JP4358388B2 - ポジトロンイメージング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定対象での物質分布等の情報を得るためのポジトロンイメージング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポジトロンイメージング装置は、人体や動物及び植物などの測定対象に対して、陽電子(ポジトロン)を放出する放射性同位元素(RI)で標識された物質をトレーサとして投入し、RI物質から放出された陽電子が通常物質中の電子と対消滅して生成される一対のγ線を計測することによって、測定対象についての情報を得るものである(例えば、特開平9−33658号公報参照)。
【0003】
電子・陽電子対消滅によって発生する一対のγ線は、それぞれ電子あるいは陽電子の質量とほぼ等しいエネルギー(511keV)を有して、互いにほぼ反対方向に放出される。したがって、測定対象を挟んで配置された放射線検出器によってγ線対を同時計数し、対消滅の発生位置を同定することによって、測定対象内の各位置における物質分布等を測定することが可能である。
【0004】
ポジトロンイメージング装置としては、ポジトロンCT装置などいくつかの構成のものが提案あるいは開発されているが、その1つとして、1対の2次元放射線検出器を対向配置してγ線対を検出するものがある。このような装置は、例えば2台の2次元放射線検出器に挟まれた位置に置かれた比較的偏平な測定対象の測定に適しており、例えば植物の測定などに用いられる。また、厚みがあるものに対しても適用が可能である。
【0005】
このようなポジトロンイメージング装置の基本構成を図8に示す。本装置は、1対の2次元放射線検出器60及び70を備えている。2次元放射線検出器60、70は、それぞれ複数のシンチレータからなるシンチレータアレイ61、71と、シンチレータアレイ61、71にγ線が入射することによって発生したシンチレーション光を検出するための光検出器62、72とから構成されている。放射線検出器60、70は、シンチレータアレイ61、71の放射線入射面同士が対向するように、それぞれ検出器ケース65、75に格納された状態で配置されている。
【0006】
この構成において、放射線検出器60、70に挟まれた所定の測定面Sに配置された測定対象Aから放出された一対のγ線は、放射線検出器60、70によってそれぞれ検出される。そしてその検出信号は、検出信号を増幅するアンプ回路などを有して付設された回路系63、73を介して出力される。出力された検出信号は信号処理回路8に入力され、信号処理回路8は2つの放射線検出器60、70からの検出信号に基づいて同時計数による電子・陽電子対消滅イベントの特定、及び対消滅の発生位置の算出等を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した構成のポジトロンイメージング装置に対して、さらに様々な測定対象に対して効率的に測定を行うため、視野面積の拡大が求められている。ここで、放射線検出器を対向配置した装置構成においては、対向配置された放射線検出器の放射線入射面の領域面積がほぼ測定可能な視野面積となる。
【0008】
図9は、対向配置する放射線検出器を2対とした場合の視野範囲の拡大について示す側面図である。このイメージング装置は、植物などの測定対象が配置される測定面Sを挟んで2つの検出器群6及び7を対向配置したものであり、検出器群6、7はそれぞれ2つの放射線検出器601及び602、701及び702から構成されている。この構成において、対向する放射線検出器601及び701から視野範囲Veが、また、放射線検出器602及び702から視野範囲Vfが形成されて、図中右側にその視野範囲を平面図で示したように、1対の検出器のみを用いた構成に対して全体として2倍の視野範囲Vが得られる。
【0009】
上記した視野範囲の拡大は、単に1対の放射線検出器からなるイメージング装置を2台隣接させて増設した場合と同等であり、視野拡大の効率は低い。特に、このような視野範囲の拡大方法においては、増設する放射線検出器の個数が得ようとする視野面積に比例して増加してしまうため、視野の大面積化に伴う装置の高価格化が問題となる。
【0010】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、効率的に視野範囲が拡大されて、装置構成の簡単化と低価格化が実現されるポジトロンイメージング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明によるポジトロンイメージング装置は、測定対象中において電子・陽電子対消滅で生成されて、互いにほぼ反対方向に放出されるγ線対を同時計数することによって測定対象の像を得るポジトロンイメージング装置であって、(1)2次元位置検出が可能なように構成された放射線検出部を含む2以上で所定個数の放射線検出器を有し、隣接する放射線検出器の放射線検出部に対して配列間隔を置いて放射線検出部が配置されるようにそれぞれの放射線検出器が配列された第1検出器群と、(2)所定個数の放射線検出器を有し、第1検出器群の対応する放射線検出器と対向するようにそれぞれの放射線検出器が配列された第2検出器群と、(3)第1検出器群から出力された第1検出信号、及び第2検出器群から出力された第2検出信号が入力されて、第1検出信号と第2検出信号との同時計数を行う信号処理手段と、を備え、信号処理手段は、第1検出器群を構成するそれぞれの放射線検出器から出力された第1検出信号に対して、第2検出器群を構成する放射線検出器のうち、対向する放射線検出器を含む複数の放射線検出器から出力された第2検出信号と同時計数を行うことを特徴とする。
【0012】
上記のイメージング装置においては、対向配置される2つの検出器群がそれぞれ複数の2次元放射線検出器から構成されるとともに、それらの放射線検出器が検出部同士の間にそれぞれ間隔があくように配置されている。さらに、この2つの検出器群についての同時計数を行う信号処理手段は、各検出器群を構成する検出器に対して、正対向している検出器のみでなく斜め向かいに配置されている検出器とも同時計数を行うように構成されている。
【0013】
このとき、正対向している検出器同士の同時計数によって、検出部に挟まれた領域が視野範囲になるとともに、斜め向かいに配置されている検出器同士の同時計数によって、間隔をあけて配列されている検出部間の領域の一部または全部が補完されて視野範囲とされる。したがって、間隔をおいた検出器配置と、正対向及び斜め向かいの検出器同士での同時計数によって、検出器間の領域を補完して、効率的な視野範囲の拡大を実現することができる。このとき、検出器の増設率よりも大きい視野範囲拡大率が得られる。
【0014】
また、2次元放射線検出器の構造上の問題から複数の検出器を配列したときに必然的に検出部間に間隔を生じてしまうことがあるが、この場合においても上記の装置構成によって、生じた検出部間隔による不感領域を補完して測定可能な視野範囲とすることが可能である。
【0015】
なお、間隔をあけた検出器配列については、様々な配列構成を用いて良く、配列間隔も検出器群全体で一定でなくても良い。
【0016】
また、第1検出器群及び第2検出器群のそれぞれは、隣接する放射線検出器の放射線検出部同士が所定の検出部配列間隔を置いて配置されるように、互いに略直交する第1の方向及び第2の方向に沿って複数の放射線検出器がアレイ状に配列された検出器アレイを備えることを特徴とする。放射線検出器を一定の検出部配列間隔で2次元アレイ状に配列することによって、特に効率的に視野範囲拡大を実現することができる。
【0017】
また、第1検出器群及び第2検出器群のそれぞれは、検出器アレイに含まれる放射線検出器の放射線検出部から構成されるアレイ状検出部について、隣接する検出器アレイのアレイ状検出部同士が検出部配列間隔よりも大きい所定のアレイ配列間隔を置いて配置されるように、第1の方向及び第2の方向に沿って複数の検出器アレイがアレイ状に配列されていることを特徴とすることによって、検出器アレイ同士について上記した検出器同士と同様の補完方法を適用して、さらに大幅な視野範囲拡大が可能となる。
【0018】
さらに、第1の方向のアレイ配列間隔はアレイ状検出部の第1の方向の幅(アレイ幅)以下であり、かつ、第2の方向のアレイ配列間隔はアレイ状検出部の第2の方向の幅(アレイ幅)以下であることを特徴とする。
【0019】
あるいは、第1の方向の検出部配列間隔は放射線検出部の第1の方向の幅(検出部幅)以下であり、かつ、第2の方向の検出部配列間隔は放射線検出部の第2の方向の幅(検出部幅)以下であることを特徴とする。
【0020】
斜め向かいにある検出器同士あるいはアレイ同士の同時計数によって得られる視野範囲は、対向する検出器またはアレイ同士の同時計数による視野範囲とほぼ同じ面積となる。したがって、検出部配列間隔またはアレイ配列間隔を検出部幅またはアレイ幅以下に設定すれば、検出部またはアレイ状検出部間の領域全体を補完して、不感領域がなく全体として連続した視野範囲を得ることができる。特に、検出部配列間隔またはアレイ配列間隔を検出部幅またはアレイ幅と等しく設定した場合、最大限の視野範囲拡大が可能である。
【0021】
なお、検出部配列間隔またはアレイ配列間隔については検出部幅またはアレイ幅以上に設定した場合にも視野範囲の補完による視野範囲拡大が可能であるが、各視野範囲間に不感領域を生じるので、使用用途や測定対象の形状、測定範囲等に応じてこれらの設定をすることが好ましい。
【0022】
また、第1検出器群及び第2検出器群のそれぞれは、複数の放射線検出器が検出器ケース内に格納されてモジュール化された放射線検出器モジュールを備えることを特徴とする。
【0023】
上記したイメージング装置では、各検出器群を構成する放射線検出器を増設することによって視野範囲が拡大されるが、この検出器増設について、あらかじめ複数の検出器をモジュール化しておき、その検出器モジュールを増設する方法を用いることで、放射線検出器の増設がより容易となる。
【0024】
各放射線検出器に用いられる2次元位置検出可能な放射線検出部としては、例えば、複数のシンチレータを2次元アレイ状に配列したシンチレータアレイを用いることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明によるポジトロンイメージング装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0026】
図1は、本発明によるポジトロンイメージング装置の第1の実施形態を示す構成図である。本イメージング装置は、それぞれ複数の放射線検出器を有する第1検出器群1及び第2検出器群2の2つの検出器群を備えて構成されている。なお、図1においてはこれらの検出器群1及び2を斜視図によって図示し、その対向配置構造を示している。また、これらの配置構造に関し、図中にその座標軸を示すように、検出器対の対向方向をZ軸、この対向方向に垂直な平面を規定する2方向をX軸及びY軸とする。X、Y、Z軸の定義については、以下に示す各実施形態においても同様である。また、各放射線検出器に付設される回路系等(図8参照)については、図示及び説明を省略する。
【0027】
第1検出器群1は2つの2次元放射線検出器101及び102から構成されている。本実施形態における放射線検出器101、102は、それぞれ2次元位置検出が可能なように構成された放射線検出部であるシンチレータアレイ11を備えている。シンチレータアレイ11は、それぞれの放射線入射面が矩形(長方形または正方形)で同一形状の複数のシンチレータ11aを2次元アレイ状に配列し、全体としてシンチレータアレイ11の放射線入射面が矩形形状となるように構成されている。
【0028】
シンチレータアレイ11の放射線入射面とは反対側の面には、マルチアノード型などの2次元位置検出型光電子増倍管12が接続されている。位置検出型光電子増倍管12は、γ線などの放射線が入射されることによってシンチレータアレイ11のシンチレータ11a中において発生したシンチレーション光を検出する光検出器であり、その位置検出機能によって、接続されているシンチレータアレイ11を構成する複数のシンチレータ11aのうちからシンチレーション光が発生したシンチレータ11aを特定することが可能である。
【0029】
また、この位置検出型光電子増倍管12の外形、及びシンチレータアレイ11が接続されている受光面の形状は、シンチレータアレイ11よりやや大きい略矩形形状であって、シンチレータアレイ11の各シンチレータ11aからのシンチレーション光をすべて検出することが可能な構成及び接続方法とされている。なお、位置検出型光電子増倍管の外形・受光面の形状については、ライトガイドの使用などによってシンチレータアレイよりも小さい矩形形状とすることも可能である。
【0030】
第2検出器群2は2つの2次元放射線検出器201及び202から構成されている。放射線検出器201及び202は、第1検出器群1の放射線検出器101及び102と同様に、それぞれシンチレータ21aが2次元アレイ状に配列されたシンチレータアレイ21と、シンチレータアレイ21に接続された2次元位置検出型光電子増倍管22からなる。
【0031】
放射線検出器101及び102、201及び202はいずれも、その中心軸が検出器群1及び2の対向方向であるZ軸方向と一致され、かつ、それぞれの検出器のシンチレータアレイ11、21におけるシンチレータ11a、21aの2次元アレイ状配列の2方向が対向方向に垂直なX軸方向及びY軸方向と一致されて設置されている。また、放射線検出器101の中心軸と放射線検出器201の中心軸とが一致され、放射線検出器102の中心軸と放射線検出器202の中心軸とが一致されている。これによって検出器群1、2は、各放射線検出器の放射線入射面がZ軸方向に垂直なXY平面となるとともに、放射線検出器101と201の放射線入射面、及び放射線検出器102と202の放射線入射面がそれぞれ対向するように配置された構成となっている。
【0032】
第1検出器群1を構成する放射線検出器101及び102は、それぞれのシンチレータアレイ11同士間の距離が所定の配列間隔となるように、Y軸方向を配列方向として間隔を置いて配列されている。また、第2検出器群2を構成する放射線検出器201及び202も同様に、それぞれのシンチレータアレイ21同士間の距離が第1検出器群1の場合と同一の配列間隔となるように、Y軸方向を配列方向として間隔を置いて配列されている。図1においては、シンチレータアレイ11、21のY軸方向の幅をL1、シンチレータアレイ11、21の上記した配列間隔(検出部配列間隔)をL2として図示してある。この配列間隔の設定等については、後述する。
【0033】
イメージング装置の測定対象となる物体は、検出器群1、2によって挟まれた所定の測定面(図1中には図示していない)上あるいはその近傍の位置に配置される。測定対象としては、例えば、陽電子(ポジトロン)を放出する放射性同位元素(RI)で標識された物質がトレーサとして投入された動植物等がある。このような測定対象に対して、トレーサのRI物質から放出された陽電子が通常物質中の電子と対消滅して生成される一対のγ線を計測することによって、測定対象中の物質分布などの情報を得ることができる。
【0034】
各放射線検出器101及び102、201及び202によるγ線の検出では、γ線が入射されたシンチレータ11a、21aにおいてシンチレーション光が発生する。そして、そのシンチレーション光は光電子増倍管12、22の受光面に到達して光電変換され、増倍された後に検出信号が光電子増倍管12、22から出力される。各放射線検出器から出力された検出信号は、それらの検出信号に基づいてγ線対の同時計数と電子・陽電子対消滅イベントの同定、及びγ線の検出位置の算出等を行う信号処理回路5に入力される。
【0035】
第1検出器群1の放射線検出器101または102からの検出信号(第1検出信号)、及び第2検出器群2の放射線検出器201または202からの検出信号(第2検出信号)は、それぞれ信号処理回路5に入力され、エネルギー弁別回路51によって検出されたγ線のエネルギーが弁別される。エネルギーの弁別は、例えば一定の閾値信号レベル以上の検出信号をγ線検出による信号として選択することによって行われ、これによって、電気的な低信号レベルのノイズ信号や散乱γ線(消滅γ線の一方あるいは両方が散乱物質により方向を変えられたγ線で、散乱のためエネルギーが減少している)によるノイズ信号等の不要な信号が除かれる。
【0036】
各検出信号がエネルギー弁別された後、同時計数回路50で第1検出信号と第2検出信号とによる同時計数が行われ、第1検出器群1及び第2検出器群2においてγ線が同時に検出されたイベントが、測定に用いる電子・陽電子対消滅イベントとして選択される。また、位置演算回路52において各検出信号に基づいて各検出器群1、2でのγ線の検出位置が算出される。
【0037】
さらに、同時計数回路50で測定に用いるものとして選択されたイベントについて、位置演算回路52で算出されたγ線の検出位置のデータなどの測定に必要なデータがデータ収集回路53によって収集される。また、本実施形態においては、このデータ収集回路53がさらに発生位置算出手段55に接続されている。発生位置算出手段55では、データ収集回路53によって収集されたγ線の検出位置のデータ等から、測定対象における電子・陽電子対消滅の発生位置を算出する。あるいはさらに、この発生位置から発生分布などのイメージデータを作成する。それらのデータから、測定対象にトレーサとして投入された物質の分布などの測定対象に関する情報を調べることができる。
【0038】
発生位置算出手段55については、例えば信号処理回路5に付設された回路系であっても良いし、または、データ収集回路53をコンピュータなどの制御装置に接続し(図8参照)、このコンピュータで演算を行って発生位置の算出を行っても良い。また、コンピュータを発生位置算出手段55に用いた場合には、データ収集の制御や収集されたデータのディスプレイへの表示等をさらに行わせることも可能である。
【0039】
ここで、特に本実施形態における信号処理回路5の同時計数回路50は、検出器群1、2で互いに正対向して配置された放射線検出器同士、すなわち放射線検出器101と201、あるいは放射線検出器102と202、のみでなく、斜め向かいに配置された放射線検出器同士、すなわち放射線検出器101と202、あるいは放射線検出器102と201、についても同様に同時計数を行うように構成されている。すなわち、第1検出器群1の放射線検出器101または102からの第1検出信号のそれぞれに対して、第2検出器群2の放射線検出器201または202からの第2検出信号の両者との同時計数が行われる。
【0040】
上記した装置構成及び同時計数方法による視野範囲の拡大の効果について説明する。図2は、図1に示したポジトロンイメージング装置をX軸方向から見た側面図である。ただし、信号処理回路5については図示していない。
【0041】
イメージング実行時に測定対象が配置される測定面Sは、対向配置された2つの検出器群1、2に挟まれた所定の位置に、各放射線検出器の中心軸に対して垂直なXY平面によって設定される。図2においては、この測定面Sは検出器群1、2の中心位置に設定されている。
【0042】
図2中の側面図に対して右側には、図9と同様に、本イメージング装置で測定可能な視野範囲について、測定面SをZ軸方向から見た平面図によって示してある。本実施形態においては、斜め向かいに配置された放射線検出器同士についても同時計数を行うようにしたことによって、正対向した放射線検出器101と201との同時計数による視野範囲Va(ダイレクトプレーン)、及び放射線検出器102と202との同時計数による視野範囲Vb(同じくダイレクトプレーン)に加えて、斜め向かいの放射線検出器101と202、または放射線検出器102と201との同時計数による視野範囲Vc(クロスプレーン)が得られる。
【0043】
このような視野範囲拡大によれば、1対の放射線検出器を2対の検出器に増設(検出器数は2倍)したことによって、全体として2倍より大きい広い視野範囲Vが得られる。なお、図2においては、点Pにおいて発生した電子・陽電子対消滅によって反対方向に放出され、放射線検出器101及び202のシンチレータアレイ11、21でそれぞれ検出されるγ線対の軌跡を例として示してある。
【0044】
このように、斜め向かいに配置された放射線検出器について同時計数を行って、測定面S上のクロスプレーンによる領域Vcを測定可能な視野範囲とすることによって、対向配置された放射線検出器対に対応するダイレクトプレーンによる領域Va及びVb間の不感領域を補完することができる。したがって、検出器の増設数よりも視野範囲を広くすることが可能となり、検出器対の増設に伴ってより効率的な視野範囲拡大を実現することができる。このとき、要求される視野範囲を確保するために必要な放射線検出器の台数が減少されるので、装置構成が簡単化されるとともに、装置を低価格化することが可能となる。
【0045】
ここで、検出器群1、2におけるシンチレータアレイ11、21の配列については、図1に関して上述したように、Y軸方向に隣接するシンチレータアレイ11同士、またはシンチレータアレイ21同士の間が所定の検出部配列間隔L2(ただし、L2>0)となるように各放射線検出器101及び102、201及び202の設置位置が決められている。この検出部配列間隔L2は、シンチレータアレイ11、21のY軸方向の幅(検出部幅)L1以下とすることが好ましい。
【0046】
斜め向かいの検出器同士について同時計数を行うことによって形成されるクロスの視野範囲Vcは、対向する検出器同士でのダイレクトの視野範囲VaまたはVbと同様に、シンチレータアレイ11、21の放射線入射面とほぼ等しい形状及び面積となる。したがって、上記したように検出部配列間隔L2を検出部幅L1以下とすることによって、2つの視野範囲Va及びVb間の領域全体を視野範囲Vcによって補完することができる。このとき、検出器1対の構成での視野範囲と比較して得られる視野範囲が2倍より大きくなるとともに、全体として不感領域を含まない連続した領域からなる広い視野範囲Vを得ることができる。
【0047】
特に、図2に示した構成においては、検出部配列間隔L2が検出部幅L1と等しくなるように各検出器群1、2の検出器が配置されている。このとき、視野範囲Va及びVb間の測定面S上の領域に対して視野範囲Vcが生成される位置及び面積が一致するので、ダイレクトプレーン及びクロスプレーンによる視野範囲を互いに重なることなく連続させて、検出器1対での視野範囲の3倍となる最大の視野範囲を確保することができる。
【0048】
ここで、この検出部配列間隔L2は検出部幅L1よりも大きい間隔としても良い。この場合、ダイレクトの視野範囲Va及びVbと、クロスの視野範囲Vcとの間に視野に含まれない不感領域を生じるが、視野範囲の拡大は最大限達成されるので、用途によってはこのような装置構成による視野範囲拡大が有効である。また、測定面Sの位置は必ずしも検出器群1、2の中心位置でなくても良く、検出器群の対向方向(Z軸方向)に略垂直で中心位置からはずれた平面に設定しても良い。
【0049】
なお、特開平9−33658号公報には、斜め向かいの検出器同士についても同時計数を行うポジトロンイメージング装置について開示されている。しかしながら、上記の装置は複数の0次元放射線検出器を1次元に配列したアレイを対向配置させたものであって、本発明によるイメージング装置とは基本構成が異なる。特に、0次元放射線検出器の対向配置では、それぞれの検出器間での同時計数によって得られる視野は点状である。
【0050】
これに対して、本発明によるポジトロンイメージング装置は、2次元放射線検出器を対向配置させた装置構成に関するものである。この場合、検出器間での同時計数によって得られる視野は視野平面(プレーン)であり、この視野平面についてダイレクトプレーンの間をクロスプレーンで補完することによって、視野範囲の効率的な拡大を可能とするものである。
【0051】
上記イメージング装置における測定対象の画像構成(イメージング)方法について、図3を用いてさらに説明する。ただし、図3においては簡単のため、対向配置された1対の放射線検出器10及び20によるγ線対の検出を例として、画像構成方法を図示している。図1及び図2に示したように放射線検出器対を増設して、正対向及び斜め向かいの放射線検出器同士で同時計数を行うこととした場合においても、基本的な画像構成方法は図3に示すものと同様である。
【0052】
測定面S上の点Pにおいて測定対象中に存在するトレーサの陽電子放出核種が陽電子を放出すると、陽電子は物質中の電子と電子・陽電子対消滅を起こして、互いに反対方向となる軌跡lに沿って一対のγ線が放出される(図3(a))。γ線対は、それぞれ放射線検出器10及び20のシンチレータ11a及び21aに入射して検出される。図中においては、シンチレータアレイ11の下から2番目のシンチレータ、及びシンチレータアレイ21の上から5番目のシンチレータにそれぞれγ線が入射した例が示されている。
【0053】
この2つのγ線検出はほぼ同時であるので、放射線検出器10からの第1検出信号と、放射線検出器20からの第2検出信号との同時計数を行うことによって、図3(a)に示したようなγ線対による電子・陽電子対消滅イベントが選択される。さらに、選択されたイベントに対して以下に述べるように対消滅の発生位置の算出が行われる。
【0054】
まず、γ線が検出された2つのシンチレータについて、それぞれ放射線入射面の中心位置をγ線の入射位置として、その2点を結ぶ同時計数ラインl’を作成する(図3(b))。さらに、同時計数ラインl’及び測定面Sの交点から、そのイベントについての対消滅発生位置P’を決定する。この同時計数ラインl’及び対消滅発生位置P’は、各シンチレータ11a、21aの大きさなどによって決まる位置分解能の範囲内で、実際のγ線軌跡l及び対消滅発生位置Pと一致している。
【0055】
実際の画像構成では、放射線検出器10、20の位置分解能などに対応して設定された所定の分解能によって、測定面S上を小領域に区分しデジタル化して、画像を構成する複数の画素とする(図3(c))。そして、算出された対消滅発生位置P’に基づいて発生した電子・陽電子対消滅のイベント数を各画素に対して加算していくことによって、測定面S上の測定対象における物質分布等の像を生成する。
【0056】
なお、図3(d)に示すように、異なる位置で発生した電子・陽電子対消滅からのγ線対のうちそれぞれ一方のγ線が放射線検出器10、20に入射するなど、電子・陽電子対消滅からのγ線対以外の2つのγ線が2つの検出器によって検出される場合がある。しかしながら、このようなイベントの場合にはγ線検出のタイミングが同時となることはまれなので、信号処理回路5の同時計数回路50において除かれて、測定に用いる電子・陽電子対消滅イベントとしては選択されない。
【0057】
図4は、ポジトロンイメージング装置の第2の実施形態を示す構成図である。なお、以下の実施形態においては、第1検出器群1をZ軸方向から見た平面図によってその構成を示し、第2検出器群2及び信号処理回路5については図示を省略する。第1検出器群1と対向配置される第2検出器群2は、第1検出器群1と同様に構成される。信号処理回路5の構成は、いずれも図1に示した実施形態と同様である。
【0058】
また、視野範囲とその拡大について説明するため、各放射線検出器10については、放射線検出部であるシンチレータアレイ11のγ線が検出される放射線入射面の領域範囲をそれぞれの外形として図示している。ただし、それぞれのシンチレータアレイ11におけるシンチレータ11aの配列については、図示していない。
【0059】
本実施形態においては、複数の放射線検出器10がX軸方向及びY軸方向を2つの配列方向として、一定の配列間隔でアレイ状に2次元配列された検出器アレイによって第1検出器群1が構成されている。各検出器は、シンチレータアレイ11のX軸方向の幅LX1、Y軸方向の幅LY1に対して、X軸方向のシンチレータアレイ11間の検出部配列間隔LX2、Y軸方向の検出部配列間隔LY2がそれぞれ対応する検出部幅LX1、LY1以下となるように配列されている。
【0060】
このとき、各放射線検出器10について、第2検出器群の正対向する放射線検出器及び斜め向かいの放射線検出器との同時計数を行うことによって、検出器アレイ全体に対応する領域を測定可能な視野範囲とすることが可能となる。ここで、図1に示した実施形態における斜め向かいの検出器間での同時計数は、XY平面で見て上下(Y軸方向)に配置された検出器同士によるものである。これに対して、本実施形態においては検出器は2次元配列されているので、上下方向、左右方向、または斜め方向(対角方向)に配置された検出器同士で斜め向かいの同時計数を行うことができる。
【0061】
例として、図4に図中の左上側に位置する2×2個の放射線検出器101、102、103、及び104について、それらの間にある領域を点線で区分して図示してある(各検出器間に挟まれた上、下、左、右、中央の5つの領域)。この4個の放射線検出器101、102、103、及び104、及びそれらに対してそれぞれ対向配置されている第2検出器群2の4個の放射線検出器(図示していない)によって、正対向する検出器同士の同時計数で検出器が配置されている各領域に相当する4つのダイレクトプレーンが、また、斜め向かいの検出器同士の同時計数で点線で区分して示した検出器間の各領域に相当する5つのクロスプレーンが視野範囲とされ、全体としてこれらの4対の放射線検出器で囲まれる全領域が連続した視野範囲となる。
【0062】
したがってこの場合、検出器が4倍に増設されたのに対して、視野範囲はそれよりも大きく拡大される。特に、LX2=LX1、LY2=LY1として検出部幅と検出部配列間隔を等しくした場合には、視野範囲は最大の9倍に拡大される。さらに、同様に配列されている上記の4個以外の放射線検出器10についても、同じように各検出器間の同時計数とそれによる視野範囲の拡大が行われる。なお、2次元配列する放射線検出器数については、必要な視野範囲等から適宜設定すれば良い。
【0063】
さらに、本実施形態においては、放射線検出器の具体的な設置方法に関して、Y軸方向に隣接した2個の放射線検出器10、例えば放射線検出器101及び102、をそれぞれ組とし、それを検出器ケース31に格納し固定して、2個の放射線検出器10を備える放射線検出器モジュール30としている。そして、この放射線検出器モジュール30を図4に示すように2次元に配列することによって、全体の検出器アレイを構成している。なお、図4においては、左上に位置する放射線検出器モジュール30について、太線でその範囲を明示している。
【0064】
複数の放射線検出器10を2次元配列することによって検出器群1を構成する場合、あらかじめ複数の放射線検出器10を放射線検出器モジュール30としてモジュール化しておき、そのモジュール30を増設していくことによって、各検出器の配置位置の決定や固定等を簡単化して、検出器の増設及びそれによる視野範囲の拡大をさらに容易とすることができる。また、個々の検出器に対して検出器ケースをそれぞれ設けるのに比べて、装置を低価格化することが可能である。
【0065】
それぞれの放射線検出器モジュール30の構成については、モジュール30を配列したときに目的とする放射線検出器10の配列が実現されるように、モジュール30内部での検出器10の配置と検出器ケース31の外形とを設定することが好ましい。図4においては、モジュール30はX軸方向及びY軸方向のいずれの方向についても対称な構造を有しており、その左右の端部の幅LX3、及び上下の端部の幅LY3は、それぞれLX3=LX2/2、LY3=LY2/2となるように設定されている。
【0066】
また、モジュール30全体としての外形寸法LX、LYは、LX=LX1+LX2、LY=2×(LY1+LY2)となる。ダイレクト及びクロスの視野範囲間に測定できない不感領域を生じないLX2≦LX1、LY2≦LY1の条件を付した場合、これらの外形寸法は、放射線検出器10のシンチレータアレイ11の外形寸法に対して、LX1<LX≦2×LX1、2×LY1<LY≦4×LY1の範囲となる。
【0067】
図5は、ポジトロンイメージング装置の第3の実施形態を示す構成図である。本実施形態は、放射線検出器10の2次元配列については、上記した第2の実施形態と同様である。一方、放射線検出器の具体的な設置方法に関しては、第2の実施形態においてはY軸方向に配列された2個の放射線検出器10から放射線検出器モジュール30が構成されていたのに対して、本実施形態においては、X軸方向及びY軸方向に対して2×2個に配列された計4個の放射線検出器10、例えば放射線検出器101〜104、を検出器ケース31に格納し固定することによってそれぞれの放射線検出器モジュール30を構成している。特に、イメージング装置全体としての放射線検出器10の配列個数が多くなる場合には、それに合わせて放射線検出器数がより多い放射線検出器モジュール30を用いることによって、検出器増設をより容易とすることができる。
【0068】
図6は、ポジトロンイメージング装置の第4の実施形態を示す構成図である。第2及び第3の実施形態は、いずれも全体にわたって一定の検出部配列間隔となるように放射線検出器が配列された単一の検出器アレイによって検出器群が構成されている。これに対して本実施形態のイメージング装置は、複数の検出器アレイをさらにアレイ状に配列することによって全体の検出器群を構成している。
【0069】
本実施形態においては、まず、それぞれX軸方向及びY軸方向に対して2×2個に2次元配列された計4個の放射線検出器10から検出器アレイ15を構成する。この検出器アレイ15の構成については、放射線検出器10のシンチレータアレイ11についての検出部幅LX1、LY1、及び検出部配列間隔LX2、LY2に対する条件などは上記した他の実施形態における単一の検出器アレイの場合と同様である。ここで、それぞれの検出器アレイ15に属する放射線検出器10のシンチレータアレイ11からなるアレイ状検出部について、図6に示すようにX軸方向の幅をLX0=2×LX1+LX2、Y軸方向の幅をLY0=2×LY1+LY2とする。
【0070】
さらに、それぞれ4個の放射線検出器10からなる検出器アレイ15をX軸方向及びY軸方向に一定の配列間隔をおいてアレイ状に2次元配列することによって、全体の第1検出器群1を構成する。ここで、各検出器アレイ15間のアレイ配列間隔(アレイ状検出部間の間隔、すなわちシンチレータアレイ11の端部間の間隔)を、図6に示すようにX軸方向についてLX4、Y軸方向についてLY4とする。これらのアレイ配列間隔LX4、LY4は、それぞれ検出部配列間隔LX2、LY2より大きく設定されている。このとき、放射線検出器10の2次元配列について上述したダイレクトプレーンの視野範囲、及びクロスプレーンによる視野範囲の補完と同様の視野範囲の構成方法を、検出器アレイ15の2次元配列に対して適用することによって、さらに効率的な視野範囲拡大を実現することが可能である。
【0071】
すなわち、各検出器アレイ15及びそれに対向配置された第2検出器群の各検出器アレイについて、対向するアレイ同士及び斜め向かいのアレイ同士について同時計数を行うことによって、検出器群全体の領域範囲について測定可能な視野範囲とすることが可能となる。例えば、図6中においては2×2個の検出器アレイ151、152、153、及び154について、それらの間にある領域を点線で区分して図示してある。
【0072】
この4個の検出器アレイ151、152、153、及び154、及びそれらに対してそれぞれ対向配置されている第2検出器群2の4個の検出器アレイ(図示していない)によって、正対向するアレイ同士の同時計数でアレイが配置されている各領域に相当する4つのダイレクトプレーンが、また、斜め向かいのアレイ同士の同時計数で点線で区分して示したアレイ間の各領域に相当する5つのクロスプレーンが視野範囲とされて、視野範囲の拡大が実現される。ただし、正対向するアレイ同士でのダイレクトプレーンについては、放射線検出器10を単位として見れば上述した他の実施形態において説明したように、検出器同士での4つのダイレクトプレーン及び5つのクロスプレーンを合わせたものである。同様に、斜め向かいのアレイ同士でのクロスプレーンは、検出器同士での9つのクロスプレーンを合わせたものである。
【0073】
ここで、そのアレイ配列間隔LX4、LY4をそれぞれ検出器アレイ15の幅LX0、LY0以下とすることによって、4対の検出器アレイで囲まれる全領域を連続した視野範囲とすることができる。特に、LX4=LX0、LY4=LY0としてアレイ幅とアレイ配列間隔を等しくした場合に視野範囲は最も広くなる。このとき、放射線検出器10が16対設置されているのに対して、視野範囲は一対の検出器の場合と比較して81倍に拡大されており、大幅な視野範囲の拡大が実現されている。
【0074】
また、本実施形態においては、放射線検出器の具体的な設置方法に関しては、各検出器アレイ15を構成している4個の放射線検出器10から放射線検出器モジュール30を構成し、そのモジュール30を配列することによって検出器群を構成している。モジュール30はX軸方向及びY軸方向のいずれの方向についても対称な構造を有しており、その左右の端部の幅LX5、及び上下の端部の幅LY5は、それぞれLX5=LX4/2、LY5=LY4/2となるように設定されている。
【0075】
また、モジュール30全体としての外形寸法LX、LYは、LX=2×LX1+LX2+LX4、LY=2×LY1+LY2+LY4となる。各視野範囲間に不感領域を生じないLX4≦LX0、LY4≦LY0の条件を付した場合、これらの外形寸法は、2×LX1<LX≦6×LX1、2×LY1<LY≦6×LY1の範囲となる。
【0076】
本発明によるポジトロンイメージング装置は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形や構成の変更が可能である。例えば、放射線検出器間の検出部配列間隔は上記したように検出部幅以下であることが好ましいが、検出部幅より大きくした構成においても、検出器間の不感領域に対する視野範囲の補完による視野範囲拡大が可能である。また、検出器アレイ間のアレイ配列間隔についても、同様にアレイ幅よりも大きく設定することが可能である。ただし、これらの場合、視野範囲中に不感領域を生じる場合がある。
【0077】
さらに、2つの検出器群に挟まれた位置に設定される測定面についても、放射線検出器または検出器アレイの配列と、それによる各位置での視野範囲等を考慮して、2つの検出器群の中心位置、またはそれ以外の位置に設定しても良い。
【0078】
また、放射線検出器の2次元配列については、上記した各実施形態においては2次元アレイ状の配列とされていたが、それ以外にも様々な配列方法が可能である。図7は、そのような2次元配列の一例を示したものであり、図7(a)のイメージング装置は、放射線検出器10を交互に順次配置した構成とされている。この場合、図中の斜め方向に配置された検出器間については、その間の領域に他の検出器が配置されているので、同時計数を行わなくても良い。また、検出器の配列間隔については、一定の間隔としなくても良い。例えば、形状や大きさの異なる放射線検出器を配列する場合には、それを考慮して各位置での配列間隔を設定すれば良い。
【0079】
また、放射線検出器モジュールについても、すべて同じ構成とする必要はなく、異なる構成のモジュールを併用して放射線検出器の増設を行っても良い。例えば、図7(a)の検出器配置に対して、図7(b)に示したようにそれぞれ大きさと含まれる検出器数の異なるモジュール30を増設することによって構成することも可能である。また、放射線検出器の設置及び増設方法については、複数の検出器をモジュール化せずに1台ずつ増設を行っても良い。
【0080】
さらに、複数の放射線検出器をモジュール化して用いる場合について、モジュールの4辺の端部幅をなくするかまたは小さくし、モジュール間に適当な幅及び形状のスペーサとなる部材を配置することによって必要な検出部配列間隔またはアレイ配列間隔を確保して、検出器または検出器アレイの2次元配列を実現することも可能である。
【0081】
【発明の効果】
本発明によるポジトロンイメージング装置は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、対向配置する検出器群をそれぞれ検出部同士が配列間隔をおいて配置された複数の放射線検出器によって構成するとともに、正対向する検出器同士のみでなく斜め向かいに位置する検出器同士での同時計数を行うように信号処理回路における同時計数回路を構成する。これによって、間隔をあけて設置した検出部間の測定できない不感領域を斜め向かいの検出器同士の同時計数によって補完して視野範囲内とすることができるので、検出器の増設数よりも大きい効率的な視野範囲拡大が実現される。
【0082】
このとき、測定に必要な領域面積として要求されている視野範囲を確保するための放射線検出器の数が低減されるので、検出器群、及び信号処理回路の構成が簡単化され、装置の低価格化が実現される。また、視野範囲の構成についても自由度が大きくなるので、様々な測定用途に応じた装置構成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポジトロンイメージング装置の第1の実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示したポジトロンイメージング装置における視野範囲拡大を示す側面図及び平面図である。
【図3】ポジトロンイメージング装置における画像構成方法を示す図である。
【図4】ポジトロンイメージング装置の第2の実施形態を示す構成図である。
【図5】ポジトロンイメージング装置の第3の実施形態を示す構成図である。
【図6】ポジトロンイメージング装置の第4の実施形態を示す構成図である。
【図7】ポジトロンイメージング装置の他の実施形態の例を示す構成図である。
【図8】1対の2次元放射線検出器を対向配置したポジトロンイメージング装置の基本構成を示す図である。
【図9】2対の2次元放射線検出器を対向配置した場合の従来装置における視野範囲を示す側面図及び平面図である。
【符号の説明】
1…第1検出器群、10…2次元放射線検出器、11…シンチレータアレイ、
11a…シンチレータ、12…2次元位置検出型光電子増倍管、15…検出器アレイ、
2…第2検出器群、20…2次元放射線検出器、21…シンチレータアレイ、
21a…シンチレータ、22…2次元位置検出型光電子増倍管、
30…放射線検出器モジュール、31…検出器ケース、
5…信号処理回路、50…同時計数回路、51…エネルギー弁別回路、52…位置演算回路、53…データ収集回路。

Claims (7)

  1. 測定対象中において電子・陽電子対消滅で生成されて、互いにほぼ反対方向に放出されるγ線対を同時計数することによって前記測定対象の像を得るポジトロンイメージング装置であって、
    2次元位置検出が可能なように構成された放射線検出部を含む2以上で所定個数の放射線検出器を有し、隣接する前記放射線検出器の前記放射線検出部に対して配列間隔を置いて前記放射線検出部が配置されるようにそれぞれの前記放射線検出器が配列された第1検出器群と、
    前記所定個数の前記放射線検出器を有し、前記第1検出器群の対応する前記放射線検出器と対向するようにそれぞれの前記放射線検出器が配列された第2検出器群と、
    前記第1検出器群から出力された第1検出信号、及び前記第2検出器群から出力された第2検出信号が入力されて、前記第1検出信号と前記第2検出信号との同時計数を行う信号処理手段と、を備え、
    前記信号処理手段は、前記第1検出器群を構成するそれぞれの前記放射線検出器から出力された前記第1検出信号に対して、前記第2検出器群を構成する前記放射線検出器のうち、対向する前記放射線検出器を含む複数の前記放射線検出器から出力された前記第2検出信号と同時計数を行うことを特徴とするポジトロンイメージング装置。
  2. 前記第1検出器群及び前記第2検出器群のそれぞれは、隣接する前記放射線検出器の前記放射線検出部同士が所定の検出部配列間隔を置いて配置されるように、互いに略直交する第1の方向及び第2の方向に沿って複数の前記放射線検出器がアレイ状に配列された検出器アレイを備えることを特徴とする請求項1記載のポジトロンイメージング装置。
  3. 前記第1検出器群及び前記第2検出器群のそれぞれは、前記検出器アレイに含まれる前記放射線検出器の前記放射線検出部から構成されるアレイ状検出部について、隣接する前記検出器アレイの前記アレイ状検出部同士が前記検出部配列間隔よりも大きい所定のアレイ配列間隔を置いて配置されるように、前記第1の方向及び前記第2の方向に沿って複数の前記検出器アレイがアレイ状に配列されていることを特徴とする請求項2記載のポジトロンイメージング装置。
  4. 前記第1の方向の前記アレイ配列間隔は前記アレイ状検出部の前記第1の方向の幅以下であり、かつ、前記第2の方向の前記アレイ配列間隔は前記アレイ状検出部の前記第2の方向の幅以下であることを特徴とする請求項3記載のポジトロンイメージング装置。
  5. 前記第1の方向の前記検出部配列間隔は前記放射線検出部の前記第1の方向の幅以下であり、かつ、前記第2の方向の前記検出部配列間隔は前記放射線検出部の前記第2の方向の幅以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項記載のポジトロンイメージング装置。
  6. 前記第1検出器群及び前記第2検出器群のそれぞれは、複数の前記放射線検出器が検出器ケース内に格納されてモジュール化された放射線検出器モジュールを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のポジトロンイメージング装置。
  7. 前記放射線検出部は、複数のシンチレータを2次元アレイ状に配列したシンチレータアレイであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のポジトロンイメージング装置。
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