JP4365963B2 - 画像処理による現場検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラ等のデジタル撮像手段を介してコンピュータに取り込まれると共に画像処理がなされた建築現場のデジタル画像に基づいて、建物の施工精度を検査する画像処理による現場検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
建物の施工中の現場では、各工程の進捗により基礎、構造、内外部造作、設備等の各種検査を行っている。このような建物の検査は、一人から複数人の作業員が現場で移動しながらレベル、下げ振り、スチールテープ等の測量器具を用いて建物の各部分や部材を測定し、その精度を目視でチェックし、誤差が許容範囲内にあるか否かを確認することにより行われるのが一般的である。
【0003】
一方、上述のような現場を移動しながら行う作業員によるチェックでは、チェック箇所が多くなると多大の労力を要することになり、書き込みミス等の人為的なミスや測定の個人差も生じることから、このような現場検査の効率化を図るべく、デジタルカメラ等のデジタル撮像手段を介してコンピュータに取り込んだ建物のデジタル画像に基づいて、建物の施工精度を検査する方法を採用することが考えられている。かかるデジタル画像による現場検査方法は、撮像したデジタル画像をコンピュータに取り込み、二値化処理、エッジング処理等の公知の画像処理手段を用いて建物の検査対象部材の輪郭線を明確にし、この画像処理がなされたデジタル画像に基づいて、建物の施工精度を検査するものである。
【0004】
デジタル画像に基づいて建物を精度良く検査するには、デジタルカメラ等のデジタル撮像手段による撮像位置を決めて、デジタル撮像手段と建物との相対位置を正確に把握する必要があるが、従来の画像処理技術では、このような相対位置の把握は困難である。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、建物に対するデジタル撮像手段の相対位置を容易かつ正確に把握して、デジタル画像に基づく建物の検査を精度良く行うことのできる画像処理による現場検査方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、デジタルカメラ等のデジタル撮像手段を介してコンピュータに取り込まれると共に画像処理がなされた建築現場のデジタル画像に基づいて、建物の施工精度を検査する現場検査方法であって、絶対鉛直線を写し込みつつ前記デジタル撮像手段によって前記建物を撮像し、該絶対鉛直線を前記デジタル画像に表示し、設計図面に基づいて前記建物の三次元設計図書のCADデータを作成すると共に、該三次元設計図書に前記絶対鉛直線に対応する垂直線を描き加え、前記三次元設計図書の前記垂直線に前記絶対鉛直線を合致させつつ、前記三次元設計図書に前記建築現場における建物のデジタル画像を重ね合わせることにより建物の施工精度を検査することを特徴とする画像処理による現場検査方法を提供することにより、上記目的を達成したものである(請求項1記載の発明)。
【0007】
また、本発明の現場検査方法は、前記絶対鉛直線を、前記建築現場に鉛直に吊り下げられた下げ振りを撮像することよって得るようにすることが好ましい(請求項2記載の発明)。
【0009】
さらにまた、本発明の現場検査方法は、前記デジタル撮像手段を、前記三次元設計図書に設定された設計撮像位置に対応すると思われる位置を選定して前記建築現場に設置し、前記建築現場に設けた基準点に対する前記デジタル撮像手段の相対位置を計測して、前記設計図書に設けた基準点に対する前記設計撮像位置の相対位置の修正を行うことが好ましい(請求項3記載の発明)。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態によれば、例えば柱や梁等の建物の軸組構造の各部材の施工精度を検査する際に、本発明の検査方法を採用したものである。すなわち、本実施形態は、図1(a)及び(b)に示すように、デジタル撮像手段としてデジタルカメラ11を用いて軸組構造10を撮像し、撮像したデジタル画像をコンピュータに取り込み、二値化処理、エッジング処理等の公知の画像処理を施して検査対象となる軸組構造10の検査対称部材の輪郭線を明確にし、この画像処理がなされた軸組構造10のデジタル画像に基づいて、その施工精度を検査するものである。
【0011】
そして、本実施形態によれば、例えば梁部材の所定の位置から鉛直下方に吊り下げられた下げ振りを絶対鉛直線V’として、この下げ振りを写し込みつつデジタルカメラ11によって軸組構造10を撮像し、撮像した下げ降りをコンピュータによるデジタル画像に表示し、表示された下げ振りを基準線として演算計測して建物の軸組構造10の施工精度を検査する。
【0012】
また、本実施形態によれば、設計図面に基づいて軸組構造10の三次元設計図書のCADデータを予めコンピュータにより作成して取り込み、この三次元設計図書に絶対鉛直線(下げ振り)V’に対応する垂直線Vを描き加え、三次元設計図書の垂直線Vに絶対鉛直線V’を合致させつつ、三次元設計図書に建築現場における軸組構造10のデジタル画像を重ね合わせることにより、軸組構造10の施工精度を検査する。
【0013】
ここで、設計図面から軸組構造10の三次設計図書をコンピュータにより作成するには、公知のCADソフトを用いて、図2に示す以下の手順で行われる。すなわち、まず、設計図面に基づきCADソフトに従って軸組構造10の位置、寸法等をコンピュータに入力して軸組構造10のCADデータを作成する(ステップ1)。
【0014】
次に、作成したCADデータ上に基準点Pを設定し(ステップ2)、建築現場で軸組構造10を撮像する際のデジタルカメラ11による設計撮像位置Sを設定するための、基準点Pからの所定距離L及び所定高さHを決定する(ステップ3)。これによって、3次元設計図書における設計撮像位置Sに対応する視点位置が決定される。
【0015】
更に、CADデータ上において、所定の柱から数mm離れた位置に垂直線Vを、設計鉛直線として描き加え(ステップ4)、基準点Pからの所定距離L及び所定高さHを基準(視点位置)として軸組構造10の三次元設計図書を作成する(ステップ5)。これによって、建築現場で軸組構造10を撮像する際のデジタルカメラ11による撮像位置Sが決定する。また、作成した軸組構造10の3次元画像のCADデータはフロッピー(登録商標)ディスクに保存される(ステップ6)。
【0016】
一方、デジタルカメラ11によって撮像された軸組構造10のデジタル画像に基づいて、建物の施工精度を検査するには、二値化処理、エッジング処理等の公知の画像処理手法を採用しつつ、図3に示す以下の手順で行われる。すなわち、まず、上記CADデータ上において設定された、基準点Pに相当する基準点P’を建築現場に設定する(ステップ1’)。
【0017】
次に、デジタルカメラ11を、上記CADデータ上における撮像位置Sに対応すると思われる位置として、基準点P’から距離L,高さH離れた建築現場における撮像位置S’を選定してにデジタルカメラ11を設置し、デジタルカメラ11によって軸組構造10を撮像する(ステップ2’)。撮像された軸組構造10のデジタル画像は、フロッピー(登録商標)ディスク等を介してコンピュータに取り込まれ、二値化処理、エッジング処理等の画像処理が施されて軸組構造10の検査対象部材の輪郭線が明確にされる(ステップ3’)。ここで、軸組構造10には、CADデータ上における垂直線Vに相当する位置に、下げ振りが鉛直下方に向けて吊り下げられており、この下げ振りによる絶対鉛直線V’もまた画像処理によって明確にされる。
【0018】
また、デジタルカメラ11と一体化されたレーザー測定器12(図1参照)を用いて、撮像位置S’から基準点P’への距離(斜距離)B及び水平角RY,鉛直角RZが計測され、これらの計測結果に基づいて、コンピュータによって建築現場における撮像位置S’の基準点P’に対する実際の距離(水平距離)L1及び高さH1が計測される(ステップ4’)。
【0019】
次に、フロッピー(登録商標)ディスクを介して別途作成した上記軸組構造10のCADデータ(三次元設計図書)をコンピュータに取り込んで、この画像を再現し(ステップ5’)、距離の誤差L−L1,高さの誤差H−H1,計測した水平角RY,鉛直角RZを入力してCADデータ上における撮像位置Sの修正を行う(ステップ6’)。すなわち、デジタルカメラ11を、三次元設計図書に設定された設計撮像位置Sに対応すると思われる位置を選定して建築現場に設置し、建築現場に設けた基準点P’に対するデジタルカメラ11の撮像位置S’の実際の相対位置を計測して、三次元設計図書に設けた基準点Pに対する設計撮像位置Sの相対位置の修正を行う。
【0020】
そして、修正された撮像位置SからのCADデータによる三次元設計図書と、画像処理を施された軸組構造10のデジタル画像とをコンピュータ上で重ね合わせて、軸組構造10の検査対象部材の現場検査を行う(ステップ7’)。すなわち、CADデータ上における垂直線Vと、デジタル画像における下げ振りによる絶対鉛直線V’とを合致させてこれらを重ね合わせることにより(ステップ8’)、これらは鉛直方向及び水平方向に精度良く重ね合わされることになり、これらのデータのズレをコンピュータ上における演算処理によって計測して、デジタル画像に基づく軸組構造10の検査を精度良く行うことが可能になる(ステップ9’)。
【0021】
また、これらのデジタル画像や誤差の検査結果は、データとしてコンピュータに保存しておくことにより(ステッ10’)、適宜再確認することが可能になる。
【0022】
すなわち、本実施形態によれば、デジタル画像を得るべくデジタルカメラ11により軸組構造10を撮像する際に、下げ振りによる絶対鉛直線V’を共に撮像するので、軸組構造10に対するデジタルカメラ11の相対位置を正確に把握して、デジタル画像に基づく軸組構造10の検査を精度良く行うことが可能になる。
【0023】
また、作業員が現場を移動することなく、重ね合わせた画像により多数の測定位置をコンピュータの画面上で測定できるので、測定にかける労力や時間を大幅に削減することができると共に、人為的ミスも回避することが容易になる。
【0024】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、絶対鉛直線は、下げ振りを撮像することよってデジタル画像に写し込む必要は必ずしもない。また、本発明は、軸組構造のみならず、建物の基礎や、外壁材等についても同様の方法で施工精度を検査することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の画像処理による現場検査方法によれば、建物に対するジタル撮像手段の相対位置を正確に把握して、デジタル画像に基づく建物の検査を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る現場検査方法を説明する、(a)は略示側面図、(b)は略示上面図である。
【図2】設計図面からCADソフトを用いて建物の設計図書を作成する手順を説明するフローチャートである。
【図3】デジタルカメラによって撮像されたデジタル画像に基づいて、建物の施工精度を検査する手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10 軸組構造(建物)
11 デジタルカメラ(デジタル撮像手段)
12 レーザー測定器
Claims (3)
- デジタルカメラ等のデジタル撮像手段を介してコンピュータに取り込まれると共に画像処理がなされた建築現場のデジタル画像に基づいて、建物の施工精度を検査する現場検査方法であって、
絶対鉛直線を写し込みつつ前記デジタル撮像手段によって前記建物を撮像し、該絶対鉛直線を前記デジタル画像に表示し、
設計図面に基づいて前記建物の三次元設計図書のCADデータを作成すると共に、該三次元設計図書に前記絶対鉛直線に対応する垂直線を描き加え、
前記三次元設計図書の前記垂直線に前記絶対鉛直線を合致させつつ、前記三次元設計図書に前記建築現場における建物のデジタル画像を重ね合わせることにより建物の施工精度を検査することを特徴とする画像処理による現場検査方法。 - 前記絶対鉛直線は、前記建築現場に鉛直に吊り下げられた下げ振りを撮像することよって得られることを特徴とする請求項1に記載の画像処理による現場検査方法。
- 前記デジタル撮像手段を、前記三次元設計図書に設定された設計撮像位置に対応すると思われる位置を選定して前記建築現場に設置し、前記建築現場に設けた基準点に対する前記デジタル撮像手段の相対位置を計測して、前記設計図書に設けた基準点に対する前記設計撮像位置の相対位置の修正を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理による現場検査方法。
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