JP4345350B2 - 画像サンプル数変換方法及び画像サンプル数変換装置 - Google Patents

画像サンプル数変換方法及び画像サンプル数変換装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像サンプル数変換方法及び画像サンプル数変換装置に係り、特に入来画像信号を異なった画像フォーマットの画像信号に変換する場合に、入来画像信号の水平方向または垂直方向の画素列を、あらかじめ設定されたサンプル数変換比(変換後サンプル数/変換前サンプル数)でサンプル数変換する画像サンプル数変換方法及び画像サンプル数変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル動画像信号においては、各種フォーマットが存在する。放送で使われているフォーマットとしては、水平方向画素数と垂直方向画素数(走査線数)が720×480、1280×720、1920×1080などがある。720×480の場合は、画面のアスペクト比が16:9の場合と4:3の場合がある。
【0003】
コンピュータディスプレイで用いられる画像サイズは640×480、800×600、1024×768、1280×1024、1600×1200などが一般的である。静止画像においては前記コンピュータディスプレイに準じたものが一般的であるが、用途により任意の画像サイズが存在する。一方、液晶やPDPなどの表示パネルの画素は、上記の何れかに合わせた場合もあるが、1365×768など、いずれとも異なる場合もある。
【0004】
従って、画像の処理、記録、伝送、表示において、画像フォーマットを合わせるために、画像の水平方向画素数や垂直方向画素数(走査線数)を変換することが必要になる。そのような変換では、原画像信号の周波数特性を保持し、かつ、折返し歪みを生じることなく変換することが望まれる。また、フォーマットの変換は色々なパターンが存在するので、特定の比率のみに対応するのでなく、任意の変換比率が実現できる変換方法が望まれる。
【0005】
画像フォーマット変換は、サンプル数変換(リサンプル)により実現される。この処理はサンプル数を増加させる場合(拡大)と減少させる場合(縮小)で異なる。拡大では、原画像信号の周波数特性を保つため、フィルタで帯域制限は行われない。すなわち、全域通過の位相シフトフィルタ(All Pass Filter)を使い、サンプルの位相のみずらす。
【0006】
一方、縮小では、縮小された画像で折り返し歪み(エリアシング)を生じないようにするため、変換比(変換後サンプル数/変換前サンプル数)に合わせてリサンプルフィルタの帯域を制限する必要がある。すなわち、低域通過フィルタ(Low Pass Filter)を使ってサンプルの位相をずらす。通過帯域は変換比に応じて変える必要がある。
【0007】
画質を保持したまま任意の変換比とするためには、周波数特性の良い多タップの非巡回型(FIR)フィルタの係数を、サンプル毎にダイナミックに変化させる必要がある。このようなダイナミックフィルタの実装は、処理量や回路量が極めて大きくなる。
【0008】
そこで、比較的簡単な構成で実現できる方法として、高次の固定ディジタルフィルタで周波数特性を保ったまま、所定の整数倍率でオーバーサンプルし、オーバーサンプルされた信号を線形内挿補間などで任意の比率に変換する画像サンプル数変換方法及び装置が従来、提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
図7はこの特許文献1記載の従来の画像サンプル数変換方法及び装置の一例の構成図を示す。同図において、画像入力端子1より入来する画像信号は、高次補間フィルタ21に入力される。高次補間フィルタ21は入力画像信号を整数倍の比率でアップサンプルし、画素遅延器22と乗算器24に供給する。アップサンプルの変換比は2倍とする。アップサンプル処理のための補間フィルタは、周波数特性を保つためタップ数が多い高次のものである。
【0010】
画素遅延器22は、2倍密度にアップサンプルされた画像信号を1サンプル分遅延させ乗算器23に供給する。乗算器23は、係数発生器26から供給される係数kを1画素遅延した2倍密画像信号に乗算し、加算器25に供給する。乗算器24は係数発生器26から与えられる係数から、2倍密画像信号に(1−k)を乗算し、加算器25に供給する。加算器25は重み付けされた2倍密画像信号の隣接2画素を加算し、変換画素を得る。
【0011】
得られた変換画素は間引き器6で変換比に応じて間引かれ、画素バッファ7に供給される。ここでの変換画素は2倍密画像に対するものなので、間引きはそれを考慮して行う。画素バッファ7は、間欠的に供給される変換画素を一旦蓄え、均一の速度で読み出して、変換画像信号として画像出力端子8から出力する。
【0012】
最終的な変換画像信号の周波数特性は、高次補間器21の周波数特性と、画素遅延器22、乗算器23、24、加算器25、係数発生器26で構成される線形内挿補間処理の周波数特性の積となる。ここで、線形内挿補間の特性はコサインカーブのように高い周波数がなだらかに低下しているが、2倍オーバーサンプルされた信号に対するものなので、周波数の低い方の半分のみが原画像信号に作用することになる。この周波数帯域での劣化は少ない。一方、高次補間器21は理想フィルタに近い特性なので、原画像信号の周波数特性はほぼ保持される。結果的に原画像信号の周波数特性は概ね保持される。
【0013】
画像サンプル数変換の様子を図8に示す。図8で一つの円は1サンプル(1画素)であり、水平方向の画素列に対する変換で、変換比は4:3(0.75)である。図8で二重線の円は補間されたサンプルである。補間により2倍密化された信号を使って、最終変換後のサンプル点の近傍2サンプルから線形内挿補間される。
【0014】
【特許文献1】
特開2001−119673号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来の画像サンプル数変換方法及び装置では、オーバーサンプルにより高密度の画像信号を形成するので、オーバーサンプル後の処理速度が早くなるという問題がある。また、線形内挿補間の周波数特性がなだらなので、オーバーサンプルが2倍程度だと周波数特性は多少劣化する。また、変換比は、オーバーサンプル処理の比率までの拡大(オーバ−サンプルが2倍の場合1倍から2倍まで)は可能であるが、それ以上の拡大や、帯域制限が必要となる縮小の場合には対応していない。
【0016】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、入力信号に対し可変LPFで変換比に応じて高い周波数成分を抑圧し、続けて複数の固定位相シフトフィルタから適当なものを画素毎に選択することで、画質を保ちながら拡大から縮小までを連続的に処理できる画像サンプル数変換方法及び画像サンプル数変換装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的の達成のため、本発明の画像サンプル数変換方法は、供給される第1のサンプル数の画像信号の水平方向または垂直方向の画素列を、あらかじめ設定されたサンプル数変換比(変換後サンプル数/変換前サンプル数)で変換して第2のサンプル数の画像信号に変換する画像サンプル数変換方法において、第1のサンプル数の画像信号の水平方向または垂直方向の画素列に対し、サンプル数変換比が1に満たない場合にはサンプル数変換比に相当する周波数より高い周波数成分を抑圧して高域抑圧画像信号を得、サンプル数変換比が1以上の場合には周波数成分の抑圧は行わずに全域通過させた画像信号を得る第1のステップと、第1のステップにより得られた画像信号に対して、複数の固定係数の乗算を行うことで周波数特性を保持したままサンプル位相を変化させ、互いに異なった位相関係でリサンプルされた複数のリサンプル画像信号を得る第2のステップと、サンプル数変換比に応じて、各変換前の画素と変換後の画素のサンプル位相関係を算出し、複数のリサンプル画像信号から、各変換後の画素のサンプル位相に最も近いリサンプル画像信号を選択して第2のサンプル数の画像信号を得る第3のステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、本発明の画像サンプル数変換装置は、供給される第1のサンプル数の画像信号の水平方向または垂直方向の画素列に対し、サンプル数変換比が1に満たない場合にはサンプル数変換比に相当する周波数より高い周波数成分を抑圧して高域抑圧画像信号を得、サンプル数変換比が1以上の場合には周波数成分の抑圧は行わずに全域通過させた画像信号を得る可変フィルタ手段と、可変フィルタ手段の出力画像信号に対して、複数の固定係数の乗算を行うことで周波数特性を保持したままサンプル位相を変化させ、互いに異なった位相関係でリサンプルされた複数のリサンプル画像信号を得る複数の固定係数乗算型の全域通過位相シフトフィルタで構成された位相シフトフィルタ群と、サンプル数変換比に応じて、各変換前の画素と変換後の画素のサンプル位相関係を算出し、複数のリサンプル画像信号から、各変換後の画素のサンプル位相に最も近いリサンプル画像信号を選択して第2のサンプル数の画像信号を得る信号選択手段とを有する構成としたものである。
【0022】
上記の本発明の画像サンプル数変換方法及び画像サンプル数変換装置では、画像信号のサンプル数変換において、サンプル数変換比が1に満たない縮小時には、半固定フィルタと固定フィルタのみで、任意変換比での縮小ができ、サンプル数変換比が1以上の拡大時には、第1のサンプル数の画像信号に対してサンプル数変換比に相当する周波数より高い周波数成分を抑圧する手段を作用させず、全域通過させることで、任意変換比での拡大ができる。
【0023】
また、複数の位相シフトフィルタを、隣接位相のフィルタ係数に対する差分の係数で構成することにより、各位相シフトフィルタを独立に構成したものより処理量や回路量を減らすことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0025】
<第1の実施の形態>
図1は本発明になる画像サンプル数変換方法及び装置の一実施の形態のブロック図を示す。同図中、図7の従来例と同一構成要素には同一符号を付してある。図1に示す実施の形態は、図7の従来例と比較して、高次補間器21の代わりに、可変LPF(低域通過フィルタ)2、画素バッファ3、スイッチ4が設けられ、線形内挿補間部の代わりに、位相シフトフィルタ(All Pass Filter:APF)11、12、13、14とスイッチ5が設けられている。
【0026】
図1において、画像入力端子1より入来する動画像信号は、可変LPF2と画素バッファ3に供給される。可変LPF2と画素バッファ3の出力動画像信号は、入力端子10より入力される変換比(変換後のサンプル数/変換前のサンプル数)情報に応じて、スイッチ4により縮小時(変換比が1未満)には可変LPF2の出力動画像信号が、拡大時(変換比が1以上)には画素バッファ3の出力動画像信号が選択される。
【0027】
まず、縮小時の処理動作について説明する。画像入力端子1より入来する動画像信号は、可変LPF2において変換比に応じた帯域制限が行われる。可変LPF2の通過帯域(通過帯域/変換前の全帯域)は変換比と同じとなる。可変LPF2は、周波数特性を保ちながら折り返し歪み(エリアシング)も少なくする必要があるので、7タップ程度の非巡回型(FIR)フィルタが使われる。このフィルタは半固定フィルタであり、変換比が一定の間はフィルタ係数が変化しない。変換比が変更させられた場合にフィルタ係数を切り替えて、周波数特性を変更する。
【0028】
図2は可変LPF2の第1の実施の形態の構成図を示す。図2において、信号入力端子31からの入力信号は遅延器32と乗算器41に供給される。縦続接続された遅延器32、33、34、35、36、37はそれぞれ入力信号を1サンプルずつ遅延させ、異なった遅延の6サンプルを、乗算器42、43、44、45、46、47に供給する。乗算器41〜47の各々は、係数メモリ51、52、53、54、55、56、57から供給される係数k0、k1、k2、k3、k4、k5、k6を入力信号に乗じる。表1に代表的変換比4/5、3/4、2/3、1/2での係数k0〜k6の各例を示す。なお、各係数値は表1の1/64倍の値となる。
【0029】
【表1】
Figure 0004345350
乗算器41〜47で係数が乗じられたサンプル値は、加算器28にそれぞれ供給されて加算された後、フィルタ出力として信号出力端子29より出力される。係数メモリ51、52、53、54、55、56、57から出力される係数k0、k1、k2、k3、k4、k5、k6は、変換比入力27から与えられる変換比に応じて変更させられる。
【0030】
ここで、可変LPF2の特性は変換比に対して厳密なものではないので、変換比が数%変わっても必ずしも係数を変更する必要はない。また、目的とする変換比が限定される場合は、図2のように係数を切り替えるものでなく、固定係数乗算器で構成されたLPFを用意し、その中から必要なものを選択してもよい。縮小での変換比が1種類のみなら、一つの固定係数LPFで済む。
【0031】
図1に戻って説明するに、可変LPF2で帯域制限された画像信号は、スイッチ4を介して位相シフトフィルタ11、12、13、14にそれぞれ供給される。位相シフトフィルタ11、12、13、14は、それぞれ帯域制限はせずにサンプル位相のみを変化させる固定フィルタである。位相シフトフィルタ11、12、13、14はそれぞれ90度ずつ入力サンプルの位相をシフトする。また、周波数特性を保つために8タップ程度とする。
【0032】
図3は上記の位相シフトフィルタ11、12、13、14各々の一実施の形態の構成図を示す。図3において、信号入力端子61からの入力信号は遅延器62と固定乗算器71にそれぞれ供給される。縦続接続された遅延器62、63、64、65、66、67、68は、それぞれ入力信号を1サンプルずつ遅延させ、遅延関係の異なった7サンプルを、対応して設けられた固定乗算器72、73、74、75、76、77、78に供給する。固定乗算器71、72、73、74、75、76、77、78は、所定の係数k0、k1、k2、k3、k4、k5、k6、k7を入力信号に乗じる。固定乗算器71〜78において、それぞれ所定の係数が乗じられた計8つのサンプル値は、加算器79にそれぞれ供給されて加算され、得られた加算信号がフィルタ出力として信号出力端子80より出力される。
【0033】
各係数k0〜k7は位相シフトフィルタ11、12、13、14で異なる。その係数k0〜k7の値と、位相シフトフィルタがシフトする位相との関係は表2のようになる。なお、各係数値は表2の1/128倍となる。
【0034】
【表2】
Figure 0004345350
位相シフトフィルタ11の位相シフト量を0度、位相シフトフィルタ12の位相シフト量を90度、位相シフトフィルタ13の位相シフト量を180度、位相シフトフィルタ14の位相シフト量を270度とする。位相シフト量が0度である位相シフトフィルタ11は、実効的に単純遅延となる。ここで、本実施の形態では4位相8タップであるが、位相数(フィルタ数)が多いほど位相精度は良くなり、タップ数が多いほど周波数特性が良くなる。
【0035】
再び図1に戻って説明するに、スイッチ5は、画素選択器9から供給される制御情報に従って位相シフトフィルタ11,12,13,14の出力画像信号の中から、変換後サンプルに最も近い位相となるものを選択する。スイッチ5により選択された画像信号は画素間引器6に供給され、ここで画素選択器9から供給される制御情報に従って、変換比に応じて不要となる画素が廃棄され、必要な画素のみが変換画素として画素バッファ7に供給される。画素バッファ7は、間欠的に供給される変換画素を一旦蓄え、均一の速度で読み出して変換画像信号として画像出力端子8から出力する。
【0036】
次に、拡大時(変換比が1以上)の処理動作について説明する。拡大時にはスイッチ4により画素バッファ3の出力画像信号が選択されるが、画素バッファ3は変換前の入力画像信号の速度と変換後の出力画像信号の速度の違いに対応する。主たるサンプル数変換の処理は、変換前の入力画像信号の速度と変換後の出力画像信号の速度のうち速度が速い方で動作させる必要があるので、縮小時には入力画像信号に合わせて処理されるが、拡大時には出力画像信号に合わせて処理される。そのため、縮小時には出力段にあった画素バッファ7は、拡大時には入力段に置かれることになる。
【0037】
また、拡大時は、可変LPF2は使用されないので、入力画像信号は周波数特性の変化ないまま位相シフトフィルタ11、12、13、14にそれぞれ入力される。位相シフトフィルタ11、12、13、14の各動作は、基本的には前述した縮小時と同じであるが、フィルタ出力が更新されないままスイッチ5のみが動作し、複数のサンプル値が選択される。画素間引器6では間引き処理は行われず、入力信号をそのまま通過させる。画素バッファ7以降の処理は縮小時と同じである。拡大時には原画像信号に作用するフィルタは位相シフトフィルタ11、12、13、14のみであり、原画像信号に対する周波数特性は位相シフトフィルタ11、12、13、14のみにより決まる。
【0038】
次に、本実施の形態の画像サンプル数変換の様子について、図4及び図5と共に説明する。図4及び図5において、一つの円は1サンプル(1画素)であり、水平方向の画素列に対する変換である。また、二重線の円は位相0以外の位相シフトフィルタで作られたもので、原画像のサンプルと位相の異なった補間サンプルである。
【0039】
図4は縮小時の画像サンプル数変換例であり、変換比は4:3(=0.75)である。同図において、4倍密化された信号の中から最も位相の近いものが選択される。従って、多少の位相誤差を生じるが、位相シフトフィルタの数が多ければ誤差は無視できる程度となる。
【0040】
図5は拡大時の画像サンプル数変換例であり、変換比は3:4(=1.333)である。同図において、4倍密化された信号の中から最も位相の近いものが選択されるが、拡大なので原画像の1サンプルの間で複数選択される場合もある。この変換比の場合は、位相シフトフィルタ出力と出力画像信号の位相が合うので位相誤差は生じない。
【0041】
このように、本実施の形態によれば、縮小時は入力信号に対し可変LPF2で変換比に応じて高い周波数成分を抑圧し、続けて複数の位相シフトフィルタ11〜14から適当なものを画素毎に選択することで、サンプル毎にダイナミックに係数を変えるフィルタを使うことなく、また、フィルタのタップ数を十分とることで、周波数特性の劣化や折り返し歪み少なく、画質を保ちながら連続的に画像を縮小できる。
【0042】
また、拡大時には可変LPF2を作用させないことで、任意変換比での拡大ができる。その結果、拡大から縮小までを高速処理や複雑な処理を用いることなく画質を保ちながら連続的に対処できる。
【0043】
<第2の実施の形態>
次に、本発明になる画像サンプル数変換方法及び装置の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図1の第1実施の形態と比較して、位相シフトフィルタ(APF)11、12、13、14の処理形態のみが異なる。その他の基本処理動作は同一である。第1の実施の形態では、位相シフトフィルタ11、12、13、14は、図3の構成で個々の位相毎に設けられていたが、本実施の形態では、所定位相に対する独立フィルタと、隣接位相用のフィルタ係数を独立フィルタとの差分にしたものとする。隣接位相は両方のフィルタ出力を加算することで、サンプル値を得る。
【0044】
図6は上記の本発明の第2の実施の形態における位相シフトフィルタの構成図を示す。同図中、図3と同一構成部分には同一符号を付してある。図6において、信号入力端子61からの入力信号は遅延器62と乗算器71及び81にそれぞれ供給される。縦続接続された遅延器62、63、64、65、66、67、68は、それぞれ入力信号を1サンプルずつ遅延させ、遅延関係の異なった7サンプルを固定乗算器72、73、74、75、76、77、78と固定乗算器82、83、84、85、86、87、88に供給する。固定乗算器71、72、73、74、75、76、77、78は、所定の係数k0、k1、k2、k3、k4、k5、k6、k7を入力信号に乗じる。固定乗算器71〜78で係数k0〜k7が乗じられたサンプル値は、加算器79にそれぞれ供給されて加算され、加算して得られた信号が位相180度のフィルタ出力として信号出力端子80より出力される。
【0045】
一方、固定乗算器81、82、83、84、85、86、87、88は、所定の差分係数d0、d1、d2、d3、d4、d5、d6、d7を入力信号に乗じる。固定乗算器81〜88で差分係数d0〜d7が乗じられたサンプル値は、加算器89に供給されて加算され、加算して得られた信号が位相180度に対する位相90度の差分信号となる。この差分信号は加算器79の出力信号である位相180度の信号と加算器90で加算され、位相90度の信号となる。
【0046】
差分係数d0、d1、d2、d3、d4、d5、d6、d7が位相180度に対する位相270度の差分であると、加算器90の出力信号は位相270度の信号となる。加算器90で得られた位相90度又は位相270度の信号は、フィルタ出力として信号出力端子91より出力される。
【0047】
ここで、180度に対する90度と270度の差分係数d0〜d7は、表3のようになる。なお、各係数値は表3の1/128倍となる。
【0048】
【表3】
Figure 0004345350
この差分係数d0、d1、d2、d3、d4、d5、d6、d7は、前述した位相シフト180度のときの係数k0、k1、k2、k3、k4、k5、k6、k7と比較して絶対値が小さくなっており、固定乗算器81、82、83、84、85、86、87、88の回路規模は、固定乗算器71、72、73、74、75、76、77、78より小さくて済む。従って、位相シフトフィルタ全体の回路量も少なくなる。また、位相数を8位相などより多くした場合は、差分係数の絶対値はより小さくなるので、総回路量は位相数に比例して増加しない。
【0049】
このように、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の特長を有すると共に、複数の位相シフトフィルタを、隣接位相のフィルタ係数に対する差分の係数で構成することにより、各位相シフトフィルタを独立に構成したものより処理量や回路量を減らすことができる。
【0050】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、図4及び図5では入来画像信号の水平方向の画素列を、あらかじめ設定されたサンプル数変換比(変換後サンプル数/変換前サンプル数)で変換する例について説明したが、入来画像信号の垂直方向の画素列を、あらかじめ設定されたサンプル数変換比(変換後サンプル数/変換前サンプル数)で変換することもできる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、供給される第1のサンプル数の画像信号のサンプル毎にダイナミックに係数を変えるフィルタを使うことなく、半固定フィルタと固定フィルタのみで、サンプル数変換比が1に満たない場合には任意のサンプル数変換比での縮小ができ、また、各処理の動作速度は、第1のサンプル数の画像信号または第2のサンプル数の画像信号のうち速い方の速度と同じでよく、従来例のようにその数倍の処理速度を必要とせず、更に、半固定フィルタ及び固定フィルタのタップ数を十分とることにより、周波数特性は、理想的なものに近づけることができ、以上から周波数特性の劣化や折り返し歪みを少なくでき、高速処理や複雑な処理を用いることなく、画質を保ちながら連続的に画像を縮小できる。
【0052】
また、本発明によれば、拡大時には可変フィルタ手段を作用させないことで、任意変換比での拡大ができるため、拡大から縮小までを高速処理や複雑な処理を用いることなく画質を保ちながら連続的に対処できる。
【0053】
更に、本発明によれば、複数の位相シフトフィルタを、隣接位相のフィルタ係数に対する差分の係数で構成することにより、各位相シフトフィルタを独立に構成したものより処理量や回路量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像サンプル数変換方法及び装置の一実施の形態の構成図である。
【図2】 図1中の可変LPFの一例の構成図である。
【図3】図1中の位相シフトフィルタの第1の実施の形態の構成図である。
【図4】 図1の縮小時サンプル数変換の様子を示す図である。
【図5】図1の拡大時サンプル数変換の様子を示す図である。
【図6】 図1中の位相シフトフィルタの第2の実施の形態の構成図である。
【図7】従来の画像サンプル数変換方法及び装置の一例の構成図である。
【図8】従来のサンプル数変換の様子を示す図である。
【符号の説明】
1 画像入力端子
2 可変LPF
3、7 画素バッファ
4、5 スイッチ
6 画素間引器
8 画像出力端子
9 画素選択器
10 変換比入力端子
11、12、13、14 位相シフトフィルタ(APF)
28、79、90 加算器
29、80、91 信号出力端子
31、61 信号入力端子
32〜37、62〜68 画素遅延器
41〜47 乗算器
51〜57 係数メモリ
71〜78、81〜88 固定乗算器

Claims (2)

  1. 供給される第1のサンプル数の画像信号の水平方向または垂直方向の画素列を、あらかじめ設定されたサンプル数変換比(変換後サンプル数/変換前サンプル数)で変換して第2のサンプル数の画像信号に変換する画像サンプル数変換方法において、
    前記第1のサンプル数の画像信号の水平方向または垂直方向の画素列に対し、前記サンプル数変換比が1に満たない場合には該サンプル数変換比に相当する周波数より高い周波数成分を抑圧して高域抑圧画像信号を得、前記サンプル数変換比が1以上の場合には周波数成分の抑圧は行わずに全域通過させた画像信号を得る第1のステップと、
    前記第1のステップにより得られた画像信号に対して、複数の固定係数の乗算を行うことで周波数特性を保持したままサンプル位相を変化させ、互いに異なった位相関係でリサンプルされた複数のリサンプル画像信号を得る第2のステップと、
    前記サンプル数変換比に応じて、各変換前の画素と変換後の画素のサンプル位相関係を算出し、前記複数のリサンプル画像信号から、各変換後の画素のサンプル位相に最も近いリサンプル画像信号を選択して前記第2のサンプル数の画像信号を得る第3のステップと
    を含むことを特徴とする画像サンプル数変換方法。
  2. 供給される第1のサンプル数の画像信号の水平方向または垂直方向の画素列を、あらかじめ設定されたサンプル数変換比(変換後サンプル数/変換前サンプル数)で変換して第2のサンプル数の画像信号に変換する画像サンプル数変換装置において、
    前記第1のサンプル数の画像信号の水平方向または垂直方向の画素列に対し、前記サンプル数変換比が1に満たない場合には該サンプル数変換比に相当する周波数より高い周波数成分を抑圧して高域抑圧画像信号を得、前記サンプル数変換比が1以上の場合には周波数成分の抑圧は行わずに全域通過させた画像信号を得る可変フィルタ手段と、
    前記可変フィルタ手段の出力画像信号に対して、複数の固定係数の乗算を行うことで周波数特性を保持したままサンプル位相を変化させ、互いに異なった位相関係でリサンプルされた複数のリサンプル画像信号を得る複数の固定係数乗算型の全域通過位相シフトフィルタで構成された位相シフトフィルタ群と、
    前記サンプル数変換比に応じて、各変換前の画素と変換後の画素のサンプル位相関係を算出し、前記複数のリサンプル画像信号から、各変換後の画素のサンプル位相に最も近いリサンプル画像信号を選択して前記第2のサンプル数の画像信号を得る信号選択手段と
    を有することを特徴とする画像サンプル数変換装置。
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