JP4354188B2 - 移動システム及びこれを用いた構造物構築方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体を目標到達位置に向かって移動させる移動システムと、これを用いた構造物構築方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、下記非特許文献1に記載されているように、太陽エネルギーを受けて発電し、これを電磁波により送電する太陽発電衛星の開発が検討されている。この種の宇宙大型構造物の構築を人手で行うとすると、数百人レベルの宇宙飛行士が必要であるため、専用機械とロボットで無人化する試みがなされている。
このロボットの中でも、フリーフライングロボットは、浮遊モジュール間の結合や、レール移動式ロボットがアクセスできない箇所への作業や、遠距離を往復して行う作業や、飛散した部材の回収などの高度な作業を可能としており、宇宙飛行士がMMUを装着して行う作業を代行させることが可能となっている。
【0003】
【非特許文献1】
町田 和雄、“太陽発電衛星におけるロボティックス”、1992年6月7日、ロボティクスメカトロニクス講演会(ROBOMEC92)
【0004】
しかしながら、フリーフライングロボットは、推進剤の消費量が多いため、モニタ、点検、測量、テザー操作などの軽作業用途に際しては、飛行エフェクタを用いるのが好ましい。従来より検討されている飛行エフェクタの一例を、図8に示す。この飛行エフェクタ1は、本体2の先端側にアンカー3を備え、また後端側にテザー4の一端が接続されている。テザー4の他端は、飛行エフェクタ1の出発点側に配置されたテザー繰り出し装置(図示せず)に巻かれており、このテザー繰り出し装置からテザー4を順次送出していくことで、テザー4を繰り出すことが可能となっている。したがって、飛行エフェクタ1を、テザー4を繰り出しながら出発点から目標到達位置まで飛ばしてアンカー3により固定することで、出発点位置から目標到達位置にかけてテザー4を架設することができる。架設されたテザー4は、部品搬送用の、より高い引っ張り強度を有するワイヤーの架設に用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この飛行エフェクタの実用化に際しては、遠距離にある目標到達位置までいかに飛行エフェクタ1を高精度に制御して到達させるかが課題とされている。飛行経路の途中には、様々な障害物が存在するため、単純な直線経路を通って目標到達位置に向かうことは、困難となる場合が多々あることが想定される。したがって、飛行エフェクタ1を、これら障害物を避けるようにその軌道をくねらせながら目標到達位置まで移動させる必要がある。しかしながら、テザー4を牽引しながら飛行する関係上、前記各障害物にテザー4が接触することを避けられない。このようなテザー4の接触は、飛行中の飛行エフェクタ1に引っ張り力を与えて所定の軌道から離脱させたり、場合によっては、飛行エフェクタ1の飛行を停止させてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、紐状体を牽引しながら始点から終点に向かう移動体を、紐状体の引っかかりによる問題を生じることなく、移動させることができる手段の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1に記載の移動システムは、宇宙空間における宇宙構造物、海中における海中構造物を構築する移動システムであって、始点から終点に向かって移動する移動体と、該移動体及び前記始点間を接続する紐状体とを備えてなり、前記移動体側に、前記紐状体を繰り出す紐状体送出部が備えられており、前記移動体には、自らと目標到達位置との間の距離寸法を求める距離測定手段が備えられ、前記紐状体送出部は、前記距離測定手段により得た前記距離寸法が、所定寸法以下となった場合に前記紐状体の繰り出し速度を減速させることを特徴とする。
上記請求項1に記載の移動システムによれば、紐状体は、移動体が始点から離れるに伴って移動体側から繰り出されていく。したがって、障害物を避けるように移動体を移動させる際に、紐状体が、この障害物に接触して引っかかったとしても、移動体側から紐状体が継続して繰り出されるので、障害物との引っかかり箇所において移動体を引っ張り戻すような作用を加えることがない。また、移動体が目標到達位置に到達する際に、その急激な減速を伴わずに済む。
【0008】
請求項2に記載の移動システムは、請求項1に記載の移動システムおいて、前記紐状体の張力を検知する張力検出手段と、前記張力に応じて前記紐状体の繰り出し速度を制御する繰り出し速度制御部とが、さらに備えられていることを特徴とする。
上記請求項2に記載の移動システムによれば、張力検出手段においては、紐状体に作用している張力を検出する。そして、繰り出し速度制御部においては、この検出結果に基づいて最適な繰り出し速度で紐状体を送出していく。
【0009】
請求項3に記載の移動システムは、請求項2に記載の移動システムにおいて、前記移動体が、前記張力検出手段により検知される前記紐状体の張力を変えることで、自らの移動速度を可変とすることを特徴とする。
上記請求項3に記載の移動システムによれば、移動体の速度は、紐状体の張力を弱めることで増速でき、また紐状体の張力を強めることで減速できる。
【0011】
請求項4に記載の構造物構築方法は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の移動システムを用いて、宇宙構造物又は海中構造物を構築する構造物構築方法であり、前記始点から前記終点に向かって前記移動体の軌道を形成し、この軌道に沿って前記移動体を前記終点まで移動させることで、前記始点から前記終点にかけて前記紐状体を架設し、この架設された紐状体を搬送経路として用いることを特徴とする。
上記請求項4に記載の構造物構築方法によれば、遠く離れた目標到達位置(終点)との間に搬送経路を形成することができる。そして、この搬送経路を足がかりとして、より引っ張り強度を有するワイヤーを架設したり、または、この搬送経路に沿って構造物の部品などの搬送物を直接的に搬送することもできる
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の移動システム、誘導システム、及びこれらを用いた構造物構築方法の一実施形態及び変形例を、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれらのみに限定解釈されるものでないことは勿論である。なお、本実施形態の説明においては、本発明を、宇宙空間におけるテザー架設システム及びこれを用いて宇宙構造物を構築する場合を例に説明するが、これに限らず、海中における移動システム、誘導システム、及びこれを用いた海中構造物の構築にも適用可能である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のテザー架設システム10(移動システム)は、宇宙空間に浮かぶ一方の宇宙ステーションユニット11側から、他方の宇宙ステーションユニット12側に飛行エフェクタ13(移動体)を移動させて両者間にテザー14を架設するものであり、一方の宇宙ステーションユニット11側に据え付けられた飛行エフェクタ射出装置15及びレーザ発信器16と、これらによって他方の宇宙ステーションユニット12側に移動する前記飛行エフェクタ13と、この飛行エフェクタ13側に搭載された軌道追尾装置17と、飛行エフェクタ13が軌道から大きく外れた場合に、再び軌道に復帰させるための誘導軌道を付与する誘導装置18と、を備えて概略構成されている。
【0014】
飛行エフェクタ射出装置15は、バネの付勢力、ガス圧力、油圧力、リニアモータ推進力、モータ駆動力などを駆動源として、飛行エフェクタ13に対して推進力を与える装置である。この推進力により射出された飛行エフェクタ13は、目標到達位置(終点)である他方の宇宙ステーションユニット12まで慣性飛行する。
【0015】
レーザ発信器16は、飛行エフェクタ射出装置15に対して一体に設けられており、このレーザ発信器16を中心とする一回転方向(図1のθ1方向)と、この一回転方向に垂直な他回転方向(図1のθ2方向)との双方に首振り動作することで、レーザ光(すなわち軌道L)の向きを目標到達位置に正確に向けることが可能となっている。
すなわち、レーザ発信器16は、一方の宇宙ステーションユニット11に対する他方の宇宙ステーションユニット12の相対動作に応じて、軌道Lの向きを逐次更新する軌道更新装置(図示せず。)を備えている。この軌道更新装置は、他方の宇宙ステーションユニット12から送られてくる電波等の位置情報を受信する受信部と、この受信部で受けた位置情報に基づいて修正すべき軌道Lの新たな方向及び角度を算出する算出部と、この算出部で求められた新たな方向及び角度に軌道Lが向くようにレーザ光の向きを変える軌道角度変更部とを備えている。
【0016】
このレーザ発信器16と、飛行エフェクタ射出装置15と、前記誘導装置18とは、一つのユニットを構成しており、一体となって移動、据え付けが可能となっている。なお、誘導装置18の詳細については、図5の説明において後述する。
【0017】
飛行エフェクタ13は、図2に示すように、エフェクタ本体13aと、このエフェクタ本体13aの先端側に配置された一対の多関節フィンガー13bと、前記レーザ発信器16で形成される軌道Lに対する自らのずれ量を補正する複数のスラスタ13cと、テザー14を繰り出すテザー送出部20(紐状体送出部。図6にて後述する。)と、これらテザー送出部20や各スラスタ13cや各多関節フィンガー13bを制御する制御装置(図示せず)と、自らと目標到達位置との間の距離寸法を求める距離センサ(距離測定手段。図示せず)とを備えて構成されている。
【0018】
各多関節フィンガー13bは、それぞれの指部13b1が各関節13b2において折曲することで、これら多関節フィンガー13b間を閉じて把持対象物を掴むことが可能となっている。本実施形態の飛行エフェクタ13は、テザー14の架設に用いられるものであるため、その各多関節フィンガー13bが、テザー14を架設先につなぎ止めるためのアンカーとして用いられる。しかしながら、これに限らず、宇宙空間を浮遊する浮遊物を、各多関節フィンガー13bによって把持して回収する用途(浮遊物回収装置)にも、もちろん採用可能である。
【0019】
各スラスタ13cは、エフェクタ本体13aの周囲に複数が配置されており、これらのうち、前記制御装置による指示を受けたものだけが、指定された流量のガス噴射を行い、軌道Lに対するエフェクタ本体13aの相対位置及び姿勢角度の双方を調整することが可能となっている。
【0020】
軌道追尾装置17は、図3に示すように、前記レーザ発信器16から発せられたレーザ光(軌道L)を検出する一対のセンサ17aと、これらセンサ17aに向かうようにレーザ光を折曲する一対のハーフミラー17bと、各センサ17aの出力結果に基づいて、軌道Lに対する自らのずれ量(すなわち、飛行エフェクタ13のずれ量)を検出する軌道ずれ量検出部(図示せず。)とを備えて構成されている。
【0021】
各センサ17aとしては、図4に示すように、4分割フォトディテクタが採用されており、4つの分割面に等分割された受光面17a1をそれぞれが備えている。この受光面17a1に、軌道Lをなすレーザ光から分岐された分岐光L1が照射されると、その照射位置に対応した分割面が、光電効果による電圧を発生させる。そして、これら分割面におけるそれぞれの電圧値を前記軌道ずれ量検出手段が検知することで、各受光面17a1内における分岐光L1の照射点P1が正確に求められる。各受光面17a1は、その中心点(図4の十字線の交差点)に分岐光L1が照射されているときに軌道Lに正確に沿っているものとして、各センサ17a及び各ハーフミラー17bの配置・傾きが設定されている。
【0022】
この軌道追尾装置17による、軌道Lからのずれ量検出方法のさらなる詳細について、図3を用いて説明する。
同図に示すように、一方向から平面視した場合に、飛行エフェクタ13が軌道Lに沿っている状態(このとき、軌道Lをなすレーザ光は、各ハーフミラー17bの中心点に当たって一部が反射し、分岐光L1となって同図紙面上方向の各センサ17aに照射される。
このとき、同図に示すように、レーザ光(軌道L)の進行方向をZ方向、このZ方向に対して各ハーフミラー17bに向かう垂直方向をY方向、そして同図の紙面上方向をX方向とした場合、飛行エフェクタ13が軌道Lからずれようとしたために、軌道追尾装置17内におけるレーザ光の軌跡が、実線から破線に示すように、ピッチング方向及びヨーイング方向にずれた場合には、下記(3)、(4)、(7)、(8)式が成立する。そして、これらによって、ピッチング方向とヨーイング方向の相対位置ずれ量及びずれ角度を求める。
【0023】
A.ピッチング方向(図3の紙面水平方向)において
△Z1≒d2・θp+△Y ・・・(1)
△Z2≒(d1+d2)・θp+△Y ・・・(2)
これら(1)式及び(2)式より、
θp=(△Z2―△Z1)/d1 ・・・(3)
△Y=△Z1―d2・θp=△Z1−(△Z2−△Z1)・d2/d1 ・・・(4)
ここで、
△Y;軌道Lに対する、飛行エフェクタ13のY方向の相対位置ずれ量。
同図では、△Y=0の場合を示している。
△θp;軌道Lに対する飛行エフェクタ13のピッチずれ角度。
△Z1;レーザ光の入射側に近い側のセンサ17aにおける、各センサ17a中心からの照射位置のずれ量。軌道Lからずれた場合に変わる変動値。
△Z2;レーザ光の入射側に遠い側のセンサ17aにおける、各センサ17a中心からの照射位置のずれ量。軌道Lからずれた場合に変わる変動値。
d1;各ハーフミラー17b間の最短間隔寸法。固定値。
d2;飛行エフェクタ13が軌道Lに沿っているときの各ハーフミラー17bに対する軌道Lの照点と、各受光面17a1との最短寸法。固定値。
【0024】
B.ヨーイング方向において(図3の紙面垂直方向)において
△X1≒d2・θY+△X ・・・(5)
△X2≒(d1+d2)・θY+△X ・・・(6)
これら(5)式及び(6)式より、
θY=(△X2―△X1)/d1 ・・・(7)
△X=△X1―d2・θY=△X1−(△X2−△X1)・d2/d1 ・・・(8)
ここで、
△X;軌道Lに対する、飛行エフェクタ13のX方向の相対位置ずれ量。
同図では、△X=0の場合を示している。
△θY;軌道Lに対する飛行エフェクタ13のヨーイングずれ角度。
△X1;レーザ光の入射側に近い側のセンサ17aにおける、センサ中心からの照射位置のずれ量。軌道Lからずれた場合に変わる変動値。
△X2;レーザ光の入射側に遠い側のセンサ17aにおける、センサ中心からの照射位置のずれ量。軌道Lからずれた場合に変わる変動値。
d1,d2;ピッチング方向の式と同じ。
【0025】
なお、軌道追尾装置17の構成としては、上記説明の4分割フォトディテクタを用いる構成以外に、例えばCCDまたはPSD(Position Sensing Device)を用いる方法も採用可能である。
【0026】
前記誘導装置18は、飛行エフェクタ13が軌道Lから外れた場合に、再び軌道Lに復帰させるための装置である。この誘導装置18について、図5を参照して説明する。
同図に示すように、誘導装置18は、この誘導装置18と飛行エフェクタ13の目標到達位置(すなわち、前記他の宇宙ステーションユニット12)との間を結ぶ直線を中心線18aとして、その半径方向に周波数分布を有する回転体形状の光軌道を、レーザ光により、誘導軌道18bとして発信する。なお、この回転体形状は、前記目標到達位置に向かって飛行エフェクタ13の周囲を覆うように広がる円錐形状をなし、またその中心線18aは、軌道Lと同軸をなしている。また、この誘導軌道18bは、その中心線18aに垂直な断面で見た場合に、中心線18aで最も周波数が高く、かつ半径方向外側に向かって徐々に周波数が低くなる年輪をなす、ピーク形状の周波数分布をなしている。
【0027】
一方、飛行エフェクタ13側には、図示されない誘導光検出装置が装備されており、前記周波数分布を参照して誘導軌道18bの中心線18aに対する自らのずれ量(すなわち、飛行エフェクタ13のずれ量)を求める。
より詳しくいうと、飛行エフェクタ13が、軌道L(中心線18a)から位置Pにずれた場合、前記誘導光検出装置は、誘導軌道18bの周波数低下を感知する。そこで、まず、ピッチ方向またはヨーイング方向の何れか一方に向かって移動するように各スラスタ13cを吹かし、この方向において周波数分布が最も高くなる位置を求めて停止する(図5のa方向の移動)。次に、他方向に向かって移動するように各スラスタ13cを吹かし、この方向において周波数分布が最も高くなる位置を求めて停止する(図5のb方向の移動)。この微調整を数回繰り返すことで、飛行エフェクタ13が軌道Lに復帰する。
【0028】
さらに、この誘導装置18は、図示されない誘導軌道更新装置(第1の誘導軌道更新手段)を備えており、目標到達位置が移動しても、その位置変化に応じて誘導軌道18bの向きを逐次更新することが可能となっている。
なお、図5に示した例では、誘導軌道18bの形状を円錐形状としたが、これに限らず、目標到達位置に向かって延びる円柱形状など、その他の形状も採用可能である。
【0029】
前記テザー送出部20(紐状体送出部)は、図6に示すように、テザー14が巻き付けられたリール20aと、リール20aを変速機20bを介して回転駆動するモータ20c(駆動機構)と、テザー14に作用している張力を検知するテンションメータ20d(張力検出手段)と、このテンションメータ20dで検出された張力に応じてテザー14の繰り出し速度を制御する繰り出し速度制御部20eとを備えて構成されている。
【0030】
リール20aは、その主軸20a1を一対の軸受け20a2,20a3によって回転可能に支持された円柱形状のドラムであり、その周囲にテザー14が巻き付けられている。
変速機20bは、モータ20cの回転力を減速してリール20aの主軸20a1に伝達する減速器である。
テンションメータ20dは、リール20aから繰り出されたテザー14のガイドを兼ねたローラであり、このローラにテザー14が与える押圧力の強度を検知することで、テザー14に作用している張力をリアルタイムで求めることが可能となっている。さらに、このテンションメータ20dは、その検出結果を、繰り出し速度制御部20eに送出するように配線されている。
繰り出し速度制御部20eは、モータ20cの回転速度を制御するものであり、各スラスタ13cや各多関節フィンガー13bを制御する前記制御装置の一部をなしている。
【0031】
以上説明の構成を有するテザー送出部20によれば、飛行エフェクタ13の飛行距離に応じて、テザー14が飛行エフェクタ13側から繰り出されていく。この時のテザー14に作用する張力は、テンションメータ20dによって常時監視されており、その検出結果が、繰り出し速度制御部20eに送信される。繰り出し速度制御部20eでは、検出された張力が、予め設定された張力範囲内である場合には、モータ20cの回転速度を維持するが、前記張力範囲よりも高いと判断した場合には、モータ20cの回転速度を上げ、逆に、前記張力範囲よりも低いと判断した場合には、モータ20cの回転速度を下げる。このようにして、テザー14に作用する張力が常に一定を保てるように、テザー14の繰り出し速度が制御される。なお、本例では、モータ20cの回転速度を上げ下げすることによって繰り出し量を制御するものとしたが、これに限らず、変速機20bの減速比を上げ下げすることによって繰り出し量を制御するものとしてもよい。
【0032】
さらに、このテザー送出部20は、前記距離センサにより得た前記距離寸法が所定寸法以下となった場合に、テザー14の繰り出し速度を減速させるようになっている。このように繰り出し速度制御を行うことで、飛行エフェクタ13が目標到達位置に到達する際に、急激な減速をすることなくスムーズに目標到達位置に停止させることができるようになるので、移動体の安定した停止を得ることが可能となる。
また、このテザー送出部20は、テンションメータ20dにより検知されるテザー14の張力を変えることで、飛行エフェクタ13の移動速度を可変とすることも可能となっている。すなわち、飛行エフェクタ13の速度は、テザー14の張力を弱めることで増速でき、またテザー14の張力を強めることで減速することができる。これにより、迅速且つ正確に飛行エフェクタ13の速度を調整することが可能となっている。
【0033】
続いて、以上説明の構成を有する本実施形態のテザー架設システム10(移動システム)を用いた構造物構築方法について、図7を参照しながら以下に説明を行う。
まず、飛行エフェクタ13側のテザー14を、前記一方の宇宙ステーションユニット11に対して予め連結する。そして、レーザ発信器16により軌道Lを前記他方の宇宙ステーションユニット12に向けて形成するとともに、この軌道Lと同軸に前記誘導軌道18bを形成する(図示略)。
そして、この軌道Lに沿うように、前記飛行エフェクタ射出装置15で飛行エフェクタ13を射出する。射出された飛行エフェクタ13は、同図の2点鎖線に示すように、前記他の宇宙ステーションユニット12に向かって真っ直ぐ慣性飛行する。この時のテザー14は、飛行エフェクタ13に対して引っ張り力を与えないように繰り出されるので、飛行エフェクタ13は何らの外力を受けることなく、前記他の宇宙ステーションユニット12に向かって慣性飛行する。
【0034】
この慣性飛行中の飛行エフェクタ13は、軌道追尾装置17が軌道Lを常時監視しており、必要に応じて軌道Lに対する自らの位置と傾きを補正する。また、飛行エフェクタ13の飛行中に前記他の宇宙ステーションユニット12が移動しても、前記軌道更新装置が、軌道Lの向きを、前記他の宇宙ステーションユニット12に向かうように逐次追尾させるので、軌道L/飛行エフェクタ13が目標到達位置を逃すことがない。しかも、この時に何らかの外力が飛行エフェクタ13に加わって軌道Lから離脱したとしても、誘導軌道18bを頼りにして、すぐさま軌道Lに復帰することが可能である。
【0035】
前記他の宇宙ステーションユニット12に到達した飛行エフェクタ13は、その各多関節フィンガー13bがアンカー20(図1参照)を把持することにより、他の宇宙ステーションユニット12に対して接続される。後は、両宇宙ステーションユニット11,12間に架設されたテザー14を足がかりとして、より高い引っ張り強度を有するワイヤー(図示せず)を架設することで、大型部品や重量部品の搬送が可能となる。また、テザー14そのものがある程度の引っ張り強度を有するものであれば、このテザー14そのものを部品の搬送経路として直接利用することも可能である。
【0036】
一方、飛行エフェクタ13の飛行経路中に障害物101を有する他の宇宙ステーションユニット100に向かう場合には、同図の実線に示すように、「く」の字状に障害物101を迂回する、曲がった飛行経路をとる。この時のテザー14は、障害物101に対して接触するものの、飛行エフェクタ13側から継続して繰り出されるので、障害物101との引っかかり箇所において飛行エフェクタ13を引っ張り戻すような作用を加えることがない。
【0037】
以上説明の、本実施形態のテザー架設システム10は、飛行エフェクタ13側に、テザー14を繰り出すテザー送出部20を備える構成を採用した。この構成によれば、飛行エフェクタ13の飛行中にテザー14が障害物に引っかかっても、飛行エフェクタ13を引っ張り戻すような作用を加えることがない。したがって、テザー14を牽引しながら始点から終点に向かう飛行エフェクタ13を、テザー14の引っかかりによる問題を生じることなく飛行させることが可能となる。
【0038】
また、本実施形態のテザー架設システム10は、テンションメータ20dと、張力に応じてテザー14の繰り出し速度を制御する繰り出し速度制御部20eとをさらに備える構成を採用した。この構成によれば、テザー14の張力を確認しながらテザー14を繰り出すことができるので、飛行エフェクタ13に対して過大な引っ張り力を作用することのない、最適な繰り出し速度で、テザー14を送出することができる。
【0039】
本実施形態の構造物構築方法は、テザー架設システム10を用いて飛行エフェクタ13の軌道を形成し、この軌道に沿って飛行エフェクタ13を移動させることで、始点から終点にかけてテザー14を架設し、この架設されたテザー14を搬送経路として用いる方法を採用した。この方法によれば、遠く離れた終点(目標到達位置)へのワイヤーの掛け渡しや、部品の搬送を、確実かつ高速に行うことが可能となる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の移動システムは、移動体側に、紐状体を繰り出す紐状体送出部を備えるとともに、移動体に距離測定手段を備え、自らと目標到達位置との距離寸法が所定寸法以下となった場合に紐状体の繰り出し速度を減速させる構成を採用した。
この構成によれば、移動体の移動中に紐状体が障害物に引っかかっても、移動体を引っ張り戻すような作用を加えることがない。したがって、紐状体を牽引しながら始点から終点に向かう移動体を、紐状体の引っかかりによる問題を生じることなく、移動させることが可能となる。また、急激な減速をすることなくスムーズに移動体を目標到達位置に停止させることができるようになるので、移動体の安定した停止を得ることが可能となる。
【0041】
また、請求項2に記載の移動システムは、張力検出手段と、張力に応じて紐状体の繰り出し速度を制御する繰り出し速度制御部とをさらに備える構成を採用した。この構成によれば、紐状体の張力を確認しながら紐状体を繰り出すことができるので、移動体に対して過大な引っ張り力を作用することない、最適な繰り出し速度で、紐状体を送出することができる。
【0042】
また、請求項3に記載の移動システムは、移動体が、紐状体の張力を変えることで自らの移動速度を可変とする構成を採用した。この構成によれば、迅速且つ正確に移動体の速度を調整することが可能となる。
【0044】
本発明の請求項4に記載の構造物構築方法は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の移動システムを用いて移動体の軌道を形成し、この軌道に沿って移動体を移動させることで、始点から終点にかけて紐状体を架設し、この架設された紐状体を搬送経路として用いる方法を採用した。この方法によれば、遠く離れた終点(目標到達位置)へのワイヤーの掛け渡しや、部品の搬送を、確実かつ高速に行うことが可能となる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の移動システムの一実施形態を説明するための図であって、テザー架設システムの斜視図である。
【図2】 同テザー架設システムに備えられている飛行エフェクタを示す平面図である。
【図3】 同テザー架設システムに備えられている軌道追尾装置の概略構成を示す平面図である。
【図4】 同テザー架設システムに備えられている同軌道追尾装置の光センサを示す斜視図である。
【図5】 同テザー架設システムに備えられている誘導装置を説明するための平面図である。
【図6】 同テザー架設システム10の飛行エフェクタ13に備えられているテザー送出部20の概略構成を示す構成図である。
【図7】 同テザー架設システム10を用いた構造物構築方法の一実施形態を示す説明図である。
【図8】 従来の飛行エフェクタの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10・・・テザー架設システム(移動システム)
13・・・飛行エフェクタ(移動体)
14・・・テザー(紐状体)
20・・・テザー送出部(紐状体送出部)
20d・・・テンションメータ(張力検出手段)
20e・・・繰り出し速度制御部

Claims (4)

  1. 宇宙空間における宇宙構造物、海中における海中構造物を構築する移動システムであって、
    始点から終点に向かって移動する移動体と、該移動体及び前記始点間を接続する紐状体とを備えてなり、前記移動体側に、前記紐状体を繰り出す紐状体送出部が備えられており、前記移動体には、自らと目標到達位置との間の距離寸法を求める距離測定手段が備えられ、前記紐状体送出部は、前記距離測定手段により得た前記距離寸法が、所定寸法以下となった場合に前記紐状体の繰り出し速度を減速させることを特徴とする移動システム。
  2. 請求項1に記載の移動システムにおいて、前記紐状体の張力を検知する張力検出手段と、前記張力に応じて前記紐状体の繰り出し速度を制御する繰り出し速度制御部とが、さらに備えられていることを特徴とする移動システム。
  3. 請求項2に記載の移動システムにおいて、前記移動体は、前記張力検出手段により検知される前記紐状体の張力を変えることで、自らの移動速度を可変とすることを特徴とする移動システム。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の移動システムを用いて、宇宙構造物又は海中構造物を構築する構造物構築方法であり、前記始点から前記終点に向かって前記移動体の軌道を形成し、この軌道に沿って前記移動体を前記終点まで移動させることで、前記始点から前記終点にかけて前記紐状体を架設し、この架設された紐状体を搬送経路として用いることを特徴とする構造物構築方法。
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