JP4351625B2 - コンクリート廃材再生処理設備 - Google Patents

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Description

本発明は、セメント・コンクリートの廃材を再生処理して再生骨材を製造する設備に関する。
近年、セメント・コンクリート(以下、単に「コンクリート」とも記す。)の生産量は5〜6億トン/年にのぼり、その骨材となる砂利等の天然資源の採取による自然破壊が問題となっている。このため、建設廃棄物中のコンクリート廃材を原料とした再生骨材の製造が行われているが、コンクリート廃材を砕くだけの再生処理設備で製造された再生骨材は、吸水率の高いセメントモルタル(以下、単に「モルタル」とも記す。)が多く付着していて、乾燥時の収縮量が大きく、耐凍害性も低いことから、構造用コンクリートには利用できず、路盤材や埋め戻し材等へ転用されていた。
そこで、構造用コンクリートにも利用可能な高品質の再生骨材を製造するため、コンクリート廃材からセメントモルタルを除去できる再生処理設備が種々開発されている。その中でも、コンクリート廃材を粗破砕したコンクリート塊を、外筒とその内側に設けた偏心ロータとの間で互いに摩擦接触させる竪型破砕機を用いた設備は、比較的低コストで効率よくモルタルの除去を行うことができる(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかしながら、上記偏心ロータ式竪型破砕機を用いた再生処理設備においても、竪型破砕機のロータの回転速度、ロータを駆動するモータのトルク、コンクリート塊の供給量等の運転条件によっては、モルタルの除去が不十分となり、再生骨材の品質が低下する場合がある。
特開2001−239250号公報 特公平6−30755号公報
本発明の課題は、偏心ロータ式竪型破砕機を用いたコンクリート廃材再生処理設備において、高品質の再生骨材を安定して得られるようにすることである。
上記の課題を解決するために、本発明は、セメント・コンクリートの廃材を粗破砕して所定の大きさとしたコンクリート塊を、竪型破砕機のケーシング上部に形成した外筒とその内側に偏心回転可能に設けた筒状ロータとの間に供給し、前記ロータを偏心回転させてコンクリート塊どうしを摩擦接触させることにより、コンクリート塊からセメントモルタルを除去して再生骨材を製造するコンクリート廃材再生処理設備において、前記竪型破砕機から排出された再生骨材の品質情報に基づいて、コンクリート塊の竪型破砕機内での滞留時間を調整するようにした。
すなわち、竪型破砕機から排出された再生骨材の品質が低下しているという情報が得られた場合は、再生骨材の原料となるコンクリート塊の竪型破砕機内での滞留時間を長くすることにより、竪型破砕機の運転条件によらず、コンクリート塊からのモルタルの除去が十分に行われるようにして、再生骨材の品質を安定させたのである。
前記コンクリート塊の竪型破砕機内での滞留時間を調整する手段としては、前記竪型破砕機のロータの下部に前記外筒の下端と軸方向で対向する鍔状リングを設け、前記外筒を上下させることにより、その下端と前記鍔状リングとの隙間の幅を変化させるものを採用することができる。
また、前記竪型破砕機から排出された骨材の品質情報としては、前記竪型破砕機の下流側でセメントモルタルと篩い分けられた再生骨材に所定時間散水して、その色調をイメージセンサで測定した結果から推定されるセメントモルタル付着量を採用するとよい。
さらに、前記竪型破砕機の外筒下端と鍔状リングとの隙間の幅は、前記ロータの回転速度、ロータを駆動するモータの出力電流値および前記外筒とロータとの間へのコンクリート塊供給量をパラメータとして設定することが望ましい。
ここで、前記ロータの回転速度は、前記鍔状リングの下方に設けたセンサで鍔状リングの下面に取り付けた複数の検出体の通過を感知して測定するようにするとよい。
本発明のコンクリート廃材再生処理設備は、上述したように、竪型破砕機から排出された再生骨材の品質情報に基づいて、再生骨材の原料となるコンクリート塊の竪型破砕機内での滞留時間を調整するようにしたものであるから、竪型破砕機の運転条件によらず、コンクリート塊からモルタルを十分に除去でき、高品質の再生骨材を安定して得ることができる。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。このコンクリート廃材再生処理設備は、図1に示すように、セメント・コンクリート廃材を粗破砕したコンクリート塊Aを偏心ロータ式の竪型破砕機1に供給し、この竪型破砕機1でコンクリート塊Aからセメントモルタルを除去して再生骨材Bを製造するもので、竪型破砕機1の下流側で製品となる骨材Bとモルタルとを篩い分ける水平式振動篩2と、篩い分け後の骨材Bの品質情報としてモルタル付着量を計測するイメージセンサユニット3と、計測されたモルタル付着量等に基づいてコンクリート塊Aの竪型破砕機1内での滞留時間を調整するプラント制御盤4とを備えている。
前記再生骨材Bの原料となるコンクリート塊Aは、建設廃棄物中のコンクリート廃材を図示省略したジョークラッシャ等の破砕機で粗破砕して所定の大きさとしたもので、図1に示したように、供給コンベヤ5で搬送されてきて一旦ホッパ6に溜められた後、ホッパ6の排出口の下方に設けられた投入フィーダ7で竪型破砕機1に投入される。
前記竪型破砕機1は、図2に示すように、ベルト8でモータ9と連結した主軸10に所定量だけ偏心させて嵌め込んだ筒状ロータ11を、ケーシング12の外筒13の内側に偏心回転可能に設け、モータ9でロータ11を駆動して偏心回転させることにより、外筒13とロータ11との間に供給されたコンクリート塊Aどうしを摩擦接触させ、コンクリート塊Aから骨材Bに比べて強度の低いモルタルを選択的に粉砕または破砕し、骨材Bとの篩い分けが容易な大きさに粉化または小粒化して除去するものである。
外筒13は、ケーシング12上部に設けた固定筒14の内周に摺動可能に嵌め込まれ、固定筒14との間に形成された二つの環状の圧油室15、16のいずれかに油圧ポンプ17から電磁弁18を介して作動油を送ることにより、上下に移動するようになっている。一方、ロータ11の下部には外筒13の下端面と軸方向で対向する鍔状リング19が設けられ、外筒13を上下させることにより、その下端と鍔状リング19との隙間20の幅を変化させることができる。
また、ロータ11は、無負荷時には主軸10の回転方向に回転力が作用するために主軸10と同方向に回転するが、負荷時には主軸10の回転方向と反対の方向に破砕分力が作用するため、主軸10と逆方向に低速で回転する。図3にも示すように、鍔状リング19の下面には周方向に等間隔で9個の検出体21が取り付けられ、鍔状リング19の下方には、ロータ11の回転により検出体21が通過する軌跡に対応する位置に3個のセンサ22が互いに異なる間隔で設けられており、これらのセンサ22でセンサ22上を通過する検出体21を感知して、ロータ11の回転方向すなわち負荷状態を間接的に検出するとともに、検出体21の通過回数をカウントすることにより、ロータ11の回転速度を測定できるようになっている。なお、検出体21およびセンサ22の設置数や設置間隔は、図3に示した例に限らず、例えば、検出体21の設置間隔をセンサ22の設置間隔よりも大きくする等の工夫によりセンサ22の設置数を減らすこともできる。
前記水平式振動篩2は、図1に示したように、竪型破砕機1の下流側に設けられた排出コンベヤ23および回転式バケット搬送機24で搬送されてきた骨材Bとモルタルとを篩い分けるものである。なお、このとき、モルタルとともに、所定の大きさより小さくて製品とならない骨材も篩い落とされる。一方、篩2上に残った骨材Bは、製品コンベヤ25で搬送されてダンパ26へ排出された後、製品として貯蔵される。
また、前記イメージセンサユニット3は、製品コンベヤ25で搬送される骨材Bに散水ユニット27で所定時間水を噴霧し、これにより吸水した骨材Bに光源28から光を照射して、骨材Bの色調をイメージセンサとしてのCCDカメラ29で撮影し、CCDカメラ29から送られた色調データを演算装置30で推定によりモルタル付着量に変換するものである。
ここで、骨材Bの色調データからモルタル付着量への変換は、吸水率が高いモルタルの付着量が少ない骨材Bほど淡白色の部分が多く撮影されることを利用して推定するものであるが、骨材Bのモルタル付着量と色調との関係は吸水量によってかなり大きく変化する。そこで、予めこのイメージセンサユニット3において、別途モルタル付着量を厳密に測定した骨材サンプルを用い、散水時間を種々変化させてモルタル付着量を計測する実験を行い、計測値が厳密な測定値に最も近かった散水時間を実操業において設定するようにした。
なお、竪型破砕機1から排出された骨材Bの品質情報を得る手段としては、品質情報の精度、所要時間およびコストを考慮して、上記のイメージセンサを用いた方法を採用したが、これ以外にも、骨材B温度をサーモビューアで測定する方法、骨材BのX線等の通過量または反射性状を利用したスペクトル分析法、骨材Bの粒度分布別の比重を測定する方法、骨材Bに付着しているモルタルを塩酸等で溶解除去してその重量を測定するモルタル溶解サンプリング法、モータ出力から破砕に使用されたエネルギーを算出する方法、およびこれらを組み合わせた方法等を採用することもできる。
そして、前記プラント制御盤4は、イメージセンサユニット3から送られたモルタル付着量のデータに基づいて、竪型破砕機1へ操作信号を送り、外筒13を上下させてその下端と鍔状リング19との隙間20の幅を変化させることにより、コンクリート塊Aの竪型破砕機1内での滞留時間を調整している。すなわち、骨材Bのモルタル付着量が多くなった場合は、竪型破砕機1の外筒13を下降させてその下端と鍔状リング19との隙間20の幅を狭め、コンクリート塊Aの竪型破砕機1内での滞留時間を長くすることにより、モルタルの除去が十分に行われるようにしている。
このとき、竪型破砕機1の外筒13下端と鍔状リング19との隙間20の幅の設定値は、ロータ11の回転速度、ロータ11を駆動するモータ9の出力電流値および外筒13とロータ11との間へのコンクリート塊供給量をパラメータとして決定され、竪型破砕機1の運転条件に応じて効率よく十分なモルタル除去が行われるコンクリート塊滞留時間が得られるようになっている。コンクリート塊供給量は、竪型破砕機1上方に設けたレベルセンサ31で測定される。
また、このプラント制御盤4には、レベルセンサ31の出力に基づいて投入フィーダ7の速度を制御して、竪型破砕機1へのコンクリート塊供給量を調整する機能も備わっている。すなわち、コンクリート塊Aの竪型破砕機1内での滞留時間を長くするときには、投入フィーダ7の速度を遅くしてコンクリート塊Aの供給を抑えるようになっている。
このコンクリート廃材再生処理設備は、上記の構成であり、竪型破砕機1から排出された再生骨材Bのモルタル付着量を計測し、その計測値に基づいてコンクリート塊Aの竪型破砕機1内での滞留時間を調整するようにしたので、竪型破砕機1の運転条件によらず、コンクリート塊Aからのモルタルの除去を十分に行うことができ、高品質の再生骨材Bを安定して得ることができる。
実施形態のコンクリート廃材再生処理設備の概略図 図1の竪型破砕機の正面断面図 図1の竪型破砕機のロータ回転速度測定方法の説明図
符号の説明
1 竪型破砕機
2 篩
3 イメージセンサユニット
4 プラント制御盤
7 投入フィーダ
9 モータ
11 ロータ
12 ケーシング
13 外筒
19 鍔状リング
20 隙間
21 検出体
22 センサ
27 散水ユニット
28 光源
29 CCDカメラ
30 演算装置
31 レベルセンサ
A コンクリート塊
B 骨材

Claims (1)

  1. セメント・コンクリートの廃材を粗破砕して所定の大きさとしたコンクリート塊を、竪型破砕機のケーシング上部に形成した外筒とその内側に偏心回転可能に設けた筒状ロータとの間に供給し、前記ロータを偏心回転させてコンクリート塊どうしを摩擦接触させることにより、コンクリート塊からセメントモルタルを除去して再生骨材を製造するコンクリート廃材再生処理設備において、前記竪型破砕機の下流側でセメントモルタルと篩い分けられた再生骨材に所定時間散水して、その色調をイメージセンサで測定した結果から推定される再生骨材のセメントモルタル付着量に基づいて、コンクリート塊の竪型破砕機内での滞留時間を調整するようにしたことを特徴とするコンクリート廃材再生処理設備。
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