輪支持部材76はボス78に長手方向に相対変位可能に嵌合する断面矩形の筒状部76Aと、該筒状部の外端と一体に形成された断面U形のトラニオン部76Bとを有している。
先端部56C及びボス78にはそれぞれそれらの長手方向を長径とする長孔状の二つの貫通孔80A及び80Bが形成され、筒状部76Aには貫通孔80A及び80Bに整合する貫通孔が形成されている。筒状部76Aは貫通孔80A等に相通されたボルト82及びこれに螺合するナットにより先端部56Cに取り付けられており、ボルト82が貫通孔80A及び80B内にて移動することにより、前側案内輪支持部材76は先端部56Cに対しその長手方向に沿って相対的に変位し得るようになっている。
トラニオン部76Bの上下方向に互いに隔置された一対の耳部には互いに整合する孔84が設けられており、前側案内輪28Rは孔84に挿通されたボルト86により図には示されていない軸受を介して上下方向に延在する軸線88の周りに回転可能に支持されている。またトラニオン部76Bのベース部、即ち筒状部76Aに接続された部分とアーム部材56の先端部56Cの端面との間にはウレタン、ゴムの如き弾性材料よりなるクッション材90が介装されている。
アーム部材56の先端部56Eの先端、即ち後側アーム30Rの先端には後側案内輪支持部材92が前側案内輪支持部材76と同様に取り付けられている。後側案内輪支持部材92は前側案内輪支持部材76と同様の構造を有し、上下方向に延在する軸線94の周りに回転可能に後側案内輪32Rを支持している。図2に示されている如く、前側案内輪28R及び後側案内輪32Rは上方より見て右前輪14Rのアウトボード側の外縁よりも僅かに車輌アウトボード側に位置している。
図示の実施形態に於いては、図2及び図3に示されている如く、アーム部材56の先端部56C及び56Eの軸線の間の距離は右前輪14Rの直径よりも小さく、先端部56C及び56Eはそれぞれ右前輪14Rの最前縁及び最後縁よりも下方に位置している。また前側案内輪28L及び後側案内輪32Lの高さ位置で見て前側案内輪28Lの軸線88と後側案内輪32Lの軸線94とを結ぶ線分Lとキングピン軸線48との間の距離Laは線分Lの長さLbよりも小さく設定されている。
前側案内輪支持部材76の上側の耳部の上面には補助輪支持ブラケット96の下端が溶接等に固定されている。補助輪支持ブラケット96は実質的に上下方向に延在し、上方部分に於いて図2及び図3には示されていない支持軸により三つの補助輪98A〜98Cを回転可能に支持している。補助輪98A〜98Cは右前輪14Rのタイヤのアウトボード側の側面より僅かに車輌アウトボード側へ隔置されており、それらの回転軸線100A〜100Cは図2に示されている如く車輌の上方より見て右前輪14Rのタイヤの対向する側面と実質的に平行に延在するよう設定され、また図3に示されている如く車輌の横方向に見て右前輪14Rの回転軸線20Rの近傍を通過するよう設定されている。
以上の説明より解る如く、前側案内輪28R又は後側案内輪32Rが走行路12の右側の案内側壁12Rに係合することにより前側アーム26R及び後側アーム30Rがキングピン24Rの周りに枢動されると、車輪支持部材18R、タイロッドアーム34R及び右前輪14Rがキングピン24Rの周りにアクスルビーム22及び車体54に対し相対的に枢動し、これにより右前輪14Rが自動的に操舵される。
同様に、前側案内輪28L又は後側案内輪32Lが走行路12の左側の案内側壁12Lに係合することにより前側アーム26L及び後側アーム30Lがキングピン24Lの周りに枢動されると、車輪支持部材18L、タイロッドアーム34L及び左前輪14Lがキングピン24Lの周りにアクスルビーム22及び車体54に対し相対的に枢動し、これにより左前輪14Lが自動的に操舵される。
従って図示の第一の実施形態によれば、台車が枢動される台車型の軌道式自動操向車輌の場合に比して小さいモーメントにて車輪を容易に操舵することができるので、車輌を円滑に操向させることができると共に、車輪を比較的大きい角度に亘り操舵することができるので、走行路の曲率等の設計の自由度を高くすることができ、また走行路の左右一方の側壁のみによっても対応する車輪を自動的に操舵し車輌を操向させることができるので、従来の操舵機構駆動型の軌道式自動操向車輌の場合に比して走行路の構造及び車輪の操舵構造を簡便なものにすることができる。
例えば図8は第一の実施形態の車輌が走行路のうち左側の側壁が設けられた領域を走行する状況を左前輪について示す説明図である。尚側壁が設けられる領域は例えば車輌への乗り降りのための停留所の如き場所である。側壁はこのような特定の領域に設けられており、車輌は側壁のある領域に於いては所定の位置へ行くよう案内され、側壁が設けられていない他の走行路に於いては車輌は路面に設けられた磁気マーカーに従って自動走行する。
図8(A)に示されている如く側壁は車輌の進行につれて狭くなるよう設けられており、これにより車輌が停留所の如き場所に於いて所定の位置へスムーズに案内されるようになっている。図8(A)に示されている如く車輌10が走行路12に対し傾斜した方向に前進し、図8(B)に示されている如く左前輪14Lの前側案内輪28Lが走行路12の左側の側壁12Lに係合すると、前側アーム26R等にキングピン24Rの周りに右旋回方向のモーメントMrが作用し、図8(C)に示されている如く左前輪14Lが右旋回方向へ自動的に操舵され、車輌10の進行方向が僅かに右方向へ変化し、前側案内輪28L及び後側案内輪32Rが走行路12の左側の側壁12Lに当接することにより左前輪14Lが過剰に右旋回方向へ操舵することが防止され、その状態にて左前輪14Lは走行路12に沿って進行する。
図8(D)に示されている如く前側案内輪28Lが走行路12の側壁12Lの角部を過ぎると、前側案内輪28Lが走行路12の左側の側壁12Lより離脱し、後側案内輪32Rのみが走行路12の左側の側壁12Lに当接した状態になり、これにより後側アーム30R等にキングピン24Rの周りに左旋回方向のモーメントMlが作用し、図8(E)に示されている如く左前輪14Lが左旋回方向へ自動的に操舵され、車輌10の進行方向が左方向へ変化し、前側案内輪28L及び後側案内輪32Rが走行路12の左側の側壁12Lに当接することにより左前輪14Lが過剰に左旋回方向へ操舵することが防止され、その状態にて車輌10は走行路12に沿って進行する。
以上の図8の説明より解る如く、図示の実施形態によれば、走行路12の左右一方の側壁12L又は12Rのみによっても、また走行路12に屈曲部の如き曲率が小さい領域が含まれる場合にも、車輌10が確実に走行路12に沿って走行するよう車輌を確実に且つ円滑に操向させることができ、走行路12に左右の側壁12L及び12Rが設けられる場合にも、それらの間隔及び前側案内輪28L及び28Rの外縁の間の距離との関係は正確でなくてもよい。
また図示の第一の実施形態によれば、タイロッドアーム34Rの枢動がタイロッド38を介して左前輪14Lのタイロッドアーム34Lへ伝達され、これにより左前輪14Lがキングピン24Lの周りに右前輪14Rと同一の方向へ自動的に操舵され、タイロッドアーム34Lの枢動がタイロッド38を介して右前輪14Rのタイロッドアーム34Rへ伝達され、これにより右前輪14Rがキングピン24Rの周りに左前輪14Lと同一の方向へ自動的に操舵される。
従って台車が枢動されることにより左右の車輪が操舵される台車型の軌道式自動操向車輌の場合に比して、左右の車輪を容易に且つ円滑に操舵することができ、これにより本発明の操舵機構が左右の車輪の一方にしか設けられていない場合や操舵機構が左右の車輪の両方に設けられているが左右の車輪の操舵機構がタイロッドアーム及びタイロッドにより相互に接続されていない場合に比して、例えば曲率が小さい領域等を含む様々な走行路に沿って車輌を円滑に走行させることができる。
第二の実施形態
図10は左右前輪及び左右後輪が相互に独立に自動的に操舵されるよう構成された本発明による自動操向車輌の第二の実施形態を示す概略構成図にである。尚図10に於いて図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
図10に示された第二の実施形態に於いては、左右前輪が自動的に操舵されると共に、左右後輪が左右前輪とは独立に自動的に操舵されるよう構成され、左右の前輪及び左右後輪の操舵構造はそれぞれ上述の第一の実施形態の場合と同様に構成されている。
即ち左右後輪16L及び16Rはそれぞれ車輪支持部材118L及び118Rにより回転軸線120L及び120Rの周りに回転可能に支持されており、車輪支持部材118L及び118Rは車輌横方向に延在するアクスルビーム122の両端に担持されたキングピン124L及び124Rの周りに枢動可能に支持されている。
車輪支持部材118Lには車輌の上方より見て実質的にL形をなす前側アーム126Lの一端が固定され、前側アーム126Lは他端にてキングピン124Lに対し車輌前方側に於いて前側案内輪128Lを回転可能に支持している。また車輪支持部材118Lには車輌の上方より見て実質的にL形をなす後側アーム130Lの一端が固定され、後側アーム130Lは他端にてキングピン124Lに対し車輌後方側に於いて後側案内輪132Lを回転可能に支持している。前側案内輪128L及び後側案内輪132Lは走行路12の左側の案内側壁12Lに係合し得る高さ位置に設けられ、案内側壁12Lの内面上を転動し得るようになっている。
同様に車輪支持部材118Rには車輌の上方より見て実質的にL形をなす前側アーム126Rの一端が固定され、前側アーム126Rは他端にてキングピン124Rに対し車輌前方側に於いて前側案内輪128Rを回転可能に支持している。また車輪支持部材118Rには車輌の上方より見て実質的にL形をなす後側アーム130Rの一端が固定され、後側アーム130Rは他端にてキングピン124Rに対し車輌後方側に於いて後側案内輪132Rを回転可能に支持している。前側案内輪128R及び後側案内輪132Rも走行路12の右側の案内側壁12Rに係合し得る高さ位置に設けられ、案内側壁12Rの内面上を転動し得るようになっている。
車輪支持部材118L及び118Rにはそれぞれタイロッドアーム134L及び134Rの一端が固定され、タイロッドアーム134L及び134Rは車輌の直進状態について見て実質的に車輌前後方向に沿って車輌前方側へ延在している。タイロッドアーム134L及び134Rの先端はそれぞれボールジョイント136L及び136Rにより車輌横方向に延在するタイロッド138の両端に枢着されている。
尚図示の実施形態に於いては、左右後輪16L及び16Rには上述の第一の実施形態に於ける補助輪98A〜98Cに対応する補助輪及び補助輪支持ブラケット96に対応する補助輪支持ブラケットは設けられていないが、左右後輪16L及び16Rの後側アーム130L及び130Rに補助輪及び補助輪支持ブラケットが設けられてもよい。
かくして図示の第二の実施形態によれば、左右前輪及び左右後輪が相互に独立して自動的に操舵されるので、上述の第一の実施形態の場合に比して更に一層円滑に車輌を操向させることができ、また上述の第一の実施形態の場合に比して左右前輪及び左右後輪の操舵角が小さくても車輌10が小さい旋回半径にて旋回することができ、従って上述の第一の実施形態の場合に比して更に一層走行路12の曲率等の設計の自由度を高くすることができる。
特に図示の第二の実施形態によれば、タイロッドアーム134Rの枢動がタイロッド138を介して左後輪16Lのタイロッドアーム134Lへ伝達され、これにより左後輪16Lがキングピン124Lの周りに右後輪16Rと同一の方向へ自動的に操舵され、タイロッドアーム134Lの枢動がタイロッド138を介して右後輪16Rのタイロッドアーム134Rへ伝達され、これにより右後輪16Rがキングピン124Rの周りに左後輪16Lと同一の方向へ自動的に操舵されるので、走行路12の左右一方の側壁12L又は12Rにより左右前輪及び左右後輪の全ての車輪を自動的に操舵することができる。
また図示の第二の実施形態によれば、左右後輪16L及び16Rにも左右前輪14L及び14Rの操舵構造と同様の操舵構造が設けられているので、上述の第一の第一の実施形態の場合に比して、車輌が後進する場合にも車輌を走行路12に沿って円滑に走行させることができる。
第三の実施形態
図11は左右後輪が左右前輪と関連して自動的に操舵されるよう構成された本発明による自動操向車輌の第三の実施形態を示す概略構成図である。尚図11に於いて図1及び図10に示された部材と同一の部材には図1及び図10に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
図11に示された第三の実施形態に於いては、左右後輪16L及び16Rはそれぞれ車輪支持部材118L及び118Rにより回転軸線120L及び120Rの周りに回転可能に支持されており、車輪支持部材118L及び118Rは車輌横方向に延在するアクスルビーム122の両端に担持されたキングピン124L及び124Rの周りに枢動可能に支持されている。
左右後輪16L及び16Rには前側アーム126L、前側案内輪128L等のアーム及び案内輪は設けられていないが、車輪支持部材118L及び118Rにはそれぞれタイロッドアーム134L及び134Rの一端が固定され、タイロッドアーム134L及び134Rは車輌の直進状態について見て実質的に車輌前後方向に沿って車輌前方側へ延在している。タイロッドアーム134L及び134Rの先端はそれぞれボールジョイント136L及び136Rにより車輌横方向に延在するタイロッド138の両端に枢着されている。
図示の実施形態に於いては、右前輪14Rの車輪支持部材18R及び右後輪16Rの車輪支持部材118Rにはそれぞれナックルアーム140F及び140Rの一端が固定され、ナックルアーム140F及び140Rは車輌の直進状態について見て実質的に車輌インボード方向へ延在している。タイロッド38と138との間には実質的に車輌横方向に延在するクランクアーム142が配置されている。
クランクアーム142はその中央に於いて上下方向に延在する枢軸144により車体54に枢支され、クランクアーム142の両端はボールジョイント146及び148によりそれぞれ実質的に車輌前後方向に延在するリンク150の後端及びリンク152の前端に枢着され、リンク150の前端及びリンク152の後端はそれぞれボールジョイント154及び156によりナックルアーム140F及び140Rの先端に枢着されている。
かくして図示の第三の実施形態によれば、左右前輪14L及び14Rは上述の第一及び第二の実施形態の場合と同様に自動的に操舵され、右前輪14Rの操舵によるナックルアーム140Fの枢動がリンク150によりクランクアーム142へ伝達され、クランクアーム142が枢軸144の周りに枢動し、その枢動がリンク152によりナックルアーム140Rへ伝達され、これにより左右後輪16L及び16Rが左右前輪14L及び14Rに対し逆相にて操舵される。
従って上述の第一の実施形態の場合よりも円滑に車輌を走行路12に沿って走行させることができると共に、走行路12の曲率を第一の実施形態の場合よりも小さくすることができる。また左右後輪16L及び16Rに前側アーム126L、前側案内輪128L等は不要であるので、上述の第二の実施形態の場合よりも左右後輪16L及び16Rの支持構造及び操舵を簡略化することができる。
また図示の第三の実施形態によれば、車輌が後進する場合には左右前輪14L及び14Rが走行路12の側壁12L及び12Rにより操舵されると、左右後輪16L及び16Rも左右前輪14L及び14Rとは逆相にて操舵されるので、上述の第一の第一の実施形態の場合に比して、車輌が後進する場合にも車輌を走行路12に沿って円滑に走行させることができる。
尚図示の各実施形態によれば、前側アーム26L及び26Rは弾性変形可能であると共に、前側案内輪支持部材76及び補助輪支持ブラケット96を介して三つの補助輪98A〜98Cを回転可能に支持しているので、前側案内輪28L又は28Rが走行路12の左右の側壁12L又は12Rより車輌インボード方向の高い力を受けると、前側アーム26L又は26Rが車輌インボード方向へ弾性変形し、これにより補助輪98A〜98Cがキングピン24L又は24Rよりも車輌前方側にて車輪14L又は14Rのタイヤのアウトボード側を車輌インボード方向へ押圧し、車輪14L又は14Rを直接それぞれキングピン24L、24Rの周りに枢動させる。
この場合補助輪98A〜98Cの回転軸線100A〜100Cは上述の如く車輌の上方より見て右前輪14Rのタイヤの対向する側面と実質的に平行に延在するよう設定され、また車輌の横方向に見て右前輪14Rの回転軸線20Rの近傍を通過するよう設定されている。従って補助輪98A〜98Cは車輪14L又は14Rのタイヤのアウトボード側の側面上を周方向に転動しつつ車輪を車輌インボード方向へ押圧するので、車輪の回転を阻害することなく車輪の側面を効率的に車輌インボード側へ押圧することができる。
図9は左前輪14Lの前側案内輪28Lが走行路12の側壁12Lより車輌インボード方向の比較的高い力を受ける場合の作動を示している。図9(A)に示されている如く、車輌10がその進行方向に対し比較的大きく傾斜した走行路12の側壁12Lに接近し、図9(B)に示されている如く、前側案内輪28Lが走行路12の側壁12Lに当接し該側壁より実質的に車輌インボード方向の高い力Fを受けると、前側アーム26Lを介して車輪支持部材18Lに右旋回方向のモーメントMsが作用し、左前輪14Lが右旋回方向へ操舵される。
また前側アーム26Lが車輌インボード方向へ弾性変形し、補助輪98A〜98Cがキングピン24Lよりも車輌前方側にて車輪14Lのタイヤのアウトボード側を車輌インボード方向へ押圧し、左前輪14Lはこの押圧力Fpによってもキングピン24Lの周りに右旋回方向へ枢動され、これにより、図9(C)に示されている如く、左前輪14Lが応答性よく右旋回方向へ操舵される。
従って図示の各実施形態によれば、前側案内輪が走行路12の側壁より車輌インボード方向の高い力を受けた場合にも車輪を確実に且つ応答性よく操舵させることができ、また前側案内輪が受けた力の一部を直接車輪14L又は14Rに伝達して車体に作用する衝撃を低減することができ、前側アーム26L又は26Rに作用する荷重を制限してその耐久性を向上させることができる。
また図示の各実施形態によれば、前述の如く従来の台車型の軌道式自動操向車輌の場合に比して車輪を操舵するに必要なモーメントを低減することができるので、前側案内輪と後側案内輪との間の距離が小さくてよく、前側アーム及び後側アームの長さを短くすることができると共に、それらに要求される強度を低減することができる。
また図示の各実施形態によれば、前側案内輪及び後側案内輪の高さ位置で見て前側案内輪の軸線と後側案内輪の軸線とを結ぶ線分Lとキングピン軸線との間の距離Laは線分Lの長さLbよりも小さく設定されているので、距離Laが線分Lの長さLbより大きい場合に比して、前側案内輪若しくは後側案内輪が側壁12L又は12Rより受ける同一の大きさの力について見て車輪支持部材に与える操舵方向のモーメントを大きくすることができ、これにより距離Laが線分Lの長さLbより大きい場合に比して確実に且つ円滑に車輪を自動的に操舵することができる。
また図示の各実施形態によれば、アーム部材の先端部の軸線の間の距離は車輪の直径よりも小さく、アーム部材の先端部は車輪の最前縁及び最後縁よりも下方に位置しているので、アーム部材の先端部の軸線の間の距離が車輪の直径よりも大きい場合に比して、アーム部材や案内輪が車輪の前後に占める空間を低減することができ、これにより車輪の前後の空間の設計の自由度を高くすることができる。
また図示の各実施形態によれば、前側案内輪及び後側案内輪はそれぞれ前側アーム及び後側アームの先端に取り付けられた前側案内輪支持部材及び後側案内輪支持部材により回転可能に支持され、前側案内輪支持部材及び後側案内輪支持部材はそれぞれ前側アーム及び後側アームの先端にその長手方向に沿って移動可能に取り付けられ、前側アーム及び後側アームの先端の端面と前側案内輪支持部材及び後側案内輪支持部材との間にはウレタン、ゴムの如き弾性材料よりなるクッション材90が介装されているので、前側案内輪又は後側案内輪が走行路12の側壁12L又は12Rより強い力を受けた場合に、その力が衝撃として車体に伝達される虞れを低減し、車輌の乗り心地性を向上させることができる。
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施形態に於いては、操舵構造は左右前輪14L及び14Rのそれぞれに設けられているが、操舵構造は左右の車輪の一方にのみ設けられ、他方の車輪が車輌の回頭により追従操舵されるよう修正されてもよく、またこれに対応して走行路の側壁も左右の一方のみに修正されてもよい。
また上述の各実施形態に於いては、左右の車輪にタイロッドアームが設けられ、それらのタイロッドアームがタイロッドにより相互に連結されているが、タイロッドアーム及びタイロッドが省略されてもよく、左右前輪14L及び14Rの操舵構造にはクッション材90が設けられているが、クッション材90が省略されてもよい。
また上述の各実施形態に於いては、前側案内輪の軸線と後側案内輪の軸線とを結ぶ線分Lとキングピン軸線との間の距離Laは線分Lの長さLbよりも小さく設定されているが、距離Laは線分Lの長さLb以上に設定されてもよく、また前側案内輪の軸線と後側案内輪の軸線との間の距離は車輪の直径よりも小さく設定されているが、この距離は車輪の直径以上に設定されてもよい。
また上述の各実施形態に於いては、前側アーム及び後側アームは一つのアーム部材56により郭定されているが、前側アーム及び後側アームは相互に独立の部材であってもよく、また前側アーム及び後側アームはタイロッドアームを介して車輪支持部材に固定されているが、これらのアームは直接車輪支持部材に固定されてもよい。
また上述の第三の実施形態に於いては、ナックルアーム140F及び140Rの長さは同一であり、また枢軸144とボールジョイント146との間の距離は枢軸144とボールジョイント148との間の距離と同一であるが、上記長さ若しくは距離が相互に異なるよう設定されてもよく、特にナックルアーム140Fの長さがナックルアーム140Rの長さよりも短く設定され、若しくは枢軸144とボールジョイント146との間の距離が枢軸144とボールジョイント148との間の距離よりも大きく設定され、これにより前輪の操舵角度に比して後輪の逆相の操舵角度が小さくなるよう修正されてもよい。
更に上述の各実施形態に於いては、側壁12L又は12Rが走行路12の特定の領域に設けられた場合について説明されたが、本発明の自動操向車は側壁12L又は12Rが走行路12全体に亘り設けられた交通システムに適用されてもよい。また上述の各実施形態に於いては、側壁がない領域では磁気マーカーにより車輌が自動走行される場合について説明されたが、側壁がない領域では運転者により車輌が運転され、側壁による自動操向が運転者の運転操作を補助するよう構成されてもよい。