JP4355632B2 - 医療器具滑り止め材および手術用覆布、ならびに医療器具の滑り防止方法 - Google Patents

医療器具滑り止め材および手術用覆布、ならびに医療器具の滑り防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、その上に置かれた物品が滑ることを防止し、またはそれ自体が滑ることを防止し得る、滑り止め材であって、特に、濡れた物品(例えば、血液または体液等が付着した医療器具)が滑ることを防止できる、滑り止め材に関する。
従来、滑り止め材として、種々のものが提案されている(例えば特許文献1〜6)。滑り止め材は様々な場面において要求され、例えば、外科手術の際にも滑り止め材が必要とされることがある。
外科的な手術に際しては、一般に、患者の体全体が滅菌した布で覆われる。この布は、手術用覆布またはサージカルドレープとも呼ばれる(例えば特許文献7参照)。手術用覆布(単に「覆布」とも呼ぶ)は、手術のときに切開される部分が露出するように、適当な位置に開窓部を設けて使用される。開窓部は、通常、手術前に医師または看護師によって設けられる。手術中、医師は、その施術状況に応じて、一度使用した医療器具(例えば、鋏およびメスなど)を、必要なときに再度すぐに使うことができるように、患部の近くの覆布の上に直接置くことがある。その際、医師は、医療器具が床に落ちないように、医療器具を患部の近くのできるだけ平坦な箇所に置くようにしている。
しかし、人間の体において、完全に平坦な部分は殆ど無く、いずれの箇所にも多少の傾斜が存在する。また、手術中の医師の目は患部から離れることはなく、医療器具を置く場所が平坦であるかどうかの確認を目視により十分に行っているわけではない。そのため、置いたはずの医療器具が床に滑り落ちることがしばしばある。そのような場合には、その器具を消毒するか、あるいは代わりの器具を用意する必要があるが、いずれにせよ、手術中の医師および看護師等の作業量または精神的ストレスは増える。特に、電気医療器具(例えば、電気メスおよび吸引洗浄装置など)が床に落ちると、メス等と異なり、代わりの器具を用意できないことが多く、消毒して使用可能な状態にするまで、相当な時間、手術を中断せざるを得ないという不都合が発生することもある。また、落下の際に受ける衝撃によって、器具が破損して使用できなくなることもある。
このような不都合を回避するために、例えば、患部の近くの覆布表面に、粘着性を有する部分を例えば両面テープを用いて設け、この粘着部分に医療器具を置いて落下を防止することが便宜的に行われている。また、特許文献7では、面ファスナーを用いてコード類を覆布に固定することも提案されている。さらに、一部の企業からは、手術用覆布に取り付ける滑り止めシートとして、シリコーンまたはウレタン等から成る滑り止め材も既に販売されている。
特開2001−11407号公報 特開2003−49126号公報 特開2000−248470号公報 特開2000−85042公報 特開平10−58576号公報 特開平6−17355号公報 特開平5−146453号公報
これまでに提案されてきた医療器具の落下および滑り防止方法はいずれも以下に述べるような不都合を有している。例えば、粘着部分を覆布に設けると、医療器具を置いてから再度使用するときに、医療器具に覆布が「くっ付いて」きて持ち上げられるために、医療器具を速やかに使用できないという問題がある。また、「くっ付いた」覆布を、例えば振り払おうとすると、医師は手術に集中できなくなり、ストレスがかかる。同様に、面ファスナーを用いてコード類を覆布に固定する場合にも、コードの固定位置やコードの長さ等によっては、所望の方向に向けて又は所望の位置にて医療器具を使用することができないことがある。そこで、コードの固定を外す又はコードの固定位置を変える必要が生じる場合があるが、そのような作業もまた医師および看護師等の作業量またはストレスを増加させる。シリコーンまたはウレタン等から成る滑り止め材は、これらの問題点をある程度解消するものの、医療器具が血液等で濡れると、滑り止め効果が著しく低下するという点で問題を有する。外科手術においては、殆どの器具が血液で濡れるため、濡れた器具の滑りを防止できないものは、実際の使用には適していない。
このように、手術中、医療器具を患部の近くに僅かな時間だけ置きたい場合には、1)器具が滑り落ちないこと、2)器具を「置く動作」と「取り上げる動作」とをスムーズに行うことができること、および3)血液等で濡れた器具が滑り落ちないことが、手術の円滑な進行のために極めて重要である。しかし、これまでに、そのようなことを可能にするための具体的な提案はなされていない。本発明者らは、前記1)〜3)を可能にする滑り止め材を提供することができれば、手術中に医療器具を一時的に患部近辺に置くのに適した滑り止め材のみならず、種々の物品の滑り止め材として有用であると考え、そのような滑り止め材を提供するべく検討した結果、本発明を案出するに至った。
本発明は、シートから成る滑り止め材であって、
少なくとも一つの表面が滑り止め面であり、
当該滑り止め面が複数の凹部を有し、当該凹部の内壁の傾斜角αが90度未満である、
滑り止め材を提供する。この滑り止め材は、滑り止め面に複数の凹部を有し、当該凹部の内壁の傾斜角が90度未満であることを特徴とし、かかる特徴によって、濡れていない物品だけでなく、濡れた物品に対しても、良好な滑り止め効果を発揮する。その理由は次のとおりであると推察される。但し、これらの推察によって本発明が限定されるものではない。
凹部の内壁の傾斜角とは、凹部の内壁と凹部が存在しない平坦な表面とがなす角度であり、具体的には、図1(a)〜(c)に示すように、凹部を厚さ方向に平行な面に沿って切断した断面において、αで示される角度である。図1(b)に示すように、凹部が湾曲した形状である場合には、αは凹部の内壁の滑り止め面(入口)における接線kと平坦な表面とがなす角度をいう。図1(c)に示すように、内壁と平坦な表面とがなす角度が2以上存在する場合は、最も大きい角度が90度未満であれば、その凹部はαが90度未満である凹部といえる。αが90度未満であると、凹部の周縁が鋭角を有するエッジとなって、滑り止め面に平行な方向の摩擦抵抗を高くするものと考えられる。一方、これらの凹部は、シートの厚さ方向と平行な方向において物品を移動させるときには抵抗をもたらさない。したがって、この滑り止め材に置いた物品(例えば医療器具)を上方向に持ち上げるときに、滑り止め材が一緒に持ち上げられることはない。
一般に、凹部を有する表面に濡れた物品を置くと、凹部内に液体が流れこみ、表面張力によって物品との間に液体の膜を形成し、この膜によって物品の「滑り」が良くなる(即ち、滑り止め効果が低下する)。これは、αが90度以上であることに起因する。一般的に、表面に凹部を有するシートは製造が容易であることから、αは90度以上であることが多い。αが90度未満である凹部は、図1に示すように、厚さ方向に沿って切断した断面の形状が入口から内部に向かって膨らんだ形状を有する。凹部が入口部において「すぼんだ」形状を有し、且つ入口部の径が十分に小さいと、液体の表面張力により、その内部へ液体が流入しにくい。したがって、かかる凹部の上に濡れた物品を置いたときに、液体は凹部に流入するよりはむしろ、シート表面を流れやすくなり、したがって本発明の滑り止め材は濡れた物品に対しても良好な滑り止め効果を発揮すると考えられる。
本発明の滑り止め材において、このような凹部は、滑り止め面1mmあたり10〜500個存在することが好ましい。10個/mm未満では、十分な滑り止め効果を得られないことがあり、500個/mmよりも多い数の凹部を得ることは製造上困難である。
本発明の滑り止め材は、球状の独立気泡を有する発泡体をカット(例えばスライス)等して、独立気泡の内壁を露出させることにより得たものであることが好ましい。このとき、微細な独立気泡が数多く形成されているシートを使用すると、任意の部分でカットしたときに、αが90度未満となる凹部を上記範囲内にある割合で得ることができ、好ましい。独立気泡を有する発泡体は、好ましくは、可撓性を有するゴムまたは熱可塑性樹脂から成る。
本発明の滑り止め材は、上述のように、その上に置いた物品を持ち上げる動作に対しては抵抗を示さず、また、濡れた物品に対しても高い滑り止め効果を発揮するので、医療器具用滑り止め材として好ましく提供される。
本発明の滑り止め材は、滑り止め効果を有する面(即ち、上記凹部を有する面)が露出表面となる限りにおいて、他のシート状物またはコーティングが積層一体化された形態で提供されてよい。他のシート状物またはコーティングは、例えば、パイル織物のような織物、経編みメリヤスおよび横編みメリヤスのような編物、スパンボンド不織布および紙のような不織布、ならびにプラスチックフィルムおよび金属シート等である。そのようなシート状物等と一体化させることにより、本発明の滑り止め材を様々な用途に使用することが可能となる。具体的には、手術用覆布、敷布、膝掛け、リストレスト、またはマウスパッドとして使用することができる。
本発明はまた、本発明の滑り止め材を、手術用覆布の表面の一部または全部に取りつける、または置くことを含む、医療器具の滑り防止方法をも提供する。前述のように、手術用覆布には、手術開始直後または手術前に患部に合わせて開窓部が設けられるので、本発明の滑り止め材を用いれば、開窓部の位置に応じて、その近辺に医療器具を置くための場所を簡易かつ適切に設けることができる。本発明の滑り止め材が両方の表面を滑り止め面とするシート状物である場合には、滑り止め材を手術用覆布の上に置くだけでよい。滑り止め材は手術用覆布に対しても滑り止め効果を発揮するので、手術用覆布に置かれた滑り止め材は、自身が手術用覆布の所定位置からずれない。
本発明はまた、本発明の滑り止め材を、医療器具に取り付けることを含む、医療器具の滑り防止方法を提供する。医療器具の素材または表面状態によっては、本発明の滑り止め材と接触させても高い摩擦力が生じず、上記の方法では滑りを十分に防止できないことがある。そのような場合には、医療器具に本発明の滑り止め材を取り付け、これと覆布との間で高い摩擦力を生じさせることによって、医療器具が滑ることを防止することが望ましい。
本発明の滑り止め材は、乾いた物品だけでなく、濡れた物品に対しても良好な滑り止め効果を発揮する。したがって、本発明の滑り止め材を、外科手術中に手術用被覆に取り付けて使用すると、血液または体液で濡れることの多い医療器具が滑り落ちることを有効に防止できる。本発明の滑り止め材は独立気泡を有する発泡体を切断して作製することが好ましく、その場合、滑り止め材は独立気泡に由来する優れた断熱および保温効果をも発揮することとなる。したがって、本発明の滑り止め材は例えばパイル織物等と積層一体されることにより、手術中の患者の体温低下を抑える手術用覆布、ならびに保温効果のある敷布、リストレスト、マウスパッドおよび膝掛けとして、好ましく用いられる。さらに、本発明の滑り止め材は独立気泡を有する発泡体を用いて製造できるので、コスト的にも使い捨て可能な製品として提供され得る。
発明を実施するための形態
本発明の滑り止め材は好ましくはシートの形態で提供される。ここで、シートとは、2つの主表面(本明細書において単に表面とも呼ぶ)の寸法が厚さよりも十分に大きいものをいう。
本発明の滑り止め材は、少なくとも1つの表面が滑り止め面であり、シート状の滑り止め材の場合は一方または両方の表面が滑り止め面である。両方の表面が滑り止め面である滑り止めシートは、例えば、コースターのように、それを置いた物(例えば、テーブルもしくはデスク)に対しても滑り止め効果を発揮するとともに、その上に置かれた物品に対しても滑り止め効果を発揮することが望まれる場合に好ましく使用される。
本発明の滑り止め材の滑り止め面は、前述のように、複数の凹部を有する。凹部は、有底の窪みであり、貫通孔ではない。本発明においては、当該凹部の内壁の傾斜角αが90度未満であることを要する。αが90度未満である凹部は、滑り止め面において、10〜500個/mmの割合で存在することが好ましく、300〜400個/mmの割合で存在することがより好ましい。滑り止め面には、滑り止め効果が阻害されない限りにおいて(具体的には、上記割合でαが90度未満である凹部を含む限りにおいて)、αが90度未満である凹部に加えて、αが90度以上である凹部が含まれていてもよい。
本発明の滑り止め材は、好ましくは、独立気泡を有する発泡体を切断(例えば、シート状にスライス)する等して、独立気泡の内壁を露出させることにより形成される。具体的には、図2に示すように、独立気泡を多数有する発泡体を任意の面で切断すれば、幾つかの独立気泡は切断面においてαが90度未満である凹部を形成する。独立気泡の内壁が露出することにより形成される凹部のうち、幾つかは90度以上のαを有することがある。したがって、独立気泡を有する発泡体は、αが90度未満である凹部ができるだけ多く形成されるようにするために、より小さい直径を有する独立気泡がより多く形成されたものであることが好ましい。また、αが90度未満である凹部を効率的により多い数で得るためには、独立気泡は球形であることが好ましい。球形であれば、確率的には、切断面において形成される凹部のうち、少なくとも半分程度が90度未満のαを有することになる。
本発明の滑り止め材を特に医療器具用滑り止め材、敷布、および膝掛け等として使用する場合には、独立気泡を有する発泡体は厚さ0.3〜20mmのシートとしたときに、可撓性を有するものであることが好ましい。発泡体は、具体的には、クロロプレンゴム、ネオプレンゴム、およびエチレンプロピレンゴムのようなゴム、ならびにウレタン、シリコーンおよびナイロンのような熱可塑性樹脂から選択される1または複数の材料から成ることが好ましい。
独立気泡を有する発泡体は公知の製造方法により製造することができる。例えば、上述した材料に、分解して窒素ガスまたは炭酸ガス等を生じる、公知の吸熱分解型発泡剤(例えば、有機酸と炭酸塩(例えば炭酸カルシウム)との混合物)を混合した混合物を、押出成形機を用いて加熱加圧しながらシート状に成形する方法によって製造することができる。発泡剤は、加熱加圧の際に蒸発して気化する蒸発型発泡剤であってよい。シート中に形成される独立気泡は、好ましくは20μm〜500μmの直径を有し、より好ましくは30μm〜180μmの直径を有する。
本発明の滑り止め材の寸法は、用途に応じて、適宜選択される。例えば、医療器具用滑り止め材として、手術用覆布に取り付けて使用する場合には、その上に置かれる医療器具の寸法および数等に応じて、また、医療器具に取り付けて使用する場合には、取り付ける医療器具の部位等に応じて、適宜選択される。例えば、タテ×ヨコが200mm×200mm〜1200mm×1200mm程度の四角形のものは、様々な手術で覆布に取り付けて使用するのに適しており、汎用性が高い。本発明の滑り止め材を医療器具に取り付ける場合には、1〜30mm程度の幅を有するテープ状の形態とすることが好ましい。また、本発明の滑り止め材は、大きいシートまたはロールの形態で提供してよい。そのような形態のものは、使用者(医療器具用滑り止め材として使用する場合には、医師および看護師等)が所望の寸法にカットして使用できる点で好都合である。また、本発明の滑り止め材を医療器具用滑り止め材として用いる場合、その厚さは0.3〜20mm程度とすることが好ましい。0.3mm未満のシートを得ることは困難であり、2mmを越えると、使い勝手が悪い。ここに示す寸法および厚さは例示であり、用途等に応じて他の寸法を採用してよいことはいうまでもない。
本発明の滑り止め材を医療器具用滑り止め材とする場合には、医療器具が床に落下して汚染されることをより確実に防止するために、滑り止め材の外周部に他の部分より盛り上がったバンク部を設けてよい。そのようなバンク部は、医療器具が滑り止め材の表面で滑ったときにストッパーとして作用して、器具の落下を防止する。
本発明の滑り止め材には、必要に応じて、滑り止め面として使用する面とは別の面に(シート状滑り止め材の場合は滑り止め面の反対側の面に)、粘着剤、接着剤または別の滑り止めシートを塗布してもよい。粘着剤、接着剤または別の滑り止めシートは、滑り止め材を、例えば手術用覆布または医療器具等の別の部材に取り付けるためのものである。本発明の滑り止め材は、その両面が滑り止め面である場合には、前述のように、それが設置される対象物に対しても滑り止め効果を有するので、必要な場所に置くだけで当該場所にとどまるが、より確実な固定が必要とされる場合には、粘着剤等を併用することが好ましい。
本発明の滑り止め材は、医療器具用滑り止め材として使用する場合には、手術用覆布と異なる色に着色されていてよい。それにより、医師は、視界の隅で滑り止め材を容易に認識することができるので、その上に正確且つ容易に医療器具を置くことができ、また医療器具を再度使用するために手を正しく、医療器具の方に伸ばすことができる。医療器具用滑り止め材の具体的な色は、手術用覆布の色が通常薄い青色〜緑色であることを考慮すれば、例えば、黒色または白色に着色することが好ましい。あるいは、本発明の滑り止め材は、血液の付着が容易に判る色に着色してよい。特に後述するように、本発明の滑り止め材に織物等を積層して手術用覆布を得る場合には、青色〜緑色に着色することが好ましい。手術用覆布として使用する場合に、覆布全体の色がそれ以外の色であると、特に開窓部付近で血液の色との対比がしにくく、手術を行いにくい場合がある。
また、本発明の滑り止め材を医療器具用滑り止め材として使用する場合には、滅菌された形態にて提供されることが好ましい。本発明の滑り止め材に適した滅菌処理法として、例えば、電子線による処理、エチレンオキサイドガスによる処理、γ線処理、および過酸化水素低温ガスプラズマ処理が挙げられる。
本発明の滑り止め材は、その滑り止め面が露出表面となるように、他のシート状物またはコーティングが積層され、接着剤等により一体化された形態で提供されてよい。そのような積層体は、他のシート状物等が有する特性を利用して、種々の用途に使用できる。そのような積層体を使用する例を以下に説明する。
1.手術用覆布
本発明の滑り止め材は、織物、編物、または不織布(紙を含む)と一体化して、手術用覆布を提供することができる。この手術用覆布は、織物等が患者の身体と接し、滑り止め材が医師等の側に向けられるように使用する。したがって、この手術用覆布を使用すると、医師の側に面する表面は、全部が滑り止め効果を有するから、医師は任意の場所に医療器具を置くことができる。この手術用覆布において、本発明の滑り止め材が独立気泡を有する発泡体から成る場合には、優れた保温効果が得られ、手術中の患者の体温の低下の度合いを小さくする。本発明の滑り止め材と積層一体化するシート状物は、肌触りが良く、吸水性に優れていることから、パイル織物であることが好ましい。
手術用覆布は、全身を覆うような面積を有してよく、例えば、1200mm×1200mm、1560mm×2600mm、1800mm×2900mm、2100mm×2900mmの寸法とすることができる。あるいは、手術用覆布は、患者の全身を覆うように複数枚並べて使用するタイプのものであってよく、その場合、例えば、1枚の覆布の寸法は600mm×600mm〜1200mm×1200mmの寸法とすることが好ましい。また、手術用覆布の厚さは全体で約0.5mm〜2mm程度であることが好ましい。したがって、滑り止め材およびパイル織物等の厚さは、両者を合わせた厚さがこの範囲内にあるように適宜選択される。また、必要に応じて、2以上の織物等を滑り止め材に積層してよい。
2.敷布
本発明の滑り止め材を、織物、編物、または不織布(紙を含む)と一体化した積層体は、手術台またはベッド等を覆う敷布として提供され得る。手術台等はその表面が平滑であることがあるため、この積層体を本発明の滑り止め材が手術台等に面するように配置すれば、敷布のずれを防止できる。また、前述のように本発明の滑り止め材が独立気泡を有する発泡体から成る場合には、優れた保温効果が得られるので、患者の体温の低下を抑制できる。敷布において、本発明の滑り止め材と積層一体化するシート状物は、肌触りが良く、吸水性に優れていることから、パイル織物であることが好ましい。敷布の寸法は、手術台等の寸法に応じて、例えば、1800mm×1800mm〜3000mm×3000mmの寸法とすることができる。また、敷布の厚さは全体で約0.5mm〜30mm程度であることが好ましい。
3.膝掛け
本発明の滑り止め材を、織物、編物、または不織布(紙を含む)と一体化した積層体は、膝掛けとして提供され得る。膝掛けは、スポーツ観戦時の防寒対策または夏の冷房病対策等のために広く使用されている。編物または織物製の一般的な膝掛けは、膝から滑り落ちることも多々あるため、膝と接する側の面に本発明の滑り止め材を配置すれば、膝掛けが滑り落ちることを防止できる。また、前述のように本発明の滑り止め材が独立気泡を有する発泡体から成る場合には、優れた保温効果が得られるので、従来よりも薄くて軽い膝掛けを得ることが可能となる。膝掛けにおいて、本発明の滑り止め材と積層一体化するシート状物は、任意の織物、編物、または不織布であってよい。また、膝掛けの厚さは全体で約0.5mm〜1.5mm程度であることが好ましく、滑り止め材の厚さは約0.5mm〜1.0mm程度とすることが好ましい。滑り止め材の厚さが大きいと、全体の柔軟性が低下して、ごわつき感が生じる。膝掛けについても、必要に応じて、2以上の織物等を滑り止め材に積層してよい。
4.リストレストおよびマウスパッド
本発明の滑り止め材を、他のシート状物と一体化した積層体は、リストレストまたはマウスパッドとして提供され得る。リストレストまたはマウスパッドは、デスクにおいたときにずれないことが要求されるため、本発明の滑り止め材をデスクと面するように配置すれば、ずれを有効に防止できる。また、前述のように本発明の滑り止め材が独立気泡を有する発泡体から成る場合には、マウスパッドまたはリストレストに接する手首を保温することができ、特に、手首の冷えが望ましくない腱鞘炎の患者にとって有用である。リストレストおよびマウスパッドにおいて、本発明の滑り止め材に積層するシート状物は、任意の織物、編物、不織布、またはフィルムである。マウスパッドの場合には、滑り性の良好な表面を有するシート状物(例えば梨地状の樹脂フィルム)を使用することが好ましく、場合により滑り止め材の表面に樹脂コーティングを形成してよい。リストレストを構成する場合には、例えば、肌触りの良好な織物、編物もしくは不織布、または弾力性を有する発泡シートもしくはゴムシートを使用することが好ましい。リストレストおよびマウスパッドの全体の厚さは特に限定されず、汎用品において採用されている厚さ(例えばマウスパッドの場合は約1mm〜約5mm、リストレストの場合は約10mm〜20mm)としてよい。リストレストおよびマウスパッドについても、必要に応じて、2以上のシート状物を滑り止め材に積層してよい。
上記の用途以外にも本発明の滑り止め材は、種々の用途を有する。具体的には、コースター、トレー用マット、ランチョンマット、ソファーカバー、および家具の滑り止め防止シート等として使用できる。
さらに、本発明の滑り止め材の用途の一例として、前述のように、医療器具に取り付けて使用する方法がある。手術では様々な材料から成る器具が使用され、その表面状態によっては本発明の滑り止め材による滑り止め効果が小さいものもある。かかる器具の患者の体と接しない部分であって、医師等の施術に影響を及ぼさない部分に本発明の滑り止め材を取り付けると、当該滑り止め材を取り付けた部分と手術用覆布との間で大きな摩擦力が生じて、器具の滑落が有効に防止される。さらに、本発明の滑り止め材を取り付けた器具を、本発明の滑り止め材の上に置くと、より高い滑落防止効果が得られる。このように、本発明の滑り止め材は、器具そのものにも取り付け可能なものであり、器具と手術用覆布の両方に取り付けられることで、さらに高い滑り止め効果を発揮するものである。器具への滑り止め材の取り付けは、具体的には、電気医療器具(例えば、電気メス、内視鏡、および吸引器等)の例えばプラスチックから成るハンドル部またはコードに、本発明の医療器具用滑り止め材を貼り付ける、又は巻き付けることにより行われる。
(実施例1)
直径30μm〜180μm(平均径80μm程度)の独立気泡を有するクロロプレンゴムの発泡体をスライスし、それにより、両方の表面にαが90度未満である凹部が350個/mm程度の割合で存在する、厚さ0.7mmのシート状の滑り止め材を得た。
得られた滑り止め材を表面平滑な板の上にのせ、手術用鋏(ステンレス鋼製、重さ43g)を載せた。この板の一方の端を持ち上げて、徐々に傾斜させたところ、61度傾いたときに、鋏の位置がずれた。同様に、この手術用鋏全体を水で濡らして、同様の試験を実施したところ、板が53度傾いたときに、鋏の位置がずれた。また、この滑り止め材の上に置いた鋏は、スムーズに取り上げることができ、鋏とともに滑り止め材が持ち上げられるようなことはなかった。また、この滑り止め材の静摩擦係数をVCM方式ポータブル摩擦計(新東科学株式会社製、HEIDON トライボギア ミューズType94iII(商品名))を使用して測定したところ、約0.4〜0.8であった。
(比較例1)
比較のために、ウレタン製の医療器具用滑り止め材(株式会社ホギメディカル製、商品名ノンスリップシート)について、実施例1と同様にして、濡れていない鋏と濡れた鋏について、滑り止め性能を評価した。その結果、濡れていない鋏については板が27度傾いたときに位置ずれが生じ、濡れた鋏については板が6度傾いたときに位置ずれが生じ、器具が濡れると滑り止め性能が著しく低下することが確認された。
本発明の滑り止め材は、血液等で濡れた場合でも良好な滑り止め効果を発揮するため、手術用覆布に取り付けて使用するのに適し、また、織物等を積層一体化することにより、手術用覆布そのものとして使用でき、あるいは、敷布、膝掛け、マウスパッド、およびリストレスト等として使用できる。
図1は、本発明の滑り止め材の滑り止め面に形成された凹部の内壁の傾斜角αを模式的に示す断面図である。 図2は、独立気泡を有する発泡体を用いて本発明の滑り止め材を製造する方法を模式的に示す断面図である。

Claims (6)

  1. 少なくとも一つの表面が滑り止め面であり、
    当該滑り止め面が複数の凹部を有し、当該凹部の内壁の傾斜角αが90度未満であ当該凹部を、滑り止め面1mm あたり300〜400個有する、
    滑り止め材であって、当該滑り止め面に置いた医療器具の滑り止めのために用いる、医療器具滑り止め材
  2. 前記凹部が独立気泡を有する発泡体中の独立気泡の内壁が露出することにより形成されたものである、請求項1に記載の医療器具滑り止め材
  3. 他のシート状物またはコーティングを、滑り止め材の滑り止め面が露出表面となるように積層して成る、請求項1または2に記載の医療器具滑り止め積層体
  4. 少なくとも一つの表面が滑り止め面であり、
    当該滑り止め面が複数の凹部を有し、当該凹部の内壁の傾斜角αが90度未満であ当該凹部を、滑り止め面1mm あたり300〜400個有する、
    滑り止め材を、織物、編物または不織布を滑り止め材の滑り止め面が露出表面となるように積層して成る、手術用覆布。
  5. 前記凹部が独立気泡を有する発泡体中の独立気泡の内壁が露出することにより形成されたものである、請求項4に記載の手術用覆布
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療器具滑り止め材を、手術用覆布の表面の一部または全部に取り付ける又は置くことを含む、医療器具の滑り防止方法。
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