JP4355895B2 - 変性ポリオキシアルキレンポリアミン - Google Patents

変性ポリオキシアルキレンポリアミン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の変性ポリオキシアルキレンポリアミン、該変性ポリオキシアルキレンポリアミンを含むエポキシ樹脂硬化剤、該エポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物に関する。
この変性ポリオキシアルキレンポリアミンは、塗料用途、電気・電子用途、土木・建築用途、接着剤用途、複合材料用途などのきわめて広い分野で利用されているエポキシ樹脂硬化剤およびその原料として、またポリウレタン樹脂の鎖延長剤、および鎖延長剤原料として、さらには紙力増強剤、ゴム用薬品、清缶剤、スラグ防止剤、界面活性剤、乳化剤、染料、顔料、染色助剤、繊維用油剤、化粧品、防皺加工剤、キレート剤、浮遊選鉱剤、洗剤、チクソ剤、pH調整剤、殺虫剤、除草剤、農薬安定剤、飼料添加剤、触媒、重合促進剤、重合防止剤、安定剤、イオン交換樹脂、ガス吸収剤、抗酸化剤、防蝕剤、防錆剤、殺菌剤、抗菌剤、不凍液、潤滑油、滑剤、医薬中間体、ポリアミド、溶剤、写真薬など様々な分野で幅広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
各種鎖状脂肪族ポリアミンが、エポキシ樹脂硬化剤およびその原料として、またポリウレタン樹脂鎖延長剤およびその原料に広く用いられていることは良く知られている。その代表的な鎖状脂肪族ポリアミンは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリエチレンポリアミンであり、広く用いられてきた。
【0003】
しかしこれらのポリエチレンポリアミンは、一般に蒸気圧が高く、皮膚刺激性が強いため、また一方でこれらのポリエチレンポリアミンを原料としたエポキシ樹脂硬化剤は硬化物の耐薬品性が悪く、最近ではそのままエポキシ樹脂硬化剤として用いられることは少なく、ほとんどが安全衛生面の改善、作業性の改善、耐薬品性能の向上などの目的に応じて、ポリエチレンポリアミンが有するアミノ基を変性して用いられることが殆どである。
【0004】
ポリエチレンポリアミンの代表的な変性方法としては、(1)フェノール系化合物とアルデヒド化合物とのマンニッヒ反応による変性、(2)エポキシ化合物との反応による変性、(3)カルボキシル基を有する化合物との反応による変性、(4)アクリル系化合物とのマイケル付加反応による変性、および(5)これらの組み合わせによる変性などがあげられる。
【0005】
ポリエチレンポリアミンの変性モル数は、一般的には得られる変性ポリエチレンポリアミンがポリエチレンポリアミンのアミノ基に由来する活性水素を有する範囲で選ばれる。しかしながら、変性モル数が低い場合には変性ポリエチレンポリアミンの粘度は低くなるが、未反応ポリエチレンポリアミン含有量が高くなるために、毒性が高く、皮膚刺激性が残る。またこれらのポリエチレンポリアミンを原料としたエポキシ樹脂硬化剤は硬化物の耐薬品性が悪い。一方、変性モル数が高い場合には未反応ポリエチレンポリアミン含有量は低くなるが、粘度が高くなるために、作業性の改善を目的に溶剤や希釈剤を添加するなどの低粘度化が必要となる。しかし、環境問題から溶剤は添加しないことが望まれ、硬化物の耐薬品性の低下が生じるために希釈剤の添加量を制限する必要がある。
【0006】
そこでポリエチレンポリアミンに変わるものとして、ポリオキシアルキレンポリアミンが開発された。ポリオキシアルキレンポリアミンは、ポリエチレンポリアミンと比較し、蒸気圧が低く、さらに皮膚刺激性が弱く、安全衛生面の改善、作業性の改善などの目的を達成することができた。
【0007】
しかしこれらのポリオキシアルキレンポリアミンを原料としたエポキシ樹脂硬化剤は、硬化物の耐薬品性が十分ではない。従って、耐薬品性向上の目的を達成するために、ポリオキシアルキレンポリアミンが有するアミノ基を変性して用いられる。
【0008】
ポリオキシアルキレンポリアミンの代表的な変性は、ポリエチレンポリアミンの変性方法と同様に行うことができる。
【0009】
ポリオキシアルキレンポリアミンの変性モル数は、一般的には得られる変性ポリオキシアルキレンポリアミンがポリオキシアルキレンポリアミンのアミノ基に由来する活性水素を有する範囲で選ばれる。しかしながら、変性モル数が低い場合には変性ポリオキシアルキレンポリアミンの粘度は低くなるが、未反応ポリオキシアルキレンポリアミン含有量が高くなるために、これらのポリオキシアルキレンポリアミンを原料としたエポキシ樹脂硬化剤は硬化物の耐薬品性が悪い。一方、変性モル数が高い場合には未反応ポリオキシアルキレンポリアミン含有量は低くなるが、粘度が高くなるために、作業性の改善を目的に溶剤や希釈剤の添加による低粘度化が必要となる。しかし、環境問題から溶剤を添加しないことが望まれ、硬化物の耐薬品性の低下が生じるために希釈剤の添加量を制限する必要がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低粘度であり、且つエポキシ樹脂硬化剤として使用した際に、良好な硬化物の耐薬品性を与えるエポキシ樹脂組成物が得られる変性ポリオキシアルキレンポリアミンを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の変性ポリオキシアルキレンポリアミンは低粘度で、該変性ポリオキシアルキレンポリアミンからなるエポキシ樹脂硬化剤は、良好な硬化物耐薬品性を与えることを見出して本発明に至った。
【0012】
即ち本発明は、ポリオキシアルキレンポリアミンとアルケニル化合物との付加反応により得られる変性ポリオキシアルキレンポリアミンを提供するものである。
さらに本発明は、該変性ポリオキシアルキレンポリアミンを含むエポキシ樹脂硬化剤、該エポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用されるポリオキシアルキレンポリアミンは、エポキシ樹脂と反応しうる2以上のアミノ基を有すれば特に限定されないが、分子量が1000を超えると、比較的、粘度が高い液体、もしくは一部ないし全体が固体となるので、分子量1000以下のポリオキシアルキレンポリアミンを用いることが好ましい。例えば、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシテトラメチレンジアミン、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ジアミン等のポリオキシアルキレンジアミン、あるいはポリオキシエチレントリアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等が挙げられ、これらを単独または2種以上混合しても良い。さらに硬化物の特性を失わない範囲内で、他のアミン系硬化剤も併用することができる。
【0014】
本発明で使用されるアルケニル化合物としては、あらゆるアルケニル化合物が挙げられるが、炭素数が2〜10であるものが好ましい。具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、イソブチレン、2−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、スチレン、ジビニルベンゼン、などが挙げられ、この中で特に好ましいのは、スチレンである。
【0015】
本発明の変性ポリオキシアルキレンポリアミンは、前記ポリオキシアルキレンポリアミンと前記アルケニル化合物との付加反応(変性)により得られ、ポリオキシアルキレンポリアミンとアルケニル化合物との付加物と未反応ポリオキシアルキレンポリアミンとの混合物の状態でエポキシ樹脂硬化剤として用いられる。
【0016】
本発明におけるポリオキシアルキレンポリアミンのアルケニル化合物による変性モル数は、ゲル化を回避できる割合であれば特に限定はされないが、ポリオキシアルキレンポリアミンのアルケニル化合物による変性モル数が低い場合は、未反応のポリオキシアルキレンポリアミン含有量が多くなってアルケニル化合物による変性の特徴が現れず、またポリオキシアルキレンポリアミンのアルケニル化合物による変性モル数が高い場合は、アミノ基の活性水素が少なくなるため、通常、式(1)の範囲である。
【数2】
Figure 0004355895
(A=ポリオキシアルキレンポリアミンの活性水素数、X=変性モル数)
特に好ましい変性モル数は、式(2)の範囲である。
【数3】
Figure 0004355895
(A=ポリオキシアルキレンポリアミンの活性水素数、X=変性モル数)
【0017】
本発明において、変性ポリオキシアルキレンポリアミンを合成する際には、強塩基性を呈する触媒を使用することが好ましい。例えば、アルカリ金属、アルカリ金属アミド、アルキル化アルカリ金属などが挙げられるが、好ましくはアルカリ金属アミド(一般式MNRR’:Mはアルカリ金属、Nは窒素、RおよびR’は各々独立して水素またはアルキル基である)、特にリチウムアミド(LiNH2)が好ましい。
触媒の使用量は、原料の種類や反応比率、反応温度等の条件により異なるが、通常は原料中0.05〜5重量%であり、好ましくは0.1〜3重量%である。
【0018】
本発明の変性ポリオキシアルキレンポリアミンを合成する際の反応温度は、通常、50〜150℃であり、好ましくは100℃である。これより反応温度が低い場合は、ポリオキシアルキレンポリアミンとアルケニル化合物の付加反応速度が遅く、逆に反応温度が高い場合は、副生成物としてアルケニル化合物の重合物が生成するので好ましくない。
【0019】
反応終了後に得られる反応液中には、反応により生成した変性ポリオキシアルキレンポリアミンと触媒のアルキル金属アミドが含まれる。触媒のアルカリ金属アミドは、ろ過により除去可能である。ろ過の場合は、塩酸、塩化水素ガス、酢酸などの酸、メタノール、エタノール等のアルコール、あるいは水等を加えてアルカリ金属アミドを除去容易な塩に変えてからろ過することが可能である。例えば水を加えた場合には、アルカリ金属アミドが水酸化物となり、ろ過が容易となる。
【0020】
合成された変性ポリオキシアルキレンポリアミンの粘度は、10〜1000mPa・s/23℃である。粘度が1000mPa・sより高い場合には、該変性ポリオキシアルキレンポリアミンをエポキシ樹脂硬化剤として使用する場合の作業性が悪くなり、好ましくない。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、前記変性ポリオキシアルキレンポリアミンを含むものであり、単独で使用してもよいし、他のポリアミン系エポキシ樹脂硬化剤と混合して使用してもよい。この場合の変性ポリオキシアルキレンポリアミン混合量は、通常、20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。他のポリアミン系エポキシ樹脂硬化剤が20重量%未満の場合、本発明の変性ポリオキシアルキレンポリアミンの特長が損なわれる場合があり好ましくない。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と前記エポキシ樹脂硬化剤を含むものである。本発明のエポキシ樹脂組成物に使用されるエポキシ樹脂は、本発明のエポキシ樹脂硬化剤に含まれる変性ポリオキシアルキレンポリアミンのアミノ基由来の活性水素と反応し架橋することが可能なグリシジル基を持つエポキシ樹脂で、飽和または不飽和の脂肪族化合物や、脂環式化合物、芳香族化合物、あるいは複素環式化合物のいずれであってよい。具体的には、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールF型から誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂が挙げられる。この中でもビスフェノールAから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールF型から誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂が特に好ましい。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して、本発明のエポキシ樹脂硬化剤の活性水素当量が0.7〜1.0となる量が好ましい。本発明のエポキシ樹脂硬化剤の活性水素当量が0.7未満であると、硬化物の架橋度が不十分であり、また1.0を越えると親水性のアミノ基が過多となり、耐水性が損なわれる。
【0024】
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、充填材、可塑剤などの改質成分、希釈剤、揺変剤などの流動調整成分、顔料、レベリング材、粘着付与剤などのその他の成分を用途に応じて添加することができる。
【0025】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、公知の方法で硬化させ、エポキシ樹脂硬化物とすることができる。硬化条件は用途に応じて適宜選択され、特に限定されない。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
エポキシ樹脂硬化塗膜の評価は以下の方法で行った。
エポキシ樹脂組成物を、23℃、50%RHの条件下で、鋼板に200μmの厚みに塗装した。
耐薬品性:7日硬化後の塗装鋼板を各薬品に23℃で7日間浸漬し、塗膜の変化を目視により評価した。
評価:次の4段階で評価した。
◎:優秀、 ○:良好、 △:やや不良、 ×:不良
【0028】
実施例1
撹拌装置、温度計、窒素導入管、滴下漏斗、冷却管を備えた2リットルフラスコに、活性水素当量が60のポリオキシプロピレンジアミン(ハンツマン・コーポレーション社製、ジェファーミンD−230(分子量230))460.0g(2.0モル)とリチウムアミド(メルク社製、試薬)21.3g(0.93モル)を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら100℃に昇温した。100℃に保ちながら、スチレン(和光純薬工業社製、試薬特級)208.4g(20モル)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で4時間保った。
その後、室温に冷却し、仕込んだリチウムアミドの10倍モル量の水167.7g(9.3モル)を添加して撹拌した。フラスコ内液中の沈殿物をろ過で分離後、減圧蒸留で水を留去し、変性ポリオキシプロピレンジアミンA635.0gを得た。変性ポリオキシプロピレンジアミンAの変性モル数は、1.0モルであり、粘度は30mPa・s/25℃、活性水素当量は111であった。
得られた変性ポリオキシプロプレンジアミンAをエポキシ樹脂硬化剤として使用して、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)社製、商品名:エピコート828、エポキシ当量:190g/eq)と表1に示す割合で配合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を23℃、50%RHの条件下で硬化させ、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0029】
実施例2
活性水素当量が36のポリオキシエチレンジアミン(ハンツマン・コーポレーション社製、ジェファーミンEDR−148(分子量148))296.0g(2.0モル)とリチウムアミド1.5g(0.065モル)を仕込んだ以外は実施例1と同様に反応を行った。
その後、室温に冷却し、仕込んだリチウムアミドの10倍モル量の水11.7g(0.65モル)を添加して撹拌した。フラスコ内液中の沈殿物をろ過で分離後、減圧蒸留で水を留去し、変性ポリオキシエチレンジアミンB478.8gを得た。変性ポリオキシエチレンジアミンBの変性モル数は、1.0モルであり、粘度は30mPa・s/25℃、活性水素当量は84であった。
得られた変性ポリオキシエチレンジアミンBをエポキシ樹脂硬化剤として使用して、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と表1に示す割合で配合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を23℃、50%RHの条件下で硬化させ、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0030】
実施例3
活性水素当量が81のポリオキシプロピレントリアミン(ハンツマン・コーポレーション社製、ジェファーミンT−403(分子量403))806.0g(2.0モル)とリチウムアミド35.0g(1.5モル)を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら100℃に昇温した。100℃に保ちながら、スチレン312.6g(3.0モル)を6時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で4時間保った。
その後、室温に冷却し、仕込んだリチウムアミドの10倍モル量の水270.0g(15.0モル)を添加して撹拌した。フラスコ内液中の沈殿物をろ過で分離後、減圧蒸留で水を留去し、変性ポリオキシプロピレントリアミンC1051.5gを得た。変性ポリオキシプロピレントリアミンCの変性モル数は、1.5モルであり、粘度は580mPa・s/25℃、活性水素当量は124であった。
得られた変性ポリオキシプロピレントリアミンCをエポキシ樹脂硬化剤として使用して、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と表1に示す割合で配合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を23℃、50%RHの条件下で硬化させ、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0031】
比較例1
アルケニル化合物を用いない変性としてエポキシアダクト変性を行った。実施例1と同様のフラスコに、活性水素当量が60のポリオキシプロピレンジアミン460.0g(2.0モル)を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に保ちながら、ブチルグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名:ニッサンエピオールB、エポキシ当量:130g/eq、以下BGEと記す。)260.0g(2.0モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃に昇温して2時間反応を行い、ポリオキシプロピレンジアミンのBGE付加物(720.0g)を得た。ポリオキシプロピレンジアミンのBGE付加物の粘度は1500mPa・s/25℃、活性水素当量は120(活性水素数は3)であった。
得られたポリオキシプロピレンジアミンのBGE付加物をエポキシ樹脂硬化剤として使用して、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を調製し、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0032】
比較例2
アルケニル化合物を用いない変性としてエポキシアダクト変性を行った。実施例1と同様のフラスコに、活性水素当量が36のポリオキシエチレンジアミン296.0g(2.0モル)を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に保ちながら、BGE260.0g(2.0モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃に昇温して2時間反応を行い、ポリオキシエチレンジアミンのBGE付加物(556.0g)を得た。ポリオキシエチレンジアミンのBGE付加物の粘度は1600mPa・s/25℃、活性水素当量は93(活性水素数は3)であった。
得られたポリオキシエチレンジアミンのBGE付加物をエポキシ樹脂硬化剤として使用して、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を調製し、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0033】
比較例3
アルケニル化合物を用いない変性としてエポキシアダクト変性を行った。実施例1と同様のフラスコに、活性水素当量が81のポリオキシプロピレントリアミン806.0g(2.0モル)を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に保ちながら、BGE390.0g(3.0モル)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃に昇温して2時間反応を行い、ポリオキシプロピレントリアミンのBGE付加物(1196.0g)を得た。ポリオキシプロピレントリアミンのBGE付加物の粘度は2500mPa・s/25℃、活性水素当量は133(活性水素数は4.5)であった。
得られたポリオキシプロピレントリアミンのBGE付加物をエポキシ樹脂硬化剤として使用して、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂組成物を調製し、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0034】
比較例4
活性水素当量が60のポリオキシプロピレンジアミンをエポキシ樹脂硬化剤として使用して、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と表2に示す割合で配合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を23℃、50%RHの条件下で硬化させ、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0035】
比較例5
活性水素当量が36のポリオキシエチレンジアミンをエポキシ樹脂硬化剤として使用して、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と表2に示す割合で配合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を23℃、50%RHの条件下で硬化させ、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0036】
比較例6
活性水素当量が81のポリオキシプロピレントリアミンをエポキシ樹脂硬化剤として使用して、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と表2に示す割合で配合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を23℃、50%RHの条件下で硬化させ、エポキシ樹脂硬化塗膜を作製して、性能評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0037】
【表1】
Figure 0004355895
【0038】
【表2】
Figure 0004355895
【0039】
【発明の効果】
以上の実施例から明らかなように、本発明の変性ポリオキシアルキレンポリアミンは、低粘度で、該変性ポリオキシアルキレンポリアミンを含むエポキシ樹脂硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物は良好な耐薬品性のエポキシ樹脂硬化物を与える。

Claims (5)

  1. ポリオキシアルキレンポリアミンとアルケニル化合物との付加反応により得られる変性ポリオキシアルキレンポリアミンであって、該アルケニル化合物がスチレンおよびジビニルベンゼンから選ばれる少なくとも1種の化合物であり、該アルケニル化合物による変性モル数が式(1)の範囲である変性ポリオキシアルキレンポリアミン。
    Figure 0004355895
    (A=ポリオキシアルキレンポリアミンの活性水素数、X=変性モル数)
  2. アルケニル化合物がスチレンである請求項1記載の変性ポリオキシアルキレンポリアミン。
  3. 請求項1記載の変性ポリオキシアルキレンポリアミンを含むエポキシ樹脂硬化剤。
  4. エポキシ樹脂、および請求項記載のエポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物。
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