JP4356314B2 - 電池及び組電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電池に関し、特に複数の電池の一端と他端を順次接続した組電池を構成するのに好適な電池及びその組電池である。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題から電気自動車やハイブリッド車に期待が高まり、その電源としての二次電池に対して、小型・軽量化と共に高容量化・高出力化が望まれており、単電池を複数個直列に接続した状態の組電池が用いられている。
【0003】
上記二次電池の一例であるリチウムイオン電池の構成を、図6を参照して説明する。21は正極集電体22bに正極材料22aを塗着させた正極板22と負極集電体23bに負極材料23aを塗着させた負極板23とをセパレータ24を介して渦巻き状に巻回された極板群である。25、26は極板群21の両端面に接合された正極集電板及び負極集電板である。正極集電板25には正極タブ25aが溶接されている。
【0004】
この極板群21は電解液とともに外装ケース27に収容され、負極集電板26が外装ケース27の内底面に抵抗溶接され、外装ケース27が電池の負極端子となる。28は中央部に穴28aを有する蓋体で、その内部にOリング29、防爆弁体30、スペーサ31、キャップ32を挿入後外周のかしめ部28bをかしめて一体化されている。防爆弁体30はアルミ箔からなる薄膜状のものであり、電池内圧が所定圧以上に上昇したときにはスペーサ31の穴31a部より破断して電池内部のガスを外部に排出するように構成されている。この蓋体28に正極タブ25aが溶接され、極板群21からの電流は蓋体28のかしめ部28bからキャップ32に通電され、キャップ32が電池の正極端子となる。27aは蓋体28の位置決めを行う溝で、外装ケース27を塑性加工して形成されている。33は外装ケース27と蓋体28の間に介装されたガスケットであり、両者を絶縁するとともに、蓋体28を挟持するように外装ケース27の開口部27bをかしめることによりシール機能も有している。
【0005】
さらに、接続体35は有底小径筒部36と段部37と大径筒部38を有する段付き椀状のプレス成形品にて構成されている。その底面にキャップ32の接続突部が貫通する穴39が形成されてキャップ32上に当接されるとともにその底面に形成された複数のプロジェクションにてキャップ32に溶接点40で抵抗溶接されている。大径筒部38には外装ケース27の底部が挿入嵌入されて段部37上に当接されて保持されるとともに大径筒部38に形成された複数のプロジェクションにて外装ケース27に溶接点41で抵抗溶接されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−106533号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の電池及び組電池の構成では、電池の蓋体28とは別部品の接続体35を用いて電池間の接続を行っているので、組電池の組立を行った後、接続体35を組み付け、他の電池を接続するという工程が必要となり、部品点数及び組立工数が多くコスト高になるとともに、量産性も劣るという問題がある。
【0008】
また、電池間の電流経路が、極板群21から正極集電板25、正極タブ25a、蓋体28、キャップ32、接続体35、外装ケース27、負極集電板26を経て極板群21に接続されており、単電池間の電流経路が長くかつそれらの間の接続箇所が多いために抵抗値が大きくなり、単電池当たりの内部抵抗が大きくなって電池の長寿命化と大出力化に対して大きな阻害要因となるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、組立工数及び部品点数が少なくコスト低下を図れるとともに量産性に優れ、また単電池当たりの内部抵抗を低減して高出力が得られる電池及び組電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、正極板と負極板をセパレータを介して構成され、一方の端面に正極板の芯材が露出し、他方の端面に負極板の芯材が露出している極板群と、前記極板群の何れか一方の端面に接続された集電板と、前記極板群が挿入され底面に前記集電板が接続されて一方の電極端子となる有底筒状の外装ケースと、極板群内部に含浸された電解液と、前記極板群の他方の端面に接続された他方の電極端子と、外装ケースに固定された蓋体とからなり、蓋体には内部圧力の上昇に応じて内部ガスの放出を行う防爆手段と、電極端子と蓋体をシールするシール手段と、電極端子と蓋体を固定する固定手段を設けた電池である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の電池は、正極板と負極板をセパレータを介して構成され、一方の端面に正極板の芯材が露出し、他方の端面に負極板の芯材が露出している極板群と、前記極板群の何れか一方の端面に接続された集電板と、前記極板群が挿入され底面に前記集電板が接続されて一方の電極端子となる有底筒状の外装ケースと、極板群内部に含浸された電解液と、前記極板群の他方の端面に接続された他方の電極端子と、外装ケースに固定された蓋体とからなり、蓋体には内部圧力の上昇に応じて内部ガスの放出を行う防爆手段と、電極端子と蓋体をシールするシール手段と、電極端子と蓋体を固定する固定手段を設けたものであり、極板群に電極端子が直接接続されているので、電池内を接続するために従来用いていた別部品の正極タブが不要となり、組立工数及び部品点数が少なくなり、コスト低下を図れるとともに量産性に優れ、また単電池当たりの内部抵抗も減少し、内部抵抗を低減した高出力の電池が得られる。
【0015】
また、複数の電池において、一方の電池の外装ケース底部を、他方の電池の電極端子の接続部に嵌合させ、その嵌合部を溶接して相互に接続することにより、電池間の電流経路が短くかつ接続箇所が少ないため、単電池当たりの内部抵抗が小さくて高出力の組電池を得ることができる。
【0017】
以下、本発明の電池及び組電池をリチウムイオン電池に適用した一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
【0018】
図1において、1は単電池で、外装ケース2内に極板群3を電解液(ポリエチレンカーボネート(PC)溶液)とともに収容し、蓋体4にて封止して構成されている。外装ケース2は、耐電解液特性を有するステンレス板から成る有底円筒状の深絞り成形品にて構成されている。
【0019】
なお、外装ケースは耐電解液特性を有するものであればよく、上記以外にもニッケルメッキ板、アルミニウム板等を用いることができる。
【0020】
極板群3は、正極板と負極板をセパレータを介して巻回して構成され、その上側の端面には正極板の芯材が、下側の端面には負極板の芯材がそれぞれ合剤が塗布されずに露出されている。
【0021】
正極板は、アルミニウム箔からなる芯材の両面に正極活物質としてコバルト酸化物リチウムと結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む正極材料を塗着して構成されている。
【0022】
なお正極活物質としては、コバルト酸リチウムの他に、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムなどのリチウム含有遷移金属複合酸化物(他の元素が添加された場合も含む)が用いられる。
【0023】
負極板は、銅箔からなる芯材の両面に負極活物質としての(グラファイト)と結着剤としてのPVDFを含む負極材料を塗着して構成されている。
【0024】
なお負極活物質としてはグラファイトの他に、石油コークス類、炭素繊維などの炭素質材料や合金などが用いられる。
【0025】
なお、図1では円筒形の外装ケース2に巻回した極板群3を収容した例を示したが、直方体状の外装ケースに平板状の正極板と負極板をセパレータを介して積層した極板群を収容してもよい。
【0026】
電解液としては、溶質として6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)などのリチウム塩、溶媒としてエチレンカーボネイト(EC)、プロピレンカーボネイト(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、ガンマブチロラクトン(GBL)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネイト(DEC)、エチルメチルカーボネイト(EMC)などの非水溶媒などを用い、この溶媒に溶質を溶解したものを使用する。
【0027】
外装ケース2の開口部14は図4(a)に示すように、予め外径を広げる加工がされておりケース2の外径が部分的に大きくなっている、さらに外装ケース2底面中央部には負極端子5に配した凸部6を介しプロジェクション抵抗溶接にて接続されている。
【0028】
極板群3の下側の端面に露出している負極芯材には負極集電板13が溶接にて接合され、さらに極板群3の上側の端面に露出している正極芯材には集電機能を有した正極端子8が溶接されている。
【0029】
そしてその状態で極板群3を外装ケース2内に収容した後、負極集電板13の中央部と外装ケース2の底面中央部7とが外装ケース2の外側よりレーザ溶接されている。極板群3の端面に露出している正極芯材と集電機能を有した正極端子8の溶接は、正極端子8の周方向の複数箇所に中心部から延びる突部8aを突出形成し、この正極端子8を極板群3の端面に押し付けることで突部8aを正極芯材に密着させた状態で溶接されている。
【0030】
さらに、極板群3の他方の端面に露出している負極芯材と負極集電板13の溶接は、負極集電板13の周方向複数箇所に中心部から延びる突部13aを突出形成し、この負極集電板13を極板群3の端面に押し付けることで突部13aを負極芯材に密着させた状態で溶接されている。
【0031】
なお溶接方法としては、レーザー溶接の他に、電子ビーム溶接などが挙げられる。
【0032】
正極端子8は図2に示すように、端子中央にシール手段であるOリング9を設置する凹部8dを有している。なお、シール手段としては角リング、Dリング、Xリングを用いることができる。
【0033】
蓋体4は、図1に示されるように、内部圧力の上昇に応じて内部ガスの放出を行う安全弁11がかしめ固定されており、正極端子8は蓋体4を固定するEリング10を挿入固定する溝8bを有している。
【0034】
また、蓋体4の外周には電気絶縁性とシール性を有するガスケット12が配されている。
【0035】
以上の構成の電池1の作製に際しては、外装ケース2は開口部14に部分的に予め外径を広げる加工がされており、さらに、外装ケース2の底面外側には負極端子5が溶接接合されている。
【0036】
この外装ケース2に正極端子8と負極集電板13が溶接接合された極板群3を挿入して収容し、図1に示すように負極集電板13に外装ケース2の底面が上部となるように設置した後、外装ケース2の底面中央部7を溶接にて接合する。
【0037】
そして、正極端子が上部となるように設置し、外装ケース2開口部から所定量の電解液を注入し極板群3に含浸させ、その後凹部8dにシール手段9を設置する。
【0038】
また、外装ケース2の開口部14にガスケット12を嵌合配置した後、蓋体4を正極端子8に挿入し荷重を蓋体4に加えながらEリング10を正極端子8の溝8bに載置する。その後、図4(b)に示すように、外装ケース2開口部端部を金型により変形させかしめる。
【0039】
次いで外装ケース2に予め外径を広げる加工を施した開口部を電池を金型に通し、外装ケース2の元の外径まで開口部の外径を縮め、ガスケット12が圧縮変形されることによりシール性が確保され電池1が完成する。
【0040】
以上の構成の電池1を複数個直列接続して、図5に示すように、組電池16が構成されている。この組電池16を組み立てる際には、図5に示すように、一方の電池1の外装ケース2の底部に抵抗溶接された負極端子に他方の正極端子を挿入嵌合し、レーザー溶接して締結する。
【0042】
以上の実施形態によれば、正極端子を極板群3に直接接続しているので、正極タブ等の部品が不要となり、組立工数及び部品点数が少なくなり、コスト低下を図れるとともに量産性に優れ、また単電池当たりの内部抵抗も減少し、内部抵抗を低減した高出力の電池1が得られる。
【0046】
なお、正極端子8が柱状で負極端子5が穴状として、両端子を嵌合させた後接合部を密着させて溶接接合してもよい。
【0047】
また、以上の説明では正極電極8を正極側に、外装ケース2を負極側としたが、正負極を逆にして、正極電極8側を負極側に外装ケース2を正極側としてもよく、その場合は外装ケース2がアルミニウムまたはアルミニウム合金製となる。
【0048】
また、以上の実施形態では、電池1がリチウムイオン電池から成る例についてのみ説明したが、本発明はニッケル水素電池等、その他の構成の電池にも適用することで同様の作用効果を得ることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の電池によれば、以上のように正極端子を極板群に直接接続しているので、正極タブ等の部品が不要となり、組立工数及び部品点数が少なくなり、コスト低下を図れるとともに量産性に優れ、また単電池当たりの内部抵抗も減少し、内部抵抗を低減した高出力の電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の電池の断面図
【図2】同実施形態の電池の正極端子の斜視図
【図3】同実施形態の電池の分解斜視図
【図4】(a)同実施形態の電池の封口加工前の外装ケース開口部断面図
(b)同実施形態の電池の封口加工後の外装ケース開口部断面図
【図5】同実施形態の組電池の縦断面図
【図6】同従来例の電池を接続した組電池における接続部の縦断面図
【符号の説明】
1 電池
2 外装ケース
3 極板群
4 蓋体
5 負極端子
8 正極端子
10 Eリング
11 安全弁
12 ガスケット
13 負極集電板
14 拡缶部
16 組電池
Claims (2)
- 正極板と負極板をセパレータを介して対向させ、一方の端面に正極板の芯材が露出し、他方の端面に負極板の芯材が露出している極板群と、前記極板群の何れか一方の端面に接続された集電板と、前記極板群が挿入され底面に前記集電板が接続されてなる有底筒状の外装ケースと、前記有底筒状の外装ケースの外側に溶接接合された一方の電極端子と、極板群内部に含浸された電解液と、前記極板群の他方の端面に接続された他方の電極端子と、外装ケースに固定された蓋体とからなり、蓋体には内部圧力の上昇に応じて内部ガスの放出を行う防爆手段と、電極端子と蓋体をシールするシール手段と、電極端子と蓋体を固定する固定手段を設けた電池を接続した組電池であって、前記一方の電極端子と前記他方の電極端子とが溶接接合されてなる組電池。
- 一方の電極端子と集電板が一体となった請求項1記載の組電池。
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