JP4358026B2 - 沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法 - Google Patents

沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法に関する。
沸騰水型原子炉(以下BWRという)においては、減速材を兼ねる冷却水が燃料集合体の軸線方向に流れる過程において炉心内で沸騰する結果気泡(ボイド)が発生し、冷却水の流れの下流方向に向かって次第にそのボイド量が多くなり、冷却水が通過し得る空間に占めるボイドの割合(以下ボイド率という)が増大する。このボイド率の空間的変化をボイド率分布という。
上記ボイド率はBWRにおいては、炉心の反応度や出力分布などの核的特性や冷却特性に大きな影響を与えるため、ボイド率分布を定量的に明らかにすることは極めて重要なテーマである。しかしながら、実用可能な測定技術が存在しないため、実際の商業用BWRの炉心中でのボイド率分布が測定された例は見当たらない。すなわち、従来は炉心の外でモックアップ実験を行い、その結果を基に理論モデルを構築し、そのモデルを用いて実機BWRのボイド率分布の設計がなされてきた。
ボイド率測定の必要性は古くから認識されており、発熱を伴わない臨界実験装置においては、模擬ボイドを用いてボイド率による核特性の変化を測定した例がある(非特許文献1参照)。この文献では、一部に熱中性子吸収体であるカドミウム(Cd)を巻き付けたマンガン(Mn)を含むワイヤ(マンガニン線)を炉心に挿入し、、55Mnの低速中性子と反応を起こす(n、γ)反応の反応率のカドミ比(Cd比)を測定している。Cd比がボイド率と良好な相関関係にあることから、炉心の中にボイドを模擬するアルミニウム中空管を挿入し、その中空管の大きさを変えてボイド率を変え、Cd比を測定すればボイド率を測定できるとしている。この方法の基本原理は、熱外中性子束と熱中性子束との比がボイド率と良好な相関関係にあることに着目した点で優れている。
本発明者の一人は上記非特許文献1に示した基本原理を用いながらCdを用いる必要のない、より実用的な方法を下記特許文献1及び特許文献2において提案した。この文献記載の方法は、燃料集合体内部、炉内計装管、固定型或いは移動型の中性子検出器に融点の高いガドリニア(203Gd)のような強い熱中性子吸収体、或いはステンレス鋼材などの弱い中性子吸収材を局所的に配置し、熱中性子束の歪みを局所的に起こすことによって熱中性子束と熱外中性子束を分離し、両者の比からボイド率分布を求める方法である。
下桶敬則、外3名、「カドミ比によるボイド分布測定」、第4回炉物理、第2回炉工学合同分科会予稿集A18、日本原子力学会、1964年11月 特開昭55−121195号公報 特開昭55−125489号公報
ところが、上記非特許文献1に示された方法においてはCdを使用しているが、このCdは融点が約320℃程度と低く、また中性子吸収特性が非常に大きく、溶融したり腐食したりする可能性があり、原子炉自体に悪影響を与えることなどの理由から、実機BWRに使用することは許されない。
また、上記特許文献1及び2記載のものでは、熱中性子束の歪みを人為的に引き起こすようにしているが、熱中性子束の歪みを引き起こすことは出力分布に歪みを起こすことになり、また炉心の反応度の損失につながる等の理由から実機BWRへの採用は困難である等の問題がある。
なお、上記非特許文献1においては熱外中性子束と熱中性子束との比が用いられているが、数値計算を行ってみると、高速中性子束と熱中性子束(熱外中性子を含めてよいため、高速中性子と対比して低速中性子束と呼ぶこともできる)との比も同様の基本原理が存在することがわかる。そこで、上記特許文献1及び2の中性子検出器として高速中性子を検出する目的でアクチニドの238U、232Th、237Np のような中性子としきい値反応を起こす核種を用いることが考えられる。しかしこれらを実機に使用すると低速中性子束のレベルが非常に高いため、中性子を吸収して短い期間内に238Uでは239Puが、232Thでは233Uが、237Npでは238Npや238Puが生成し、これらの生成核種は低速中性子と反応して核分裂を起こすため、低速中性子の情報が混在することになる。したがって、高速中性子束を正しく測定することができなくなり、高速中性子束と熱中性子束との比とボイド率との良好な関係が短時間で消滅してしまい、実用に耐えない等の問題がある。
本発明は、このような点に鑑み、実機BWRの炉心に容易に採用可能なボイド率を測定することができる方法を得ることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、エネルギーが一定値以上の高速中性子で放射化反応を起こすしきい値エネルギーを有し、高速中性子しきい値反応核種の高速中性子放射化反応率(F)と、熱中性子や熱外中性子からなる低速中性子を吸収して放射化する低速中性子放射化反応率(S)との反応率比[(F)/(S)]をボイド率測定位置(x)とボイド率既知の位置(0)に対して測定し、該ボイド率測定位置(x)の反応率比(Fx)/(Sx)とボイド率既知の位置(0)の反応率比(Fo/So)との比
R=[(Fx)/(Sx)]/[(Fo/So)]
を求め、これと別途求めた校正曲線を用いて原子炉の軸方向ボイド率分布を求めることを特徴とする。
本発明によれば、沸騰水型原子炉の炉心内部のボイド率及び外周部の実効的なボイド率を、測定のための新しい治具を設置せず、中性子束や出力の歪みを生じさせることなく、かつ炉心の反応度損失を生じさせることなく、現状の実機で容易に測定することができる。この結果、炉心に影響を与えるボイドの影響評価精度をより正確にでき、原子炉のシュラウドや圧力容器に対する健全性予想の信頼度を向上させることができる。
一般に、沸騰水型原子炉における冷却水の中に占めるボイドの割合が大きくなると中性子の減速が悪くなり、相対的に高速中性子束が高くなり、熱中性子束が低くなる。熱中性子束に対する熱外中性子束の割合も高くなるが、熱外中性子束による反応率の寄与は通常小さいので、低速中性子束に対する高速中性子束割合はおおよそ熱中性子束に対する高速中性子束の割合で近似できる。このようなことから、低速中性子と反応を起こす(n、γ)反応率に対する、高速中性子としきい値反応を起こす(n、p)反応率の割合はボイド率と相関関係があることは明らかである。
図1は、上記関係を用いた本発明のボイド率測定方法のブロック図であり、ボイド率測定対象位置(x)における、高速中性子しきい値反応核種の高速中性子放射化反応率(Fx)と低速中性子を吸収して放射化する低速中性子放射化反応率(Sx)との反応率比(Fx)/(Sx)を測定するとともに(S1)、ボイド率既知の位置(0)における、高速中性子放射化反応率(Fo)と低速中性子放射化反応率(So)との反応率比(Fo)/(So)を測定する(S2)。そして、S3において両者の比すなわち上記反応率比の比
R=[(Fx)/(Sx)]/[(Fo/So)]
を求める。
一方、理論計算により、ボイド率を変えてボイド率と前記反応率比の比(R)を求め、該反応率比の比(R)とボイド率との相関関係を求めて校正曲線を作成する(S4)。すなわち、十字型の水ギャップを挟んで4体の燃料集合体を配置した無限体系において燃料集合体内部冷却水のボイド率を変えた場合の水ギャップ中心における前記反応率比の比
R=[(Fx)/(Sx)]/[(Fo/So)]を計算し、図2に示すような校正曲線として線図化する。反応率比の組合わせや計算体系によって若干の変化があるので、実際に校正曲線として使用する場合にはそれらを特定して計算しなければならないのは当然である。計算手法は十分確立されているので計算で求めるのが便利である。この際Rの式の右辺の分母のボイド率は既知でなければならない。
上記校正曲線は、前記反応率比の比(R)の軸線方向分布を炉心半径方向の多数の位置において測定し、これらの炉心半径方向の多数の位置における軸方向反応率比の比の最大値の平均値を求め、この最大値の平均値を原子炉の熱出力から求められる温度とボイド率から求められる炉心出口半径方向のボイド率に対して規格化することによって求めることもできる。この方法は、校正曲線の絶対値化を原子炉の熱出力を用いて行う半実験的な方法であって、原子炉の熱出力は古くから火力発電所で使用されている熱平衡の方法によって求められている。
そこで、S3で求めた反応率比の比(R)とS4で求められた校正曲線とにより、ボイド率を求め、このようにして各測定対象位置におけるボイド率を求める(S5)ことにより、原子炉の軸方向のボイド率分布を求めることができる。
ところで、本発明においては、測定を実施するに当たり、原子炉への影響が生じないように、測定の目的に新たな物質・材料を持ち込む必要がないようにすることができる。すなわち、測定に用いる核種は原子炉を構成する材料に含まれるものであって、炉心内部ではステンレス鋼製の炉内計装管、炉心外周ではシュラウドを構成するステンレス鋼母材そのもの、或いは中性子照射量と健全性を計画的に監視するサーベランス試験片、カプセル本体、圧力容器本体内面のライナ等を構成するステンレス鋼を使用する。
原子炉内で中性子が照射されたステンレス鋼には、主構成成分であるFe、Ni,Crが中性子と反応して生成した放射化生成物である58Co、59Fe、51Crが含まれている。Coも不純物として例えば0.02wt% 程度含まれており、したがって半減期の長い60Coも生成している。また54MnもFeから生成して含まれている。さらに、応力腐食割れ(SCC)対策としてステンレス鋼SUS321 を用いることもあり、この場合には、Tiが添加されているので中性子と反応して生成した46Scも含まれている。各種ステンレス鋼の組成を図3に示す。本発明ではこれらの生成核種を利用してボイド率分布を求めるようにしたものである。なお、アクチニド核種であるトリウム、ウラン、ネプツニウムは、仮に炉心に持ち込むとしても中性子に照射されて短時間で低速中性子を吸収して核分裂を起こす核種が生成されるので使用できない。
Figure 0004358026
表1は上記本発明で使用可能な放射化反応と生成核種の特性を示す表であり、例えば、58Niは高速中性子と反応する(n、p)反応を起こし、0.81MeV のγ線を放射する58Coを生成する。また、58Feは低速中性子と反応する(n、γ)反応を起こし、1,10MeV 或いは1.29MeV のγ線を放射する。そこで、上記両生成核種から放射されるγ線をそれぞれ計測することにより生成核種の量、すなわち反応率を知ることができる。
放射性物質の3半減期、即ち半減期の3倍の期間に生成する放射能の飽和放射能に対する割合は87.5% であり、3半減期の間で飽和放射能の約90% の放射能が得られる。図4は一定の中性子レベルで運転した場合の、原子炉停止時刻から半減期単位で遡った運転期間(したがって負の時間として示されている)に対する原子炉停止時の残存放射能量(相対値)を示している。この図からわかるように、3半減期以前の運転により生成した放射能は10% 程度しか残存しないことが判る。
ところで、表1に本発明で使用可能な放射化反応と生成核種の特性を示したが、その中で高速中性子と反応して生成する放射性核種と低速中性子と反応して生成する放射性核種の組み合わせとして、(58Co、59Fe)、(58Co、51Cr)、(46Sc、59Fe)の3種の組合わせのいずれかを使用することができる。これらの組合わせにおいて、半減期の比は、58Co/59Fe=1.59、58Co/51Cr=2.56、46Sc/59Fe=1.88 となっており、この際原子炉停止時の残存放射能量(相対値)は表2に示すようになる。
Figure 0004358026
いずれの組合わせでも残存放射能量は50% を越えており、残存放射能は主に炉停止前の3半減期間の放射能であることが判る。多くの場合原子炉の連続運転期間である1サイクルの長さは10ヶ月から1年程度であり、上記3半減期は上記原子炉の連続運転期間である1サイクルの長さより短く、1サイクルの後半を測定の対象とすることができる。
なお、ステンレス鋼には54Feや不純物の59Coが含まれており、高速中性子放射化反応率(F)と低速中性子放射化反応率(S)に相当する放射化率を54Mnや60Co から取得することができる。前記表1記載のように、両者とも半減期が長く、54Mnでは照射終了前の1サイクルの間の放射能は50〜55%程度、60Coでは12%程度しか生成残存しないため、1サイクルの平均ボイド率を求めるには適切でなく、むしろステンレス鋼照射期間のボイド率評価に利用するのがよい。この場合54Mn放射化率及び60Co放射化率それぞれに対して照射中及び測定開始までの減衰効果を補正することにより、1サイクルを越える照射期間平均のボイド率を求めることができる。炉心内部に設けられた炉内計装管の場合には、健全性の理由から交換する時期として現在のところ7年程度の例が多いので2サイクル以上7サイクルの間の平均値となるが、54Mnの放射能半減期から考えて3〜5年間の平均値としてボイド率を評価するのが最適である。
このように、本実施の形態においては、原子炉を構成する材料に含まれる物質を測定に用いる核種として使用することにより、測定の目的に新たな物質・材料を原子炉内に持ち込む必要がなく原子炉への影響をなくすことができる。
図5は沸騰水型原子炉内の炉内計装管の典型的な配置の平面図、図6は沸騰水型原子炉の炉心周辺の典型的な配置の平面図であり、炉心1は十字型で示される制御棒2の周りに4体の燃料集合体3が配置されてセルをなしたものが断面ほぼ円形となるように配置されて構成されている。炉心1の外周にはシュラウド5が配設され、さらにそのシュラウド5の外周に水領域を挟んで圧力容器6が配設されている。上記圧力容器6は通常原子炉の寿命期間中交換なしに使用されるが、シュラウド5は必要に応じて交換される。上記シュラウド5はステンレス鋼製であり、圧力容器6内面にはステンレス鋼板が内張されている。
一方、4体の燃料集合体3の中心部には炉内計装管が配設されている。すなわち、上記炉内計装管には、出力モニタ用計装管7、中間領域モニタ用計装管8、及び中性子源領域モニタ用計装管9の3種類があり、上記各種炉内計装管は4体の燃料集合体3に囲まれた水ギャップの中に配置されている。
図7は炉内計装管を配置する水ギャップ中心を観測点として、燃料集合体を模擬した8×8バンドルを多数配置して観測点が観測するボイドの応答範囲を数値計算により調べた「ボイド率有感範囲計算モデル」の例であり、水ギャップの幅も1.52cm としたものである。この計算では、観測点に対して、隣接するバンドル毎に1本、4本、9本、36本の領域で、順次任意のボイド率をV%からV+20% へ増大させて感度範囲を評価した。その結果、水ギャップ中心の観測点から36本(6×6)までの領域で90% 以上に寄与があることが判った。即ち、それぞれの炉内計装管はそれを取り巻く4体の燃料集合体のみの平均のボイド情報を有することが判る。それぞれの燃料集合体内部のボイド率は若干分布が見られることが近年判ったが、周りが燃料集合体により取り囲まれている水ギャップの中心に配置されているステンレス鋼製の各種炉内計装管を、放射化生成物を生成する核種として使用した場合には、上記計装管が8×8のうち6×6の範囲でボイド率を観測していることになるため、上記観測値はそれぞれの燃料集合体のボイド率平均値と見なすことができる。
ところで、前記反応率比の比 R=[(Fx)/(Sx)]/[(Fo/So)]の右辺は既知でなければならないということは前述したとおりであるが、BWRでは、燃料集合体の燃料有効長さを24等分し、冷却水の入口側から順次1、2、3…、24ノードとしたとき、ノード1〜3はボイド率がほぼ0であるため、この場所をボイド率が既知の位置として選定し、ボイド率を0と仮定しても殆ど問題はない。しかし、ノード1は炉心特性が大きく異なるような設計である場合が多く、また炉心端部で中性子漏洩効果の補正問題などもあり、誤解を招き易いため避けた方がよい。そこで、計装管に近い制御棒の吸収材先端部がノード2〜3付近になるように部分挿入する原子炉の運転にすることにより、ノード2〜3付近のボイド率をより確実に0に抑制することができ、誤差の発生を防止することができる。しかも、上記ボイド率測定を運転サイクルの後半で行う場合には、炉心下部の出力は通常非常に小さくなっているため、炉心反応度への影響は殆ど生じない。
なお、制御棒を或る程度深く、例えば3ノード以上挿入した状態のボイド率分布は挿入していない場合から変化し、かなり深く挿入した場合のボイド率分布の設計計算には比較的大きな誤差を生じる可能性が考えられる。したがって、制御棒を3ノードを越えて予定の深さまで適宜挿入した状態で原子炉を運転することにより、軸方向のボイド率分布を変化させ、その変化状態のボイド率分布を測定することにより、制御棒を任意に中途挿入した状態におけるボイド率分布を測定することができる。
上記説明は主として炉心内部のボイド率分布を測定する方法について説明したが、実際には炉心内部のボイド率分布の影響を含んだ実効的な炉心外周部のボイド率が重要である。そこで、炉心外周部に配設されている材料を利用して炉心内と同様な方法で当該部のボイド率分布を測定することができる。即ち、炉心外周部には内側に前述のようにステンレス鋼製のシュラウドがあり、さらにその外側には圧力容器がある。そして、その圧力容器の内面には圧力容器ライナーが設けられており、炉心有効部の中央部高さ付近の内側には、サーベランス試験片及び試験片を収納するカプセル、さらにカプセルを収納するバスケットが設置されている。したがって、ステンレス鋼製のシュラウドについては直接シュラウドを、圧力容器についてはそのライナー又はステンレス鋼製のサーベランス試験片、カプセル、及びバスケットを放射性核種の親核種として利用し、前述と同様にしてボイド率分布を測定する。
シュラウドは交換される際にその放射能を測定するのが便利であるが、表面を微量削り取って測定することもできる。図2に相当する校正曲線は炉心部におけるものより平坦になるため、測定精度は炉心部の測定方法よりも低下する。
本発明の実施の形態に係る沸騰水型原子炉のボイド率測定方法の構成を示すブロック図。 反応率比の比とボイド率との相関関係の計算例を示す図。 炉内計装管に使用される主要なステンレス鋼の組成を示す図。 原子炉停止時における放射性核種残存量の推移図。 沸騰水型原子炉内の炉内計装管の典型的な配置の平面図。 沸騰水型原子炉の炉心周辺の典型的な配置の平面図。 ボイド率有感範囲の計算モデル図。
符号の説明
1 炉心
2 制御棒
3 燃料集合体
5 シュラウド
6 圧力容器
7 出力モニタ用計装管
8 中間領域モニタ用計装管
9 中性子源領域モニタ用計装管

Claims (13)

  1. エネルギーが一定値以上の高速中性子で放射化反応を起こすしきい値エネルギーを有し、高速中性子しきい値反応核種の高速中性子放射化反応率(F)と、熱中性子や熱外中性子からなる低速中性子を吸収して放射化する低速中性子放射化反応率(S)との反応率比[(F)/(S)]をボイド率測定位置(x)とボイド率既知の位置(0)に対して測定し、該ボイド率測定位置(x)の反応率比(Fx)/(Sx)とボイド率既知の位置(0)の反応率比(Fo/So)との比
    R=[(Fx)/(Sx)]/[(Fo/So)]
    を求め、これと別途求めた校正曲線を用いて原子炉の軸方向ボイド率分布を求めることを特徴とする、沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  2. 理論計算により、ボイド率を変えてボイド率と前記反応率比の比(R)を求め、該反応率比の比(R)とボイド率との相関関係を求めて校正曲線とすることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  3. 前記反応率比の比(R)の軸方向分布を炉心半径方向の多数の位置において測定し、これらの炉心半径方向の多数の位置における軸方向反応率比の比(R)の最大値の平均値を求め、この最大値の平均値を原子炉の熱出力から求められる温度とボイド率から求められる炉心出口半径方向の平均ボイド率に対して規格化することによって校正曲線を求めることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  4. 炉心中の冷却水の流れと平行方向である軸方向に直線状に設置される炉内計装管材に含まれる物質が、測定に使用される放射性核種の親核種であることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  5. 原子炉炉心の外周を構成するシュラウドに含まれる物質が、測定に使用される放射性核種の親核種であることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  6. 原子炉炉心の外周部に設置される中性子照射量や材料の健全性を監視するサーベランス試験片、該試験片を収納するカプセル及びバスケット、または圧力容器の内面を構成するライナーの少なくともいずれかに含まれる物質が、測定に使用される放射性核種の親核種であることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  7. 原子炉炉心の外周部に設置される中性子照射量や材料の健全性を監視するサーベランス試験片、該試験片を収納するカプセル及びバスケット、または圧力容器の内面を構成するライナーの少なくともいずれかはステンレス鋼製であることを特徴とする、請求項6記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  8. 高速中性子と反応して生成する放射性核種と低速中性子と反応して生成する放射性核種の組み合わせが、(58Co、59Fe)、(58Co、51Cr)、(46Sc、59Fe)の一つであることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  9. 高速中性子と反応して生成する放射性核種として54Mnを、低速中性子と反応して生成する放射性核種として60Coを使用し、54Mnの放射化率及び60Coの放射化率のそれぞれに対して照射中及び測定開始までの減衰効果を補正することによって、親核種55Mn及び59Coの照射期間の内、1サイクルを超える期間にわたる平均ボイド率を求めることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  10. 冷却水の流れ方向に平行に装荷される燃料集合体の燃料有効長さを24等分し、冷却水の入口側から順次1、2、3、…、24ノードとした時、ボイド既知の位置(0)としてノード2ないし3を選定することを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  11. ボイド率分布を測定する炉内計装管に近接する制御棒をその制御棒内の中性子吸収材の先端がノード2ないし3付近に位置するまで挿入する原子炉の運転により、ボイド率既知の位置のボイド率をゼロに制御することを特徴とする、請求項10記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  12. 運転サイクルの長さの半分以内の運転サイクル後半において、ボイド率分布を測定する炉内計装管に近接する制御棒をその制御棒内の中性子吸収材の先端がノード2ないし3に位置するまで挿入する原子炉の運転により、ボイド率既知の位置のボイド率をゼロに制御することを特徴とする、請求項11記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
  13. ボイド率分布を測定する炉内計装管に近接する制御棒をその制御棒内の中性子吸収材の先端がノード3を越えて予定の深さまで適宜挿入する原子炉の運転により、軸方向ボイド率分布を変化させ、変化状態のボイド率分布を測定することを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉のボイド率分布測定方法。
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