JP4359002B2 - 建造物の避雷構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、落雷時に発生する雷電流を瞬時に大地に流すことができて建造物に設けられている諸設備を保護する(例えば高圧鉄塔にあっては地絡事故の影響による碍子の損傷)ことができ、更に建造物の周囲に建て込んで家屋などの構造物に対する影響を軽減させることができる建造物の避雷構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧鉄塔のような建造物(101)は図4の様に塔頂部分に落雷対策用の架空地線(102)が架設され、その下に碍子(104)を介して送電線(103)や通信線が架設されている。また、塔脚部(110)を地中に埋設した接地シート(111)に接続し、高圧鉄塔(101)に落雷した時にその雷電流を鉄塔部分を通じて接地シート(111)に流すという方法をとっている。高圧鉄塔のような建造物(101)は高層ビルやマンションと違って避雷針を特に設置する必要がないが、地絡事故などを防止する意味から落雷した場合は速やかに雷電流を大地に流してやる必要がある。
【0003】
即ち、送電線(103)に雷撃があると雷撃相では両側に雷電流が流れて高電圧が発生し、非雷撃相には誘導によって高電圧が発生する。その結果、雷撃によって発生した雷サージ現象による過電圧は、各相の電圧は進行波となって高圧鉄塔(101)に対し、各相の碍子(104)に高電圧が加わり、碍子(104)を破損する事があるし、送電線(103)を通って変電所に侵入し、変電設備に障害を与えることがある。
【0004】
また、高圧鉄塔(101)に落雷した場合は、鉄塔部分は鉄で構成されているためサージインピーダンスが高く、フラッシオーバーによる落雷時の接地電圧の上昇を引き起こし前述の碍子(104)の破損事故の原因にもなるし、高圧鉄塔(101)が市街地にあると近隣の家屋の電子機器に影響を与えることになる。
【0005】
このような建造物(101)の接地方法として、前述のように塔脚部(110)を部分地中に埋設した接地シート(111)に接続して雷電流を地中にアースしていたが、接地シート(111)の埋設深さが浅いため1つの接地シート(111)では接地電位が高く地絡事故対策としては不十分であり、必要に応じて複数の接地シート(111)を導電線(112)で接続し、接地電位の低下を図っているが、この方式では、非常に広い接地シート(111)の埋設面積が必要となるため市街地では不可能であった。
【0006】
加えて前述の接地シート方式では、前述の落雷時の接地電圧の上昇やアースされた雷電流が地表を流れて周囲のビルや家屋の電気機器類に障害を与えたり、或いは落雷時に高圧鉄塔(101)の周囲に張り巡らされた金属フェンスに手を触れていた場合、誘導電流のために感電するというような事故もあった。これらの点は、鉄塔(101)に限られず、マイクロタワーなどにも言えることである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決課題は、高圧鉄塔のような建造物に落雷した雷電流を大地に速やかに流すことができるような避雷用深打電極を開発すると共に、そのような避雷用深打電極と低サージインピーダンス導電体とを利用して高圧鉄塔のような建造物に落雷し、前記建造物に発生した雷電流を大地に速やかに流すことができるような避雷構造を開発することであり、更には落雷時に高圧鉄塔のような建造物の周囲に居て、偶然に建造物の周囲を取り囲んでいる金属フェンスに接触していたときに落雷があったとしても落雷時の誘導電流によって感電するようなことがない建造物の避雷構造を開発することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
「請求項1」に記載した発明は、「建造物(1)に設けられた誘雷体(2)と、電気良導体の分散体(21)が混入され、前記建造物(1)が建てられている地面またはその近傍部分の地中に埋設された棒状のコンクリート(22)、及び前記コンクリート(22)の一端から長手方向に沿って内部に埋設された電気良導線(23)で構成された避雷用の深打電極(20)と、前記建造物(1)に沿って配設され、前記誘雷体(2)及び前記深打電極(20)の電気良導線(23)を接続する低サージインピーダンス電気良導体(4)とで構成された建造物(1)の避雷構造であって、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)が前記建造物(1)の一側面(1a)側に位置する場合において、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)側の前記建造物(1)の側面(1a)と、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有しない領域(10b)側の前記建造物(1)の側面(1b)とに雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)(4a)が配設されると共に、該低サージインピーダンス電気良導体(4)(4a)のそれぞれに深打電極(20a)(20b)が接続され、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)側の前記建造物(1)の側面(1a)に配設された雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4a)のサージインピーダンスに比べて、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有しない領域(1b)側の前記建造物(1)の側面(1b)に配設された雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)のサージインピーダンスがより低いことを特徴とする建造物(1)の避雷構造」である。
【0009】
また、「請求項2」に記載した発明は、建造物(1)が例えば鉄塔のように避雷針のようなものを立てる必要がない誘雷体(2)である場合であり、「誘雷体(2)である建造物(1)と、電気良導体の分散体(21)が混入され、前記建造物(1)が建てられている地面またはその近傍部分の地中に埋設された棒状のコンクリート(22)、及び前記コンクリート(22)の一端から長手方向に沿って内部に埋設された電気良導線(23)で構成された避雷用の深打電極(20)と、前記建造物(1)に沿って配設され、誘雷体(2)である前記建造物(1)及び前記深打電極(20)の電気良導線(23)を接続する低サージインピーダンス電気良導体(4)とで構成された建造物(1)の避雷構造であって、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)が前記建造物(1)の一側面(1a)側に位置する場合において、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)側の前記建造物(1)の側面(1a)と、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有しない領域(10b)側の前記建造物(1)の側面(1b)とに雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)(4a)が配設されると共に、該低サージインピーダンス電気良導体(4)(4a)のそれぞれに深打電極(20a)(20b)が接続され、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)側の前記建造物(1)の側面(1a)に配設された雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4a)のサージインピーダンスに比べて、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有しない領域(1b)側の前記建造物(1)の側面(1b)に配設された雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)のサージインピーダンスがより低いことを特徴とする建造物(1)の避雷構造」である。
【0010】
これらの発明の避雷用深打電極(20)にあっては、その一端から長手方向に沿って内部に埋設され、建造物(1)に設けられた雷電流導通用の電気良導体(4)に接続される電気良導線(23)を有するので、雷電流は電気良導線(23)を通って避雷用深打電極(20)全長に流れ、続いて電気良導線(23)に接触している分散体(21)を通って地中に流れる。このときサージインピーダンスは地中深ければ深いほど低くなるので、一般的には避雷用深打電極(20)の地中先端から地中に瞬時に流れることになる。なお、電気良導線(23)は、例えば銅棒のような低サージインピーダンス電気良導体が好ましい。
【0011】
これに加えて避雷用深打電極(20)の電気良導線(23)に接続している建造物(1)に設けられた雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)と協働して雷電流のアースを出来る限り速やかに行わせる事で、建造物(1)に発生するフラッシオーバーの発生を出来る限り抑制すると共に接地電位の上昇小さくして地絡事故の発生は勿論、建造物(1)の周囲への影響もできる限り小さくすることができた。なお、雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)には例えば銅棒のような表面積の大きい部材が使用される。
【0012】
以上のように構成された建造物(1)の避雷構造では、前記のように深打電極(20)による優れたアース効果が実現される。即ち、サージインピーダンスはアース電極を深く打ち込めば打ち込む程小さくなってアース効果が高くなるので、地中深く埋設された深打電極(20)を用いることでより落雷時のサージ電流を円滑に大地に流すことが出来る。従って、落雷時のサージ電圧の電位波頭部変動をより小さくすることが出来ると同時にサージ電位をより短時間に定常値に収束させることができるようになる。その結果、例えば建造物(1)が高圧鉄塔のような場合には、碍子が破損するような地絡事故を解消することができる。なお、建造物(1)に設けられた誘雷体(2)とは、建造物(1)が高圧鉄塔の場合は架空地線であり、建造物(1)が高層ビルや高層マンションのような場合には避雷針である。
【0014】
ここで特筆すべき点は、「落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)が前記建造物(1)の一側面(1a)側に位置する場合において、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)側の前記建造物(1)の側面(1a)と、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有しない領域(10b)側の前記建造物(1)の側面(1b)とに雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)(4a)が配設されると共に、該低サージインピーダンス電気良導体(4)(4a)のそれぞれに深打電極(20a)(20b)が接続され、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)側の前記建造物(1)の側面(1a)に配設された雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4a)のサージインピーダンスに比べて、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有しない領域(1b)側の前記建造物(1)の側面(1b)に配設された雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)のサージインピーダンスがより低い」点である。
【0015】
このようにすることで、建造物(1)に落雷した雷の雷電流の大半はサージインピーダンスがより低い、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有しない領域(10b)側の建造物(1)の側面(1b)に配設された雷電流導通用の電気良導体(4)を通ってアースされ、その結果、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有しない領域(1b)側の地表を雷電流が流れ、反対側の落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)には殆ど雷電流が流れず、建造物(1)の近くに建て込んでいるビルや家屋(11)に与える影響を大幅に軽減することができた。
【0016】
「請求項3」は請求項1または2に記載の建造物(1)の避雷構造の更なる改良で「落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)側と建造物(1)との間に、地表に露出した絶縁体(6)が埋設されている」ことを特徴とする。
【0017】
このようにすることで、落雷時にアースされた雷電流が絶縁体(6)にて遮断され、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)に殆んど流れず、前述の場合に加えてビルや家屋などへの落雷による影響を更に小さくすることができる。
【0018】
「請求項4」は請求項1〜3のいずれかに記載の建造物(1)の避雷構造の更なる改良で「落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)側に配設された深打電極(20a)の打ち込み深さに比べて、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有しない領域(10b)側に配設された深打電極(20b)の打ち込み深さの方がより深くなっている」ことを特徴とする。
【0019】
このようにすることで、サージインピーダンスがより低い、より深く打ち込まれている落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有しない領域(10b)側の深打電極(20)に雷電流の大半が流れることになり、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)に雷電流が殆んど流れず、この場合も前述の場合同様これに加えてビルや家屋などへの落雷による影響を更に小さくすることができる。
【0020】
「請求項5」は請求項1〜4のいずれかに記載の建造物(1)の避雷構造の更なる改良に関し「建造物(1)が建てられている地面またはその近傍部分の地中に高誘電率を持つ等電位用接地体(3)が埋設され、低サージインピーダンス電気良導体(4)が等電位用接地体(3)に接続されている」ことを特徴とするもので、このようにすることにより、建造物(1)全体の接地電位を均等にすることができる。
【0021】
「請求項6」は請求項5に記載の建造物(1)の避雷構造の応用例で「建造物(1)の周囲を取り囲むように配設された金属フェンス(30)が等電位用接地体(3)に接続されて」いることを特徴とするもので、このようにすることにより落雷時にたまたま建造物(1)の周囲に張り巡らされた金属フェンス(30)に人が触れていたとしても、金属フェンス(30)の接地電位は建造物(1)と同じ電位となり、金属フェンス(30)に誘導電流が発生せず、当該人が感電するようなことがない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。図1は雷撃を受ける可能性があるような本発明にかかる高圧鉄塔のような建造物(1)である。前記建造物(1)にはマイクロタワーその他が含まれ、高圧鉄塔に限られないが、ここでは高圧鉄塔(1)を中心に説明する。高圧鉄塔はそれ自体が誘雷体(2)であり、特に高圧鉄塔(1)への落雷を防止するための避雷針などは設置されていない。ただし、送電線(5)への落雷を防止するために、高圧鉄塔(1)の塔頂部には水平に伸びたアーム(1c)が設けられており、落雷を誘導するための架空地線(=誘雷体(2))が架設されている。高圧鉄塔(1)の全体は形鋼を組み合わせて作られたものであり、サージインピーダンスそのものは高い。高圧鉄塔(1)の塔脚部(1d)は地中に埋設された基礎(1e)にて固められている。
【0023】
また、建造物(1)が建てられている地面またはその近傍部分の地中には、1乃至複数の深打電極(20)が打ち込まれており、後述する低サージインピーダンス導電体(4)に接続されている。前記深打電極(20)は、例えば金属粉、カーボン粉または炭素粉などの電気良導体の分散体(21)と、コンクリート(22)と、一端から長手方向に沿って内部に埋設され、建造物(1)に設けられた雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)に接続される電気良導線(23)とで構成されている。内部に埋設される電気良導線(23)は、通常の銅撚り線のようなものでもよいが、後述する低サージインピーダンス電気良導体(4)のように表面積の大きい銅棒のようなものが好ましい。
【0024】
前記深打電極(20)は、次のようにして形成される。まず、建造物(1)が建てられている地面またはその近傍部分の所定の位置にて所定の深さにボーリングを行い、その中心に被埋設電気良導線(23)を配設し、続いてボーリング孔にコンクリート(22)に電気良導体の分散体(21)を混入したセメントミルクを注入する。セメントミルクが固化するボーリング孔の内面に密着した棒状の深打電極(20)が地中に形成されることになる。他の方法として前記構成の既成深打電極(20)をボーリング孔に挿入し、既成深打電極(20)とボーリング孔との間隙にコンクリート(22)に電気良導体の分散体(21)を混入したセメントミルクを注入して両者の密着を図るようにしてもよい。
【0025】
深打電極(20)の深さは、特に規定されるものでなく、地盤の接地電位との関係で決定される。また、深打電極(20)は一本に限られず、必要に応じて複数の深打電極(20)が地中に埋設される。この場合、深打電極(20)の形成深さは同じでもよいが、周囲の状況に合わせて選択されることもある。例えば、高圧鉄塔(1)が市街地に立設されており、高圧鉄塔(1)の一方の側に、前述のように落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)、例えばマンションや一般家屋或いはビルなどが立ち並んでいる領域(10a)が存在する場合、これら構造物(11)に対する落雷の影響をできるだけ小さくする必要がある。そこで、深打電極(20)の深さに付いていえば、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)が立ち並んでいる領域(10a)側の深打電極(20a)の深さを浅くし、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)が立ち並んでいない領域(10b)側の深打電極(20b)の深さを深くして、両電極(20a)(20b)のサージインピーダンスに差を設け、領域(10b)側の深打電極(20b)側に主として雷電流を流すようにしてもよい。
【0026】
次に、高圧鉄塔(1)に設けられた雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)について説明する。低サージインピーダンス電気良導体(4)は高圧鉄塔(1)の塔頂部(1f)から塔脚部(1d)まで高圧鉄塔(1)に沿って取り付けられており、前記深打電極(20)の被埋設電気良導線(23)に接続されている。この低サージインピーダンス電気良導体(4)は既に述べたように、例えば、太くて表面積が大であり、高誘電率でコンデンサー容量を持った銅線あるいは銅棒のようなものが使用される。
【0027】
前記雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体(4)は、深打電極(20)の数に合わせて1乃至複数本設置してもよいが、前述のように落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)、例えばマンションや一般家屋或いはビルなどが立ち並んでいる領域(10a)が存在する場合、次のようにすると好ましい。即ち、高圧鉄塔(1)の、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)が立ち並んでいる領域(10a)側では、低サージインピーダンス電気良導体(4)を配設せず、塔脚部(1d)を直接浅い方の深打電極(20a)に接続する。そして、反対側の領域(10b)側に低サージインピーダンス電気良導体(4)を配設し、深い方の深打電極(20b)に接続する。このようにすることによりに低サージインピーダンス電気良導体(4)に主として雷電流が流れ、そして深打された方のよりサージインピーダンスの低い深打電極(20b)を通って雷電流が地中にアースされるようにする。その結果、高圧鉄塔(1)に近接して建ち並んでいる構造物(11)に対する影響を少なくすることができる。
【0028】
また、前述のように高圧鉄塔(1)の近傍にてその一側面(1a)側に、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物(11)を有する領域(10a)が位置する場合、該領域(10a)と高圧鉄塔(1)の間にて地表に露出した絶縁体(6)を埋設してもよい。絶縁体(6)の埋設深さは地盤の状況によるが一般的に50センチから1メートルである。絶縁体(6)の幅は例えば高圧鉄塔(1)の敷地内で高圧鉄塔(1)の塔脚部(1d)と当該領域(10a)の端を結ぶ線を越えることが好ましい。
【0029】
また、前記高圧鉄塔(1)内に人が入り込まないようにするために金属フェンス(30)を張り巡らすことがあるが、落雷時に偶然その金属フェンス(30)に接触していると誘導電流により感電する。そこで、図2のように高圧鉄塔(1)の周囲にたとえばメッシュ電極で構成された等電位用接地体(3)を埋設し、導電性コンクリート(7)で等電位用接地体(3)を固め、金属フェンス(30)と低サージインピーダンス電気良導体(4)、深打電極(20)に接続する。これにより金属フェンス(30)の接地電位も深打電極(20)や高圧鉄塔(1)と等電位になり、金属フェンス(30)に誘導電流が流れないようになる。なお、前記導電性コンクリート(7)には深打電極(20)と同様、金属粉やカーボン粉などが混入されている。
【0030】
以上からわかるように、たとえば高圧鉄塔(1)や送電線(5)に落雷があり、雷電流が発生したとしても、その雷電流は最も流れやすい経路である低サージインピーダンス電気良導体(4)を通って深打電極(20)から地中に瞬時に流れ、接地電位の上昇を極力抑制する。また、低サージインピーダンス電気良導体(4)の設置場所を前記領域(10b)側の側面(1b)としたり、前記領域(10b)側の深打電極(20b)をより深くしたり、前記領域(10a)側を遮蔽するように絶縁体(6)を領域(10a)と高圧鉄塔(1)との間に埋設することで、前記領域(10a)側の家屋やビルなど落雷の影響を受けやすい構造物(11)を効果的に保護することができるようになる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明の深打電極にあっては、その一端から長手方向に沿って内部に埋設され、建造物に設けられた雷電流導通用の電気良導体に接続される電気良導線、コンクリートおよび電気良導体の分散体とで構成されているので、この深打電極を地中深く埋設することでサージインピーダンスをきわめて低くすることができ、雷電流を地中へきわめて円滑に流すことができ、接地電位の上昇を大幅に抑制することができる。また、この深打電極ならびに深打電極に接続された低サージインピーダンス電気良導体とを利用することで、建造物に落雷したときに発生する雷電流をきわめて円滑に地中にアースすることができ、建造物全体の接地電位の抑制が可能となる。その結果、例えば建造物が高圧鉄塔のような場合には、碍子が破損するような地絡事故を解消することができる。また、低サージインピーダンス電気良導体の設置場所、複数設けた深打電極のそれぞれの深さや絶縁体の設置場所などを考慮することにより、建造物周囲の建物に対する落雷の影響をきわめて小さくすることも可能である。また、建造物の周囲に金属フェンスを張り巡らしている場合、金属フェンスの内側にて建造物の建設位置あるいはその周囲に等電位用接地体を埋設し、これに金属フェンスを接続することで、金属フェンスの接地電位を建造物や深打電極と等電位にして落雷の金属フェンスの誘導電流の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明構造を適用した建造物(高圧鉄塔)の概略斜視図
【図2】図1の塔脚部近傍の詳細断面図
【図3】図1の建造物の平面図
【図4】従来の高圧鉄塔の避雷構造を示す概略斜視図
【符号の説明】
(1)建造物
(4)雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体
(20)避雷用深打電極
(21)電気良導体の分散体
(22)コンクリート
(23)電気良導線
Claims (6)
- 建造物に設けられた誘雷体と、
電気良導体の分散体が混入され、前記建造物が建てられている地面またはその近傍部分の地中に埋設された棒状のコンクリート、及び前記コンクリートの一端から長手方向に沿って内部に埋設された電気良導線で構成された避雷用の深打電極と、
前記建造物に沿って配設され、前記誘雷体及び前記深打電極の電気良導線を接続する低サージインピーダンス電気良導体とで構成された建造物の避雷構造であって、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物を有する領域が前記建造物の一側面側に位置する場合において、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物を有する領域側の前記建造物の側面と、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物を有しない領域側の前記建造物の側面とに雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体が配設されると共に、該低サージインピーダンス電気良導体のそれぞれに深打電極が接続され、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物を有する領域側の前記建造物の側面に配設された雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体のサージインピーダンスに比べて、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物を有しない領域側の前記建造物の側面に配設された雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体のサージインピーダンスがより低いことを特徴とする建造物の避雷構造。 - 誘雷体である建造物と、
電気良導体の分散体が混入され、前記建造物が建てられている地面またはその近傍部分の地中に埋設された棒状のコンクリート、及び前記コンクリートの一端から長手方向に沿って内部に埋設された電気良導線で構成された避雷用の深打電極と、
前記建造物に沿って配設され、誘雷体である前記建造物及び前記深打電極の電気良導線を接続する低サージインピーダンス電気良導体とで構成された建造物の避雷構造であって、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物を有する領域が前記建造物の一側面側に位置する場合において、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物を有する領域側の前記建造物の側面と、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物を有しない領域側の前記建造物の側面とに雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体が配設されると共に、該低サージインピーダンス電気良導体のそれぞれに深打電極が接続され、
落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物を有する領域側の前記建造物の側面に配設された雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体のサージインピーダンスに比べて、落雷時に雷電流の影響を受けやすい構造物を有しない領域側の前記建造物の側面に配設された雷電流導通用の低サージインピーダンス電気良導体のサージインピーダンスがより低いことを特徴とする建造物の避雷構造。 - 落雷時に雷電流の影響を受けやすい前記構造物を有する領域側と前記建造物との間に、地表に露出した絶縁体が埋設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の建造物の避雷構造。
- 落雷時に雷電流の影響を受けやすい前記構造物を有する領域側に配設された前記深打電極の打ち込み深さに比べて、落雷時に雷電流の影響を受けやすい前記構造物を有しない領域側に配設された深打電極の打ち込み深さの方がより深くなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建造物の避雷構造。
- 前記建造物が建てられている地面またはその近傍部分の地中に高誘電率を持つ等電位用接地体が埋設され、低サージインピーダンス電気良導体が等電位用接地体に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の建造物の避雷構造。
- 前記建造物の周囲を取り囲むように配設された金属フェンスが前記等電位用接地体に接続されている請求項5に記載の建造物の避雷構造。
Priority Applications (1)
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