JP4361661B2 - 線幅測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、線幅測定方法に関し、より詳しくは、微細なパターンの線幅を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査型電子顕微鏡(CD−SEM)によるパターンの線幅測長方法としては、電子線走査範囲(Field Of View)内に入射電子を走査させながら照射し、試料上から発生した二次電子量又は反射電子の輝度を変換してディスプレイに表示していた。この輝度レベルを用いて画像データ、線幅データを得るのが一般的な走査型電子顕微鏡である。
【0003】
そのような走査型電子顕微鏡を用いて半導体集積回路装置の特性を管理する場合には、フォトレジストのパターン形成後、即ち各クリティカルレイヤー毎に、パターンの線幅の出来上がりが設計基準内に形成されているか否かの確認作業を行うことが一般に採用されている。
二次電子を使用した線幅の管理方法は、図1に示すフローチャートに従って行われる。
【0004】
図1において、半導体ウェハ上に形成されたレジストパターンの所定範囲をディスプレイに表示した後に、その表示範囲内の測長ポイントに照準を当てて電子を照射し(図1の(a))、測長ポイントから反射された二次電子(SE)に基づいて輝度分布の波形(L1W(se))を取得する。そして、輝度波形の高レベル部分の幅を線幅(L1(se))と判断する(図1の(b))。その線幅が誤差の範囲内にあるか否か判断し(図1の(c))、誤差の範囲内であれば、次のエッチング工程に移る(図1の(d))。また、誤差以上の線幅であれば、レジストパターン形成の処理工程に戻される(図1の(e))。
【0005】
ところで、超微細パターンを形成するため、フォトリソグラフィー工程では、化学増幅型レジストを使用するパターン形成が行われることがあるが、化学増幅型レジストはその性質上、環境汚染等の影響を受けやすく、レジスト断面形状が所望の形状から変化してしまう。
そのような化学増幅型レジスト断面形状の変形については、特開平6−95397号公報に記載がある。
【0006】
一般的なポジ型の化学増幅型レジストのパターン形成方法を一例に挙げて説明する。
まず、ウェハ上にポジ型の化学増幅型レジストを塗布し、その後、化学増幅型レジストに光(DUV)を照射する。化学増幅型レジスト中には酸発生剤(PAG)が含まれているので、光が照射された部分では酸発生剤が光により反応して酸が発生する。この発生酸は、レジストポリマーの保護基を外す作用があり、発生酸付近のポリマーは、酸の影響により保護基が外される。保護基が外れた部分は、アルカリ可溶になるため、後の現像液処理時に除去されてしまう。
【0007】
以上のような手法を用いて、例えば図2(a),(b) に示すような化学増幅型レジストのパターン101、102がシリコン基板103上に形成される。その化学増幅型レジストのパターン101のエッジが図2(a) に示すように垂直になっている場合には精度良いパターンの測長が可能であり、その二次電子の反射量の変化は図2(a) に示すような波形となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような化学増幅型レジストは、安定したパターン形成環境を提供することが難しく、以下のような不具合を生じる。
第1に、化学増幅型レジスト下部で発生した酸が、基板面からの塩基成分の影響によって中和されてしまい、その部分の脱保護反応が発生しなくなることである。第2に、化学増幅型レジスト上方からの塩基成分、例えばアミンの影響によって、発生した酸が中和されてしまい、その部分の脱保護反応が発生しなくなることである。なお、それらの問題は、代表的ものである。
【0009】
第1の問題に関しては、化学増幅型レジストのパターン形状が順テーパ、若しくは裾引き形状となって、その後の、走査型電子顕微鏡による線幅測長時にその情報が得られ、走査型電子顕微鏡によれば裾を含んだ線幅測定・管理が可能である。
しかし、第2の問題に関しては、走査型電子顕微鏡による断面形状観察・管理が不可能な状態となる。これは、レジストのパターンの断面形状が逆テーパ形状、又は図2(b) に示すような上部T形状(以下、T−top形状)となるため、レジストパターン102の底部が上部の張り出し102aの影響によって隠れてしまい、その底部の測長は不可能となるからである。走査型電子顕微鏡で捕らえられる二次電子は、図2(b) の波形に示すように電子が当たった表面部のパターン情報しか得られないために、その下部にあるパターン情報は得られない。
【0010】
つまり、化学増幅型レジストのパターン102の断面がT−top形状であっても、そのような形状であるという判断が従来技術ではできないために、そのT−top形状の上面だけの形状が線幅規格に入っていても、そのレジストパターンをマスクにしてその下の膜をエッチングした後に、大幅な線幅シフトが発生する。
【0011】
そのような問題は、再生処理や歩留低下をひきおこす。
また、レジストパターン同士が繋がった箇所がフォトリソグラフィー工程で発見された場合、そのウェハ又はそのロットは再処理されるが、エッチング処理後に全く問題がないレジストパターンであれば、これを再生する必要性はない。
即ち、T−top形状の影響がレジストパターンに対してクリティカルかどうかの判断が現在の技術では不可能なので、ロット再生の回数が多くなるといった問題が生じてしまう。
【0012】
そのような問題の解決手段として次のような手法も考えられるが、有効な手段とはならない。
例えば、走査型電子顕微鏡の電子の加速電圧を一般的な400〜800Vから10kV程度まで上げれば、電子の透過性が増し、内部の情報も観測が可能であるが、高加速条件下では、レジストの変質、昇華が生じたり、デバイスに悪影響を与えるので、半導体製造には使用できない。
【0013】
なお、そのような問題は、化学増幅型レジストに生じやすいが、他の材料のレジストにも起こりうることである。
本発明の目的は、レジストに逆メサ断面形状又はパターン繋がりが生じている場合に、そのパターンがクリティカルな問題かどうかを判断する処理を含む線幅測定方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、走査型電子顕微鏡において、試料上に形成されてサイズが既知の第1パターンを、第1の測長ポイントで、二次電子に基づいて測長して第1の測長値を取得し、第1の測長ポイントで反射電子により第1パターンを測長して第2の測長値を取得した後に、第1の測長値と第2の測長値を比較してそれら差である第1の計算値を算出し、走査型電子顕微鏡において、試料上に形成されて測長対象となる第2パターンを、第2の測長ポイントで、走査型電子顕微鏡により二次電子に基づいて測長して第3の測長値を取得し、第2の測長ポイントで反射電子により第2パターンを測長して第4の測長値を取得した後に、第3の測長値と第4の測長値を比較してそれらの差である第2の計算値を算出し、第2の計算値から第1の計算値を差し引いた差分を算出し、当該差分が許容値内のときは、第2パターンの形状状態が良好であると判断し、当該差分が0又は負のときは第2パターンの形状が順テーパと判断し、当該差分が正のときは第2パターンの形状が逆テーパと判断することを含む線幅測定方法によって解決される
【0015】
なお、上記した第1の計算値と上記した第2の計算値の差分を求め、上記した第3の値からその差分を引いた値を第2の測長ポイントでの第2パターンの測長値としてもよい。また、上記した課題は、走査型電子顕微鏡内において、試料上に形成されてサイズが既知の第1パターンについて、第1の測長ポイントで二次電子に基づいて第1の二次電子SEMイメージを取得し、第1の測長ポイントで反射電子に基づいて第1の反射電子SEMイメージを取得し、第1の二次電子SEMイメージと第1の反射電子SEMイメージを比較して第1のマッチング率を算出し、走査型電子顕微鏡内において、試料上に形成されて測長対象となる第2パターンについて、第2の測長ポイントで二次電子に基づいて第2の二次電子SEMイメージを取得し、第2の測長ポイントで反射電子に基づいて第2の反射電子SEMイメージを取得し、第2の二次電子SEMイメージと第2の反射電子SEMイメージを比較して第2のマッチング率を算出し、第1のマッチング率と第2のマッチング率との差分を求め、当該差分が設定値よりも小さいときは前記第2パターンの形状が良好で垂直型と判断し、当該差分が前記設定値よりも大きいときは前記第2パターンの形状が不良であると判断することを含む線幅測定方法によって解決される。
【0016】
次に、本発明の作用について説明する。
本発明によれば、サイズが既知の第1パターンについて二次電子による線幅の測長と、反射電子による線幅の測長を行い、それらの差である第1の計算値を求めた後に、線幅測長管理対象となる第2パターンについて、二次電子による線幅の測長と、反射電子による線幅の測長を行い、それらの差である第2の計算値を求めて、ついで、第1の計算値と第2の計算値を比較して比較結果を出し、この比較結果に基づいて第2パターンの形状状態を測長するようにしている。
【0017】
同じパターンを二次電子と反射電子により測長するとそれらの測長値に差が現れることが多いが、その差には、パターン上面の幅とそれよりも下方の幅の差の成分が含まれるので、基準となる第1パターンの二次電子と反射電子の差を知ることにより、測長対象である第2パターンの下部の幅が予測できる。
これにより、第2パターンがクリティカルな問題かどうかが容易に判断され、しかも、断面形状の如何にかかわらず、パターンの下部の寸法が自動的に正確に測定される。
【0018】
その第1の計算値と第2の計算値の比較方法として、それらの差分ΔTLを求める方法を採用する場合には、その差分ΔTLを第2パターンの二次電子による測長値から差し引いてその結果を実際の測長値としてもよい。
これにより、第2パターンがT−top形状の場合には、その上面の測長値からその差分ΔTLを差し引くことにより、そのパターンの下部、底部の寸法を測長することができる。
【0019】
また、上記した第2パターンの測長値を第2パターンの設計値とその設計値の許容値と比較し、測長値と設計値の差が許容値の範囲内の場合には、次の工程に移行することを画面上に表示し、測長値と設計値の差が許容値の範囲外の場合には、再処理することを画面上に表示すると、作業者は画面上の表示に従ってロットを処理することができ、作業者の操作ミスを低減させて作業効率を向上することができる。
【0020】
また、別の本発明によれば、既知の第1パターンについて二次電子によるSEMイメージと反射電子によるSEMイメージを取得し、それらのSEMイメージのマッチング率(重ね率)を算出し、ついで、線幅測長管理対象となる第2パターンについて、二次電子によるSEMイメージと反射電子によるSEMイメージを取得し、それらのSEMイメージのマッチング率(重ね率)を算出し、そして、それら2つのマッチング率を比較することにより、第2パターンの形状状態を算出するようにしている。
【0021】
そのように二次電子と反射電子の各SEMイメージのマッチング率は、パターン上面の幅とそれよりも下方の半導体の差が反映されるので、基準となる第1パターンのマッチング率と測長対象の第2パターンのマッチング率の比較により、下部の幅を正確に予測し易くなる。これにより、測長パターンの形状状態と形状エラーを判断できることになる。
【0022】
反射電子に基づいてSEMイメージを取得する場合に、電子ビームの任意の加速電圧を変化させて設計値との比較を行ってもよい。これは、反射電子の透過度は加速電圧に依存するために、任意の加速電圧とその反射電子情報を用いることで、必要とする深さ方向の情報を得ることができる。ただし、電子が透過しやすい材料、例えばレジストからパターンが形成されている場合において好ましい結果が得られる。
【0023】
ところで、上記した既知のパターンについては、管理しようとする設計線幅、即ち目標線幅の1.1倍以上の線幅を有し、ピッチ幅も1.1倍以上の幅のものが選択されることが好ましい。これは、管理測定パターンよりもパターンルールが緩いパターンを測長することにより、T−topの影響具合を確認するためには好ましいからであり、これにより、予め潜在的にもつT−topの影響具合の確認が容易になる。
【0024】
また、第1パターンの測長ポイントに電子ビームを照射して得られた二次電子に基づいて第1の波形を求め、第2パターンの測長ポイントに電子ビームを照射して得られた二次電子に基づいて第2の波形を求め、第1の波形と第2の波形のそれぞれのエッジの傾きを算出し、この傾きと電子ビームの最小スポット径とから第2パターンが順テーパ形状か逆テーパ形状かを判断するステップを含むようにしてもよい。
【0025】
即ち、既知の第1パターンの側面が基板面に対して垂直であっても、二次電子を用いて測定されるその側面の角度は電子ビームのスポット径の大きさによって異なっており、そのスポット径が小さくなればなるほどその側面の角度の測定精度が高くなってくる。例えば、電子ビームを最小スポット径にした場合に、側面が垂直なパターンについては、その側面は90゜よりも僅かに小さな角度で測定される。従って、電子ビームスポット径を最小にした場合のパターン側部の垂直角度の測定誤差を予め知ることにより、既知のパターンの側面の実際の角度が逆テーパか順テーパになっているかを容易に判断し易くなる。
【0026】
これにより、反射電子を用いずに、一般的に行われている二次電子により、測定対象となるパターン形状が順テーパか逆テーパかの判断が容易になる。なお、反射電子は、パターンが順・逆テーパ形状に関わらず、パターンを透過してイメージを出すので、順テーパの場合には反対に誤差が生じてしまう。
以上の測長方法は、半導体装置の製造工程において、例えばレジストパターンの測長などに用いられる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
以下に述べる本発明の複数の実施形態に使用される走査型電子顕微鏡は、例えば図3に示すような構成を有している。
図3において、走査電子顕微鏡3の走査電子部1Bは、電子ビーム進行方向に向かって電子銃1aとコンデンサレンズ1bと偏向コイル1cと対物レンズ1dと移動ステージ1fとを有し、電子銃1aから照射された荷電粒子をコンデンサレンズ1b、偏向コイル1c、対物レンズ1dを通して移動ステージ1f上の試料Wに照射するようになっている。
【0028】
また、荷電粒子が照射されて試料Wから出た二次電子又は反射電子の量は、電子検出器1gによって検出され、その検出量は増幅器によって変換されて画像表示部1Cで表示される。また、偏向コイル1cの電子偏向量と画像表示部1Cの画像スキャン量は制御部1Aによって制御される。
制御部1Aには、測長を実行するための自動測長シーケンスのプログラムが格納されている。その自動測長シーケンスは、二次電子による測長と反射電子による測長のための一連の動作を行わせるものであり、例えば、以下の実施形態で説明するような手順を遂行するプログラムが格納されている。
【0029】
また、試料Wは、図4(a) に示すように、半導体ウェハ10の上に膜12が形成され、その上にレジストパターン13a,13b,13cが形成されたものを使用する。その試料Wの一部は図4(b) に示すような平面形状となっている。
レジストパターン13a,13b,13cのうち第1のレジストパターン13aは既知の寸法であって、第2及び第3のレジストパターン13b,13cは、管理の対象となっている。管理は、パターンの測長、形状状態測定等が含まれる概念である。
【0030】
ここで、第1のレジストパターン13aは、レジストの露光、現像によって底部で高精度の線幅が得られるパターンであってパターンサイズの大きな線幅、例えば管理対象パターンの目標線幅の1.1倍以上の線幅であって間隔も管理対象パターンの1.1倍以上のパターンか、或いは孤立パターンとする。
なお、第1、第2及び第3のレジストパターン13a,13b,13cは、以下の実施形態では化学増幅型レジストから形成されているものについて説明しているが、これに限らずノボラック、その他の材料から構成されていてもよい。
(第1の実施の形態)
本発明の第1実施形態によるパターン測長とその後の処理を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0031】
試料W上のパターンの線幅を測定するために、まず、図3に示した走査型電子顕微鏡の移動ステージ1f上に試料Wを載せる。
最初に、第1のレジストパターンの測長を次のような方法で行う。
まず、図4(a) 、図5の(a) に示すように、測長箇所を第1のレジストパターン13aに合わせる。その測長箇所を第1測長ポイントP1 とする。
【0032】
そして、図5の(b) に示すように、電子ビームを第1測長ポイントP1 を横断するように走査させると、試料Wから出た二次電子(SE)は電子検出器1gによって検出される。
制御部1Aは、電子検出器1gによって検出された二次電子の量に基づいて輝度波形L1W(se)を作成し、輝度波形データとして取り込む。そして、輝度波形データから任意のアルゴリズムによって線幅が決定され、この線幅を第1のレジストパターンの第1の線幅L1(se)とする。
【0033】
これにより、二次電子に基づく第1の測長ポイントの線幅が測長される。例えば、図6(a) に示すように、二次電子に基づく輝度波形L1W(se)は、第1のレジストパターン13aの最上面の幅を反映した形状になる。
続いて、図5の(c) に示すように、再び電子ビームを第1の測長ポイントP1 の全く同じ箇所に照射すると、試料Wから反射された反射電子(BSE)は電子検出器1gによって検出される。
【0034】
制御部1Aは、電子検出器1gによって検出された反射電子の量に基づいて輝度波形L1W(bse) を作成し、これを輝度波形データとして取り込む。そして、輝度波形データから任意のアルゴリズムによって線幅が決定され、この線幅を第1のレジストパターンの第2の線幅L1(bse) とする。
これにより、反射電子に基づく第1の測長ポイントの線幅が測長される。
【0035】
例えば、図6(a) に示すように、第1のレジストパターン13aからの反射電子に基づく輝度波形L1W(bse) の線幅L1(bse) は、第1のレジストパターン13aの最上面が反映されずに第1の線幅L1(se)と異なることがある。
なお、反射電子のエネルギーと二次電子のエネルギーは相違するので、制御部1Aはエネルギーの相違によって反射電子か二次電子かを判別する。
【0036】
以上のように、第1のレジストパターン13aにおける二次電子による線幅の測長と、反射電子による線幅の測長を終えた後に、図5の(d) に示すように、第1の線幅L1(se)から第2の線幅L1(bse) を差し引き、その値を第1のオフセット値(ΔL1)とする。
次に、第2又は第3のレジストパターン13b、13cの測長を次のような方法で行う。
【0037】
まず、図5の(e) に示すように、図4(b) の第2又は第3のレジストパターン13b、13cに測長ポイントを合わせる。その測長箇所を第2の測長ポイントP2 とする。
そして、図5の(f) に示すように、電子ビーム(SE)を第2測長ポイントP2 内で走査し、これにより試料Wから出た二次電子は電子検出器1gによって検出される。
【0038】
制御部1Aは、図6(b) 又は図6(c) に示すように電子検出器1gによって検出された二次電子の量に基づいて輝度波形L2W(se)を作成し、輝度波形データとして取り込む。そして、輝度波形データから任意のアルゴリズムによって線幅が決定され、この線幅を、第2又は第3のレジストパターン13bの第1の線幅L2(se)とする。
【0039】
これにより、二次電子に基づく第2の測長ポイントP2 の線幅が測長される。例えば、図6(b) 又は図6(c) に示すように、第2又は第3のレジストパターン13b,13cの輝度波形の第1の線幅L2(se)はパターンの最上面を反映した形状となる。
続いて、図5の(g) に示すように、再び電子ビームを第2の測長ポイントP2 の全く同じ箇所に照射し、これにより試料Wから出た反射電子(BSE)は電子検出器1gによって検出される。制御部1Aは、電子検出器1gによって検出された反射電子の量に基づいて輝度波形L2W(bse) として変換され、輝度波形データとして取り込まれる。そして、輝度波形データから任意のアルゴリズムによって線幅が決定され、この線幅を第2又は第3のレジストパターン13b,13cの第2の線幅L2(bse) とする。
【0040】
これにより、反射電子に基づく第2の測長ポイントP2 の線幅が測長される。図6(b),(c) に示すように、第2又は第3のレジストパターン13b,13cからの反射電子に基づく輝度波形L2W(bse) の第2の線幅L2(bse) は、第2又は第3のレジストパターン13b,13cの最上面を反映せずに第1の線幅L2(se)と異なる場合もある。
【0041】
以上のように、第2又は第3のレジストパターン13b、13cにおける二次電子による線幅の測長と、反射電子による線幅の測長を終えた後に、図5の(h) に示すように、第2又は第3のレジストパターン13b,13cにおける第1の線幅L2(se)から第2の線幅L2(bse) を差し引き、その差を第2のオフセット値(ΔL2)とする。
【0042】
次に、上記した2つのオフセット値の比較を次のようにして行う。
まず、図5の(i) に示すように、制御部1Aは、第2のオフセット値(ΔL2)から第1のオフセット値(ΔL1)を差し引いて、その差が許容値内かどうかを判断する。その許容値は、任意であり、走査型電子顕微鏡の測長再現精度によって異なる。
【0043】
その差が、許容値内である場合には、図5の(j) に示すように、第2又は第3のレジストパターン13b,13cの形状が良好であると判断する。そして、図5の(k) に示すように、レジストパターン13b,13cの断面形状が順テーパか逆テーパかを判断する。例えば、そのオフセット値の差が0又は負の場合には順テーパーと判断する。
【0044】
また、図6(b) に示すように第2のレジスト13bの断面形状が正常であっても、第2のレジストパターン13bの線幅が管理基準内にあるとは限らないので、第2のレジストパターン13bの第1の線幅L2(se)の値がその管理基準内、例えば設計値の±10%以内であるかどうかを制御部1Aが判断する。
そして、図5の(l),(m) に示すように、その線幅L2(se)が線幅管理基準内であれば、測定パターン情報、形状、線幅等のデータを走査型電子顕微鏡の画像表示部1Cに表示して、膜12のエッチング工程に移れるものであることを告知する。
【0045】
これに対して、図5の(l),(r) に示すように、その線幅L2(se)が線幅管理基準外であれば、測定パターン情報、形状、線幅等のデータを走査型電子顕微鏡の画像表示部1Cに表示して、レジストパターンの全体の再形成が必要なことを告知する。
ところで、制御部1Aが第1のオフセット値(ΔL1)と第2のオフセット値(ΔL2)を比較する際に、その差が許容値内でないと判断した場合には、図5の(n) に示すように、第3のレジストパターン13cの断面形状が例えば図6(c) に示す逆テーパであると判断する。この場合、その断面形状が、図6(c) に示すようにT−top形状であるとする。
【0046】
そして、第3のレジストパターン13cの断面形状がT−topとした場合に、それがクリティカルな問題かどうかの判断を行う。なお、第2のレジストパターン13bの断面形状が裾引き形状(台形状)の場合もクリティカルかどうかの判断をおこなってもよい。
まず、図5の(n),(o) に示すように、第2のオフセット値ΔL2から第1のオフセット値ΔL1を差し引いて、T−top形状による増加線幅ΔTLを算出する。
【0047】
次に、図5の(p) に示すように、第3のレジストパターン13cの第1の線幅L2(se)から増加線幅ΔTLを差し引き、第3のレジストパターン13cのようなT−top形状のパターンの底部の線幅RL2(se)を算出する。
続いて、図5の(q) に示すように、T−topの底部の線幅が管理基準内にあるかどうかの判断を行う。そして、線幅管理基準から外れる場合には、図5の(r) に示すように、測定パターン情報、形状、線幅等のデータを走査型電子顕微鏡の画像表示部1Cに表示して、レジストパターンの再形成が必要なことを告知する。これに対し、線幅管理基準に適合している場合には、図5の(m) に示すように、測定パターン情報、形状、線幅等のデータを走査型電子顕微鏡の画像表示部1Cに表示して、次のエッチング工程に移れるものであることを告知する。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、線幅が既知のレジストパターンについて二次電子による線幅の測長と、反射電子による線幅の測長を行ってオフセット値を求めた後に、線幅測長対象となるレジストパターンについて、二次電子による線幅の測長と、反射電子による線幅の測長を行ってオフセット値を求め、それらの測定結果を比較することにより測長対象のレジストパターンの断面形状や下部の幅を測定するようにした。
【0049】
これにより、パターンが半導体素子に対してクリティカルな問題かどうかを判断することが容易になり、しかも、断面形状の如何にかかわらず、パターンの底部の寸法を正確に測定することができる。
(第2の実施の形態)
本実施形態では、画像処理の手法を用いてパターンの測長方法を説明する。
【0050】
まず、T−topが発生しないパターンサイズの大きい線幅(目標値の1.1倍以上の線幅)、或いは孤立パターンである第1のレジストパターン13aの測長ポイント(以下、第1の測長ポイントP1 という。)に電子銃1aの照準を合わせる。その照準合わせは、試料Wの移動によって行われる。
次に、図7の(a) に示すように、第1のレジストパターン13aの第1の測長ポイントP1 に電子を走査し、その試料Wから出た二次電子(SE)を電子検出器1gによって検出する。
【0051】
制御部1Aは、図7の(b) に示すように、電子検出器1gによって検出された二次電子量の変化に基づいて第1のSEMイメージL1SEM(se)を取得する。
その後に、図7の(c) に示すように、同じ箇所の第1のレジストパターン13aに電子を照射し、その試料Wで反射された反射電子量の変化に基づいて第2のSEMイメージL1SEM(bse) を取得する。
【0052】
続いて、第1のSEMイメージと第2のSEMイメージのそれぞれについて、視野内映像をある閾値レベルで2つに分け、白黒情報の二値化処理を行う。例えば、図6(a) の二次電子に基づく輝度波形L1W(se)を第1のSEMイメージとすれば、そのレベルS1 よりも上を「1」とし、その下を「0」とする。また、図6(a) の反射電子に基づく輝度波形L1W(bse) を第2のSEMイメージとすれば、そのレベルS2 よりも上を「1」とし、その下を「0」とする。
【0053】
二値化された第1のSEMイメージと二値化された第2のSEMイメージは、それぞれ、縦横に配置された複数のピクセルに合わせたイメージデータを有し、例えば「0」を「黒」、「1」を「白」とする。
その後、図7の(d) に示すように、二値化された第1のSEMイメージL1SEM(se)と二値化された第2のSEMイメージL1SEM(bse) を重ね、白黒がマッチングしているピクセル数をカウントし、その重なり程度、例えば第1のSEMイメージのピクセル数に対するマッチング部分のピクセル数の割合を算出し、これをマッチング率(M1)とする。マッチング率M1は、その他の手法を用いて算出したものであってもよい。
【0054】
次に、図7の(e) に示すように、図6(b) 又は図6(c) で示したような管理すべき線幅を有する第2又は第3のレジストパターン13b, 13cの測長ポイント(以下、第2の測長ポイントP2 という。)に電子銃1aの照準を合わせる。その照準合わせは、試料Wの移動によって行われる。
続いて、第2の測長ポイントP2 で電子を走査し、その試料Wから出た二次電子(SE)を電子検出器1gによって検出する。
【0055】
制御部1Aは、図7の(f) に示すように、電子検出器1gによって検出された二次電子量の変化に基づいて第1のSEMイメージL2SEM(se)を取得する。
その後に、図7の(g) に示すように、同じ箇所の第2のレジストパターン13cに電子を照射し、その試料Wで反射された反射電子量の変化に基づいて第2のSEMイメージL2SEM(bse) を取得する。
【0056】
続いて、第1のSEMイメージと第2のSEMイメージのそれぞれについて、視野内映像をある閾値レベルで2つに分け、白黒情報の二値化処理を行う。例えば、図6(b) 又は図6(c) の二次電子に基づく輝度波形L2W(se)を第1のSEMイメージとすれば、そのレベルS1 よりも上を「1」とし、その下を「0」とする。また、図6(b) 又は図6(c) の反射電子に基づく輝度波形L2W(bse) を第2のSEMイメージとすれば、そのレベルS2 よりも上を「1」とし、その下を「0」とする。
【0057】
二値化された第1のSEMイメージと二値化された第2のSEMイメージは、それぞれ、縦横に配置された複数のピクセルに合わせたイメージデータを有し、例えば「0」を「黒」、「1」を「白」とする。
その後、図7の(h) に示すように、二値化された第1のSEMイメージL2SEM(se)と二値化された第2のSEMイメージL2SEM(bse) を重ね、白黒がマッチングしているピクセル数をカウントし、その重なり程度、例えば第1のSEMイメージのピクセル数に対するマッチング部分のピクセル数の割合を算出し、これをマッチング率(M2)とする。マッチング率M2は、その他の手法を用いて算出したものであってもよい。
【0058】
以上のようなパターンの各測長データを取得した後に、次のような判断処理が行われる。
まず、図7の(i) に示すように、第1のレジストパターン13aのマッチング率M1と任意設定の基準値D0とを比較し、マッチング率M1が基準値D0 より小さな場合には、第1のレジストパターン13aの形状が良好と判断される。
【0059】
これに対して、マッチング率M1が基準値D0 より大きな場合には、第1のレジストパターン13aの形状が不良と判断される。
そして、図7の(j) に示すように、第1のレジストパターン13aの形状が良好と判断される場合には、図7の(j),(k) に示すように、第1のレジストパターン13aのマッチング率M1と第2又は第3のレジストパターン13b、13cのマッチング率M2との差を求める。
【0060】
そして、図7の(l),(m),(n) に示すように、その差が任意の設定値よりも小さな場合には、管理線幅領域にある第3のレジストパターン13cの断面形状が良好で、垂直型であり、その判断結果が画像表示部1Cに表示される。
これに対して、図7の(k),(o),(p),(q) に示すように、2つのマッチング率M1,M2の差が、任意の設定値よりも大きな場合には、管理線幅領域にある第3のレジストパターン13cの形状が不良、劣化し、順又は逆テーパ形状が不明であり、それらのデータは、図7の(r) に示すように、画像表示部1Cに表示される。
【0061】
一方、図7の(i),(s),(t) に示すように、第1のレジストパターン13aのマッチング率M1と任意設定の基準値D0 とを比較し、マッチング率M1が基準値D0 より大きな場合には、第1のレジストパターン13aの形状が不良、テーパ形状であると判断される。この場合、図7の(u) に示すように、2つのマッチング率M1,M2の差を求める。そして、その差がマッチング率M1よりも小さな場合には図7の(v) に示すように、その値を画像表示部1Cに表示する。また、その値がマッチング率M1よりも大きな場合には、図7の(w) に示すように、その値を画像表示部1Cに表示される。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、線幅が既知のレジストパターンについて二次電子によるSEMイメージと反射電子によるSEMイメージを取得し、それらのSEMイメージに基づいて第1のマッチング率を求めた後に、線幅測長対象となるレジストパターンについて二次電子によるSEMイメージと反射電子によるSEMイメージを取得し、それらのSEMイメージに基づいて第2のマッチング率を求め、ついで第1のマッチングイメージが許容範囲内にあるか否かを判断して、その後に、第1と第2のマッチング率を比較することにより、測定対象となるパターンの形状と幅が良好であるかどうかを判断するようにしている。
【0063】
これにより、測長パターンの形状状態と形状エラーを容易に判断できる。
ところで、二次電子を用いて取得したSEMイメージと反射電子を用いて取得したSEMイメージは例えば図8、図9のようになる。
図8(a) は、二次電子を用いて取得したSEMイメージで、写真のほぼ中央でレジストパターン(白色又は灰色の部分)の一部が繋がっている。しかし、反射電子を用いて取得したSEMイメージは、図8(b) のようになり、レジストパターンの下部では各レジストパターンはそれぞれ分離していることがわかる。
【0064】
これにより、図8(a),(b) に示すようなレジストパターンは、その下の膜のパターニングにそのまま使用できる形状となっていることが分かる。
これに対して、図9(a) に示すような二次電子を用いて取得したSEMイメージと図9(b) に示すような反射電子を用いて取得したSEMイメージにおいて、それらのレジストパターンはそれぞれ一部で繋がっているために、そのようなレジストパターンでは上部及び下部の一部が分離されていないことが分かる。したがってそのようなレジストパターンは膜のパターニングにそのまま使用できないことになり、レジストパターンの再形成が必要となることがわかる。
【0065】
レジストパターンの再形成が必要か否かは、上記したフローチャートに従って判断される。
(第3の実施の形態)
本実施形態は、第1実施形態に加えて測長パターンが順テーパか逆テーパかの判断を加えた測長方法を示すものである。
【0066】
まず、図10の(a) に示すように、管理すべき線幅の設計値と管理余裕度値を走査型電子顕微鏡の制御部1Aに入力する。制御部1Aは、設計値と管理余裕度値(許容範囲値)を記憶する。
その後に、試料Wを走査型電子顕微鏡の移動ステージ1fの上に取り付ける。
次に、図10の(b) に示す工程に移る。
【0067】
まず、T−topが発生しないパターンサイズの大きい線幅(目標値の1.1倍以上の線幅)、或いは孤立パターンである第1のレジストパターン13aの測長ポイント(以下、第1の測長ポイントP1 という。)に電子銃1aの照準を合わせる。
そして、電子ビームを第1測長ポイントP1 を横断するように走査させると、試料Wから出た二次電子(SE)は電子検出器1gによって検出される。
【0068】
制御部1Aは、電子検出器1gによって検出された二次電子に基づいて輝度波形L1W(se)を作成し、輝度波形データとして取り込む。そして、輝度波形データから任意のアルゴリズムによって線幅が決定され、この線幅を第1のレジストパターンの第1の線幅L1(se)とする。
これにより、二次電子に基づく第1測長ポイントの線幅が測長される。
【0069】
また、二次電子は、第1のレジストパターン13aの表面から出るために、そのパターン形状が順テーパ形状の場合には、輝度波形L1W(se)にはそのテーパ形状が反映される。
そこで、輝度波形L1W(se)をいくつかの閾値レベルでの線幅の測長を行い、それらの測長値に基づいて、直線近似法、1次微分法、2次微分法等によって第1のレジストパターンの側面の傾きL1A(se)を算出する。
【0070】
第1のレジストパターン13aの側面に傾きが生じている場合には、順テーパ形状と判断する。傾きが無い場合には、パターン側面が垂直の場合もあるので、この段階ではその側面が逆テーパであるという判断はできない。
続いて、再び電子ビームを第1の測長ポイントP1 の全く同じ箇所に照射し、試料Wからの反射電子(BSE)を電子検出器1gによって検出する。
【0071】
制御部1Aは、電子検出器1gによって検出された反射電子に基づいて輝度波形L1W(bse) を作成し、これを輝度波形データとして取り込む。そして、輝度波形データから任意のアルゴリズムによって線幅が決定され、この線幅を第1のレジストパターンの第2の線幅L1(bse) とする。
そして、第1の線幅L1(se)から第2の線幅L1(bse) を差し引き、その値を第1のオフセット値(ΔL1)とする。
【0072】
次に、図10の(c) に示す工程に移る。
まず、図4(b) の第2又は第3のレジストパターン13b、13cに測長ポイントを合わせる。その測長箇所を第2の測長ポイントP2 とする。
そして、電子ビーム(SE)を第2測長ポイントP2 内で走査し、これにより試料Wから出た二次電子は電子検出器1gによって検出される。
【0073】
制御部1Aは、電子検出器1gによって検出された二次電子に基づいて輝度波形L2W(se)を作成し、輝度波形データとして取り込む。そして、輝度波形データから任意のアルゴリズムによって線幅が決定され、この線幅を第2又は第3のレジストパターン13b、13cの第1の線幅L2(se)とする。
これにより、二次電子に基づく第2の測長ポイントの線幅が測長される。
【0074】
また、二次電子は、第2又は第3のレジストパターン13b、13cの表面から出るために、そのパターン形状が順テーパ形状の場合には、輝度波形L2W(se)にはそのテーパ形状が反映される。
そこで、輝度波形L2W(se)をいくつかの閾値レベルでの線幅の測長を行い、それらの測長結果に基づいて第2又は第3のレジストパターン13b、13cの側面の傾きL2A(se)を直線近似法、1次微分法、2次微分法等によって算出する。
【0075】
第2又は第3のレジストパターン13b,13cの側面に傾きが生じている場合には、順テーパ形状と判断する。その傾きが無い場合には、パターン側面が垂直の場合もあるので、この段階ではその側面が逆テーパであるという判断はできない。
続いて、再び電子ビームを第2の測長ポイントP2 の全く同じ箇所に照射し、試料Wからの反射電子(BSE)を電子検出器1gにより検出する。
【0076】
制御部1Aは、電子検出器1gによって検出された反射電子に基づいて輝度波形L2W(bse) を作成し、これを輝度波形データとして取り込む。そして、輝度波形データから任意のアルゴリズムによって線幅が決定され、この線幅を第2又は第3のレジストパターン13b、13cの第2の線幅L2(bse) とする。 そして、第1の線幅L2(se)から第2の線幅L2(bse) を差し引き、その値を第2のオフセット値(ΔL2)とする。
【0077】
次に、図10の(d) に示すように、第1のレジストパターン13aの側面の傾きL1A(se)が順テーパ形状かどうかで処理を異ならせる。
即ち、図10の(e) に示すように、第1のレジストパターン13aが順テーパ形状と判断された場合には、図10の(f) に示すように、第2又は第3のレジストパターンの二次電子に基づく線幅L2(se)が管理基準値内にあるかどうかを判断する。そして、その線幅L2(se)が管理基準内の場合には、制御部1Aは、図10の(g) に示すように測長対象となるレジストパターン13b、13cの形状が順テーパであり、測長線幅規格内にあり、さらに次のエッチング工程に移行できることを画像表示部1Cに表示させる。これに対して、線幅L2(se)が管理基準外の場合には、制御部1Aは、図10の(h) に示すように測長対象となるレジスト形状が順テーパであり、測長線幅規格外にあり、さらにレジスト再処理を行う必要があることを画像表示部1Cに表示させる。
【0078】
一方、第1のレジストパターン13aの側部が順テーパではないと判断された場合には、図10の(i) に示すように、第1のオフセット値(ΔL1)と第2のオフセット値(ΔL2)を比較し、その差が所定内であれば、図10の(j) に示すように、制御部1Aは、測定対象となるレジストパターン13b,13cの側部が垂直型であると判断する。
【0079】
ついで、図10の(k) に示すように、測長線幅L2(se)が管理基準(規格)内であるかどうかを判断して、その測長線幅が測長線幅L2(se)が管理基準内である場合には、制御回路1Aは、図10の(l) に示すように、レジストパターン13b,13cの形状が垂直型で、測長線幅が規格内にあり、次のエッチング工程に移行できることを画像表示部1Cに表示させる。
【0080】
これに対して、図10の(k),(m) に示すように、線幅L2(se)が管理基準外の場合には、制御部1Aは、測長対象となるレジストパターン13bb,13cの形状が垂直形状で、測長線幅規格外にあり、さらにレジスト再処理を行う必要があることを画像表示部1Cに表示させる。
また、図10の(i) に示したように、第1のオフセット値(ΔL1)と第2のオフセット値(ΔL2)を比較し、その差が所定の範囲から外れた場合には、制御部1Aは、図10の(o),(p) に示すように、レジストパターンの形状が逆テーパ又は図6(c) に示したT−topであると判断する。
【0081】
そして、図10の(q) に示すように、第2のオフセット値(ΔL2)から第1のオフセット値(ΔL1)を差し引いて、T−top形状による増加線幅ΔTLを算出する。
次に、図10の(r) に示すように、測長対象となるレジストパターン13cの第1の線幅L2(se)から増加線幅ΔTLを差し引き、第3のレジストパターン13cのようなT−top形状のパターンの底部の線幅RL2(se)を算出する。
【0082】
続いて、図10の(s) に示すように、制御部1Aは、T−topの底部の線幅が管理基準内にあるかどうかの判断を行う。そして、線幅管理基準から外れる場合には、図10の(t) に示すように、レジストパターンの形状が逆テーパであり、測長線幅が規格外であり、再生工程が必要なことを画像表示部1Cに表示させる。これに対し、線幅管理基準に適合している場合には、制御部1Aは、図10の(u) に示すように、レジスト形状が逆テーパであり、測長線幅が規格内であり、次のエッチング工程に移ることを画像表示部1Cに表示させる。
【0083】
以上のように、本実施形態においては、既知のレジストパターンと測定対象であるレジストパターンとを二次電子と反射電子によって測長するとともに、それらの側部が順テーパかどうか判断する処理を加えた、その結果を表示するようにしたので、測長対象となるレジストパターンの形状の把握が容易になり、後処理をさらに適切に行え、操作ミスが軽減される。
(第4の実施の形態)
図11は、本発明の第4実施形態のフローチャートを示している。
【0084】
本実施形態では、上記した実施形態に、さらに、電子を照射する際の加速電圧を変えることにより、反射電子によるパターンの測長部分を任意に設定するようにするステップを加えている。
まず、図11の(a) に示すように、線幅を管理しようとするレジストパターンの測長ポイントの設計値と管理基準値(%)を走査型電子顕微鏡の制御部1Aに入力し、それらを記憶部に格納する。
【0085】
その後に、図11の(b) に示すように、走査型電子顕微鏡の移動ステージに載置された試料Wへ向けて電子銃1aから照射される電子の加速電圧を調整する。加速電圧の調整は、測長ポイントのパターンの深さ方向や材料に適するように、入射電圧、バイアス電圧を変えることによって行われる。本実施形態では、測長対象となるパターンとしてレジストパターンを対象にしている。
【0086】
次に、上記した実施形態と同様な方法によって、図11の(c) に示すような測長処理に移る。
まず、線幅が既知の第1のレジストパターン13aの一部である第1測長ポイントに電子ビームを照射する。そして、二次電子に基づいて、第1のレジストパターン13aの第1のSEMイメージL1SEM(se)と第1の輝度波形L1W(se)を取得する。続いて、第1の輝度波形L1W(se)より第1の線幅L1(se)を取得する。
【0087】
さらに、第1測長ポイントから出た反射電子に基づいて、第1のレジストパターン13aの第2のSEMイメージL1SEM(bse) と第2の輝度波形L1W(bse) を取得する。続いて、第2の輝度波形L1W(bse) より第2の線幅L1(bse) を取得する。
その後に、第3実施形態と同様な方法により、二次電子に基づく第1の輝度波形L1W(se)から、第1のレジストパターン13aの側面の傾きL1A(se)を算出し、その傾きにより側面が順テーパかどうか判断する。さらに、第2実施形態と同様な方法により、二次電子に基づく第1のSEMイメージL1SEM(se)と反射電子に基づく第2のSEMイメージL1SEM(bse) から第1のマッチング率M1を求める。
【0088】
次に、図11の(d) に示すように、加速電圧を調整して反射電子により測定される第1のレジストパターン13aの深さ方向の位置を変えて、再び図11の(c) に示した処理を行う。その加速電圧の調整は所望の値で繰り返して行ってもよく、その調整が不要になった段階で、図11の(e) に示す処理に移る。
図11の(e) では次のよう処理を行う。
【0089】
まず、測長対象である第2又は第3のレジストパターン13b、13cの第2測長ポイントに電子ビームを照射する。そして、二次電子に基づいて、第2又は第3のレジストパターン13b,13cの第1のSEMイメージL2SEM(se)と第1の輝度波形L2W(se)を取得する。続いて、第1の輝度波形L2W(se)より第1の線幅L2(se)を取得する。
【0090】
さらに、第2測長ポイントから出た反射電子に基づいて、第2又は第3のレジストパターン13b,13cの第2のSEMイメージL2SEM(bse) と第2の輝度波形L2W(bse) を取得する。続いて、第2の輝度波形L2W(bse) より第2の線幅L2(bse) を取得する。
その後に、第3実施形態と同様な方法により、二次電子に基づく第1の輝度波形L2W(se)から、第1のレジストパターン13aの側面の傾きL2A(se)を算出し、その傾きにより側面が順テーパかどうか判断する。さらに、第2実施形態と同様な方法により、二次電子に基づく第1のSEMイメージL2SEM(se)と反射電子に基づく第2のSEMイメージL2SEM(bse) から第2のマッチング率M2を求める。
【0091】
以上のような測長に関するデータを測定した後に、第3実施形態と同じような判断方法によって、第2又は第3のレジストパターン13b,13cがそのまま使えるものなのかどうかを判断することになる。
次に、図11の(f) に示すように、第1のレジストパターン13aの側面の傾きL1A(se)が順テーパ形状かどうかで判断を異ならせる。
【0092】
即ち、図11の(g) に示すように、第1のレジストパターン13aが順テーパ形状と判断された場合には、図11の(h) に示すように、第2又は第3のレジストパターンの二次電子に基づく線幅L2(se)が管理基準値内にあるかどうかを判断する。そして、その線幅L2(se)が管理基準内の場合には、制御部1Aは、図11の(i) に示すように測長対象となるレジストパターン13b、13cの形状が順テーパであり、測長線幅規格内にあり、さらに次のエッチング工程に移行できることを画像表示部1Cに表示させる。これに対して、線幅L2(se)が管理基準外の場合には、制御部1Aは、図11の(j) に示すように測長対象となるレジスト形状が順テーパであり、測長線幅規格外にあり、さらにレジスト再処理を行う必要があることを画像表示部1Cに表示させる。
【0093】
一方、第1のレジストパターン13aの側部が順テーパではないと判断された場合には、図11の(k) に示すように、第1のオフセット値(ΔL1)と第2のオフセット値(ΔL2)を比較し、その差が所定内であれば、図11の(l) に示すように、制御部1Aは、測定対象となるレジストパターン13b,13cの側部が垂直型であると判断する。
【0094】
ついで、図11の(m) に示すように、測長線幅L2(se)が管理基準(規格)内であるかどうかを判断して、その測長線幅が測長線幅L2(se)が管理基準内である場合には、制御回路1Aは、図11の(n) に示すように、レジストパターン13b,13cの形状が垂直型で、測長線幅が規格内にあり、次のエッチング工程に移行できることを画像表示部1Cに表示させる。
【0095】
これに対して、図11の(m),(o) に示すように、線幅L2(se)が管理基準外の場合には、制御部1Aは、測長対象となるレジストパターン13bb,13cの形状が垂直形状で、測長線幅規格外にあり、さらにレジスト再処理を行う必要があることを画像表示部1Cに表示させる。
また、図11の(k) に示したように、第1のオフセット値(ΔL1)と第2のオフセット値(ΔL2)を比較し、その差が所定の範囲から外れた場合には、制御部1Aは、図11の(p) に示すように、レジストパターンの形状が逆テーパ又は図6(c) に示したT−topであると判断する。そして、第2のオフセット値(ΔL2)から第1のオフセット値(ΔL1)を差し引いて、T−top形状による増加線幅ΔTLを算出する。さらに、測長対象となるレジストパターン13cの第1の線幅L2(se)から増加線幅ΔTLを差し引き、第3のレジストパターン13cの底部の線幅RL2(se)を算出する。
【0096】
続いて、図11の(q) に示すように、制御部1Aは、T−topの底部の線幅が管理基準内にあるかどうかの判断を行う。そして、線幅管理基準から外れる場合には、図11の(s) に示すように、レジストパターンの形状が逆テーパであり、測長線幅が規格外であり、再生工程が必要なことを画像表示部1Cに表示させる。これに対し、線幅管理基準に適合している場合には、制御部1Aは、図11の(r) に示すように、レジスト形状が逆テーパであり、測長線幅が規格内であって、次のエッチング工程に移ることを画像表示部1Cに表示させる。
【0097】
以上のように、本実施形態においては、サイズが既知の第1のレジストパターン13aの測長データを測定する際に、電子ビームの加速電圧を変えて第1のレジストパターン13aの深さ方向の形状の違いを詳細に知ることができるので、順テーパか逆テーパかどうかの判断や、Tーtop形状かどうかの判断が容易になる。
【0098】
なお、上記した告知は、画像表示に限るものではなく、音声、その他の告知手段であってもよい。
{付 記}
上記した線幅測定方法を用いて、パターンの線幅を測長する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0099】
その半導体装置の製造方法において、前記パターンは、半導体基板上の膜の上に形成されたレジストパターンであることを特徴とする。
【0100】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、サイズが既知の第1パターンについて二次電子による線幅の測長と、反射電子による線幅の測長を行い、それらの差である第1の計算値を求めた後に、線幅測長管理対象となる第2パターンについて、二次電子による線幅の測長と、反射電子による線幅の測長を行い、それらの差である第2の計算値を求めて、ついで、第1の計算値と第2の計算値を比較して比較結果を出し、この比較結果に基づいて第2パターンの形状状態を算出するそれらの測定結果を比較することにより第2パターンの形状状態を算出するようにしているので、測長しようとする第2パターンの表面の幅からそれよりも下方の幅を正確に予測し易くなる。
【0101】
これにより、第2パターンがクリティカルな問題かどうかが容易に判断され、しかも、断面形状の如何にかかわらず、パターンの下部の寸法を自動的に正確に測定することができる。
その第1の計算値と第2の計算値の比較方法として、それらの差分ΔTLを求める方法を採用する場合には、その差分ΔTLを第2パターンの二次電子による測長値から差し引いてその結果を実際の測長値としている。
【0102】
これにより、第2パターンがT−top形状の場合には、その上面の測長値からその差分ΔTLを差し引くことにより、そのパターンの下部、底部の寸法を測長することができる。
また、上記した第2パターンの測長値を第2パターンの設計値とその設計値の許容値と比較し、測長値と設計値の差が許容値の範囲内の場合には、次の工程に移行することを画面上に表示し、測長値と設計値の差が許容値の範囲外の場合には、再処理することを画面上に表示すると、作業者は画面上の表示に従ってロットを処理することができ、作業者の走査ミスを低減させて作業効率が向上する。
【0103】
また、別の本発明によれば、既知の第1パターンについて二次電子によるSEMイメージと反射電子によるSEMイメージを取得し、それらのSEMイメージのマッチング率(重ね率)を算出し、ついで、線幅測長管理対象となる第2パターンについて、二次電子によるSEMイメージと反射電子によるSEMイメージを取得し、それらのSEMイメージのマッチング率(重ね率)を算出し、そして、それら2つのマッチング率を比較することにより、第2パターンの形状状態を算出するようにしているので、基準となる第1パターンのマッチング率と測長しようとする第2パターンの下部の幅を正確に予測し易くなる。これにより、測長パターンの形状状態と形状エラーを判断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の測長方法を示すフローチャートである。
【図2】従来技術の二次電子を用いた測長方法による測長パターンの断面と二次電子により得られた輝度波形図である。
【図3】本発明の実施形態に使用される走査型電子顕微鏡の一例を示す構成図である。
【図4】本発明の実施形態の線幅の測長対象となるパターンの一例を示す断面図と平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態の線幅の測長対象となるパターンの断面図と、二次電子による輝度波形図と、反射電子による輝度波形図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態で得られる二次電子によるSEMイメージと反射電子によるSEMイメージを示す写真(その1)である。
【図9】本発明の第2実施形態で得られる二次電子によるSEMイメージと反射電子によるSEMイメージを示す写真(その2)である。
【図10】本発明の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1A…制御部、1B…電子操作部、1C…画像表示部、1f…移動ステージ、1g…電子検出器、1h…増幅器、11…シリコン基板(半導体基板)、12…膜、13a〜13c…レジストパターン、W…試料、P1 …第1の測長ポイント、P2 …第2の測長ポイント。

Claims (6)

  1. 走査型電子顕微鏡において、試料上に形成されてサイズが既知の第1パターンを、第1の測長ポイントで、二次電子に基づいて測長して第1の測長値を取得し、前記第1の測長ポイントで反射電子により前記第1パターンを測長して第2の測長値を取得した後に、前記第1の測長値と第2の測長値を比較してそれら差である第1の計算値を算出し、
    前記走査型電子顕微鏡において、前記試料上に形成されて測長対象となる第2パターンを、第2の測長ポイントで、走査型電子顕微鏡により二次電子に基づいて測長して第3の測長値を取得し、前記第2の測長ポイントで反射電子により前記第2パターンを測長して第4の測長値を取得した後に、前記第3の測長値と第4の測長値を比較してそれらの差である第2の計算値を算出し、
    前記第2の計算値から前記第1の計算値を差し引いた差分を算出し、当該差分が許容値内のときは、前記第2パターンの形状状態が良好であると判断し、当該差分が0又は負のときは前記第2パターンの形状が順テーパと判断し、当該差分が正のときは前記第2パターンの形状が逆テーパと判断することを含む線幅測定方法。
  2. 走査型電子顕微鏡において、試料上に形成されてサイズが既知の第1パターンを、第1の測長ポイントで、二次電子に基づいて測長して第1の測長値を取得し、前記第1の測長ポイントで反射電子により前記第1パターンを測長して第2の測長値を取得した後に、前記第1の測長値と第2の測長値を比較してそれら差である第1の計算値を算出し、
    前記走査型電子顕微鏡において、前記試料上に形成されて測長対象となる第2パターンを、第2の測長ポイントで、走査型電子顕微鏡により二次電子に基づいて測長して第3の測長値を取得し、前記第2の測長ポイントで反射電子により前記第2パターンを測長して第4の測長値を取得した後に、前記第3の測長値と第4の測長値を比較してそれらの差である第2の計算値を算出し、
    前記第1の計算値と前記第2の計算値の差分を求め、
    当該差分が許容値内にないときは前記第2パターンの形状はT−top形状であると判断し、前記第3の測長値から前記差分を引いた値を、前記第2の測長ポイントでの前記第2のパターンの測長値とすることを特徴とする線幅測定方法。
  3. 前記第2パターンの設計値とその設計値の許容値と前記第2パターンの前記測長値とを比較し、
    前記測長値と前記設計値の差が前記許容値の範囲内の場合には、次の工程に移れることを表示し、
    前記測長値と前記設計値の差が前記許容値の範囲外の場合には、レジストパターンを再形成することを表示することを特徴とする請求項2に記載の線幅測定方法。
  4. 走査型電子顕微鏡内において、試料上に形成されてサイズが既知の第1パターンについて、第1の測長ポイントで二次電子に基づいて第1の二次電子SEMイメージを取得し、前記第1の測長ポイントで反射電子に基づいて第1の反射電子SEMイメージを取得し、
    前記第1の二次電子SEMイメージと前記第1の反射電子SEMイメージを比較して第1のマッチング率を算出し、
    前記走査型電子顕微鏡内において、前記試料上に形成されて測長対象となる第2パターンについて、第2の測長ポイントで二次電子に基づいて第2の二次電子SEMイメージを取得し、前記第2の測長ポイントで反射電子に基づいて第2の反射電子SEMイメージを取得し、
    前記第2の二次電子SEMイメージと前記第2の反射電子SEMイメージを比較して第2のマッチング率を算出し、
    前記第1のマッチング率と前記第2のマッチング率との差分を求め、当該差分が設定値よりも小さいときは前記第2パターンの形状が良好で垂直型と判断し、当該差分が設定値よりも大きいときは前記第2パターンの形状が不良であると判断することを含む線幅測定方法。
  5. 前記第1の測長ポイントにおいて前記反射電子を発生させるパターンの深さ方向の位置の深浅を加速電圧の強弱で調整することを含む請求項4に記載の線幅測定方法。
  6. 前記第1パターンは、前記第2パターンの1.1倍以上の線幅と、1.1倍以上のピッチを有することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の線幅測定方法。
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