JP4364446B2 - 位相比較回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロック・データ・リカバリなどに適用されるPLL(PhaseLocked Loop)回路に利用される位相比較回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDプレーヤやDVDプレーヤなどのクロック・データ・リカバリなどに適用されるPLL回路では、再生されたランダムデータ(例えばCDでは再生データの単位ビット長がTの場合に、3T〜11Tのデータ)に対して位相を引き込むための低ジッタの位相比較回路が必要となる。
【0003】
この位相比較回路は、例えば図5(A)に示すようなランダムな入力データの立ち上がりと、例えば図5(B)に示すような比較クロック(再生クロック)の立ち上がりとの比較を行うことになる。但し、位相比較回路は、比較クロックの立ち上がりであっても、図示のように比較対象である入力データが存在しない期間には、その比較は行わないようになっている。
【0004】
この種の位相比較回路として、図6に示すようなPLL回路に使用されるT/2ディレイ方式の位相周波数比較回路が知られている。
このPLL回路は、図6に示すように、T/2遅延回路1、位相周波数比較回路2、チャージポンプ3、ループフィルタ4、VCO(電圧制御発振器)5、およびパルスマスク回路6を備えている。
【0005】
このようなPLL回路では、図7(A)に示すようなランダムな入力データがT/2遅延回路1に入力されると、その入力データは図7(B)に示すようにT/2遅延回路1で遅延される。
パルスマスク回路6は、VCO5から出力される再生クロック(リカバリクッロク)とT/2遅延回路1に入力される入力データとに基づき比較クロックを生成する。すなわち、パルスマスク回路6は、図7(C)に示すような再生クロックと、図7(A)に示すような入力データとに基づき、その再生クロックのうちの一部をマスクした図7(D)に示すような比較クロックを生成する。
【0006】
位相周波数比較回路2は、T/2遅延回路1で遅延された入力データの各立ち上がりエッジと、パルスマスク回路6で生成された比較クロックの各立ち上がりエッジとを比較し、その比較結果に応じた信号をチャージポンプ3に出力する。ループフィルタ4は、チャージポンプ3の出力信号の平滑化を行い、それをVCO5に出力する。VCO5は、そのループフィルタ4からの出力に応じて発信周波数が変化させて再生クロックを生成する。そして、このような一連の動作によりPLL動作が実現される。
【0007】
また、この種の位相比較回路として、EX−OR回路(排他的論理和回路)を用いた位相比較回路が知られている。
この位相比較回路は、図8(A)に示すような入力データと、図8(B)に示すような比較クロックとを比較し、入力データがT/2で比較クロックとの位相差がT/4(90°)の場合にロック状態になる。このように、PLL回路がロック状態でも、比較クロックの位相を進める図8(C)に示すようなアップ信号UPと、比較クロックの位相を遅らす図8(D)に示すようなダウン信号DWとは図示のように生成される。
【0008】
一方、図8(A)に示すように、PLL回路がロック状態であっても、入力データのビットレートがT/2よりも長くなると、図8(D)に示すように、ダウン信号DNの出力期間が長くなる。従って、アップ信号UPとダウン信号DNとは、入力データのビットレートの長さに依存したものとなる。
さらに、この種の位相比較回路として、例えば図9に示すような、Hoggephase detector(以下、ホッジ位相検出回路という)が知られている。
【0009】
このホッジ位相検出回路は、図9に示すように、Dフリップフロップ(DFF)11、アンド回路12、Dフリップフロップ13、およびアンド回路14からなり、Dフリップフロップ11のデータ入力端子(D)に入力されるランダムな入データと、Dフリップフロップ13のクロック入力端子(C)に入力される比較クロックとを比較し、その比較の結果に応じて、比較クロックの位相を進めるアップ信号UPと、比較クロックの位相を遅らすダウン信号DWとを生成するようになっている。
【0010】
次に、このような位相検出回路の動作の一例について、図10を参照して説明する。
例えば、Dフリップフロップ11のデータ入力端子(D)とクロック入力端子(C)に、図10(A)に示すようなランダムな入力データと、図10(B)に示すような比較クロックを反転した反転比較クロックとがそれぞれ入力されており、かつ、Dフリップフロップ13のクロック端子(C)に図10(C)に示すような比較クロックが入力されているものとする。
【0011】
いま、時刻t1において、図10(A)に示すように入力データが立ち上がるとともに、図10(C)に示すように比較クロックが立ち上がったものとする。このとき、Dフリップフロップ11の出力N1は、図10(D)に示すようにLレベルであってその反転出力端子(QN)はHレベルにあるので、アンド回路12の出力であるアップ信号UPは、図10(F)に示すように立ち上がる。
【0012】
その後、時刻t2において、図10(B)に示すように反転比較クロックが立ち上がると、その立ち上がりでDフリップフロップ11の出力N1は図10(D)に示すように立ち上がり、その反転出力端子(QN)の出力は立ち下がるので、アンド回路12のアップ信号UPは図10(F)に示すように立ち下がる。
また、Dフリップフロップ11の出力N1が上記のように立ち上がると、このとき、Dフリップフロップ13の出力端子(Q)の出力N2は、図10(E)に示すようにLレベルであってその反転出力端子(QN)はHレベルにあるので、アンド回路14の出力であるダウン信号DNは、図10(G)に示すように立ち上がる。
【0013】
次に、図10(C)に示すように時刻t3において比較クロックが立ち上がると、Dフリップフロップ13の出力N2は図10(E)に示すように立ち上がり、その反転出力端子(QN)の出力は立ち下がるので、アンド回路14のダウン信号DNは図10(G)に示すように立ち下がる。
このような動作により、入力データの立ち上がりが比較クロックの立ち上がりと比較され、その比較の結果に応じて、図10(F)(G)に示すようなアップ信号UPとダウン信号DNとが生成される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図6に示すような位相周波数比較器2では、入力データと比較クロックの各立ち上がりが一致したロック状態で、入力データにジッタがない場合には、アップ信号とダウン信号とを出力しないという利点がある。
その反面、図6に示すようにT/2遅延回路1とパルスマスク回路6を必要とし、T/2遅延回路1は高精度なものが要求されという不具合がある。
【0015】
一方、EX−OR回路を用いた位相比較回路では、上記のようなT/2遅延回路やパルスマスク回路が不要となってPLL回路の全体の構成は簡易となる。しかし、図8(C)(D)に示すように、入力データと比較クロックがロック状態で入力データにジッタがない場合にも、アップ信号UPとダウン信号DNが出力されるという不具合がある。また、そのアップ信号UPとダウン信号DNは、入力データの長さに依存したものとなるので、入力データの長さがT/2である必要があるというように制限される不都合がある。
【0016】
さらに、図9に示すようなホッジ位相検出回路では、上記のようなT/2遅延回路やパルスマスク回路が不要となってPLL回路全体の構成が簡易になる上に、上記のように入力データの長さがT/2に制限されるような不具合がない。
しかし、入力データと比較クロックがロック状態で入力データにジッタがない場合にも、図10(F)(G)に示すように、異なるタイミングでアップ信号UPとダウン信号DNが出力されてこれらがループフィルタで平滑化されるので、ループフィルタの出力電圧が変化するという不具合があり、この結果、PLL回路の動作が不安定になるおそれがある。
【0017】
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、入力データと比較クロックがロック状態でジッタがない場合に、アップ信号とダウン信号の出力を禁止するようにし、PLL回路の動作を安定化できる位相比較回路を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するために、請求項1〜請求項3に記載の各発明は以下のように構成した。
【0019】
請求項1に記載の発明は、入力信号と比較クロックの位相を比較し、その比較の結果に応じて、前記比較クロックの位相を進めるアップ信号と、その位相を遅らせるダウン信号とをそれぞれ生成する位相比較回路であって、前記比較クロックを反転した反転比較クロックで前記入力信号をラッチし、このラッチ信号および前記入力信号に基づいて第1の信号を生成して出力する第1の論理回路と、前記第1の信号を所定時間遅延して前記アップ信号として出力する第1の遅延回路と、前記比較クロックを前記第1の遅延回路の遅延時間と同じ遅延時間だけ遅延する第2の遅延回路と、前記第2の遅延回路で遅延された比較クロックで前記入力信号をラッチして第2の信号を生成するとともに、前記反転比較クロックを前記第2の遅延回路の遅延時間と同じ遅延時間だけ遅らせたクロックで前記第2の信号をラッチして第3の信号を生成し、前記第2の信号および前記第3の信号に基づいて前記ダウン信号を生成出力する第2の論理回路と、を備えるようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の位相比較回路において、前記第1の論理回路は、前記反転比較クロックで前記入力信号をラッチしこのラッチ信号を反転出力する第1のDフリップフロップと、前記入力信号と第1のDフリップフロップの反転出力の論理積演算を行う第1のアンド回路とを含み、前記第2の論理回路は、前記第2の遅延回路で遅延された比較クロックで前記入力信号をラッチして出力する第2のDフリップフロップと、前記反転比較クロックを前記第2の遅延回路の遅延時間と同じ遅延時間だけ遅らせたクロックで前記第2のDフリップフロップのラッチ出力をラッチし、そのラッチ信号を反転出力する第3のDフリップフロップと、前記第2のDフリップフロップのラッチ出力と前記第3のDフリップフロップの反転出力の論理積演算を行う第2のアンド回路と、を含むことを特徴とするものである。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の位相比較回路において、前記第1の論理回路は、前記反転比較クロックで前記入力信号をラッチして出力する第1のDフリップフロップと、前記入力信号と第1のDフリップフロップのラッチ出力の排他的論理和演算を行う第1の排他的論理和演算回路とを含み、前記第2の論理回路は、前記第2の遅延回路で遅延された比較クロックで前記入力信号をラッチして出力する第2のDフリップフロップと、前記反転比較クロックを前記第2の遅延回路の遅延時間と同じ遅延時間だけ遅らせたクロックで前記第2のDフリップフロップのラッチ出力をラッチして出力する第3のDフリップフロップと、前記第2のDフリップフロップのラッチ出力と前記第3のDフリップフロップのラッチ出力の排他的論理和演算を行う第2の排他的論理和演算回路と、を含むことを特徴とするものである。
【0022】
以上のように、本発明では、入力信号と比較クロックに位相のずれがない場合には、アップ信号とダウン信号は、所定の同一のタイミングで所定の同一時間だけ生成するようにした。
従って、本発明によれば、入力信号と比較クロックに位相のずれがない場合には、アップ信号とダウン信号はキャンセルされて両信号の出力が禁止されるので、PLL回路に適用した場合にその動作の安定化に寄与することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
まず、本発明の位相比較回路の第1実施形態の構成について、図1を参照して説明する。
この第1実施形態に係る位相比較回路は、入力データ(入力信号)と比較クロックの立ち上がりエッジ同士を比較するものであり、図1に示すように、第1の論理回路21と、固定遅延回路22と、固定遅延回路23と、固定遅延回路24と、第2の論理回路25と、入力端子26〜28と、出力端子29、30とを備えている。
【0024】
第1の論理回路21は、比較クロックを反転した反転比較クロックにより入力データをラッチするとともに、そのラッチした入力データを反転出力するDフリップフロップ(DFF)211と、入力データとDフリップフロップ211の反転出力との論理積演算を行う2入力のアンド回路212と、からなる。
Dフリップフロップ211は、そのデータ入力端子(D)がランダムな入力データが入力される入力端子26に接続されるとともに、そのクロック入力端子(C)が反転比較クロックが入力される入力端子27に接続されている。また、Dフリップフロップ211は、その反転出力端子(QN)がアンド回路212の一方の入力端子に接続され、アンド回路212の他方の入力端子は入力端子26に接続されている。さらに、アンド回路212の出力側は固定遅延回路22の入力側に接続されている。
【0025】
固定遅延回路22は、アンド回路212の出力信号UP−Bを所定の遅延時間だけ遅延させる回路であり、その遅延させた出力信号が比較クロックの位相を進めるアップ信号UPとして出力端子29から出力されるようになっている。
固定遅延回路23は、反転比較クロックを所定の遅延時間だけ遅延させる回路であり、その遅延させた反転比較クロックを第2論理回路25のDフリップフロップ252のクロック入力端子(C)に供給するようになっている。
【0026】
固定遅延回路24は、比較クロックを所定の遅延時間だけ遅延させる回路であり、その遅延させた比較クロックを第2論理回路25のDフリップフロップ251のクロック入力端子(C)に供給するようになっている。
ここで、固定遅延回路22〜24は、その各遅延時間が同一の時間になるように構成されている。
【0027】
第2の論理回路25は、固定遅延回路24で遅延された比較クロックにより入力データをラッチして出力するDフリップフロップ251と、固定遅延回路23で遅延された反転比較クロックによりDフリップフロップ251のラッチデータをラッチするとともに、そのラッチしたデータを反転出力するDフリップフロップ252と、Dフリップフロップ251のラッチデータとDフリップフロップ252の反転出力端子(QN)の出力との論理積演算を行う2入力のアンド回路253とからなり、アンド回路253の出力信号が比較クロックの位相を遅らせるダウン信号DNとして出力端子30から出力されるようになっている。
【0028】
Dフリップフロップ251は、そのデータ入力端子(D)が入力端子26に接続されるとともに、そのクロック入力端子(C)が固定遅延回路24の出力側に接続されている。また、Dフリップフロップ251は、その出力端子(Q)がDフリップフロップ252のデータ入力端子(D)に接続されとともに、アンド回路253の一方の入力端子に接続されている。
【0029】
Dフリップフロップ252は、そのクロック入力端子(C)が固定遅延回路23の出力側に接続されるとともに、その反転出力端子(QN)がアンド回路253の他方の入力端子に接続されている。また、アンド回路253の出力側は、出力端子30に接続されている。
次に、このような構成からなる第1実施形態の動作例について、図2を参照して説明する。
【0030】
いま、時刻t1において、例えば、図2(A)に示すように入力データが立ち上がるとともに、図2(B)に示すように比較クロックが立ち上がったものとする。
このように時刻t1で入力データが立ち上がると、このときDフリップフロップ211の反転出力N1は、図2(F)に示すようにHレベルにある。このため、アンド回路212の出力信号UP−Bは図2(G)に示すように立ち上がり、この出力信号UP−Bは固定遅延回路22で遅延され、固定遅延回路22から出力されるアップ信号UPは図2(H)に示すようになる。
【0031】
時刻t2において、固定遅延回路24の出力(遅延された比較クロック)が図2(C)に示すように立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ251の出力N2は図2(I)に示すように立ち上がる。このとき、Dフリップフロップ252の出力N3は、図2(J)に示すようにHレベルにあるので、アンド回路253から出力されるダウン信号DNは、図2(K)に示すように立ち上がる。
【0032】
時刻t3において、図2(D)に示すように反転比較クロックが立ち上がると、このときにはDフリップフロップ211の反転出力N1が図2(F)のように立ち下がり、これに伴ってアンド回路212の出力信号UP−Bは図2(G)に示すように立ち下がる。
時刻t4において、固定遅延回路23の出力が図2(E)に示すように立ち上がると、Dフリップフロップ252の反転出力N3が図2(J)に示すように立ち下がるので、これに伴いアンド回路253からのダウン信号DNは図2(K)に示すように立ち下がる。
【0033】
その後、時刻t5において、図2(A)に示すように入力データが立ち上がるとともに、図2(B)に示すように比較クロックが立ち上がったものとする。
このように時刻t5において入力データが立ち上がると、このときDフリップフロップ211の反転出力N1は、図2(F)に示すようにHレベルにある。このため、アンド回路212の出力信号UP−Bは、図2(G)に示すように立ち上がる。
【0034】
時刻t6において、固定遅延回路24の出力が図2(C)に示すように立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ251の出力N2は図2(I)に示すように立ち上がる。このとき、Dフリップフロップ252の出力N3は、図2(J)に示すようにHレベルにあるので、アンド回路253から出力されるダウン信号DNは、図2(K)に示すように立ち上がる。
【0035】
時刻t7において、図2(D)に示すように反転比較クロックが立ち上がると、このときにはDフリップフロップ211の反転出力N1が図2(F)のように立ち下がり、これに伴ってアンド回路212の出力信号UP−Bは図2(G)に示すように立ち下がる。
時刻t8において、固定遅延回路23の出力が図2(E)に示すように立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ252の反転出力N3が図2(J)に示すように立ち下がるので、これに伴いアンド回路253からのダウン信号DNは図2(K)に示すように立ち下がる。
【0036】
その後、時刻t9において、図2(A)に示すように入力データが立ち上がると、このときDフリップフロップ211の反転出力N1は、図2(F)に示すようにHレベルにあるので、アンド回路212の出力信号UP−Bは、図2(G)に示すように立ち上がる。
時刻t10において図2(B)に示すように比較クロックが立ち上がり、さらに時刻t11において、固定遅延回路24の出力が図2(C)に示すように立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ251の出力N2は図2(I)に示すように立ち上がる。このとき、Dフリップフロップ252の出力N3は、図2(J)に示すようにHレベルにあるので、アンド回路253から出力されるダウン信号DNは、図2(K)に示すように立ち上がる。
【0037】
時刻t12において、図2(D)に示すように反転比較クロックが立ち上がると、このときにはDフリップフロップ211の反転出力N1が図2(F)のように立ち下がり、これに伴ってアンド回路212の出力信号UP−Bは図2(G)に示すように立ち下がる。
時刻t13において、固定遅延回路23の出力が図2(E)に示すように立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ252の反転出力N3が図2(J)に示すように立ち下がるので、これに伴いアンド回路253からのダウン信号DNは図2(K)に示すように立ち下がる。
【0038】
以上のような動作により、入力データと比較クロックとの立ち上がりエッジ同士が比較され、両者に位相のずれがある場合には(図2のcの場合)、アップ信号UPとダウン信号DNとは、図2(H)(K)に示すようにそのずれに応じて異なるタイミングで異なる時間だけ生成される。
一方、その両者に位相のずれがない場合には(図2のa、bの場合)、アップ信号UPとダウン信号DNとは、図2(H)(K)に示すように所定の同一のタイミングで所定の同一時間だけ生成される。このため、この第1実施形態によれば、アップ信号UPとダウン信号DNはキャンセルされて両信号の出力が禁止されるので、PLL回路に適用した場合にその動作の安定化に寄与することができる。
【0039】
次に、本発明の位相比較回路の第2実施形態の構成について、図3を参照して説明する。
この第2実施形態に係る位相比較回路は、入力データの立ち上がりと立ち下がりの両エッジを、比較クロックの立ち上がりエッジと比較するものであり、図3に示すように、第1の論理回路31と、固定遅延回路22と、固定遅延回路23と、固定遅延回路24と、第2の論理回路32と、入力端子26〜28と、出力端子29、30とを備えている。
【0040】
第1の論理回路31は、比較クロックを反転した反転比較クロックにより入力データをラッチするとともに、そのラッチした入力データを出力するDフリップフロップ311と、入力データとDフリップフロップ311のラッチ出力との排他的倫理和演算を行う2入力の排他的論理和回路312とからなる。
Dフリップフロップ311は、そのデータ入力端子(D)が入力端子26に接続されるとともに、そのクロック入力端子(C)が入力端子27に接続されている。また、Dフリップフロップ311は、その出力端子(Q)が排他的論理和回路312の一方の入力端子に接続され、排他的論理和回路312の他方の入力端子は入力端子26に接続されている。さらに、排他的論理和回路312の出力側は固定遅延回路22の入力側に接続されている。
【0041】
固定遅延回路22は、排他的論理和回路312の出力信号UP−Bを所定の遅延時間だけ遅延させる回路であり、その遅延させた出力信号がアップ信号UPとして出力端子29から出力されるようになっている。
固定遅延回路23は、反転比較クロックを所定の遅延時間だけ遅延させる回路であり、その遅延させた反転比較クロックを第2論理回路32のDフリップフロップ322のクロック入力端子(C)に供給するようになっている。
【0042】
固定遅延回路24は、比較クロックを所定の遅延時間だけ遅延させる回路であり、その遅延させた比較クロックを第2論理回路32のDフリップフロップ321のクロック入力端子(C)に供給するようになっている。
ここで、固定遅延回路22〜24は、その各遅延時間が同一の時間になるように構成されている。
【0043】
第2の論理回路32は、固定遅延回路24で遅延された比較クロックにより入力データをラッチして出力するDフリップフロップ321と、固定遅延回路23で遅延された反転比較クロックによりDフリップフロップ321のラッチデータをラッチして出力するDフリップフロップ322と、Dフリップフロップ321のラッチデータとDフリップフロップ322のラッチデータとの排他的論理和演算を行う2入力の排他的論理和演算回路323とからなり、排他的論理和演算回路323の出力信号が比較クロックの位相を遅らせるダウン信号DNとして出力端子30から出力されるようになっている。
【0044】
Dフリップフロップ321は、そのデータ入力端子(D)が入力端子26に接続されるとともに、そのクロック入力端子(C)が固定遅延回路24の出力側に接続されている。また、Dフリップフロップ321は、その出力端子(Q)がDフリップフロップ322のデータ入力端子(D)に接続されとともに、排他的論理和回路323の一方の入力端子に接続されている。
【0045】
Dフリップフロップ322は、そのクロック入力端子(C)が固定遅延回路23の出力側に接続されるとともに、その出力端子(Q)が排他的論理和回路323の他方の入力端子に接続されている。また、排他的論理和回路323の出力側は、出力端子30に接続されている。
次に、このような構成からなる第2実施形態の動作例について、図4を参照して説明する。
【0046】
いま、時刻t1において、例えば、図4(A)に示すように入力データが立ち上がるとともに、図4(B)に示すように比較クロックが立ち上がったものとする。
このように入力データが立ち上がると、このときDフリップフロップ311の出力N1は、図4(F)に示すようにLレベルにある。このため、排他的論理和回路312の出力信号UP−Bは図4(G)に示すように立ち上がり、この出力信号UP−Bは固定遅延回路22で遅延され、固定遅延回路22から出力されるアップ信号UPは図4(H)に示すようになる。
【0047】
時刻t2において、固定遅延回路24の出力(遅延された比較クロック)が図4(C)に示すように立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ321の出力N2は図4(I)に示すように立ち上がる。このとき、Dフリップフロップ322の出力N3は、図4(J)に示すようにLレベルにあるので、排他的論理和回路323から出力されるダウン信号DNは図4(K)に示すように立ち上がる。
【0048】
時刻t3において、図4(D)に示すように反転比較クロックが立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ311の出力N1が図4(F)のように立ち上がり、これに伴って排他的論理和回路312の出力信号UP−Bは図4(G)に示すように立ち下がる。
時刻t4において、固定遅延回路23の出力が図4(E)に示すように立ち上がると、Dフリップフロップ322の出力N3が図4(J)に示すように立ち上がるので、これに伴い排他的論理和回路323からのダウン信号DNは図4(K)に示すように立ち下がる。
【0049】
その後、時刻t5において、図4(A)に示すように入力データが立ち下がるとともに、図4(B)に示すように比較クロックが立ち上がると、その入力データの立ち下がりで、排他的論理和回路312の出力信号UP−Bは図4(G)に示すように立ち上がる。
時刻t6において、固定遅延回路24の出力が図4(C)に示すように立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ321の出力N2は図4(I)に示すように立ち下がる。このとき、Dフリップフロップ322の出力N3は、図4(J)に示すようにHレベルにあるので、排他的論理和回路323から出力されるダウン信号DNは図4(K)に示すように立ち上がる。
【0050】
時刻t7において、図4(D)に示すように反転比較クロックが立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ311の出力N1が図4(F)のように立ち下がり、これに伴って排他的論理和回路312の出力信号UP−Bは図4(G)に示すように立ち下がる。
時刻t8において、固定遅延回路23の出力が図4(E)に示すように立ち上がると、Dフリップフロップ322の出力N3が図4(J)に示すように立ち下がるので、これに伴い排他的論理和回路323から出力されるダウン信号DNは図4(K)に示すように立ち下がる。
【0051】
その後、時刻t9において、図4(A)に示すように入力データが立ち上がると、その入力データの立ち上がりで、排他的論理和回路312の出力信号UP−Bは図4(G)に示すように立ち上がる。
時刻t10において、図4(B)に示すように比較クロックが立ち上がり、さらに時刻t11において、固定遅延回路24の出力が図4(C)に示すように立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ321の出力N2は図4(I)に示すように立ち上がる。このとき、Dフリップフロップ322の出力N3は、図4(J)に示すようにLレベルにあるので、排他的論理和回路323から出力されるダウン信号DNは図4(K)に示すように立ち上がる。
【0052】
時刻t12において、図4(D)に示すように反転比較クロックが立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ311の出力N1が図4(F)のように立ち上がり、これに伴って排他的論理和回路312の出力信号UP−Bは図4(G)に示すように立ち下がる。
時刻t13において、固定遅延回路23の出力が図4(E)に示すように立ち上がると、Dフリップフロップ322の出力N3が図4(J)に示すように立ち上がるので、これに伴い排他的論理和回路323から出力されるダウン信号DNは図4(K)に示すように立ち下がる。
【0053】
その後、時刻t14において、図4(B)に示すように比較クロックが立ち上がり、さらに時刻t15において、固定遅延回路24の出力が図4(C)に示すように立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ321の出力N2は図4(I)に示すように立ち下がる。このとき、Dフリップフロップ322の出力N3は、図4(J)に示すようにHレベルにあるので、排他的論理和回路323から出力されるダウン信号DNは図4(K)に示すように立ち上がる。
【0054】
時刻t16において、図4(A)に示すように入力データが立ち下がると、その入力データの立ち下がりで、排他的論理和回路312の出力信号UP−Bは図4(G)に示すように立ち上がる。
時刻t17において、図4(D)に示すように反転比較クロックが立ち上がると、この立ち上がりでDフリップフロップ311の出力N1が図4(F)のように立ち下がり、これに伴って排他的論理和回路312の出力信号UP−Bは図4(G)に示すように立ち下がる。
【0055】
時刻t18において、固定遅延回路23の出力が図4(E)に示すように立ち上がると、Dフリップフロップ322の出力N3が図4(J)に示すように立ち下がるので、これに伴い排他的論理和回路323から出力されるダウン信号DNは図4(K)に示すように立ち下がる。
以上のような動作により、入力データの立ち上がりおよび立ち下がりの両エッジと、比較クロックの立ち上がりエッジとが比較され、両者に位相のずれがある場合には(図4のc、dの場合)、アップ信号UPとダウン信号DNとは、図4(H)(K)に示すようにそのずれに応じて異なるタイミングで異なる時間だけ生成される。
【0056】
一方、その両者に位相のずれがない場合には(図4のa、bの場合)、アップ信号UPとダウン信号DNとは、図4(H)(K)に示すように所定の同一のタイミングで所定の同一時間だけ生成される。このため、この第2実施形態によれば、アップ信号UPとダウン信号DNはキャンセルされて両信号の出力が禁止されるので、PLL回路に適用した場合にその動作の安定化に寄与することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、入力信号と比較クロックに位相のずれがない場合には、アップ信号とダウン信号はキャンセルされて両信号の出力が禁止されるので、PLL回路に適用した場合にその動作の安定化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の位相比較回路の第1実施形態の構成例を示す回路図である。
【図2】その第1実施形態の動作を説明するタイムチャートである。
【図3】本発明の位相比較回路の第2実施形態の構成例を示す回路図である。
【図4】その第1実施形態の動作を説明するタイムチャートである。
【図5】従来の位相比較回路の動作を概念的に説明する説明図である。
【図6】T/2ディレイ方式の位相周波数比較回路を含むPLL回路の全体の構成図である。
【図7】ぞのPLL回路の動作を説明する波形図である。
【図8】排他的論理和回路を用いた位相比較回路の動作を説明する図である。
【図9】ホッジ位相検出回路の構成を示す回路図である。
【図10】ホッジ位相検出回路の動作を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
21、31 第1の論理回路
22〜24 固定遅延回路
25、32 第2の論理回路
26〜28 入力端子
29、30 出力端子
211、251、252 Dフリップフロップ
311、321、322 Dフリップフロップ
212、253 アンド回路
312、322 排他的論理和回路
Claims (3)
- 入力信号と比較クロックの位相を比較し、その比較の結果に応じて、前記比較クロックの位相を進めるアップ信号と、その位相を遅らせるダウン信号とをそれぞれ生成する位相比較回路であって、
前記比較クロックを反転した反転比較クロックで前記入力信号をラッチし、このラッチ信号および前記入力信号に基づいて第1の信号を生成して出力する第1の論理回路と、
前記第1の信号を所定時間遅延して前記アップ信号として出力する第1の遅延回路と、
前記比較クロックを前記第1の遅延回路の遅延時間と同じ遅延時間だけ遅延する第2の遅延回路と、
前記第2の遅延回路で遅延された比較クロックで前記入力信号をラッチして第2の信号を生成するとともに、前記反転比較クロックを前記第2の遅延回路の遅延時間と同じ遅延時間だけ遅らせたクロックで前記第2の信号をラッチして第3の信号を生成し、前記第2の信号および前記第3の信号に基づいて前記ダウン信号を生成出力する第2の論理回路と、
を備えるようにしたことを特徴とする位相比較回路。 - 前記第1の論理回路は、
前記反転比較クロックで前記入力信号をラッチしこのラッチ信号を反転出力する第1のDフリップフロップと、
前記入力信号と第1のDフリップフロップの反転出力の論理積演算を行う第1のアンド回路とを含み、
前記第2の論理回路は、
前記第2の遅延回路で遅延された比較クロックで前記入力信号をラッチして出力する第2のDフリップフロップと、
前記反転比較クロックを前記第2の遅延回路の遅延時間と同じ遅延時間だけ遅らせたクロックで前記第2のDフリップフロップのラッチ出力をラッチし、そのラッチ信号を反転出力する第3のDフリップフロップと、
前記第2のDフリップフロップのラッチ出力と前記第3のDフリップフロップの反転出力の論理積演算を行う第2のアンド回路と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の位相比較回路。 - 前記第1の論理回路は、
前記反転比較クロックで前記入力信号をラッチして出力する第1のDフリップフロップと、
前記入力信号と第1のDフリップフロップのラッチ出力の排他的論理和演算を行う第1の排他的論理和演算回路とを含み、
前記第2の論理回路は、
前記第2の遅延回路で遅延された比較クロックで前記入力信号をラッチして出力する第2のDフリップフロップと、
前記反転比較クロックを前記第2の遅延回路の遅延時間と同じ遅延時間だけ遅らせたクロックで前記第2のDフリップフロップのラッチ出力をラッチして出力する第3のDフリップフロップと、
前記第2のDフリップフロップのラッチ出力と前記第3のDフリップフロップのラッチ出力の排他的論理和演算を行う第2の排他的論理和演算回路と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の位相比較回路。
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