JP4354961B2 - 回転変換によるpcrのエルボー決定 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に、シグモイド又は成長曲線を表すデータを処理するシステム及び方法に関するものであり、更に詳しくは、PCR増幅曲線の特徴を示すサイクル閾値(Cycle Threshold:Ct)又はエルボー値を決定するシステム及び方法に関するものである。
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction:PCR)とは、定義された核酸配列を酵素的に合成又は増幅するin vitro法である。この反応においては、通常、反対の鎖とハイブリダイズし、増幅対象であるテンプレート又は標的DNA配列の側面に位置する2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用する。プライマーは、熱安定DNAポリメラーゼの触媒作用によって伸張する。テンプレートの変性、プライマーアニーリング、及びアニーリングされたプライマーのポリメラーゼによる伸長を伴う反復的な一連のサイクルにより、結果的に、特定のDNA断片が指数的に蓄積される。このプロセスにおいては、通常、蛍光プローブ又はマーカーを使用することにより、増幅プロセスの検出と定量化を円滑に実行している。
代表的なリアルタイムPCR曲線が図1に示されており、一般的なPCRプロセスのサイクル数に対して蛍光強度値がプロットされている。このケースにおいては、PCRプロセスのそれぞれのサイクルにおいてPCR産物の形成をモニタリングしている。増幅は、通常、増幅反応の際の蛍光信号を計測するコンポーネント及び装置を含むサーモサイクラー内において計測される。このようなサーモサイクラーの一例が、Roche Diagnostics LightCycler(Cat.No.20110468)である。増幅産物は、例えば、蛍光ラベルが付与されたハイブリダイゼーションプローブ(これは、標的核酸に結合した場合にのみ蛍光信号を放出する)を利用するか、或いは、特定のケースにおいては、二本鎖DNAに結合する蛍光染料を利用して検出される。
一般的なPCR曲線の場合には、PCR増幅プロセスの特性を理解するのに、通常、エルボー値又はサイクル閾値(Ct)と呼ばれる転移点を同定することが非常に有用である。Ct値は、PCRプロセスの効率の尺度として使用可能である。例えば、通常、解析対象のすべての反応について、定義されている信号の閾値を決定し、標的核酸、並びに標準又はハウスキーピング遺伝子などの参照核酸について、この閾値に到達するのに要するサイクル数(Ct)を決定する。標的核酸及び参照核酸について得られたCt値に基づいて、標的分子の絶対的又は相対的なコピー数を決定可能である(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。図1のエルボー値20は、サイクル数が30の領域内に位置することになろう。
いくつかの既存の方法を使用することにより、PCR曲線内の更に正確なエルボー値を決定可能である。例えば、様々な最新の方法においては、AFL(Arbitrary Fluorescence Value)と呼ばれる既定のレベルに蛍光強度が到達する値として実際のエルボー値を決定している。その他の最新の方法においては、蛍光強度対サイクル数の2次導関数が最大値に到達するサイクル数を使用することができよう。しかしながら、これらの方法は、いずれも深刻な欠点を具備している。例えば、いくつかの方法は、異常値(ノイジー)データの影響を非常に受け易く、且つ、ALF値法は、ベースラインが高いデータセットの場合には、良好に機能しない。又、これらのアルゴリズムは、通常、多数の(例えば、50個以上)のパラメータを具備しており、これらのパラメータは、明確に定義されておらず、線形依存性を有しており、且つ、多くの場合に、最適化が非常に困難である(そうでない場合には、不可能である)。
国際特許第97/46707号(WO 97/46707)明細書 国際特許第97/46712号(WO 97/46712)明細書 国際特許第97/46714号(WO 97/46714)明細書 Gibson他、Genome Research、第6巻、995〜1001頁 Bieche他、Cancer Research、第59巻、2759〜2765頁、1999年
従って、これら及びその他の欠点を克服するシグモイドタイプの曲線(並びに、特にPCR曲線)などの曲線内のエルボー値を決定するための新しいシステム及び方法を提供することが望ましい。
本発明は、シグモイド又は成長タイプの曲線内のエルボー値などの特徴を示す転移値を決定するための新しい効率的な方法を提供する。ある実行においては、本発明の方法は、PCR増幅曲線内のサイクル閾値(Ct)を決定するのに特に有用である。
本発明の第1の観点によれば、曲線の領域内の特定の対象点を決定するコンピュータにより実行される方法は、曲線を表すデータセットを受信する段階であって、このデータセットは、それぞれが座標値のペアを具備する複数のデータ点を含んでおり、二次元の座標系において観察された場合に、データセットは、対象領域を具備している、段階と;対象領域を含むデータセットの少なくとも一部分に対して第1回転変換を適用し、変換済みのデータセットを生成する段階と;最小座標値又は最大座標値の少なくとも1つを具備する変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階と;同定されたデータ点に対して第1変換とは逆の第2回転変換を適用する段階と;これに続いて、同定されたデータ点の少なくとも1つの座標値を再決定する段階であって、同定されたデータ点の再決定された座標値は、曲線内の特定の対象点を表している、段階と;を含んで成る。
本発明の更なる観点においては、複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)曲線のサイクル閾値(Ct)を決定するコンピューターにより実行される方法は、複数のデータセットを受信する段階であって、それぞれのデータセットは、PCR曲線を表しており、それぞれのデータセットは、それぞれが座標値のペアを具備する複数のデータ点を含み、それぞれのデータセットは、Ct値を含む対象領域内のデータ点を含んでいる、段階と;それぞれのデータセットごとに、Levenberg−Marquardt(LM)回帰プロセスをデータセット及びダブルシグモイド関数に適用して曲線の近似を算出することにより、関数のパラメータを決定する段階と;決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成する段階と;対象領域を含む変更済みのデータセットの少なくとも一部分に対して第1回転変換を適用し、変換済みのデータセットを生成する段階と;最小座標値又は最大座標値の少なくとも1つを具備する変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階と;同定されたデータ点に対して第1変換とは逆の第2回転変換を適用する段階と;同定されたデータ点の少なくとも1つの座標値を再決定する段階であって、同定されたデータ点の再決定された座標値は、PCR曲線のCt値を表している、段階と;を含んで成る。
本発明の別の観点によれば、動的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅曲線内のサイクル閾値(Ct)を決定するべくプロセッサを制御するコードを含むコンピュータ可読媒体のコードは、動的なPCR増幅曲線を表すデータセットを受信する段階であって、前記データセットは、それぞれが座標値のペアを具備する複数のデータ点を含み、前記データセットは、Ct値を含む対象領域内のデータ点を含んでいる、段階と;対象領域を含むデータセットの少なくとも一部分に対して第1回転変換を適用し、変換済みのデータセットを生成する段階と;最小座標値又は最大座標値の少なくとも1つを具備する変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階と;同定されたデータ点に対して第1変換とは逆の第2回転変換を適用する段階と;これに続いて、同定されたデータ点の少なくとも1つの座標値を再決定する段階であって、同定されたデータ点の再決定された座標値は、PCR曲線のCt値を表している、段階と;を実行する命令を含んでいる。
本発明の第4の観点によれば、動的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)システムは、動的なPCR増幅曲線を表すPCRデータセットを生成する動的なPCR解析モジュールであって、前記データセットが、それぞれ座標値のペアを具備する複数のデータ点を含み、前記データセットが、サイクル閾値(Ct)を含む対象領域内のデータ点を含んでいる、モジュールと;対象領域を含むデータセットの少なくとも一部分に対して第1回転変換を適用し、変換済みのデータセットを生成する段階と、最小座標値又は最大座標値の少なくとも1つを具備する変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階と、同定されたデータ点に対して第1変換とは逆の第2回転変換を適用する段階と、これに続いて、同定されたデータ点の少なくとも1つの座標値を再決定する段階であって、同定されたデータ点の再決定された座標値が、PCR曲線のCt値を表している、段階と、により、PCRデータセットを処理してCt値を決定するべく適合されたインテリジェントモジュールと;を含んで成る。
本発明によれば、PCR増幅曲線のデータセット内のエルボー又はCt値を決定する方法が提供される。このPCRデータセットは、蛍光強度対サイクル数の二次元プロットとして視覚化可能である。Ct値を表すデータ点が強度軸に沿った最小値又は最大値となるように、データセットに対して回転変換を適用することにより、原点などの定義された座標を中心としてデータを回転させる。PCR曲線のエルボー又はCt値を表すデータ点を同定する。次いで、このデータ点を逆回転させることにより、データ点のサイクル数を戻すことができる(又は、表示可能である)。
本発明によれば、回転変換処理の前に、ダブルシグモイド式によって決定される線形成長部分を減算することにより、ゼロのスロープなどの事前に定義されたスロープを具備するよう所定のデータセットを調節することができる。ダブルシグモイド式は、曲線を表しており、Levenberg−Marquardt(LM)回帰プロセスやその他の回帰プロセスを使用して、この式のパラメータを決定する。ある態様においては、データセットを変換処理する前に、異常値又はスパイク点を除去又は置換する。前述と同一の又は異なる回帰プロセスを使用することにより、スパイク点を同定して除去又は置換可能である。
本発明のある態様によれば、曲線の一領域内の特定の対象点を決定するコンピューターにより実行される方法が提供される。この方法は、通常、曲線を表すデータセットを受信する段階を含み、当該データセットは、それぞれが座標値のペアを具備する複数のデータ点を含んでおり、二次元座標系において観察された場合に、当該データセットは、対象領域を具備している。特定の態様においては、このコンピューターにより実行される方法は、Levenberg−Marquardt(LM)回帰プロセスをデータセット及びダブルシグモイド関数に適用して曲線の近似を算出することにより、関数のパラメータを決定する段階と、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成する段階と、を更に含んで成ることが可能である。又、本方法は、通常、対象領域を含むデータセット、変更した特定の態様のデータセットの少なくとも一部分に対して第1回転変換を適用して変換済みのデータセットを生成する段階と、最小座標値又は最大座標値の少なくとも1つを具備する変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階と、同定されたデータ点に対して第1変換とは逆の第2回転変換を適用する段階と、これに続いて、同定されたデータ点の少なくとも1つの座標値を再決定する段階であって、同定されたデータ点の再決定された座標値は、曲線内の特定の対象点を表している、段階と、をも含んでいる。
ある態様においては、曲線の一領域内の特定の対象点を決定する方法は、Levenberg−Marquardt(LM)回帰プロセスをデータセット及びダブルシグモイド関数に適用して曲線の近似を算出することにより、関数のパラメータを決定する段階と、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成する段階と、を含んでおり、ダブルシグモイド関数は:
Figure 0004354961
という形態を有しており、曲線の近似を算出する段階は、関数のパラメータ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)の中の1つ又は複数のものを反復的に決定する段階を含んでいる。ある態様においては、少なくとも、パラメータ(a)及び(b)が決定されており、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成する段階は、データセットから線形成長部分a+bxを減算する段階を含んでいる。別のある態様によれば、少なくとも、パラメータ(a)及び(b)が決定されており、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成する段階は、データセットから線形成長部分a+bxを減算する段階と、この結果をパラメータaによって除算する段階と、を含んでいる。
ある態様においては、曲線は、動的なポリメラーゼ連鎖反応プロセス、細菌プロセス、酵素プロセス、又は結合プロセスの曲線を表しており、シグモイド曲線又は成長曲線のいずれかである。ある態様においては、曲線は、動的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロセスの増幅曲線であり、特定の対象点は、動的なPCR曲線のエルボー値又はサイクル閾値(Ct)を表している。同定されたデータ点の既定の座標の1つ又は両方が戻される(又は、表示される)。特定の観点においては、変更する段階は、曲線の線形成長部分を減算する段階を含んでいる。ある態様においては、座標値のペアは、増幅されたポリヌクレオチドの蓄積とサイクル数を表しており、増幅されたポリヌクレオチドの蓄積は、蛍光強度値、ルミネッセンス強度値、ケミルミネッセンス強度値、バイオルミネッセンス強度値、燐光強度値、電荷移動値、又は吸光度値の中の1つによって表される。別の態様においては、本方法は、少なくとも対象領域内のデータ点を使用して更なるデータ点を補間する段階を更に含んでおり、補間は、第1回転変換を適用する前又は後において実行され、補間を実行することにより、座標の1つに沿った座標インターバルごとに約1.0以下の増分スケールにおいてデータ点を生成する。好ましい態様においては、第1回転変換は、選択された座標値を中心として角度θ時計回り又は反時計回りにデータセットの前述の部分の座標値を回転させ、第2回転変換は、選択された座標値を中心として角度−θ最初のデータ点の座標値を回転させている。この態様は、角度θを最適化する段階を更に含むことが可能であり、この場合に、1つ又は複数のタイター値における複数の角度のサイクル閾値(Ct)の変動係数が最小化される角度θを決定している。更には、本方法は、同定されたデータ点の再決定された座標値を出力として提供する段階と、同定されたデータ点の再決定された座標値の1つ又は両方及び/又は最初のデータセットをディスプレイ装置上の二次元座標系内に表示する段階と、を更に含んで成ることが可能である。
本発明の別の態様においては、最小座標値又は最大座標値の少なくとも1つを具備する変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階は、変換済みのデータセット内のデータ点の座標値をソートし、少なくとも1つの最小座標値又は最大座標値を具備するデータ点を決定する段階を含むことができる。この結果、同定する段階は、変換済みのデータセットの導関数を取得する段階を含むことができる。
本発明の別の態様によれば、複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)曲線のサイクル閾値(Ct)を決定するコンピューターにより実行される方法が提供される。本方法は、通常、複数のデータセットを受信する段階を含んでおり、それぞれのデータセットは、PCR曲線を表し、それぞれのデータセットは、それぞれが座標値のペアを具備する複数のデータ点を含んでおり、それぞれのデータセットは、Ct値を含む対象領域内のデータ点を含んでいる。ある態様においては、このコンピューターにより実行される方法は、Levenberg−Marquardt(LM)回帰プロセスをデータセット及びダブルシグモイド関数に適用して曲線の近似を算出することにより、関数のパラメータを決定する段階と、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成する段階と、を更に含んで成ることができる。又、本方法は、通常、対象領域を含む変更済みのデータセットの少なくとも一部分に対して第1回転変換を適用し、変換済みのデータセットを生成する段階と、最小座標値又は最大座標値の少なくとも1つを具備する変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階と、同定されたデータ点に対して第1変換とは逆の第2回転変換を適用する段階と、これに続いて、同定されたデータ点の少なくとも1つの座標値を再決定する段階であって、同定されたデータ点の再決定された座標値は、PCR曲線のCt値を表している、段階と、をも含んでいる。
ある態様においては、複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)曲線のサイクル閾値(Ct)を決定する方法は:
Figure 0004354961
という形態のダブルシグモイド関数を有しており、曲線の近似を算出する段階は、関数のパラメータ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)の中の1つ又は複数のものを反復的に決定する段階を含んでいる。ある態様においては、少なくともパラメータ(a)及び(b)が決定されており、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成する段階は、データセットから線形成長部分a+bxを減算する段階を含んでいる。別のある態様においては、少なくともパラメータ(a)及び(b)が決定されており、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットをを生成する段階は、データセットから線形成長部分a+bxを減算する段階と、この結果をパラメータaによって除算する段階と、を含んでいる。
ある観点においては、決定されたパラメータを使用して曲線を変更する段階は、曲線の線形成長部分を減算する段階を含んでいる。特定の態様においては、座標値のペアは、増幅されたポリヌクレオチドの蓄積とサイクル数を表しており、増幅されたポリヌクレオチドの蓄積は、蛍光強度値、ルミネッセンス強度値、ケミルミネッセンス強度値、バイオルミネッセンス強度値、燐光強度値、電荷移動値、又は吸光度値の中の1つによって表される。別の態様においては、本方法は、少なくとも対象領域内のデータ点を使用して更なるデータ点を補間する段階を更に含んでおり、補間は、第1回転変換を適用する前又は後において実行され、補間を実行することにより、前述の座標の1つに沿った座標インターバルごとに約1.0以下の増分スケールにおいてデータ点を生成する。好ましい態様においては、第1回転変換は、選択された座標値を中心として角度θ時計回り又は反時計回りにデータセットの前述の部分の座標値を回転させ、第2回転変換は、選択された座標値を中心として角度−θ最初のデータ点の座標値を回転させている。この態様は、前述の角度θを最適化する段階をも含むことが可能であり、この場合に、1つ又は複数のタイター値における複数の角度のサイクル閾値(Ct)の変動係数が最小化される角度θを決定している。更には、本方法は、同定されたデータ点の再決定された座標値を出力として提供する段階と、同定されたデータ点の再決定された座標値の1つ又は両方及び/又は最初のデータセットをディスプレイ装置上の二次元座標系内に表示する段階と、を更に含んで成ることができる。特定の態様においては、それぞれの受信されたデータセットは、事前処理が施されており、オリジナルのデータセット内に存在していたであろうスパイク点が既に除去されている。
本発明の例示的な態様においては、本方法は、限定しないが、データセットを入力するための入力装置、例えばキーボード、マウス、及びこれらに類似したものなど、曲線の領域内の特定の対象点を表すためのディスプレイ装置、例えばモニタなど、本方法のそれぞれの段階を実行するのに必要な処理装置、例えばCPUなど、ネットワークインターフェイス、例えばモデムなど、並びに、データセット、プロセッサ上において稼働するコンピュータコード、及びこれらに類似したものを保存するためのデータストレージ装置を含む従来のパーソナルコンピュータシステムを使用して実行可能である。又、本方法は、PCR装置内で実行することも可能である。
本発明の更に別の態様によれば、動的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅曲線内のサイクル閾値(Ct)を決定するべくプロセッサを制御するコードを含むコンピュータ可読媒体が提供される。このコードは、通常、動的なPCR増幅曲線を表すデータセットを受信するための命令を含んでおり、データセットは、それぞれが座標値のペアを具備する複数のデータ点を含み、データセットは、Ct値を含む対象領域内のデータ点を含んでいる。特定の態様においては、コードは、Levenberg−Marquardt(LM)回帰プロセスをデータセット及びダブルシグモイド関数に適用して曲線の近似を算出することにより、関数のパラメータを決定し、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成するための命令を更に含んで成ることができる。又、本コードは、通常、対象領域を含む変更済みのデータセットの少なくとも一部分に第1回転変換を適用して変換済みのデータセットを生成し、最小座標値又は最大座標値の少なくとも1つを具備する変換済みのデータセット内のデータ点を同定し、同定されたデータ点に対して第1変換とは逆の第2回転変換を適用し、これに続いて、同定されたデータ点の少なくとも1つの座標値を再決定するための命令をも含んでおり、この場合に、同定されたデータ点の再決定された座標値は、PCR曲線のCt値を表している。この結果、座標値のペアは、増幅されたポリヌクレオチドの蓄積とサイクル数を表すことが可能であり、増幅されたポリヌクレオチドの蓄積は、蛍光強度値、ルミネッセンス強度値、ケミルミネッセンス強度値、バイオルミネッセンス強度値、燐光強度値、電荷移動値、又は吸光度値の中の1つによって表現可能である。
別の態様においては、コンピュータ可読媒体は、コードを含んでおり、この場合に、ダブルシグモイド関数:
Figure 0004354961
という形態を有し、曲線の近似を算出する段階は、関数のパラメータ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)の中の1つ又は複数のものを反復的に決定する段階を含んでいる。ある態様においては、コードは、少なくとも、パラメータ(a)及び(b)を決定し、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し変更済みのデータセットを生成するための命令を含んでおり、これは、データセットから線形成長部分a+bxを減算する段階を含んでいる。更に別の態様においては、コードは、少なくとも、パラメータ(a)及び(b)を決定し、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し変更済みのデータセットを生成するための命令を含んでおり、これは、データセットから線形成長部分a+bxを減算する段階と、この結果をパラメータaによって除算する段階と、を含んでいる。
更なる態様においては、本コードは、少なくとも対象領域内のデータ点を使用して更なるデータ点を補間するための命令を更に含むことが可能であり、この補間は、第1回転変換が適用される前又は後において実行される。更には、本コードは、第1回転変換を適用し、選択された座標値を中心として角度θ時計回り又は反時計回りにデータセットの前述の部分の座標値を回転させるための命令を含むことが可能であり、第2回転変換を適用するための命令は、選択された座標値を中心として角度−θ最初のデータ点の座標値を回転させるための命令を含んでいる。
ある態様においては、本コードは、同定されたデータ点の再決定された座標値を出力として提供するための命令を更に含んでいる。更には、本コードは、受信したデータセットを処理して受信したデータセット内に存在し得る任意のスパイク点を除去するための命令を更に含むことも可能であり、変更するための命令は、データセットから線形成長部分を減算するための命令を含むことができる。
本発明の別の態様によれば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)システムが提供される。このPCRシステムは、通常、動的なPCR増幅曲線を表すPCRデータセットを生成する動的なPCR解析モジュールを含んでおり、データセットは、それぞれが座標値のペアを具備する複数のデータ点を含み、データセットは、サイクル閾値(Ct)を含む対象領域内のデータ点を含んでいる。又、本システムは、対象領域を含む変更済みのデータセットの少なくとも一部分に対して第1回転変換を適用して変換済みのデータセットを生成し、最小座標値又は最大座標値の少なくとも1つを具備する変換済みのデータセット内のデータ点を同定し、同定されたデータ点に対して第1変換とは逆の第2回転変換を適用し、これに続いて、同定されたデータ点の少なくとも1つの座標値を再決定することにより、PCRデータセットを処理してCt値を決定するべく適合されたインテリジェントモジュールをも含んでおり、この場合に、同定されたデータ点の再決定された座標値は、PCR曲線のCt値を表している。又、ある態様においては、インテリジェントモジュールは、Levenberg−Marquardt(LM)回帰プロセスをデータセット及びダブルシグモイド関数に適用して曲線の近似を算出することにより、関数のパラメータを決定し、決定されたパラメータを使用し変更済みのデータセットを生成することにより、PCRデータセットを処理してCt値を決定するべく更に適合されている。
ある態様においては、本システムのインテリジェントモジュールは:
Figure 0004354961
という形態のダブルシグモイド関数を有しており、この場合に、曲線の近似を算出する段階は、関数のパラメータ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)の中の1つ又は複数のものを反復的に決定する段階を含んでいる。ある態様においては、少なくともパラメータ(a)及び(b)が決定されており、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成する段階は、データセットから線形成長部分a+bxを減算する段階を含んでいる。別のある態様においては、少なくともパラメータ(a)及び(b)が決定されており、決定されたパラメータを使用して曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成する段階は、データセットから線形成長部分a+bxを減算する段階と、この結果をパラメータaによって除算する段階と、を含んでいる。
更に別の態様においては、インテリジェントモジュールは、PCRデータセット内に存在するスパイク点を除去するべく更に適合可能である。又、本システムのある態様においては、第1回転変換は、選択された座標値を中心として角度θ時計回り又は反時計回りにデータセットの前述の部分の座標値を回転させ、第2回転変換は、選択された座標値を中心として角度−θ最初のデータ点の座標値を回転させている。
本発明によるシステムにおいては、動的なPCR解析モジュールは、動的なサーモサイクラー装置内に配置可能であり、インテリジェントモジュールは、解析モジュールに通信可能に結合されたプロセッサを含むことができる。プロセッサを含むこのようなインテリジェントモジュールは、ネットワーク接続又は直接接続のいずれかを介して解析モジュールに接続されたコンピュータシステム内に配置可能である。
添付の図面及び請求項を含む本明細書の残りの部分を参照することにより、本発明のその他の特徴と利点について理解することができよう。以下、添付の図面を参照し、本発明の更なる特徴及び利点、並びに、本発明の様々な態様の構造及び動作について詳細に説明する。尚、添付の図面においては、類似の参照符号により、同一又は機能的に類似した要素を示している。
PCRプロセスの観点における増幅曲線10の一例が図1に示されている。図示のように、曲線10は、ラグフェーズ領域15と、指数フェーズ領域25と、を含んでいる。ラグフェーズ領域15は、一般に、ベースライン又はベースライン領域と呼ばれている。このような曲線10は、ラグフェーズ領域と指数フェーズ領域をリンクする注目の転移領域20を含んでいる。領域20は、一般に、エルボー又はエルボー領域と呼ばれている。エルボー領域は、通常、ベースラインの末尾と、その基礎となっているプロセスの成長又は増幅レートにおける転移と、を定義している。領域20内の特定の転移点を同定すれば、基礎となっているプロセスの動作を解析するのに有用であろう。一般的なPCR曲線の場合には、エルボー値又はサイクル閾値(Ct)と呼ばれる転移点を同定すれば、PCRプロセスの効率特性を理解するのに非常に有用である。類似したシグモイド又は成長曲線を提供可能なその他のプロセスには、細菌プロセス、酵素プロセス、及び結合プロセスが含まれる。例えば、細菌成長曲線の場合には、対象となる転移点は、ラグフェーズにおける時点(the time in lag phase)θと呼ばれている。従って、本明細書の残りの部分は、PCR曲線に対するその適用の観点において、本発明について説明しているが、本発明は、これらのその他のプロセスに関係するデータ曲線に対しても適用可能であることを理解されたい。
図1に示されているように、一般的なPCR成長曲線のデータは、例えば、x軸を定義しているPCRサイクル数と、y軸を定義している蓄積されたポリヌクレオチド成長のインジケータと、を有する二次元座標系において表現可能である。蛍光マーカーを使用するのが、恐らくは、最も広範に使用されているラベリング方式であることから、通常は、図1に示されているように、蓄積された成長のインジケータは蛍光強度値である。但し、使用する特定のラベリング及び/又は検出方式に応じて、その他のインジケータを使用することも可能であることを理解されたい。蓄積された信号成長のその他の有用なインジケータの例には、ルミネッセンス強度、ケミルミネッセンス強度、バイオルミネッセンス強度、燐光強度、電荷移動、電圧、電流、電力、エネルギー、温度、粘土、光散乱、放射強度、反射率、透過率、及び吸光度が含まれる。又、サイクルの定義には、時間、プロセスサイクル、単位動作サイクル、及び再生サイクルを含めることも可能である。
本発明によれば、動的なPCR増幅曲線のエルボー値やCt値などのシングルシグモイド曲線内の転移値を決定するプロセスのある態様は、次のように簡潔に説明可能である。第1動作において、増幅曲線(例えば、図1の蛍光強度曲線)を表す実験データセットを取得する。回転後のデータセットがエルボー領域内において最小値を形成するように、データセットを角度θ回転させる。一例として、図2は、原点座標を中心として時計回りに25度回転させた結果、図1から得られたデータを示している。図3は、図1と図2を重ね合わせたものを示している。このように増幅曲線を回転させることにより、エルボーのサーチは、回転後の曲線内の最小値の場所を同定するという格段に単純なタスクになることが、図2及び図3から明らかである。関係するパラメータが曲線内の最小値であるため、エルボーよりも先行する領域内のデータ雑音は、ほとんど影響を及ぼさない。
後続の動作において、少なくとも最小値を表す変換済みのデータセット内のデータ点を角度−θ逆回転させ、結果的に得れるエルボー又はCt値を表す座標値(蛍光強度とサイクル数)の1つ又は両方を出力する(又は、表示する)。その他の態様においては、後程詳述するように、実験データ点間において更なるデータ点を補間することにより、端数のエルボー値を提供可能である。このような補間は、第1回転変換動作の前又は後において実行可能である。
データセットは、回転後のデータセットがエルボー領域内の最小値又は最大値を形成するように、まず、時計回り又は反時計回りに回転可能であることを理解されたい。次いで、回転後のデータセット内の1つ又は複数のデータ点を、後続の(逆の)回転変換により、例えば、時計回り又は反時計回りに、逆の角度回転させることにより、オリジナルのデータセットの配置に戻すことができる。一般に、この逆変換は、1つ又は複数のデータ点をオリジナルの視覚的な配置に戻す任意の方式によって実行可能である。又、回転変換においては、任意のライン又はデータ点を中心としてデータセットを回転可能であるが、原点座標を中心とした回転が好ましい。
図19は、本発明に従って処理された増幅曲線のデータセットの一例を示している。図19cは、(1)図19aに視覚的に示されている増幅曲線のデータセット値(サイクル数と蛍光強度)と、(2)図19bに視覚的に示されている22度の回転変換が適用された場合の変換済みのサイクル数及び蛍光強度の値と、を含む表である。図示のように、22度回転された後の回転後の曲線(図19b)内の最小値の座標は、(20.18,−5.852)である。これらの座標を22度逆回転させて戻すと、エルボー又はCt値の座標が(20.90,2.13)であると決定される。決定されたCt値は、20.90サイクルである。
ある態様においては、取得したデータセットを処理してベースラインスロープを除去又は変更し変更済みのデータセットを提供し、次いで、これを前述のように回転させる。特定のデータセットを処理するためには、ベースラインのスロープを除去することが有利であろう。例えば、複数のPCR成長曲線のベースラインのスロープが非常に異なる値を取っている状況においては、単一の回転角度が、すべての曲線にとって適当なものにならない可能性がある。多数のPCRデータ曲線を示している図4を参照すれば、単一の回転角度がすべての曲線を満足することにはならないことが明らかである。これらのデータセットに対して本発明の回転変換プロセスを使用するには、データセットによって表されている曲線のすべてが共通のベースラインスロープを具備していることが有利である。ゼロのスロープが最も有利であろう。従って、本発明のある態様によれば、データセットのベースラインを決定し変更又は除去するプロセスが提供される。この態様によれば、Levenberg−Marquardt回帰プロセスなどの回帰プロセスを使用し、一般的なPCR又は成長曲線を定義するダブルシグモイド式のパラメータを決定している。ダブルシグモイド式は、すべての曲線を、例えば、ゼロのスロープなどの事前に定義されたスロープに整列させることが可能なメカニズムを提供する。この式のパラメータの決定が完了した後に、ダブルシグモイド式から線形成長部分を減算してデータセットを調節することにより、ゼロのスロープを得ることができる。
ある態様においては、回転変換処理の前に、データセット内の異常値又はスパイク点を除去又は置換している。図5は、PCR又はその他の成長曲線を表すデータセット内のスパイク点を同定及び置換するプロセスフローを示している。Levenberg−Marquardt回帰アルゴリズムを使用して決定されたパラメータを有するダブルシグモイド関数を使用して曲線の近似を見出し、次いで、Z検定などの統計的検定を使用して近似と良好にフィッティングしないデータセット内のデータ点を同定することにより、スパイクを同定する。同定された1つ又は複数のスパイクを、データセットから除去すると共に/又は、1つ又は複数の同定されたスパイクの周囲のデータ点を使用して決定された補間済みのデータ点によって置換する。ある態様においては、キュービックスプライン補間プロセスなどのスプライン補間プロセスを使用することにより、同定されたスパイク点が除去されたデータセットの近似を見出している。次いで、キュービックスプライン補間近似曲線を使用して、スパイク点を置換するための補間済みの値を算出する。尚、この態様に従ってスパイク点を決定し除去又は置換するプロセスの更に詳しい説明については、米国特許出願第11/316,315号明細書を参照されたい。
(LM回帰プロセス)
図5の段階502〜524は、フィット関数のパラメータを決定するプロセスフローを示している。これらのパラメータを使用することにより、本発明のある態様に従ってPCR曲線などのシグモイド又は成長タイプの曲線を表すデータセットのベースラインスロープを変更又は除去可能である。データセットが既に処理されており、スパイク点が除去又は置換された変更済みのデータベースの生成が完了している場合には、スパイクを有していない変更済みのデータセットを段階502〜524に従って処理することにより、フィット関数のパラメータを同定可能である。
図示のある態様においては、Levenberg−Marquardt(LM)法を使用し、データセットの安定した曲線近似を算出している。LM法は、非線形回帰プロセスであり、これは、非線形関数とデータセット間の距離を最小化する反復的な技法である。このプロセスは、最急降下プロセスとGauss−Newtonプロセスを組み合わせたもののように動作する(現在の近似が良好にフィットしていない場合には、最急降下プロセスのように動作し(低速であるが、信頼性の高い収束)、現在の近似が正確性を増すに伴って、Gauss−Newtonプロセスのように動作することになる(高速であるが、信頼性の低い収束))。LM回帰法は、非線形の回帰問題を解決するために広く使用されている。
一般に、LM回帰法は、様々な入力を必要とし、且つ、出力を提供するアルゴリズムを含んでいる。ある態様においては、入力は、処理対象のデータセット、データのフィッティングに使用する関数、及び関数のパラメータ又は変数の初期推定値を含んでいる。出力は、関数とデータセット間の距離を最小化する関数のパラメータの組を含んでいる。
ある態様によれば、フィット関数は、次のような形態のダブルシグモイドである:
Figure 0004354961
この式は、一般的なPCR曲線及びその他の成長曲線が取り得る様々な曲線形態にフィットするその柔軟性及び能力に基づいて、フィット関数として選択されたものである。当業者であれば、必要に応じて、その他のフィット関数を使用可能であることを理解するであろう。
ダブルシグモイド式(1)は、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)という7つのパラメータを具備している。この式は、定数、スロープ、及びダブルシグモイドの合計に分解可能である。ダブルシグモイド自体は、2つのシグモイドの乗算である。図6は、ダブルシグモイド式(1)を分解したものを示している。パラメータ(d)、(e)、(f)、及び(g)が2つのシグモイドの形状を決定している。最終的な曲線に対するこれらの影響を示すために、次のシングルシグモイドを検討する:
Figure 0004354961
ここで、パラメータ(d)は、曲線の鋭さを決定しており、パラメータ(e)は、変曲点のx値を決定している。図7は、曲線に対するパラメータ(d)の影響と変曲点のx値の位置に対するパラメータ(e)の影響を示している。次の表1は、ダブルシグモイド曲線に対するパラメータの影響を説明している。
Figure 0004354961
ある態様においては、曲線が非現実的な形状になることを防止するべく、ダブルシグモイド式の「鋭さ」パラメータ(d)及び(f)を制約する必要がある。このため、ある態様においては、d<−1又はd>1.1或いは、f<−1又はf>1.1の反復を不成功であると見なしている。その他の側面においては、パラメータ(d)及び(f)に対して異なる制約を使用可能である。
Levenberg−Marquardtアルゴリズムは、反復的なアルゴリズムであるため、通常、フィッティングのために関数のパラメータの初期推定値が必要である。初期推定値が良好なものであるほど、近似も良好なものになり、アルゴリズムが局所的な最小値に収束する可能性が低くなる。ダブルシグモイド関数の複雑性とPCR曲線又はその他の成長曲線の様々な形状に起因し、すべてのパラメータに1つの初期推定値を付与する方法は、アルゴリズムが頻繁に局所的な最小値に収束することを防止するのに十分ではないであろう。従って、ある態様においては、多数の(例えば、3つ以上)初期パラメータの組を入力し、最良の結果を保持している。ある態様においては、使用する多数のパラメータの組にわたって大部分のパラメータを一定に維持しており、多数のパラメータの組のそれぞれについて異なることができるのは、パラメータ(c)、(d)、及び(f)のみである。図8は、異なるパラメータの組の3つの曲線形状の例を示している。これらの3つのパラメータの組の選択は、PCRデータを表す曲線の3つの可能な異なる形状を示している。尚、3つを上回る数のパラメータの組を処理して最良の結果を保持することも可能であることを理解されたい。
図5に示されているように、段階510において、LM法の初期入力パラメータが同定されている。これらのパラメータは、操作者が入力するか、或いは、算出することも可能である。態様によっては、パラメータは、後述するように、段階502、504、及び506に従って決定又は設定される。
初期パラメータaの算出:パラメータaは、ベースラインの高さであり、この値は、初期バラメータのすべての組について同一である。ある態様においては、段階504において、例えば、蛍光値などの3番目に小さなy軸値がデータセットからパラメータaに割り当てられる。この結果、安定した計算が得られる。当然のことながら、その他の態様においては、必要に応じて、最小のy軸値や2番目に小さな値などの任意のその他の蛍光値をパラメータaに割り当て可能である。
初期パラメータ(b)の算出:パラメータ(b)は、ベースラインとプラトーのスロープである。この値は、すべての初期パラメータの組について同一である。なんらのスロープも存在しないことが理想的であるため、ある態様においては、段階502において、0.01の静的な値が(b)に割り当てられる。その他の態様においては、パラメータ(b)には、例えば、0〜約0.5の範囲の値などの異なる値を割り当て可能である。
初期パラメータ(c)の算出:パラメータ(c)は、曲線の絶対強度を表しており、PCRデータの場合には、パラメータ(c)は、通常、曲線のAFIを表している。AFIを算出するには、プラトーの高さが重要である。これを安定した方法で算出するべく、ある態様においては、段階504において、例えば、蛍光値などの3番目に大きなy軸値がプラトーの高さとして割り当てられる。この結果、AFI=「プラトーの高さ」−「ベースラインの高さ」=3番目に大きな蛍光値−(a)である。その他の態様においては、必要に応じて、最大のy軸値や次に大きなものなどのその他の蛍光値をパラメータ(c)に割り当て可能である。
図8に示されているように、最後の2つのパラメータの組の場合には、c=AFIである。最初のパラメータの組の場合には、c=AFI+2である。この変化は、最初のパラメータの組によってモデル化されている曲線の形状に起因しており、この曲線形状は、プラトーを具備していない。
パラメータ(d)及び(f)の算出:パラメータ(d)及び(f)は、2つのシグモイドの鋭さを定義している。曲線に基づいてこれらのパラメータの近似を付与する方法は存在しないため、ある態様においては、段階502において、3つの静的な代表値を使用している。その他の静的な又は非静的な値をパラメータ(d)及び/又は(f)に使用することも可能であることを理解されたい。これらのペアは、遭遇するPCR曲線の最も共通的な形状をモデル化している。次の表2は、図8に示されている異なるパラメータの組の(d)及び(f)の値を示している。
Figure 0004354961
パラメータ(e)及び(g)の算出:段階506において、パラメータ(e)及び(g)を決定する。パラメータ(e)及び(g)は、2つのシグモイドの変曲点を定義している。ある態様においては、これらは、いずれも、すべての初期パラメータの組において同一の値を取っている。パラメータ(e)及び(g)は、同一の又は異なる値を具備可能である。近似を見出すべく、ある態様においては、例えば、蛍光などの強度の平均値を上回る最初の点のx値を使用している(これは、スパイクではない)。この態様に従って(e)及び(g)の値を決定するプロセスが図9に示されており、これについては後述する。尚、この態様に従ってパラメータ(e)及び(g)並びにその他のものの値を決定するプロセスの更に詳細な説明については、米国特許出願第11/316、315号明細書を参照されたい。
図9を参照すれば、まず、曲線(例えば、蛍光強度)の平均値を決定する。次に、平均値を上回る最初のデータ点を同定する。次いで、(a)その点が、例えば、曲線の最初の5つのサイクル内において、開始点の近傍に位置していないかどうか、(b)その点が、例えば、曲線の最後の5つのサイクル内において、終了点の近傍に位置していないかどうか、及び(c)その点の周辺の導関数が符号の変化を示していないかどうか(示している場合には、その点は、スパイクである可能性が高く、従って、拒絶する必要ある)、を決定する。
次の表3は、ある態様による図8に使用されている初期パラメータの例を示している。
Figure 0004354961
図5を再度参照すれば、段階510においてすべてのパラメータの設定が完了したら、入力されたデータセット、関数、及びパラメータを使用して、LMプロセス520を実行する。伝統的に、Levenberg−Marquardt法は、非線形の最小二乗問題を解決するべく使用されている。伝統的なLM法においては、曲線の近似とデータセット間の誤差の二乗の合計として定義された距離の尺度を算出している。しかしながら、二乗の合計を最小化する場合には、異常値の距離が非スパイクデータ点の距離よりも大きいため、異常値に対して大きな重みが付与され、この結果、しばしば、不適切な曲線又は望ましくない曲線が得られることになる。従って、本発明のある態様によれば、絶対誤差の合計を極小化することにより、近似とデータセット間の距離を演算している(この場合には、異常値に対して、それほど大きな重みが付与されない)。この態様においては、近似とデータ間の距離は、次式によって付与される:
Figure 0004354961
前述のように、ある態様においては、段階522及び524に示されているように、多数(例えば、3つの)の初期パラメータの組のそれぞれを入力及び処理し、最良の結果を保持しており、この場合に、最良の結果とは、最も小さい又は最小の距離を提供する式(1)のパラメータである。ある態様においては、多数のパラメータの組にわたってパラメータの大部分を一定に保持しており、パラメータのそれぞれの組について異なってよいのは、(c)、(d)、及び(f)のみである。尚、任意の数の初期パラメータの組を使用可能であることを理解されたい。
図10は、本発明によるパラメータの組のLMプロセス520のプロセスフローを示している。前述のように、Levenberg−Marquardt法は、最急降下プロセス又はGauss−Newtonプロセスのように動作可能である。この動作は、減衰係数λによって左右される。λが大きいほど、Levenberg−Marquardtアルゴリズムは、最急降下プロセスのように動作することになる。一方、λが小さい場合には、Levenberg−Marquardtアルゴリズムは、Gauss−Newtonプロセスのように動作することになる。ある態様においては、0.001においてλを開始している。尚、λは、約0.000001〜約1.0などのその他の値において開始することも可能であることを理解されたい。
前述のように、Levenberg−Marquardt法は反復的な技法である。図10に示されているように、ある態様によれば、それぞれの反復において次の内容を実行している。
(1)先行する近似のヘッセ行列(H)を算出する。
(2)先行する近似の転置ヤコビ行列(JT)を算出する
(3)先行する近似の距離ベクトル(d)を算出する。
(4)現在の減衰係数λ、ヘッセ行列の対角を拡大する:
Figure 0004354961
(5)拡大した式を解く:
Figure 0004354961
(6)拡大した式の解xを関数のパラメータに加算する。
(7)新しい近似と曲線間の距離を算出する。
(8)この新しいパラメータの組による距離が、以前のパラメータの組による距離を下回っている場合には、・その反復を成功であると見なし、・新しいパラメータの組を保持又は保存し、・例えば、係数10だけ減衰係数λを低減する。この新しいパラメータの組による距離が、以前のパラメータの組による距離を上回っている場合には、・その反復を不成功であると見なし、・新しいパラメータの組を破棄し、・例えば、係数10だけ、減衰係数ラムダを増大させる。
ある態様においては、図10のLMプロセスは、次の基準の中の1つが実現されるまで反復される。
(1)指定の反復回数Nだけ既に反復されている。この第1の基準により、アルゴリズムが無限に反復されることを防止している。例えば、図10に示されているある態様においては、既定の反復値Nは100である。収束が可能な場合には、100回の反復は、アルゴリズムが収束するのに十分なものであろう。一般に、Nは、10未満〜100超の範囲をとることができる。
(2)2つの成功した反復の間の距離の差が、閾値(例えば、0.0001)を下回っている。差が非常に小さくなっている場合には、既に望ましい精度が実現された状態にあり、解は、それ以上、大幅に良好なものにはならないため、反復を継続するのは無意味である。
(3)減衰係数λが、指定の値を上回っている(例えば、1020を上回っている)。λが非常に大きくなった場合には、アルゴリズムは、現在の解よりも良好には収束せず、従って、反復を継続するのは無意味である。一般に、指定値は、1020よりも十分に小さい又は大きいものであってもよい。
パラメータの決定が完了した後に、曲線の線形成長部分を減算してデータセットを調節することにより、ゼロのスロープを具備可能である。これは、数学的には、次のように表現される:
Figure 0004354961
ここで、dataNewとは、ベースラインのスロープの線形成長部分が除去されたデータセット(data)であり、a及びbは、LM式を使用して曲線を回帰させることによって決定されたパラメータ値であり、xは、サイクル数である。従って、x軸に沿ったすべてのデータ値について、定数(a)と、スロープ(b)にx値を乗算したものをデータから減算することにより、ゼロのスロープを有するデータ曲線を生成している。特定の態様においては、回転変換処理の前に、スパイク点をデータセットから除去している。
別の態様においては、次式に従ってデータセットを調節することにより、ゼロのスロープを具備可能である:
Figure 0004354961
当業者であれば、その他の式を使用することにより、Levenberg−Marquardt又はその他の回帰プロセスによって決定されたパラメータを使用してベースラインを変更することも可能であることを理解するであろう。
ある態様に従って動的なPCR曲線のエルボー値を決定するプロセスが図11に示されている。段階1105において、データセットを取得する。サーモサイクラーなどのPCRデータ取得装置内に配置されたインテリジェントモジュール(例えば、命令を実行するプロセッサ)内で決定プロセスが実行される場合には、データを収集した際に、データセットをリアルタイムでインテリジェントモジュールに提供可能であり、或いは、メモリユニット又はバッファ内に保存しておき、実験が完了した後に、モジュールに対して提供することも可能である。同様に、データセットは、取得装置に対するネットワーク接続(例えば、LAN、VPN、イントラネット、インターネットなど)又は直接接続(例えば、USBやその他の直接的な有線又は無線接続)を介して、デスクトップコンピュータシステムなどの別個のシステムに提供することも可能であり、或いは、CD、DVD、フロッピー(登録商標)ディスク、又はこれらに類似したものなどの携帯型の媒体上において提供することも可能であろう。
データセットを受信又は取得した後に、段階1108において、ベースラインのスロープを変更する。例えば、前述のLevenberg−Marquardtプロセスを使用して式中のダブル信号のパラメータを決定し、これらのパラメータを使用してベースラインのスロープを減算することにより、ベースラインをゼロのスロープに設定可能である。又、図5を参照して前述したように、段階1108の前に、スパイク点をデータセットから除去することも可能である。例えば、段階1105において取得されるデータセットは、事前にスパイクが除去されているデータセットであってもよい。段階1110において、データセットを角度θ回転させるべく、エルボーを含む変更済みのデータセットの少なくとも一部分に対して回転変換を適用する。段階1120において、回転後のデータセット内の最小位置座標を決定する。段階1130において、角度−θ反対方向に回転させることにより、この部分の逆回転変換を実行し、エルボーの最終的な座標を取得する。尚、段階1120において決定されている「最小」データ点以外に、その他のデータ点を段階1130において回転させることも可能であることを理解されたい。段階1140において、同定されたエルボー点の再決定された座標値の1つ又は両方を戻す(例えば、出力又は表示する)。以下の例が、このプロセスを示している。即ち、図2(回転後のデータセット)において、最小点は、座標(30.92,−11.79)に位置している。次いで、この点を−25度(反時計回りに)回転させることにより、最終的な(33.0,2.38)という座標を得ている。この結果、エルボーが、33.0(サイクル数)であるものと決定される。
ある好ましい態様においては、この変換のそれぞれの回転においては、原点(0,0)を中心としてデータ点を回転させているが、必要に応じて、任意の座標を中心としてデータを回転させることも可能である。又、段階110において、データセットを、まず、例えば、反時計回りに角度−(180°−θ)、或いは、時計回りに角度(180°+θ)だけなど、異なる方式で回転させることも可能である。この場合には、段階120における関連する決定は、「最大」値を決定することになる。従って、当業者であれば、その他の回転変換パラメータによってエルボー値を同定することも可能であることを理解するであろう。
別の態様に従って動的なPCRプロセスのエルボー値を決定するプロセスが図12に示されている。段階1205において、データセットを受信又は取得した後に、段階1210において、データセットを処理することにより、(1)ダブルシグモイド式にフィッティングすると共に、前述のLevenberg Marquardtプロセスに従って式のパラメータを決定し、且つ、(2)必要に応じて、ベースラインのスロープを変更する(例えば、スロープをゼロに設定する)。段階1210においては、キュービックスプライン関数などの別の関数をデータ点のすべて又は一部分に対してフィッティングすることも可能である。例えば、段階1205において取得されたデータセットが、既にLevenberg−Marquardtプロセスを使用してダブルシグモイド式にフィッティングされているか、既にそのベースラインが変更されているか、或いは、さもなければ、ダブルシグモイド式にフィッティングする必要がない場合には、スプライン関数などの別のフィット関数を使用可能である。これは、ソフトウェアアプリケーションMathematica(登録商標)やその他のアプリケーションを使用して実行可能である。任意選択である段階1220において、フィット関数(例えば、ダブルシグモイド関数、スプライン関数、又はその他のフィット関数)を使用することにより、1.0以下のサイクルインターバル(例えば、0.05又は0.01)において、既存のデータ点間においてデータ点を補間する。段階1230において、(補間された蛍光強度,サイクル数)からデータ点(x、y)の行列を生成する。次いで、段階1240において、数値からなるこの大きな行列(又は、この一部分)を角度θ回転させ、座標を交換することによって座標(y’,x’)を取得する。段階1250において、この(回転後の)行列を蛍光値の昇順にソートする。このようにして、最初の位置のデータ点を同定することにより、最小蛍光値を具備したデータ点を決定する。ソートされた行列内の最初の位置の座標(y’,x’)は、回転されたエルボーに対応している。次いで、段階1260において、この最小値(y’,x’)を(x’,y’)として再配列し、段階1270において、この単一の点を角度−θ逆回転させることにより、エルボー値を取得する。この逆回転は、この単一点の近傍の更なる点に対して適用することも可能であることを理解されたい。又、前述のように、段階1240の回転変換を適用する前又は後において、更なるデータ点の補間(任意選択である段階1220)を実行することも可能であることを理解されたい。更には、前述のように、異なる回転角度及び方向を使用することも可能であり、ソーティングを使用し、適宜、「最大値」を同定することも可能である。段階1280において、エルボー点の座標値の1つ又は両方を戻す(例えば、出力又は表示する)。
このCt決定プロセスは、コンピュータシステムのプロセッサ上において稼働するコンピュータコードとして実行可能であることを理解されたい。このコードは、Ct決定プロセスの様々な態様及び段階を実行するようにプロセッサを制御する命令を含んでいる。コードは、通常、ハードディスク、RAM、或いは、CDやDVDなどの携帯型の媒体上に保存される。同様に、プロセッサに接続されたメモリユニット内に保存されているプロセッサ実行命令を含むサーモサイクラーなどのPCR装置内に本プロセスを実行することも可能である。このような命令を含むコードは、コード供給源に対するネットワーク接続又は直接接続を介して、或いは、周知のように、携帯型の媒体を使用することにより、PCR装置のメモリユニットにダウンロード可能である。
当業者であれば、本発明のエルボー決定プロセスは、C、C++、C#、Fortran、VisualBasicなどの様々なプログラミング言語、並びに、データの視覚化及び解析に有用なプレパッケージングされたルーチン、関数、手順を提供するMathematica(登録商標)などのアプリケーションを使用してコーディング可能であることを理解するであろう。後者の更なる例がMATLAB(登録商標)である。
単一のデータセットの蛍光値のベクトルydに対して回転変換プロセス動作を実行するべく構成されたMathematica(登録商標)の一例を次に示す:
Figure 0004354961
図13は、(a)2つの増幅曲線の2つのデータセットのプロットと、(b)本発明に従ってベースラインを変更するべく処理された2つのデータセットの一例を示している。曲線TCB01用の最適な回転角度が、曲線TCB07用のものとは異なるであろうことは明らかである。曲線TCB01に使用するべき適切な角度は15度である。15度の単一の回転を使用することにより、結果的に、両方の曲線において得られるCt値から、次のようなCt値が得られる:
Figure 0004354961
15度の角度においては、回転後の曲線が最小値を具備していないため、曲線TCB07のCt値は、未定義状態にある。式(4)を使用して両方のデータセットから線形成長を減算することにより、図13aの2つの曲線は図13bに示されているものになる。次いで、同一の15度の角度を使用し、回転アルゴリズムをこれらのデータセットのそれぞれに対して適用することにより、Ct値が次のように判明する:
Figure 0004354961
(回転角度の最適化)
ある態様によれば、例えば、段階1110(図11)及び段階1240(図12)において適用される回転変換を最適化する方法が提供される。ある態様によれば、標的タイター値において予想されるCt値の変動係数(Coefficient of Variation:Cv)を最小化することにより、回転角度θの最適化を実行している。
前述の回転変換アルゴリズムは、単一の回転角度パラメータを使用して動的なPCRのCt(エルボー)を決定している。従って、このアルゴリズムは、パラメータのフィット品質を最適化可能なフレームワークを提供している。本発明によれば、好都合なことに、このアルゴリズムが使用する単一のパラメータである回転角度を最適化することにより、その他の方法と関連した最適化パラメータと関連する問題が除去される。ある態様においては、これは、回転角度を最適化する厳密な数学的方法によって実行されている。具体的には、本発明のある態様によれば、標的タイター値におけるCt値の変動係数(Cv)を最小化することにより、最適な回転角度を提供している。以下、一例について説明する。
C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus:HCV)のRNAに関する動的なPCRを異なるタイター入力値において実行し、複数の動的なPCR増幅曲線を生成した。この検討は、それぞれが103、104、105、及び107c/mLのHCV RNAタイターを具備する22回の反復実験と、0c/mLのHCV RNAにおける負制御の8回の反復実験によってセットアップされている。36度の回転によってCt値を決定することにより、一連のHCV増幅曲線を解析した。この角度は、以前の実験に基づいて主観的に選択したものである。図14は、2次元のグラフとしてプロットされたこれらの解析の1つのデータセットの一例を示している。それぞれのタイター値において、Ct値の平均値によって除算したCt値の標準偏差を取得する。これにより、それぞれのタイターの%変動係数(%CV)値が得られ、この結果、4%CV値が得られた(それぞれのタイターにおいて1つずつ;0タイターは無視される)。次いで、これらの4%CV値の平均値を決定する。この平均%CVが、最適化する対象の単一の変数として機能することになる。低いタイターの%CVのほうが、より重要であろう。例えば、そのシステム内に大量のウイルスを具備している場合には、薬物投与量を最大化可能である。タイターが低い場合には、毒性/有効性の効果をバランスさせるために、精度が実際に必要となる。従って、別の選択肢は、最小タイター値において回転角度を最適化する方法である。
従って、例えば、1度の増分を有する異なる回転角度において解析プロセスを反復する。図15は、このHCVの検討において、1度の単一の増分を有する回転角度に対してプロットされた平均%CVを示している。最小値は、32〜37度の近傍の領域において発生していることが図15から明らかである。次いで、この領域を0.2度の増分において拡大したものが、図16にプロットされている。図16は、最小平均%CVが、34度に位置していることを示しており、値は、1.19%であり、0.97%、0.86%、1.4%、及び1.5%の4つのCVの個々の値は、それぞれ、103、104、105、及び107c/mLのタイターに対応している。
ある態様においては、回転アルゴリズムによって処理する前に、データを正規化している。HCVの解析例に対して回転前の正規化を適用することにより、結果的に、0.99%の平均%CVと、個々のタイターにおける0.67%、0.79%、1.28%、及び1.22%の%CVが得られる。正規化されたデータを使用した場合の平均%CV対1度の増分を有する25〜45度の間の回転角度のプロットが図17に示されている。この場合には、曲線内の最小値は、25〜35度の範囲内において発生している。従って、図18は、0.2度の増分による24〜32度の間のデータの拡大図を示している。図示のごとく、最小値は、28.2度の角度において発生している。
その他の検査パラメータを利用して回転角度を最適化することも可能であることを理解されたい。この例には、例えば、95%の信頼区間を有するタイター精度、正確性、及び、ヒットレート、偽陽性数の最小化、或いは、偽陰性数の最小化が含まれる。又、基礎となっているデータ取得プロセスによってPCR増幅曲線に類似したシグモイド曲線を生成可能な様々な解析装置及びシステム内に前述のプロセスを実行することも可能であることを理解されたい。
ある態様においては、好都合なことに、回転後のデータセットの最小値をソーティング法を使用して決定可能であるという事実により、導関数を取得する必要性が除去されている。エルボーの決定に頻繁に使用される1次(並びに、特に、2次)導関数は、雑音データの影響を非常に受けやすいため、これは有利である。但し、その他の方法を使用して回転後のデータセット内の最小(又は、最大)蛍光強度値を具備した点を同定することも可能であることを理解されたい。例えば、最小値をサーチ及び検出するアルゴリズムを使用可能である。有用なアルゴリズムには、最急降下アルゴリズム、共役勾配法、Levenberg−Marquardt法、及び順序統計法が含まれる。これら及びその他の有用なアルゴリズムは、Mathematicaなどのソフトウェアアプリケーションに見出すことが可能であり、或いは、当業者であれば、容易にコーディングすることも可能であろう。
従って、本発明によれば、好都合なことに、例えば、(1)雑音、スパイクデータ、(2)可変ベースライン、(3)高いベースライン、(4)導関数法の感度、及び(5)多数のパラメータの必要性などの従来のアルゴリズムに見出される問題点が除去される。本発明のプロセスは、サーモサイクラーなどのPCRシステムにおいて、特に有用であり、PCRの結果データの品質が大幅に改善される。
以上、一例として、特定の態様に関し本発明を説明したが、本発明は、開示した態様に限定されないことを理解されたい。反対に、当業者には明らかな様々な変更及び類似の構成を含むことを意図している。例えば、本明細書においては、2Dの視覚的グラフシステムにおいて、回転を説明しているが、任意のn次元の空間において、データセットを処理及び視覚化可能であることを理解されたい。例えば、3Dシステム(例えば、なんらかの任意の第3次元の座標を有するもの)において、データを視覚化及びプロット可能であり、次いで、必要に応じて、任意の軸又は座標点を中心とした回転により、回転変換を実行可能である。従って、このような変更及び類似の構成を包含するべく、添付の請求項の範囲には、最も広範な解釈を付与する必要がある。
蛍光強度対サイクル数としてプロットされた代表的なPCR成長曲線の一例を示している。 25度時計方向に回転された図1のPCR成長曲線データを示している。 図1及び図2を重ね合わせたものを示している。 多数のPCR曲線を重ね合わせたものを示している。 本発明のある態様によるスパイクの同定及び置換プロセスの更に詳細なプロセスフローを示している。 本発明のある態様によるスパイクの同定及び置換プロセスの更に詳細なプロセスフローを示している。 本発明のある態様によるスパイクの同定及び置換プロセスの更に詳細なプロセスフローを示している。 本発明のある態様によるスパイクの同定及び置換プロセスの更に詳細なプロセスフローを示している。 本発明のある態様によるスパイクの同定及び置換プロセスの更に詳細なプロセスフローを示している。 本発明のある態様によるスパイクの同定及び置換プロセスの更に詳細なプロセスフローを示している。 パラメータa〜gを含むダブルシグモイド式を分解したものを示している。 曲線に対するパラメータdの影響と変曲点のx値の位置に対するパラメータ(e)の影響を示している。 異なるパラメータの組の3つの曲線形状の例を示している。 ある態様に従ってダブルシグモイド式のパラメータe及びgの値を決定するプロセスを示している。 ある態様に従ってダブルシグモイド式のパラメータe及びgの値を決定するプロセスを示している。 初期のパラメータの組におけるLevenberg−Marquardtプロセスのプロセスフローを示している。 初期のパラメータの組におけるLevenberg−Marquardtプロセスのプロセスフローを示している。 初期のパラメータの組におけるLevenberg−Marquardtプロセスのプロセスフローを示している。 初期のパラメータの組におけるLevenberg−Marquardtプロセスのプロセスフローを示している。 ある態様に従ってPCRプロセスのエルボー値を決定するプロセスを示している。 別の態様に従ってPCRプロセスのエルボー値を決定するプロセスを示している。 (a)2つの増幅曲線の2つのデータセットのプロットと(b)本発明に従ってベースラインを変更するべく処理された2つのデータセットの一例を示している。 (a)2つの増幅曲線の2つのデータセットのプロットと(b)本発明に従ってベースラインを変更するべく処理された2つのデータセットの一例を示している。 二次元グラフとしてプロットされたHCV解析の単一のデータセットの一例を示している。 図14のHCV解析において1度の単一増分を有する回転角に対してプロットされた平均Cvを示している。 0.2度の増分によって拡大された図15の一領域を示している。 図14及び図15のHCV解析において正規化データを使用した際の1度の増分を有する25〜45度の間の回転角に対する平均Cvのプロットを示している。 0.2度の増分を有する24〜32度の間の図17のデータの拡大図を示している。 本発明に従って処理された増幅曲線のデータセットの一例を示している。図19cは、図19aに示されている増幅曲線のデータセットの値(サイクル数と蛍光強度)と、図19bに示されている22度回転された際の回転後のサイクル数と回転後の蛍光値と、を含む表である。サイクル数の0.01の増分における回転後の曲線の補間関数は示されていない。 本発明に従って処理された増幅曲線のデータセットの一例を示している。図19cは、図19aに示されている増幅曲線のデータセットの値(サイクル数と蛍光強度)と、図19bに示されている22度回転された際の回転後のサイクル数と回転後の蛍光値と、を含む表である。サイクル数の0.01の増分における回転後の曲線の補間関数は示されていない。 本発明に従って処理された増幅曲線のデータセットの一例を示している。図19cは、図19aに示されている増幅曲線のデータセットの値(サイクル数と蛍光強度)と、図19bに示されている22度回転された際の回転後のサイクル数と回転後の蛍光値と、を含む表である。サイクル数の0.01の増分における回転後の曲線の補間関数は示されていない。 図11及び図12に表示されている本発明の方法を実行するのに必要な手段を示す機能ブロックダイアグラムである。これらの2つのブロックダイアグラムは、本発明の一態様(図20A)及び本発明の別の態様(図20B)によるコンピュータ実行されたプロセスを表している。当該手段の特定の機能は本明細書の用語から推定可能である。 図11及び図12に表示されている本発明の方法を実行するのに必要な手段を示す機能ブロックダイアグラムである。これらの2つのブロックダイアグラムは、本発明の一態様(図20A)及び本発明の別の態様(図20B)によるコンピュータ実行されたプロセスを表している。当該手段の特定の機能は本明細書の用語から推定可能である。 本発明のある態様によるシステムのソフトウェア及びハードウェアリソース間の関係を示す概略ブロックダイアグラムである。このシステムは、サーモサイクラー装置内に配置可能な動的なPCR解析モジュールと、コンピュータシステムの一部であるインテリジェントモジュールと、を含んで成る。データセット(PCRデータセット)は、ネットワーク接続又は直接接続を介して、解析モジュールからインテリジェントモジュールに(又は、この逆に)転送される。データセットは、インテリジェントモジュールのストレージ装置内に保存されている(プロセッサ上において稼働する)コンピュータコードにより、図20A及び図20Bに表示されている方法に従って処理され、この処理の後に、解析モジュールのストレージ装置に返送される。変更されたデータは、表示装置上に表示可能である。

Claims (11)

  1. 動的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)曲線のサイクル閾値(Ct)を決定する方法であって、
    受信手段が曲線を表すデータセットを受信する段階であって、前記データセットは、それぞれがサイクル数を表すXと蛍光値を表すYの座標値のペアを具備する複数のデータ点を含んでおり、二次元座標系において観察された場合に、前記データセットは、前記Ct値を含む対象領域を具備している、段階と、
    第一適用手段が前記対象領域を含む前記データセットの少なくとも一部分に対して第1回転変換を適用し、変換済みのデータセットを生成する段階と、
    同定手段が、変換済みのデータセット内のデータ点のYの座標値を昇順又は降順でソートし、最小のYの座標値又は最大のYの座標値の少なくとも1つを具備する前記曲線のデータ点(X;Y)を決定することで前記変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階と、
    第二適用手段が前記同定されたデータ点(X;Y)に対して前記第1変換とは逆の第2回転変換を適用する段階と、
    再決定手段が前記同定されたデータ点(X;Y)の少なくとも1つの座標値を再決定する段階であって、前記同定されたデータ点(X;Y)の前記再決定されたXの座標値は、前記曲線のCt値を表している、段階と、
    を含んで成る、前記受信手段、第一適用手段、同定手段、第二適用手段、及び再決定手段を備えたコンピューターにより実行され、前記第1回転変換が、選択された座標値を中心として角度θ時計回り又は反時計回りにデータセットの前記部分の座標値を回転させ、前記第2回転変換が、選択された座標値を中心として角度−θ最初のデータ点の座標値を回転させる、方法。
  2. 算出手段がLevenberg−Marquardt(LM)回帰プロセスを前記データセット及びダブルシグモイド関数に適用して前記曲線の近似を算出することにより、前記関数のパラメータを決定する段階と、
    変更手段が前記決定されたパラメータを使用して前記曲線を変更し、変更済みのデータセットを生成する段階と、
    を更に含んでなり、前記第1回転変換が、前記変更済みのデータセットの少なくとも一部分に対して適用され、前記コンピューターが更に前記算出手段及び変更手段を備えている、請求項1に記載の方法。
  3. 変更する段階が、前記データセットから線形成長部分を減算する段階を含んでいる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ダブルシグモイド関数が:
    Figure 0004354961
    という形態を有しており、算出する段階が、前記関数のパラメータa、b、c、d、e、f及びgの中の1つ又は複数のものを反復的に決定する段階を含む請求項2及び3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 少なくとも前記パラメータa及びbが決定され、変更する段階が、前記データセットから前記線形成長部分a+bxを減算する段階を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 少なくとも前記パラメータa及びbが決定され、変更する段階が、前記データセットから前記線形成長部分a+bxを減算する段階と、この結果をパラメータaによって除算する段階と、を含む請求項4に記載の方法。
  7. 前記コンピューターが更にストレージ装置及びディスプレイ装置を備えており、同定されたデータ点(X;Y)の再決定された座標値を出力として前記ストレージ装置に保存する段階と、同定されたデータ点(X;Y)の再決定された座標値の1つ又は両方及び/又は最初のデータセットを前記ディスプレイ装置上の二次元座標系内に表示する段階と、を更に含んで成る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記同定する段階が変換済みのデータセットの導関数を取得することを更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)曲線のサイクル閾値(Ct)を決定する方法であって、
    受信手段がPCR曲線を表すデータセットを複数受信する段階であって、それぞれの前記データセットは、それぞれがサイクル数を表すXと蛍光値を表すYの座標値のペアを具備する複数のデータ点を含んでおり、それぞれの前記データセットが、前記Ct値を含む対象領域内のデータ点を含んでいる、段階と、
    第一適用手段が、それぞれのデータセットについて、
    第1回転変換を前記対象領域を含む前記データセットの少なくとも一部分に適用し、変換済みのデータセットを生成する段階と、
    同定手段が、変換済みのデータセット内のデータ点のYの座標値を昇順又は降順でソートし、最小のYの座標値又は最大のYの座標値の少なくとも1つを具備する前記曲線のデータ点(X;Y)を決定することで前記変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階と、
    第二適用手段が、前記同定されたデータ点(X;Y)に前記第1変換とは逆の第2回転変換を適用する段階と、
    これに続いて、再決定手段が前記同定されたデータ点(X;Y)の少なくとも1つの座標値を再決定する段階であって、前記同定されたデータ点(X;Y)の前記再決定されたXの座標値が、前記PCR曲線の前記Ct値を表している、段階と、
    を含んで成る、前記受信手段、第一適用手段、同定手段、第二適用手段、及び再決定手段を備えたコンピューターにより実行され、前記第1回転変換が、選択された座標値を中心として角度θ時計回り又は反時計回りにデータセットの前記部分の座標値を回転させ、前記第2回転変換が、選択された座標値を中心として角度−θ最初のデータ点の座標値を回転させる、方法。
  10. 動的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅曲線内のサイクル閾値(Ct)を決定するべくプロセッサを制御するコードを含むコンピュータ可読媒体において、
    前記コードが受信手段、第一適用手段、同定手段、第二適用手段、及び再決定手段をコンピューター上に提供し、且つ
    前記受信手段が動的PCR増幅曲線を表すデータセットを受信する段階であって、前記データセットは、それぞれがサイクル数を表すXと蛍光値を表すYの座標値のペアを具備する複数のデータ点を含んでおり、前記データセットが、前記Ct値を含む対象領域内のデータ点を含んでいる、段階と、
    第一適用手段が、第1回転変換を前記対象領域を含む前記データセットの少なくとも一部分に適用し、変換済みのデータセットを生成する段階と、
    前記同定手段が、変換済みのデータセット内のデータ点のYの座標値を昇順又は降順でソートし、最小のYの座標値又は最大のYの座標値の少なくとも1つを具備する前記曲線のデータ点(X;Y)を決定することで前記変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階と、
    前記第二適用手段が、前記同定されたデータ点(X;Y)に前記第1変換とは逆の第2回転変換を適用する段階と、
    これに続いて、前記再決定手段が、前記同定されたデータ点(X;Y)の少なくとも1つの座標値を再決定する段階であって、前記同定されたデータ点(X;Y)の前記再決定されたXの座標値が、前記PCR曲線の前記Ct値を表している、段階と、
    を実行する命令を含んでおり、前記第1回転変換が、選択された座標値を中心として角度θ時計回り又は反時計回りにデータセットの前記部分の座標値を回転させ、前記第2回転変換が、選択された座標値を中心として角度−θ最初のデータ点の座標値を回転させる、コンピュータ可読媒体。
  11. 動的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)システムにおいて、
    動的なPCR増幅曲線を表すPCRデータセットを生成する動的なPCR解析モジュールであって、前記データセット、それぞれがサイクル数を表すXと蛍光値を表すYの座標値のペアを具備する複数のデータ点を含み、前記データセットが、サイクル閾値(Ct)を含む対象領域内のデータ点を含んでいる、動的なPCR解析モジュールと;
    第一適用手段が第1回転変換を前記対象領域を含む前記データセットの少なくとも一部分に適用し、変換済みのデータセットを生成する段階と、
    同定手段が、変換済みのデータセット内のデータ点のYの座標値を昇順又は降順でソートし、最小のYの座標値又は最大のYの座標値の少なくとも1つを具備する前記曲線のデータ点(X;Y)を決定することで前記変換済みのデータセット内のデータ点を同定する段階と、
    第二適用手段が、前記同定されたデータ点(X;Y)に前記第1変換とは逆の第2回転変換を適用する段階と、
    これに続いて、再決定手段が、前記同定されたデータ点(X;Y)の少なくとも1つの座標値を再決定する段階であって、前記同定されたデータ点(X;Y)の前記再決定されたXの座標値が、前記PCR曲線の前記Ct値を表している、段階と、
    により、前記PCRデータセットを処理して前記Ct値を決定するべく適合された、前記受信手段、第一適用手段、同定手段、第二適用手段、及び再決定手段を備えているインテリジェントモジュールと;
    を含んで成り、前記第1回転変換が、選択された座標値を中心として角度θ時計回り又は反時計回りにデータセットの前記部分の座標値を回転させ、前記第2回転変換が、選択された座標値を中心として角度−θ最初のデータ点の座標値を回転させる、システム。
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