JP4356211B2 - タイルの成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタイルの成形方法に係り、特に複雑に荒れた表面を有したタイルを成形する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
荒れた非平坦な表面を有するタイルは、表面が平坦なタイルに比べて自然調の趣に優れている。この非平坦な表面を有したタイルの成形方法としては、乾式プレス法が採用されているが、タイルの表面模様がすべてのタイルにわたり同じになる。
【0003】
湿式押出成形は、原料を押出成形機内に供給し、脱気しながら混練し、押出口から連続的に押出し、この押出成形物を所定長さに切断してタイル成形体とするものである。この押出口から押出された成形物の表面は、通常は平坦である。押出口の口金として、内面に突起を有するものを用いることにより、非平坦な表面を有したタイルを成形することができるが、この場合の凹凸はタイル長手方向に均一であり、模様としての面白みが欠ける。
【0004】
押出口から押出された成形体の表面に、凹凸外周面を有するローラーを押し当て、凹凸を転写することもあるが、やはり模様が規則的なものとなり、趣に欠ける。
【0005】
押出された成形体に切削を施すことも行われているが、特に量産品のタイルの場合あまり複雑な模様を形成することはできない。成形体表面に引掛き模様をつけることも行われているが、引掛き傷状の浅い線状の模様しか付けることができない。
【0006】
本発明は、従来のタイルには見られない、独得の粗い表面を有したタイルを成形する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のタイルの成形方法は、タイル原料を押出成形機の押出口から押出して板状に成形する工程を有するタイルの成形方法において、粗面表面を有したタイルを成形する方法であって、該押出成形機内に押出口に臨んで気体ノズルを設置し、該気体ノズルから気体を流出させることにより板状の押出成形物内に気体を板面と略平行方向に延在する層状に存在させ、押出口から送り出された押出成形物を該気体層の空気圧によって分離し、該気体層の空気圧によって凹凸に富んだ前記粗面を形成することを特徴とするものである。
【0008】
この気体は空気が好ましいが、炭酸ガス、窒素、酸素などであってもよく、これらと空気との混合気体であってもよい。
【0009】
かかる本発明方法によると、押出成形物が気体層の空気圧によって2体に押し開かれるように分断され、この分断面が荒々しい凹凸に富んだ粗面となる。この粗面は、プレスや削り取り、掻き取りによっては全く形成されることがないものであり、斯界において全くの新規なものである。
【0010】
なお、気体層を形成するための気体と共に固体又は液体を気体ノズルから流出させると、表面に各種の装飾を施すことができる。
【0011】
この固体としては、顔料等の粉体や装飾用の粒体、粉粒体などが例示される。液体としては水やアルコール、ケロシンなどが例示される。液体は粉体を含んだものであってもよく、濃厚なスラリーであってもよい。また、顔料含有水であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るタイルの成形方法を示す全体斜視図、第2図は第1図のII−II線に沿う縦断面図、第3図は第2図のIII−III線に沿う水平断面図、第4図はタイル成形体の表面を示す斜視図である。
【0013】
押出成形機1は、後部に原料(水を含んだ坏土)の投入口2を有し、前端面に押出口3を備えている。投入口2から投入された原料は、押出成形機内部のスクリューによって混練されると共に、脱気口(図示略)から真空引きされることにより脱気される。脱気されて緻密となった混練物が押出口3に到り、該押出口3から帯板状の押出成形物4として押出される。この押出成形物4を所定長さに切断することによりタイル成形体5が得られる。
【0014】
この押出成形機1内には、押出口3に臨むようにしてエアノズル6が設置されており、このエアノズル6の空気吹出口7が押出口3の入口直近まで延出している。この実施の形態では、押出口3は水平方向に長い長方形状のものであり、空気吹出口7は、押出口3の開口の高さ中間位と合致する高さにて設置されている。図示はしないが、このエアノズル6は、取付金具を介して押出成形機1の前端面に保持されている。
【0015】
エアノズル6内には耐圧エアホース8を介して圧縮空気が供給され、この空気が空気吹出口7から流出する。
【0016】
この空気吹出口7から流出した空気が押出口3に向う原料の流れと共に押出口3に向って流れ、押出成形物4の厚み方向の中間に空気層9を形成する。この空気層9は、板状の押出成形物4の板面と略平行方向に延在する。
【0017】
押出口3から押出成形物4が押出されると、この空気層9の空気圧によって押出成形物4には上部と下部との間に割れ目が生じ、上下2体に分れる。そこで、この押出成形物4を所定長さに切断することにより、押出成形物4の上半側及び下半側からそれぞれ成形体5が得られる。この「所定長さ」とは、長方形のタイルの長手方向の一辺の長さに相当するものである。
【0018】
この成形体5を乾燥後、焼成することにより、タイルが得られる。なお、成形体5に釉掛けを施してから乾燥し、焼成してもよい。また、仮焼後、必要に応じ釉掛けし、それから焼成してもよい。
【0019】
この成形体5は、押出成形物4が内在する空気層の空気圧によって上下に押し裂かれるようにして分断されたものである。この分断面は、可塑性を有した押出成形物を無理矢理に内部から押し分けて分断することにより生じた面である。このため、この分断面は、第4図の通り、荒々しい粗面であり、この分断面(タイルの表面となる面)には、平滑な箇所が全くなく、全面にわたって自然な凹凸が存在する。この成形体5を焼成して得られるタイルの表面は、ほぼこの分断面通りの表面であり、従来のタイルには全く見られない独特のものである。
【0020】
第5図は、本発明の別の実施の形態に係るタイルの成形方法を示す断面図である。この第5図は、前記第2図と同様部分の押出成形機前部の縦断面を示している。
【0021】
この実施の形態では、押出成形機1内に上下2段の空気吹出口11を有したエアノズル10が設置されている。また、押出口3の上下方向の中間には、押出成形物12を上下2段に切り裂くための薄く平たいナイフウェッジ14が設けられている。このナイフウェッジ14は、押出口3の水平幅方向の全体にわたって設けられている。上側の空気吹出口11は、押出口3の上側内面とナイフウェッジ14との中間高さに位置し、下側の空気吹出口11は、押出口3の下側内面とナイフウェッジ14との中間高さに位置している。
【0022】
この実施の形態においても、押出成形機1の原料投入口から原料が投入され、スクリュによって撹拌、混練されると共に、脱気口からの真空引きによって脱気を受けつつ押出口3に至り、押出口3から帯板状の押出成形物12として押出される。
【0023】
この押出成形物12は、ナイフウェッジ14により上下に切断される。第5図の符号15はこの切断による切目を示している。
【0024】
また、上下の吹出口11から吹出した空気が、それぞれ押出成形物12中に2層の空気層16を形成する。上側の空気層16は、切目15よりも上側の押出成形物の厚み方向の中間に位置し、下側の空気層16は切目15よりも下側の押出成形物の厚み方向の中間に位置する。空気層16は、板状の押出成形物12の板面と略平行方向に延在する。この押出成形物12を所定の長さに切断することにより、4個の同一厚さのタイル成形体13が得られる。このタイル成形体13を乾燥後、焼成することによりタイルが得られる。
【0025】
このタイル成形体13の表面も、空気層16によって押出成形物12を内部から押し開くように裂いて形成されたものであり、従来には全く見られない粗面形状のものとなる。
【0026】
なお、第5図ではナイフウェッジ14を1段だけ設け、押出成形物12を上下2体に切断しているが、ナイフウェッジ14を上下に2段以上に設け、押出成形物12を上下に3体以上に切断してもよい。この場合、吹出口11もナイフウェッジ14の段数に応じて段数を増やす。
【0027】
本発明では、吹出口7,11から空気と共に顔料粉体、顔料粉粒体、顔料粒体あるいは顔料含有水を流出させてもよい。このようにすれば、空気層9,16によって形成される粗面が顔料によって装飾される。顔料の代わりに、又は顔料と共にシリカ、アルミナ、シャモットなどの粉体、粉粒体又は粒体を用いてもよい。このようにすれば、タイルの表面に粒体、粉粒体又は粒体が付着した独得の意匠を形成することも可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、従来にない粗面表面意匠を有したタイル成形体を比較的簡易な設備で容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るタイルの成形方法を示す全体斜視図である。
【図2】第1図のII−II線に沿う縦断面図である。
【図3】第2図のIII−III線に沿う水平断面図である。
【図4】タイル成形体の表面を示す斜視図である。
【図5】本発明の別の実施の形態に係るタイルの成形方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 押出成形機
3 押出口
4 押出成形物
5 成形体
6 エアノズル
7 空気吹出口
9 空気層
10 エアノズル
11 空気吹出口
12 押出成形物
13 成形体
14 ナイフウェッジ
15 切目
16 空気層

Claims (2)

  1. タイル原料を押出成形機の押出口から押出して板状に成形する工程を有するタイルの成形方法において、粗面表面を有したタイルを成形する方法であって、
    該押出成形機内に押出口に臨んで気体ノズルを設置し、該気体ノズルから気体を流出させることにより板状の押出成形物内に気体を板面と略平行方向に延在する層状に存在させ、
    押出口から送り出された押出成形物を該気体層の空気圧によって分離し、該気体層の空気圧によって凹凸に富んだ前記粗面を形成することを特徴とするタイルの成形方法。
  2. 請求項1において、気体と共に顔料を含有した液体又は固体を前記ノズルから流出させることを特徴とするタイルの成形方法。
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