JP4367210B2 - Dnaチップの製造方法並びにdnaチップ - Google Patents

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Description

本発明は、DNAチップの製造方法並びにDNAチップに関する。
本発明の主たる従来技術を以下説明する。現在、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列された、いわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」と総称。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
このDNAチップは、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(complementary DNA)等の検出用核酸が固定され、高密度に集積されていることから、ハイブリダイゼーション等の分子間相互反応の網羅的解析が可能となる点が特徴とされている。
ここで、基板上の表面に対して、検出用核酸を固定する技術は、DNAチップを構成する技術の中で、重要な要素技術の一つとなっている。例えば、特許文献1には、予め核酸とシランカップリング剤とを共有結合させた後に、該シランカップリング剤の加水分解基と固相基板表面とを脱水縮合反応により共有結合させることによって、検出用核酸を基板表面に固定する技術が開示されている。この技術によれば、基板表面の検出用核酸が固定されていない部分以外には反応活性基が存在しないので、(反応活性基の)ブロッキング処理や洗浄処理が不要となるという点が有利である旨が主張されている。
また、特許文献2には、光照射により親水域と疎水域とを形成可能な感光性を有し、前記親水域にオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド等の生体関連物質を保持することが可能な基板が開示されており、この基板の表面が少なくとも撥水性のあるポリシランで構成されていることやパターン露光により生成した親水域に前記生体物質を付着させる技術が開示されている。この技術によれば、単一の反応で疎水域と親水域を形成できることが有利である旨が主張されている。
このように、現在、DNAチップを構成する基板表面に対する検出用核酸の固定技術においてシランカップリング剤を用いる技術(特許文献1)、予め疎水性とされた基板表面を形成しておき、光照射により親水性域を形成する技術(特許文献2)、感光技術を駆使して基板表面に親水域と疎水域をパターン形成したりする技術(特許文献2)、が知られている。
特開2003−121437号報(例えば、請求項1参照)。 特開2003−121442号報(主に、請求項1、請求項8、請求項10等を参照)。
しかし、親媒性(親水性と疎水性)の原理を用いて、核酸等の親水性である検出用物質を積極的に固定する領域と該検出用物質を積極的に固定したくない領域とを、微少な世界で人為的に区別する過程において、この過程から得られる基板の所望の領域について、より高いレベルの疎水性と絶縁性の両方を確保できる有効な技術がなかった。
例えば、上記特許文献2記載の技術で採用された「ポリシラン」は、ケイ素原子のつながった構造の導電性高分子材料であるので、上記過程で得られる基板の親水性域以外の領域は、疎水性であっても絶縁性ではない。
基板表面に対して、高いレベルの疎水性と絶縁性の両方を確保できる技術を提供できると、例えば、検出の対象となる物質間の相互作用(例えば、ハイブリダイゼーション)の場となる反応領域において、該反応領域に貯留され得るイオン溶液等の媒質による電気化学的な反応を有効に阻止できる等の効果が得られることから、特に、反応領域中の媒質に対する電界印加の操作を用いるような検出技術を構築するための有用な技術となり得る。
そこで、本発明は、高いレベルの疎水性と絶縁性の両方を兼ね備える領域と親水性領域とが形成されたDNAチップの製造方法並びにDNAチップを提供することを主な目的とする。
上記の技術的課題を解決するために、まず、本発明では、物質間の相互作用を検出するための表面であって、検出用の一本鎖核酸等を包含する検出用物質を固定可能な親水性領域と、炭素含有酸化ケイ素(SiOC)で表面処理された疎水性かつ絶縁性の領域と、を備える検出表面を少なくとも備えるDNAチップを提供する。
即ち、本発明に係るDNAチップには、親水性の物質の固定に好適な親水性の表面領域と、親水性の物質の固定に適さない疎水性の表面領域が形成されており、しかもこの疎水性の表面領域は絶縁性である。炭素含有酸化ケイ素(SiOC)は、高いレベルの疎水性と絶縁性を発揮し、該基板上における媒質操作や検出用物質の操作に非常に有利である。
また、検出用物質が固定されていない領域をSiOCで被覆しておくことには、次のような有利性もある。即ち、SiOCで被覆した領域は疎水性であるため、標的物質を含む溶液は基板に吸着せずに、はじかれる。そのため、検出・測定時の標的物質溶液の洗浄を不要化又は容易化できる。
その他、SiOCで被覆することには、界面活性剤やブロッキング剤を使用せずに、又は少量の使用で、検出用物質・標的物質及びインターカレータ等の蛍光物質の基板に対する非特異的吸着を防止できる有利性がある。これにより、検出用物質・標的物質又は蛍光物質が基板に非特異的に吸着することによるバックグラウンド値を低く抑えることができ、検出・測定の精度を高めることができる。また、吸着防止のための界面活性剤・ブロッキング剤が不要になるため、工程を簡略化でき、低コストに抑えることができる。
前記親水性領域では、ジスルフィド結合又はアビジン−ビオチン結合を介して前記検出用物質を固定する構成であってもよく、あるいは、前記親水性領域には蛍光インターカレータ等の蛍光物質が存在する構成であってもよい。
次に、本発明では、「DNAチップの製造方法」を提供する。この製造方法は、(1)基板表面を炭素含有酸化ケイ素(SiOC)で被覆する第一工程、(2)基板の所定領域のみをマスクする第二工程、(3)検出用物質を固定可能に表面処理する第三工程を少なくとも含む。
例えば、まず、基板表面を炭素含有酸化ケイ素(SiOC)で被覆し、基板の所定領域のみをマスクした後、マスクされていない露出領域に対して紫外線照射又はプラズマ・アッシングを行って、該露出領域の表面に水酸基を形成する。次に、メルカプト基を有するシランカップリング剤又はチタンカップリング剤等で処理し、水酸基をメルカプト基(−SH)に置換する。マスク除去後、以上の工程により形成された基板上のメルカプト基と、メルカプト基で予め修飾した核酸等とをジスルフィド結合等により結合させることにより、核酸等を固定した検出表面を製造することができる。
また、以下の工程を採用することによっても、核酸等を固定した検出表面を製造することができる。まず、基板表面を炭素含有酸化ケイ素(SiOC)で被覆し、基板の所定領域のみをマスクする。次に、マスクされていない露出領域に対して、直接、メルカプト基を有するシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で修飾処理することにより、基板上にメルカプト基を形成する。そして、マスク除去後、上記と同様に、基板上のメルカプト基と、メルカプト基で予め修飾した核酸等とをジスルフィド結合等により結合させることにより、核酸等を固定した検出表面を製造することができる。
その他、例えば、ジスルフィド結合の代わりに、アビジン−ビオチン結合を介して検出用物質を固定してもよい。その場合、まず、前記と同様、基板表面を炭素含有酸化ケイ素(SiOC)で被覆し、基板の所定領域のみをマスクする。次に、マスクされていない露出領域に対して、アビジンを結合させる。そして、基板上のアビジンとビオチンで予め修飾した核酸等とをアビジン−ビオチン結合により結合させることにより、核酸等を固定した検出表面を製造することができる。
本発明により、DNAチップ等バイオアッセイ用集積基板の検出表面に親水性領域と疎水性かつ絶縁性の領域を形成することができる。
まず、本発明に係るセンサーチップ又はDNAチップの検出表面についての好適な形態について、添付図面を参照にしながら説明する。
図1は、DNAチップ等バイオアッセイ用集積基板の検出表面を断面模式的に示した図である。検出表面は、基板1上を被覆するSiOC(炭素含有酸化ケイ素)層2と、該SiOC層2上にジスルフィド結合(S−S結合)等により結合した検出用物質3と、を有する。また、SiOC層2上の、検出用物質3の結合した領域は親水性領域、その他の部分は、疎水性領域4である。
本発明に係る基板1は、CD(Compact Disc)、DVD(Degital Versatile Disc)、MD(Mini Disc)等の光情報記録媒体と同様の基材から形成することができる。基板1の形状は、特に限定されないが、円盤状をなす基板(ディスク)は、特に好適である。その場合、例えば、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の合成樹脂、好ましくは射出成形可能な合成樹脂によって、円盤状に成形してもよい。基板1を安価な合成樹脂を用いて成形することで、従来使用されていたガラスチップに比して、低ランニングコストを実現できる。
SiOC層2は、疎水性かつ絶縁性である。但し、後述するように、プラズマ・アッシングやその他の方法により、容易に、任意の領域を親水性にすることができる。
SiOC層2が絶縁性であると、例えば、検出の対象となる物質間の相互作用(例えば、ハイブリダイゼーション)の場となる反応領域において、反応領域に貯留され得るイオン溶液等の媒質による電気化学的な反応を有効に阻止できる等の効果が得られることから、特に、反応領域中の媒質に対して、電界印加の操作を用いることができるようになる。
検出用物質3は、検出表面上の所定領域に固定されている。基板1上に固定された検出用物質3と、基板1に滴下された標的物質との、ハイブリダイゼーション又は相補鎖形成等により、目的の相互反応を検出・測定することができる。
例えば、検出用物質3として一本鎖核酸を用いる場合、予め一本鎖核酸を調製した後基板1上に一本鎖核酸を固定する方法のほか、二本鎖核酸を基板1上に固定してから、加熱処理又はアルカリ性処理を行って二本鎖核酸を変性させることにより、一本鎖核酸を固定する方法を用いることもできる。
疎水性領域4は、SiOC層2がそのまま保存された領域で、疎水性かつ絶縁性である。疎水性領域4が疎水性を有することにより、標的物質を含む溶液は、疎水性領域4からはじかれ、検出用物質3のある親水性領域に移動し、留まる。そのことにより、DNAチップ等製造工程における検出用物質3の固定の際に、検出用物質3のロスを少なくすることができる。また、そのことにより、DNAチップ等を利用した標的物質の検出・測定の際にも、標的物質のロスを少なくし、検出感度を高めることもできる。
図2は、検出表面の別の形態を断面模式的に示した図である。図2のように、ジスルフィド結合に代わって、アビジン−ビオチン結合によって検出用物質3’を固定することもできる。
基板1上にSiOC層2を形成した後、SiOC層2にアビジン5を結合させる。一方、検出用物質3’は、予めビオチン6で修飾しておく。そして、アビジン5とビオチン6を結合させることにより、検出用物質3’を検出表面上に固定することができる。
次に、本発明に係るセンサーチップ又はDNAチップの検出表面の製造方法についての好適な形態について、添付図面を参照にしながら説明する。
図3は、水酸基形成工程を含む検出表面の製造工程を示す断面模式図である。
工程(A)は基板1を、工程(B)は、基板1表面をSiOC(炭素含有酸化ケイ素)で被覆する工程を示している。工程(B)により、基板1上の所定領域が、疎水性かつ絶縁性のSiOC層2で被覆される。
工程(C)は、基板1の所定領域のみをマスクし、マスクされていない露出領域に対して活性化処理(紫外線照射又はプラズマ・アッシング)を行う工程を示している。検出用物質3を固定する領域のみを露出させ、それ以外の領域をマスクしてから、マスクされていない露出領域に対して活性化処理を行うことにより、マスクしていない領域のSiOC層2上に、水酸基(−OH)が形成され、親水性の領域となる。なお、マスクされた領域は、疎水性のSiOC層2のままである。
工程(D)は、水酸基(−OH)をメルカプト基(−SH)に置換する工程を示している。水酸基を、メルカプト基を有するシランカップリング剤又はチタンカップリング剤等で処理することにより、水酸基をメルカプト基(−SH)に置換することができる。
工程(E)は、マスクを除去する工程を示している。マスク除去後、基板1上のメルカプト基と、メルカプト基で予め修飾した核酸等検出用物質3とをジスルフィド結合等により結合させることにより、検出用物質3を固定した検出表面を製造することができる。また、マスクしていた領域は、マスク除去後も疎水性のままである。従って、上記工程を用いることにより、検出用物質3を固定した親水性領域と、その領域以外の疎水性領域4を任意に形成することができる。
図4は、水酸基形成工程を含まない検出表面の製造工程を示す断面模式図である。
工程(A)は、基板1を、工程(B)は、基板1表面をSiOC(炭素含有酸化ケイ素)で被覆する工程を示している。前記と同様、工程(B)により、基板1上の所定領域が、疎水性かつ絶縁性のSiOC層2で被覆される。
工程(C)は、基板1の所定領域のみをマスクし、マスクされていない露出領域に対して、直接、メルカプト基を有するシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で修飾処理する工程を示している。これにより、SiOC膜2の、マスクされていない露出領域には、メルカプト基(−SH)が形成される。
工程(D)は、マスクを除去する工程を示している。前記と同様に、マスク除去後、基板上のメルカプト基と、メルカプト基で予め修飾した核酸とをジスルフィド結合等により結合させることにより、検出用物質を固定した検出表面を製造することができる。また、マスクしていた領域は、マスク除去後も疎水性のままである。従って、上記工程を用いることによっても、検出用物質3を固定した親水性領域と、その領域以外の疎水性領域4を任意に形成することができる。
図5は、アビジン5を用いて検出用物質3の固定する場合の、検出表面の製造工程を示す断面模式図である。
工程(A)は、基板1表面をSiOC(炭素含有酸化ケイ素)で被覆し、所定領域のみをマスクした後、該領域をアビジン処理する工程を示している。これにより、マスクされていない露出領域に対して、アビジン処理を施すことができる。
工程(B)は、マスクを除去する工程を示す図である。マスク除去後、基板1上のアビジン5と、ビオチン6で予め修飾した核酸等検出用物質3とをアビジン−ビオチン結合させることにより、検出用物質3を固定した検出表面を製造することができる。また、マスクしていた領域は、マスク除去後も疎水性のままである。従って、上記工程を用いることによっても、検出用物質3を固定した親水性領域と、その領域以外の疎水性領域4を任意に形成することができる。
実施例1は、SiOCで表面を被覆した基板上にプラズマ・アッシングを行うことにより、検出用物質の固定が可能な親水性領域を基板上の所定領域に作製することができるかについて、調べた実験である。
まず、SiOCで被覆後プラズマ・アッシングを行ったSiウエハと、SiOCで被覆後同処理を行っていないSiウエハを用意し、シランカップリング処理を行った。シランカップリング剤には、3−mercaptopropyl triethoxysilane(以下、「SH基シランカップリング剤」とする。)溶液を用いた。そして、シランカップリング処理を行ったウエハ上にオリゴヌクレオチド溶液を200μl滴下し、遮光下に1時間静置した。1時間経過後、界面活性剤であるTweenを加えた0.5%リン酸緩衝液で4回、0.5%リン酸緩衝液で1回、純水で2回、洗浄し、洗浄後、FITCによる蛍光の有無を観察した。
なお、オリゴヌクレオチド溶液は、メルカプト基で修飾したFITC(フルオレセインイソチオシアネート)標識を持つオリゴヌクレオチドを用い、10mM Tris−EDTA(TE)−10mM NaCl緩衝液(pH7.4)で溶解して、1μMに調製したものを用いた。
上記手順で実験を行った結果、図6に示すとおり、プラズマ・アッシングを行ったウエハからはFITCからの強い蛍光が観察されたが、プラズマ・アッシングを行っていないウエハでは殆ど蛍光が観察されなかった。
プラズマ・アッシングを行ったウエハからはその蛍光が観察されたことから、本実験結果は、まず、プラズマ・アッシングを行ったウエハには、検出用物質が固定されていることを示唆している。つまり、これは、プラズマ・アッシングによってSiOC表面に水酸基が形成された後、SH基シランカップリング剤によって水酸基がメルカプト基に置換し、そのメルカプト基とFITC標識を持つオリゴヌクレオチドのメルカプト基がジスルフィド結合を形成することにより、そのオリゴヌクレオチドが表面に固定されたと推定できる。
また、プラズマ・アッシングを行っていないウエハにはFITCからの蛍光が見られないことから、本実験結果は、SiOC被覆表面への検出用物質(オリゴヌクレオチド等)の非特異的吸着が少ないことを示している。
以上より、基板表面をSiOCで被覆後、基板の所定部位にプラズマ・アッシングを行うことにより、基板上の特定部分のみに、検出用物質を固定することができることを示唆している。また、基板表面をSiOCで被覆した後、プラズマ・アッシングを行わなかった部分は、検出用物質の基板表面への非特異的吸着を防止できることを示唆している。従って、本発明により、基板上の所定領域に検出用物質を固定することが可能になる。
実施例2は、プラズマ・アッシングしたSiOC表面を持つ基板上で、実際に、ハイブリダイゼーションが生じるかどうかを調べた実験である。
まず、SiOCで被覆後プラズマ・アッシングを行ったSiウエハと、SiOCで被覆後プラズマ・アッシングを行っていないSiウエハを用意した。また、メルカプト基で修飾したオリゴヌクレオチド(検出用物質、以下、「SH基プローブ核酸」とする。)とそのオリゴヌクレオチドと相補的なCy3で標識したオリゴヌクレオチド(標的物質、以下、「Cy3ターゲット核酸」とする。)を準備した。
次に、検出用物質として、SH基プローブ核酸を各ウエハに滴下した。実施例1と同様の手順を用いて、SH基プローブ核酸を両ウエハに200μl滴下し、遮光下に1時間静置した。1時間経過後、実施例1と同様の洗浄操作を行った。
次に、標的物質として、Cy3ターゲット核酸を各ウエハに滴下し、蛍光観察により、SH基プローブ核酸とCy3ターゲット核酸とのハイブリッド形成が生じるかどうかを調べた。手順は、まず、Cy3ターゲット核酸を10mM Tris−EDTA(TE)−10mM NaCl緩衝液(pH7.4)で溶解後、洗浄後のウエハに、同溶液を200μl滴下し、加湿下で4時間放置した。4時間放置後、Tweenを加えた0.5%リン酸緩衝液と0.5%リン酸緩衝液で洗浄を行い、洗浄後、Cy3による蛍光の有無を観察した。
その結果、図7に示すとおり、プラズマ・アッシングを行ったウエハからはCy3からの強い蛍光が観察されたが、プラズマ・アッシングを行っていないウエハからは殆ど蛍光が観察されなかった。
この実験結果は、まず、プラズマ・アッシングを行ったウエハでは、SH基プローブ核酸が基板上に固定され、SH基プローブ核酸とCy3ターゲット核酸とのハイブリッド形成が生じたことを示している。従って、、プラズマ・アッシングによってSiOC表面に水酸基が生じ、SH基シランカップリング剤によって水酸基がメルカプト基に置換され、そのメルカプト基とSH基プローブ核酸のメルカプト基がジスルフィド結合を形成することにより、プローブ核酸がウエハ上に固定されていることを示している。そして、その固定されたプローブ核酸と相補的なターゲット核酸の間でハイブリッド形成が生じたことを示している。
また、この実験結果は、ターゲット核酸がSiOC被覆表面に非特異的吸着を起こさないことをも示している。つまり、プラズマ・アッシング等の処理がされていないSiOCは、非共有結合性蛍光色素の吸着が少ないこと、及び、シランカップリング剤との反応性が低いことを示唆している。
以上より、プラズマ・アッシング処理を行うことにより、検出用物質の固定が可能となることが明らかになった。また、fixedプローブ核酸とターゲット核酸の間でのハイブリッド形成が可能であることが明らかになった。
なお、上記のプラズマ・アッシングの効果はUVオゾン処理でも得られた。従って、例えば、基板の全面をSiOCで被覆後、基板上の特定の場所のみにUVオゾン処理を行うことによっても、検出用物質を固定可能な親水性領域を形成することができる。また、基板上の特定部位に、DNAプローブを固定することにより、該DNAプローブと相補的なターゲットDNAとハイブリッドを形成させ、ターゲットDNAを検出・測定することが可能になる。
実施例3は、SiOCで被覆した基板表面のうち、プラズマ・アッシングを行った領域は親水性で、プラズマ・アッシングを行っていない領域は疎水性であることを、水滴の滴下により調べた実験である。実験手順は次の通りである。
SiOCで被覆後プラズマ・アッシングを行ったSiウエハと、SiOCで被覆後プラズマ・アッシングを行っていないSiウエハを用意した。そして、両ウエハに、水滴を滴下し、接触角を観察した。
その結果、プラズマ・アッシングを行ったウエハの表面での接触角は低く,プラズマ・アッシングによって表面が親水性化していることが示された。一方、プラズマ・アッシングを行っていないウエハでは接触角が70度以上であり,疎水性であることが分かった。
以上より、プラズマ・アッシングの有無によって、基板上に、親水性領域と疎水性領域を任意に形成することができることが分かった。
オリゴヌクレオチド等の検出用物質・標的物質は水系の溶媒に溶解され,ハイブリッド形成を行う目的で、基板上に滴下される。水系の溶液は疎水性領域からは弾かれるため、該溶液を親水性領域のみに位置させることが可能である。従って、検出用物質の固定の際には、検出用物質を、プラズマ・アッシングを受けた親水性領域のみに固定することができ、また、基板上の特定の領域のみにプラズマ・アッシングを行うことにより、検出用物質の固定領域を任意に決めることができる。
また、本実験結果は、標的物質溶液を滴下する際にも、有利性を持つ。標的物質溶液は、疎水性領域からは弾かれ、親水性領域に移動してとどまるため、検出用物質と標的物質をともに親水性領域に位置させることが可能となり、ハイブリダイゼーションを促進することができる。
なお、このプラズマ・アッシングの効果はUVオゾン処理でも得られた。
その他、Siウエハのうち、SiOCが被覆していない領域(地肌の露出部分)に水滴を滴下したところ,接触角は低く,親水性であることが分かった。このことは、自然酸化膜を持つSiウエハ表面のような親水性領域と、SiOCで被覆した疎水性領域とで基板表面を形成することによっても、上記のような、検出用物質の固定の効率化やハイブリダイゼーションの促進等が可能であることを示している。
実施例4は、基板表面をSiOCで被覆することにより、非共有結合性蛍光色素の基材への付着を防止できることを示した実験である。
まず、基板として、自然酸化膜を表面に持つSiウエハとSiOCで被覆したSiウエハを用意した。次に、各基板上に、PicoGreen(Molecular Probes社製、非共有結合性蛍光色素)溶液を200μl滴下し、遮光下に5分間静置した。そして、5分後、界面活性剤であるTweenを加えた0.5%リン酸緩衝液で4回、0.5%リン酸緩衝液で1回、純水で2回、洗浄し、洗浄後、蛍光観察を行った。
なお、PicoGreen溶液は、推奨プロトコルに従い,400倍に希釈して用いた。希釈液は、10mM Tris−EDTA(TE)−10mM NaCl緩衝液(pH7.4)を用いた。
その結果、図8に示すとおり、SiOCで被覆していないSiウエハにPicoGreen溶液を滴下すると、蛍光色素が基材表面に吸着して、強い蛍光を発した。それに対し、SiOCで被覆したSiウエハでは、蛍光が弱く、蛍光色素の基材表面への吸着が小さかった。
従来、DNAチップ等では、物質間の相互作用を検出するために、検出用物質又は標的物質と非共有結合的に結合する蛍光色素を用いる場合がある。蛍光色素は、上記物質のみならず、基材表面にも吸着しやすい性質を有するため、DNAチップ等を用いる際に、基材表面からのバックグラウンド蛍光が強く、上記物質からの蛍光を測定することが困難となる場合があった。それに対し、DNAチップ等の基板表面をSiOCで被覆することにより、非共有結合性蛍光色素の基材への付着を有効に防止できることが、実施例1の結果より示された。このことは、本発明が、DNAチップ等による測定時の、バックグラウンド蛍光を減らし、DNAチップ等の反応検出感度を高めることができることを示している。
本発明は、DNAチップやその製造方法に利用することができ、産業上有用である。
DNAチップ等バイオアッセイ用集積基板の検出表面を断面模式的に示した図。 DNAチップ等バイオアッセイ用集積基板の検出表面の別の形態を断面模式的に示した図。 水酸基形成工程を含む検出表面の製造工程を示す断面模式図。 水酸基形成工程を含まない検出表面の製造工程を示す断面模式図。 アビジンAを用いて検出用物質3の固定する場合の、検出表面の製造工程を示す断面模式図。 実施例1の結果を示した図面代用写真。 実施例2の結果を示した図面代用写真。 実施例4の結果を示した図面代用写真。
符号の説明
1 基板
2 SiOC層
3 検出用物質
4 疎水性領域
5 アビジン
6 ビオチン

Claims (2)

  1. 少なくとも次の(1)〜(3)の工程を含むDNAチップの製造方法。
    (1)基板表面を炭素含有酸化ケイ素(SiOC)で被覆する第一工程。
    (2)基板の所定領域のみをマスクする第二工程。
    (3)マスクされていない露出領域に対して紫外線照射又はプラズマ・アッシングを行って該露出領域の表面に水酸基を形成し、
    前記水酸基を、メルカプト基を有するシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で置換処理してメルカプト基に置換することにより、
    検出用の一本鎖核酸を固定可能に表面処理する第三工程。
  2. 請求項1記載のDNAチップの製造方法により得られ、
    物質間の相互作用を検出するための表面であって、
    検出用の一本鎖核酸ジスルフィド結合により固定可能な親水性領域と、
    炭素含有酸化ケイ素(SiOC)で表面処理された疎水性かつ絶縁性の領域と、
    を備える検出表面を少なくとも備えるDNAチップ。
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