JP4341433B2 - エンジンのポート遮熱構造 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンのシリンダヘッドに形成されたポートに、そのポートの内壁面との間に遮熱空気層が形成されるようにポートライナを分割して取り付けるポート遮熱構造に関するものである。
従来、遮熱型エンジンの吸気ポートや排気ポートを遮熱するには、それらのポート内にポートライナを設けて遮熱するようにしている。そのポートライナは、シリンダヘッドを鋳鉄材あるいはアルミ材から鋳造する際に、セラミックス繊維などで覆われて、鋳ぐるみにより取り付けられる。
このような、ポートライナを鋳ぐるみでシリンダヘッドへ取り付けるポート遮熱構造では、鋳込み時の溶湯の熱により、ポートライナが熱影響を受け破損するなどの問題がある。そこで、特許文献1には、予め鋳造されたシリンダヘッドへ、ポートライナを取り付けるポート遮熱構造が示されている。
特許文献1に示されたポート遮熱構造は、ポートとそのポートに挿入されたポートライナとの間に空気層を形成することで、ポートの遮熱をおこなう構造である。空気層が遮熱部材として機能するには、その空気層が、排ガスなどと混合しないように十分ガスシールされている必要がある。特許文献1に示されたポート遮熱構造では、ポートライナのマニホールド側端面や燃焼室側端面に繊維ガスケットを配置し、空気層のガスシールを行っている。
ところで、ポートへのポートライナの挿入を容易にするために、ポートライナを分割して構成することがある。その場合、ポートライナ同士の合わせ面(以下、合わせ面とする)のガスシールが問題となる。
特開平11−229956号公報
例えば、特許文献1のように、ポートライナの両端部を繊維ガスケットにより、ガスシールする構造では、ポートライナの熱膨張などによる端部での大きな変位に追従できず、空気層のガスシール性やポートライナの保持力が低下する可能性がある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、空気層のガスシール性とポートライナの保持力とを確保できるエンジンのポート遮熱構造を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に係る発明は、エンジンのシリンダヘッドに形成されたポートに、上記ポートの内壁面との間に遮熱空気層が形成されるようにポートライナを挿入するポート遮熱構造において、上記ポートライナを長手方向に分割して構成し、その分割したポートライナの合わせ面に合わせ面ガスケットを介設すると共に、その合わせ面と反対側の各端面に、弾性限の大きい皿ばねガスケットを各々設けて、上記ポートライナを保持し、上記分割されたポートライナは、燃焼室側に位置しエルボ状に形成された分割ポートライナと、マニホールド側に位置し直線状に形成された分割ポートライナとからなり、上記エルボ状の分割ポートライナには、そのエルボ状の分割ポートライナを貫通するバルブを支持するバルブガイド部が形成され、上記シリンダヘッドの上記ポートには、上記バルブガイド部に当接するライナ受部と、上記エルボ状の分割ポートライナの下端部に当接するライナガイド部とが形成され、上記バルブガイド部と上記ライナ受部との間に低熱伝導ガスケットが設けられたものである。
上記目的を達成するための請求項2に係る発明は、上記エルボ状の分割ポートライナは、その外周面を上記ライナ受部と上記ライナガイド部とに当接させて上記ポート内に取り付けられ、上記エルボ状の分割ポートライナと上記ポートとの間に上記遮熱空気層が形成されるものである。
上記目的を達成するための請求項3に係る発明は、上記直線状の分割ポートライナは、上記直線状の分割ポートライナの外周を囲むガイドリングを介して上記ポート内に取り付けられ、上記直線状の分割ポートライナと上記ポートとの間に上記遮熱空気層が形成されるものである。
上記目的を達成するための請求項4に係る発明は、上記ガイドリングが、C字状または半割状の中空金属リングであるものである。
上記目的を達成するための請求項5に係る発明は、上記皿ばねガスケットと、上記低熱伝導ガスケットと、上記合わせ面ガスケットとが高温強度に優れた材料で構成されたものである。
本発明によれば、シリンダヘッドのポートに分割されたポートライナを挿入し、その合わせ面と反対側の端面に弾性限の大きな皿ばねガスケットを設けることで、ポートライナにより形成された遮熱空気層の良好なガスシール性と、ポートライナに対する十分な保持力とを確保できるという優れた効果を発揮するものである。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1(a)は、本実施形態のポート遮熱構造の断面図を示し、図1(b)は、図1(a)のIbの拡大図を示す。図2(a)はC字状の中空金属リングの立体図を示し、図2(b)は半割状の中空金属リングの立体図を示す。
本実施形態は、遮熱型エンジンに本発明のエンジンのポート遮熱構造を適用するものであり、その構成を図1、2に基づき説明する。
本実施形態の遮熱型エンジンは、燃焼室1を形成するシリンダヘッド2を備え、この燃焼室1の斜め上方には、排気マニホールド4がシリンダヘッド2と隣接して配置され(図1において右上方)、この排気マニホールド4と燃焼室1を挟む反対側には、吸気マニホールド5がシリンダヘッド2と隣接して配置される(図1において左上方)。
燃焼室1には、その内側に沿いヘッドライナ6が設けられ、そのヘッドライナ6の上面には、燃焼室排気孔8と燃焼室吸気孔9とが形成される。
シリンダヘッド2には、一端が燃焼室排気孔8と連通し、他端が排気マニホールド4と連通する屈曲した排気ポート10と、一端が燃焼室吸気孔9と連通し、他端が吸気マニホールド5と連通する屈曲した吸気ポート11とが形成される。また、シリンダヘッド2は、燃焼室排気孔8から排気ポート10を貫通し上方へと延出する排気バルブ12と、燃焼室吸気孔9から吸気ポート11を貫通し上方へと延出する吸気バルブ14とを備える。
排気ポート10は、後述するガイドリング支持部20を除き略均一な略円形の断面となるように形成され、この円形断面の内壁に沿わせて、その内壁との間に隙間を介すように、ポートライナ15が配置される。排気ポート10の燃焼室1側の端部には、ポートライナ15の下端部の外周面と当接するライナガイド部16が形成される。また、排気ポート10には、排気バルブ12が貫通する貫通孔18が形成され、さらに、この貫通孔18を中心に、上方に向かい窪むライナ受部19が形成される。また、排気ポート10の排気マニホールド4側の端部には、均一な円形断面を有する燃焼室1側よりも断面の直径が大きなガイドリング支持部20が形成される。
ポートライナ15は、屈曲した排気ポート10への挿入が容易なように長手方向に二分割され、排気マニホールド4側に位置する直線状の直線分割ポートライナ30と、燃焼室1側に位置するエルボ状の屈曲分割ポートライナ31とから構成される。それら直線分割ポートライナ30の一端(図1において左端)と屈曲分割ポートライナ31の一端(図1において右端)とは、リング状の合わせ面ガスケット32を介して、排気ポート10内で連結される。その合わせ面ガスケット32は、耐熱性の高い金属(例えば、インコネル(登録商標)、インコロイ(登録商標)などの耐熱合金)からなる。
直線分割ポートライナ30は、略直線の筒状に形成され、排気マニホールド4と連通するように、その他端(図1において右端)が皿ばねガスケット35を介して、排気マニホールド4のフランジ部34に連結される。すなわち、皿ばねガスケット35が、直線分割ポートライナ30の他端面とフランジ部34との間に、これらと各々当接するように設けられる。皿ばねガスケット35は、合わせ面ガスケット32と同様に耐熱性の高い金属からなり、大きな弾性限を有する。また、直線分割ポートライナ30の排気マニホールド4側には、直線分割ポートライナ30を囲む二本のガイドリング36、38が取り付けられる。それらガイドリング36、38は、排気ポート10と精度の高い同軸度で挿入できるようなC字状の中空金属リング50(図2(a)参照)であり、その外周面が排気ポート10のガイドリング支持部20の内壁面と当接するように形成される。
これらガイドリング36、38により、直線分割ポートライナ30の外周面と排気ポート10の内壁面との間に遮熱空気層46が形成される。
なお、本実施形態では、ガイドリング36、38をC字状の金属中空リングとしたが、これに限らず、例えば、半割状の中空金属リング51(図2(b)参照)でもよく、また、その本数も2本に限らない。
屈曲分割ポートライナ31は、排気ポート10の形状に合わせて屈曲した筒状に形成され、その他端(図1において左端)が皿ばねガスケット35を介して、燃焼室排気孔8と連通するようにヘッドライナ6へ連結される。すなわち、皿ばねガスケット39が、屈曲分割ポートライナ31の他端面とヘッドライナ6との間に、これらと各々当接するように設けられる。この皿ばねガスケット39は、皿ばねガスケット35と同様に耐熱性の高い金属からなり、大きな弾性限を有する。屈曲分割ポートライナ31には、排気ポート10のライナ受部19と嵌合する上方に向かい突出したバルブガイド部41が形成される。そのバルブガイド部41の中心部には、上下方向に延出するバルブガイド孔42が形成される。さらに、バルブガイド部41の上面には、バルブガイド孔42を上方へと延長する突出バルブガイド44が形成される。この突出バルブガイド44を囲むリング状の低熱伝導ガスケット45が、バルブガイド部41の上面と、その上面と対向するライナ受部19の面との各々に当接するよう配置される。
屈曲分割ポートライナ31の外周面が、排気ポート10に形成されたライナ受部19およびライナガイド部16と当接し、屈曲分割ポートライナ31と排気ポート10の内壁面との間に遮熱空気層48が形成される。
以上、排気ポート10のポート遮熱構造について説明したが、吸気ポート11にも同様のポート遮熱構造が供され、排気マニホールド4,燃焼室排気孔8、排気ポート10、排気バルブ12が、吸気マニホールド5,燃焼室吸気孔9、吸気ポート11、吸気バルブ14に各々対応する。
次に、本実施形態のエンジンのポート遮熱構造の作用を説明する。
以下に、排気ポート10の作用の説明を行うが、吸気ポート11の作用も同様である。
先ず、シリンダヘッド2が、排気ポート10を備えるように予め鋳造により作製される。この排気ポート10へ、屈曲分割ポートライナ31を、その突出バルブガイド44に低熱伝導ガスケット45が取り付けられた状態で、燃焼室1側から挿入する。さらに、皿ばねガスケット39を屈曲分割ポートライナ31の燃焼室1側の端面に配置した後、ヘッドライナ6を燃焼室1内に取り付ける。
次に、屈曲分割ポートライナ31の合わせ面側の端面に、合わせ面ガスケット32を配置する。その状態で、ガイドリング36、38が取り付けられた直線分割ポートライナ30を、排気マニホールド4側から排気ポート10へ挿入する。さらに、皿ばねガスケット35を直線分割ポートライナ30の排気マニホールド4側の端面に配置した後、図示しない締結部材により排気マニホールド4をシリンダヘッド2へ締結する。以上により、直線および屈曲分割ポートライナ30、31は、両端に設けられた皿ばねガスケット35,39より、合わせ面へ適切な面圧が供された状態で、排気ポート10内に取り付けられる。
この際、直線分割ポートライナ30を囲むガイドリング36、38が、ガイドリング支持部20と各々当接することで、直線分割ポートライナ30の外周面と排気ポート10の内壁面との間に遮熱空気層46が形成される。
また、屈曲分割ポートライナ31が、直線分割ポートライナ30側からの取付による力と、燃焼室1側からの取付による力とにより、ライナ受部19およびライナガイド部16と当接することで、屈曲分割ポートライナ31の外周面とポート内壁面との間に遮熱空気層48となる隙間が形成される。
つまり、ガイドリング36、38およびライナガイド部16は、直線および屈曲分割ポートライナ30、31が遮熱空気層46、48を形成するように、直線および屈曲分割ポートライナ30、31をシリンダヘッド2内の所定位置に保持する。
また、遮熱空気層46を形成するガイドリング36、38は、直線分割ポートライナ30およびガイドリング支持部20と各々線接触な状態で当接し、熱抵抗が大きくなる。同様に、皿ばねガスケット35が、直線分割ポートライナ30およびフランジ部34と各々線接触な状態で当接し、皿ばねガスケット39が、屈曲分割ポートライナ31およびヘッドライナ6と各々線接触な状態で当接し、熱抵抗が大きくなる。
エンジンの運転時には、燃焼室1からの排ガスが直線分割ポートライナ30および屈曲分割ポートライナ31を通り、排気マニホールド4へと排気される。この際、遮熱空気層46、48と熱抵抗の大きなガイドリング36、38、皿ばねガスケット35、39などとにより、排気ポート10が遮熱される。
また、エンジンの運転時に排気ポート10内で発生する内部ガス圧に対して、皿ばねガスケット35が排気マニホールド4側の端面をガスシールし、皿ばねガスケット39が燃焼室1側の端面をガスシールする。さらに、合わせ面ガスケット32が、合わせ面をガスシールする。
さらに、排ガスなどの熱により、直線分割ポートライナ30、屈曲分割ポートライナ31の一方または、その両者が熱膨張し、それらの端部に大きな変位が生じた場合には、皿ばねガスケット35、39が、その変位を吸収しつつ合わせ面へ適切な面圧を維持することで、ガスシールが保たれる。
つまり、皿ばねガスケット35、39は、熱膨張による直線および屈曲分割ポートライナ30、31の大きな変位を十分に吸収可能な撓みと、それらが当接する面での内部ガス圧に対しての十分なシール反力とを有するようなばね特性を備えており、これにより良好な保持性とシール機能とを得る。
このように、本実施形態のエンジンのポート遮熱構造は、ポートライナ15を直線分割ポートライナ30と屈曲分割ポートライナ31とに二分割し、それらの合わせ面を当接させると共に、合わせ面と反対側の端面に弾性限の大きな皿ばねガスケット35、39を設けることで、直線および屈曲分割ポートライナ30、31の熱膨張などによる変位に追従することが可能となり、遮熱空気層46、48の高い遮熱性と良好なガスシール性とを確保することができるという効果がある。さらに、直線および屈曲分割ポートライナ30、31をシリンダヘッド2に固定するための良好な保持力を確保できるという効果がある。
直線および屈曲分割ポートライナ30、31の合わせ面に合わせ面ガスケット32を設けることで、良好なシール性を得ることができるという効果がある。
皿ばねガスケット35、39とガイドリング36、38とを、直線および屈曲分割ポートライナ30、31などとの当接面が線接触になるよう形成することで、熱抵抗を大きくでき、遮熱性を高めることができるという効果がある。
端面をガスシールするための皿ばねガスケット35、39を、ポートライナ30、31を保持するためにも用いることで、部品数を減らすことができるという効果がある。
(a)は、本発明に係るエンジンのポート遮熱構造の断面図を示し、(b)は図1(a)のIbの拡大図を示す。 (a)はC字状の金属中空リングの立体図を示し、(b)は半割状の金属中空リングの立体図を示す。
符号の説明
1 燃焼室
2 シリンダヘッド
4 排気マニホールド
5 吸気マニホールド
10 排気ポート
11 吸気ポート
12 排気バルブ
14 吸気バルブ
16 ライナガイド部
19 ライナ受部
32 合わせ面ガスケット
35,39 皿ばねガスケット
36,38 ガイドリング
41 バルブガイド部
45 低熱伝導ガスケット
46,48 遮熱空気層
50 C字状の金属中空リング
51 半割状の金属中空リング

Claims (5)

  1. エンジンのシリンダヘッドに形成されたポートに、上記ポートの内壁面との間に遮熱空気層が形成されるようにポートライナを挿入するポート遮熱構造において、上記ポートライナを長手方向に分割して構成し、その分割したポートライナの合わせ面に合わせ面ガスケットを介設すると共に、その合わせ面と反対側の各端面に、弾性限の大きい皿ばねガスケットを各々設けて、上記ポートライナを保持し、
    上記分割されたポートライナは、燃焼室側に位置しエルボ状に形成された分割ポートライナと、マニホールド側に位置し直線状に形成された分割ポートライナとからなり、上記エルボ状の分割ポートライナには、そのエルボ状の分割ポートライナを貫通するバルブを支持するバルブガイド部が形成され、上記シリンダヘッドの上記ポートには、上記バルブガイド部に当接するライナ受部と、上記エルボ状の分割ポートライナの下端部に当接するライナガイド部とが形成され、上記バルブガイド部と上記ライナ受部との間に低熱伝導ガスケットが設けられたことを特徴とするエンジンのポート遮熱構造。
  2. 上記エルボ状の分割ポートライナは、その外周面を上記ライナ受部と上記ライナガイド部とに当接させて上記ポート内に取り付けられ、上記エルボ状の分割ポートライナと上記ポートとの間に上記遮熱空気層が形成される請求項1記載のエンジンのポート遮熱構造。
  3. 上記直線状の分割ポートライナは、上記直線状の分割ポートライナの外周を囲むガイドリングを介して上記ポート内に取り付けられ、上記直線状の分割ポートライナと上記ポートとの間に上記遮熱空気層が形成される請求項記載のエンジンのポート遮熱構造。
  4. 上記ガイドリングが、C字状または半割状の中空金属リングである請求項記載のエンジンのポート遮熱構造。
  5. 上記皿ばねガスケットと、上記低熱伝導ガスケットと、上記合わせ面ガスケットとが高温強度に優れた材料で構成された請求項1〜4いずれかに記載のエンジンのポート遮熱構造。
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