JP3972812B2 - 非接触icカード用リーダライタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相異なる通信方式によりICカードと通信可能な非接触ICカード用リーダライタに関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁波の送受信により情報を授受する非接触式の応答ユニットとして、例えば特許文献1に記載したものがある。これは、例えば自動生産ラインにおける移動機などに装着して使用されるものである。これに対し、近年は、事業場用の入門管理システムや自動改札機をはじめとする多くのシステムでICカードが使用されており、それに伴って当該ICカードに対し情報を読み書きするための非接触ICカード用リーダライタが使用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−13295号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
非接触ICカードには通信距離や通信周波数によってISO規格が制定されており、密着型(ISO10536)、近接型(ISO14443)、近傍型(ISO15693)などの種類がある。このうち近接型非接触ICカードには、データの変調方式によってTYPE−AとTYPE−Bとがある。TYPE−AとTYPE−Bの各方式は、何れもリーダライタからICカードへの送信にASK変調方式を採用している。
【0005】
TYPE−A方式は、一般にCPUが内蔵されてないハードウェアロジックで構成された制御回路を持つ非接触ICカードに利用される方式であり、シンプルなプロトコルをもつICカード用として、例えば個人識別カードやプリペイドカードなどに利用されることが多い。一方、TYPE−B方式は、CPUを内蔵した非接触ICカードで利用される方式であり、比較的複雑なプロトコルをもつ銀行用のキャッシュカードやクレジットカードなどに利用されることが多い。
【0006】
図6は、ISO14443のTYPE−B方式を採用した既存のリーダライタ1における変復調回路部分の電気的構成を示すブロック図である。IC化されている符号化回路2は、CPU3から送られた送信データをNRZ符号に変換したベースバンド信号Sb(B)を生成し、発振回路4から13.56MHzのクロックの供給を受けてキャリア信号Scとともに変調回路5に出力する。変調回路5は、例えば単同調送信方式を採用しており、10%ASK変調方式により変調した信号をアンテナ6を介してICカード7に送信する。一方、復調回路8は、アンテナ6を介して受信した信号を復調し、その復調信号は復号化回路9を介して符号化回路2に入力される。図7は、この構成におけるキャリア信号Sc、ベースバンド信号Sb(B)、アンテナの出力信号Swの各波形を示している。
【0007】
ところで、近年、非接触ICカードの普及に伴い、各種仕様のICカードを統合したコンビネーションカードが提案されている。現在は、メモリ等を共有し通信のインターフェースを非接触近接型と外部端子付きとで使い分けるコンビネーションカードのニーズが高まっているが、その一方で上記TYPE−A方式とTYPE−B方式とのコンビネーションカードも考えられている。両タイプを統合したICカードに対して各変調方式専用のリーダライタを準備することは手間であり、コストの上でも不利となる。そこで、TYPE−A、TYPE−B何れの変調方式でも通信可能なリーダライタの実現が必要となる。
【0008】
例えばTYPE−B方式を採用する図6に示すリーダライタ1にTYPE−A方式を追加する場合、開発期間および開発コストを抑える上で既存のTYPE−A方式の符号化/復号化用ICを組み合わせることが考えられる。しかし、既存の符号化/復号化用ICは、他のICと組み合わせることを前提として設計されていないため、そのまま組み合わせることはできない。
【0009】
すなわち、リーダライタ1の変調回路5は単同調送信方式であるのに対し、TYPE−A方式を採用する他の符号化/復号化用ICは複同調送信方式である。この送信方式の相違により、両者を単に組み合わせただけではリーダライタにアンテナを2種類搭載する必要が生じ、装置の大型化やコスト高などの問題が生じる。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、2つの相異なるASK変調方式の何れでも通信可能であって且つ既存の回路を利用して構成できる非接触ICカード用リーダライタを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した手段によれば、キャリア信号出力回路は、変調選択信号の状態にかかわらずキャリア信号を出力し続ける。変調選択信号が第1の状態である場合に、第1の変換回路は、送信データを第1の符号化方式に従って符号化した第1のベースバンド信号を出力し、第2の変換回路は、定レベル信号を出力する。このとき、信号合成回路は、キャリア信号と第1のベースバンド信号とを合成するため、キャリア信号の振幅は、2値信号である第1のベースバンド信号に応じて複数段階(0%/100%の2段階)に変化する。つまり、この時点で第1のASK変調方式による変調がなされたことになる。
【0012】
その結果、変調回路のベースバンド信号入力端子には定レベル信号が入力され、変調回路のキャリア信号入力端子には上記合成信号が入力される。変調回路は、入力されるベースバンド信号が一定レベルであることから、上記第1のASK変調方式である100%ASK変調方式による変調がされた合成信号をそのまま被変調信号として出力する。
【0013】
これに対し、変調選択信号が第2の状態である場合に、第1の変換回路は、第1のレベルの信号を出力し、第2の変換回路は、送信データを第2の符号化方式に従って変換した第2のベースバンド信号を出力する。このとき、信号合成回路は、キャリア信号と第1のレベルの信号とを合成するため、キャリア信号をそのまま出力する。これにより、変調回路のベースバンド信号入力端子には第2のベースバンド信号が入力され、変調回路のキャリア信号入力端子にはキャリア信号が入力される。変調回路は、本来のASK変調動作に従って、第2のASK変調方式に従った被変調信号を出力する。
【0014】
従って、当該非接触ICカード用リーダライタによれば、単一の変調回路を備えているにもかかわらず、変調選択信号の状態を切り替えることにより相異なる2種類のASK変調方式の何れでも通信可能となる。これにより、複数種類のICカードに対して情報の読み書きが可能となる。また、第1、第2の変換回路とは、互いに協調動作するように特別な設計がされている必要はなく、既存の符号化/復号化用回路を利用することができる。
【0015】
請求項2に記載した手段によれば、信号合成回路はAND回路から構成されているので、合成信号は、第1のベースバンド信号がハイレベル(第1のレベル)のときにキャリア信号に等しくなり、第1のベースバンド信号がロウレベル(第2のレベル)のときにロウレベル一定となる。つまり、変調選択信号が第1の状態である場合に、合成信号は、第1のベースバンド信号により100%ASK変調が施された信号となる。
【0016】
請求項3に記載した手段によれば、単一のアンテナにより受信した受信信号が分配されて、その分配された受信信号が、それぞれ第1の変換回路と組み合わせて用いられる第1の復調回路および第2の変換回路と組み合わせて用いられる第2の復調回路に入力されるため、ICカードと当該非接触ICカード用リーダライタとの間で双方向の通信が可能となる。ICカードから非接触ICカード用リーダライタへの通信方式は、例えば負荷変調方式である。
【0017】
請求項4に記載した手段によれば、第1の変換回路と第1の復調回路およびキャリア信号出力回路と第2の変換回路がそれぞれ1つのICとして構成されている。この形態は、現在用いられている通信用ICの形態の一つである。本願発明は、こうした既存のICを利用して、2種類の変調方式の何れによってもICカードとの通信を可能としたもので、新たなICを新規に開発する手間とコストを省くことができる。
【0018】
請求項5に記載した手段によれば、第1と第2の変換回路は、共通のクロックに基づいて動作するので、容易にキャリア信号と第1、第2のベースバンド信号との同期をとることができる。
【0019】
請求項6に記載した手段によれば、第1のASK変調方式は100%ASK変調方式であり、第2のASK変調方式は10%ASK変調方式であるため、ISO14443により制定された近接型非接触ICカードとの通信に適用できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図5を参照しながら説明する。図1は、ICカード用リーダライタにおいて変復調回路部分の電気的構成を示すブロック図である。このICカード用リーダライタ11(以下、単にリーダライタ11と称す)は、ISO14443の規格により定められた近接型非接触ICカード12A、12Bとの間で通信を行うものである。ISO14443には、TYPE−A(ICカード12Aに対応)とTYPE−B(ICカード12Bに対応)の通信方式が規定されており、リーダライタ11は両方式の何れを用いても通信可能である点に特徴を有している。
【0021】
リーダライタ11からICカード送信する場合、TYPE−A方式は、キャリア信号(fc=13.56MHz)の振幅が0%と100%の組み合わせによりデータ「0」と「1」を表わす100%ASK(Amplitude Shift Keying)変調方式を採用している。一方、TYPE−B方式は、キャリア信号(fc=13.56MHz)の振幅が90%と100%の組み合わせによりデータ「0」と「1」を表わす10%ASK変調方式を採用している。
【0022】
また、ICカード12A、12Bからリーダライタ11に送信する場合、TYPE−A方式、TYPE−B方式の何れにおいても、ICカード12A、12Bは、キャリア信号(搬送波)を副搬送波の周波数(fc/16=847kHz)で負荷変調することによって、磁気結合の間隙を介してリーダライタ11に送信するようになっている。
【0023】
リーダライタ11にはパソコンなどの上位装置(図示せず)が接続されており、CPU13は、当該上位装置から送られてくるカード選択信号に応じて、変調選択信号Smを出力するようになっている。リーダライタ11は、変調選択信号Smがハイレベルの場合にTYPE−A方式のICカード12Aと通信を行い、変調選択信号Smがロウレベルの場合にTYPE−B方式のICカード12Bと通信を行うようになっている。
【0024】
符号化/復号化回路14(第1の変換回路、第1の復調回路に相当)は、TYPE−A方式に基づいてCPU13の送受信データとベースバンド信号Sb(A)との間の符号化/復号化および復調を行うもので、一つのICとして構成されている。変調選択信号Smがハイレベルの場合、ICカード12Aへの送信については、CPU13からの送信データを変形ミラー符号化方式(第1の符号化方式)によりベースバンド信号Sb(A)に変換して出力し、ICカード12Aからの受信については、アンテナ16からの受信信号を復調した後OOK−マンチェスタ符号化方式により受信データの復号化を行うようになっている。一方、変調選択信号Smがロウレベルの場合には、上記ベースバンド信号Sb(A)に替えてハイレベル一定の定レベル信号を出力するようになっている。
【0025】
これに対し、符号化回路15(第2の変換回路に相当)は、TYPE−B方式に基づいてCPU13の送信データとベースバンド信号Sb(B)との間の符号化を行うもので、一つのICとして構成されている。変調選択信号Smがロウレベルの場合、ICカード12Bへの送信については、CPU13からの送信データをNRZ符号化方式(第2の符号化方式)によりベースバンド信号Sb(B)に変換して出力し、変調選択信号Smがハイレベルの場合、上記ベースバンド信号Sb(B)に替えてハイレベル一定の定レベル信号を出力するようになっている。
【0026】
また、ICカード12Bからの受信については、アンテナ16からの受信信号を復号化する復調回路17(第2の復調回路に相当)と、BPSK−NRZ符号化方式により受信データを復号化する復号化回路18とによって行われるようになっている。この受信データは、符号化回路15を介してCPU13に送られるようになっている。
【0027】
なお、符号化/復号化回路14、符号化回路15を構成する各ICは既存のものである。従って、実際の変調選択信号Smは、CPU13から各ICに送られる動作許可信号を相補的な信号とすることにより実現されている。すなわち、CPU13から符号化/復号化回路14に対してのみ動作許可信号を出力した状態が、TYPE−A方式を選択するための変調選択信号の第1の状態(上記ハイレベルの状態)に相当し、CPU13から符号化回路15に対してのみ動作許可信号を出力した状態がTYPE−B方式を選択するための変調選択信号の第2の状態(上記ロウレベルの状態)に相当する。
【0028】
符号化/復号化回路14、符号化回路15を構成する各ICには、発振回路19から共通のクロックが入力されるようになっており、キャリア信号出力回路として機能する符号化回路15は、fc(=13.56MHz)のキャリア信号Scを出力するようになっている。これにより、ベースバンド信号Sb(A) 、Sb(B) とキャリア信号Scとの同期がとられるようになっている。
【0029】
信号合成回路20は、具体的にはAND回路から構成されており、符号化回路15からのキャリア信号Scと符号化/復号化回路14の出力信号SAとの論理積である合成信号Sdを出力するようになっている。
【0030】
変調回路21は、単一のキャリア信号入力端子とベースバンド信号入力端子とを有し、TYPE−B方式の変調を行う回路である。ベースバンド信号入力端子には、符号化回路15の出力信号SB(すなわちベースバンド信号Sb(B)または定レベル信号)が入力され、キャリア信号入力端子には信号合成回路20からの合成信号Sdが入力されるようになっている。この変調回路21の出力端子は、アンテナ16に接続されている。アンテナ16を介して受信された信号は2系統に分配され、一方が符号化/復号化回路14に直接入力され、他方が復調回路17に入力されるようになっている。なお、アンテナ16とICカード12A、12Bのアンテナとの間は電磁誘導により結合されるようになっている。
【0031】
次に、本実施形態の作用について図2ないし図5も参照しながら説明する。 図2は、リーダライタ11からTYPE−A方式のICカード12Aに送信する場合の各部の信号波形を示し、図3は、リーダライタ11からTYPE−B方式のICカード12Bに送信する場合の各部の信号波形を示している。各波形は以下の通りである。
【0032】
(a)符号化回路15から出力されるキャリア信号Sc
(b)符号化/復号化回路14の出力信号SA
(c)符号化回路15の出力信号SB
(d)信号合成回路20から出力される合成信号Sd
(e)アンテナ16の出力信号Sw
【0033】
図2に示す場合には、変調選択信号Smはハイレベルとなっている。そこで、符号化/復号化回路14は、送信データを変形ミラー符号化方式によりベースバンド信号Sb(A)に変換してそれを出力信号SAとして出力し、符号化回路15は、ハイレベル一定の定レベル信号を出力信号SBとして出力する。信号合成回路20は、キャリア信号Scとベースバンド信号Sb(A)との論理積により、キャリア信号Scについてベースバンド信号Sb(A)がロウレベルの時に振幅0%、ベースバンド信号Sb(A)がハイレベルの時に振幅100%となる合成信号Sdを出力する。この合成信号Sdは、キャリア信号Scをベースバンド信号Sb(A)で100%ASK変調した信号となっている。
【0034】
TYPE−B方式の変調を行う変調回路21は、ベースバンド信号入力端子の信号がハイレベルの時にキャリア信号入力端子の信号を100%の振幅で出力するため、出力信号SBがハイレベルの定レベル信号である本ケースでは、合成信号Sdをそのまま出力する。これにより、アンテナ16からは、TYPE−A方式である100%ASK変調された出力信号Swが出力される。
【0035】
これに対し、図3に示す場合には、変調選択信号Smはロウレベルとなっている。そこで、符号化回路15は、送信データをNRZ符号化方式によりベースバンド信号Sb(B)に変換してそれを出力信号SBとして出力し、符号化/復号化回路14は、ハイレベル一定の定レベル信号を出力信号SAとして出力する。信号合成回路20は、キャリア信号Scとハイレベルの定レベル信号との論理積により、キャリア信号Scに等しい合成信号Sdを出力する。
【0036】
従って、変調回路21は、符号化回路15から出力されたベースバンド信号Sb(B)とキャリア信号Scとがそのまま入力された場合と同じ動作となり、ベースバンド信号Sb(B)に対しTYPE−B方式の10%ASK変調を行ってアンテナ16を介して出力信号Swを出力する。
【0037】
次に、リーダライタ11がICカード12Aまたは12Bと通信する場合の一連の動作内容について説明する。図4は、CPU13の処理内容を示すフローチャートである。CPU13は、まずステップS1において符号化回路15に対しキャリアONを指令する。続いて、ステップS2において、パソコンなどの上位装置からのカード選択信号に基づいて、適用すべき変調方式がTYPE−A方式であるかTYPE−B方式であるかを判断する。ここで、ICカード12Aのカード選択信号を受けた場合には、TYPE−A方式を適用すると判断してステップS3に移行する。
【0038】
CPU13は、ステップS3において符号化/復号化回路14に送信データをセットし、ステップS4において符号化/復号化回路14に対して動作許可信号を出力する。これにより、変調選択信号Smがハイレベルの状態となり、符号化/復号化回路14はベースバンド信号Sb(A)を出力し、符号化回路15はハイレベルの定レベル信号を出力する。その結果、上述したように変調回路21からアンテナ16を介してTYPE−A方式による出力信号Swが出力される。
【0039】
ICカード12Aは、搬送波を副搬送波の周波数で負荷変調することによってリーダライタ11と通信する。アンテナ16により受信された信号は符号化/復号化回路14に直接入力され、そこで復調および復号化が行われて受信データが得られる。CPU13は、ステップS5において、符号化/復号化回路14から受信データを読み込む。
【0040】
一方、ICカード12Bとの通信を行う場合には、上記ステップS2においてTYPE−B方式を適用すると判断してステップS6に移行する。CPU13は、ステップS6において符号化回路15に送信データをセットし、ステップS7において符号化回路15に対して動作許可信号を出力する。これにより、変調選択信号Smがロウレベルの状態となり、符号化回路15はベースバンド信号Sb(B)を出力し、符号化/復号化回路14はハイレベルの定レベル信号を出力する。その結果、上述したように変調回路21からアンテナ16を介してTYPE−B方式による出力信号Swが出力される。
【0041】
ICカード12Bも負荷変調することによってリーダライタ11と通信する。アンテナ16により受信された信号は、復調回路17で復調され、復号化回路18で復号化され、得られた受信データが符号化回路15にセットされる。CPU13は、ステップS8において符号化回路15から受信データを読み込む。その後、CPU13は、ステップS9において、読み込んだ受信データについて処理を行う。
【0042】
図5は、リーダライタ11を用いてICカード12A、12Bと通信する場合のシーケンス図である。ここでは、まず初めにICカード12Aと通信し、その後ICカード12Bと通信する場合を示している。パソコンなどの上位装置からリーダライタ11にTYPE−Aのカード選択信号が送信されると、リーダライタ11とICカード12Aとの間でデータの送信とそれに対する応答が必要回数だけ繰り返される。そして、リーダライタ11とICカード12Aとの間の通信が完了すると、リーダライタ11から上位装置に対し、処理完了信号が送信される。上位装置は、処理完了信号を受信すると、新たに要求されたカード選択信号(図5ではTYPE−Bの選択)をリーダライタ11に送信し、リーダライタ11は、上述と同様にして要求されたTYPE−BのICカード12Bとの間で通信を行う。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のリーダライタ11は、変調方式ISO14443のTYPE−A、TYPE−Bの符号化を行う既存の符号化/復号化回路14、符号化回路15とともに、符号化/復号化回路14の出力信号SAとキャリア信号Scとの合成信号Sdを生成する信号合成回路20を備えている。これにより、TYPE−A方式の変調回路を備えることなくTYPE−B方式の変調を行う既存の変調回路21を備えるだけで、リーダライタ11からTYPE−A、TYPE−B何れのICカード12A、12Bに対してもデータの送信が可能となる。
【0044】
また、ICカード12A、12Bで負荷変調された信号は、アンテナ16で受信された後直ちに分配され、TYPE−A方式の復調回路と復号回路とが内蔵された符号化/復号化回路14に入力されるとともに、TYPE−B方式の復調を行う既存の復調回路17ひいてはTYPE−B方式の復号化を行う復号化回路18に入力される。従って、リーダライタ11は、TYPE−A、TYPE−B何れのICカード12A、12Bからの信号も受信、復調、復号化することができる。
【0045】
このように、本実施形態のリーダライタ11は、既存のICである符号化/復号化回路14、15および変調回路21をそのまま用いているため、TYPE−AとTYPE−Bの変調方式を具備したものであっても、その開発コストや製造コストを極力抑えることができる。また、変調回路21を共用しているため単一のアンテナ16を備えればよく、装置サイズが増大することを防止することができる。
【0046】
さらに、符号化/復号化回路14と符号化回路15には、発振回路19から共通のクロックが入力されているので、別途同期回路を設けることなく、ベースバンド信号Sb(A) 、Sb(B) とキャリア信号Scとの同期をとることができる。
【0047】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
一つのICとして構成された符号化/復号化回路14に替えて、別々に構成された符号化回路、復調回路および復号化回路を設けても良い。また、符号化回路15、復調回路17および復号化回路18に替えて、符号化回路、復調回路および復号化回路を一体化したICを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すICカード用リーダライタの変復調回路部分のブロック図
【図2】 リーダライタからTYPE−A方式のICカードに送信する場合の各部の信号波形図
【図3】 リーダライタからTYPE−B方式のICカードに送信する場合の各部の信号波形図
【図4】 CPUの処理内容を示すフローチャート
【図5】 リーダライタを用いてICカードと通信する場合のシーケンス図
【図6】 従来技術を示す図1相当図
【図7】 図3相当図
【符号の説明】
11はリーダライタ(非接触ICカード用リーダライタ)、14は符号化/復号化回路(第1の変換回路、第1の復調回路)、15は符号化回路(第2の変換回路、キャリア信号出力回路)、17は復調回路(第2の復調回路)、20は信号合成回路(AND回路)、21は変調回路である。
Claims (6)
- 単一のキャリア信号入力端子とベースバンド信号入力端子とを有し、前記ベースバンド信号入力端子から入力されたベースバンド信号に基づいて、前記キャリア信号入力端子から入力されたキャリア信号を第2のASK変調方式で変調した被変調信号を出力する変調回路と、
キャリア信号を出力するキャリア信号出力回路と、
変調選択信号が第1の状態である場合に送信データを第1の符号化方式に従って符号化して第1および第2のレベルからなる第1のベースバンド信号を出力し、第2の状態である場合に前記第1のレベルからなる信号を出力する第1の変換回路と、
前記変調選択信号が第1の状態である場合に所定の定レベル信号を出力し、第2の状態である場合に送信データを第2の符号化方式に従って符号化した第2のベースバンド信号を出力する第2の変換回路と、
前記キャリア信号と前記第1の変換回路の出力信号とを入力し、前記第1の変換回路が前記第1のレベルの信号を出力しているときに前記キャリア信号を出力し、前記第1の変換回路が前記第2のレベルの信号を出力しているときに前記キャリア信号の出力を停止することにより合成信号を生成する信号合成回路とを備え、
前記変調回路のベースバンド信号入力端子に前記第2の変換回路の出力信号が入力され、前記キャリア信号入力端子に前記合成信号が入力され、前記変調選択信号が第1の状態である場合に第1のASK変調方式である100%ASK変調方式で変調された被変調信号を出力し、前記変調選択信号が第2の状態である場合に前記第2のASK変調方式で変調された被変調信号を出力するように構成されていることを特徴とする非接触ICカード用リーダライタ。 - 前記信号合成回路はAND回路から構成され、前記第1のレベルの信号および前記第2の変換回路が出力する定レベル信号はハイレベルを有する信号であることを特徴とする請求項1記載の非接触ICカード用リーダライタ。
- 単一のアンテナにより受信した受信信号が少なくとも2系統に分配され、その分配された受信信号が、それぞれ前記第1の変換回路と組み合わせて用いられる第1の復調回路および前記第2の変換回路と組み合わせて用いられる第2の復調回路に入力されるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の非接触ICカード用リーダライタ。
- 前記第1の変換回路と前記第1の復調回路および前記キャリア信号出力回路と前記第2の変換回路は、それぞれ1つのICとして構成されていることを特徴とする請求項3記載の非接触ICカード用リーダライタ。
- 前記第1と第2の変換回路は、共通のクロックに基づいて動作することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の非接触ICカード用リーダライタ。
- 前記第2のASK変調方式は10%ASK変調方式であることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の非接触ICカード用リーダライタ。
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