JP4361162B2 - 温度検知装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを利用した温度検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、管路網への光ケーブルの布設では、管路網を構成する管路や、この管路に連通させて形成したマンホール、ハンドホール等の縦坑内の浸水を、専用の監視装置によって監視する等の対策がとられている。浸水監視装置としては、光ケーブルの分岐接続用のクロージャ内に設置した検知ユニットにより、何等かの異常によりクロージャ内に浸水が生じたときに光ファイバに曲げ等の変形を与え、光ファイバの光パルス試験を行って観測されるレーリ散乱光の変化によって前記光ファイバの曲げを検出することで、クロージャ内の浸水を検知するものが提供されている。
【0003】
ところで、近年、クロージャ内の温度、管路網を構成する管路や、この管路に連通させて形成したマンホール、ハンドホール等の縦坑等の内部の温度を監視したいという要求が高まってきている。例えば、高温環境下では、光ファイバの線膨張係数により光ファイバ同士の接続点の接続損失が変動したり、場合によっては、断線の原因になるといった可能性があるため、異常な温度上昇をいち早く把握して、断線等の可能性のある箇所に事前に対策を施したり、万一の故障発生時に、故障箇所の特定や、原因の把握等に役立てたいといった要求がある。また、光ファイバの光特性に与える影響等の問題以外、例えば、低温による凍結でマンホール、ハンドホール等の開放が困難になったり、これらの内部の氷にクロージャが埋没して開放作業が困難になったり、老朽化したクロージャ等の内部への浸水の凍結で開放作業が困難になる等の問題もある。
光ファイバを用いた温度監視では、例えば、光ファイバの光パルス試験にてラマン散乱光を観測するシステムが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ラマン散乱光の観測による温度監視では、温度変化を連続的に観測できるといった利点もあるものの、測定器が高価であること、光ファイバへの熱伝導を良好にするために熱伝導性に優れた例えばステンレスパイプを光ファイバの外装に使用する等の特殊なケーブル構造を採用しなければならず、コストの上昇、適用箇所が限定される等の問題があった。また、測定原理が、レイリー散乱光の観測とは異なるため、浸水検知のシステムとは別にシステムを構築しなければならないといった問題もあった。
なお、温度監視は、管路、マンホール、ハンドホール等以外、例えば、クロージャ内や、接続箱等の各種光ファイバ収納体内についても同様に行いたい要求がある。また、クロージャや接続箱等については、架空ケーブル、架地ケーブル等、光ケーブルの種類に限定されず、幅広く適用可能な温度監視技術の開発が求められていた。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、光ファイバを利用した安価かつ組み立てや設置が容易な温度検知装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するべくなされたもので、請求項記載の温度検知装置は、光ケーブルに組み立てられマンホールあるいはハンドホールあるいは建物内に設置されたクロージャ等の光ファイバ収納体と、該光ファイバ収納体の外側に配置された温度検知センサとを備え、前記光ケーブルから分岐され該光ファイバ収納体から外側へ引き出された光ファイバが前記温度検知センサに引き込まれてなり、前記温度検知センサは、温度変化によって駆動する感温駆動部と、該感温駆動部の駆動力によって前記光ファイバに曲げや伸び歪み等の変形を与える光ファイバ変形部とを備え、前記光ファイバは、前記光ファイバ収納体内にてその両端が前記光ケーブルの光ファイバと接続され、前記光ケーブルの光ファイバと接続された両端の間に位置する部分が前記温度検知センサに引き込まれ、前記光ファイバの前記光ファイバ収納体と前記温度検知センサとの間に位置する部分は保護ホース内に収納されていることを特徴とする。
請求項2記載の温度検知装置は、請求項1記載の温度検知装置において、前記クロージャ及び温度検知センサの前記保護ホースが導入されている口元が防水継手により防水性が確保されていることを特徴とする。
請求項3記載の温度検知装置は、請求項1又は2記載の温度検知装置において、さらに、前記光ファイバ収納体内側に配置され光ファイバ収納体内部の温度を検知する温度検知センサを備え、前記光ファイバ収納体内側に配置された温度検知センサに前記光ケーブルから分岐された光ファイバが引き込まれてなり、前記光ファイバ収納体内の温度検知センサは、温度変化によって駆動する感温駆動部と、該感温駆動部の駆動力によって前記光ファイバに曲げや伸び歪み等の変形を与える光ファイバ変形部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、温度検知センサの設置場所の温度変化等に対応して感温駆動部が駆動し、この感温駆動部の駆動力によって駆動された光ファイバ変形部が光ファイバに曲げや伸び歪み等の変形を与える。温度検知センサは、例えば、光ファイバや光部品の線膨張係数に起因する接続損失の変動や断線等を生じる可能性の少ない温度範囲、ハンドホールやマンホール等の内部での作業員の作業等に適する温度範囲等の適切温度範囲であれば、光ファイバに曲げや伸び歪み等の変形を与えず、前記適切温度範囲を逸脱する異常な高温あるいは低温になった時のみ、感温駆動部の駆動力により光ファイバ変形部が光ファイバに曲げや伸び歪み等の変形を与えるように構成される。感温駆動部が駆動する温度は適宜設定される。本発明に係る温度検知装置によれば、光ファイバ収納体外側の温度が異常な高温あるいは低温になったことを、温度検知センサの駆動によって検知できる。なお、低温での不都合には、例えば、寒冷地での土壌の凍結時に生じやすい地下クロージャの圧迫、ハンドホールやマンホール等の内部の水分の凍結や光ファイバ収納体内の水分の凍結等による光ファイバや光部品の圧迫、ハンドホールやマンホール等の内部に存在する氷による内部作業スペースの縮小あるいは完全な埋没等がある。
【0008】
ところで、周知の通り、光ファイバへ光を入射すると、光ファイバ密度の僅かな不均一等により生じるレイリー散乱光、光ファイバ断線位置やコネクタ接続箇所からの反射光(フレネル反射光等)、並びに、光ファイバの伸び歪み等によって生じた散乱光(ブリュアン散乱光等)の後方散乱光等が戻り光として、入射端に戻ってくることが知られている。また、光ファイバの曲げ変形箇所や融着接続部等の接続点では、光損失が生じ、戻り光の強度が低下することも知られている。光パルス試験器は、光ファイバへの試験光の入射から、光パルス試験器での戻り光の受光までの時間(以下「戻り時間」)から、光ファイバの断線位置や光ファイバの歪み箇所等の位置(光パルス試験器からの距離)を把握することができる。
光ファイバに曲げ変形等が無い状態では、光ファイバ全長から光ファイバ固有のレイリー散乱光が戻り光として観測されるが、例えば、光ファイバの曲げによって損失が増大すると、曲げ変形箇所以後、光パルス試験器から遠い光ファイバからのレイリー散乱光の強度が、前記曲げ変形箇所を境にして急激に低下することから、光ファイバの曲げ変形発生を把握できる。また、戻り光強度が急低下する箇所、すなわち曲げ変形箇所の位置を戻り光の戻り時間から把握できる。
光ファイバの伸び歪みは、ブリュアン散乱光の観測により検出でき、また、ブリュアン散乱光の戻り時間から伸び歪みの生じた位置(光パルス試験器からの距離)の特定が可能である。
【0009】
本発明の温度検知センサでは、光ファイバ変形部に引き込まれている光ファイバに、光パルス試験器から光が入射される。請求項1、2の温度検知装置では、光パルス試験器から光ケーブルを介して、温度検知センサに引き込まれている光ファイバへ光が入射される。本発明において、温度検知センサが設置場所に温度の異常な上昇または低下が無く、光ファイバ変形部による変形が光ファイバに与えられていなければ、光ファイバ変形部による光ファイバの変形に起因する損失増大や入射光の散乱は無く、光ファイバの光ファイバ変形部によって変形される箇所から光パルス試験器への戻り光として、光ファイバ固有のレイリー散乱光の後方散乱光のみが観測される。温度検知センサの設置場所の温度上昇または温度低下に起因して光ファイバ変形部によって光ファイバに変形が与えられれば、この変形箇所にて、光ファイバに損失増大や入射光の散乱が生じ(光ファイバの曲げでは損失の増大、光ファイバの伸び歪みではブリュアン散乱光が生じる)、前記損失増大による戻り強度の低下や散乱光の後方散乱光が光パルス試験器にて観測される。これにより、光パルス試験器にて、温度検知センサの設置場所の温度上昇または温度低下を検知できる。なお、歪みが与えられた光ファイバに試験光を入射した時に生じる後方散乱光の一つであるブリュアン散乱光の波長は、光ファイバに入射した試験光の波長からずれており、レイリー散乱光とは容易に区別できる。また、このブリュアン散乱光の入射光に対する周波数シフト量から、光ファイバの歪み量を把握することができる。
【0010】
なお、本発明に係る温度検知装置の温度検知センサの光ファイバ変形部では、光ファイバを破断させる必要は無い。また、感温駆動部や光ファイバ変形部を元の位置に戻すだけで再利用可能である。光ファイバも、変形前の状態に戻して光特性に影響が無ければ、再利用可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の1実施の形態を、図1から図5(a)、(b)を参照して説明する。
図1は本実施の形態の温度検知センサ並びに温度検知装置を示す光配線図、図2はハンドホール2内における光ファイバ収納体としてのクロージャ3並びに温度検知センサ4の設置状態を示す斜視図、図3はクロージャ3を示す斜視図、図4は温度検知センサである温度検知センサ4を示す斜視図である。
【0012】
図1において、符号5は光パルス試験器(いわゆるOTDR。図1中、光試験装置)、6は心線選択装置(図1中「SW」)、7a,7b,7cは光ケーブルである。
光ケーブル7a,7b,7cはいずれも管路布設されており、管路の途中に設けられた監視対象空間としてのハンドホール2内に設置されたクロージャ3を介して互いに接続されている。光ケーブル7a,7b,7cはいずれも多心であり、各クロージャ3には、これら光ケーブル7a,7b,7c内蔵の光ファイバ8(光ファイバ心線や光コード等)同士を接続する融着接続部や光コネクタ等である光接続部9が複数収納される。また、各クロージャ3には、該クロージャ3から外側へ引き出される温度監視用の光ファイバ(後述の光ファイバ10)と光ケーブル7a,7b,7c側の光ファイバ8との光接続部や、このクロージャ3から引き出される引出線(図示せず)があれば、この引出線である光ファイバと光ファイバ8との光接続部等も収納される。
本実施の形態においては、光ケーブル7a,7b,7cの光ファイバ8同士の接続は、1対1接続を基本とするが、これに限定されず、例えば、光スプリッタ等の光分岐素子を介して1本の光ファイバ8に対して別の光ファイバ8を複数本接続することも可能である。
【0013】
心線選択装置6は、光パルス試験器5側の光ファイバ5aを、光ケーブル7aの複数本の光ファイバ8に対して選択的に接続する。光パルス試験器5は、光ファイバ5aを介して、この光ファイバ5aに接続された光ファイバ8に試験光を入射し、その戻り光を観測する。
光パルス試験器5は、光ケーブル7aの光ファイバ8と、これに接続されている光ファイバ等からなる光線路全線から、入射光の戻り光を受光する。この戻り光の観測結果から、光損失増大箇所の光ファイバの曲げや融着接続部等の存在、フレネル反射光等の反射光の発生箇所の光ファイバの破断やコネクタ接続の存在を把握できる。また、戻り光の戻り時間から、損失増大箇所や反射光発生箇所の位置(光パルス試験器5からの距離)を把握できる。
【0014】
図1および図2に示すように、複数のハンドホール2の内の一部では、光ケーブル7a、7b、7cから分岐してクロージャ3から外側へ引き出された検知用光ファイバ10が、前記クロージャ3とともにハンドホール2内に設置された温度検知センサ4に引き込まれている。また、図1および図4に示すように、検知用光ファイバ10は、温度検知センサ4の光ファイバ変形部4d内に引き込まれてループ状に配線される。
但し、温度検知センサ4は、光ケーブル7a、7b、7cや、これら光ケーブル7a、7b、7cに接続される光ケーブル等によって構成される光線路全線にわたって存在する全てのハンドホール2に設置しても良い。
【0015】
図3は、検知用光ファイバ10を引き出したクロージャ3の内部構造を示す。
図3に示すように、光接続部9、11は、クロージャ3内に上下に多段に設置されたトレー3aの内、比較的上部のトレー3a上に支持されている。下段のトレー3aには、温度検知センサ3bが設置されている。この温度検知センサ3bは、図3中詳細な構成を図示しないが、クロージャ3外側に設置される温度検知センサ4と同様の構成(後に詳述)であり、当該温度検知センサ3bに設定した異常検知温度にまでクロージャ3内の温度が上昇したことに対応して、光ファイバ8(説明の便宜上、以下、符号8bを付す)に曲げ変形を与えるものであり、各種構成が採用可能である。前記温度検知センサ3bも温度検知センサ4と同様に温度検知センサとして機能する。光ファイバ8bは、検知用光ファイバとして機能する。
【0016】
図1に示すように、温度検知センサ3bに引き込まれた光ファイバ8bは、各クロージャ3内にて互いに接続され、光パルス試験器5に対して直列になっている。また、直列に接続された光ファイバ8bは、クロージャ内部温度監視用の光線路を構成し、この光線路に対する光パルス試験器5からの入射光の戻り光を観測することで、各クロージャ3の内部の温度上昇の有無を監視できる。すなわち、クロージャ3内の温度が、光ファイバ8や光接続部9の光特性や、クロージャ3の水密性等に異常を発生しない適切範囲であるときは、いずれの温度検知センサ3bでも光ファイバ8bの曲げ変形は無く、光パルス試験器5では、温度検知センサ3bにおける光ファイバ8bの曲げ変形に伴う損失増大は観測されない。しかし、クロージャ3内温度が上昇して、温度検知センサ3bに設定した異常検知温度に達すると、温度検知センサ3bに引き込まれている光ファイバ8bに曲げ変形が与えられ、光パルス試験器5にて損失増大が観測される。戻り光の戻り時間から損失増大箇所の位置(光パルス試験器5からの距離)を把握できるから、これにより、温度上昇が生じたクロージャ3を特定できる。
【0017】
なお、温度検知センサ3bの設置位置は、トレー3a上に限定されず、適宜選択可能である。但し、クロージャ3内の温度上昇を迅速に検知する必要から、設置位置は、一般的には、高温の空気が溜まりやすいクロージャ3上部であることが好ましい。また、温度検知センサ3bの設置位置は、例えば、高温排水等が排出される管路上等、熱源の上に設置されたクロージャ3ではクロージャ3の下部、クロージャ3の側部に熱源が存在する場合には、クロージャ3の側部というように、熱源による加熱の影響を受ける可能性のある場合には、加熱されやすい部位に設定することが好ましい。
【0018】
図1および図3に示すように、検知用光ファイバ10の一端は、前記クロージャ3内にて光パルス試験器5側の光ケーブル7bの光ファイバ8と接続することで光ケーブル7bから分岐され、検知用光ファイバ10の他端は、光パルス試験器5から遠い側の別の光ケーブル7cの光ファイバ8とクロージャ3内にて接続されている。これにより、検知用光ファイバ10が、光ケーブル7b、7cの光ファイバ8間に割り込ませるようにして接続される。光ケーブル7b、7cの光ファイバ8と検知用光ファイバ10との間の光接続部11(融着接続部、光コネクタ等)は、光ケーブル7b、7cの光ファイバ8同士の光接続部9とともに、クロージャ3内にて防水性を確保して収納されている。
【0019】
図2に示したクロージャ3の隣のクロージャ3(図1中、光パルス試験器5に近い側のクロージャ3)についても、光接続部9の両側の光ファイバ8、8間に割り込ませるようにして検知用光ファイバ10の両端を接続すれば、クロージャ3外側の温度検知センサ4を接続することができる。検知用光ファイバ10の接続は、光接続部9の両側の光ファイバ8、8との接続に限定されず、例えば、クロージャ3内を引き通されている光ファイバ8を切断し、間に割り込ませるようにして接続することも可能である。これにより、既設のクロージャ3であっても、温度検知センサ4を簡単に接続することができる。さらに、クロージャ3以外の箇所でも、光ケーブル7a、7b、7c…の光ファイバ8が接続されてなる光線路の途中に割り込ませるようにして検知用光ファイバ10を接続することで、温度検知センサ4を簡単に設けることができる。
【0020】
図1中示していないが、光ケーブル7a、7b、7c…を介して光パルス試験器5と接続されている光線路の光ケーブル7cよりもさらに光パルス試験器5から遠い箇所にも、温度検知センサ4を接続しても良い。この温度検知センサ4の設置場所(クロージャ3の設置場所)である監視対象空間としては、ハンドホール2に限定されず、管路途中の凹所やマンホール、管渠、建物下の空間、その他の各種掘削穴内等、各種構成が採用される。また、温度検知センサ4は、クロージャ3等の光ファイバ収納体が存在しなくても、光パルス試験器5と接続されている光線路が存在しさえすれば、この光線路の途中に割り込ませるようにして接続することができる。
各温度検知センサ4の検知用光ファイバ10は、光ケーブル7a、7b、7c…を介して(詳細には、これら光ケーブルの光ファイバを介して)前記光パルス試験器5に対して直列に接続される。
【0021】
各検知用光ファイバ10はクロージャ3にて光ケーブル7a、7b、7c…に対して適宜接続し、温度監視用の光回線は、光ケーブル7a、7b、7c…の空き回線等を利用するので、複数の温度検知センサ4の検知用光ファイバ10を光パルス試験器5と接続するための光線路を光ケーブル7a、7b、7c…に沿って別途布設する必要は無く、検知用光ファイバ10を含む温度検知センサ4の設置作業性を向上できる。検知用光ファイバ10を光パルス試験器5と接続するための光線路の別途布設が無いことは、管路等での光ケーブル7a、7b、7c…の布設作業に影響したり、光ケーブル7a、7b、7c…の心数(太さ)に制限を生じるといった不都合も回避できる点で有利である。
【0022】
温度検知センサ4に係る光ファイバ10が直列に光接続される利点は、クロージャ3内に設置される温度検知センサ3bの光ファイバ8bについても同様である。但し、温度検知センサ3bの光ファイバ8bは、光ケーブル7a、7b、7c…の光ファイバ8をそのまま利用しており、別途、検知用の光ファイバの接続が不要であるので、接続点を減少できる利点がある。なお、温度検知センサ3bに引き込む光ファイバも、光ケーブル7a、7b、7c…の光ファイバ8とは別に、専用の検知用光ファイバを使用できることは言うまでも無い。この場合は、温度検知センサ4と同様に、光線路の途中に検知用光ファイバを割り込ませるようにして接続するだけで温度検知センサ3bを接続できるので、既設の光線路に対する温度検知センサ3bの増設等も容易になる。
【0023】
検知用光ファイバ8b、10は、単心光ファイバで良い。光ケーブル7a、7b、7c…の光ファイバ8の内、検知用光ファイバ10との接続に割り当てる光ファイバ8(説明の便宜上、符号8aを付す)も、1本の単心光ファイバであれば良い。このため、検知用光ファイバ10との接続や、温度検知センサ3bの光ファイバ8bとして割り当てる光ファイバ8aを確保するために光ケーブル7a、7b、7c…の心数を大幅に増大する等の必要は無く、例えば、通信回線として使用しない空きの光ファイバ8を検知用の回線に割り当てれば足りる。
【0024】
図4に示すように、温度検知センサ4は、枠状のフレーム4aと、形状記憶合金からなる温度感応プレート4bと、温度の上昇によって変形した温度感応プレート4bに押圧されることで、前記フレーム4aにガイドされつつ移動する押圧ブロック4cと、移動された押圧ブロック4cとの間に検知用光ファイバ10を挟み込む受け部材4dとを備えている。図4において、受け部材4dはフレーム4aと一体になっているが、フレーム4aに対して着脱可能に取り付けられる別部材であっても良い。温度感応プレート4bは、温度変化によって駆動する感温駆動部として機能する。
感温駆動部に採用される形状記憶合金としては、Ti−Ni合金、Au−Cd合金、Cu−Au−Zn合金、In−Tl合金、In−Cd合金、Ti−Ni−Cu合金等が採用可能である。
【0025】
図5は、温度検知センサ4を示す図であって、(a)は温度感応プレート4bの記憶形状への変形前の初期状態を示す正面図、(b)は温度感応プレート4bが記憶形状へ変形した状態を示す正面図である。
なお、温度検知センサ4は、周囲の光ファイバ10の噛み込み等を防止するためにカバーを取り付けるようになっており、図4ではカバーを取り外した状態、図5(a)、(b)ではカバーを取り付けた状態を示す。
温度感応プレート4bは、図5(a)に示すように、例えば、形状を記憶した母相への結晶構造の変態温度以下では湾曲や屈曲等の無い平板状であるが、前記変態温度を越える程度に温度上昇すると変形して、母相時に記憶されていた湾曲形状が復元され(図5(b)参照)、フレーム4aに反力をとって押圧ブロック4cを受け部材4dに向けて押圧するようになっている。ここで、前記母相への変態温度は、この温度検知センサ4の異常検知温度となっている。この異常検知温度は、適宜設定可能であるが、例えば40℃であると、作業員が手で触れても母相への変態が生じないため、取り扱いに便利である。
図4、図5(a)、(b)においては、温度感応プレート4bは、細長板状であり、長手方向一端をフレーム4aに固定した片持ちになっており、押圧ブロック4cを介して受け部材4dとは反対の側に配置されている。
【0026】
温度感応プレート4bによって押圧ブロック4cが移動されると、この押圧ブロック4cの移動方向前方へ向けて突設された突部4eが、受け部材4d側の凹所4fに入り込み、突部4eと凹所4fとの間に検知用光ファイバ10が挟み込まれる。突部4eは、受け部材4d側の凹所4fの湾曲内面形状と一致する湾曲外面を有する湾曲壁状であるから、押圧ブロック4cと受け部材4dとの間に挟み込まれた検知用光ファイバ10は、突部4eと凹所4fとの間にて、これら突部4e外面と凹所4f内面と一致する曲率で湾曲変形される。押圧ブロック4cと受け部材4dとは、検知用光ファイバ10に曲げや伸び歪み等の変形を与える光ファイバ変形部として機能する。
【0027】
図5(a)、(b)では、異常検知温度に温度上昇したときに平板状から湾曲板状へ変形する温度感応プレート4bを例示したが、形状記憶合金を利用した感温駆動部としてはこれに限定されず、母相への変態温度である異常検知温度以上に温度上昇されて記憶形状に変形したときに、押圧ブロック4cを受け部材4dに向けて押圧する構成であれば、異常検知温度以下で設定された初期形状、および、異常検知温度以上で現れる記憶形状のいずれも、各種形状が採用可能である。また、この感温駆動部としては、プレート状に限定されず、各種形状が採用可能である。
また、形状記憶合金を利用した感温駆動部のフレーム4aのフレーム4aに対する設置形態も適宜変更可能であることは言うまでもなく、例えば、押圧ブロック4cを介して受け部材4dと対向する側にてフレーム4aに固定の支圧部を設け、異常検知温度以上で記憶形状に変形したときに、前記支圧部に反力をとって押圧ブロック4cを受け部材4dへ向けて押圧移動する構成等も採用可能である。
【0028】
形状記憶合金を利用した感温駆動部に代えて、例えば、いわゆるバイメタルからなる部材を感温駆動部として採用することも可能である。この部材は板状であることが一般的であり、温度感応プレートと似た方法で、押圧ブロック4cの移動に利用することができる。バイメタルとしては、例えば、メイバーと青銅との合金等が採用可能である。
光ファイバ変形部としては、形状記憶合金やバイメタルによって直接押圧ブロック4cを押圧する構成に限定されず、例えば、形状記憶合金やバイメタルの変形を増幅する機構を介して押圧ブロック4cを押圧する構成等も採用可能である。
【0029】
感温駆動部は、形状記憶合金あるいはバイメタルのいずれから形成されたものであっても、温度上昇によって駆動開始する異常検知温度は、適宜設定可能である。ハンドホール2やマンホール、地下管路等のように、地下に形成される空間では、外気温に比べて温度変化が少なく、一般に温度安定であるから、例えば、光ケーブル7a、7b、7cと合わせて布設した電気ケーブルや電気機器等からの発熱、何等かの原因による火災等によって、異常な温度上昇が生じたときのみ感温駆動部が駆動し、検知用光ファイバ10に曲げ変形が与えられることとなる。
【0030】
図4に示すように、この温度検知センサ4を外側から覆うカバー4g内には、温度検知センサ4に引き込んだ検知用光ファイバ10の余長をも湾曲収納し、この検知用光ファイバ10の前記温度検知センサ4に引き込んだ箇所以外に曲げ変形が与えられることを防止している。また、クロージャ3と温度検知センサ4との間においては、検知用光ファイバ10を保護ホース12内に収納して、曲げ変形や浸水から保護している。クロージャ3並びに温度検知センサ4にも防水性が確保されており、これらクロージャ3や温度検知センサ4の前記保護ホース12が導入されている口元も防水継手13(図4参照)等により、防水性が確保される。
この温度検知センサ4は、感温駆動部(温度感応プレート4b)並びに光ファイバ変形部が単純構成であるから、低コスト化、小型化が容易である。
なお、光ファイバ変形部の機構としては、前述に限定されず、各種変更が可能であることは言うまでも無い。
【0031】
図3に示すように、クロージャ3内に設置された温度検知センサ3bの構造も、温度検知センサ4と基本的には同じであり、クロージャ3内温度が異常検知温度以上に温度上昇されたときに記憶形状へ変形した温度感応プレート4b(図3中図示略)が、フレーム4aにガイドされつつ移動する押圧ブロック4cを受け部材4dに向けて移動し、押圧ブロック4cと受け部材4dとの間に光ファイバ8bを挟み込むようになっている。
【0032】
温度検知センサ4が接続されてなる光線路と、温度検知センサ3bが接続されてなる光線路とは、それぞれ、本発明に係る温度検知装置を構成する。
温度検知センサ4が接続されてなる光線路によって構成される温度検知装置1について説明すると、各温度検知センサ4の検知用光ファイバ10が接続されている光線路に対する光パルス試験器5からの入射光の戻り光を観測し、光ファイバ変形部による光ファイバ10の曲げ変形に伴う損失増大を検出することで、ハンドホール2等の監視対象空間内の異常な温度上昇を把握できる。すなわち、監視対象空間内の温度が異常検知温度以下であると、いずれの温度検知センサ4の光ファイバ変形部でも検知用光ファイバ10の曲げ変形は無く、光パルス試験器5では、光ファイバ変形部による光ファイバ8の曲げ変形に伴う損失増大は観測されない。しかし、監視対象空間内の異常な温度上昇によって、光ファイバ変形部に引き込まれている検知用光ファイバ10に曲げ変形が与えられると、光パルス試験器5にて損失増大が観測される。戻り光の戻り時間から損失増大箇所の位置(光パルス試験器5からの距離)を把握できるから、これにより、温度上昇した監視対象空間を特定できる。
検知用光ファイバ10の光ファイバ変形部にセットされる部分は、曲げ変形を受けやすい光ファイバ心線や、光コード等になっている。
検知用光ファイバ10に光伝送に影響するような曲げが与えられると、光パルス試験器5にて観測される戻り光強度の低下から、検知用光ファイバ10の曲げ変形による光損失の急激な増大が検出され、異常検知温度以上の温度上昇が検知される。
【0033】
一方、温度検知センサ3bが接続された光線路によって構成される温度検知装置1aは、クロージャ3内の温度上昇に対応して光ファイバ8bに曲げ変形を与える。光パルス試験器5における温度上昇の把握、温度上昇したクロージャ3の特定等は、光ファイバ8b同士を接続してなる光線路に対する光パルス試験器5からの入射光の戻り光を観測によってなされようになっており、この点は温度検知装置1と同じである。
【0034】
心線選択装置6(図1参照)における光ファイバ5a、8間の切替接続と、光パルス試験器5から光ファイバ5a、8への入射光並びに戻り光の観測とは、随時、連続的になされることが好ましく、これにより、クロージャ内部温度検知用の温度検知センサ3bが複数接続されている光線路や、温度検知センサ4の検知用光ファイバ10が接続されている光線路について、光ファイバ8、10の曲げに伴う損失増大が随時監視されるから、実質的に、クロージャ3内や監視対象空間内の温度上昇の常時監視を実現できる。
【0035】
光パルス試験器5に接続された各光線路は、正常時には観測されない筈の箇所から損失増大や反射光が観測されたり、逆に、正常時に観測されるべき損失増大や後方散乱光や反射光が観測されなくなると、異常を検出したことになる。異常箇所は、光パルス試験器5への戻り光の戻り時間から、その場所(光パルス試験器5からの距離)を具体的に把握できるから、メンテナンスに有利である。
【0036】
本実施の形態の温度検知装置1、1aによれば、温度上昇検知用の光線路について、光パルス試験器5からの入射光の戻り光を観測するだけで、温度検知センサ4、3bを設置した箇所の温度上昇の有無を、遠隔地からでも効率良く監視できる。クロージャ3内の温度検知センサ3b、すなわち温度検知装置1aにて温度上昇が検知されていなくても、クロージャ3外側の監視対象空間の温度上昇を温度検知センサ4によって検知できるので、例えば、クロージャ3内の温度上昇前に、監視対象空間の換気による降温や、監視対象空間からのクロージャ3の退避等の対策をとることが可能であり、クロージャ3内への温度上昇の影響を未然に防ぐことができる。これにより、クロージャ3内の光ファイバや光部品(光コネクタ、光スプリッタ等)の特性の変化、温度上昇によるクロージャ3自体の変形、これによる防水性の低下等を未然に防ぐことや、迅速な復旧作業等が可能になる。逆に、温度検知装置1にて監視対象空間の温度上昇が検知されているにも関わらず、温度検知装置1aで温度上昇が検知されていなければ、温度検知センサ4近傍のみの局所的な温度上昇である可能性が高い。
【0037】
光回線の増設や接続切替等のためにクロージャ3を開放する際には、ハンドホール2等の監視対象空間内の温度やクロージャ3内の温度を温度検知装置1、1aにより把握することで、監視対象空間内への作業者の進入に伴う危険の有無や、クロージャ3の開放に伴う危険の有無等を把握できる。すなわち、ハンドホール2等の空気流通性の低い監視対象空間では、内部が高温になっている場合、蓋を開放すると同時に熱風が噴き出す等の危険がある。また、クロージャ3内が高温になっている場合は、クロージャ3内圧が高まっている可能性があり、開放操作によって急激に開放したり、内部の部品に接触したときに火傷を負う可能性がある。しかし、本発明に係る温度検知装置1、1aにより、監視対象空間内の温度やクロージャ3内の温度を把握しておくことで、これらの危険を回避できるといった利点がある。
【0038】
温度上昇検知後、温度感応プレート4bの変形を元へ戻し、押圧ブロック4eを移動前の元の位置に戻せば、温度検知センサ4、3b全体を再度使用することが可能であり、低コスト化できる。また、光ファイバ変形部によって変形された光ファイバ10、8bも破断される訳では無いので、曲げ変形を受ける前の状態に戻したときに光特性に影響が無ければ、再使用可能である。
【0039】
温度検知装置1、1aを構成する光線路は、光ファイバ8a、10を直列に接続するだけで簡単に構成できる。また、光ファイバ8a、10は単心でも充分に機能する。これにより、全体を単純構成とすることができるので、温度検知装置1、1a全体の構築が容易になり、また、温度検知センサ3b、4毎に、別々の光線路にて温度検知装置を構成する場合に比べて、融着接続部等の光接続部数や余長処理量等は少なくて済むため、クロージャ3等の小型化等も可能である。本実施の形態では、温度検知関連の光ファイバは2心あれば足り、クロージャ3や心線選択装置6の大型化の必要は無い。
【0040】
温度検知センサ4は、クロージャ3から外側へ引き出された検知用光ファイバ10を引き込むことで構成され、クロージャ3から引き出された検知用光ファイバ10の引き回しは自由であるので、監視対象空間内での設置位置の選択は自由であり、例えば、クロージャ3近接配置して、小型の監視対象空間に対応すること等も容易である。温度検知センサ4の設置位置は、監視対象空間内の温度検知に適した箇所、例えば監視対象空間に地熱や工場等からの廃熱が作用する箇所が存在する場合はこれらの熱が作用しやすい場所、ハンドホール2やマンホール等における温度の高い空気が滞留しやすい上部等あることが好ましい。また、ハンドホール2やマンホール等の監視対象空間の上部に設置することは、これら監視対象空間の浸水を避ける点で有利である。さらに、検知用光ファイバ10を延長すれば、クロージャ3から離れた所への温度検知センサ4の設置も可能である。
【0041】
なお、光ファイバ変形部としては、検知用光ファイバ10に曲げ変形を与えるものに限定されず、検知用光ファイバ10に伸び歪みを与える構成も採用可能である。例えば、図4の光ファイバ変形部にて検知用光ファイバ10の曲げ変形箇所の両側を引留具により固定しておくと、光ファイバ変形部によって検知用光ファイバ10に曲げ変形が与えられると同時に、両引留具間にて検知用光ファイバ10に伸び歪みが与えられる。検知用光ファイバ10の伸び歪み発生は、光パルス試験器でのブリュアン散乱光の観測によって検出できる。但し、光パルス試験器としては、ブリュアン散乱光の後方散乱光を観測可能ないわゆるBOTDRを採用する。この場合、クロージャ内に設置される温度検知装置も光ファイバに伸び歪みを与えるものに変更するか、あるいは、曲げ変形を与える構成の温度検知センサを採用して、BOTDRとは別に用意したOTDRに光ファイバを接続する。
【0042】
前記実施の形態では、温度上昇検知用の温度検知装置1、1aを例示したが、本発明はこれに限定されず、降温検知用の温度検知装置をも含む。
例えば、バイメタルを利用した構成の温度検知センサや、ガス封入した容器の体積変動(例:ガス封入したシリンダのピストン移動等)を利用した温度検知センサでは、温度低下によって光ファイバ変形部を駆動して光ファイバに曲げ変形を与える構成が可能である。寒冷地等では、土壌凍結時に地盤から作用する押圧力によって、光ケーブル架地布設用の地下管路等に潰れや曲げ等の変形力が加わったり、ハンドホール、マンホール等内の水分が凍結してクロージャ等の光ファイバ収納体を押圧すること等により、光線路の断線等が生じるケースがあるが、温度検知センサにより温度低下を検知することで、光線路の断線等を生じる可能性の高い箇所を把握して、断線等の発生前に対策を講じたり、断線発生時の復旧作業に迅速すること等が可能である。
【0043】
前記実施の形態では、光ケーブル7a、7b、7c…の一部の光ファイバ8を監視対象空間の温度検知用の光線路として利用した構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、光ケーブル7a、7b、7c…とは別の光ケーブルを監視対象空間の温度検知用の光線路として布設する構成も採用可能である。この場合も、温度検知専用の光ケーブルを、光ケーブル7a、7b、7c…間を接続するクロージャ内に引き込み、クロージャから検知用光ファイバを引き出す構成を採用することが、省スペース化、低コスト化の点で有利である。
クロージャから引き出した検知用光ファイバは、複数の温度検知センサに引き込むようにしても良い。温度検知センサ間では、検知用光ファイバの余長を確保して、光パルス試験器での戻り光の観測結果から、各温度検知センサの位置を区別できるようにすることがより好ましい。
【0044】
前記実施の形態では、架地布設される光ケーブルに設けられたクロージャ内あるいはクロージャ外側の温度上昇を検知する温度監視装置を例示したが、本発明はこれに限定されず、建物内に布設された光線路各所の温度検知等にも適用可能である
【0045】
た、前記実施の形態では、光ファイバ収納体としてクロージャを例示したが、光ファイバ収納体としてはこれに限定されず、クロージャ以外の密閉可能な構成、光接続箱等の筐体、光配線盤等の密閉されない設備等、各種構成が採用可能である。
【0046】
前記実施の形態では、光ファイバ収納体外側に配置される温度検知センサを備える温度監視装置1と、光ファイバ収納体内に配置される温度検知センサを備える温度監視装置1aの両方を具備した構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、いずれか一方のみを単独で設けることも可能である。温度監視装置1aは、光ファイバ収納体内に配置された温度検知センサによって光ファイバ収納体外側の温度をも光ファイバ収納体を介して間接的ながら検知することができ、単独で用いても、温度監視装置1に近い機能が得られる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、温度検知する目的位置に設置し温度検知センサの感温駆動部が、予め設定された異常検知温度を検知したときに駆動して、温度検知センサに引き込まれている光ファイバに曲げや伸び歪み等の変形を与える構成であり、この光ファイバの変形を該光ファイバへの入射光の戻り光の観測によって把握することで、温度検知センサ設置位置の温度が異常検知温度に達したかどうかを簡単に調べることができる。光ファイバの特定箇所(光ファイバ変形部によって変形される部分)の変形を検出する構成であることから、単に光ファイバへの入射光のラマン散乱光を観測することに比べて、異常検知温度の検知を明瞭に把握できる。しかも、温度検知センサは、単純構成とすることができ、低コスト化でき、この温度検知センサを用いた温度検知装置も小型化、低コスト化が可能である。さらに、温度検知センサは、異常検知温度の検知後に、光ファイバの変形前の元の状態に戻して再使用可能とすることができ、これによっても低コスト化が可能である。温度検知センサは、感温駆動部や光ファイバ変形部が設置並びに光ファイバの布設等が可能であれば、場所を問わず何処にでも簡単に設置することができる。
ファイバへの入射光の戻り光の観測装置も、ラマン散乱光の観測結果から温度を計測する装置のように特殊かつ高価な装置は不要であり、光線路の断線試験等に用いられる光パルス試験器等を併用できるので、低コスト化できるといった優れた効果を奏する。
【0048】
また、本発明に係る温度検知装置によれば、光ファイバ収納体外側の温度を温度検知センサによって効率良く検知でき、光ケーブルを介した遠隔地からの常時監視等が可能になる。例えば、光ファイバ収納体が設置された建物室温、マンホール、ハンドホール、穴等の監視対象空間の温度管理等に役立てることができる。また、光ファイバ収納体外側の温度監視によって、光ファイバ収納体内部の光ファイバや光部品の光特性に影響を与える温度変化を把握することで、光ファイバや光部品の光特性に影響を与えないための対策を早期に講じたり、光特性に影響が出た場合の迅速な復旧等が可能になる。請求項3記載の温度検知装置によれば、クロージャ等の光ファイバ収納体内側の温度を該光ファイバ収納体内に設置した温度検知センサによって直接的に効率良く検知できるので、光ファイバ収納体内に収納されている光ファイバや光部品の特性の維持等に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施の形態の温度検知装置の全体構成を示す光配線図である。
【図2】 監視対象空間としてのハンドホール内におけるクロージャおよび温度検知センサの設置状態を示す斜視図である。
【図3】 図2のクロージャを示す斜視図である。
【図4】 図2の温度検知センサを示す斜視図である。
【図5】 図4の温度検知センサを示す図であって、(a)は初期設定時を示す正面図、(b)は温度上昇を検知して記憶形状へ変形した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1,1a…温度検知装置、3…クロージャ、3b,4…温度検知センサ、4b…感温駆動部(温度感応プレート)、4c…光ファイバ変形部(押圧ブロック)、4d…光ファイバ変形部(受け部材)、7a,7b,7c…光ケーブル、8b,10…光ファイバ(検知用光ファイバ)。

Claims (3)

  1. 光ケーブル(7a、7b、7c)に組み立てられマンホールあるいはハンドホールあるいは建物内に設置されたクロージャ(3)等の光ファイバ収納体と、該光ファイバ収納体の外側に配置された温度検知センサ(4)とを備え、前記光ケーブルから分岐され該光ファイバ収納体から外側へ引き出された光ファイバ(10)が前記温度検知センサに引き込まれてなり、前記温度検知センサは、温度変化によって駆動する感温駆動部(4b)と、該感温駆動部の駆動力によって前記光ファイバに曲げや伸び歪み等の変形を与える光ファイバ変形部(4c、4d)とを備え
    前記光ファイバ(10)は、前記光ファイバ収納体内にてその両端が前記光ケーブルの光ファイバと接続され、前記光ケーブルの光ファイバと接続された両端の間に位置する部分が前記温度検知センサに引き込まれ、前記光ファイバ(10)の前記光ファイバ収納体と前記温度検知センサとの間に位置する部分は保護ホース(12)内に収納されていることを特徴とする温度検知装置(1)。
  2. 前記クロージャ(3)及び温度検知センサ(4)の前記保護ホース(12)が導入されている口元が防水継手(13)により防水性が確保されていることを特徴とする請求項1記載の温度検知装置。
  3. さらに、前記光ファイバ収納体内側に配置され光ファイバ収納体内部の温度を検知する温度検知センサを備え、前記光ファイバ収納体内側に配置された温度検知センサ(3b)に前記光ケーブルから分岐された光ファイバ(8b)が引き込まれてなり、前記光ファイバ収納体内の前記温度検知センサは、温度変化によって駆動する感温駆動部(4b)と、該感温駆動部の駆動力によって前記光ファイバに曲げや伸び歪み等の変形を与える光ファイバ変形部(4c、4d)とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の温度検知装置(1a)。
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