JP4366798B2 - 情報処理装置、icカード及びリーダライタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理装置、ICカード及びリーダライタに関し、例えば非接触型ICカードシステムに適用することができる。本発明は、レジスタ等に保持されたデータにより分周比を切り換えてデータ転送用クロック、データ復号用クロックを生成することにより、複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応して生産することができるようにする。
【従来の技術】
従来、非接触型ICカードシステムにおいては、例えば駅の改札システムに適用され、ICカードとリーダライタとの間で、無線通信により所望のデータを送受して、このICカードに記録したデータを読み出し、必要に応じてICカードに記録したデータを更新するようになされている。
【0002】
すなわち図6は、ICカードシステムを示すブロック図である。このICカード2は、非接触型のICカード2、このICカード2をアクセスするリーダライタ3、ホストコンピュータ4により構成される。ここでホストコンピュータ4は、リーダライタ3によるICカード2のアクセス結果を処理して例えば部屋の入退出、駅の改札等を管理する。
【0003】
リーダライタ3において、ディジタル信号処理回路5は、このホストコンピュータ4の制御によりICカード2に送出するシリアルデータによる送信データD1を出力し、また受信回路6より出力されるシリアルデータによる受信データD2を処理する。ディジタル信号処理回路5は、これら送信データD1、受信データD2の入出力により、ICカード2に応答を呼びかけ、ICカード2との間の相互認証等の処理を実行する。さらにこれらの処理によりICカード2に記録したデータを読み出してホストコンピュータ4に出力し、またホストコンピュータ4の指示によりICカード2の内容を更新する。
【0004】
送信回路7は、ディジタル信号処理回路5より出力される送信データD1をこのICカード2との間の無線通信に適した方式により変調し、送信データD1に応じて信号レベルが変化する送信信号S1を生成して出力する。なおここでこの変調方式は、例えばマンチェスタ符号系列による変調方式が適用される。またマンチェスタ符号系列にあっては、図7(A)及び(B)に示すように、ビットセルの中央を境にして信号レベルが反転する位相変調による符号系列であり、論理0と論理1とで信号レベルが反転するものである。
【0005】
無線インターフェース部8は、この送信信号S1により所定の搬送波信号を振幅変調してなる変調信号を生成すると供に、この変調信号によりアンテナを駆動し、これにより送信信号S1をICカード2に送信する。なおリーダライタ3においては、例えば、一定振幅の搬送波信号をアンテナに供給し、このアンテナの終端インピーダンスを送信信号S1により切り換えることにより、この振幅変調信号を生成してアンテナを駆動する。
【0006】
さらに無線インターフェース部8は、一定振幅の搬送波信号をアンテナに供給した状態で、このアンテナに誘起される高周波数信号を振幅検波し、検波信号を生成する。さらに無線インターフェース部8は、この検波信号を2値化して受信信号S2を生成する。
【0007】
受信回路6は、この受信信号S2よりデータ復号用クロックを再生し、このデータ復号用クロックを基準にして受信信号S2を順次ラッチすることにより、ICカード2より送信された受信データD2を復号する。これらによりリーダライタ3は、ICカード2との間で無線通信により所望のデータを送受するようになされている。
【0008】
これに対してICカード2において、無線インターフェース部10は、アンテナに誘起される高周波信号を検波して同様に検波信号を生成し、さらにこの検波信号を2値化して受信信号S3を出力する。かくするつき、この受信信号S3は、リーダライタ3にICカード2が接近してアンテナに誘起される高周波信号の振幅が所定値以上に増大すると、送信データD1の論理レベルを正しく反映して信号レベルが切り換わることになる。
【0009】
さらに無線インターフェース部10は、送信回路11より出力される送信信号S4により所定の搬送波信号を振幅変調してなる変調信号を生成すると共に、この変調信号によりアンテナを駆動し、これにより送信信号S4をリーダライタ3に送信する。なおICカード2においては、例えば、アンテナの終端インピーダンスを送信信号S4により切り換えることにより、アンテナに誘起される高周波信号を振幅変調して送信信号S4をリーダライタ3に送信する。
【0010】
受信回路12は、受信信号S3よりデータ復号用クロックを再生し、このデータ復号用クロックを基準にして受信信号S3を順次ラッチすることにより、リーダライタ3の送信データD1に対応する受信データD3を復号する。
【0011】
ディジタル信号処理回路13は、この受信データD3に応動して送信データD4を送信回路11に送出することにより、リーダライタ3からの呼びかけに対して応答し、さらにリーダライタ3との間で相互認証の処理を実行する。さらにこれらの処理により内蔵のメモリに記録したデータを読み出してリーダライタ3に送出し、さらにリーダライタ3の指示によりこのメモリの内容を更新する。
【0012】
送信回路11は、ディジタル信号処理回路13より出力される送信データD4を変調し、これにより送信データD4に応じて信号レベルが変化する送信信号S4を生成する。なおここでこの変調方式は、リーダライタ3における変調方式と同一の例えばマンチェスタ符号系列による変調方式が適用される。これらによりICカードシステム1では、リーダライタ3とICカード2との間で、無線通信により所望のデータを送受するようになされている。
【0013】
図8は、送信回路7及び11を示すブロック図である。送信回路7及び11において、バッファ21は、送信データD1を格納し、発振回路22より出力されるデータ転送用クロックCK1(図9(A))を基準にして順次出力する。
【0014】
ここで発振回路22は、このICカードシステム1に適用するデータ転送速度に対応する周波数によりデータ転送用クロックCK1を生成して出力する。なおリーダライタ3側においては、例えば水晶発振回路と分周回路により発振回路22が構成されるのに対し、ICカード2側においては、アンテナに誘起される高周波信号を基準にしてデータ転送用クロックCK1が生成される。
【0015】
データ送出回路23は、データ転送用クロックCK1を基準にして、バッファ21より出力される送信データD1、D4(図9(C))を符号化処理して送信信号S1、S4(図9(B))を生成する。これにより送信回路7は、このシステムに設定されたデータ転送速度により順次送信信号S1、S4を送出するようになされている。
【0016】
このようにして送信信号S1、S4を送出するにつき、送信回路7は、バッファ21へのデータの設定により、又はデータ送出回路23の設定により、図10に示すように、プリアンブル、シンクに続いて送信データD1、D4によるデータ本体が連続するように送信信号S1、S4を送出する。なおここでプリアンブルは、数バイト分、同一のパターンが繰り返されて作成される。またシンクは、固有のパターンが割り当てられて作成される。これにより送信回路7は、受信側にて、プリアンブルにより受信信号S2、S3に同期したデータ復号用クロックを再生できるようになされ、またシンクによりデータ本体の開始を検出できるようになされている。
【0017】
図11は、受信回路6及び12を示すブロック図である。受信回路6、12は、図12に示すように、クロック生成回路25において受信信号S2、S3(図12(B))よりデータ復号用クロックCK2を再生する(図12(D))。さらにこのデータ復号用クロックCK2を基準にしてラッチパルスRP(図12(C))が生成され、ラッチ回路26において、このラッチパルスRPを基準にして受信信号S2、S3を順次ラッチすることにより、受信データD2、D3(図12(A))が復号される。
【0018】
ここでクロック生成回路25は、図13に示すように、発振回路27により所定周波数の基準信号SRを生成する(図13(A))。カウンタ28は、基準信号SRをカウントするリングカウンタにより構成され、これにより基準信号SRを分周してデータ復号用クロックCK2を出力する(図13(B)及び(C))。このときカウンタ28は、位相比較回路29より出力される制御信号SCによりカウント値を切り換え、これによりこの制御信号SCにより分周比を切り換える。なおこの図13(B)における数字は、カウンタ28のカウント値である。
【0019】
位相比較回路19は、このデータ復号用クロックCK2と受信信号S2、S3を位相比較し、その位相比較結果を制御信号SCとして出力する。ラッチパルス生成回路30は、このデータ復号用クロックCK2を波形整形し、ラッチパルスRPを生成して出力する。
【0020】
これらによりクロック生成回路25は、図13(C)及び(D)により示すように、受信信号S2、S3に同期したデータ復号用クロックCK2を生成し、受信信号S2、S3よりデータ復号用クロックCK2を再生するようになされている。
【0021】
すなわち図14に示すように、データ復号用クロックCK2が受信信号S2、S3より遅れ位相の場合(図14(C)及び(D))、クロック生成回路25においては、分周比が小さくなるようにカウンタ28におけるカウント値が切り換えられ(図14(A)及び(B))、これにより位相差Δが小さくなるように制御されて遅れ位相が補正される。また図15に示すように、データ復号用クロックCK2が受信信号S2、S3より進み位相の場合(図15(C)及び(D))、クロック生成回路25においては、分周比が大きくなるようにカウンタ28におけるカウント値が切り換えられ(図15(A)及び(B))、これにより位相差Δが小さくなるように制御されて進み位相が補正される。
【0022】
これらにより受信回路6、12では、正しいタイミングで受信信号S2、S3をラッチして受信データD2、D3を正しく復号できるようになされている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこの種のICカードシステムにおいては、用途に応じてICカード及びリーダライタ間におけるデータ転送速度が種々に選定されることが考えられる。この場合に、各データ転送速度に対応するように送信回路、受信回路を構成したのでは、製造ラインにおける管理がその分煩雑になる問題がある。また製造するICカードの切り換えに時間を要することになり、その分製造ラインにおける製造効率が低下することになる。
【0024】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応して生産することができる情報処理装置、ICカード、リーダライタを提案しようとするものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため請求項1、請求項2又は請求項5の発明においては、情報処理装置、ICカード又はリーダライタに適用して、基準信号を分周してデータ転送用クロックを生成するようにし、分周比のデータを記録して保持し、該記録した分周比のデータにより分周手段の分周比を設定する。
【0026】
また請求項8、請求項12又は請求項16の発明においては、情報処理装置、ICカード又はリーダライタに適用して、一定周波数の基準信号を分周してデータ復号用クロックを出力するようにし、分周比のデータを記録して保持し、該記録した分周比のデータにより分周手段の分周比を設定する。
【0027】
請求項1、請求項2又は請求項5の構成によれば、分周比のデータを記録して保持し、該記録した分周比のデータにより分周手段の分周比を設定することにより、この分周比のデータの選定によりデータ転送用クロックの周波数を種々に設定することができる。これにより複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応して生産することができる。
【0028】
また請求項8、請求項12又は請求項16の構成によれば、分周比のデータを記録して保持し、該記録した分周比のデータにより分周手段の分周比を設定することにより、この分周比のデータの選定によりデータ復号用クロックの周波数を種々に設定することができる。これにより複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応して生産することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0030】
(1)実施の形態の構成
図8との対比により示す図1は、本発明の実施の形態に係るICカード、リーダライタに適用される送信回路を示すブロック図である。この送信回路41は、第1又は第2のデータ転送速度によりデータ交換するICカード、リーダライタに適用される。なおこの図1において、図8の送信回路7、11と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
【0031】
この送信回路41において、発振回路42は、上述した第1及び第2のデータ転送速度に対応するデータ転送用クロックを分周により生成可能な、第1及び第2のデータ転送速度による周波数に対して、高い周波数であって、一定周波数による基準信号SR1を生成する。
【0032】
レジスタ43は、リーダライタ、ICカードの製造時、所定のインターフェースを介して、第1又は第2のデータ転送速度に対応する分周比のデータDB1が記録される。
【0033】
クロック生成回路44は、図2に示すように、発振回路42から出力される基準信号SR1(図2(A))をカウントし、これにより基準信号SR1を分周してデータ転送用クロックCK1(図2(C−1)及び(C−2))を出力する。このときクロック生成回路44は、レジスタ43にセットされた分周比データDB1によるカウント値を基準にして基準信号SR1をカウントし(図2(B−1)及び(B−2))、これによりレジスタ43に事前に設定された分周比により第1又は第2のデータ転送速度に対応するデータ転送用クロックCK1を出力する。
【0034】
すなわちクロック生成回路44において、カウンタ44Aは、基準信号SR1をカウントしてカウント値CTを出力し、比較回路44Bより出力されるリセット信号RSTによりカウント値CTをリセットする。比較回路44Bは、レジスタ43に保持された分周比データDB1とカウント値CTとを比較し、カウント値が分周比データDB1の値になるとリセット信号RSTを出力する。これによりカウンタ44A及び比較回路44Bは、分周比データDB1により決まるカウント値により基準信号SR2をカウントするリングカウンタを構成する。フリップフロップ(F/F)44Cは、このリセット信号RSTに応じて出力の極性を切り換え、クロック生成回路44は、このフリップフロップ44Cの出力をデータ転送用クロックCK1として出力する。
【0035】
これによりクロック生成回路44は、図3に示す処理手順により動作してデータ転送用クロックCK1を生成する。すなわちクロック生成回路44は、ステップSP1からステップSP2に移り、カウンタ44Aのカウント値CTを値0にセットする。続いてクロック生成回路44は、ステップSP3に移り、カウンタ44Aにおいて、基準信号SR1のエッジを検出した後、続くステップSP4において、エッジを検出できたか否か判断する。ここで否定結果が得られると、クロック生成回路44は、ステップSP3に戻るのに対し、肯定結果が得られると、ステップSP5に移り、カウンタ44Aにおいてカウント値をインクリメントする。
【0036】
続いてクロック生成回路44は、ステップSP6に移り、比較回路44Bにおいて、カウント値CTが分周比データDB1による設定値になったか否か判断し、否定結果が得られると、ステップSP3に戻る。これによりクロック生成回路44は、カウンタ44Aにより基準信号SR1を順次カウントし、カウント値CTが分周比データDB1による設定値になると、ステップSP6で肯定結果が得られることにより、ステップSP7に移る。ここでクロック生成回路44は、フリップフロップ44Cにおいて、出力の極性を反転し、続くステップSP8でカウント値を値0にセットしてステップSP3に戻る。これによりクロック生成回路44は、レジスタ43にセットした分周比データDB1によるカウント値により順次基準信号SR1を分周して、第1又は第2のデータ転送速度に対応するデューティー比50〔%〕によるデータ転送用クロックCK1を生成するようになされている。
【0037】
これによりこの送信回路41が適用されるICカード、リーダライタにおいては、製造工程の最後で、分周比データDB1を設定することにより、第1又は第2のデータ転送速度によるICカード、リーダライタを作成することができ、その分複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応して生産することができるようになされている。
【0038】
図11との対比により示す図4は、本発明の実施の形態に係るICカード、リーダライタに適用される受信回路を示すブロック図である。この受信回路51は、図1について上述した送信回路41と対応して、第1又は第2のデータ転送速度によりデータ交換するICカード、リーダライタに適用される。なおこの図4において、図11の受信回路6、12と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
【0039】
この受信回路51のクロック生成回路52において、発振回路53は、上述した第1及び第2のデータ転送速度に対応するデータ転送用クロックを分周により生成可能な、第1及び第2のデータ転送速度による周波数に対して、高い周波数であって、一定周波数による基準信号SR2を生成する。なお発振回路53は、システムによっては、送信回路41の発振回路42により兼用される場合もある。
【0040】
レジスタ54は、リーダライタ、ICカードの製造時、所定のインターフェースを介して、第1又は第2のデータ転送速度に対応する分周比のデータDB2が記録される。なおレジスタ54は、システムによっては、送信回路41のレジスタ43により兼用される場合もある。これに対してレジスタ55は、レジスタ54と同様に、ICカードの製造時、所定のインターフェースを介して、分周比のデータDB2に対応する利得のデータDGが記録される。
【0041】
カウンタ57は、基準信号SR2をカウントしてカウント値CT1を出力し、比較回路58より出力されるリセット信号RST1によりカウント値CT1をリセットする。比較回路58は、レジスタ54に保持された分周比データDB2とカウント値CT1とを比較し、カウント値CT1が分周比データDB2の値になるとリセット信号RST1を出力する。
【0042】
さらに比較回路58は、位相比較回路29より出力される制御信号SCにより、分周比データDB1によるカウント値を変更し、これにより受信信号S2、S3に対する位相差を補正する。さらに比較回路58は、レジスタ55に保持された利得のデータDGに応じて、分周比データDB1を補正する際の制御信号SCにより補正値を変更し、これにより受信信号S2、S3に位相同期するようにしてデータ復号用クロックCK2を生成し、さらにこのときデータ転送速度に応じて位相同期における制御利得を切り換える。これによりカウンタ57及び比較回路58は、分周比データDB2、制御信号SC、利得制御データDGにより決まるカウント値により基準信号SR2をカウントするリングカウンタを構成する。
【0043】
フリップフロップ(F/F)59は、このリセット信号RST1に応じて出力の極性を切り換え、クロック生成回路44は、このフリップフロップ59の出力をデータ復号用クロックCK2として出力する。
【0044】
これによりクロック生成回路52は、図5に示す処理手順を実行してデータ復号用クロックCK2を生成し、このときこのデータ復号用クロックCK2によるデータ転送速度に応じた適切な利得により位相制御してデータ復号用クロックCK2を受信信号S2、S3に位相同期させる。
【0045】
すなわちクロック生成回路52は、ステップSP11からステップSP12に移り、カウンタ57のカウント値CT1を値0にセットする。続いてクロック生成回路52は、ステップSP13に移り、カウンタ57において、基準信号SR2のエッジを検出した後、続くステップSP14において、エッジを検出できたか否か判断する。ここで否定結果が得られると、クロック生成回路52は、ステップSP13に戻るのに対し、肯定結果が得られると、ステップSP15に移り、カウンタ57Aにおいてカウント値をインクリメントする。
【0046】
続いてクロック生成回路52は、ステップSP16に移り、位相比較回路29より位相を補正する指示が入力されているか否か判断する。ここで否定結果が得られると、クロック生成回路52は、ステップSP17に移り、比較回路58において、カウント値CT1が分周比データDB2により設定された分周比になったか否か判断し、否定結果が得られると、ステップSP13に戻る。これに対してステップSP17において肯定結果が得られると、クロック生成回路52は、ステップSP18に移ってカウント値CT1をリセットした後、ステップSP13に戻る。これによりクロック生成回路52は、データ復号用クロックCK2が受信信号S2、S3に位相同期している場合には、分周比のデータDB1に応じた分周比により基準信号SR2の分周を繰り返してデータ復号用クロックCK2を生成する。
【0047】
これに対してステップSP16において否定結果が得られると、クロック生成回路52は、ステップSP19に移り、カウント値CT1か所定値か否か判定する。なおここでこの判定は、カウント値CT1が、制御信号SCによる制御値、制御利得のデータDGにより分周比データDB1によるカウント値を補正した値になったか否か判断することにより実行される。ここで否定結果が得られると、クロック生成回路52は、ステップSP13に戻るのに対し、肯定結果が得られると、ステップSP18に移り、カウント値CT1をリセットしてステップSP13に戻る。これによりクロック生成回路52は、データ復号用クロックCK2が受信信号S2、S3に位相同期していない場合には、位相比較結果に応じて、利得制御データDGに応じた利得により位相を補正してデータ復号用クロックCK2を生成するようになされている。
【0048】
(2)実施の形態の動作
以上の構成において、このICカードシステムでは(図11参照)、リーダライタ3にICカード2が接近すると、このICカード2のアンテナにリーダライタ3より送信された高周波信号が誘起され、この高周波信号の信号処理によりリーダライタ3からの呼びかけがICカード2で受信される。これによりアンテナを終端するインピーダンスが切り換えられて、この呼びかけによる応答がICカード2より送信される。さらにこの応答によりリーダライタ3側でアンテナを終端するインピーダンスが切り換えられ、相互認証に必要なデータがICカード2に送信される。またこの送信されたデータに対してICカード2より同様にして所望のデータが送信され、これらの繰り返しによりリーダライタ3、ICカード2間でデータ交換され、さらにICカード2に保持されたメモリがアクセスされる。
【0049】
このようにしてデータ交換するにつき、ICカード2及びリーダライタ3においては(図1)、送信回路41のクロック生成回路44によりデータ転送用クロックCK1が生成され、このデータ転送用クロックCK1によりバッファ21に保持された送信データD1、D4が順次読み出されてデータ送出回路23により符号化処理されて送信信号S1、S4が生成される。さらにこの送信信号S1、S4が無線インターフェース部8、10により変調されてアンテナが駆動されることにより、送信データD1、D4が伝送対象に送出される。これによりICカード2及びリーダライタ3においては、このデータ転送用クロックCK1によるデータ転送速度で伝送対象に送出される。
【0050】
ICカード2及びリーダライタ3においては、発振回路42で生成された基準信号SR1がカウンタ44Aによりカウントされ、カウント値CTが所定値になると比較回路44Bによりカウンタ44Aのカウント値がリセットされ、またフリップフロップ44Cの出力が切り換えられることにより、基準信号SR1を分周してデータ転送用クロックCK1が生成される。さらにこの比較回路44Bにおいては、カウント値CTとレジスタ43に保持した分周比のデータDB1との比較結果によりカウンタ44Aのカウント値がリセットされ、またフリップフロップ44Cの出力が切り換えられる。
【0051】
これによりICカード2及びリーダライタ3においては、このレジスタ43に保持した分周比のデータDB1に応じたデータ転送速度により送信データD1、D4を伝送対象に送出することができる。従って製造工程において、このレジスタ43の内容を設定するだけで、所望のデータ転送速度によるICカード2、リーダライタ3を製造することができ、これによりこの実施の形態では、送信データD1、D4に関して、複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応してICカード2、リーダライタ3を生産することができる。
【0052】
これに対して受信側においては、無線インターフェース部8及び10において、アンテナに誘起される高周波信号が検波され、その結果得られる検波信号が2値化されて受信信号S2、S3が生成される。さらにこの受信信号S2、S3より受信回路51でデータ復号用クロックCK2が生成され、このデータ復号用クロックCK2を基準にして受信信号S2、S3を順次ラッチすることにより、それぞれリーダライタ3、ICカード2より送信されたデータが復号される。
【0053】
この処理において、受信回路51では(図4)、発振回路53で生成された基準信号SR2がカウンタ57によりカウントされ、そのカウント値が所定値になると、比較回路58によりカウンタ57のカウント値がリセットされ、またフリップフロップ59の出力が切り換えられ、これにより基準信号SR2を分周してデータ復号用クロックCK2が生成される。
【0054】
またこのようにして生成されるデータ復号用クロックCK2が位相比較回路29で受信信号S2、S3と位相比較されて位相誤差が検出され、この位相誤差による比較回路58の制御により受信信号S2、S3に位相同期するようにデータ復号用クロックCK2が位相制御される。
【0055】
このようにしてデータ復号用クロックCK2を生成するにつき、比較回路44Bにおいては、カウンタ57のカウント値CT1とレジスタ54に保持した分周比のデータDB2との比較結果によりカウンタ57のカウント値CT1がリセットされて、またフリップフロップ59の出力が切り換えられてデータ復号用クロックCK2が生成される。
【0056】
これによりICカード2及びリーダライタ3においては、このレジスタ54に保持した分周比のデータDB2に応じたデータ転送速度により受信データD2、D3を復号することができる。従って製造工程において、このレジスタ54の内容を設定するだけで、所望のデータ転送速度によるICカード2、リーダライタ3を製造することができ、これによりこの実施の形態では、受信データD2、D3に関して、複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応してICカード2、リーダライタ3を生産することができる。
【0057】
また位相比較回路29による位相制御においては、このようにしてレジスタ54に保持した分周比のデータDB2によるカウント値が、比較回路58において、位相誤差分だけ補正され、カウンタ57のカウント値CT1がこの補正されたカウント値になると、カウンタ57のカウント値CT1がリセットされ、またフリップフロップ59の出力が切り換えられる。これにより受信回路51では、位相誤差が少なくなるように位相制御されてデータ復号用クロックCK2が生成される。
【0058】
受信回路51では、このようにして分周比のデータDB2によるカウント値を位相誤差分だけ補正する際に、位相比較回路29より出力される制御信号SCがレジスタ55に保持された制御利得のデータDGにより補正され、この補正値により分周比のデータDB2によるカウント値が補正され、これによりこのレジスタ55に格納された制御利得のデータDGに応じた制御利得によりデータ復号用クロックCK2が位相制御される。
【0059】
これによりICカード2及びリーダライタ3においては、レジスタ54に設定した分周比のデータDB2に対応するように、レジスタ55に利得制御のデータDG1を設定することにより、データ転送速度に応じた制御利得によりデータ復号用クロックCK2を位相制御して受信データD2、D3を復号することができる。従って製造工程において、このレジスタ55の内容を設定するだけで、所望のデータ転送速度によるICカード2、リーダライタ3を製造することができ、これによりこの実施の形態では、受信データD2、D3に関して、複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応してICカード2、リーダライタ3を生産することができる。
【0060】
かくするにつき、このような制御利得が適切に設定されていない場合、この種のデータ復号用クロックCK2においては、ノイズに過剰に応答して同期が外れ易くなったり、またこれとは逆にポストアンブルだけでは同期を確立できなくなり、結局、ICカードとリーダライタとの間で、安定したデータ交換が困難になる。これによりこの実施の形態では、データ転送速度に応じた制御利得によりデータ復号用クロックCK2を位相制御して、確実にICカード及びリーダライタ間でデータ交換できるようになされている。
【0061】
(3)実施の形態の効果
以上の構成によれば、レジスタに保持された分周比のデータにより分周比を切り換えてデータ転送用クロックを生成することにより、また同様にしてデータ復号用クロックを生成することにより、複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応してICカード及びリーダライタを生産することができる。
【0062】
また、レジスタに保持された位相制御のデータにより、位相制御の利得を切り換えることによっても、複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応してICカード及びリーダライタを生産することができる。
【0063】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、レジスタに分周比のデータ、制御利得のデータを保持する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば配線パターンにおけるジャンパの設定等によって、これら分周比のデータ、制御利得のデータを記録して保持するようにしてもよい。なおこのようなジャンパの設定による場合には、分周比のデータ、制御利得のデータを製造工程で後加工可能なハードウエアの構成により記録することになる。
【0064】
また上述の実施の形態においては、分周比と共に制御利得を設定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば設定するデータ転送速度が大きく異ならない場合等であって、実用上十分な制御特性を確保することができる場合には、制御利得の設定を省略するようにしてもよい。
【0065】
また上述の実施の形態においては、第1又は第2のデータ転送速度によりデータ交換する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、データ転送速度を対応するICカード、対応するリーダライタに応じて切り換えるようにしてもよい。なおこの場合、このデータ転送速度の切り換えに対応するように、第1及び第2の分周比のデータ、第1及び第2の制御利得のデータをレジスタ等に保持し、これら第1及び第2のデータを選択的にカウンタ比較回路にセットすることになる。また、このようなセットは、例えば受信信号を第1及び第2のデータ転送速度に対応するバンドパスフィルタにより帯域制限して信号レベルを判定する等の受信信号を基準にした処理により実行することができる。
【0066】
また上述の実施の形態においては、振幅変調によりデータを送受する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば周波数変調によりデータを送受する場合等、種々の変調方式による場合に広く適用することができる。
【0067】
また上述の実施の形態においては、データ復号用クロックを基準にして受信信号をラッチして受信データを復号する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばビタビ復号による場合のように、データ復号用クロックを基準にして検波信号を処理して受信データを復号する場合にも広く適用することができる。
【0068】
また上述の実施の形態においては、マンチェスタ符号により符号化してデータ交換する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の符号化方式によりデータ交換する場合に広く適用することができる。
【0069】
また上述の実施の形態においては、本発明をICカードシステムに適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、無線伝送されたデータを処理する種々の情報処理装置に広く適用することができる。
【0070】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、レジスタ等に保持されたデータにより分周比を切り換えてデータ転送用クロックを生成することにより、また同様にして、データ復号用クロックを生成することにより、複数種類のデータ転送速度に柔軟に対応して生産することができる情報処理装置、ICカード、リーダライタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るICカード、リーダライタに適用される送信回路を示すブロック図ある。
【図2】図1の送信回路の動作の説明に供するタイムチャートである。
【図3】図1の送信回路の動作の説明に供するフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係るICカード、リーダライタに適用される受信回路を示すブロック図ある。
【図5】図4の受信回路の動作の説明に供するフローチャートである。
【図6】従来のICカードシステムを示すブロック図である。
【図7】図6のICカードシステムに適用されるマンチェスタ符号の説明に供するタイムチャートである。
【図8】図6のICカードシステムに適用される送信回路を示すブロック図である。
【図9】図8の送信回路の動作の説明に供するタイムチャートである。
【図10】図8の送信回路により送出される送信信号を示すタイムチャートである。
【図11】図6のICカードシステムに適用される受信回路を示すブロック図である。
【図12】図11の受信回路の動作の説明に供するタイムチャートである。
【図13】図11の受信回路における位相制御の説明に供するタイムチャートである。
【図14】遅れ位相の場合について、図11の受信回路における位相制御の説明に供するタイムチャートである。
【図15】進み位相の場合について、図11の受信回路における位相制御の説明に供するタイムチャートである。
【符号の説明】
1……ICカードシステム、2……ICカード、3……リーダライタ、6、12、51……受信回路、7、11、41……送信回路、25、44、52……クロック生成回路、43、54、55……レジスタ
Claims (9)
- アンテナに誘起された高周波信号を検波して、検波信号を出力する検波手段と、
前記検波信号を2値化して、前記検波信号に応じた位相を有する受信信号を出力する2値化手段と、
前記受信信号よりデータ復号用クロックを生成するクロック生成手段と、
前記データ復号用クロックを基準にして、前記検波信号又は前記受信信号を処理して前記高周波信号を介して伝送されたデータを復号する復号手段とを備え、
前記クロック生成手段は、
一定周波数の基準信号を出力する基準信号生成手段と、
前記基準信号を分周して、前記データ復号用クロックを出力する分周手段と、
分周比のデータを記録して保持し、該分周比のデータにより前記分周手段の分周比を設定する分周比設定手段とを有し、
前記クロック生成手段は、
前記データ復号用クロックと前記受信信号とを位相比較して、前記データ復号用クロックを前記受信信号に位相同期させる制御手段と、
利得のデータを記録して保持し、該利得のデータにより前記制御手段による位相同期の利得を設定する利得設定手段とを有する
ことを特徴とする情報処理装置。 - 前記分周比設定手段は、
第1及び第2の分周比のデータを記録して保持し、前記分周手段の分周比を前記第1及び第2の分周比のデータに応じて切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - 前記分周比設定手段は、
第1及び第2の分周比のデータを記録して保持し、前記分周手段の分周比を前記第1及び第2の分周比のデータに応じて切り換え、
前記利得設定手段は、
前記第1及び第2の分周比のデータに対応して、第1及び第2の利得のデータを記録して保持し、前記分周手段における分周比に対応して、前記制御手段による位相同期の利得を前記第1又は第2の利得のデータに応じて設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - アンテナに誘起された高周波信号を検波して、検波信号を出力する検波手段と、
前記検波信号を2値化して、前記検波信号に応じた位相を有する受信信号を出力する2値化手段と、
前記受信信号よりデータ復号用クロックを生成するクロック生成手段と、
前記データ復号用クロックを基準にして、前記検波信号又は前記受信信号を処理して、前記高周波信号を介して伝送されたデータを復号する復号手段とを備え、
前記クロック生成手段は、
一定周波数の基準信号を出力する基準信号生成手段と、
前記基準信号を分周して、前記データ復号用クロックを出力する分周手段と、
分周比のデータを記録して保持し、該記録した分周比のデータにより前記分周手段の分周比を設定する分周比設定手段とを有し、
前記クロック生成手段は、
前記データ復号用クロックと前記受信信号とを位相比較して、前記データ復号用クロックを前記受信信号に位相同期させる制御手段と、
利得のデータを記録して保持し、該利得のデータにより前記制御手段による位相同期の利得を設定する利得設定手段とを有する
ことを特徴とするICカード。 - 前記分周比設定手段は、
第1及び第2の分周比のデータを記録して保持し、前記分周手段の分周比を前記第1及び第2の分周比のデータに応じて切り換える
ことを特徴とする請求項4に記載のICカード。 - 前記分周比設定手段は、
第1及び第2の分周比のデータを記録して保持し、前記分周手段の分周比を前記第1及び第2の分周比のデータに応じて切り換え、
前記利得設定手段は、
前記第1及び第2の分周比のデータに対応して、第1及び第2の利得のデータを記録して保持し、前記分周手段における分周比に対応して、前記制御手段による位相同期の利得を前記第1又は第2の利得のデータに応じて設定する
ことを特徴とする請求項4に記載のICカード。 - アンテナに誘起された高周波信号を検波して、検波信号を出力する検波手段と、
前記検波信号を2値化して、前記検波信号に応じた位相を有する受信信号を出力する2値化手段と、
前記受信信号よりデータ復号用クロックを生成するクロック生成手段と、
前記データ復号用クロックを基準にして、前記検波信号又は前記受信信号を処理して、前記高周波信号を介して伝送されたデータを復号する復号手段とを備え、
前記クロック生成手段は、
一定周波数の基準信号を出力する基準信号生成手段と、
前記基準信号を分周して、前記データ復号用クロックを出力する分周手段と、
分周比のデータを記録して保持し、該記録した分周比のデータにより前記分周手段の分周比を設定する分周比設定手段とを有し、
前記クロック生成手段は、
前記データ復号用クロックと前記受信信号とを位相比較して、前記データ復号用クロックを前記受信信号に位相同期させる制御手段と、
利得のデータを記録して保持し、該利得のデータにより前記制御手段による位相同期の利得を設定する利得設定手段とを有する
ことを特徴とするリードライタ。 - 前記分周比設定手段は、
第1及び第2の分周比のデータを記録して保持し、前記分周手段の分周比を前記第1及び第2の分周比のデータに応じて切り換える
ことを特徴とする請求項7に記載のリードライタ。 - 前記分周比設定手段は、
第1及び第2の分周比のデータを記録して保持し、前記分周手段の分周比を前記第1及び第2の分周比のデータに応じて切り換え、
前記利得設定手段は、
前記第1及び第2の分周比のデータに対応して、第1及び第2の利得のデータを記録して保持し、前記分周手段における分周比に対応して、前記制御手段による位相同期の利得を前記第1又は第2の利得のデータに応じて設定する
ことを特徴とする請求項7に記載のリードライタ。
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