JP4342168B2 - 液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関し、さらに詳しく述べると、基板上における液晶分子の配向を改良した液晶表示装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、カーナビゲーションシステム、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話等の急速な普及に伴って、液晶表示装置(液晶ディスプレイデバイス)が広く利用されるようになっている。また、ノートパソコンや液晶テレビ等においては、画面サイズの大型化に伴い、視野角度の広角化、すなわち視角特性の向上や高精細化の要求が強くなっている。一般に液晶表示装置は、一対のガラス基板等の絶縁性をもった基板の間に液晶をその液晶分子が所定の方向に配列された状態で封入し、かつそれぞれの基板の液晶側に配向膜を形成した構造を有している。配向膜の材料には、通常、ポリイミドやポリアミック酸などが用いられている(例えば、特許文献1を参照)。そして、絶縁基板上に形成された配向膜に、液晶分子と絶縁基板との接触角であるプレチルト角を設定する配向処理により、液晶分子の配向性を高めることが行なわれている。また、上述した視角特性や画面精細度を改善する方法として、液晶分子の配向方向を複数混在させた分割配向パネル構造が提案されている。
【0003】
ところで、従来の液晶表示装置は、通常、図1のフローチャートに概要を示すように、配向膜形成工程、配向処理工程、基板組立工程、そして液晶封入工程の各工程を経て製造されている。これらの一連の製造工程をさらに説明すると、まず、洗浄処理された絶縁基板上に配向膜材料を塗布、焼成して配向膜を形成する。次いで、配向膜表面をバフ布でこすってプレチルト角を設定するラビングを施し、ラビングにより生じる塵埃や静電気を洗浄、乾燥処理により除去して配向処理を行なう。配向処理の完了後、素子基板側にシール材(通常、接着剤)を印刷し、さらにフィルタ基板との間隙を確保するためのスペーサ材を散布する。次いで、素子基板とフィルタ基板とを貼り合わせ、液晶基板を組み立てる。さらに、上記のようにして貼り合わせた絶縁基板の注入口から液晶を注入し、注入口を封止する。フィルタ基板側に偏光板を取り付けて、一対の配向膜付き基板の間に液晶が封入された液晶パネルが完成する。また、これらの一連の工程が完了した後、液晶パネル周辺に所定の回路を組み立てて、ノートパソコン等の製品を完成する。
【0004】
上記した一連の製造工程のうち、液晶分子と絶縁基板との接触角であるプレチルト角を設定するための配向処理工程においては、配向膜表面をバフ布で一定方向にこするラビング法が採用されているため、物理的な接触、摩擦による塵埃の発生や配向膜の損傷、静電気による液晶面の汚染、絶縁基板上に形成されている薄膜トランジスタ(TFT)の静電破壊等を生じ、製造歩留まりの低下が引き起こされ、また、これらの問題を解消するために洗浄、乾燥処理といった後工程を必要とするため、処理工数の増加が避けられない。また、画面サイズの大型化に伴い1枚の絶縁基板上に形成される液晶パネルの数量は、1個あるいは2個にすぎないため、製造歩留まりは不良の有無により0%と100%の2値、あるいは0%、50%および100%の3値しか与えられないという問題がある。さらに、1つの液晶パネルに形成される表示素子数は、高精細化の要求に伴い、例えば640×480ドットに及び、また、3色表示の場合には92万素子にも及び、不良発生に伴う歩留まり低下の問題は顕著となる傾向にある。
【0005】
このような問題を解決する手法として、配向膜表面との物理的な接触によりプレチルト角を設定するラビング法を用いることなく、光により配向膜にプレチルト角を設定する光配向法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。なお、プレチルト角は上述したように絶縁基板と液晶分子の接触角を表すものであり、したがって、プレチルト角が設定される方向は、通常、チルト方向と呼ばれる。
【0006】
光配向法の一例を、図2を参照して説明する。
【0007】
図2(A)に示すように、ガラス基板等の絶縁基板51の上にポリイミドやポリアミック酸などの配向膜材料を塗布、焼成して配向膜52を形成する。次いで、垂直方向に偏光した紫外線54aを絶縁基板51に対し垂直に照射して、配向膜材料の物性を整える前露光を行なう。次いで、図2(B)に示すように、偏光方向を90度変換した紫外線54bを絶縁基板51に対して所定の角度α゜で斜めに照射すると、紫外線の照射方向に起き上がったプレチルト角αが配向膜52に設定され、図2(C)に示すように、プレチルト角と同等の方向および角度に液晶分子56が配向する。このような光配向法を適用した配向処理によれば、ラビング、洗浄、乾燥処理の各工程を省略して、上記問題点を解決することができる。
【0008】
しかし、この光配向法にも問題がある。例えば、上述した光配向法を適用して、液晶パネルの視角特性や画面精細度の向上が期待できる分割配向パネル構造を実現しようとすると、液晶分子の配向方向に対応して配向膜の各領域に照射方向の異なる偏光紫外線を照射して複数のプレチルト角を設定する必要がある。このような同一の配向膜に複数のプレチルト角を設定するためには、偏光紫外線を透過、遮断する光マスクを複数種類作成し、各光マスクを用いて照射角度の異なる偏光紫外線を複数回照射する必要があり、配向処理の所要時間が極めて長くなるという問題が発生する。
【0009】
さらに加えて、基板上に配向膜を形成する場合、単に製造工程の増加を甘受しなければならないばかりでなく、配向膜材料の印刷機や配向膜の焼成炉といった専用の、しかも大型の製造装置を使用することが必要であり、製造現場の拡張や製造コストの大幅な増加を避けることができない。
【0010】
また、製造工程数を削減するとともに歩留りを向上させるため、ガラス基板間の液晶セルに、光硬化型高分子樹脂からなる配向助剤を含む液晶組成物を封入して放置し、ガラス基板の表面エネルギーによって配向助剤を基板表面に吸着させ、配向膜を形成することを特徴とする液晶表示素子の製造方法も提案されている(特許文献3)。
【0011】
【特許文献1】
特開昭64−4720号公報(特許請求の範囲、図面)
【特許文献2】
特開平9−5747号公報(特許請求の範囲、図3)
【特許文献3】
特開平11−95221号公報(特許請求の範囲、図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来の液晶表示装置の場合、それを構成する一対の基板のそれぞれに配向膜を形成し、さらにはその表面にラビング処理や光配向処理を施すことが必要であり、製造工程や製造コスト、さらには工程管理などの面で多くの問題をかかえている。
【0013】
本発明の目的は、したがって、基板の液晶側において配向膜の形成工程を必要としない液晶表示装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、構成及び製造が簡単で、コストダウンが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【0015】
さらに、本発明の目的は、高性能な液晶表示装置を簡単な手法で歩留まりよく製造する方法を提供することにある。
【0016】
本発明の上記したような目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明による液晶表示装置は、一対の対向して配置された基板と、前記一対の基板の間に封入された液晶とを含むパネル構造を有する液晶表示装置であって、前記液晶と前記液晶に接する液晶パネル構成要素の界面に、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを含む硬化性樹脂の硬化によって形成された網目構造をもった樹脂層が形成されており、かつ前記樹脂層の表面から、前記硬化性樹脂に含まれるモノマーの垂直配向発現性官能基が派生している。
【0018】
また、本発明による液晶表示装置の製造方法は、一対の対向して配置された基板と、前記一対の基板の間に封入された液晶とを含むパネル構造を有する液晶表示装置の製造方法であって、前記一対の基板の間に、前記液晶と、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを含む硬化性樹脂との混合物を注入し、エネルギーを与えて前記硬化性樹脂を硬化させ、前記液晶と前記液晶に接する液晶パネル構成要素の界面に、網目構造をもった樹脂層を形成するとともに、前記樹脂層の表面から、前記硬化性樹脂に含まれるモノマーの垂直配向発現性官能基を派生させる。
【0019】
本発明による液晶表示装置及びその製造方法において、硬化性樹脂は、各種のエネルギーの適用によって硬化可能であり、好ましくは、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明による液晶表示装置及びその製造方法は、それぞれ、本発明の範囲内においていろいろな形態で有利に実施することができる。以下、本発明の有利な実施の形態を添付の図面を参照しながら説明するが、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明の液晶表示装置は、それが配向膜を有せず、その代わりとして、液晶の注入後に光照射によって形成せしめられた硬化樹脂層を有するという相違点を除いて、基本的には、従来常用のいろいろなタイプの液晶表示装置と同様な構成を有することができる。例えば、本発明の液晶表示装置は、表示形態によって分類すれば、透過型、反射型あるいはプロジェクション型のいずれであってもよい。例えば、透過型の液晶表示装置は、その液晶表示パネルの背後に配置したバックライトの光の強度を液晶表示パネルで変調して、画像を表示することができる。
【0022】
図3は、本発明による透過型液晶表示装置の一例であるフルカラーのTFT(薄膜トランジスタ)液晶表示装置の主要構成を示した断面図である。この液晶表示装置は、TFT基板とCF(カラーフィルタ)基板を重ね合わせた液晶表示パネルからなる。
【0023】
液晶表示装置10は、所定の間隔をあけて対向する一対の絶縁性の基板(ここでは、透明なガラス基板を使用)11及び12と、これらの基板の間に挟持される液晶層13とを備えて構成される。液晶層13を構成する液晶は、多数の公知な液晶材料の中から本発明の実施に最適なものを任意に選択し、使用することができる。使用可能な液晶材料には、以下で詳細に説明するように、ネマティック液晶、スーパーツイストネマティック液晶、カイラルネマティック液晶(コレステリック液晶)、スメクティック液晶などである。
【0024】
TFT基板を構成する一方の透明ガラス基板11の上には、絶縁層14を介して複数の画素電極15が形成され、画素電極15を覆うようにして、本発明に特有の樹脂層16が形成されている。樹脂層16には、液晶が含浸せしめられていてもよい。絶縁層14は、例えば、シリコン酸化膜などから形成することができ、また、画素電極15は、例えば、ITO(酸化インジウム錫)膜などから形成することができる。
【0025】
CF基板を構成する他方の透明ガラス基板12の上には、カラーフィルタ18、共通電極19及び本発明による樹脂層17が順次積層されている。樹脂層17には、液晶が含浸せしめられていてもよい。カラーフィルタ18は、例えば、色素の印刷などによって形成することができ、また、共通電極19は、例えば、ITO膜などから形成することができる。
【0026】
また、透明ガラス基板11及び12の外側には、それぞれ、偏光板21及び22が取り付けられている。偏光板21及び22は、偏光フィルタや偏光フィルムであってもよい。画素電極15は、アクティブマトリクスとともに形成され、図示の例の場合、アクティブマトリクスのデータバスライン24が示されている。なお、電極は、一方の基板のみに設けることも可能である(例えば、IPSモードの場合)。
【0027】
さらに、ここでは図示しないけれども、それぞれの基板の間には、基板どうしの間隔を一定に保つとともに、液晶のための均一な封入スペースを確保するため、スペーサ部材が介在せしめられている。また、基板の間に注入した液晶を漏れることなく封入しておくため、基板の周縁部を取り囲むようにしてシール材が設けられている。
【0028】
図3の液晶表示装置では、液晶層13と、液晶パネル構成要素の一員である透明基板11との間に樹脂層16(17)を介在させたが、本発明による液晶表示装置では、液晶パネル構成要素は、基板にのみ限定されるものではない。すなわち、液晶パネル構成要素は、基板のほかに、液晶を封止するシール材、基板どうしの間隔を一定に保持するスペーサ材、基板上に設けられた電極あるいはその他の部材であることができる。もちろん、樹脂層は、液晶と、これらの部材の1つとの界面に介在させられていてもよく、さもなければ、2つ以上の部材との界面に介在せしめられていてもよい。また、本発明で重要なことには、含まれる樹脂層が従来の配向膜と同様な働きをすることができ、しかも、そのような働きを、配向膜のようにラビング処理や光配向処理のような煩雑な処理を伴うことなく容易に発現させることができる。もちろん、従来常用の配向膜の配置は、本発明の実施において不要である。特に、本発明では、印刷法による配向膜の形成を省略できるという点で、樹脂層を薄膜に形成できる、樹脂層中に有機溶剤が混在しない、印刷に伴うメッシュなどのパターンが形成されないといった、以下に具体的に説明するような多くの利点を得ることができる。
【0029】
樹脂層は、液晶表示パネルの中間製品に液晶を注入した後、単官能性モノマーと多官能性モノマーを組み合わせて含む硬化性樹脂の硬化によって形成されたものであり、網目構造を有することと、液晶パネル構成要素の表面を覆って形成されていることと、その樹脂層の表面から、硬化性樹脂を構成する分子の垂直配向発現性官能基が、例えば基板の表面に対してほぼ一定の角度で傾斜して、派生していることを特徴としている。ここで、「硬化性樹脂」とは、任意のエネルギーの適用によって硬化可能な樹脂を意味し、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを包含する。光硬化性樹脂が特に有用である。
【0030】
上述のような樹脂層の特徴を模式的に示すと、図4に示す通りである。すなわち、基板11(12)の上に、その表面を覆って網目構造をもった樹脂層16(17)が形成されている。この樹脂層16(17)の網目構造は、主として、硬化性樹脂に使用した多官能性モノマーの架橋に由来し、また、そのような網目構造が存在するため、液晶が含浸されたような状態がもたらされている。なお、図では、簡略化のために、基板に直に接して樹脂層が存在するように示されているが、基板と樹脂層との間には、通常、絶縁層、カラーフィルタ、電極等の任意の液晶パネル構成要素が介在可能である。さらに、樹脂層16(17)の表面には、それから飛び出した垂直配向発現性官能基Aが存在している。垂直配向発現性官能基Aは、硬化性樹脂に含まれるモノマー分子に含まれていたものである。垂直配向発現性官能基Aは、好ましくは、以下に説明するように、単官能性モノマー中に含まれる。図示の例の場合、垂直配向発現性官能基Aは、基板11(12)の表面に対してほぼ一定の角度で傾斜して派生している。このような垂直配向発現性官能基Aが液晶層に接して存在しているので、本発明の液晶表示装置では、図5に模式的に示すように、液晶分子3を垂直に配向させることができ、配向状態も安定である。なお、垂直配向発現性官能基Aは、基板11(12)の表面に対して垂直に派生していてもよく、あるいは、傾斜派生及び垂直派生が混在していてもよい。
【0031】
本発明の実施において、硬化性樹脂は、その樹脂材料の組成などに応じて、加熱によって硬化するものもあれば、紫外線などのいろいろな光の照射によって硬化するものもあり、あるいは電子線などの照射によって硬化するものもあり、いずれの方法でも樹脂層を形成することができる。適当な硬化光源は、実施の容易性などから、紫外線であり、よって、以下の説明でも、特に紫外線硬化性樹脂を参照して本発明を説明する。
【0032】
硬化性樹脂の成分として用いられる単官能性モノマー及び多官能性モノマーは、それぞれ、重合の化学において一般的ないろいろなモノマーからなることができる。本発明の実施に適当なモノマーは、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、塩化ビニル、スチレンなどである。硬化性、硬化の制御性などを考慮した場合、とりわけ(メタ)アクリル酸系のモノマーが本発明の実施に好適である。
【0033】
本発明の実施において有用な(メタ)アクリル酸系の単官能性モノマーは、特に限定されるものではないけれども、好ましくは、次のような一般式(I)によって表すことができる。
【0034】
【化1】
【0035】
上式において、R1は、水素原子を表すかもしくはメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表す。また、式中のAは、官能基、特に液晶パネルにおいて使用した時に液晶分子の垂直配向を発現し得る官能基(すなわち、本願発明でいう垂直配向発現性官能基)を表すかもしくはかかる官能基を含む任意のユニット(部分とも言える)を表す。官能基Aは、好ましくは、式:−OR2によって表され、この式中のR2は、アルキル基、好ましくは長鎖のアルキル基を表すかもしくはハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を表す。長鎖のアルキル基は、好ましくは、式:−CmH2m+1によって表され、式中のmは、通常、約8〜18の整数であり、好ましくは約10〜15の整数である。これらの単官能性モノマーは、単独で使用してもよく、2種類以上の単官能性モノマーを組み合わせて使用してもよい。
【0036】
一般式(I)の(メタ)アクリル酸系の単官能性モノマーは、紫外線などの光を所定量で照射すると、次のような一般式(II)によって表されるポリ(メタ)アクリレートに変化する。
【0037】
【化2】
【0038】
上式において、R1及びAは、それぞれ、前記定義に同じである。また、式中のl(エル)は、任意の整数であり、好ましくは、約20〜200の整数である。この重合体(硬化樹脂)は、その側鎖部分に垂直配向発現性官能基Aを有するので、先に図5を参照して説明したように、液晶分子を基板に対して垂直に配向させることができる。
【0039】
上述のような一般式によって表される単官能性モノマーは、例えば、次のようなモノマーを包含する。
【0040】
【化3】
【0041】
【化4】
【0042】
【化5】
【0043】
【化6】
【0044】
硬化性樹脂には、上述の単官能性モノマーと組み合わせて多官能性モノマーが用いられる。多官能性モノマーは、硬化性樹脂中で硬化させた場合、特に上記した網目構造を基板上に形成させ、単官能性モノマー由来の硬化樹脂を強固に支持するとともに、基板あるいはその他の液晶パネル構成要素の表面を強固にかつ効率よく覆うことを主たる目的として用いられている。したがって、多官能性モノマーは、その分子中に垂直配向発現性官能基を有することは必要でないが、少なくとも1個、好ましくは2個もしくはそれ以上の硬化に寄与可能な官能基、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基などを有することが必要である。好ましい多官能性モノマーは、通常、以下に説明するような2官能性モノマー、3官能性モノマー又は4官能性モノマーである。なお、多官能性モノマーは、上記した単官能性モノマーと同様に、単独で使用してもよく、2種類以上の多官能性モノマーを組み合わせて使用してもよい。複数種類の多官能性モノマーを混合して使用する場合、それらのモノマーどうしの混合比には制限がない。
【0045】
本発明の実施において有用な(メタ)アクリル酸系の2官能性モノマーは、特に限定されるものではないけれども、好ましくは、次のような一般式(III)によって表すことができる。
【0046】
【化7】
【0047】
上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは例えばメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表す。また、式中のBは、得られる硬化樹脂においてその骨格を規定し得る任意のユニット(部分、結合基とも言える)、例えば置換もしくは非置換の直鎖アルキル基を表す。なお、この2官能性モノマーは、それと組み合わせて用いられる単官能性モノマーと機能分離して用いられているので、2官能性モノマーの分子を構成するユニットBには、単官能性モノマーで必須の垂直配向発現性官能基は含まれない。
【0048】
一般式(III)の2官能性モノマーは、好ましくは、次のような一般式(III−1)によって表すことができる。
【0049】
【化8】
【0050】
上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくはメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表す。また、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの低級アルキレン基を表す。さらに、式中のRは、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表す。式中のm及びnは、互いに独立しており、0〜4の整数を表す。
【0051】
上述のような一般式(III−1)によって表される2官能性モノマーは、例えば、次のようなモノマーを包含する。
【0052】
【化9】
【0053】
【化10】
【0054】
【化11】
【0055】
【化12】
【0056】
【化13】
【0057】
【化14】
【0058】
【化15】
【0059】
【化16】
【0060】
【化17】
【0061】
【化18】
【0062】
また、一般式(III)の2官能性モノマーは、好ましくは、次のような一般式(III−2)によっても表すことができる。
【0063】
【化19】
【0064】
上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくはメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表す。また、R1は、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの低級アルキレン基を表す。さらに、式中のnは、0〜12の整数を表す。
【0065】
上述のような一般式(III−2)によって表される2官能性モノマーは、例えば、次のようなモノマーを包含する。
【0066】
【化20】
【0067】
【化21】
【0068】
【化22】
【0069】
【化23】
【0070】
さらに、一般式(III)の2官能性モノマーは、好ましくは、次のような一般式(III−3)によっても表すことができる。
【0071】
【化24】
【0072】
上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくはメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表す。また、式中のR、R´及びR″は、同一もしくは異なっていてもよく、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表す。さらに、式中のm及びnは、互いに独立しており、0又は1を表す。
【0073】
上述のような一般式(III−3)によって表される2官能性モノマーは、例えば、次のようなモノマーを包含する。
【0074】
【化25】
【0075】
【化26】
【0076】
【化27】
【0077】
また、本発明の実施において有用な(メタ)アクリル酸系の3官能性モノマーは、特に限定されるものではないけれども、好ましくは、次のような一般式(IV)によって表すことができる。
【0078】
【化28】
【0079】
上式において、R1、R2及びR3は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくはメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表す。また、R1、R2及びR3は、同一もしくは異なっていてもよく、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの低級アルキレン基を表す。さらに、Rは、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表す。式中のl、m及びnは、互いに独立しており、0〜3の整数を表す。
【0080】
上述のような一般式(IV)によって表される3官能性モノマーは、例えば、次のようなモノマーを包含する。
【0081】
【化29】
【0082】
【化30】
【0083】
【化31】
【0084】
【化32】
【0085】
【化33】
【0086】
さらに、本発明の実施において有用な(メタ)アクリル酸系の4官能性モノマーは、特に限定されるものではないけれども、好ましくは、次のような一般式(V)によって表すことができる。
【0087】
【化34】
【0088】
上式において、R1、R2、R3及びR4は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくはメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表す。また、R1、R2、R3及びR4は、同一もしくは異なっていてもよく、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの低級アルキレン基を表す。さらに、Rは、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表す。式中のk、l、m及びnは、互いに独立しており、0〜2の整数を表す。
【0089】
上述のような一般式(V)によって表される4官能性モノマーは、例えば、次のようなモノマーを包含する。
【0090】
【化35】
【0091】
【化36】
【0092】
樹脂層の形成に使用される硬化性樹脂において、単官能性モノマーと多官能性モノマーは、垂直配向発現性官能基の所望とする分布や所望とする効果などに応じて、いろいろな割合で混合して使用することができる。単官能性モノマーは、通常、多官能性モノマーとほぼ同量で使用するか、もしくはそれよりも多量で使用することが好ましい。単官能性モノマーの量が多官能性モノマーの量を下回るようになると、換言すると、多官能性モノマーの量が単官能性モノマーの量よりも多くなると、垂直配向発現性官能基を所望のように分布させることができなくなり、よって、垂直配向性を十分に発現させることが不可能となる。単官能性モノマーと多官能性モノマーの比率は、約1:1〜50:1の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、約5:1〜50:1の範囲である。
【0093】
また、樹脂層は、上記した硬化性樹脂に由来する硬化樹脂からもっぱら構成されるけれども、必要に応じて、その他の追加の樹脂、例えば光硬化性樹脂に由来する光硬化樹脂、熱硬化性樹脂に由来する熱硬化樹脂あるいはその他の樹脂を含有していてもよい。適当な追加の樹脂としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などを挙げることができる。このような樹脂を追加した場合、例えば、網目構造の強化、反応時間の短縮といった効果を期待できる。なお、このような追加の樹脂の添加量は、特に限定されないというものの、通常、硬化樹脂の全量を基準にして、約1〜10重量%の範囲である。
【0094】
さらに、樹脂層は、その形成が硬化性樹脂の硬化に基づいているので、従来常用の配向膜に比較して薄く成膜することができ、しかも、薄膜になったにもかかわらず、従来の配向膜に比較可能なもしくはそれよりもすぐれた性能を発現できる。実際、配向膜の厚さは、通常、80nm前後であるのに反して、本発明の樹脂層の厚さは、通常、ほぼその半分もしくはそれ以下、すなわち、約5〜40nmの範囲であり、好ましくは、約10〜40nmの範囲である。
【0095】
さらにまた、樹脂層は、従来の配向膜ではその成膜に溶媒を使用することが必須であったけれども、溶媒フリーの条件で成膜可能である。溶媒を使用しないので、環境汚染の問題を排除し、コストの低減も図れるばかりでなく、液晶と溶媒間の不所望な反応も回避できるという効果も得られる。
【0096】
さらに加えて、樹脂層は、従来常用の配向膜のように、印刷等により基板の表面に成膜することは不要である。すなわち、工数の増加や設備の増大につながるこのような成膜工程を設けないでも、樹脂層は、従来の設備をそのまま使用して、簡単な手法で成膜することができる。樹脂層は、好ましくは、液晶と硬化性樹脂の混合物を基板の間に注入した後、紫外線等のエネルギーを与えることによって形成することができる。
【0097】
液晶と硬化性樹脂の混合物を基板の間に注入する場合、液晶及び硬化性樹脂の組成などに応じて、液晶と硬化性樹脂の割合を広い範囲で変更することができる。液晶と硬化性樹脂の割合は、通常、約10:1〜400:1の範囲であり、好ましくは、約20:1〜200:1の範囲である。液晶の割合が上記の値を下回るかもしくは上回る場合、得られる液晶表示パネルにおいて満足し得る表示機能を発現させることができない。
【0098】
ここで、対向して配置された基板の間に配置される液晶層について説明する。液晶層を構成する液晶材料は、特に限定されるものではなく、この技術分野においてよく知られている多数の液晶材料のなかから、液晶表示装置の駆動方式などに応じて最適なものを任意に選んで使用することができる。特に、本発明の実施には、負の誘電率異方性を示すものであり、かつ、電圧無印加時、液晶の分子長軸が基板に対してほぼ垂直に配向可能な液晶材料を有利に使用することができる。そして、重要なことには、本発明では、液晶層をもっぱら液晶材料のみから構成することができ、コストの増加などにつながる従来の高分子分散型の液晶を使用する必要がない。すなわち、本発明で使用される液晶は、高分子非分散型の液晶である。
【0099】
液晶層の形成に適当な液晶材料は、一般的に述べると、ネマティック液晶、スーパーツイストネマティック液晶、カイラルネマティック液晶(コレステリック液晶)、スメクティック液晶、ディスコティック液晶、高分子液晶などである。また、これらの液晶材料は、化合物名で述べると、エステル系、ビフェニル系、シクロヘキサン系、フェニルピリミジン系、ジオキサン系などの化合物である。
上記したような液晶材料は、単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。なお、本発明の実施に使用可能な液晶材料について、もしもさらに詳細な説明が必要な場合には、例えば、特開平6−211710号公報、特開平11−116512号公報などを参照されたい。
【0100】
本発明は、上記した、一対の対向して配置された基板と、それらの基板の間に封入された液晶とを含むパネル構造をもった液晶表示装置の他に、そのような液晶表示装置を製造する方法にある。本発明による液晶表示装置の製造方法は、特に、
基板の間に、液晶と、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを含む硬化性樹脂との混合物を注入する工程、及び
硬化性樹脂の硬化を引き起こし得るエネルギーを外部から与える工程、例えば光硬化性樹脂の場合、そのような樹脂の硬化を引き起こし得る波長の光を所要量及び時間にわたって照射する工程、
を順次実施することを特徴としている。このようにして硬化性樹脂を硬化させると、先に図4を参照して説明したように、液晶とその液晶に接する液晶パネル構成要素の界面において、網目構造をもった樹脂層を選択的に形成させることができる。また、この樹脂層では、同じく図4に示されるように、硬化性樹脂を構成する分子の垂直配向発現性官能基が、その樹脂層の表面から、基板の表面に対してほぼ一定の角度で、傾斜して派生させられる。なお、先にも説明したように、垂直配向発現性官能基は、樹脂層の表面から垂直あるいはその他の方向に派生することもできる。
【0101】
本発明による液晶表示装置の製造方法は、通常、図6に示すような手順で有利に実施することができる。すなわち、本発明の製造方法は、有利には、下記の工程:
(1)基板の洗浄及び乾燥、
(2)シール材(シール接着材)の印刷、
(3)スペーサ材の散布、
(4)フィルタ(CF)基板の貼りあわせ、
(5)液晶と硬化性樹脂の混合物の注入、
(6)液晶注入口の封止、
(7)硬化用エネルギーの適用、及び
(8)偏光板の取り付け
で実施することができる。偏光板を取り付けて液晶表示パネルを完成した後、液晶表示パネルの周辺に所定の回路などを作り込むと、目的とする液晶表示装置が完成する。なお、本発明でいう液晶表示装置は、いろいろなタイプのフラットタイプのディスプレイデバイスを包含し、その典型例として、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、パーソナルコンピュータ(デスクトップ型パソコン及びノート型パソコン)、液晶テレビ、カーナビゲーションシステム、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話などのディスプレイデバイスを挙げることができる。
【0102】
本発明の実施に当たって、まず、一対の基板を用意する。ここで用意する基板は、好ましくは、透明な絶縁基板である。適当な絶縁基板は、例えば、ガラス基板、シリコン基板などである。必要ならば、プラスティック基板を使用してもよい。
【0103】
基板は、通常、洗浄し、乾燥して、その表面から塵埃、皮脂、油脂などの汚染物質を除去することが必要である。洗浄工程には、例えば、洗剤や純水による超音波洗浄、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒を使用した浸漬洗浄などがある。乾燥工程は、例えば、圧縮乾燥空気又はガスを吹き付ける強制乾燥によって行うことができる。
【0104】
次いで、基板の上に電極を形成する。ここで形成する電極は、例えば、共通電極、画素電極などである。また、電極どうし、例えば共通電極と画素電極を電気的に接続するためのコンタクト電極やトランスファー電極もここで言う電極の範疇に含まれる。これらの電極は、通常、ITO、酸化インジウム(IO)、酸化錫(NESATM)などから所望のパターン及び厚さで形成することができる。成膜方法としては、スパッタ法、蒸着法などを利用することができる。
【0105】
次いで、注入後の液晶を液晶パネル内に封止するための手段として、基板の液晶注入口を除いた周縁部分にシール材を印刷する。ここで使用するシール材は、通常、接着剤からなり、したがって、シール接着材とも言うことができる。シール接着材は、通常、エポキシ系の樹脂からなる。シール接着材を基板の所定の領域に印刷するには、例えば、スクリーン印刷法などの印刷法を有利に使用することができる。シール接着材の印刷が完了した後、素子基板(例えば、TFT基板)とCF基板との間隙を確保するためのスペーサ材を基板の間に散布する。スペーサ材は、例えば、樹脂、ガラス、シリカなどである。スペーサ材は、いろいろな形で使用できるが、通常、小球、ロッド(棒)の形である。
【0106】
次いで、基板どうし、例えば、素子基板(例えば、TFT基板)とCF基板を正確に位置合わせしながら重ね合わせ、すでに印刷してあるシール接着材で貼り合わせる。また、基板どうしを強く接合させるために加熱を併用するのが好ましい。このようにして、液晶を注入するためのパネル構造体(いわば、液晶パネルの前駆体)が完成する。
【0107】
その後、得られたパネル構造体に、その液晶注入口から液晶と硬化性樹脂の混合物を注入する。ここで使用する液晶/硬化性樹脂(混合物)は、前記した通り、いろいろな種類及び組成の混合物を包含する。また、注入手段としてはいろいろな装置を使用でき、特に、注入量を正確に制御できる面から、滴下式の注入器を有利に使用できる。真空の適用下にこの注入処理を行うのが好ましい。
【0108】
上記のようにして液晶/硬化性樹脂(混合物)の注入が完了した後、パネル構造体の開口している液晶注入口を封止する。適当な封止手段としては、先に使用したシール接着材やその他の接着材、あるいはその他の接着性樹脂を挙げることができる。
【0109】
引き続いて、パネル構造体の基板の間に注入した液晶/硬化性樹脂(混合物)に、図7(A)に示すように、樹脂硬化用のエネルギーを外部から適用する。図示の例では、光硬化性樹脂が樹脂層形成用に使用されているので、光エネルギーhυが照射されている。パネル構造体は、図示されるように、2枚の基板11及び12が対向しており、その中間に、硬化性樹脂2と液晶3とからなる液晶/硬化性樹脂(混合物)23が配置されている。エネルギー適用前の段階では、硬化性樹脂2と液晶3とは無秩序に分散している。
【0110】
エネルギーの適用を行うと、硬化性樹脂の硬化反応が進行し、その詳細なメカニズムは不明であるけれども、驚くべきことに、生成中の硬化樹脂が基板の界面に向かってマイグレートしてゆき、図7(B)に示すように、基板11及び12上に、それぞれ、樹脂層16及び17として堆積する。これらの樹脂層16及び17は、薄膜の形でそれぞれの基板に強く結合しており、また、網目構造をもっているので、その空隙部分に液晶3が含浸されている。また、樹脂層16及び17は、それぞれ、その表面部分に垂直配向発現性基Aが配列されている。
【0111】
上記のようにして樹脂層を形成した後、パネル構造体の基板の外側に偏光板、偏光フィルム、偏光フィルタなどの偏光子を取り付ける。
【0112】
本発明の液晶表示装置において、硬化性樹脂の硬化により形成された樹脂層は、本発明の範囲内においていろいろな形態をとることができる。樹脂層は、通常、先に図4を参照して説明したように、単一の層の形をとることができる。また、単一の樹脂層の場合であっても、ほぼ2層に分離した形で樹脂層を構成してもよい。すなわち、例えば図8(A)に示すように、樹脂層16は、液晶層13との界面領域において、垂直配向発現性官能基をもった第1の樹脂aが優先的に分布しており、かつ基板11(12)との界面領域において、網目構造をもった第2の樹脂bが優先的に分布していてもよい。
【0113】
また、図8(B)に示すように、樹脂層16(又は17)は、液晶層13に接して形成された、垂直配向発現性官能基をもった第1の樹脂からなる第1の樹脂層16a(又は17a)と、基板11(又は12)に接して形成された、網目構造をもった第2の樹脂からなる第2の樹脂層16b(又は17b)とからなる2層構造をもって構成されていてもよい。
【0114】
2層構造をもった樹脂層についてさらに説明すると、このような樹脂層は、2種類もしくはそれ以上の硬化性樹脂から形成するのが好ましく、また、その際、一方の硬化性樹脂は例えばガラス基板のような基板に対する濡れ性が良好であり、他方の硬化性樹脂は基板に対する濡れ性が不良であることが好ましい。また、基板に対する濡れ性が良好である硬化性樹脂は、多官能性樹脂であること、樹脂骨格ユニットとそれに結合した直鎖アルキル基を有していること、及び(又は)水平配向性を有していること、が好ましい。さらに、基板に対する濡れ性が不良である硬化性樹脂は、液晶の配向を決める液晶配向制御性を有していることが好ましく、さらに好ましくは、垂直配向発現性を有している。このような硬化性樹脂は、好ましくは、アルキル側鎖、フッ素基などを垂直配向発現性ユニットとして有している。これらのような硬化性樹脂を少なくとも2種類使用することによって、典型的には図8(B)に示されるような、2層構造をもった樹脂層16(又は17)を得ることができる。
【0115】
先にも説明したように、樹脂層は、その一方の面が液晶層と接するとともに、他方の面が、1つもしくはそれ以上の液晶パネル構成要素、例えば、基板、液晶を封止するシール材、基板どうしの間隔を一定に保持するスペーサ材、基板上に設けられた電極などと接することが必要である。ここで、樹脂層と液晶パネル構成要素の好ましい接触関係をもたらし得る液晶パネルは、以下に限定されるわけではないけれども、
(1)上下に対向する基板のそれぞれの主たる表面に樹脂層が全面的に形成されている液晶パネル、
(2)液晶パネルの内壁全面に樹脂層が形成されている液晶パネル、
(3)液晶パネルの上下基板の間隙を封止したシール材の側面に樹脂層が形成されている液晶パネル、
(4)液晶パネルの上下基板の間隙を一定に保持するために散布されたスペーサ材の表面に樹脂層が形成されている液晶パネル、
(5)液晶パネルの電極の表面に樹脂層が形成されている液晶パネル;例えば、対向基板の電圧を共通電圧とするために設けられた、素子基板側の電極と電気的な接続をとるための接続用パッド電極(いわゆる、トランスファー電極)の側面に樹脂層が形成されている液晶パネル
などを包含する。
【0116】
図9は、本発明による液晶表示装置の好ましい1形態を示したものであり、図9(A)は、液晶表示装置のシール材の平面図であり、また、図9(B)は、図9(A)の線分B−Bに沿った断面図である。図9(A)から、この液晶表示装置の場合、そのシール材31には、その側面全体にわたって樹脂層36が施されていることが理解されるであろう。また、図9(B)から、樹脂層36は、液晶パネルの液晶層13を規定する内壁の全体、すなわち、基板11及び12の表面、シール材31の側面、そしてスペーサ材32の表面を完全に覆っていることが理解されるであろう。
【0117】
よって、図示のような液晶パネルにおいて、基板上の樹脂層は、全面的に形成されているので、その存在個所を示すような境界を有することがない。これは、従来の配向膜の場合、配向膜形成材料を印刷や塗工によって適用した結果、得られた配向膜の端部が基板上において段差状の境界を規定していたのとは対照的である。段差上の境界は、液晶表示装置の表示特性に悪影響を及ぼすおそれが大である。よって、本発明の液晶表示装置の場合、液晶パネルの内壁全面にわたって均一に配向を規制することができる。
【0118】
図10は、本発明による液晶表示装置のもう1つの好ましい形態を示したものである。この液晶表示装置の場合、TFT基板12の対向電極19の電圧を共通電圧とするために、その対向電極19と素子基板11の共通電極15とを電気的に接続するためのパッド電極(いわゆる、トランスファー電極)33が設けられている。さらに、基板11及び12に表面全体を覆った樹脂層36が、パッド電極33の側面にも設けられている。樹脂層36をこのように全面的に形成したので、液晶パネルの内壁全面にわたって均一に液晶配向を規制することができ、従来の装置で顕著に発生した配向異常を回避することができる。すなわち、従来の配向膜を備えた液晶表示装置では、図示しないが、パッド電極の側面には配向膜が設けられておらず、また、パッド電極の基部(基板との接続部)においても配向膜が存在していなかったので、配向膜印刷のエッジ部も含めて配向異常の原因となってきたからである。
【0119】
さらに、本発明の液晶パネル全体について言うことができるが、ブラックマトリックスあるいはTFTバスなどの内面において、樹脂層の厚さをその他の領域に比較して相対的に薄くするかもしくは樹脂量を相対的に少なくすることもできる。換言すると、このような部位においては、硬化樹脂の存在確率が相対的に低くなる。
【0120】
本発明による液晶表示装置は、さらに、本発明の範囲内において多くの改良や変更を加えることができる。例えば、本発明の液晶表示装置では、その基板上に突起パターン(いわゆる土手構造物)や溝パターン(いわゆるスリット構造物)を単独もしくは組み合わせて備えるのが好ましい。これらの突起パターンや溝パターンをもって1画素領域を2つもしくはそれ以上の領域に分割し、よって、液晶分子の配向が異なった複数の領域を設けることで、視角特性の改善に代表される顕著な作用効果を得ることができるからである。
【0121】
例えば、土手構造物は、三角形、山形、台形等の断面を有する畝状突起やその他の突起パターンの形で基板上に形成することができる。このような土手構造物は、例えば、フォトレジストなどの感光性材料を基板上に塗布し、フォトリソグラフィ法によって露光、現像、そして焼き付けることによって有利に形成することができる。土手構造物のサイズは、広い範囲で変更することができるけれども、通常、約5〜20μmの幅及び約0.5〜3μmの高さである。このような土手構造物を基板上に設けると、その突起パターンが基板上の樹脂層の表面において再現され、所期の配向分割が達成される。
【0122】
かかる土手構造物において、配向分割は、次のようにして達成される。本発明の液晶パネルでは、基板の表面に樹脂層を設けたので、基板どうしに挟まれた液晶層の液晶分子を基板に対して垂直に配向させることができる。ここで、基板上に土手構造物を設けた位置では、液晶分子は土手構造物に対して垂直の配向し、概しては基板に対して斜めに配向することになる。土手構造物は、その両側に傾斜した側面を有しているので、土手構造物の一方の側面に対して垂直に配向する液晶分子の配向方向は、同じ土手構造物の反対側の側面に対して垂直に配向する液晶分子の配向方向とは逆になる。これによって、1つの画素領域内において配向分割を達成することができる。
【0123】
また、スリット構造物は、例えば、基板の表面にストライプ状あるいはその他の形の溝によって形成することができる。溝の形状は、土手構造物とは対照的に、逆三角形、逆台形などの断面、あるいは電極をスリット状にパターニングする意味で四角形の断面とするのが一般的である。スリット構造物は、通常、基板上に電極を形成する時、そのパターニングと同時に、あるいはそれに続けて形成するのが有利である。スリット構造物のサイズは、広い範囲で変更することができるけれども、通常、約5〜20μmの幅及び約0.02〜3μmの深さである。このようなスリット構造物を基板上に設けると、その溝パターンが基板上の液晶含浸樹脂層の表面において再現され、所期の配向分割が達成される。配向分割のメカニズムは、基本的に、上記した土手構造物に同様であるか、あるいは電極からスリット部に向って形成される横電界による配向である。
【0124】
図11〜図13は、それぞれ、上述の手法に従い液晶含浸樹脂層の表面に配向分割のための改良を施した本発明による液晶表示装置の好ましい形態を示したものである。
【0125】
図11の液晶パネルでは、その素子基板11の側にスリット26が設けられている。スリット26は、素子基板11上の画素電極15に予め形成されたストライプ状の溝に由来するものであり、画素電極15上の樹脂層16が溝パターンを再現し、スリット26を規定している。素子基板11に対向するCF基板12の側には、2つのスリット26の中間位置に、ほぼ三角形の断面を有する土手構造物25が設けられている。土手構造物25は、通常、素子基板11のデータバスラインに対応する位置に、それに平行に設けられる。土手構造物25は、CF基板12上の共通電極19に形成されたものであり、共通電極19上の液晶含浸樹脂層17が三角形の突起パターンをそのまま再現している。
【0126】
また、図12の液晶パネルでは、図11の液晶パネルと同様に、素子基板11の側にスリット26が設けられている。スリット26は、素子基板11上の画素電極15に予め形成されたストライプ状の溝に由来するものであり、画素電極15上の樹脂層16が溝パターンを再現し、スリット26を規定している。素子基板11に対向するCF基板12の側には、スリットも土手構造物も設けられていない。すなわち、CF基板12上には共通電極19が形成されており、さらに、共通電極19の上に樹脂層17が形成されている。
【0127】
さらに、図13の液晶パネルでは、図11及び図12の液晶パネルと同様に、素子基板11の側にスリット26が設けられている。スリット26は、素子基板11上の画素電極15に予め形成されたストライプ状の溝に由来するものであり、画素電極15上の樹脂層16が溝パターンを再現し、スリット26を規定している。素子基板11に対向するCF基板12の側にもスリット26が設けられている。このスリット26は、素子基板11の2つのスリット26の中間位置に位置している。
【0128】
さらにまた、通常の液晶パネルの場合、CF基板と例えばTFT基板のような素子基板は対向して配置されるけれども、素子基板の側に、本来ならば対向基板の側にあるべきカラーフィルタを組み込むこともできる。
【0129】
図14は、かかる液晶表示装置の典型例を示したものである。液晶表示装置10は、所定の間隔をあけて対向する一対の絶縁性の基板(透明なガラス基板)11及び12と、これらの基板の間に挟持される液晶層13とを備えて構成される。TFT基板を構成する一方の透明ガラス基板11の上には、図示のように、カラーフィルタ18と画素電極15が順に形成されており、また、画素電極15を覆うようにして、本発明による樹脂層16が形成されている。
【0130】
この液晶表示装置の場合、対向基板の上にCFやブラックマトリックス(BM)を形成することはもはや不要である。よって、他方の透明ガラス基板12の上には本発明による樹脂層17が液晶層13の側に設けられているのみである。したがって、樹脂層16及び17を形成するために光照射の形でエネルギー付与を行う場合、ガラス基板12を透過した光を何らの障害物に当てることなく基板11及び12の中間に案内することができ、より効果的にかつ均一に樹脂層16及び17を形成することができる。さらに、このように構成した場合には、液晶表示時、表示用の光が影になってしまう現象を避けることができ、より均一な表示を実現することができる。
【0131】
【実施例】
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。また、下記の実施例では、説明を簡略化するために使用していないが、必要ならば、ポリイミドやポリアミック酸などを、硬化性樹脂に適量で配合してもよく、さもなければ、硬化性樹脂の構造中にその一部として導入してもよい。
実施例1
2枚のガラス基板(商品名「OA−2」、日本電気硝子社製)を用意し、それぞれの基板の表面をIPAで洗浄し、乾燥した。一方の基板について、その片面の周縁領域にシール材(商品名「XN−21F」、三井化学製)を塗布し、シールパターンを形成した。他方の基板の片面には、直径4μmのシリカ製球状スペーサ材(積水ファインケミカル社製)をエタノールで湿式散布した。次いで、シール材付きの基板とスペーサ材付きの基板をシール材とスペーサ材が中に入るように貼り合わせ、真空パック後に130℃で焼成した。焼成時間は、90分間であった。2枚のガラス基板が重なって、その中間に液晶注入用の空間を備えた空パネルが得られた。
【0132】
次式により表される単官能性モノマー(商品名「SR−335」、日本化薬製):
【0133】
【化37】
【0134】
及び
次式により表される2官能性モノマー、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(商品名「HDDA」、日本化薬製):
【0135】
【化38】
【0136】
を15:1の混合比で混合した。得られたモノマー混合物を負の誘電率異方性を有するネマティック液晶(商品名「MLC2002」、メルク社製)に2重量%の量で混合した。さらに、液晶とモノマーの混合物に光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、クラリアント社製)を、液晶とモノマーの合計量に対して1重量%の量で混合した。
【0137】
得られた混合物をシール材の開口部から空パネルに注入し、開口部をエポキシ樹脂で封止した。次いで、液晶とモノマーの混合物を内部に封止したパネルに紫外線(波長:300〜450nm)を10mWで3分間にわたって照射した。紫外線の照射は、室温で行った。
【0138】
得られた液晶表示パネルの液晶層を観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に、上記した2種類のモノマーの重合によって生成した薄膜(約40nm)状の樹脂層が形成されていることが確認された。また、液晶層内における液晶分子の状態を観察したところ、紫外線の照射前には、液晶分子中にモノマー分子が分散するとともに、それぞれの液晶分子が、基板の表面に対してほぼ平行に配向していたものが、紫外線の照射後には、モノマーの重合の結果、液晶層がもっぱら液晶分子のみから構成されるようになり、また、液晶分子は、それぞれ、基板の表面に対してほぼ垂直に配向するようになった。さらに、このようにして製造された液晶表示パネルは、駆動特性及び視角特性に優れ、繊細なカラー画像を良好に表示することができた。
実施例2
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、単官能性モノマーと2官能性モノマーの混合比を15:1から1:1に変更した。
【0139】
得られた液晶表示パネルの液晶層を前記実施例1と同様に観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に薄膜(約40nm)状の樹脂層が形成され、また、液晶層において、紫外線の照射前にはそれぞれの液晶分子が基板の表面に対してほぼ平行に配向していたものが、紫外線の照射後には、液晶分子は、それぞれ、基板の表面に対してほぼ垂直に配向するようになった。さらに、液晶表示パネルは、駆動特性及び視角特性に優れ、繊細なカラー画像を良好に表示することができた。
実施例3
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、単官能性モノマーと2官能性モノマーの混合比を15:1から50:1に変更した。
【0140】
得られた液晶表示パネルの液晶層を前記実施例1と同様に観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に薄膜(約40nm)状の樹脂層が形成され、また、液晶層において、紫外線の照射前にはそれぞれの液晶分子が基板の表面に対してほぼ平行に配向していたものが、紫外線の照射後には、液晶分子は、それぞれ、基板の表面に対してほぼ垂直に配向するようになった。さらに、液晶表示パネルは、駆動特性及び視角特性に優れ、繊細なカラー画像を良好に表示することができた。
比較例1
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比較のため、単官能性モノマーと2官能性モノマーの混合比を15:1から1:2に変更した。
【0141】
得られた液晶表示パネルの液晶層を前記実施例1と同様に観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に樹脂層が形成されたけれども、実施例1におけるような明瞭な薄膜の状態ではなかった。また、液晶層において、紫外線の照射前にそれぞれの液晶分子が基板の表面に対してほぼ平行に配向していたが、紫外線の照射後においても変化はなく、液晶分子は水平配向のままであった。液晶分子において垂直配向が得られなかったので、液晶表示パネルを駆動しても、目的の画像表示を行うことができなかった。
比較例2
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比較のため、単官能性モノマーと2官能性モノマーの混合比を15:1から60:1に変更した。
【0142】
得られた液晶表示パネルの液晶層を前記実施例1と同様に観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に樹脂層が形成されたけれども、実施例1におけるような明瞭な薄膜の状態ではなかった。また、液晶層において、紫外線の照射前にそれぞれの液晶分子が基板の表面に対してほぼ平行に配向していたが、紫外線の照射後においても変化はなく、液晶分子は水平配向のままであった。液晶分子において垂直配向が得られなかったので、液晶表示パネルを駆動しても、目的の画像表示を行うことができなかった。
実施例4
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、2官能性モノマーとして、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートに代えて、次式により表される2官能性モノマー(商品名「KAYARAD R−684」、日本化薬製)を使用した。
【0143】
【化39】
【0144】
単官能性モノマーと2官能性モノマーの混合比は、15:1のままであった。
【0145】
得られた液晶表示パネルの液晶層を前記実施例1と同様に観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に薄膜(約40nm)状の樹脂層が形成され、また、液晶層において、紫外線の照射前にはそれぞれの液晶分子が基板の表面に対してほぼ平行に配向していたものが、紫外線の照射後には、液晶分子は、それぞれ、基板の表面に対してほぼ垂直に配向するようになった。さらに、液晶表示パネルは、駆動特性及び視角特性に優れ、繊細なカラー画像を良好に表示することができた。
実施例5
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、2官能性モノマーとして、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートに代えて、次式により表される2官能性モノマー(商品名「KAYARAD SR−268」、日本化薬製)を使用した。
【0146】
【化40】
【0147】
単官能性モノマーと2官能性モノマーの混合比は、15:1のままであった。
【0148】
得られた液晶表示パネルの液晶層を前記実施例1と同様に観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に薄膜(約40nm)状の樹脂層が形成され、また、液晶層において、紫外線の照射前にはそれぞれの液晶分子が基板の表面に対してほぼ平行に配向していたものが、紫外線の照射後には、液晶分子は、それぞれ、基板の表面に対してほぼ垂直に配向するようになった。さらに、液晶表示パネルは、駆動特性及び視角特性に優れ、繊細なカラー画像を良好に表示することができた。
実施例6
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、2官能性モノマーとして、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートに代えて、次式により表される2官能性モノマー(商品名「KAYARAD R−526」、日本化薬製)を使用した。
【0149】
【化41】
【0150】
単官能性モノマーと2官能性モノマーの混合比は、15:1のままであった。
【0151】
得られた液晶表示パネルの液晶層を前記実施例1と同様に観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に薄膜(約40nm)状の樹脂層が形成され、また、液晶層において、紫外線の照射前にはそれぞれの液晶分子が基板の表面に対してほぼ平行に配向していたものが、紫外線の照射後には、液晶分子は、それぞれ、基板の表面に対してほぼ垂直に配向するようになった。さらに、液晶表示パネルは、駆動特性及び視角特性に優れ、繊細なカラー画像を良好に表示することができた。
実施例7
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、多官能性モノマーとして、2官能性モノマー(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)に代えて、次式により表される3官能性モノマー(商品名「KAYARAD SR−502」、日本化薬製)を使用した。
【0152】
【化42】
【0153】
単官能性モノマーと3官能性モノマーの混合比は、15:1のままであった。
【0154】
得られた液晶表示パネルの液晶層を前記実施例1と同様に観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に薄膜(約40nm)状の樹脂層が形成され、また、液晶層において、紫外線の照射前にはそれぞれの液晶分子が基板の表面に対してほぼ平行に配向していたものが、紫外線の照射後には、液晶分子は、それぞれ、基板の表面に対してほぼ垂直に配向するようになった。さらに、液晶表示パネルは、駆動特性及び視角特性に優れ、繊細なカラー画像を良好に表示することができた。
実施例8
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、多官能性モノマーとして、2官能性モノマー(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)に代えて、次式により表される4官能性モノマー(商品名「KAYARAD SR−295」、日本化薬製)を使用した。
【0155】
【化43】
【0156】
単官能性モノマーと4官能性モノマーの混合比は、15:1のままであった。
【0157】
得られた液晶表示パネルの液晶層を前記実施例1と同様に観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に薄膜(約40nm)状の樹脂層が形成され、また、液晶層において、紫外線の照射前にはそれぞれの液晶分子が基板の表面に対してほぼ平行に配向していたものが、紫外線の照射後には、液晶分子は、それぞれ、基板の表面に対してほぼ垂直に配向するようになった。さらに、液晶表示パネルは、駆動特性及び視角特性に優れ、繊細なカラー画像を良好に表示することができた。
実施例9
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、多官能性モノマーとして、2官能性モノマー(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)の単独使用に代えて、この2官能性モノマーと前記実施例7に記載の3官能性モノマー(KAYARAD SR−502)の1:1混合物を使用した。単官能性モノマーと多官能性モノマー(2官能性及び3官能性モノマーの混合物)の混合比は、15:1のままであった。
【0158】
得られた液晶表示パネルの液晶層を前記実施例1と同様に観察したところ、それぞれの基板と液晶層の界面に薄膜(約40nm)状の樹脂層が形成され、また、液晶層において、紫外線の照射前にはそれぞれの液晶分子が基板の表面に対してほぼ平行に配向していたものが、紫外線の照射後には、液晶分子は、それぞれ、基板の表面に対してほぼ垂直に配向するようになった。さらに、液晶表示パネルは、駆動特性及び視角特性に優れ、繊細なカラー画像を良好に表示することができた。
実施例10
本例では、図9に模式的に示すような液晶表示パネルを前記実施例1に記載の手法に従って製造した。
【0159】
ITO電極15付きのガラス基板11を調製し、その片面の周縁領域にシール材(商品名「XN−21F」、三井化学製)を塗布し、シールパターン31を形成した。もう1枚の、ITO電極19付きのガラス基板12の片面には、直径4μmのシリカ製球状スペーサ材(積水ファインケミカル社製)32をエタノールで湿式散布した。次いで、シール材付きの基板11とスペーサ材付きの基板12をシール材とスペーサ材が中に入るように貼り合わせ、真空パック後に130℃で焼成した。焼成時間は、90分間であった。2枚のガラス基板11及び12が重なって、その中間に液晶注入用の空間を備えた空パネルが得られた。
【0160】
次いで、単官能性モノマー(SR−335)及び2官能性モノマー(HDDA)を15:1の混合比で混合した後、得られたモノマー混合物を負の誘電率異方性を有するネマティック液晶(MLC2002)に3重量%の量で混合した。さらに、液晶とモノマーの混合物に光重合開始剤(イルガキュア184)を、モノマーの全量に対して1重量%の量で混合した。
【0161】
得られた混合物をシール材の開口部から空パネルに注入し、開口部をエポキシ樹脂で封止した。次いで、液晶とモノマーの混合物を内部に封止したパネルに紫外線(波長:300〜450nm)を10mWで3分間にわたって照射した。紫外線の照射は、室温で行った。
【0162】
得られた液晶表示パネルの液晶層13を観察したところ、図9(B)に示すように、それぞれの基板11(12)と液晶層13の界面、シール材31と液晶層13の界面、そしてスペーサ材32と液晶層13の界面に、上記した2種類のモノマーの重合によって生成した薄膜(約30nm)状の樹脂層36が一面に形成されていることが確認された。
【0163】
上記したように、従来は液晶層と直に接したままであったシール材31の側面に樹脂層36を形成することができたので、シール材31の近傍における液晶分子の配向を安定にすることができ、したがって、シール材31と表示画素(図示せず)との間隔を0.5mm以下とすることができた。また、シール材31の側面に加えてスペーサ材32の側面にも樹脂層36を形成することができたので、スペーサ材32の表面における液晶分子の配向もコントロールすることができた。
【0164】
さらに加えて、本例の液晶表示パネルでは、本発明のその他の液晶表示パネルについても同じように言えることであるが、従来の液晶表示パネルのように配向膜(例えば、ポリイミド系の配向膜)を印刷法(例えば、平版印刷法、凸版印刷法)で形成する工程を含まないことに由来する、多くの注目すべき効果を得ることができた。
【0165】
まず、印刷法を使用していないので、液晶の配向の悪影響を及ぼすメッシュなどの印刷に伴うパターンが、樹脂層の表面に形成されるのを防止することができた。
【0166】
また、印刷法を使用していないので、基板の表面において印刷パターンの末端あるいは境界が段差となって現れたことによる欠陥を防止できた。本来ならば画面全体において液晶分子が良好な配向を示すべきところを、段差の出現によって、配向異常が発生するからである。
【0167】
さらに、印刷法を使用していないので、配向膜の材料を有機溶剤に溶解するという手間のかかる作業を解消することができた。得られる溶液の粘度調整が、煩雑であったからである。さらに、有機溶剤フリーであるので、環境保護の面からも有用であり、樹脂層中に有機溶剤が残存した場合の欠点も回避することができた。
【0168】
さらにまた、印刷法では配向膜の厚さを薄くすることが技術的に困難であったけれども、液晶層内でモノマーを基板側に移動させ、重合させて樹脂層を形成するという画期的な方法を採用したので、樹脂層の厚さを非常に薄くすることができた。特に、印刷法では実現されない40nm以下、特に30nm以下の厚さを容易にかつ均一に実現することができた。樹脂層をこのように極薄に形成することができたので、液晶層にかかる電圧値を大きくとることが可能となり、低いしきい値電圧にて液晶表示パネルを駆動することができるようになった。具体的には、液晶の配向状態を変化させ得るしきい値電圧を0.5Vほど低減することができた。
実施例11
本例では、図10に模式的に示すような液晶表示パネルを前記実施例1及び前記実施例10に記載の手法に従って製造した。なお、この液晶パネルでもシール材及びスペーサ材を前記実施例10に記載の手法に従って所定の位置に配置したけれども、説明の簡略化のために、図から省略されている。
【0169】
ITO電極(共通電極)15付きのガラス基板(TFT基板)11を調製し、その片面の周縁領域にシール材(商品名「XN−21F」、三井化学製)を塗布し、シールパターンを形成した。もう1枚の、ITO電極(対向電極)19付きのガラス基板(CF基板)12の片面には、直径4μmのシリカ製球状スペーサ材(積水ファインケミカル社製)をエタノールで湿式散布した。また、TFT基板11の所定の位置には、その共通電極15とCF基板12の対向電極19を電気的に接続し、よって、対向電極19に所定の電圧を印加するため、トランスファー電極33を形成した。トランスファー電極33は、銀ペーストを所定の厚さで堆積させ、さらにパターニングすることによって形成した。
【0170】
次いで、シール材及びトランスファー電極付きのTFT基板11とスペーサ材付きのCF基板12をシール材とスペーサ材が中に入るように貼り合わせ、真空パック後に130℃で焼成した。焼成時間は、90分間であった。2枚の基板11及び12が重なって、その中間に液晶注入用の空間を備えた空パネルが得られた。
【0171】
次いで、単官能性モノマー(SR−335)及び2官能性モノマー(HDDA)を15:1の混合比で混合した後、得られたモノマー混合物を負の誘電率異方性を有するネマティック液晶(MLC2002)に3重量%の量で混合した。さらに、液晶とモノマーの混合物に光重合開始剤(イルガキュア184)を、モノマーの全量に対して1重量%の量で混合した。
【0172】
得られた混合物をシール材の開口部から空パネルに注入し、開口部をエポキシ樹脂で封止した。次いで、液晶とモノマーの混合物を内部に封止したパネルに紫外線(波長:300〜450nm)を10mWで3分間にわたって照射した。紫外線の照射は、室温で行った。
【0173】
得られた液晶表示パネルの液晶層13を観察したところ、図10に示すように、それぞれの基板11(12)と液晶層13の界面、そしてトランスファー電極33と液晶層13の界面に、上記した2種類のモノマーの重合によって生成した薄膜(約30nm)状の樹脂層36が一面に形成されていることが確認された。また、図示しないけれども、シール材と液晶層の界面やスペーサ材と液晶層の界面にも、同様な樹脂層が薄膜で、均一な厚さに形成されていることが確認された。
【0174】
上記したように、従来は液晶層と直に接したままであったトランスファー電極33の基部や側面に樹脂層36を形成することができたので、トランスファー電極33の近傍においてそれぞれの液晶分子を安定に配向させることができた。また、従来の方法では、基板上に配向膜を形成した後に、その一部を選択的に除去して、露出した電極の上にトランスファー電極を形成するという煩雑な作業が必要であったが、本例では、そのような工程が不要であるので、製造工程の単純化及び製造コストの低減に大きく貢献することができる。また、配向膜を選択的に除去する従来の方法では、配向不良の発生を防止できなかったけれども、本例では、そのような配向不良の問題も発生しなかった。
【0175】
本例では、これらの効果に加えて、前記実施例10で得られた効果、すなわち、シール材と液晶層の界面及びスペーサ材と液晶層の界面における樹脂層の形成による効果ならびに印刷法の不使用に由来する効果も得ることができた。
【0176】
また、本例の液晶表示パネルは、駆動特性及び視角特性に優れ、繊細なカラー画像を良好に表示することができた。
実施例12〜14
本例では、それぞれ図11〜図13に模式的に示すような土手構造及び(又は)スリット構造付きの液晶表示パネルを前記実施例1及び前記実施例10に記載の手法に従って製造した。なお、これらの液晶パネルでもシール材及びスペーサ材を前記実施例10に記載の手法に従って所定の位置に配置し、同様な作用効果を得ることができたけれども、説明の簡略化のために、図から省略されている。
【0177】
また、図示しないけれども、いずれの液晶表示パネルにおいても、その樹脂層を先に図8(B)を参照して説明したように、2層構造とすることもできる。2層構造の樹脂層は、例えば:
樹脂1…液晶層側の第1の樹脂層を構成する樹脂、例えば、直鎖アルキルに側鎖アルキルが結合した構成の樹脂。例えば(メタ)アクリレート樹脂。
樹脂2…基板側の第2の樹脂層を構成する樹脂、例えば、直鎖アルキルが結合した構成あるいは骨格としての機能を有する構成の樹脂。例えば(メタ)アクリレート樹脂。
(いずれの樹脂も、前記の通り)を用いて形成することができる。
【0178】
これらの樹脂を合して樹脂混合物とした後、例えば、液晶(例えば、負の誘電率異方性を示すネマティック液晶)及び樹脂混合物を98:2の割合(重量比)で混合し、さらに樹脂の5重量%の量で重合開始剤を混入する。ここで、垂直配向性を得るのに好適な樹脂1及び樹脂2の混合比は、通常、1:1〜30:1の範囲であり、さらに50:1までであってもよい。
【0179】
図11に示す実施例12では、ITO電極15付きのTFT基板11とITO電極19付きのCF基板12の間に液晶層13が封止されている。また、TFT基板11の上には、ITO電極15の段差に由来して形成されたスリット構造物26を有する樹脂層16が積層されている。樹脂層16は、液晶中に分散させておいたモノマーの重合によって形成されたものである。一方、CF基板12の上にはITO電極19及び樹脂層17が順次形成されている。樹脂層17の表面には、ITO電極19上に予め形成された土手構造物25に由来する突起パターンが形成されている。
【0180】
このような構造の液晶表示パネルにおいて、液晶層13内の液晶分子3は、電圧無印加状態では垂直に配向している。液晶層13に接する樹脂層16(17)が、液晶の配向に関与しているからである。次いで、この液晶表示パネルに電圧を印加すると、電界は斜めに印加されることになり、液晶分子3が2方向に倒れることの結果、配向分割が導かれる。配向分割は、応答速度の向上などに大きく貢献することができる。
【0181】
図12に示す実施例13でも、ITO電極15付きのTFT基板11とITO電極19付きのCF基板12の間に液晶層13が封止されている。また、TFT基板11の上には、ITO電極15及びスリット構造物26を有する樹脂層16が順次積層されている。樹脂層16は、上記したように、液晶中に分散させておいたモノマーの重合によって形成されたものである。一方、CF基板12の上にはITO電極19及び樹脂層17が順次形成されている。但し、樹脂層17の表面には、図11の液晶表示パネル(実施例12)の場合とは異なって、土手構造物に由来する突起パターンが形成されていない。
【0182】
参考のために簡単に説明すると、図示の液晶表示パネルは、上記した2層構造樹脂層形成用の液晶と樹脂の混合物を使用した場合、次のようにして作製することができる。
【0183】
TFT基板11及びCF基板12を洗浄した後、それらの基板の周囲にシール印刷を行い、貼りあわせる。次に、シールの切れた部分(注入口)から液晶と樹脂との混合物を真空注入する。混合物の注入後、注入口を可視光硬化型の樹脂で封止する。次に、この液晶パネル全体に紫外線を照射する。照射源としては、高圧水銀ランプを用いる。ガラスを通して紫外線を照射することになるので、短波長の紫外線はカットされるため、重合開始剤の吸収端もガラス基板を透過する光に反応するように設定する。具体的には、重合開始剤の吸収端を300nmより長波長側に設定する。紫外線を照射することにより、注入直後には水平配向あるいはランダム配向に近かったものが、全面垂直配向になる。
【0184】
このような構造の液晶表示パネルにおいて、液晶層13内の液晶分子3は、電圧無印加状態では垂直に配向している。液晶層13に接する樹脂層16(17)が、液晶の配向に関与しているからである。次いで、この液晶表示パネルに電圧を印加すると、電界は斜めに印加されることになり、液晶分子3が2方向に倒れることの結果、配向分割が導かれる。配向分割は、応答速度の向上などに大きく貢献することができる。
【0185】
図13に示す実施例14でも、ITO電極15付きのTFT基板11とITO電極19付きのCF基板12の間に液晶層13が封止されている。また、TFT基板11の上には、ITO電極15及びスリット構造物26を有する樹脂層16が順次積層されている。樹脂層16は、上記したように、液晶中に分散させておいたモノマーの重合によって形成されたものである。一方、CF基板12の上にはITO電極19及び樹脂層17が順次形成されており、さらに、樹脂層17の表面には、ITO電極19の段差に由来して形成されたスリット構造物26が存在している。
【0186】
このような構造の液晶表示パネルにおいて、液晶層13内の液晶分子3は、電圧無印加状態では垂直に配向している。液晶層13に接する樹脂層16(17)が、液晶の配向に関与しているからである。次いで、この液晶表示パネルに電圧を印加すると、電界は斜めに印加されることになり、液晶分子3が2方向に倒れることの結果、配向分割が導かれる。配向分割は、応答速度の向上などに大きく貢献することができる。
【0187】
また、ここでは図示していないが、本例を含めた本発明の液晶表示パネルを一対の円偏光板(あるいは円偏光フィルムなど)で挟むことが推奨される。輝度の大幅な向上を図ることができるからである。本発明者らの知見によれば、単純にクロスニコルで挟んだ構造の液晶表示パネルと比較した場合、約4割の輝度の向上を達成することができる。
実施例15
本例では、図14に模式的に示すような液晶表示装置を前記実施例1及び前記実施例10に記載の手法に従って製造した。なお、この液晶表示パネルでもシール材及びスペーサ材を前記実施例10に記載の手法に従って所定の位置に配置したけれども、説明の簡略化のために、図から省略されている。また、図示の液晶表示装置10の場合、TFT基板11の側にカラーフィルタ18が配置されている点で、先に図3を参照して説明した本発明の液晶表示装置と区別される。
【0188】
さらに説明すると、液晶表示装置10は、一対のガラス基板、すなわち、TFT基板11及び対向基板12と、これらの基板の間に挟持される液晶層13とを備えて構成される。液晶層13を構成する液晶は、ネマティック液晶などである。
【0189】
TFT基板11の上には、図示されるように、ゲート電極41、ソース電極42などから構成されるTFT素子が作りこまれている。TFT素子は、TFT基板において従来一般的に使用されている任意のTFT素子である。また、TFT基板11の上にはカラーフィルタ18も形成されている。さらに、カラーフィルタ18の上には画素電極15が形成され、画素電極15を覆うようにして、本発明に特有の樹脂層16が形成されている。一方、対向基板12の上には、本発明による樹脂層17が積層されている。また、TFT基板11及び対向12の外側には、それぞれ、偏光板21及び22が取り付けられている。
【0190】
本例の場合、TFT基板11に対向して配置された対向基板12の側に、カラーフィルタ(CF)やブラックマトリックス(BM)を形成しない構成を採用したので、例えば、TFT基板11の全面に紫外線を均一に照射することが可能になる。照射した紫外線がCFやBMにあたって影を生じることがなくなるので、より均一な画像表示を達成することができる。CF基板上のCFやBM、さらにはバスラインは、その厚さの故に紫外線を遮断可能であるからである。換言すると、本例の場合、TFT基板のバスライン近傍やCF及びBM近傍において紫外線遮断に原因した不都合を回避することができる。
【0191】
以上の詳細な説明から容易に理解できるように、本発明は、いろいろな形態で有利に実施することができる。本発明の好ましい実施の形態を整理して付記すると、次の通りである。
【0192】
(付記1)一対の対向して配置された基板と、それらの基板の間に封入された液晶とを含むパネル構造をもった液晶表示装置であって、
前記液晶と該液晶に接する液晶パネル構成要素の界面に、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを含む硬化性樹脂の硬化によって形成された網目構造をもった樹脂層が介在せしめられており、かつ前記樹脂層の表面から、前記硬化性樹脂に含まれるモノマーの垂直配向発現性官能基が派生していることを特徴とする液晶表示装置。
【0193】
(付記2)前記垂直配向発現性基が、アルキル基及び(又は)ハロゲン原子であることを特徴とする付記1に記載の液晶表示装置。
【0194】
(付記3)前記液晶パネル構成要素が、前記基板、前記液晶を封止するシール材、前記基板どうしの間隔を一定に保持するスペーサ材及び前記基板上に設けられた電極からなる群から選ばれた少なくとも1つの部材であることを特徴とする付記1又は2に記載の液晶表示装置。
【0195】
(付記4)前記硬化性樹脂において、前記単官能性モノマーは、前記多官能性モノマーとほぼ同量で、もしくはそれよりも多量に含まれることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0196】
(付記5)前記硬化性樹脂において、前記単官能性モノマーと前記多官能性モノマーの比率が、1:1〜50:1の範囲であることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0197】
(付記6)前記単官能性モノマー及び(又は)多官能性モノマーが、(メタ)アクリル酸系の単官能性モノマー、2官能性モノマー、3官能性モノマー又は4官能性モノマーであることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0198】
(付記7)前記(メタ)アクリル酸系の単官能性モノマーが、次の一般式(I):
【0199】
【化44】
【0200】
(上式において、R1は、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、かつAは、液晶パネルにおいて使用した時に液晶分子の垂直配向を発現し得る官能基を表すかもしくはかかる官能基を含む任意のユニットを表す)により表されることを特徴とする付記6に記載の液晶表示装置。
【0201】
(付記8)前記(メタ)アクリル酸系の2官能性モノマーが、次の一般式(III):
【0202】
【化45】
【0203】
(上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、かつBは、得られる硬化樹脂においてその骨格を規定し得る任意のユニットを表す)により表されることを特徴とする付記6又は7に記載の液晶表示装置。
【0204】
(付記9)前記(メタ)アクリル酸系の2官能性モノマーが、次の一般式(III−1):
【0205】
【化46】
【0206】
(上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、低級アルキレン基を表し、Rは、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表し、そしてm及びnは、互いに独立しており、0〜4の整数を表す)により表されることを特徴とする付記6〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0207】
(付記10)前記(メタ)アクリル酸系の2官能性モノマーが、次の一般式(III−2):
【0208】
【化47】
【0209】
(上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、R1は、低級アルキレン基を表し、そしてnは、0〜12の整数を表す)により表されることを特徴とする付記6〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0210】
(付記11)前記(メタ)アクリル酸系の2官能性モノマーが、次の一般式(III−3):
【0211】
【化48】
【0212】
(上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、R、R´及びR″は、同一もしくは異なっていてもよく、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表し、そしてm及びnは、互いに独立しており、0又は1を表す)により表されることを特徴とする付記6〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0213】
(付記12)前記(メタ)アクリル酸系の3官能性モノマーが、次の一般式(IV):
【0214】
【化49】
【0215】
(上式において、R1、R2及びR3は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、R1、R2及びR3は、同一もしくは異なっていてもよく、低級アルキレン基を表し、Rは、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表し、そしてl、m及びnは、互いに独立しており、0〜3の整数を表す)により表されることを特徴とする付記6〜11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0216】
(付記13)前記(メタ)アクリル酸系の4官能性モノマーが、次の一般式(V):
【0217】
【化50】
【0218】
(上式において、R1、R2、R3及びR4は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、R1、R2、R3及びR4は、同一もしくは異なっていてもよく、低級アルキレン基を表し、Rは、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表し、そしてk、l、m及びnは、互いに独立しており、0〜2の整数を表す)により表されることを特徴とする付記6〜12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0219】
(付記14)前記樹脂層の厚さが、5〜40nmの範囲であることを特徴とする付記1〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0220】
(付記15)前記樹脂層が、前記液晶及び前記硬化性樹脂の混合物を前記基板の間に注入した後にエネルギーを加えることによって形成されたものであることを特徴とする付記1〜14のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0221】
(付記16)前記液晶と前記硬化性樹脂の割合が、10:1〜400:1の範囲であることを特徴とする付記15に記載の液晶表示装置。
【0222】
(付記17)前記液晶が、負の誘電率異方性を示すものであり、かつ、電圧無印加時、前記液晶の分子長軸が前記基板に対してほぼ垂直に配向していることを特徴とする付記1〜16のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0223】
(付記18)前記樹脂層がほぼ2層に分離しており、その際、前記液晶との界面領域において、前記垂直配向発現性官能基をもった樹脂が優先的に分布しており、かつ前記基板との界面領域において、網目構造をもった樹脂が優先的に分布していることを特徴とする付記1〜17のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0224】
(付記19)前記樹脂層が、前記液晶に接して形成された、前記垂直配向発現性官能基をもった樹脂からなる第1の樹脂層と、前記基板に接して形成された、網目構造をもった樹脂からなる第2の樹脂層とをもって構成されていることを特徴とする付記1〜18のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0225】
(付記20)基板上に土手構造物及び(又は)スリット構造物を有していることを特徴とする付記1〜19のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【0226】
(付記21)一対の対向して配置された基板と、それらの基板の間に封止された液晶とを含むパネル構造をもった液晶表示装置を製造する方法であって、
前記基板の間に、前記液晶と、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを含む硬化性樹脂との混合物を注入し、
引き続いてエネルギーを与えて前記硬化性樹脂を硬化させ、前記液晶と該液晶に接する液晶パネル構成要素の界面において、網目構造をもった樹脂層を選択的に形成するとともに、前記樹脂層の表面から、前記硬化性樹脂に含まれるモノマーの垂直配向発現性官能基を派生させること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【0227】
(付記22)前記硬化性樹脂に含まれるモノマーにおいて、アルキル基及び(又は)ハロゲン原子を前記垂直配向発現性基として有することを特徴とする付記21に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0228】
(付記23)前記液晶パネル構成要素が、前記基板、前記液晶を封止するシール材、前記基板どうしの間隔を一定に保持するスペーサ材及び前記基板上に設けられた電極からなる群から選ばれた少なくとも1つの部材であることを特徴とする付記21又は22に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0229】
(付記24)前記硬化性樹脂において、前記単官能性モノマーを、前記多官能性モノマーとほぼ同量で、もしくはそれよりも多量に含ませることを特徴とする付記21〜23のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0230】
(付記25)前記硬化性樹脂において、前記単官能性モノマーと前記多官能性モノマーの比率を、1:1〜50:1の範囲とすることを特徴とする付記21〜24のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0231】
(付記26)前記単官能性モノマー及び(又は)多官能性モノマーが、(メタ)アクリル酸系の単官能性モノマー、2官能性モノマー、3官能性モノマー又は4官能性モノマーであることを特徴とする付記21〜25のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0232】
(付記27)前記(メタ)アクリル酸系の単官能性モノマーが、次の一般式(I):
【0233】
【化51】
【0234】
(上式において、R1は、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、かつAは、液晶パネルにおいて使用した時に液晶分子の垂直配向を発現し得る官能基を表すかもしくはかかる官能基を含む任意のユニットを表す)により表されることを特徴とする付記26に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0235】
(付記28)前記(メタ)アクリル酸系の2官能性モノマーが、次の一般式(III):
【0236】
【化52】
【0237】
(上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、かつBは、得られる硬化樹脂においてその骨格を規定し得る任意のユニットを表す)により表されることを特徴とする付記26又は27に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0238】
(付記29)前記(メタ)アクリル酸系の2官能性モノマーが、次の一般式(III−1):
【0239】
【化53】
【0240】
(上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、低級アルキレン基を表し、Rは、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表し、そしてm及びnは、互いに独立しており、0〜4の整数を表す)により表されることを特徴とする付記26〜28のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0241】
(付記30)前記(メタ)アクリル酸系の2官能性モノマーが、次の一般式(III−2):
【0242】
【化54】
【0243】
(上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、R1は、低級アルキレン基を表し、そしてnは、0〜12の整数を表す)により表されることを特徴とする付記26〜28のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0244】
(付記31)前記(メタ)アクリル酸系の2官能性モノマーが、次の一般式(III−3):
【0245】
【化55】
【0246】
(上式において、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、R、R´及びR″は、同一もしくは異なっていてもよく、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表し、そしてm及びnは、互いに独立しており、0又は1を表す)により表されることを特徴とする付記26〜28のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0247】
(付記32)前記(メタ)アクリル酸系の3官能性モノマーが、次の一般式(IV):
【0248】
【化56】
【0249】
(上式において、R1、R2及びR3は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、R1、R2及びR3は、同一もしくは異なっていてもよく、低級アルキレン基を表し、Rは、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表し、そしてl、m及びnは、互いに独立しており、0〜3の整数を表す)により表されることを特徴とする付記26〜31のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0250】
(付記33)前記(メタ)アクリル酸系の4官能性モノマーが、次の一般式(V):
【0251】
【化57】
【0252】
(上式において、R1、R2、R3及びR4は、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子を表すかもしくは低級アルキル基を表し、R1、R2、R3及びR4は、同一もしくは異なっていてもよく、低級アルキレン基を表し、Rは、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基を表し、そしてk、l、m及びnは、互いに独立しており、0〜2の整数を表す)により表されることを特徴とする付記26〜32のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0253】
(付記34)前記樹脂層を、5〜40nmの厚さで形成することを特徴とする付記21〜33のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0254】
(付記35)前記液晶と前記硬化性樹脂を、10:1〜400:1の割合で混合することを特徴とする付記21〜34のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0255】
(付記36)前記液晶が、負の誘電率異方性を示すものであり、かつ、電圧無印加時、前記液晶の分子長軸が前記基板に対してほぼ垂直に配向していることを特徴とする付記21〜35のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0256】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明によれば、従来の液晶表示装置において必須であった配向膜を使用しないので、成膜工程やその後の配向処理(ラビング処理、光配向処理等)、さらには焼成工程の省略による多くの効果、例えば、製造工程及び時間の大幅な短縮、製造コストの大幅な低減、工程管理、歩留まり等の改善などを伴って、高性能な液晶表示装置を提供することができる。
【0257】
また、本発明の樹脂層は、配向膜のように印刷や塗工によって形成する必要がないので、その樹脂層の表面にメッシュ模様(使用したスクリーンによる)のような不所望なパターンができることがなく、特性に対する悪影響を回避できる。
【0258】
さらに、本発明の液晶表示装置の垂直配向性は、それが樹脂層に由来するので、均一かつ安定であり、配向乱れを生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液晶表示パネルの製造工程を示すフローチャートである。
【図2】従来の光配向法の概略を、順を追って示す断面図である。
【図3】本発明によるフルカラーのTFT液晶表示装置の主要構成を示す断面図である。
【図4】図3の液晶表示装置における樹脂層の状態を模式的に示す断面図である。
【図5】図4の樹脂層の近傍における液晶分子の配向状態を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明による液晶表示パネルの製造工程を示すフローチャートである。
【図7】本発明による樹脂層の形成工程を順を追って示した断面図である。
【図8】本発明による液晶表示装置の別の2つの実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明による液晶表示装置の別の実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明による液晶表示装置の別の実施形態を示す断面図である。
【図11】本発明による液晶表示装置の別の実施形態を示す断面図である。
【図12】本発明による液晶表示装置の別の実施形態を示す断面図である。
【図13】本発明による液晶表示装置の別の実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明による液晶表示装置の別の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
2…光硬化性樹脂
3…液晶分子
10…液晶表示装置(液晶パネル)
11…ガラス基板
12…ガラス基板
13…液晶層
14…絶縁層
15…画素電極
16…樹脂層
17…樹脂層
18…カラーフィルタ
19…共通電極
21…偏光板
22…偏光板
23…液晶/硬化性樹脂の混合物層
24…データバスライン
25…土手構造
26…溝構造
Claims (16)
- 一対の対向して配置された基板と、前記一対の基板の間に封入された液晶とを含むパネル構造を有する液晶表示装置であって、
前記液晶と前記液晶に接する液晶パネル構成要素の界面に、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを含む硬化性樹脂の硬化によって形成された網目構造をもった樹脂層が形成されており、かつ前記樹脂層の表面から、前記硬化性樹脂に含まれるモノマーの垂直配向発現性官能基が派生していることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記垂直配向発現性基が、アルキル基及びハロゲン原子の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶パネル構成要素が、前記一対の基板、前記液晶を封止するシール材、前記一対の基板どうしの間隔を一定に保持するスペーサ材及び前記一対の基板上に設けられた電極からなる群から選ばれた少なくとも1つの部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
- 前記硬化性樹脂における、前記単官能性モノマーと前記多官能性モノマーの比率が、1:1から50:1の範囲の内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記樹脂層の厚さが、5から40nmの範囲の内にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記硬化性樹脂が、外部からエネルギーを与えられることにより硬化可能な樹脂であり、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂からなる群から選ばれた樹脂であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記樹脂層が、前記液晶と混合された前記硬化性樹脂を硬化させることによって形成されたものである、請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記一対の基板の前記液晶側の面上に土手構造物又はスリット構造物が設けられている、請求項1から7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記一対の基板の前記液晶側の面上に形成された電極を備え、前記土手構造物は前記電極の上に形成された突起であり、前記スリット構造物は前記電極に形成された溝又は段差に由来する前記樹脂層の溝である、請求項8に記載の液晶表示装置。
- 前記土手構造物又はスリット構造物によって、1つの画素領域内に、液晶分子の配向が異なる複数の領域が形成される、請求項8又は9に記載の液晶表示装置。
- 一対の対向して配置された基板と、前記一対の基板の間に封入された液晶とを含むパネル構造を有する液晶表示装置の製造方法であって、
前記一対の基板の間に、前記液晶と、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを含む硬化性樹脂との混合物を注入し、
エネルギーを与えて前記硬化性樹脂を硬化させ、前記液晶と前記液晶に接する液晶パネル構成要素の界面に、網目構造をもった樹脂層を形成するとともに、前記樹脂層の表面から、前記硬化性樹脂に含まれるモノマーの垂直配向発現性官能基を派生させることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 前記硬化性樹脂に含まれるモノマーが、アルキル基及びハロゲン原子の少なくとも一方を前記垂直配向発現性基として有することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記液晶パネル構成要素が、前記一対の基板、前記液晶を封止するシール材、前記一対の基板どうしの間隔を一定に保持するスペーサ材及び前記一対の基板上に設けられた電極からなる群から選ばれた少なくとも1つの部材であることを特徴とする請求項11又は12に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記硬化性樹脂における、前記単官能性モノマーと前記多官能性モノマーの比率を、1:1から50:1の範囲の内とすることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記樹脂層を、5から40nmの範囲内の厚さで形成することを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記硬化性樹脂が、外部からエネルギーを与えられることにより硬化可能な樹脂であり、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂からなる群から選ばれた樹脂であることを特徴とする請求項11から15のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
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