JP4350287B2 - 立体網目状構造体、立体網目状構造体の製造方法及び立体網目状構造体の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱材、クッション材等に使用する立体網目状構造体の製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、空隙を有する立体網目状構造体の製造方法としては特公昭50−39185号記載の方法或いはポリエステル繊維を接着剤で接着した樹脂綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭60−11352号等が公知である。また、一方、無端ベルトで樹脂糸を巻き込むことで空隙を有する立体網目状構造体を製造する方法或いは製造装置があり、特開平11−241264号等に示す発明が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした立体網目状構造体製品のリサイクルへの要求は多様化しており、現状では対応できないことがある。例えば、2種類以上の樹脂を混合してリサイクル利用する場合、リサイクルの際に、分離できる原料と、分離できない原料とがあり、リサイクルの現場では、分離できない原料が混じってしまい、せっかくリサイクルしようとしても、リサイクル利用が実際上、不可能となることがある。また、同一の原料であっても、粗密を形成したい場合、中空部を後から作りたい場合等、形状を変更したい場合、或いは、成形性を高めたい場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、熱可塑性樹脂のリサイクルに支障が起きないようにすること、形状の変更容易性を可能とすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記諸課題に鑑み、請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、複数本の線条が螺旋状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着した、四辺形の断面を有する三次元網目状構造体であって、前記四辺形を形成する外周の四面が全て成形されることによって、該外周の四面全ての表面側の密度が、該表面側を除く部分の密度より相対的に高く、2以上の領域を備え、該2以上の領域が押出し成形機の別々の経路により供給される線条によって成形されたことを特徴とした立体網目状構造体である。これにより内側領域と、外側領域の原料が異なる場合、リサイクルの際には、前記内側領域と外側領域とを分離してリサイクルすることができ、分離できない原料でも有効に利用することができる。原料が同一の場合でも、成形性等が向上する。また、内側領域と外側領域の原料が同一である場合、分離することで形状を変更可能にできる。従って、前記課題が好適に解決できる。
【0006】
上記諸課題に鑑み、請求項2記載の発明は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とする溶融した少なくとも2種類の線条を複数の孔及び複数のチャンバを有する複合ダイスからそれぞれ下方へ押し出し、一部水没した、引取機の間に自然降下させ、該降下速度より前記線条を遅く引き込むことにより立体網目状構造体を製造する際、前記引取機は、互いに対向するものが2対あり、該2対の引取機によって押し出し方向と垂直な方向に四辺形が形成され、押出された線条の集合体の幅より前記互いに対向する引取機の間隔が狭く設定され、前記引取機が水没する前後に前記線条の集合体の外周の四面全てが前記引取機に接触することにより成形され、前記押し出し方向と平行な外周の四面全ての表面側の密度が、前記表面側を除く部分の密度より相対的に高くなり、更に、前記複合ダイスには、原料が別々に供給されることを特徴とした立体網目状構造体の製造方法である。これにより請求項1と同様の課題が達成できる。別々に供給される原料は、同一種類の物でも異なる種類のものでも良い。
【0007】
上記諸課題に鑑み、請求項3記載の発明は、2以上のチャンバを有し複数の孔を有する口金を先端部に有する複合ダイスを備え、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とする溶融した少なくとも2種類の線条を別々の経路を経て前記口金の孔から下方へ押し出す押出し成形機と、水槽と、該水槽に一部水没した、2対の互いに対向する引取機を備え、該2対の引取機によって押し出し方向と垂直な方向に四辺形が形成され、前記線条を前記引取機の間に降下させ、該降下速度より前記線条を遅く引き込むように前記引取機の速度を設定し、前記押し出された線条の集合体の幅より前記互いに対向する引取機の間隔が狭く設定され、前記引取機が水没する前後に前記線条の集合体の外周の四面全てが前記引取機に接触することにより成形され、前記押し出し方向と平行な外周の四面全ての表面側の密度が、前記表面側を除く部分の密度より相対的に高くなることを特徴とした立体網目状構造体製造装置である。これにより請求項1と同様の課題が達成できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下第1実施形態の立体網目状構造体1は、図1及び図2(a)の通り、再生熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、複数本の線条が螺旋状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着した板状の三次元網目状構造体であることを特徴とした立体網目状構造体である。また、原料が同一又は異なる、内側領域1aと外側領域1bとから構成されている。内側領域1aと外側領域1bの境界は実線で示す。この実線は境界を示すための仮想的な線であり、以下のその他の実施形態でも同様である。前記三次元網目状構造体の二面、三面又は四面の表面側の密度が、前記表面側を除く部分の密度より相対的に高いことが好ましい。即ち、第1実施形態の立体網目状構造体1(図2(a)参照)は、二面成形であり、対向する他の一面から内部に向かって所定間隔の領域は密度が高く成形されたものであり、中央部内部の領域の密度はそれよりも低く設定され他の一面が不揃いと成っている。このため、後工程で加工することがない利点が生じる。つまり、幅の広い一対の面及び一側面は後述の無端コンベア等によって強制的に成形され、端縁が他の面よりもきれいに揃えられている。
【0009】
ここでは再生熱可塑性樹脂の原料又は主原料としてPETボトルのフレーク状又はチップ状を使用する。PETボトルをそのまま粉砕しそれを溶融させてフレーク形状にしたものである。リサイクル促進の時代にも適合している。これが再生品ではなく、純正品であると、乾燥結晶化、或いはごみ除去等、コスト的に1m2あたりの製造費が倍増する。廃棄処理コスト削減に威力を発揮できる。しかしながら、再生以外の熱可塑性樹脂等においても適用可能である。例えば、熱可塑性樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン66等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、上記樹脂をベースとし共重合したコポリマーやエラストマー、上記樹脂をブレンドしたもの等が挙げられる。更に、立体網目状構造体1の用途としては、主として、クッション材、衝撃吸収材、断熱材、吸音材等が挙げられる。建築用の床材の下又は内部に適用される例が挙げられるが、壁体の内部に適用することもできる。この第1実施形態は概ね内部が均一な密度に成形されたものである。見掛密度は0.02〜0.9g/cm3(空隙率36〜98.4%に相当する)が好ましく、0.05〜0.15g/cm3が特に好ましい。立体網目状構造体1は例えば幅0.1m〜2m、厚さは5mm〜200mmが好ましく、長さ方向においては無端状であり、適宜の長さ(例えば900mm)に切断するが、それらのサイズ例に限定されるわけではない。
【0010】
第2実施形態の立体網目状構造体2(図2(b)参照)は、三面成形であり端面と一側面を除き全ての面が揃えられており、右側面を除き、全ての面から内部に向かって所定間隔の領域は密度が高く成形されたものである。また、原料が同一又は異なる内側領域2aと外側領域2bとから構成されている。
【0011】
第3実施形態の立体網目状構造体3(図2(c)参照)は、四面成形であり端面を除き全ての面が揃えられており、第1実施形態の立体網目状構造体1の左右側面から内部に向かって所定間隔の領域は密度が高く成形されたものであり、中央部内部の領域の密度はそれよりも低く設定されている。即ち、全ての側面から内部に向かって所定間隔の領域は密度が高く成形されたものである。また、原料が同一又は異なる内側領域3aと外側領域3bとから構成されている。
【0012】
第4実施形態の立体網目状構造体4(図2(d)参照)は、単数又は複数(ここでは1個)の中空部4cを備えたものであり、コストの更なる削減等を目的とするものである。また、原料が同一又は異なる内側領域4aと外側領域4bとから構成されている。
【0013】
第5実施形態の立体網目状構造体5(図3(a)参照)は、原料が同一又は異なる三層の領域5a,5b、5cから構成されている。三層の領域の原料が全て異なっていても、また、領域5aと領域5cとが同一原料で、領域5bが異なる原料であっても良い。さらに、三層の領域の原料が全て同一であっても良い。三層の領域5a,5b,5cは長手方向に分割されている。
【0014】
第6実施形態の立体網目状構造体6(図3(b)参照)は、原料が同一又は異なる二層の領域6a,6bから構成されている。二層の領域6a,6bの原料が異なっていても、また、同一であっても良い。二層の領域6a,6bは横幅方向に分割されている。
【0015】
第7実施形態の立体網目状構造体7(図3(c)参照)は、原料が同一又は異なる二層の領域7a,7bから構成されている。二層の領域7a,7bの原料が異なっていても、また、同一であっても良い。第5及び第6実施形態と異なり、領域の分割方向が厚み方向となっている。
【0016】
第8実施形態の立体網目状構造体8(図4(a)参照)は、内部において、密度の高いシート8a(空隙がない充填領域)を部分的に厚さ方向の所定位置に形成することで、吸音性、断熱性、耐衝撃性、クッション性等を高めたものである。シート8aは正面から見るとほぼ直線状になっている。また、シート8aの周囲に線条8bが絡まりあっている。シート8aは図示の通り横幅一杯に設けても良いし、例えば中央部分等に部分的に設けても良い。
【0017】
この第8実施形態の変形例においては、立体網目状構造体8(図4(b)参照)のシート8aは側面から見て概ね波型に形成されており、吸音性、断熱性、耐衝撃性、クッション性等を高めたものである。こうした波型に成形できるのは、後述の通り、ロールの引き取り速度が線条(樹脂糸)の下降速度よりも遅いからである。シート8aの波の間隔、高さ、幅等は製造条件によって異なり、図示のものに限られるものではない。波の間隔が狭い場合、シート8aが互いに接着されることもある。第8実施形態は、図14(d)のスリット(直線状溝)77bを使用することで製造できる。
【0018】
その他、図示は略すが、断面形状が三角形状、Y型形状等の様々な異形断面となるものについても実施可能である。以上の通り、口金に設けた2以上の領域に別々に供給することで、原料の温度、或いは線条の射出速度等の製造条件の調整が容易である。
【0019】
(立体網目状構造体製造装置)
次に、立体網目状構造体製造装置10を説明する。
この立体網目状構造体製造装置10は、図5の通り、押出成形機11、無端部材12,13を備えた一対の無端コンベア14,15(図8参照)、無端部材12,13を駆動する駆動モータ16、チェーン及び歯車から構成され無端部材12,13の移動速度を変速させる変速機17、一対の無端コンベア14,15を一部水没させる水槽18、制御装置19、その他計器類等から構成されている。
【0020】
無端部材12,13は複数の金属製(ここではステンレス等)の板材21が所定の隙間22(図10(a)参照)を設けて複数(ここでは各2本)の無端チェーン12a,13a(図9(a),(b)参照)にねじ(図示略)で連結されたものである。これに代えて図10(b)の通り、隙間22を無くしたステンレスメッシュ(金網)の平ベルト23でも良い。このメッシュベルトは、スパイラル(螺旋)とロッド(力骨)を組み合わせてできたものであり、この2つの要素の形状、線径、ピッチにより、様々なタイプができあがる。動きが滑らかでベルト表面を水平に保つことに優れ、高温使用に優れ、補修も簡単である。或いは、図9の点線で示す通り、ステンレスメッシュの平ベルト23を無端部材12,13の外周に張設したものも実施可能であり、隙間22による凹凸の形成を防止したい場合に好適である。また、板材21の断面は長方形であるが、凸形のもの24(図10(c)参照)、凹形のもの25(図10(d)参照)、鋸歯形のもの26(図10(e)参照)、連続的に形成された凹凸形のもの27(図10(f)参照)等様々な変更形態が考えられる。
【0021】
無端コンベア14は、図8の通り、上下に配置された、前記無端チェーン12aが巻き掛けられたスプロケット14aを有する駆動軸14bと、スプロケット14cを有する従動軸14dを備えている。また、無端コンベア15は無端コンベア14と同期して駆動され、上下に配置された、前記無端チェーン13aが巻き掛けられたスプロケット15aを備えた従動軸15bと、スプロケット15cを備えた従動軸15dとを備えている。
【0022】
図5の通り、押出成形機11は、同一又は異なる熱可塑性樹脂原料が貯留されたコンテナ31a及び31b、コンテナ31a及び31bの上部にそれぞれ設けた原料供給口32a及び32b、コンテナ31a及び31bとそれぞれ接続された原料供給管33a及び33bと、原料供給管33a及び33bとパッキン34a及び34bを介装させて接続された複合ダイス35(図6参照)、複合ダイス35の下端部に脱着自在に固定可能な口金36(図6参照)等から構成されている。原料供給管33aは、途中で複数本(ここでは4本)に分岐され、原料供給管33bの上に跨設されている。また、原料供給管33aの下端部は原料供給管33bの下端部の周囲に配置されている。複合ダイス35は、図6(a),(b)の通り、外枠38の内側領域に枠状の隔壁39が形成されて複合ダイス35の内部を2つのチャンバ37a及び37bに区画し、原料供給管33a又は33bを経て供給されてくる同一種類の原料又は2種類の異なる原料が混合しないように構成している。原料が同一の場合でも、押し出し速度を別々に調整するためには、隔壁39を設けることが望ましい。押出成形機11のダイス内部の温度範囲は100〜400℃、押出量は20〜200Kg/時間、等に設定可能である。複合ダイス35の圧力範囲は0.2〜25MPa、例えば、75mmスクリューの吐出圧である。立体網目状構造体の厚さが100mmを越えるとギヤポンプ等によりダイス圧力の均一が必要である。したがって、ダイス内全域から均等に線条を吐出させるためにギヤポンプ等によりダイス内の圧力を上げることが必要となる。このとき立体網目状シートの形状を形成するため、無端コンベア14,15の各面は自由に移動できる構造とし、複合ダイス35の口金36の形状(孔の密度又は径)と無端コンベア14,15の搬送速度により所望の密度、強度をもった製品を製造することができ、製品の多様な要求を満足させることができる。なお、原料供給管33aを4本に分岐させたが、2本(図7(a)参照)、3本(図7(b)参照)等の適宜数の本数に分岐させても良い。
【0023】
ここで、図11(a),(b)に示す通りの四面成形機である場合の立体網目状構造体製造装置50を説明する。この立体網目状構造体製造装置50は、図8に示す二面成形の場合の無端コンベア14,15に対応した、回転軸54a,55aを有する無端コンベア54,55と、これらの無端コンベア54,55の長手方向端部にそれらと回転軸が直交して配置された回転可能な回転軸56a,57aを備えた一対のロール56,57が配置されている。回転軸54aにはそれぞれ傘歯車54b,54cが設けられ、回転軸56a,57aにもそれぞれ傘歯車56b,57bが設けられ、傘歯車54b,54c及び傘歯車56b,57bが歯合され、回転軸54a,55aはチェーンCを介してモータMによって同期駆動され、従って、回転軸56a,57aも同期駆動されるようになっている。回転軸56a,57aの他端部は軸受58a,58bで支持されている。
【0024】
図11(c)の通り、無端コンベア54,55と同様な構造で短尺の一対の無端コンベア59a,59bを直交して配置したものでも良い。この場合、一層、成形を精密に行うことができ、寸法精度が向上する。
【0025】
図11(d)の通り、四面成形を用いて製造ができる。また、図11(e)の通り、これを用いて、三面成形を行うこともできる。即ち、立体網目状構造体の種類によってはダイスを2系列設けて、平行して線条を押し出すようにすれば、生産効率が2倍となる。
【0026】
図12の通り、変更形態の立体網目状構造体製造装置60としては、前述の同期駆動に替えて、駆動源(モータ等)をそれぞれ設けて、無端コンベア64,65と、ロール66,67(無端コンベアとしても良い)とが独立駆動するような構成も可能である。即ち、三面又は四面成形の場合、回転軸64a,65aを有する無端コンベア64,65と、これらの無端コンベア64,65の長手方向端部にそれらと回転軸が直交して配置された回転可能な回転軸66a,67aを備えた一対のロール66,67が配置されている。回転軸66a,67aにもそれぞれモータMが設けられ、独立駆動されるようになっている。回転軸66a,67aの他端部は軸受68a,68bで支持されている。
【0027】
口金36には2以上の領域が形成され、別々に原料が供給されるようになっている。このため、線条の押し出し速度、或いは押し出し量の調整が非常に容易になり、成形性が格段に向上する効果がある。口金36の穴は直列下降であり、穴があいてここから糸が下方向に降下して出てくる。等間隔でも良いし、非等間隔でも良い。穴は千鳥状、直交状等、様々な配列を取り得る。配列密度を変えたい場合、積極的に端部領域だけ密度を高くする方法をとることもある。口金の形態を様々に変形されることで製品の多様な要求を満足させることができる。以下に代表例を例示する。
1.0m×180mmの面積に直径0.5mmの約3500個の孔Hがほぼ等間隔で形成された口金71(口金の孔Hの設けた領域の大きさの範囲は口金71の面積の90%を占める)(図13(a)参照)が挙げられる。この口金71は内側領域71aと外側領域71bとが点線で示す隔壁71cで区画され、それぞれ、原料供給管33a及び33bに対応して、同一又は異なる原料の線条が別個独立に押出されるようになっている。
多数の孔Hを備えた内側領域72aと外側領域72bとが点線で示す隔壁72cで区画され、内側領域72aを外側領域72bに対して偏倚させ、内側領域72aに対応する線条を分離しやすくした口金72(図13(b)参照)が挙げられる。
多数の孔Hを備えた内側領域73aと外側領域73bとが点線で示す隔壁73cで区画され、内側領域73aを外側領域73bが両側から挟んだもので、且つ、中空部作成のため、該当する個所に孔Hが設けられていない領域73d,73eを形成し、該領域の下部に下方に延び出す角形の誘導部材(パイプ等)73f,73gを設けた口金73(図13(c),(d)参照)が挙げられる。
多数の孔Hを備えた上側領域74aと中央領域74bと下側領域74cとを点線で示す隔壁74d及び74eで区画し3段(3層)とした口金74(図14(a)参照)が挙げられる。
多数の孔Hを備えた上側領域75aと下側領域75bを点線で示す隔壁75cで区画し2段(2層)とした口金75(図14(b)参照)が挙げられる。
多数の孔Hを備えた左側領域76aと右側領域76bを点線で示す隔壁76cで区画し2列(2層)とした口金76(図14(c)参照)が挙げられる。
多数の孔Hのある領域77aと、所定方向(ここでは長手方向)に並行に中央部等の適宜の位置に形成したスリット(直線状溝)77bとを、点線で示す隔壁77cで区画した口金77(図14(d)参照)が挙げられる。スリット77bは隔壁77cの領域内に存在する。スリット(直線状溝)77bの溝幅、長さ又は位置は適宜選択できる。仮に多数の孔Hのある領域77aとスリット(直線状溝)77bとに同一のダイスから原料を供給すると、図4(b)の波形が崩れて成形性が悪いことがあるが、上述の口金77によれば、2種類以上の押出成形機11から原料が別個独立して、領域77aの孔Hと、スリット77bとに供給されることから、好適な波形が得られる効果がある。なお、スリット77bに代えて孔Hを設けても良い。その場合、孔Hの密度を高くすると良い。
その他、多様な仕様が実施可能である。前記口金に形成された孔Hの密度は、1〜5個/cm2が好ましい。
【0028】
(立体網目状構造体の製造方法)
この立体網目状構造体1は次のように製造される。まず再生PETボトルフレークを加水分解防止のため加熱し乾燥させ、これに適宜仕上がりを良好にする薬剤、又は抗菌剤等を添加することもある。口金36からフラットに線条が降下すると、無端コンベア14,15の無端部材12,13の巻き込み作用により螺旋状に巻かれる。巻いたときに無端部材12,13の面に当たったところから、巻き込んでいく。巻き込まれた部分は密度が大きく、巻き込まれない部分は密度が小さい。
【0029】
つぎに、図8の通り、溶融した熱可塑性樹脂を複数の複合ダイス35より下方へ押出し、一部水没した1対の無端コンベア14,15の間に自然降下させ、上記の降下速度より遅く引き取ることにより三次元網目状構造体である立体網目状構造体1を製造する際に、押出された溶融樹脂の集合体の幅より1対の無端コンベア14,15の間隔が狭く、かつ無端コンベア14,15が水没する前後に上記溶融樹脂の集合体の両面が無端コンベア14,15に接触するようにした。
【0030】
溶融した熱可塑性樹脂の集合体の両面の表面部分は、無端コンベア14,15上に落下し、溶融した熱可塑性樹脂の集合体の内側へ移動し密な状態となるため、水中にそのまま落下した中央部分より空隙率が小さくなるわけである。当然ながら空隙率が低くなった表面部分は、空隙率が高い中央部分より交点の数が多くなり、引張り強度が著しく強くなる。また、空隙率が低い表面部分は空隙部の面積が小さくなり、衝撃吸収層、吸音層、断熱層等となるわけである。
【0031】
立体網目状構造体1として機能するためには、全体の空隙率は、使用する現地施工状況にもよるが、80%〜98%の空隙率の範囲が良好であるとの結果が得られた。つまり、密度が大きいと音、熱等がブロックされると考えられる。リサイクル吸音建材等として十分な機能を発揮するには、空隙率は少なくとも80%以上にすると良いという結果が得られた。つまり、空隙率が80%より小さいと、衝撃吸収効果、吸音効果、断熱性が期待したほど向上しなかった。この空隙率については、立体網目状構造体1の用途に応じて、80%以上98%以下の範囲で適宜設計すると良い。
【0032】
立体網目状構造体1の表面部は、空隙率が低くなっており、表面から、線条径の1倍〜3倍までの距離の部分、概ね数mm程度である。本発明の立体網目状構造体1の構造上、その表面部は線条が密になっていて、線条同士が重なり合っている部分もあり、空隙率が98%以下の範囲では、線条が3本程度まで重なり合っている部分が確認できた。また線条径とは立体網目状構造体1を構成している線条の断面形状が円形の場合は、その直径のことであり、断面形状が角形等円形でない場合は、断面が円形であると仮定してその断面積から求めた直径のことである。
【0033】
ここで使用する熱可塑性樹脂としては、再生熱可塑性樹脂、例えば、PETボトルを粉砕し、フレークとしたものを原料又は主原料とする。しかし、再生品ではなくバージンでも良い。また、主原料にポリプロピレン等のポリマー或いは複数のポリマーをブレンドしたもの等、通常の押出成形機で加工のできる樹脂であれば問題ない。
【0034】
異形立体網目状体を製品形状にする工程をダイスの内部圧力を均一化し、引取面を二面、三面又は四面又は中間部で引き取る構造とした。これにより見掛密度0.02〜0.9g/cm3を可能とし、溶融した線条を無秩序な螺旋形状から平板状とし、また、厚さ方面の前面、後面、左端面、右端面の立体網目状構造体表面部を平面、凸凹の異形形状とすることを特徴とする。三次元網目状構造体を形成するためのダイスの口金形状を丸棒、異形(パイプ、Y形)等の形状とその複合による組合せとすることにより、多様な三次元網目状構造体を可能とする。また、立体網目状構造体を引取機のロール圧縮によって超密構造体のシート構造体とする。ダイスから再生PET樹脂が均一して吐出されるためにダイス内圧の均一化を行い、また、立体網目状シート製造をする際に押出された溶融樹脂の集合体の三面又は四面をコンベアで形状形成するため、引取コンベアに接触するようにした。つまり溶融した再生PET樹脂の集合体の三面又は四面表面部を製品形状に対応した形状にする。例えば必要により多角形等のコンベアに樹脂集合体を引取り製品を形成する。立体網目状シートを得る方法の一つとしては、溶融した樹脂を複数のダイスより下方へ押し出し、水面、又は一部水没したコンベアの間に自然降下させることにより、無秩序な螺旋形状を作り出し立体網目状シートとなる。
シートの幅1.0m、厚さ100mmとした場合、無端コンベアの速度を変化させることにより密度は変化することを確認した。
さらに押出機の吐出量の変化により密度が変化することを確かめた。
【0035】
スクリューの直径が75mmの単軸押出し機に、1.0m×180mmの面積の複合ダイス35に、直径0.5mmとされた、ほぼ等間隔で約3500個の孔Hを有する口金36を取り付けた。複合ダイス35の下約120mmの位置に水位がある水槽18を設置し、幅1.2mの無端コンベア14,15を50mmの間隔をあけて1対、無端コンベア14,15の上部が40mm程度水面から出るようにほぼ垂直に設置した。
【0036】
この装置で、再生PET樹脂を熱を加えて可塑化しながら樹脂温度が260℃になるように、複合ダイス35の温度をコントロールして、1時間当たり120kgの押し出し量で口金36から出た溶融樹脂の集合体の両面が無端コンベア14,15に落ちるようにそれらの間に押出した。この時の無端コンベア14,15の引取速度は0.7m/分とした。無端コンベア14,15に挟まれて下方へ移動した成形物は、水槽18の下部で向きを変え、押出し機とは反対の側から水面へと移動し、水槽18から出た時点で圧縮エアー又は真空ポンプで水分を吹き飛ばした。
【0037】
このようにして得られた三次元網目状構造体は、幅1.0m、厚さ50mmで、密度は、0.07〜0.14g/cm3が得られた。断熱材、下地材、吸音材、排水パイプ等の用途が挙げられる。
【0038】
以上説明した立体網目状構造体1によれば、分離が難しい樹脂或いは分離が不可能な樹脂を内側領域1aとし、分離が可能な樹脂を外側領域1bとし、これをリサイクルの際に分離することで、繰り返しリサイクルを行うことができ、円滑なリサイクルに資することになる。
【0039】
また本実施形態により現状では用途のないPETボトルに立体網目状構造体としての用途ができ、PETボトルの回収率が高まると考えられる。これにより、PETボトルのリサイクルが大いに促進される。
【0040】
図15のように、上述の実施形態において、無端部材12、13を削除し、ロール82,83,84を3個設け直接ロールと線条とが接触する構造、或いは、点線で示すロール85を追加した構造としても良い。
【0041】
尚、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲に於て、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
【0042】
【発明の効果】
請求項記載の発明によれば、熱可塑性樹脂の特性に応じて領域を区分けした立体網目状構造体を製造でき、熱可塑性樹脂のリサイクルが円滑に行われる。また、領域を分離する等簡単な作業によって形状を後から変更できる利点が生じる。また、複数の押出し機から別個独立に口金に原料を供給することから、立体網目状構造体の成形性が向上する。これにより各種産業に与える工業的利用価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態の立体網目状構造体の斜視図である。
【図2】(a)は本発明第1実施形態の立体網目状構造体の縦断面図、(b)は第2実施形態の立体網目状構造体の縦断面図、(c)は第3実施形態の立体網目状構造体の縦断面図、(d)は第4実施形態の立体網目状構造体の縦断面図である。
【図3】(a)は本発明第5実施形態の立体網目状構造体の縦断面図、(b)は第6実施形態の立体網目状構造体の縦断面図、(c)は第7実施形態の立体網目状構造体の縦断面図である。
【図4】(a)は本発明第8実施形態の立体網目状構造体の縦断面図、(b)は同側面図である。
【図5】本発明実施形態の立体網目状構造体製造装置の斜視図である。
【図6】(a)は本発明実施形態の立体網目状構造体製造装置の複合ダイスの口金上部付近における横断面図、(b)は複合ダイスの下部の正面図である。
【図7】(a),(b)は本発明実施形態の立体網目状構造体製造装置の変更形態の説明図である。
【図8】本発明実施形態の立体網目状構造体製造装置の製造の様子を示す説明図である。
【図9】(a),(b)は同立体網目状構造体製造装置の無端コンベアの側面図及び正面図である。
【図10】(a)〜(f)は同立体網目状構造体製造装置及び変更形態の無端部材の側面図である。
【図11】(a)は四面成形の場合の立体網目状構造体製造装置の無端コンベアの平面図、(b)は同立体網目状構造体製造装置の側面図、(c)は他の形態の四面成形の立体網目状構造体製造装置の側面図、(d)は同立体網目状構造体製造装置による四面成形の様子を示す平面図、(e)は同立体網目状構造体製造装置による三面成形の様子を示す平面図である。
【図12】四面成形の場合の独立駆動構造の立体網目状構造体製造装置の無端コンベアの平面図である。
【図13】(a),(b),(d)はダイスの口金の各種形態を示す平面図、(c)は(d)の正面図である。
【図14】(a)〜(d)はダイスの口金の各種形態を示す平面図である。
【図15】ロールによる立体網目状構造体製造装置の要部を示す説明図である。
【符号の説明】
1〜8…立体網目状構造体、4c…中空部、
10…立体網目状構造体製造装置、11…押出成形機、
12,13…無端部材、14,15…無端コンベア、14a…スプロケット、
14b…駆動軸、14c…スプロケット、14d…従動軸、
15a…スプロケット、15b…従動軸、15c…スプロケット、
15d…従動軸、16…駆動モータ、17…変速機、18…水槽、
19…制御装置、31a,31b…コンテナ、32a,32b…原料供給口
33a,33b…原料供給管、34a,34b…パッキン
35…複合ダイス、36…口金、50…立体網目状構造体製造装置、
54,55…無端コンベア、54a,55a…回転軸、
54b,54c…傘歯車、56,57…ロール、56a,57a…回転軸、
56b,57b…傘歯車、58a,58b…軸受
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、複数本の線条が螺旋状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着した、四辺形の断面を有する三次元網目状構造体であって、
前記四辺形を形成する外周の四面が全て成形されることによって、該外周の四面全ての表面側の密度が、該表面側を除く部分の密度より相対的に高く、
2以上の領域を備え、
該2以上の領域が押出し成形機の別々の経路により供給される線条によって成形されたことを特徴とした立体網目状構造体。 - 熱可塑性樹脂を原料又は主原料とする溶融した少なくとも2種類の線条を複数の孔及び複数のチャンバを有する複合ダイスからそれぞれ下方へ押し出し、一部水没した、引取機の間に自然降下させ、該降下速度より前記線条を遅く引き込むことにより立体網目状構造体を製造する際、前記引取機は、互いに対向するものが2対あり、該2対の引取機によって押し出し方向と垂直な方向に四辺形が形成され、押出された線条の集合体の幅より前記互いに対向する引取機の間隔が狭く設定され、前記引取機が水没する前後に前記線条の集合体の外周の四面全てが前記引取機に接触することにより成形され、
前記押し出し方向と平行な外周の四面全ての表面側の密度が、前記表面側を除く部分の密度より相対的に高くなり、
更に、前記複合ダイスには、原料が別々に供給されることを特徴とした立体網目状構造体の製造方法。 - 2以上のチャンバを有し複数の孔を有する口金を先端部に有する複合ダイスを備え、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とする溶融した少なくとも2種類の線条を別々の経路を経て前記口金の孔から下方へ押し出す押出し成形機と、
水槽と、
該水槽に一部水没した、2対の互いに対向する引取機を備え、
該2対の引取機によって押し出し方向と垂直な方向に四辺形が形成され、
前記線条を前記引取機の間に降下させ、該降下速度より前記線条を遅く引き込むように前記引取機の速度を設定し、
前記押し出された線条の集合体の幅より前記互いに対向する引取機の間隔が狭く設定され、
前記引取機が水没する前後に前記線条の集合体の外周の四面全てが前記引取機に接触することにより成形され、
前記押し出し方向と平行な外周の四面全ての表面側の密度が、前記表面側を除く部分の密度より相対的に高くなることを特徴とした立体網目状構造体製造装置。
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