JP4352952B2 - 血圧測定装置 - Google Patents

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本発明は、オシロメトリック方式の血圧測定装置において、血圧測定の精度を向上させるために、圧迫用の膨脹袋と脈波検出用の膨脹袋とを1つのカフ内に備えた血圧測定装置に関するものである。
オシロメトリック方式による血圧測定装置は、生体の所定部位に巻回されるカフに設けられた膨張袋内の圧力を、そのカフ下の動脈を完全に止血できる圧力として予め設定した圧迫圧力まで昇圧させた後に、所定の速度で徐速降圧させる過程において、その膨張袋内の圧力を逐次検出し、さらに、その逐次検出される膨張袋内の圧力変化から脈波を逐次弁別し、その逐次弁別された脈波の振幅を結んで得られる包絡線の立ち上がり点(すなわち振幅が急激に大きくなるとき)の圧迫圧力を検出し、その圧力を最高血圧値として決定する方式が一般的である。
しかし、上記血圧測定装置では、上記振幅の包絡線の立ち上がり点が不明確なために、決定される最高血圧値が不正確な場合がある。たとえば、血流が少ないときや動脈血管が硬い場合には、カフの圧迫圧が低下して血流が流れ出した場合でも脈波振幅の変化が小さいので、そのような場合には、前記包絡線の立ち上がり点が不明確になり易い。
上記問題点を解決するために、動脈を圧迫するための圧迫用の膨脹袋とは別に、カフ内において下流側となる位置に脈波検出用の膨脹袋を備え、その脈波検出用の膨脹袋に伝達される脈波の振幅に基づいて血圧値を測定することが考えられている(たとえば、特許文献1、2)。このようにすれば、カフの圧迫圧力が最高血圧値よりも高い圧力である状態においては、カフが巻回されている範囲のうち上流側で脈動があっても、その脈動はカフ内において下流側に設けられた脈波検出用の膨張袋には直接的には伝達されない。従って、脈波検出用の膨脹袋に生じる脈波の振幅は、その立ち上がりが比較的明確になるので、脈波検出用の膨脹袋に生じる脈波の振幅のみに基づいて最高血圧値を決定しても、膨脹袋が1つのみである場合よりは正確な正確な最高血圧値が得られる。
特開2001−070262号公報 特開2001−333888号公報
しかし、上記脈波検出用の膨脹袋に生じる脈波の振幅であっても、その立ち上がり点が不明確な場合がある。たとえば、足首における測定において、そのように立ち上がり点が不明確になりやすい。これは、カフによる圧迫圧力が最高血圧値よりも高い圧力においてカフの上流側で発生する脈波は、直接的には脈波検出用の膨脹袋に伝達されないが、圧迫用の膨張袋を介して間接的に脈波検出用の膨脹袋に伝達されてしまうからである。そのため、脈波検出用の膨脹袋に生じる脈波のみに基づいて決定される最高血圧値は、その精度が不十分であった。
本発明は以上のような事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、正確な最高血圧値を得ることができる血圧測定装置を提供することにある。
なお、前記課題を解決するために、前記特許文献1では、圧迫用の膨脹袋に発生した脈波の振幅と、脈波検出用の膨脹袋に発生した脈波の振幅との振幅差を算出し、その振幅差に基づいて最高血圧値を決定しており、前記特許文献2では、圧迫用の膨脹袋に発生した脈波の振幅と、脈波検出用の膨脹袋に発生した脈波の振幅との振幅比を算出し、その振幅比に基づいて最高血圧値を決定しているが、本発明は、それとは別の構成により上記目的を達成する発明である。
上記目的を達成するための第1発明は、生体の所定部位に巻回されるカフに、その所定部位内の動脈を圧迫するために設けられた第1膨張袋と、その第1膨脹袋の内側においてその第1膨脹袋の下流側に設けられ、その第1膨脹袋よりも狭幅の第2膨脹袋とを備え、その第1膨張袋内の圧力を徐速変化させる徐速圧力変化過程で前記生体からその第2膨脹袋に伝達される脈波に基づいて、前記生体の血圧値を測定する血圧測定装置であって、前記第1膨脹袋に生じる脈波に対する前記第2膨脹袋に生じる脈波の遅れ時間が予め設定された所定の判断基準値よりも大きいことに基づいて、前記生体の最高血圧値を決定する血圧値決定手段を含むことを特徴とする。
なお、第1発明において、下流側とは、カフを上流側および下流側の2つに分けた場合の下流側を意味する。
また、第2発明は、前記血圧値決定手段による最高血圧値の決定のために、前記第1膨脹袋内の圧力を、最高血圧値よりも高い値に設定された所定の徐速降圧開始圧まで昇圧し、次いで、徐速降圧させる圧迫圧制御手段をさらに備えている第1発明の血圧測定装置において、前記圧迫圧制御手段は、前記遅れ時間が前記判断基準値よりも大きくなったことに基づいて、前記第1膨脹袋内の圧力を急速排圧することを特徴とする。
また、第3発明は、前記血圧値決定手段による最高血圧値の決定のために、前記第1膨脹袋内の圧力を、最高血圧値よりも高い値に設定された所定の徐速降圧開始圧まで昇圧し、次いで、徐速降圧させる圧迫圧制御手段をさらに備えている第1発明の血圧測定装置において、前記第1膨脹袋内の圧力の徐速降圧過程における最初の前記遅れ時間が前記判断基準値よりも大きい場合、または、その徐速降圧過程において前記第1膨脹袋内の圧力が予め設定された最高血圧下限値となるまでに、前記遅れ時間が前記判断基準値よりも大きくならなかった場合には、昇圧不足と判定する昇圧不足判定手段を含み、前記圧迫圧制御手段は、その昇圧不足判定手段により昇圧不足であると判定された場合には、徐速降圧を中止して、前記徐速降圧開始圧よりも所定値高い圧力まで再昇圧した後に、再度、徐速降圧を開始することを特徴とする。
第1発明によれば、最高血圧値は、血圧値決定手段により、第1膨脹袋に生じる脈波に対する第2膨脹袋に生じる脈波の遅れ時間に基づいて決定される。この遅れ時間は、後で詳述するように、第1膨脹袋によりカフの巻回部位が止血されている状態ではほとんどゼロであるが、第1膨脹袋の圧迫圧力がカフ巻回部位における動脈の最高血圧値付近になると遅れ時間が生じる。そのため、本発明のように、上記遅れ時間に基づいて最高血圧値を決定すれば、正確な最高血圧値を得ることができる。
また、第1発明では、徐速降圧の当初は前記遅れ時間が前記判断基準値よりも小さく、その後、前記遅れ時間が前記判断基準値よりも大きくなったと判定されれば最高血圧値が決定できるので、平均血圧値および最低血圧値が不要の場合には、第2発明のように、前記遅れ時間が前記判断基準値よりも大きくなったことに基づいて第1膨脹袋内の圧力を急速排圧すれば、測定時間が短くなるので、カフの圧迫による患者の苦痛も軽減する。
また、第3発明によれば、昇圧不足判定手段により、徐速降圧中に昇圧不足が判定され、昇圧不足が判定された場合には、徐速降圧が中止されて、最初の徐速降圧開始圧よりも高い圧力まで再昇圧された後に、徐速降圧が再開されるので、最高血圧値が高い患者であっても、比較的迅速に正確な最高血圧値を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明が適用された自動血圧測定装置10の構成を説明するブロック線図である。
図1において、カフ12は、生体の足首19(図2参照)を巻回するためのものであり、足首における血圧測定に一般的に用いられるカフとは第2膨張袋として機能する第2ゴム嚢14が設けられている点において異なる。すなわち、カフ12は、伸展性がなく且つ比較的剛性の高い布により、生体の足首に好適に巻回できる形状に構成された帯状の腕帯袋16と、その腕帯袋16の内部に、幅方向がその腕帯袋16よりもやや短く長手方向が足首の周囲の長さよりも短い所定の長さ(たとえば平均的な足首の周囲の長さの2/3倍)の第1ゴム嚢18とを備えている。この第1ゴム嚢18は、第1膨張袋として機能するものであり、主としてカフ12が巻回された部位の血管を圧迫して閉塞させるために用いられる。
さらに、腕帯袋16内には、カフ12が足首19に巻回されたときに、第1ゴム嚢18よりも内側において下流側の端となる位置に、長手方向の長さが第1ゴム嚢18と略等しく且つ幅方向の長さがその第1ゴム嚢18の幅方向の長さの数分の1以下(たとえば第1ゴム嚢18の4分の1乃至6分の1程度)である第2ゴム嚢14が備えられている。この第2ゴム嚢14は、主として、カフ12が巻回された部位の動脈の脈動を検出するために用いられる。
図2は、上記のように構成されたカフ12が生体の足首19に巻回され、カフ12が巻回された部位の動脈20が第1ゴム嚢18からの圧迫圧力により閉塞させられている状態を示す図である。この状態では、動脈20はカフ12の上流端において僅かに脈動するのみであり、少なくともカフ12の幅方向(図2の左右方向)の中央よりも下流側においては動脈20の脈動は生じていない。そのため、第1ゴム嚢18には、動脈20の脈動すなわち圧脈波が体表面21から直接伝達され、それによって第1ゴム嚢18内にも脈波(圧力振動)が生じるが、第2ゴム嚢14には、第1ゴム嚢18を介して間接的に動脈20の脈動が伝達されるのみである。なお、第1ゴム嚢18と第2ゴム嚢14との間には、第1ゴム嚢18に発生する振動が第2ゴム嚢14に伝達されないようにするために、遮蔽板22が設けられているが、遮蔽板22が設けられていても、第1ゴム嚢18からの脈波は完全には遮蔽されずに第2ゴム嚢14に伝達される。この遮蔽板22は、幅方向および長手方向の大きさが第2ゴム嚢14と略同様の大きさであり、厚さが0.3mm程度の比較的硬質な可撓性材料により構成されている。なお、図1のカフ12は、上記遮蔽板22を省略して示してある。
図1に戻って、上記第1ゴム嚢18は、配管23を介して切換弁24および第1圧力センサ25に接続され、切換弁24は配管26により空気ポンプ28に接続されている。また、上記第2ゴム嚢14も、第1ゴム嚢18に接続されている上記配管23から分岐した配管30を介して第2圧力センサ32および前記切換弁24に接続されているが、第2ゴム嚢14に接続されている配管30は、第1ゴム嚢18に接続されている配管23よりも細くされて絞り装置として機能している。
上記切換弁24は、カフ12内(すなわち第1ゴム嚢18および第2ゴム嚢14内)への圧力の供給を許容する圧力供給状態、カフ12内を徐々に排圧する徐速排圧状態、およびカフ12内を急速に排圧する急速排圧状態の3つの状態に切り換えられるように構成されている。
前記第1圧力センサ25は、第1ゴム嚢18内の圧力Pを検出して、その圧力を表す第1圧力信号SPを静圧弁別回路34および脈波弁別回路36にそれぞれ供給する。静圧弁別回路34はローパスフィルタを備え、第1圧力信号SPに含まれる定常的な圧力すなわち第1カフ圧PKを表す第1カフ圧信号SKを弁別してその第1カフ圧信号SKをA/D変換器38を介して電子制御装置40へ供給する。脈波弁別回路36はバンドパスフィルタを備え、第1圧力信号SPの振動成分である脈波信号SMを周波数的に弁別してその脈波信号SMをA/D変換器42を介して電子制御装置40へ供給する。この脈波信号SMは、カフ12下の動脈20の脈動が第1ゴム嚢18に伝達されることにより第1ゴム嚢18に発生する圧力振動であって、第1脈波Mを表す。
前記第2圧力センサ32は、第2ゴム嚢14内の圧力Pを検出して、その圧力を表す第2圧力信号SPを脈波弁別回路44へ供給する。この脈波弁別回路44は、第1圧力センサ25に接続された脈波弁別回路36と同様に構成されており、第2圧力信号SPの振動成分である脈波信号SMを周波数的に弁別してその脈波信号SMをA/D変換器45を介して電子制御装置40へ供給する。この脈波信号SMは、第2ゴム嚢14に発生する第2脈波Mを表す。
上記電子制御装置40は、CPU46、ROM48、RAM50、および図示しないI/Oポート等を備えた所謂マイクロコンピュータにて構成されており、CPU46は、ROM48に予め記憶されたプログラムに従ってRAM50の記憶機能を利用しつつ信号処理を実行することにより、I/Oポートから駆動信号を出力して切換弁24および空気ポンプ28を制御する。また、その切換弁24および空気ポンプ28の制御過程において、静圧弁別回路34から供給される第1圧力信号SPおよび脈波弁別回路36、44から供給される脈波信号SM、SMに基づいて最高血圧値BPSYSを決定し、決定した最高血圧値BPSYSを表示器52に表示する。
図3は、上記電子制御装置40の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図において、圧迫圧制御手段60は、空気ポンプ28を駆動させ、且つ、切換弁24を圧力供給状態に切替えることにより、生体の足首19に巻回されたカフ12内の圧力(すなわち第1ゴム嚢18内の圧力および第2ゴム嚢14内の圧力)を急速昇圧させ、静圧弁別回路34から供給される第1カフ圧信号SKに基づいて、第1ゴム嚢18の圧迫圧力が所定の徐速降圧開始圧PCM(たとえば、240mmHg程度の圧力値)に到達したと判定した場合には、続いて、空気ポンプ28を停止させ、且つ、切換弁24を徐速排圧状態に切り替えることにより、カフ12内の圧力を3mmHg/sec程度に予め設定された速度で徐速降圧させる。ただし、後述する昇圧不足判定手段66により昇圧不足が判定された場合には、その徐速降圧を直ちに中止して、前記所定の徐速降圧開始圧PCMよりもさらに所定値α(たとえば30mmHg)だけ高い値までカフ12内の圧力を再昇圧した後に、上記徐速降圧を再開する。そして、後述する血圧値決定手段64により最高血圧値BPSYSが決定された場合には、切換弁24を急速排圧状態に切替えることにより、カフ12内の圧力を急速排圧する。
遅れ時間算出手段62は、前記圧迫圧制御手段60により、2つの脈波弁別回路36、44から逐次供給される脈波信号SM、SMに基づいて、カフ12内の圧力が徐速降圧させられている過程で逐次検出される第1脈波Mおよび第2脈波Mの所定の遅れ時間算出点の発生時点を逐次決定する。上記遅れ時間算出点は、本実施例ではピークであるが、立ち上がり点など脈波の他の部位であってもよい。さらに、遅れ時間算出手段62は、第1脈波Mと第2脈波Mのピーク(すなわち遅れ時間算出点)の発生時点の時間差を、遅れ時間Δtとして算出する。
血圧値決定手段64は、遅れ時間算出手段62により逐次算出される遅れ時間Δtが予め設定された判断基準値THよりも大きいか否かを逐次判定し、遅れ時間Δtが上記判断基準値THよりも小さい状態から上記判断基準値THよりも大きい状態へと変化した場合には、そのときの第1膨脹袋18の圧迫圧すなわち第1カフ圧PKを静圧弁別回路34からの第1カフ圧信号SKに基づいて決定して、その第1カフ圧PKを最高血圧値BPSYSとして決定する。そして、決定した最高血圧値BPSYSを表示器52に表示する。
このようにして決定した最高血圧値BPSYSは、聴診法によって測定した最高血圧値BPSYSとよい相関を示し、40名の患者について本発明および聴診法によって最高血圧値BPSYSを測定した実験では、両者の相関係数Rは0.95であった。ここで、上記血圧値決定手段64において、第1脈波Mと第2脈波Mとの遅れ時間Δtに基づいて最高血圧値BPSYSが決定できる理由を考察すると、一応、以下のように推定できる。
カフ巻回部位が止血されている状態では、第1ゴム嚢18に生じる第1脈波Mは、カフ12の上流端において発生している動脈20の脈動が体表面21から直接的に伝達されることによるものである一方、第2ゴム嚢14に生じる第2脈波Mは、第2ゴム嚢14がカフ12の下流側に設けられているために、カフ12の上流端において発生している動脈20の脈動は直接的には伝達されず、第1ゴム嚢14を介してその脈動が間接的に伝達されるのみである。従って、第1ゴム嚢18に生じる第1脈波Mの位相と第2ゴム嚢14に生じる第2脈波Mの位相とが等しくなるので、止血状態では遅れ時間Δtは略ゼロとなる。
これに対して、カフ12の圧迫圧力が動脈20の最高血圧値BPSYSよりも小さくなってカフ12下において動脈20の血流が再開された直後は、動脈20の内圧が最高圧(すなわち最高血圧値BPSYS)付近となる期間のみ、カフ12下において動脈20に血流が生じる。このような状態では、動脈20の内圧が最低血圧値付近である状態(心臓の拡張期)では、前述の図2に示すように、カフ12下の動脈20の大部分が閉塞させられた状態であるが、動脈20の内圧が上昇するにつれて、閉塞部分が減少して図4(a)のようになり、さらに動脈20の内圧が上昇して最高圧(心臓の収縮期)となると、図4(b)のように閉塞部分が消失する。そして、第2ゴム嚢14に動脈20からの圧脈波が直接的に伝達されるのは、図4(b)に示されるように、第2ゴム嚢14の真下においても動脈20が開いている状態のときである。一方、第1ゴム嚢18には、図4(b)の状態となるよりも前から動脈20からの圧脈波が直接的に伝達される。従って、第1脈波Mと第2脈波Mに遅れ時間Δtが生じるのである。
なお、さらに、カフ12の圧迫圧力が低下することにより動脈20内の閉塞区間がなくなって、非圧縮性である血液が常に流通している状態では、上流における圧力変化が瞬時に下流に伝達されるようになるので、再び、第1脈波Mと第2脈波Mの間の遅れ時間Δtがなくなる。
図5は、図1に示すカフ12を足首に巻回した血圧測定における徐速降圧過程で得られる第1脈波M、第2脈波M、第1ゴム嚢18内の圧力Pの一部分を示す図であり、BPSYSで示す脈波は、最高血圧値BPSYSが決定される脈波である。また、図6は、上記図5と同じ実験で得られた脈波M、Mから算出された遅れ時間Δtを示すグラフである。なお、図6の横軸は、左側から順に徐速降圧過程で順次得られる脈波となっており、BPSYSは最高血圧値BPSYSが決定されるときの脈波を示す。
図5および図6に示されるように、徐速降圧過程で逐次得られる脈波M、Mから算出される遅れ時間Δtは、限られた一部のみが比較的大きい値を示している。この実験結果からも前記考察が裏付けられる。また、この実験結果から、前記判断基準値THは、たとえば、図6に示すように10msecに設定され、その結果、図5、図6に示すBPSYSで示す脈波に基づいて最高血圧値BPSYSが決定される。
図3に戻って、昇圧不足判定手段66は、圧迫圧制御手段60により第1ゴム嚢18内の圧力Pが徐速降圧させられている過程で算出される前記遅れ時間Δtに基づいて第1カフ圧PKの昇圧不足を判定する。前述のように、徐速降圧開始圧PCMが最高血圧値BPSYSよりも高い圧力であれば、徐速降圧過程において逐次算出される遅れ時間Δtは、最初は前記判断基準値THよりも小さく、その後、一旦、判断基準値THを超え、再び判断基準値THよりも小さくなるという変化を示す。一方、徐速降圧開始圧PCMが最高血圧値BPSYSよりも僅かに低い場合には、徐速降圧過程の最初に算出される遅れ時間Δtは前記判断基準値THよりも大きくなり、徐速降圧開始圧PCMがさらに低い場合には、遅れ時間Δtが判断基準値THを超えることがない。従って、昇圧不足判定手段66では、徐速降圧過程における最初の遅れ時間Δtが判断基準値THよりも大きい場合、または、第1カフ圧PKが予め設定された最高血圧下限値Pとなるまでに、前記遅れ時間Δtが前記判断基準値THよりも大きくならなかった場合には、昇圧不足と判定して、再昇圧を前記圧迫圧制御手段60に指示する。ここで、上記最高血圧下限値Pは、最高血圧値BPSYSがそれよりも低い圧力である場合がほとんどない圧力に設定される。たとえば、実験的に求めた最高血圧値BPSYSの変動範囲の下限値、またはそれよりもさらに数十mmHg程度低い値などに設定される。
図7は、上記自動血圧測定装置10の電子制御装置40における制御作動の要部を説明するフローチャートである。この図7に示すルーチンは、図示しない測定起動スイッチが操作されることにより実行される。
図7において、まず、ステップS1(以下、ステップを省略する。)では、空気ポンプ28が起動され、且つ切換弁24が急速昇圧状態に切り替えられることにより、カフ12の昇圧が開始される。すなわち、カフ12に備えられた第1ゴム嚢18および第2ゴム嚢14内への圧力の供給が開始される。
続くS2では、第1カフ圧PKがカフ12下の動脈20の血流を阻止できる圧迫圧力として予め設定された徐速降圧開始圧PCM(たとえば240mmHg程度)以上となったか否かが判断される。この判断が否定された場合は、このS2の判断が肯定されるまで判断が繰り返しなされ、その間に、カフ12の圧迫圧力の昇圧が継続される。
一方、上記S2の判断が肯定された場合には、続くS3において、空気ポンプ28が停止させられ、且つ、切換弁24が徐速排圧状態に切り替えられて、カフ12の圧迫圧力が予め設定された3mmHg/sec程度の速度で徐速降圧させられる。すなわち、第1ゴム嚢18内の圧力Pおよび第2ゴム嚢14内の圧力Pの徐速降圧が開始される。
続くS4では、静圧弁別回路34から供給される第1カフ圧PK、脈波弁別回路36から供給される脈波信号SM、および脈波弁別回路44から供給される脈波信号SMが読み込まれる。そして、続くS5では、それらの信号を一拍分読み込んだか否かが判断され、このS5の判断が否定された場合には、前記S4以下が繰り返し実行されることにより、所定のサンプリング周期毎に、前記信号の読み込みが繰り返される。
一方、上記S5の判断が肯定された場合には、遅れ時間算出手段62に相当するS6乃至S7が実行される。まず、S6では、上記S4乃至S5の繰り返しによって読み込まれた1拍分の第1脈波Mおよび第2脈波Mについて、それぞれ、ピークが決定され、続くS7では、その2つのピークの時間差が遅れ時間Δtとして算出される。
続くS8では、上記S7で算出された遅れ時間Δtが予め設定された判断基準値THよりも大きいか否かが判断される。この判断が否定された場合には、S13において、第1カフ圧PKが前記最高血圧下限値Pよりも大きいか否かがさらに判断される。この判断が肯定された場合には、前記S4以下が繰り返し実行される。これにより、カフ12の圧迫圧力の徐速降圧過程における信号の読み込みが継続される。
一方、S13の判断が否定された場合、すなわち、第1カフ圧PKが前記最高血圧下限値Pよりも低くなっているにも拘わらず、未だ最高血圧値BPSYSが決定されていない場合には、S14において、当初の徐速降圧開始圧PCMに所定値α(たとえば30mmHg)が加えられた値が新たな徐速降圧開始圧PCMとして設定された後に、前記S1以下が再度実行される。この場合には、徐速降圧が直ちに中止されて、新たに設定された徐速降圧開始圧PCMまで急速に再昇圧が行われた後に、徐速降圧が再開される。
また、上記S8の判断が肯定された場合には、続くS9において、上記遅れ時間Δtが最初に算出されたものであるかどうかが判断される。この判断が肯定された場合も昇圧不足であるので、前記S14が実行されることにより、当初の徐速降圧開始圧PCMに所定値αが加えられた値が新たな徐速降圧開始圧PCMとして設定された後に、前記S1以下が再度実行される。図7では、S8乃至S9およびS13が昇圧不足判定手段66に相当する。
一方、上記S9の判断が否定された場合には、S10において、上記上記S8の判断が肯定された脈波が発生したときの第1カフ圧PK(たとえば、その脈波一拍分の区間における第1カフ圧PKの平均値や、その脈波の所定部位(たとえばピーク)発生時における第1カフ圧PK)が、最高血圧値BPSYSに決定され、続くS11において、S10において決定された最高血圧値BPSYSが表示器52に表示される。図7では、S8乃至S11が血圧値決定手段64に相当する。
そして、続くS12では、切換弁24が急速排圧状態に切り替えられることにより、カフ12内の圧力が開放された後、本ルーチンは終了させられる。なお、図7では、S1乃至S3およびS12が圧迫圧制御手段60に相当する。
上述の実施例によれば、最高血圧値BPSYSは、血圧値決定手段64(S8乃至S11)により、第1ゴム嚢18に生じる第1脈波Mに対する第2ゴム嚢14に生じる第2脈波Mの遅れ時間Δtに基づいて決定されるので、正確な最高血圧値BPSYSを得ることができる。
また、本実施例によれば、遅れ時間Δtが判断基準値THを超えたことが判定されると、第1ゴム嚢18内の圧力が急速排圧されるので、測定時間が短くなってカフ12の圧迫による患者の苦痛も軽減する。
また、本実施例によれば、昇圧不足判定手段66により、徐速降圧中に昇圧不足が判定され、昇圧不足が判定された場合には、徐速降圧が中止されて、最初の徐速降圧開始圧PCMよりも高い圧力まで再昇圧された後に、徐速降圧が再開されるので、最高血圧値BPSYSが高い患者であっても、比較的迅速に正確な最高血圧値BPSYSを得ることができる。
以上、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例では、血圧値BPとして最高血圧値BPSYSのみを決定していたが、最高血圧値BPSYSに加えて平均血圧値BPMEANや最低血圧値BPDIAを決定してもよい。なお、これら平均血圧値BPMEANや最低血圧値BPDIAは、従来のオシロメトリックアルゴリズムにより決定する。
また、前述の実施例では、カフ12の圧迫圧力が徐速降圧させられる過程で最高血圧値BPSYSが決定されていたが、カフ12の圧迫圧力が徐速昇圧させられ、その徐速昇圧中に得られる信号に基づいて最高血圧値BPSYSが決定されてもよい。
また、前述の実施例では、カフ12は足首19に装着されるものであったが、足首19以外に巻回されるように構成されてもよい。たとえば、大腿部、上腕部に巻回されるように構成されてもよい。
また、前述の実施例では、第2ゴム嚢14の長手方向の長さは、第1ゴム嚢18の長手方向の長さと略等しくされていた。しかし、第2ゴム嚢14は、カフ12が巻回された部位の動脈20からの脈波を検出するためのものであることから、その動脈20の上部に位置していればよいので、第2ゴム嚢14の長手方向の長さは、第1ゴム嚢18の長手方向の長さよりも短くてもよい。
また、前述の実施例では、配管30は配管23よりも細くされることにより絞り装置として機能していたが、そのように配管30の径を細くすることに代えて、配管30の途中にオリフィスが設けられてもよい。
また、前述の実施例では、上記絞り装置として機能する細い配管30を用いることにより、一つの空気ポンプ28および一つの切換弁24で第1ゴム嚢18内の圧力P1 および第2ゴム嚢14内の圧力P2 を同時に制御していたが、第1ゴム嚢18および第2ゴム嚢14用に、それぞれ別の空気ポンプおよび切換弁が設けられてもよい。
また、前述の実施例では、第2ゴム嚢14は、カフ12の最も下流側に位置されていたが、第2ゴム嚢14は、カフ12の下流側の範囲であれば、前述の実施形態よりも上流側に位置されてもよい。
なお、本発明はその主旨を逸脱しない範囲においてその他種々の変更が加えられ得るものである。
本発明の一実施例である血圧測定装置の回路構成を説明するブロック線図である。 図1のカフが生体の足首の装着され、カフが巻回された部位の動脈が閉塞させられている状態を示す図である。 図1の実施例における電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 カフの圧迫圧力が最高血圧値付近である場合における動脈の閉塞状態を示す図であって、(a)は、動脈の内圧が最低圧と最高圧との間である場合を示し、(b)は、動脈の内圧が最高圧である場合を示している。 図1に示すカフ12を足首に巻回した血圧測定における徐速降圧過程で得られる第1脈波M、第2脈波M、第1ゴム嚢18内の圧力Pの一部分を示す図である。 図5と同じ実験で得られた脈波M、Mから算出された遅れ時間Δtを示すグラフである。 図1の実施例における電子制御装置における制御作動の要部を説明するフローチャートである。
符号の説明
10:自動血圧測定装置
12:カフ
14:第2ゴム嚢(第2膨脹袋)
18:第1ゴム嚢(第1膨脹袋)
60:圧迫圧制御手段
64:血圧値決定手段
66:昇圧不足判定手段

Claims (3)

  1. 生体の所定部位に巻回されるカフに、該所定部位内の動脈を圧迫するために設けられた第1膨張袋と、該第1膨脹袋の内側において該第1膨脹袋の下流側に設けられ、該第1膨脹袋よりも狭幅の第2膨脹袋とを備え、該第1膨張袋内の圧力を徐速変化させる徐速圧力変化過程で前記生体から該第2膨脹袋に伝達される脈波に基づいて、前記生体の血圧値を測定する血圧測定装置であって、
    前記第1膨脹袋に生じる脈波に対する前記第2膨脹袋に生じる脈波の遅れ時間が予め設定された所定の判断基準値よりも大きいことに基づいて、前記生体の最高血圧値を決定する血圧値決定手段を含むことを特徴とする血圧測定装置。
  2. 前記血圧値決定手段による最高血圧値の決定のために、前記第1膨脹袋内の圧力を、最高血圧値よりも高い値に設定された所定の徐速降圧開始圧まで急速昇圧し、次いで、徐速降圧させる圧迫圧制御手段をさらに備えている請求項1の血圧測定装置であって、
    前記圧迫圧制御手段は、前記遅れ時間が前記判断基準値よりも大きくなったことに基づいて、前記第1膨脹袋内の圧力を急速排圧することを特徴とする血圧測定装置。
  3. 前記血圧値決定手段による最高血圧値の決定のために、前記第1膨脹袋内の圧力を、最高血圧値よりも高い値に設定された所定の徐速降圧開始圧まで急速昇圧し、次いで、徐速降圧させる圧迫圧制御手段をさらに備えている請求項1の血圧測定装置であって、
    前記第1膨脹袋内の圧力の徐速降圧過程における最初の前記遅れ時間が前記判断基準値よりも大きい場合、または、該徐速降圧過程において前記第1膨脹袋内の圧力が予め設定された最高血圧下限値となるまでに、前記遅れ時間が前記判断基準値よりも大きくならなかった場合には、昇圧不足と判定する昇圧不足判定手段を含み、
    前記圧迫圧制御手段は、該昇圧不足判定手段により昇圧不足であると判定された場合には、徐速降圧を中止して、前記徐速降圧開始圧よりも所定値高い圧力まで再昇圧した後に、再度、徐速降圧を開始することを特徴とする血圧測定装置。
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