JP4339505B2 - 4−シアノ−4−デホルミルソルダリン誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、広い活性スペクトラムおよび高い安定性を有する強力な抗真菌剤である4−シアノ−4−デホルミルソルダリン(sordarin);その製造方法;該化合物を含む医薬組成物および農業用組成物;ならびにそのような化合物を用いる、ヒト、動物および植物における真菌感染の抑制方法に関する。
【0002】
(背景技術)
ソルダリン(sordarin)は、カビSordaria araneosaから単離される抗真菌性抗生物質である(GB1162027およびHelvetica Chimica Acta, 1971, 51: 119-20参照)。ソルダリン骨格を有する他の化合物も、抗真菌剤として報告されている。特開昭62−040292号には、Zofiela marina種から単離した化合物ゾフィマリン(zofimarin)が開示されており;特開平6−157582号には、Penicillium種から単離された化合物BE−31405が開示されており;SCH57404も報告されている(J.Antibiotics, 1995, 48: 1171-1172)。PCT出願WO 96/14326およびWO 96/14327には、半合成ソルダリン誘導体が報告されている。
【0003】
(発明の開示)
本発明は、下記式(I)の構造を有する化合物
【0004】
【化10】
Figure 0004339505
[式中、Zは
【0005】
【化11】
Figure 0004339505
から選択されるテトラヒドロピラノ基である。]
ならびに該化合物の塩および溶媒和物(例:水和物)または代謝的に不安定な誘導体を提供するものである。
【0006】
式中、
は、C(O)CHまたはCHであり;
は、水素、ハロゲン、水酸基、C1−4アルコキシまたはアシルオキシであり;
およびRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキルまたはC1−4アルコキシC1−4アルキルであるか;あるいは
とRとが、それらが結合している炭素原子とともに、C=O、C=SまたはC3−8シクロアルキルを表し;
は、水素またはCHであり;Rは水素、水酸基、C1−4アルコキシまたはOCOR基であり;RはC1−4アルキルまたはアリールであり;
およびRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキルまたはC1−4アルコキシC1−4アルキルであるか;あるいは
とRとが、それらが結合している炭素原子とともに、C=O、C=SまたはC3−8シクロアルキルを表し;
nはゼロまたは1であり;
XおよびYはそれぞれ独立に、酸素、硫黄またはCR10であり(RおよびR10はそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキル、C1−4アルコキシまたはC1−4アルコキシC1−4アルキルであるか;あるいはRとR10とが、それらが結合している炭素原子とともに、C=O、C=S、C3−8シクロアルキルまたはC=CHR11を表し;R11は、水素またはC1−4アルキルを表す);あるいはXまたはYが酸素であってnがゼロの場合、−Y−CRもしくは−X−CR−がそれぞれ、−N=CR−または−NR12−CR−(CRおよびRはC=Oであり、R12はC1−4アルキルおよびアシル基COR13を表し;R13はC1−6アルキルである)を表すこともでき;あるいはYが酸素でnがゼロの場合、Xは、二重結合によってピラン環に結合している基CR11(R11は上記で定義のものと同じ意味を有する)を表すことができ;
15は、水素、ハロゲン、アジド、C1−6アルキル、水酸基、C1−6アルコキシ(1個もしくは2個の水酸基もしくはそれのケタールまたは1個もしくは2個のC1−3アルコキシ基によって置換されていても良い)、アリールC1−4アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、OCOR18基(R18はアリールC1−4アルコキシまたは1個もしくは2個の二重結合を有していても良いC1−10アルキル基である)またはC1−6アルコキシカルボニルC1−4アルコキシであって、R16は水素を表すか;あるいはR15とR16とが、それらが結合している炭素原子とともに、C=OまたはC=CHを表すことができ;
17はCH19であり;R19は水素、水酸基、C1−14アルコキシまたはOCOR20基であり;R20はC1−4アルキルであり;
Wは酸素、硫黄またはCHであり;
基(a)における点線は別の結合が存在していても良いことを示しており;
1aは水素、ハロゲン、水酸基またはC1−4アルコキシであり;
2aは、水素、ハロゲン、水酸基、C1−10アルコキシ、C1−10アルキルチオ、C1−6アルコキシC1−4アルコキシ、アリールC1−6アルキルオキシ、アリールC3−6アルケニルオキシ、アジド、NR5aCOR5a(各R5aは独立に、水素またはC1−6アルキルである)、OR6a(R6aは、環酸素原子に隣接する環炭素原子を介して酸素原子に結合している原子数4〜8個の環状エーテルである)またはYC(=O)−X−R7a基(Yは酸素、硫黄もしくはNHであり;Xは結合、酸素原子もしくはNR8a部分のいずれかであり;R8aは水素もしくはC1−6アルキルであり;R7aは1個もしくは2個の二重結合を有していても良いC1−10アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、アリールC2−4アルケニル、ハロC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシC1−4アルキルである)であり、R3aは水素を表すか;あるいは
2aおよびR3aが、それらが結合している炭素原子とともに、C=OまたはC=NOR9aであり(R9aはC1−6アルキルである);
4aは水酸基、C1−6アルコキシまたはOC(=O)R7a(R7aは上記で定義の通りである)である。
【0007】
本発明の1実施態様は、Zが
【0008】
【化12】
Figure 0004339505
である式Iの化合物を提供するものである。
【0009】
本発明の別の態様では、抗真菌的に有効量の式Iの化合物および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。さらには、式Iの化合物と医薬的に許容される担体とを組み合わせることで製造される医薬組成物も提供される。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、抗真菌的に有効量の式Iの化合物と農業的に許容される担体を含有する農業用組成物が提供される。さらには、式Iの化合物と農業的に許容される担体とを組み合わせることで製造される農業用組成物も提供される。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、治療を必要とする動物に対して、抗真菌的に有効量の式Iの化合物を投与する段階を有する、動物(ヒトを含む)における真菌感染の治療方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様では、抗真菌的に有効量の式Iの化合物を植物に施薬する段階を有して成る、植物における植物病原性真菌の抑制方法が提供される。
【0013】
(発明を実施するための最良の形態)
本明細書においては、別段の断りがない限り、以下の定義を用いる。
【0014】
「抑制する」または「抑制」という用語は、予防的使用(すなわち、感染に対して保護すること)および治療的使用(すなわち、感染の除去)を含むものである。
【0015】
「植物」という用語は、生きている植物もしくはそれの一部、葉、花、種子、果実および植物由来の他のものを含む。該用語には、土壌への有効成分の施用を介した植物の根も含まれる。
【0016】
農業用組成物または農薬組成物の場合のような「組成物」という用語は、有効成分および担体を構成する不活性成分を含む薬剤、ならびに2以上の成分の組み合わせ、複合体形成もしくは凝集から、または1以上の成分の解離から、または1以上の成分の他の種類の反応もしくは相互作用から直接もしくは間接に得られる薬剤を包含するものとする。従って、本発明の組成物には、本発明の化合物と農業的に許容される担体とを混合することで製造される組成物が包含される。
【0017】
基としてもしくはある基の一部としての「アルキル」という用語は、直鎖または分岐のアルキル部分を意味し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、s−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシルおよびn−オクチルなどがある。
【0018】
基としてもしくはある基の一部としての「アリール」という用語は、ハロゲン、水酸基、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはC1−4アルコキシカルボニルから独立に選択される1〜3個の基によってそれぞれ置換されていても良いフェニルまたはヘテロアリールを意味する。ヘテロアリール基は、窒素、酸素および硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロ芳香環であることができる。ヘテロアリール基の好適な例としては、ピリジル、フリル、チエニルおよびピロリルなどがある。
【0019】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0020】
がアシルオキシ基である場合、それは例えば、OCOR13基(R13は上記で定義の通りである)を表すことができる。
【0021】
式Iの化合物の好適な塩には、アルカリ金属塩(例:ナトリウム塩およびカリウム塩)などの無機塩基塩、アンモニウム塩および有機塩基塩などがある。好適な有機塩基塩には、トリアルキルアミン(例:トリエチルアミン)、ジアルキルアミン塩(例:ジシクロヘキシルアミン)、置換されていても良いベンジルアミン(例:フェニルベンジルアミンまたはp−ブロモベンジルアミン)、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルグルコサミン、N−メチルピペリジン、ピリジンおよび置換ピリジン(例:コリジン、ルチジン、4−ジメチルアミノピリジン)、およびトリ(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩およびアミノ酸塩(例:リジン塩もしくはアルギニン塩)などのアミン塩がある。
【0022】
式Iの化合物の代謝的に不安定な誘導体とは、投与対象(それは、動物、植物(葉、花、果実、種子または植物の他の部分もしくは植物産物など)または土壌である)において式Iの化合物に変換される化合物である。そのような誘導体の例としては、該分子のカルボン酸から形成される従来の代謝的に不安定なエステル類などがある。
【0023】
化合物の製造
式Iの化合物は、ソルダリンおよびそれの誘導体、ソルダリシンならびに他のソルダリン型化合物から製造することができ、それらはいずれも文献に記載されている。
【0024】
ソルダリンは、下記式IIの構造を有する[1R−(1α,3aβ,4β,4aβ,7β,7aα,8aβ)]8a−[(6−デオキシ−4−−メチル−β−D−アルトロピラノシルオキシ)メチル]−4−ホルミル−4,4a,5,6,7,7a,8,8a−オクタヒドロ−7−メチル−3−(1−メチルエチル)−1,4−メタノ−s−インダセン−3a(1H)−カルボン酸である。
【0025】
【化13】
Figure 0004339505
【0026】
ソルダリンは、GB1162027またはWO 96/14326に記載の手順に従って、Sordaria araneosaNRRL3196(ATCC36386としてATCCに寄託もされている)を培養することで得ることができる。ソルダリンはまた、以下に記載の方法に従ったRosellinia subiculataおよび未同定の真菌(ATCC74387)の発酵から単離することもできる。
【0027】
ゾフィマリンは、特開昭62−040292号に記載の方法に従って、Zofiela marina SANK21274(ATCC34456)の発酵肉汁から得ることができる。BE31405(Aが(f)であり、RがアセチルであるI)は、特開平6−157582号に記載の方法に従って、Penicillum属F31405によって産生される。SCH57404(Aが(f)であり、RがメチルであるI)は、J.Antibiotics., 1995, 48(10): 1171-1172に報告の方法に従って、シェリング(Schering)培養物番号SCF1082Aとして識別される真菌によって産生される。
【0028】
ソルダリン誘導体(Zが(a)または(b)であるI)用の原料が、PCT特許出願WO96/14326に記載されており、ソルダリン誘導体(Zが(c)であるI)用の原料が、PCT特許出願WO96/14327に記載されている。
【0029】
ソルダリシン(VI)は、下記式VIの構造を有する[1R−(1α,3aβ,4β,4aβ,7β,7aα,8aβ)]4−ホルミル−8a−(ヒドロキシメチル)−4,4a,5,6,7,7a,8,8a−オクタヒドロ−7−メチル−3−(1−メチルエチル)−1,4−メタノ−s−インダセン−3a(1H)−カルボン酸である。
【0030】
【化14】
Figure 0004339505
【0031】
ソルダリシンは、濃塩酸で処理することでソルダリンから製造することができる。WO 96/14326に開示の方法に従って、Sordaria araneosaNRRL3196由来の突然変異株の発酵から、コリネ型菌を用いたソルダリンの生体変換によってもソルダリシンは得られる。
【0032】
上記のように、他の2種類の微生物がソルダリンを産生することが認められている。
【0033】
ソルダリン産生に使用される真菌株の一つは、マングローブ灌木Conocarpus erectus(シクンシ科植物)(Manglar de Rio Rincon, Peninsula de Osa, Provincia de Puntarenas, Costa Ricaで採取)の根の内部組織から単離され、メルク社(Merck & Co., Inc., Rahway, New Jersey)の培養物収集物でMF6232として識別される未同定の無菌真菌GB3109である。この培養物は、特許手続きに関する微生物寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の条項に従って、ATCC(American Type Culture Collection, 12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852, USA)での永久的収集に、1996年8月27日に寄託されており、受入番号ATCC74387の名称を与えられている。
【0034】
該真菌は、各種光照射下にて各種菌培地上で、ならびに滅菌葉および濾紙上で培養されているが、いずれの場合も、繁殖構造は得られていないことから、同定ができない。
【0035】
寒天培地では、該真菌のコロニーは以下の形態を示す。
【0036】
23℃で光周期12時間でのオートミール寒天(Difco)上のコロニーは、中等度の速度で成長し、14日間で85〜90mmとなり、成長が進んで領域同士が密着し、帯状の境界が不鮮明になり、強く放射方向に伸びた筋があり、中央部には湿って密着した菌糸体があり、放射方向に伸びた平伏状菌糸の束または鎖があって絹状となり、最上部気中菌糸体では半透明ないし淡いピンク、ほぼ淡オクラセウス(Ochraceous)サーモンピンク(Ridgway, R. 1912. Color Standards and Nomenclature, Washington, D.C.からの大文字の色彩名)、明オクラセウスサーモンピンク、ピンク様灰色アベラネウス(Avellaneous)、シナモン−ドラブ(Cinnamon-Drab)または白色であり、反対側は淡ピンク様灰色であり、浸出物はなく、ほのかな芳香臭がある。オートミール寒天で37℃では成長しない。
【0037】
23℃で光周期12時間でのV8ジュース寒天(Stevens, R.B. 1981, Mycology Guidebook. University of Washington Press, Seattle, p.665)でのコロニーは、緩やかに成長して14日間で37〜42mmとなり、縁部では液面下にあり、ほとんどの菌糸がほぼ密着しており、外側1/3の方へ若干弱い毛状気中菌糸体があり、帯状の境界があり、半透明ないし淡灰色様ピンクであって、オートミール寒天での色と同様であり、逆側は淡赤色様褐色、ほぼ木の褐色(Wood Brown)で栗毛色である。
【0038】
25℃で光周期12時間でのコーンミール寒天(Difco)上のコロニーは、成長が緩やかで、14日間で33〜34mmとなり、縁部が液面下にあり、空気中に出ている菌糸がなく、帯状の境界があり、半透明である。
【0039】
該菌糸体は、非常に分岐し、隔壁のある、ガラス状菌糸から成る。
【0040】
ソルダリンの製造に使用される第2の真菌株(GB3719)は、メルク社(Merck & Co., Inc., Rahway, New Jersey)の培養物収集物でMF6239と称されるRosellina subiculata(子嚢菌類、キシラリア類(Xylariaceae))の菌株である。この培養物は、特許手続きに関する微生物寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の条項に従って、ATCC(American Type Culture Collection, 12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852, USA)での永久的収集に、1996年8月27日に寄託されており、受入番号ATCC74386の名称を与えられている。
【0041】
Rosellinia subiculata(GB3719)の子嚢果が、河岸(Navesink River, Monmouth Co., New Jersey)の剥皮広葉樹枝で認められた。実験室において、いくつかの子嚢果の先端を無菌のミクロトーム刃で切り取り、子嚢果中心体から、子嚢、側糸および子嚢胞子を昆虫用ピンで取り、モルト−酵母抽出物寒天で画線培養した。子嚢胞子を発芽するまで終夜インキュベートし、モルト−酵母抽出物寒天の試験管に移し入れて、純粋コロニーを得た。
【0042】
Rosellinia suiculata(GB3719)の形態は、文献の記載で確認される(J.B.Ellis % B.M.Everhart, 1892. The North American Pyrenomycetes. 著者ら刊行, Newfield, New Jersey, pp.165-166; L.E.Petrini, 1993, Rosellinia species of the temperate zones, Sydowia 44: 169-281)。その菌がRosellinia subiculataであると確認される主要な特徴は、1個のみ生じるが剥皮木部で菌糸体子実体形成菌糸層にて集合もしくは融合して小群となっているストロマ子嚢;ストロマが半球状、乳頭状、平滑、光沢、黒色、子実体形成菌糸層、薄い菌蓋、淡黄色であるか、または場合によっては、ストロマに隣接する木部の若干の変色としか見えないものであること;子嚢が円柱形であって、アミロイドの頂部閉塞物があること;子嚢胞子が褐色様灰色で、広い楕円形ないし若干の腎臓形であり、平滑で、突起や鞘がなく、10〜12×5〜6μmの真っ直ぐな腹側発芽溝があることであった。
【0043】
寒天培地では、該真菌のコロニーは以下の形態を示す。
【0044】
23℃で光周期12時間でのオートミール寒天上のコロニーは、中等度の速度で成長し、14日間で73〜75mmとなり、成長が進んで領域同士が密着し、帯状の境界が不鮮明になり、内側1/3に白色ビロード状ないし毛状菌糸体があり、外側2/3には湿って密着した菌糸体があり、半透明ないし白色もしくは淡いピンク、淡オクラセウスピンクであり、逆側では明ワイン淡黄褐色であり、浸出物はなく、ほのかな芳香臭がある。オートミール寒天で37℃では成長しない。
【0045】
23℃で光周期12時間でのV8ジュース寒天でのコロニーは、緩やかに成長して14日間で25〜35mmとなり、縁部では液面下にあり、ほとんどの菌糸がほぼ密着しており、内側1/3の方へ若干弱い毛状気中菌糸体があり、半透明ないし淡灰色様ピンク、ワイン淡黄褐色であり、逆側では半透明ないし淡黄褐色、橙赤淡黄褐色、淡黄褐色もしくは淡赤褐色、小豆色、子鹿色であり、芳香臭がある。
【0046】
25℃で光周期12時間でのコーンミール寒天上のコロニーは、成長が緩やかで、14日間で29〜34mmとなり、縁部が液面下にあり、空気中に出ている菌糸がなく、帯状の境界があり、半透明であるかまたは接種箇所では弱い白色の菌糸体があり、逆側は無色である。
【0047】
1993年8月に最初に培地中で成長させた際、該菌株は、ペトリニ(Petrini, 1993)が報告しているものと類似のGeniculosporiumアナモルフのかすかな分生胞子柄および分生胞子を生じた。しかしながら、胞子形成はそれ以上認められず、恐らくは長時間にわたって保存し、何度も移し替えたことが原因であったと考えられる。少なくとも一つの例では、天然に見られるものと同じ子嚢および子嚢胞子を有する成熟子嚢殻が、オートミール寒天での5週間の成長後に形成された。モルト−酵母抽出物寒天上で室温にてインキュベートした際、終夜経過後に、子嚢胞子が発芽した。該菌糸体は、非常に分岐し、単純な隔壁のある、ガラス状菌糸から成る。
【0048】
ソルダリンは、Rosellina subiculataまたは従来の固体培地または従来の水系培地で該化合物を産生する能力を有する未同定の真菌MF6232(ATCC74387)の菌株を培養することで製造される。該微生物は、類似の真菌について知られている栄養源、すなわち同化可能な炭素源および窒素源と適宜に加える無機塩および他の公知の成長因子を含む栄養培地で成長させる。他の類似の真菌の培養に使用される一般的手順を、本発明に適用することができる。
【0049】
栄養培地には、リボース、グルコース、ショ糖、セロビオースまたはフルクトースなどの適切な同化可能な炭素源を含有させる。窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウムなどを、単独でまたはペプトン、魚粉抽出物、酵母抽出物、コーンスチープリカー、大豆粉、綿実粉などの有機窒素源とともに使用することができる。必要に応じて、栄養無機塩を加えて、ナトリウム源、カリウム源、カルシウム源、アンモニウム源、リン酸源、硫酸源、塩素源、臭素源、炭酸源、亜鉛源、マグネシウム源、マンガン源、鉄源などを提供することもできる。
【0050】
ソルダリンの製造は、産生微生物を十分に成長させることができるいかなる温度でも行うことができ、例えば20℃〜30℃で行う。通常、所望の化合物の生産量が最も高くなるのは、振盪フラスコ中、7〜21日間インキュベートした後である。振盪フラスコでの曝気は、攪拌、例えば回転式振盪機での振盪によって行う。発酵を発酵槽で行う場合は、該微生物の傾斜培養からの肉汁培地、凍結乾燥培地または冷凍培地を接種することで、栄養肉汁中の栄養接種原を得ることが望ましい。このようにして活性接種原を得た後、それを発酵槽培地に無菌的に移し入れる。発酵槽中での所望の化合物の産生は通常、7〜21日間のインキュベーション後に最大となる。発酵槽での攪拌はかき混ぜによって行い、曝気は、攪拌混合物中への空気もしくは酸素の吹き込みによって行うことができる。化合物産生は、クロマトグラフィー法もしくは分光法を用いて、あるいは従来の生物学的アッセイによってモニタリングすることができる。
【0051】
ソルダリンは、メチルエチルケトンなどの有機溶媒で全肉汁を抽出することで、発酵肉汁から容易に回収される。該化合物は、ゲル濾過クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、濃縮、沈殿および/または結晶化、あるいはそれらの組み合わせなどの当業界で公知の標準的方法を用いて精製することができる。別法として、全肉汁またはそれの有機溶媒抽出物を、噴霧乾燥または凍結乾燥し、次に上記のような方法で精製することができる。
【0052】
本発明の化合物(式I)は、以下に記載の方法によって製造することができる。ここに記載の条件は代表的なものであって、本発明を限定するものではない。
【0053】
図式1に示したように、Zが(a)もしくは(b)である式Iの化合物は、PCT出願WO 96/14326に記載の原料またはZが(c)である式Iの化合物用にPCT出願WO 96/14327に記載の原料から製造することができる。原料のカルボン酸を、好適な保護基(すなわち、ベンジルまたはp−メトキシベンジル)で誘導体化し、ピリジンを含むアルコール系溶媒中ヒドロキシルアミン塩酸塩で処理することでアルドキシムを形成する。該アルドキシムを、好適な脱水剤(すなわち、(メトキシカルボニルスルファモイル)−トリエチルアンモニウムヒドロキシド分子内塩または塩化シアヌル)でニトリルに変換し、保護基を外して、式(I)の化合物を得る。
【0054】
【化15】
Figure 0004339505
【0055】
図式中、R′OHは低級アルキルアルコール系溶媒、PGはカルボン酸保護基、Zは上記定義のものかまたは適切に保護された誘導体である。
【0056】
式I(d)の化合物は、図式2に示した方法に従って製造することができる。ソルダリンを好適に保護し、該アルデヒドを、ピリジン存在下にアルコール系溶媒中ヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させる。得られたアルドキシムを、(メトキシカルボニルスルファモイル)−トリエチルアンモニウムヒドロキシド分子内塩または塩化シアヌルなどの試薬で脱水し、ニトリル化合物(IV)を得る。保護基(PG)を脱離させることで、式I(d)の化合物が得られる。
【0057】
【化16】
Figure 0004339505
【0058】
図式3には、化合物I(d)の4’−メトキシ基を微生物で脱メチル化して、化合物(V)を得る手順を示してある。その脱メチル化は、同化可能な炭素源および窒素源を含む発酵培地中で、Streptomyces avermitilis株の培養物と式I(d)の化合物とを接触させ、次に発酵培地から化合物(V)を単離することで行う。Streptomyces avermitilisの好適な株には、ATCC(American Type Culture Collection, Rockville, MD)でATCC31272として寄託されているMA4848株などがある。化合物(V)は、式(I)の化合物の合成で使用することができる。
【0059】
【化17】
Figure 0004339505
【0060】
別法として、図式4に示したように、式(I)の化合物の合成用の原料として、ソルダリシン(VI)を用いることができる。好適な保護基でのカルボン酸の誘導体化およびそれに続く1級水酸基の保護により、ヒドロキシルアミン塩酸塩との反応とそれに続く脱水および水酸基保護基の脱離によるニトリル−アグリコン化合物(VII)の合成を行うことができる。当業者に公知の方法によって好適な糖または修飾糖基質を付加させることで、式(I)の化合物が得られる。
【0061】
【化18】
Figure 0004339505
【0062】
用途
式Iの化合物は、ヒトおよび動物の医薬品として、さらには作物保護剤として有用な抗真菌剤である。
【0063】
式Iの化合物は、ヒトなどの動物における真菌感染と戦う上で有用な非常に活性の高い殺菌剤である。例えば、該化合物は、カンジダ属(例:Candida albicansCandida glabrata、(Torulopsis glabrata)、Candida tropicalisおよびCandida pseudotropicalis)、Cryptococcus neoformansPneumocystis carinii、コウジカビ属(例:Aspergillus flavusおよびAspergillus fumigatus)、コクシジオイデス属(例:Coccidioides immitis)、パラコクシジオイデス属(例:Paracoccidioides brasiliensis)、ヒストプラスマ属(例:Histoplasma capsulatum)またはブラストミセス属(例:Blastomyces dermatitidis)などの微生物によって起こる真菌感染の治療において有用であると考えられる。それらはさらに、白癬菌属、ミクロスポルム属または表皮菌属(例:Trichophyton mento graphytesTrichophyton rubrumMicrosporum canisまたはEpidermophyton floccosum)によって引き起こされる他の真菌感染の治療にも使用することができる。
【0064】
式Iの化合物はさらに、ゲオトリクム属(例:Geotrichum clavatum)、トリコスポロン属(例:Trichosporon beigelii)、Blastoschizomyces(例:Blastoschizomyces capitatus)、スポロトリクス属(例:Sporothrix schenckii)、Scedosporium(例:Scedosporium apiosperum)、クラドスポリウム属(例:Cladosporium carrionii)およびPityrosporum ovaleなどの糸状菌によって引き起こされる他の感染の治療に用いることもできる。
【0065】
式Iの化合物はさらに、トキソプラズマ、クリプトスポリジウム、リーシュマニア、睡眠病原虫、ジアルジアおよびトリコモナスなどの原虫によって引き起こされる感染治療に用いることもできる。
【0066】
本発明の化合物の抗真菌活性のin vitroでの評価を、35℃で24〜48時間のインキュベーション後に成長を阻害した抗真菌剤の最小阻止濃度(MIC)を測定する抗真菌剤2倍連続希釈法により、液体もしくは固体培地で行った。実際には、被験抗真菌剤の2倍希釈液を含む一連の寒天平板または肉汁微量希釈パネルに、Candida albicansなどの臨床的に妥当な病原体の標準培養液を接種した。次に、寒天平板または肉汁微量希釈パネルについて真菌成長の有無を調べ、適切なMIC値を記録した。生体染色アラマー・ブルー(Alamar Blue)を用いることで、エンドポイントを肉眼で識別しやすいようにした。
【0067】
式Iの化合物のin vivoでの評価は、カンジダ属の菌株を静脈接種したマウスに対して、一連の用量レベルで投与することで(例えば、皮下投与、経口投与、腹腔内投与または静脈投与)行うことができる。試験動物の腎臓を摘出し、生存カンジダ属の量を測定することができ、感染の軽減度を、未投与対照動物との比較で求めることができる。
【0068】
抗真菌活性を考慮すると、式Iの化合物は、ヒトおよび動物における各種真菌感染の治療および/または予防に有用である。そのような感染には、呼吸器感染、消化管感染、心血管感染、尿路感染、CNS感染、カンジダ症および慢性粘膜カンジダ症(例:口腔カンジダ症および膣カンジダ症)および真菌によって引き起こされる皮膚感染、皮下および粘膜皮膚カンジダ症、白癬および輪癬感染などの皮膚糸状菌症、水虫、爪周囲炎、瘢風、紅色陰癬、間擦疹、真菌性おむつ皮膚炎、カンジダ外陰炎、カンジダ亀頭炎および外耳炎などの表皮、皮膚、皮下および全身の糸状菌感染などがある。上記化合物はまた、全身性および局所性の真菌感染を予防するための予防薬として使用することもできる。予防薬としての使用は、例えば、免疫無防備状態患者(例:AIDS患者、癌治療を受けている患者または移植患者)における感染予防での選択的腸除染法の一環として行うのが適切であると考えられる。一部の疾患症候群または医原性状態においては、抗生物質投与中に真菌の過剰成長を予防することが望ましい場合もある。
【0069】
式Iの化合物には、広範囲の作物抗真菌剤としての用途もあり、広範囲の植物病原性真菌、特に不完全菌類(例:ボトリティス属、Septoria属、Pyricularia属、Stagnospora属、ヘルミントスポリウム属、フザリウム属、セルコスポラ属、Rhynchosporium属、Pseudocercosporella属およびアルタナリア属);担子菌類(例:Puccinia属、リゾクトニア属およびHemileia);子嚢菌類(例:Venturia属、Podospharera属、Erysiphe属、Monilinia属およびUncinula属);ならびに卵菌類(例:フィトフトラ属、Pemospora属、Bremia属、Pythium属およびPlasmopara属)からなる群からのものに対して有効である。以上挙げたものは、上記の化合物が活性を示す植物病原性真菌を例示したものであり、いかなる形でもそれらに限定されるものではない。上記化合物は、植物保護に関する非常に有利な治療・予防的な殺菌特性を有し、有用な植物の各種作物の植物または植物の一部(果実、花、葉、茎、塊茎または根)で発生する微生物を阻害または殺すのに使用することができ、同時に、後で成長する植物部分もそのような微生物に対して保護される。上記化合物はまた、植物繁殖物、特に種子(果実、塊茎、穀粒)および植物切り穂(例えばイネ)を処理して、真菌感染および土壌中で発生する植物病原性真菌に対する保護を行う上での散布薬(dressing)として用いることもできる、本発明の式Iの化合物は、植物によって特に良好に耐容され、環境に適合するという明瞭な特徴を有する。
【0070】
以下に記載の試験を用いて、式Iの化合物の農業的評価を行うことができる。
【0071】
1.小麦でのErysiphe graminisに対する作用
a)1週間の栽培後、小麦に噴霧混合液(200ppmの有効成分/20%アセトン/0.25%TritonX155)を散布する。2時間後、処理した植物を、接種原植物から揺り落とした子嚢胞子で感染させる。50%相対湿度で22℃にて8日間インキュベーションした後に、真菌による攻撃を評価して、化合物によって得られた保護を確認する。
【0072】
b)1週間の栽培後、小麦を接種原植物から揺り落とした子嚢胞子で感染させる。24時間後、小麦に噴霧混合液(200ppmの有効成分/20%アセトン/0.25%TritonX155)を散布する。50%相対湿度で22℃にて8日間インキュベーションした後に、真菌による攻撃を評価して、化合物によって得られた治療活性の程度を確認する。
【0073】
c)1週間の栽培後、小麦を接種原植物から揺り落とした子嚢胞子で感染させる。24時間後、小麦を栽培している土壌を、潅注混合液(200ppmの有効成分/20%アセトン/0.25%TritonX155)で潅注する。50%相対湿度で22℃にて8日間インキュベーションした後に、真菌による攻撃を評価して、化合物によって得られた治療活性の程度を確認する。
【0074】
2.小麦でのPuccinia reconditaに対する作用
a)1週間の栽培後、小麦に噴霧混合液(200ppmの有効成分/20%アセトン/0.25%TritonX155)を散布する。2時間後、処理した植物を胞子で感染させる。95〜100%相対湿度および20℃で1日間、次に50%相対湿度および25℃で7日間インキュベーションした後に、真菌による攻撃を評価して、化合物によって得られた保護を確認する。
【0075】
b)1週間の栽培後、小麦を胞子懸濁液で感染させる。24時間後、感染植物に噴霧混合液(200ppmの有効成分/20%アセトン/0.25%TritonX155)を散布する。95〜100%相対湿度および20℃で1日間、次に50%相対湿度および25℃で7日間インキュベーションした後に、真菌による攻撃を評価して、化合物によって得られた治療活性の程度を確認する。
【0076】
c)1週間の栽培後、胞子懸濁液で感染させる。24時間後、小麦を栽培している土壌を、潅注混合液(200ppmの有効成分/20%アセトン/0.25%TritonX155)で潅注する。95〜100%相対湿度および20℃で1日間、次に50%相対湿度および25℃で7日間インキュベーションした後に、真菌による攻撃を評価して、化合物によって得られた治療活性の程度を確認する。
【0077】
活性のスペクトラムによれば、本発明の化合物は、各種有用な作物に影響を与える植物病原性真菌からの植物の保護または治療に用いることができる。上記化合物についての本発明の範囲で記載されている使用に好適な植物としては、穀類(例:小麦、ライ麦、燕麦、大麦、イネ、モロコシおよび関連作物);甜菜(砂糖大根および飼料ビート);仁果類、ドロップ(dropes)および軟果実(例:リンゴ類、ナシ類、プラム類、桃類、アーモンド類、桜桃類、イチゴ類、ラズベリー類およびブラックベリー類);マメ科植物(例:インゲン類、エンドウ豆類、レンズマメ類および大豆類);油料植物(例:アブラナ、芥子、ケシ、オリーブ類、ひまわり類、ココナッツ、トウゴマ、カカオ豆および落花生類);ウリ科植物(例:キュウリ、カボチャ類およびメロン);繊維植物(例:棉、亜麻、大麻およびジュート);柑橘類(例:オレンジ類、レモン類、マンダリン類およびグレープフルーツ);野菜類(例:レタス、キャベツ、ほうれん草、人参、アスパラガス、パプリカ、玉葱類、トマト類およびイモ類);クスノキ科(例:アボカド類、シナモンおよび樟脳);あるいはトウモロコシ、タバコ、ナッツ類、コーヒー、サトウキビ、茶、ブドウの木、ホップ類、バナナ類および天然ゴムの木、ならびに装飾植物(花、低木、広葉樹および針葉樹のような常緑樹)がある。しかしながら、本発明の化合物によるスペクトラムに関しては、上記の植物種に限定されるものではない。
【0078】
式Iの化合物は、特に、穀類におけるErysiphe graminis、ウリ科植物におけるとErysiphe cichoracearumおよびSphaerotheca fuliginea、リンゴ類におけるPodosphaera leucotricha、ブドウの木におけるUncinula necator、穀類におけるPuccinia属、棉における紋枯病菌、穀類およびサトウキビにおける担糸菌類、リンゴ類におけるVenturia inaequalis(そうか病)、穀類におけるヘルミントスポリウム属、小麦におけるSeptoria nodorum、イチゴ類およびブドウ類におけるBotrytis cinerea(灰色かび病)、落花生類におけるCercospora arachidicola、小麦および大麦におけるPseudocercosporella herpotrichoides、イネにおけるいもち病菌、ジャガイモ類およびトマト類におけるPhytophthora infestans、各種植物におけるフザリウム属およびバーティシリウム属、ブドウ類におけるPlasmopara viticola、果実および野菜におけるアルタナリア属という植物疾患の抑制において有用である。式Iの化合物はまた、材料の保護に使用することもできる(例:Paecilomyces variotiiに対する材木の貯蔵)。
【0079】
医薬組成物
治療での使用においては、本発明の化合物をそのままの化学物質として投与することも可能であるが、該有効成分を医薬組成物の形で提供することが好ましい。そこで本発明はさらに、1以上の医薬的に許容される担体および適宜に他の治療および/または予防成分とともに、式(I)の化合物または該化合物の医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を提供するものでもある。担体は、製剤中の他の成分と適合性であり、被投与者に対して有害性がないという意味において、「許容できる」ものでなければならない。
【0080】
本発明の組成物には、特に経口投与、口腔内投与、非経口投与、埋込物投与、直腸投与、局所投与、眼球投与または性尿器投与用に製剤された形態あるいは吸入もしくは通気による投与に好適な形態のものなどがある。
【0081】
経口投与用の錠剤およびカプセルには、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプンの粘液もしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤;ラクトース、糖、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウムもしくはソルビトールなどの充填剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールもしくはシリカなどの潤滑剤;ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウムまたはクロスカルメロース(crosscarmellose)ナトリウムなどの崩壊剤;あるいはラウリル硫酸ナトリウムなどの湿展剤のような従来の賦形剤を含有させることができる。咀嚼錠、分散錠または沸騰錠を含む錠剤は、当業界で公知の方法に従ってコーティングすることができる。経口液体製剤は、例えば水系もしくは油系の懸濁液、液剤、乳濁液、シロップもしくはエリキシル剤の形態とすることができるか、あるいは使用前に水その他の好適な媒体で再生する乾燥薬剤として提供することができる。そのような液体製剤には、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは硬化食用脂などの懸濁剤;レシチン、モノオレイン酸ソルビタンまたはアカシアなどの乳化剤;アーモンド油、ヤシ油、油状エステル類、プロピレングリコールまたはエチルアルコールなどの非水系媒体(食用脂を含んでも良い);p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸などの保存剤を含有させることができる。
【0082】
口腔内投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤された錠剤またはロゼンジの形態とすることができる。
【0083】
本発明による組成物は、注射または連続注入による非経口投与用に製剤することができる。注射用製剤は、アンプルに入った単位用量製剤で、あるいは保存剤を加えた複数用量容器で提供することができる。該組成物は、油系または水系媒体中での懸濁液、液剤または乳濁液などの形態を取ることができ、懸濁剤、安定剤および/または分散剤などの製剤用剤を含有させることができる。別法として、有効成分を、使用前に無菌で発熱物質を含まない水などの好適な媒体で再生する粉剤の形とすることができる。
【0084】
吸入投与の場合、本発明による組成物は簡便には、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素その他の好適なガスなどの好適な推進剤を用いた加圧容器から、あるいは噴霧器からのエアロゾル噴霧の形で投与する。加圧エアロゾルの場合、所定量を投与するためのバルブを取り付けることで、単位用量を決定することができる。
【0085】
別法として、吸入による投与の場合、本発明による組成物は、該化合物とラクトースもしくはデンプンのような好適な粉末基剤の粉末混合物などの乾燥粉末組成物の形を取ることができるか、あるいは薬剤物質のみの改良された物理的形態とすることができる。粉末組成物は、例えばゼラチンなどのカプセルもしくはカートリッジあるいは吸入器もしくは通気装置を利用して粉末を投与することができるブリスタパックに入った単位製剤で提供することができる。
【0086】
組成物は、例えば従来の坐剤基剤を含む坐剤あるいは例えば従来の膣坐剤基剤を含む膣坐剤の形態を取ることができる。
【0087】
組成物はまた、局所投与用に、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、シャンプー、粉剤(噴霧用粉剤を含む)、膣坐剤、タンポン、噴霧剤、浸液、エアロゾル、滴剤(例:点眼剤、点耳剤または点鼻剤)またはポアオン(pour-ons)の形で製剤することもできる。軟膏およびクリームは例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を加え、水系または油系の基剤で製剤することができる。眼球投与用軟膏は、無菌成分を用いて無菌的に製造することができる。ポアオンは例えば、適宜に安定剤および可溶化剤などの製剤用剤を用いて、有機溶媒を含むオイルで、動物薬向けに製剤することができる。膣挿入用の膣坐剤およびタンポンは、従来の方法を用いて製剤することができ、適宜に、発泡性媒体を含有させることができる。そのような組成物には、適宜にコルチコステロイド類、抗生物質または駆虫剤などの他の有効成分を含有させることもできる。
【0088】
経鼻投与用液体製剤は、溶液または懸濁液の形態を取ることができ、塩化ナトリウム、ブドウ糖もしくはマニトールなどの張度調節剤;塩化ベンザルコニウム、チオメルサール、フェニルエチルアルコールなどの保存剤;ならびに懸濁剤、緩衝剤、安定剤、分散剤および/または香味剤などの他の製剤用剤等の従来の賦形剤を含有させることができる。
【0089】
経皮投与は、皮膚を通っての活性化合物の吸収を促進し、代表的には支持材フィルム、膜および剥離ライナーを有する粘着性裏糊膏薬内に封入された基礎製剤からなると考えられる好適な系の設計によって影響され得るものである。そのような系は、アルコール類などの吸収促進剤を含むことができるか、あるいはイオン泳動を促進することで効果を発揮し得るものである。
【0090】
本発明による組成物は、デボー製剤として製剤することもできる。そのような長期作用性製剤は、植え込み(例:皮下または筋肉)または筋肉注射によって投与することができる。そこで例えば、本発明の化合物は、好適な重合体材料もしくは疎水性材料(例えば、許容されるオイル中での乳濁液として)またはイオン交換樹脂を用いて製剤することができるか、あるいは例えば低溶解性塩などの低溶解性誘導体として製剤することができる。
【0091】
組成物が単位製剤を含有する場合、本発明の化合物を経口投与するのであれば、各単位には、好ましくは0.001mg〜1000mg、有利には0.01mg〜400mgの有効成分を含有させる。成人治療に用いる場合の1日用量は、好ましくは有効成分0.001mg〜5000mg、最も好ましくは0.01mg〜2000mgの範囲であり、それは例えば投与経路および患者の状態および治療対象の疾患に応じて、1日当たり1〜4用量で投与することができる。
【0092】
本発明の化合物は、例えば成分を50mg/kg/日以下で用いる静脈注入によって投与することができる。投与期間は、任意の日数ではなく、応答速度によって予想する。
【0093】
本発明の化合物はまた、他の治療薬と併用することもできる。そこで本発明は、さらに別の態様において、本発明の化合物と別の治療上有効な薬剤とを含む組み合わせを提供するものである。
【0094】
そこで例えば、本発明の化合物を、ポリエン誘導体(例:アンホテリシンB、ナイスタチン、アンホテリシンBの脂質製剤)、アゾール誘導体(例:フルコナゾール、イントラコナゾール(Intraconazole)、ケトコナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、ZD−08070、UK−109496、SCH56592)、5−フルオロシトシン、シロフンギン(Cilofungin)などのニューモカンジン(Pneumocandin)もしくはエキノカンジン(Echinocandin)誘導体、LY−303366、L−733560、L−743872またはニッコーマイシンZなどの他の細胞壁活性化合物などの1以上の他の抗真菌剤および/またはIFN−などのインターフェロン、IL−1,IL−2,IL−3およびIL−8などのインターロイキンおよびコロニー刺激因子((G)−CSF、(M)−CSFおよび(GM)−CSF]およびデフェンシン類(defensines)などの1以上の免疫調節剤と併用することができる。本発明の化合物との併用に特に有利な化合物には、イントラコナゾール、フルシトシン、フルコナゾールまたはアンホテリシンBなどがある。
【0095】
本発明の化合物を別の抗真菌剤と組み合わせて投与する場合、本発明の化合物および他の真菌剤は、推奨の最大臨床用量またはそれより低い用量で投与することができる。
【0096】
上記の組み合わせは簡便には、医薬製剤の形で使用に供することができ、従って医薬的に許容される担体とともに上記で定義の組み合わせを含む医薬製剤は、本発明のさらに別の態様を構成するものである。そのような組み合わせにおける個々の成分は、別個または混合した医薬製剤で、連続的もしくは同時に投与することができる。
【0097】
同じ状態に対する第2の治療薬と本発明の化合物とを併用する場合、各化合物の用量は、該化合物を単独で使用する場合とは異なっていても良い。適切な用量は、当業者には容易にわかるであろう。
【0098】
農薬組成物
式Iの化合物は、そのままの形で用いることができるか、あるいは好ましくは、農薬製剤の分野で従来用いられる補助剤とともに用いることができ、それに関しては、主に乳剤、コーティング可能ペースト、直接噴霧可能もしくは希釈可能な液剤、希釈溶液、懸濁液(高含有率の水系、油系その他の懸濁液)、分散液、油系分散液、全面処理剤、水和剤、可溶性粉剤、微粉剤、粒剤および封入剤として知られる形態とする。該製剤は、例えば有効成分と溶媒などの希釈剤、固体担体および適宜に表面活性化合物(界面活性剤)とを均一に混和および/または粉砕する等の公知の方法で調製する。粉剤、微粉剤および全面処理剤は、有効成分と固体担体とを混和もしくは粉砕することで得ることができる。例えばコーティング、含浸もしくは均一粒剤などの粒剤は、有効成分を固体担体に結合させることで製造することができる。
【0099】
好適な溶媒には、芳香族炭化水素、好ましくはキシレン混合物または置換ナフタレン類などの炭素数8〜12の分画;クロロベンゼン類などの塩素化芳香族化合物;フタル酸ジブチルもしくはジオクチルなどのフタル酸エステル類;シクロヘキサンまたはパラフィン類などの脂肪族炭化水素;エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルなどのアルコール類およびグリコール類ならびにそれらのエーテル類およびエステル類;シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノールアミンなどのアミン類;N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドもしくはジメチルホルムアミドなどの極性の高い溶媒;およびエポキシ化ヤシ油もしくは大豆油などの植物油もしくはエポキシ化植物油;ならびに水がある。
【0100】
界面活性剤の例としては、リグニンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸およびジブチルナフタレンスルホン酸などの芳香族スルホン酸ならびに脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩;スルホン酸アルキルおよびスルホン酸アルキルアリール;硫酸アルキル、ラウリル硫酸エーテルおよび硫酸脂肪族アルコールエステル;硫酸化ヘキサデカノール類、ヘプタデカノール類およびオクタデカノール類の塩;脂肪族アルコールグリコールエーテル類の塩;スルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドとの縮合生成物;ナフタレンもしくはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合生成物;ポリオキシエチレン−オクチルフェノールエーテル類;エトキシ化イソオクチルフェノール、エトキシ化オクチルフェノールおよびエトキシ化ノニルフェノール;アルキルフェノール−ポリグリコールエーテル類;トリブチルフェニル−ポリグリコールエーテル類;アルキルアリール−ポリエーテルアルコール類;イソトリデシルアルコール;脂肪族アルコール−エチレンオキサイド縮合物;エトキシ化ひまし油;ポリオキシエチレン−アルキルエーテル類;エトキシ化ポリオキシプロピレン;ラウリルアルコール−ポリグリコールエーテルアセタール;ソルビトールエーテル類;リグニン−サルファイト廃液;およびメチルセルロースなどがある。
【0101】
固体担体の例としては、ケイ酸、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アタパルガスクレイ(attapulgus clay)、石灰石、消石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土などの無機土;アルミナ硫酸カルシウム;硫酸マグネシウム;酸化マグネシウム;粉砕プラスチック;肥料(例:硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウムおよび尿素);ならびに植物産物(例:穀物粗挽き粉、樹皮粗挽き粉、木材粗挽き粉および木の実殻粗挽き粉、セルロース粉末)などがある。
【0102】
式Iの化合物は、例えば除草剤、殺虫剤、殺細菌剤、殺線虫剤、軟体動物駆除剤、成長調節剤、微量養素および肥料などの他の有効成分とともに混和および施用することができる。他の成分は、カルボキサミド類、ベンズイミダゾール類、トリアゾール類、ヒドロキシピリジン類、ジカルボキサミド類、フェニルアミド類、チアジアゾール類、カーバメート類、シアノオキシム類、ケイ皮酸誘導体、モルホリン類、イミダゾール類、B−メトキシアクリレート類およびピリジン類/ピリミジン類などの種類の殺菌剤(これらに限定されるものではないが)に属する1以上の殺菌剤であることもできる。さらに、これらの別の有効成分は、所望に応じて、製剤業界で通常使用される他の施用促進補助剤とともに、いくつかの製剤の混合物として用いることができる。好適な担体および補助剤は固体もしくは液体であることができ、製剤法で通常使用される物質に相当するものとすることができる(例:天然または再生無機物質、溶媒、分散剤および湿展剤)。
【0103】
式Iの化合物と併用することができる以下の殺菌剤リストは、可能な組み合わせを例示することを目的としたものであって、本発明をいかなる形でも限定するものではない。式Iの化合物と組み合わせることができる殺菌剤の例としては、ジメチルジチオカーバメート第二鉄、ジメチルジチオカーバメート亜鉛、エチレンビスジチオカーバメート亜鉛、エチレンビスジチオカーバメートマンガン、エチレンジアミンジチオカーバメートマンガン亜鉛、テトラメチルチウラムジスルフィド類、N,N’−エチレンビスジチオカーバメート亜鉛のアンモニア錯体、N,N’−プロピレンビスジチオカーバメート亜鉛のアンモニア錯体、N,N’−プロピレンビスジチオカーバメート亜鉛およびN,N’−プロピレンビス(チオカルバモイル)ジスルフィドなどの硫黄、ジチオカーバメート類およびそれらの誘導体;クロトン酸ジニトロ(1−メチルヘプチル)−フェニル、3,3−ジメチルアクリル酸2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェニル、イソプロピル炭酸2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェニルおよび5−ニトロイソフタル酸ジイソプロピルなどのニトロ誘導体;酢酸2−ヘプタデシルイミダゾール−2−イル、2,4−ジクロロ−6−(o−クロロアニリノ)−s−トリアジン、フタルイミドホスホンチオ酸O,O−ジエチル、5−アミノ−1−[ビス−(ジメチルアミノ)−ホスフィニル]−3−フェニル−1,2,4−トリアゾール、2,3−ジシアノ−1,4−ジチオアントラキノン、2−チオ−1,3−ジチオ[4,5−b]キノキザリン、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾール、2−(フル−2−イル)−ベンズイミダゾール、2−(チアゾール−4−イル)ベンズイミダゾール、N−(1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ)−テトラヒドロフタルイミド、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、N−トリクロロメチルチオフタルイミド、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−フェニル硫酸ジアミド、5−エトキシ−3−トリクロロメチル−1,2,3−チアジアゾール、2−チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール、1,4−ジクロロ−2,5−ジメトキシベンゼン、4−(2−クロロフェニルヒドラゾノ)−3−メチル−5−イソオキサゾロン、2−チオピリジン1−オキサイド、8−ヒドロキシキノリンおよびそれの銅塩、2,3−ジヒドロ−5−カルボキシアニリド−6−メチル−1,4−オキサチイン、2,3−ジヒドロ−5−カルボキシアニリド−6−メチル−1,4−オキサチイン4,4−ジオキシド、2−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−ピラン−3−カルボキシアニリド、2−メチルフラン−3−カルボキシアニリド、2,5−ジメチルフラン−3−カルボキシアニリド、2,4,5−トリメチルフラン−3−カルボキシアニリド、2,5−ジメチル−N−シクロヘキシルフラン−3−カルボキサミド、N−シクロヘキシル−N−メトキシ−2,5−ジエチルフラン−3−カルボキサミド、2−メチルベンズアニリド、2−ヨードベンズアニリド、N−ホルミル−N−モルホリン−2,2,2−トリクロロエチルアセタール、ピペラジン−1,4−ジイルビス−(1−(2,2,2−トリクロロエチル)−ホルムアミド)、1−(3,4−ジクロロアニリノ)−1−ホルミルアミノ−2,2,2−トリクロロエタン、2,6−ジメチル−N−トリデシルモルホリンおよびそれの塩、2,6−ジメチル−N−シクロドデシルモルホリンおよびそれの塩、N[3−(p−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル]−シス−2,6−ジメチルモルホリン、N−3−(p−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル]−ピペリジン、1−2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−イル−エチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イル−エチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、N−(n−プロピル)−N−(2,4,6−トリクロロフェノキシエチル)−N]−イミダゾリル尿素、1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−ブタン−2−オン、1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−ブタン−2−オール、α−(2−クロロフェニル)−α−(4−クロロフェニル)−5−ピリミジンメタノール、ビス−(p−クロロフェニル)−3−ピリジンメタノール、1,2−ビス−(3−エトキシカルボニル−2−チオウレイド)−ベンゼン、1,2−ビス−(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)−ベンゼンなどの複素環物質;ならびに酢酸ドデシルグアニジン、3−[3−(3,5−ジメチル−2−オキシシクロヘキシル)−2−ヒドロキシエチル]−グルタルアミド、ヘキサクロロベンゼン、DL−メチル−N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−フル−2−イルアラネート、メチルDL−N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(2]−メトキシアセチル)−アラネート、N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−クロロアセチル−DL−2−アミノブチロラクトン、メチルDL−N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(フェニルアセチル)−アラネート、5−メチル−5−ビニル−3−(3,5−ジクロロフェニル)−2,4−ジオキソ−1,3−オキサゾリジン、3−[3,5−ジクロロフェニル]−5−メチル−5−メトキシメチル−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン、3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−イソプロピルカルバミルヒダントイン、N−(3,5−ジクロロフェニル)−1,2−ジメチルシクロプロパン−1,2−ジカルボキシイミド、2−シアノ−[N−(エチルアミノカルボニル)−2−メトキシイミノ]−アセトアミド、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−ペンチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジフルオロ−a−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−ベンズヒドリルアルコール、N−(3−クロロ−2,6−ジニトロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5−トリフルオロメチル−3−クロロ−2−アミノピリジンおよび1−((ビス−(4−フルオロフェニル)−メチルシリル)−メチル)−1H−1,2,4−トリアゾールなどの各種殺菌剤などがある。
【0104】
組成物の性質に関しては、施用の所期の目的および支配的環境に従って、噴霧、霧化、散粉、散乱、塗布、散布および流し込みなどの施用方法を選択する。有効成分または1以上の上記化合物を含む農薬組成物を施用する方法の一つは、植物への施用である(すなわち、茎葉散布)。しかしながら有効成分は、土壌を介して根から植物内に進入することもできる(すなわち、土壌散布)。それは、土壌への液体散布(潅注)または粒剤散布のいずれかの形態とすることができる。
【0105】
有効成分は、液体(塗布)または固体(散布)のいずれかの形で、種子(果実、塊茎または穀粒)または植物切り穂などの植物繁殖物に施用することもできる。本発明の化合物は、穀粒の液体製剤による含浸または穀粒の固体製剤によるコーティングによって、穀粒に施用することもできる。例えば播種時のまき溝への繁殖物の種まきの際に、該組成物を種まき箇所に施用することもできる。
【0106】
有利な施用量は通常、有効成分(a.i.)10g〜50kg/ヘクタール、好ましくは100g〜2kga.i./ha、最も好ましくは100g〜600ga.i./haである。上記化合物の有効成分は代表的には組成物の形で使用され、別の有効成分と同時もしくは連続的に、植物または植物の部分に施用することができる。その別の有効成分としては、肥料、追加の微量養素その他の植物の成長に影響を与える化合物があり得る。しかしながらそれらは、選択的除草剤、殺虫剤、殺細菌剤、殺線虫剤、殺虫剤および軟体動物駆除剤、ならびに他の殺菌剤であっても良い。
【0107】
原料の製造
発酵によるソルダリン製造
ソルダリン製造でのRosellinia subiculata(ATCC74386)およびATCC74387の発酵では、以下の培地を用いる。
【0108】
シード培地1

【0109】
【表1】
Figure 0004339505
【0110】
上記培地をpH7.0に調節した蒸留水で調製してから滅菌し、バッフルのない250mL三角フラスコに50mLずつ分配した。綿栓を用いた。滅菌は121℃で20分間行った。
【0111】
シード培地2

【0112】
【表2】
Figure 0004339505
【0113】
上記培地をpH6.8に調節した蒸留水で調製してから滅菌し、バッフルのない250mL三角フラスコに50mLずつ分配した。綿栓を用いた。滅菌は121℃で20分間行った。
【0114】
固体製造培地1
1.固体部分
2リットルローラー瓶にバーミキュライト675ccを入れる。ラテックス栓で栓をする。60分間と次に30分間オートクレーブ処理を行う。乾燥する。
2.液体部分
500mL瓶に、以下の液220mLを加える。
【0115】
【表3】
Figure 0004339505
【0116】
【表4】
Figure 0004339505
【0117】
上記培地をpH7.0に調節した蒸留水で調製してから滅菌した。別個にグルコースをオートクレーブ処理した。それを500mL瓶に分配し、121℃で15分間のオートクレーブ処理を行った。
【0118】
液体製造培地1
【0119】
【表5】
Figure 0004339505
【0120】
上記培地をpH7.0に調節した蒸留水で調製してから滅菌した。培地をバッフルのない250mL三角フラスコに50mLずつ分配した。フラスコに綿栓を施し、121℃で20分間のオートクレーブ処理を行った。
【0121】
固体製造培地2
1.固体部分
2リットルローラー瓶にバーミキュライト675ccを入れる。ラテックス栓で栓をする。60分間と次に30分間オートクレーブ処理を行う。乾燥する。
2.液体部分
500mL瓶に、以下の液220mLを加える。
【0122】
【表6】
Figure 0004339505
【0123】
【表7】
Figure 0004339505
【0124】
上記培地をpH7.0に調節した蒸留水で調製してから滅菌した。それを500mL瓶に220mLずつ分配し、121℃で15分間のオートクレーブ処理を行った。
【0125】
液体製造培地2
組成は、固体製造培地1の液体部分と同一である。この培地をpH7.0に調節した蒸留水で調製してから滅菌した。別個にグルコースをオートクレーブ処理した。それをバッフルのない250mL三角フラスコに50mLずつ分配した。フラスコに綿栓を施し、121℃で15分間のオートクレーブ処理を行った。
【0126】
Rosellina subiculata (MF6239、ATCC74386)の発酵によるソルダリンの製造
1.培養
培養物を含む寒天斜面培地の一部を無菌的にシード培地1(バッフルのない250mLフラスコ当たり50mL)に移し入れた。それを、25℃、85%相対湿度(rh)で5日間、220rpmにて2インチ行程施回振盪機でインキュベートして、バイオマスを得た。該バイオマスの少量ずつを、グリセリンおよび冷凍物(frozen)(冷凍栄養菌体(FVM)として)の入った無菌瓶に移し入れた。それらを、−75℃で、最終グリセリン濃度10〜15%に維持した。解凍した一次FVM1.0mLをシード培地2に移し入れ、25℃および220rpmで7日間インキュベートし、上記と同様にして冷凍することで、一次FVMから二次FVMを得た。
【0127】
2.シード
MF6239の冷凍瓶(FVM)を解凍して室温とし、それを用いてシード培地2 50mL当たり1.0mLにてシード培地に接種した。それを25℃および85%rhで7日間にわたり、施回振盪機(220rpm)で成長させた。
【0128】
3.製造
固体製造培地での製造:
少量(10〜12mL)のシードを固体製造培地1の液体部分220mLに入れた。そのフラスコを激しく渦攪拌して、バイオマスを分散させた。内容物を、大粒子バーミキュライト675cmの入った2Lローラー培養容器中に注入することで分配した。ローラー瓶の内容物を振盪/混和して、均一な接種・被覆が行われるようにした。22℃および70%rhで17日間にわたってウィートン(Wheaton)ローラー装置で約4rpmにて回転させて、ローラー瓶を水平方向にインキュベートすることで、発酵培地中の二次代謝物を得た。
【0129】
液体製造培地での製造:
シード培地を、上記の方法に従って接種した。少量(1.5mL)のシードを用いて、250mLフラスコ当たり50mLの液体製造培地1が入った各製造フラスコに接種した。フラスコを、25℃および50〜85%rhで7〜21日間にわたり、旋回振盪機(220rpm)でインキュベートした。
【0130】
MF6232(ATCC74387)の発酵によるソルダリンの製造
1.培養
MF6232を含む寒天斜面培地の一部を無菌的にシード培地1(バッフルのない250mLフラスコ当たり50mL)に移し入れた。それを、25℃、85%相対湿度(rh)で3日間、220rpmにて2インチ行程施回振盪機でインキュベートして、バイオマスを得た。該バイオマスの少量ずつを、グリセリンおよび冷凍物(FVMとして)の入った無菌瓶に移し入れた。それらを、−75℃で、最終グリセリン濃度10〜15%に維持した。解凍した一次FVM1.0mLをシード培地2(組成は下記)に移し入れ、25℃および220rpmで7日間インキュベートし、上記と同様にして冷凍することで、一次FVMから二次FVMを得た。
【0131】
2.シード
MF6232の冷凍瓶(FVM)を解凍して室温とし、それを用いてシード培地2 50mL当たり1.0mLにてシード培地に接種した。それを25℃および85%rhで7日間にわたり、施回振盪機(220rpm)で成長させた。
【0132】
3.製造
固体製造培地での製造:
少量(10〜12mL)のシードを固体製造培地2 220mLに入れた。そのフラスコを激しく渦攪拌して、バイオマスを分散させた。内容物を、大粒子バーミキュライト675cmの入った2Lローラー培養容器中に注入することで分配した。ローラー瓶の内容物を振盪/混和して、均一な接種・被覆が行われるようにした。22℃および70%rhで21日間にわたってウィートンローラー装置で約4rpmにて回転させて、ローラー瓶を水平方向にインキュベートすることで、発酵培地中の二次代謝物を得た。
【0133】
液体製造培地での製造:
シード培地を、上記の方法に従って接種した。少量(1.5mL)のシードを用いて、250mLフラスコ当たり50mLの液体製造培地2が入った各製造フラスコに接種した。フラスコを、25℃および50〜85%rhで7〜21日間にわたり、旋回振盪機(220rpm)でインキュベートした。
【0134】
MF6232(ATCC74387)によるソルダリンの大量製造
固体製造培地1の液体部分を、シード発酵槽および製造発酵槽の両方に用いた。セレロース(Cerelose)を30g/Lでシード発酵槽培地に加えてから滅菌し、製造発酵槽培地には150g/Lで加えた。シード発酵槽に、振盪機フラスコ中で成長させた培養物2リットルを接種した。これらの発酵槽を、酸素取り込み速度が約3mmol/L−時になるまで、25℃で30時間成長させた。30時間後、発酵槽シード培養物25リットルを、製造発酵槽に移し入れた。
【0135】
50時間後、製造発酵槽での成長は8〜10mmol/L−時に達し、培養終了までに5〜7まで低下した。攪拌を高めることで、溶存酸素を制御した。肉汁pHは制御せず、200時間後に5.3まで低下した。温度は25℃とした。
【0136】
成長280時間後、発酵を停止し、回収の準備を開始した。水酸化ナトリウムでpHを約12に調節し、バッチを発酵温度で20時間熟成させた。次に、硫酸を用いてpHを6.0に調節してから、ドラム缶に移し入れ、以後の操作に供した。
【0137】
ソルダリンの単離
単離法I
全肉汁64mLに相当する培養物MF6232(ATCC74387)の発酵のメチルエチルケトン抽出物を、減圧下に濃縮して乾固させた(365mg)。この取得物をメタノール(2部)/塩化メチレン(98部)に溶かして、最終容量4.6mLとした。4.3mL(341mg)を、2%メタノール/塩化メチレンで平衡状態としてあるシリカゲル60(60mL;0.040〜0.0630mm、230〜400メッシュ、E.Merck)フラッシュクロマトグラフィーカラムに負荷した。カラムを、2%、5%、10%および30%メタノール/塩化メチレン溶液各240mLと次にメタノール120mLという段階的勾配によって溶出した。各溶媒系から、15mL分画16個を回収した。生成物豊富分画39〜56について、生物学的アッセイによる測定を行った。
【0138】
合わせた粗分画を減圧下に濃縮して乾固させた(103.1mg)。このサンプル34.4mgを、HPLC分離によってさらに精製した(Zorbax Rx-C8、5μm、9.4mm×250mm、濃HPOでpH6.9に調節した20%アセトニトリル/80%0.01M KHPO水溶液からなる移動相で溶出、流量4mL/分、40℃、ダイオードアレイ検出法)。4mLずつの分画を採取した。生成物豊富分画16〜20を合わせ、減圧下に濃縮して、最初の容量の約25%とした。濃縮液を等容量の酢酸エチルで2回抽出し、酢酸エチル層を等容量のブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、減圧下に濃縮してソルダリン3.7mgを得た。
【0139】
単離法II
全肉汁980mLに相当する培養物MF6232(ATCC4387)のバッチ−004Y発酵のメチルエチルケトン抽出物を減圧下に濃縮・乾固した(4.9g)。この取得物をメタノール(1部)/塩化メチレン(9部)に溶かして、最終容量21.5mLとした。21mL(4.8g)を、2%メタノール/塩化メチレンで平衡状態としてあるシリカゲル60(500mL;0.040〜0.0630mm、230〜400メッシュ、E.Merck)フラッシュクロマトグラフィーカラムに負荷した。カラムを流量25mL/分で、2%および5%メタノール/塩化メチレン溶液各1リットルと次に15%メタノール2リットルという段階的勾配によって溶出した。カラム溶出は、30%および100%メタノール各1リットルで完了した。25mLずつの分画を回収した。生成物豊富分画75〜85および111〜121について生物学的アッセイによる測定を行ったところ、酸性条件下でのRP HPLC分析により、化合物Iが含まれていた。
【0140】
合わせた粗分画75〜85および111〜121について別個に減圧下での濃縮を行って乾固させた(それぞれ69.3mgおよび95.3mg)。75〜85の回収物34mgずつ2個を、2回の同じHPLC分離によってさらに精製した(Zorbax Rx-C8、7μm、21.2mm×250mm、全体で0.1%HPOを含む40%アセトニトリル/60%HOからなる移動相で溶出、流量20mL/分、25℃、220nm)。両方のクロマトグラフィーからの生成物豊富分画27〜31を合わせ、減圧下に濃縮して、最初の容量の約40%とした。濃縮液を等容量の酢酸エチルで抽出し、等容量のブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、減圧下に濃縮してソルダリン27mgを得た。上記と同じHPLC条件下で回収分画111〜121の46mgずつ2個もさらに精製した。両方のクロマトグラフィーからの分画25〜28を合わせ、上記の方法に従って処理して、追加のソルダリン17mgを得た。
【0141】
中間体1
[1R−(1α,3aβ,4β,4aβ,7β,7aα,8aβ)]4−ホルミル−8a−(ヒドロキシメチル)−4,4a,5,6,7,7a,8,8a−オクタヒドロ−7−メチル−3−(1−メチルエチル)−1,4−メタノ−s−インダセン−3a(1H)−カルボン酸ベンジル(ソルダリシンベンジルエステル)
【0142】
【化19】
Figure 0004339505
【0143】
ソルダリン(2mg)をアセトン1mLに溶かした。濃HCl(0.2mL)を加えた。混合物を室温で1日間攪拌した。水による希釈および水系の後処理(CHCl)後、有機相をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。混合物をDMF 2mLに溶かし、それに臭化ベンジル0.1mLと次に過剰の固体NaHCOを加えた。混合物を室温で終夜攪拌し、減圧下に濃縮した。混合物にクロロホルムを加え、それを濾過して、NaHCOを除去した。濾液を減圧下に濃縮し、分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)によって精製して、ソルダリシンベンジルエステル1.0mgを得た。
【0144】
H NMR(CDCl):δ0.51(3H、d、J=6.9)、0.82(3H、d、J=6.6)、0.91(1H、m)、1.0(3H、d、J=6.6)、1.18(1H、d、J=12.6)、1.50〜2.00(9H、m)、2.24(1H、m)、2.51(1H、m)、3.48(1H、d、J=11.0)、3.87(1H、d、J=11.0)、5.11(1H、d、J=11.7)、5.31(1H、d、J=11.7)、6.04(1H、d、J=2.1)、7.31〜7.40(5H、m)、9.62(1H、s)。
【0145】
中間体2
[1R−(1α,3aβ,4β,4aβ,7β,7aα,8aβ)]4−ホルミル−8a−(ヒドロキシメチル)−4,4a,5,6,7,7a,8,8a−オクタヒドロ−7−メチル−3−(1−メチルエチル)−1,4−メタノ−s−インダセン−3a(1H)−カルボン酸4−メトキシベンジル(ソルダリシンp−メトキシベンジルエステル)
【0146】
【化20】
Figure 0004339505
【0147】
臭化ベンジルに代えて4−メトキシベンジルクロライドを用い、ソルダリシンベンジルエステルの製造と同じ手順を行った。
【0148】
H NMR(CDCl):δ0.51(3H、d、J=6.9)、0.82(3H、d、J=6.9)、1.00(3H、d、J=6.9)、0.90〜2.00(11H、m)、2.23(1H、m)、2.49(1H、t、J=3.8)、3.79(3H、s)、4.61(2H、s)、5.05(1H、d、J=11.7)、5.26(1H、d、J=11.7)、6.03(1H、d、J=3.2)、6.88(2H、d、J=8.7)、7.28(2H、d、J=8.7)、9.60(1H、s)。
【0149】
中間体3
[1R−(1α,3aβ,4β,4aβ,7β,7aα,8aβ)]4−ホルミル−8a−(ヒドロキシメチル)−4,4a,5,6,7,7a,8,8a−オクタヒドロ−7−メチル−3−(1−メチルエチル)−1,4−メタノ−s−インダセン−3a(1H)−カルボン酸アリル(ソルダリシンアリルエステル)
【0150】
【化21】
Figure 0004339505
臭化ベンジルに代えて臭化アリルを用い、ソルダリシンベンジルエステルの製造と同様の手順を行う。そのようにして、標題化合物が得られる。
【0151】
中間体4
[1R−(1α,3aβ,4β,4aβ,7β,7aα,8aβ)]4−ホルミル−8a−(ヒドロキシメチル)−4,4a,5,6,7,7a,8,8a−オクタヒドロ−7−メチル−3−(1−メチルエチル)−1,4−メタノ−s−インダセン−3a(1H)−カルボン酸(ソルダリシン)
【0152】
【化22】
Figure 0004339505
【0153】
ソルダリシンベンジルエステル(0.6mg)のMeOH溶液に、パールマン触媒を加えた。混合物を水素下(風船圧)に15分間攪拌した。脱脂綿濾過および減圧下での濃縮の後、ソルダリシン0.4mgを得た。
【0154】
H NMR(CDCl):δ0.82(3H、d、J=6.8)、0.98(3H、d、J=6.6)、1.01(3H、d、J=6.9)、1.23(1H、m)、1.25(1H、d、J=12.6)、1.58〜2.10(9H、m)、2.34(1H、m)、2.41(1H、t、J=3.6)、3.45(1H、d、J=11.0)、4.14(1H、d、J=11.0)、6.05(1H、d、J=3.0)、9.75(1H、s)。
【0155】
中間体5
[1R−(1α,3aβ,4β,4aβ,7β,7aα,8aβ)]4−シアノ−8a−(ヒドロキシメチル)−4,4a,5,6,7,7a,8,8a−オクタヒドロ−7−メチル−3−(1−メチルエチル)−1,4−メタノ−s−インダセン−3a(1H)−カルボン酸ベンジル
【0156】
【化23】
Figure 0004339505
【0157】
ソルダリシンベンジルエステル(161.2mg)をN,N−ジメチルホルムアミド6mLに溶かし、p−メトキシベンジルクロライド(1mL)を加え、次に過剰の水素化ナトリウム(60%鉱油中分散品50mg)を加えた。混合物を終夜攪拌した。混合物をエーテルで希釈し、水によって注意深く洗浄した。エーテル層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、揮発分を減圧下に除去した。残留物について、シリカゲルクロマトグラフィー精製を行って、p−メトキシベンジルエーテル192.5mg(93%)を得た。
【0158】
上記で得られたエーテル(150mg)を脱水エタノール5mLに溶かし、脱水ピリジン3mLを加えた。ヒドロキシルアミン塩酸塩(96mg)を加え、混合物を加熱して70℃として、3時間経過させた。反応混合物を冷却し、減圧下に濃縮した。残留物をエーテルに溶かし、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。エーテルの減圧除去後に得られた残留物をPTLCによって精製して、アルドキシム143.4mg(93%)を得た。
【0159】
該オキシム(143mg)をトルエン5mLに溶かし、それに過剰の(メトキシカルボニルスルファモイル)−トリエチルアンモニウムヒドロキシド分子内塩(700mg)を加えた。混合物を70℃で2時間攪拌した。減圧下での濃縮後、残留物をPTLC精製することで、ニトリル116.6mg(84%)を得た。
【0160】
上記で得られたニトリル(67.5mg)を塩化メチレン5mLに溶かし、それにDDQ(43mg)および水0.5mLを加えた。混合物を室温で2時間攪拌した。水系の後処理およびPTLC精製後、標題化合物47.6mg(91%)を得た。
【0161】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するためのものであり、いかなる形でも本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0162】
実施例1
【0163】
【化24】
Figure 0004339505
【0164】
段階A:
上記式で表され、R=−CH(CおよびX=−CHOであって、製造がWO 96/14326に記載されている化合物(1当量)をエタノールに溶かし、等容量のピリジンを加え、次にヒドロキシルアミン塩酸塩(10当量)を加える。反応混合物を窒素雰囲気下に、約20分間または分析TLCによって反応が十分に進行したと判断されるまで攪拌する。混合物を減圧下に濃縮し、水と塩化メチレンとの間で分配する。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮する。残留物をPTLC(ヘキサン:酢酸エチル)で精製して、標題化合物を得る。
【0165】
段階B:
段階Aからの生成物(1当量)をトルエンに溶かし、バージェス(Burgess')塩(5当量)を加える。混合物を窒素下に60℃で約1時間または十分な量の原料が反応するまで攪拌する。反応混合物を冷却し、揮発分を減圧下に除去する。PTLC(ヘキサン:酢酸エチル)による精製によって、生成物を得る。
【0166】
段階C:
段階Bからの生成物をトリフルオロ酢酸の2%塩化メチレン(重量基準)溶液に0℃で溶かし、約4時間または十分な反応が起こるまで攪拌する。揮発分を減圧下に除去し、生成物をPTLC精製して、標題化合物を得る。
【0167】
実施例2
[1R−(1α,3aβ,4β,4aβ,7β,7aα,8aβ)]8a−[(6−デオキシ−4−O−メチル−β−D−アルトロピラノシルオキシ)メチル]−4−シアノ−4,4a,5,6,7,7a,8,8a−オクタヒドロ−7−メチル−3−(1−メチルエチル)−1,4−メタノ−s−インダセン−3a(1H)−カルボン酸(4−シアノ−4−デホルミルソルダリン)
【0168】
【化25】
Figure 0004339505
【0169】
ソルダリン(50mg)をN,N−ジメチルホルムアミド3mLに溶かし、臭化ベンジル0.3mLを加え、次に水素化ナトリウム(60%鉱油中分散品)200mgを加えた。混合物を室温で終夜攪拌した。水系の後処理(ジエチルエーテル)およびPTLC精製後、2’,3’−ジ−O−ベンジルソルダリンベンジルエステルを得た。
【0170】
上記からの2’,3’−ジ−O−ベンジルソルダリンベンジルエステルのエタノール/ピリジン(2:1)溶液を調製した。混合物に過剰のヒドロキシルアミン塩酸塩を加え、それを加熱して70℃とし、2時間攪拌した。混合物を減圧下に濃縮し、水系の後処理(塩化メチレン)を行った。PTLC精製によって、2’,3’−ジ−O−ベンジル−4−アルドキシムソルダリンベンジルエステルを得た。
【0171】
上記からの2’,3’−ジ−O−ベンジル−4−アルドキシムソルダリンベンジルエステルのトルエン溶液に、過剰量の(メトキシカルボニルスルファモイル)−トリエチルアンモニウムヒドロキシド分子内塩(バージェス試薬)を加えた。混合物を窒素雰囲気下に70℃で2時間攪拌した。減圧下での濃縮およびPTLC精製後、2’,3’−ジ−O−ベンジル−4−シアノ−4−デホルミルソルダリンベンジルエステルを得た。
【0172】
上記からのベンジルエステルのメタノール溶液を調製した。水酸化パラジウム炭素(パールマン触媒)を加え、容器に水素ガスを流し込んだ。混合物を水素1気圧下に15分間高攪拌した。混合物を濾過し、溶液を減圧下に濃縮して標題化合物を得た。
MS(CI):m/z=507.5(M+NH
【0173】
実施例3
[1R−(1α,3aβ,4β,4aβ,7β,7aα,8aβ)]8a−[(6−デオキシ−β−D−アルトロピラノシルオキシ)メチル]−4−シアノ−4,4a,5,6,7,7a,8,8a−オクタヒドロ−7−メチル−3−(1−メチルエチル)−1,4−メタノ−s−インダセン−3a(1H)−カルボン酸(4−シアノ−4−デホルミル−4’−デメチルソルダリン)
【0174】
【化26】
Figure 0004339505
【0175】
Streptomyces avermitilisMA4848(ATCC31272)の冷凍菌糸体1mLを、BaSa培地[1リットル当たり:酵母抽出物(Difco)20g、Hycase(塩を含まない、Sheffield)20g、ブドウ糖20g、KNO 2g、微量要素(以下に定義のもの)10mL。pH7.0、20分間のオートクレーブ処理]40mLの入ったバッフル付き三角フラスコ8個のそれぞれに接種する。フラスコを27℃で220rpmにて24時間インキュベートする。pHは6.7〜6.8である。菌糸体について、菌糸体以外の汚染物を顕微鏡で検査する。
【0176】
【表8】
Figure 0004339505
【0177】
実施例2からの標題化合物(4−シアノ−4−デホルミルソルダリン)40mgを80%エタノール(0.40mL)に溶かし、各フラスコに50μLずつを加える。混合物を27℃で18時間インキュベートする。分析HPLCによる測定で変換が完了する。肉汁(200mL)を抽出用に等容量のメタノール(200mL)で希釈し、固体を遠心によって除去する。上清を減圧下に濃縮して、ほとんどのメタノールを除去し、残った溶液(約200mL)をNaOHでpH11に調節する。その溶液を塩化メチレン(200mL)で2回抽出する。水層を希硫酸によってpH2.5に調節し、塩化メチレンで2回抽出する。合わせた塩化メチレン層を水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水する。硫酸ナトリウムを濾去し、塩化メチレンを減圧下に除去して固体を得る(53mg)。分取RP HPLC(Phenomenex Primesphere C8; 5μ、9.4×250mm)用いて、残留物を精製する。0.1%リン酸を含むアセトニトリル:水(34:66)からなる移動相を、40℃で流量3.5mL/分にて用いる。標題化合物は14.4分で溶出する。生成物豊富なカット分画を合わせ、N気流下にアセトニトリルを除去する。残った水溶液を上記と同様にして塩化メチレンで抽出して、標題化合物7.2mgを得る。
【0178】
H NMR(CDOD 0.125mL中1.5mg):δ0.790(d、6.8、3H)、1.059(d、6.8、3H)、1.161(d、6.8、3H)、1.14〜1.32(m)、1.257(d、6.4、3H)、1.650(m、1H)、1.74〜1.86(m)、2.00〜2.18(m)、2.432(dd、4.4,12.8、1H)、2.670(広い7重線、6.8、1H)、2.836(brdd、3.6、1H)、3.450(dd、4.0,9.2、1H)、3.67(m、2H)、3.721(d、9.6、1H)、3.871(dd、3.6,3.6、1H)、3.914(d、9.6、1H)、4.572(brs)、6.225(brd、3.2)
IR(ZnSe上の薄層):2958、2234、1713、1071cm−1
MS:475.2607(M+)。
【0179】
実施例4
【0180】
【化27】
Figure 0004339505
【0181】
段階A:
フラスコにジギトキソース(0.500g、3.37mmol)を入れ、脱水ベンゼンとの共沸を行った。得られたものを脱水ピリジン5mLに溶かし、無水酢酸5mLを加えた。反応混合物を18時間攪拌した。薄層クロマトグラフィー分析(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=1:2)から、ジギトキソースが完全に消失していることが明らかになった。揮発分を減圧下に除去して、淡黄色油状物1.013gを得た。
【0182】
H NMR(CDCl):δ1.11(d、3H)、1.96〜2.16(m、2H)、2.02(s、3H)、2.11(s、6H)、4.06(m、1H)、4.61(dd、1H)、5.49(bq、1H)、6.02(dd、1H)
MS:215.1(M−C
【0183】
段階B:
上記の段階Aに記載の方法で得たペルアセチルジギトキソース(9.31g、33.9mmol)を水150mLに加え、氷酢酸50mLを加えた。反応混合物を室温で3日間攪拌した。溶媒を減圧下に除去し、粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン1:1)によって精製して、淡黄色シロップ7.37g(94%)を得た。生成物である3,4−ジアセトキシジギトキソースはアノマー混合物として存在していた。
【0184】
段階C:
3,4−ジアセトキシジギトキソース(1.23g、5.3mmol)をフラスコに入れ、脱水塩化メチレン25mLを窒素雰囲気下に加えた。次に、炭酸セシウム(0.35g、1.1mmol)を加え、次にトリクロロアセトニトリル(7.2g、50mmol)を加えた。反応混合物を約1時間攪拌し、反応液を濾過し、揮発分を真空下に除去した。得られた粗トリクロロアセトイミデート(2.00g)をそのまま、それ以後の反応に用いた。
【0185】
H NMR(CDCl):δ1.34(d、3H)、2.03(s、3H)、2.07(s、3H)、2.11(m、1H)、2.29(ddd、1H)、4.17(m、1H)、4.80(dd、1H)、5.52(m、1H)、6.20(dd、1H)、8.76(s、1H)。
【0186】
段階D:
中間体1(1.6g、3.8mmol)をベンゼンと共沸させ、脱水した化合物を塩化メチレン10mLに溶かした。無水臭化亜鉛(0.340g、1.5mmol)を加え、混合物を冷却して0℃とした。段階Cからの生成物(2.8g、7.5mmol)の塩化メチレン(5mL)溶液を1時間かけてシリンジポンプを使って加えた。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液に投入し、塩化メチレンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。粗取得物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン1:4)によって精製して、所望の生成物2.09g(86%)を透明シロップとして得た。生成物はαおよびβ異性体の各2:3混合物であった。
MS:654.2(M+NH)。
【0187】
段階E:
段階Dからの生成物(2.09g、3.3mmol)をメタノール50mLに溶かし、炭酸カリウム(0.20g)を加えた。反応液を室温で2時間攪拌した。炭酸カリウムを濾去し、揮発分を減圧下に除去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、最初に酢酸エチル/ヘキサン1:2で、次に酢酸エチル/ヘキサン1:1で溶離)によって精製して、所望の脱アセチル化β−アノマー0.84g(49%)と脱アセチル化α−アノマー0.48g(26%)とを得た。
【0188】
α−アノマー:
部分的H NMR(CDCl):δ0.51(d、3H)、0.80(d、3H)、0.85〜0.95(m)、1.00(d、3H)、1.02(m)、1.14(d、3H)、2.77(t、1H)、3.44(d、1H)、3.58(m)、3.93(dd、1H)、3.27および3.98(AB5重線、2H)、4.75(m、1H)、5.18(AB5重線、2H)、6.02(m、1H)、7.37(m、5H)、9.67(s、1H)
MS:570.5(M+NH)。
【0189】
β−アノマー:
部分的H NMR(CDCl):δ0.51(d、3H)、0.81(d、3H)、0.85〜1.1(m)、1.00(d、3H)、1.13(d、3H)、2.83(t、1H)、3.64(m、1H)、3.60および3.87(AB5重線、2H)、4.10(bs、1H)、4.58(dd、1H)、5.17(AB5重線、2H)、6.01(d、1H)、7.35(m、5H)、9.69(s、1H)
MS:423.3(M+H−ジギトキソース)。
【0190】
段階F:
段階Eからのβ−アノマー(35.6mg)をジブロモメタン3mLに溶かし、50%水酸化ナトリウム水溶液3mLを加え、次にテトラブチルアンモニウムブロマイド(4.2mg、0.013mmol)を加えた。混合物を18時間高攪拌した。反応液を塩化メチレンで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、揮発分を減圧下に除去した。残留物をPTLC(9:1ヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、白色固体16.4mg(45%)を得た。
【0191】
部分的H NMR(CDCl):δ0.52(d、3H)、0.90(d、3H)、0.9(m)、1.00(d、3H)、1.04(m)、1.13(d、3H)、2.71(t、1H)、3.38(m、1H)、3.60および3.89(AB5重線、2H)、3.64(m、1H)、4.13(m、1H)、4.48(dd、1H)、4.85(s、1H)、5.14(s、1H)、5.18(AB5重線、2H)、6.01(d、1H)、7.36(m、5H)、9.71(s、1H)。
【0192】
段階G:
段階Fからの生成物(9.7mg、0.017mmol)をピリジン1mLに溶かし、エタノール1mLを加え、次にヒドロキシルアミン塩酸塩(12mg、0.17mmol)を加えた。混合物を加熱して70℃とし、1時間攪拌した。混合物を冷却し、溶媒を減圧下に除去した。残留物を水と塩化メチレンとの間で分配し、水層をさらに塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、揮発分を減圧下に除去した。残留物をPTLC(4:1/ヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、生成物8.6mg(87%)を固体として得た。
【0193】
部分的H NMR(CDCl):δ0.52(d、3H)、0.81(d、3H)、0.9(m)、0.98(d、3H)、1.01(m)、1.23(d、3H)、1.34(d、1H)、2.62(t、1H)、3.36(m、1H)、3.60(d、1H)、3.64(dd、1H)、3.87(d、1H)、4.13(m、1H)、4.49(dd、1H)、4.85(s、1H)、5.15(s、1H)、5.18(AB5重線、2H)、5.96(d、1H)、7.36(m、5H)、7.46(bs、1H)、7.81(s、1H)。
【0194】
段階H:
段階Gからの生成物(8.6mg、0.015mmol)をトルエン2mLに溶かし、バージェス試薬(18mg、0.074mmol)を加えた。反応混合物を乾燥窒素雰囲気下に60℃で約1時間攪拌した。追加のバージェス試薬を加え、混合物をさらに20分間攪拌した。反応液を冷却し、揮発分を減圧下に除去した。残留物をPTLC(4:1/ヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、生成物7.3mg(86%)を固体として得た。
【0195】
部分的H NMR(CDCl):δ0.39(d、3H)、0.88(d、3H)、0.95(m)、1.14(d、3H)、1.23(d、3H)、2.62(m、1H)、2.72(t、1H)、3.36(m、1H)、3.59(d、1H)、3.63(dd、1H)、3.88(d、1H)、4.11(m、1H)、4.48(dd、1H)、4.85(s、1H)、5.14(s、1H)、5.18(AB5重線、2H)、6.12(m、1H)、7.34(m、3H)、7.46(m、2H)。
【0196】
段階I:
段階Hからの生成物(7.3mg、0.013mmol)をメタノール2mLに溶かし、パールマン触媒(2mg)を加えた。反応容器に水素を吹き込み、水素雰囲気下で2時間攪拌した。混合物をセライト層濾過し、揮発分を減圧下に除去して、標題化合物6.1mg(100%)を白色固体として得た。
【0197】
部分的H NMR(CDCl):δ0.77(d、3H)、1.01(d、3H)、1.18(d、3H)、1.28(d、3H)、2.23(dt、1H)、2.35(dd、1H)、2.67(m、2H)、3.39(m、1H)、3.54(d、1H)、3.63(dd、1H)、3.99(m、1H)、4.15(m、1H)、4.57(dd、1H)、4.85(s、1H)、5.13(s、1H)、6.16(d、1H)
MS:489.2(M+NH
IR:2240cm−1
【0198】
実施例5
【0199】
【化28】
Figure 0004339505
【0200】
段階A:
実施例4の段階Eからのβ−アノマー(0.84g、1.5mmol)をトルエン100mLに溶かした。酸化ジブチルスズ(0.568g、2.3mmol)を窒素下に加え、混合物を加熱還流させ、4時間にわたって攪拌した。混合物を冷却して室温とし、臭化アリル(0.544g、4.5mmol)を加え、次にフッ化テトラブチルアンモニウム(1.0M THF溶液2.3mL、2.3mmol)を加えた。反応液を加熱して50℃とした。1.5日後、混合物を冷却し、揮発分を減圧下に除去した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(段階的勾配溶離:9:1から4:1から2:1/ヘキサン:酢酸エチル)によって、UV活性生成物0.454g(51%)を得た。
【0201】
部分的H NMR(CDCl):δ0.51(d、3H)、0.81(d、3H)、0.9(m)、1.00(d、3H)、1.05(m)、1.22(d、3H)、2.21(m、1H)、2.72(t、1H)、3.01(dd、1H)、3.60(d、1H)、3.68(m、1H)、3.87(d、1H)、3.98(m、1H)、4.10(m、1H)、4.18(m、1H)、4.59(dd、1H)、5.10(m)、5.18(AB5重線、2H)、5.26(d、1H)、5.86(m、1H)、6.01(d、1H)、7.37(m、5H)、9.66(s、1H)。
【0202】
段階B:
段階Aからの生成物(288mg、0.49mmol)、トリフェニルホスフィン(511mg、1.95mmol)およびイミダゾール(133mg、1.95mmol)をフラスコに入れ、蒸留したばかりのテトラヒドロフラン40mLに溶かした。固体のヨウ素(371mg、1.46mmol)を加え、混合物を室温で窒素雰囲気下に1.5時間攪拌した。1N塩酸を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水、チオ硫酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をPTLC(9:1/ヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、生成物211mg(61%)を得た。
【0203】
部分的H NMR(CDCl):δ0.51(d、3H)、0.80(d、3H)、0.9(m)、1.00(d、3H)、1.05(m)、1.33(d、3H)、1.22(d、1H)、2.51(dd、1H)、2.70(t、1H)、3.13(t、1H)、3.25(m、1H)、3.59および3.82(AB5重線、2H)、4.01(m、1H)、4.38(dd、1H)、5.18(AB5重線、2H)、5.20(s、1H)、5.30(d、1H)、5.96(m、1H)、6.00(d、1H)、7.37(m、5H)、9.69(s、1H)
MS:725.0(M+Na)。
【0204】
段階C:
脱水トルエン8mLに、水素化トリ−n−ブチルスズ(0.267mL、0.993mmol)を加えた。溶液を約2時間加熱還流した。段階Bからの生成物(211mg、0.301mmol)を脱水トルエン10mLに溶かし、還流する水素化トリ−n−ブチルスズに2時間かけてシリンジポンプで加えた。追加の当量の水素化トリ−n−ブチルスズを加え、混合物をさらに30分間還流したところ、分析TLCによる測定で原料は全て消費されていた。混合物を冷却し、揮発分を減圧下に除去した。PTLC精製によって黄色油状物を得た。取得物を分取HPLC(Zorbax RxC18、5%水/95%アセトニトリル、λ=220nm)によってさらに精製して、β−異性体およびα−異性体という2種類の生成物23.0mg(13%)を得た。
【0205】
β−異性体:
部分的H NMR(CDCl):δ0.50(d、3H)、0.80(d、3H)、0.89(m)、0.98(d、3H)、1.02(d、3H)、1.20(d、3H)、2.22(m、1H)、2.72(t、1H)、3.29(m、2H)、3.58(d、1H)、3.65(t、1H)、3.82(d、1H)、3.99(t、1H)、4.41(dd、1H)、5.19(AB5重線、2H)、6.01(m、1H)、7.36(m、5H)、9.72(s、1H)。
【0206】
α−異性体:
部分的H NMR(CDCl):δ0.47(d、3H)、0.79(d、3H)、0.89(m、1H)、0.93(d、3H)、0.98(d、3H)、1.21(d、3H)、2.21(m、1H)、2.38(m、1H)、2.66(t、1H)、3.39(t、1H)、3.54(d、1H)、3.65(t、1H)、3.77(d、1H)、3.82(t、1H)、4.64(m、1H)、5.18(s、2H)、5.99(m、1H)、7.32(m、5H)、9.69(s、1H)。
【0207】
段階D:
段階Cからのβ−異性体(5.6mg、0.0097mmol)をエタノール0.5mLに溶かし、ピリジン0.5mLを加え、次にヒドロキシルアミン塩酸塩(6.7mg、0.097mmol)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気下に、約20分間攪拌した。混合物を減圧下に濃縮し、水と塩化メチレンとの間で分配した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をPTLC(4:1/ヘキサン:酢酸エチル)で精製して、生成物6.6mg(定量的)を得た。
【0208】
部分的H NMR(CDCl):δ0.51(d、3H)、0.81(d、3H)、0.98(d、3H)、1.02(d、3H)、1.20(d、3H)、2.23(m、1H)、2.63(t、1H)、3.29(m、2H)、3.58(d、1H)、3.65(t、1H)、3.82(d、1H)、3.99(t、1H)、4.41(dd、1H)、5.19(s、2H)、5.95(m、1H)、7.35(m、5H)、7.47(s、1H)、7.81(s、1H)。
【0209】
段階E:
段階Dからの生成物(6.6mg、0.011mmol)をトルエン1mLに溶かし、バージェス塩(13.3mg、0.055mmol)を加えた。混合物を窒素下に60℃で1時間攪拌した。反応混合物を冷却し、揮発分を減圧下に除去した。PTLC(9:1/ヘキサン:酢酸エチル)による精製によって、生成物5.1mg(81%)を得た。
【0210】
部分的H NMR(CDCl):δ0.39(d、3H)、0.86(d、3H)、1.01(d、3H)、1.15(d、3H)、1.20(d、3H)、2.27(dd、1H)、2.63(m、1H)、2.73(t、1H)、3.29(m、1H)、3.58(d、1H)、3.65(t、1H)、3.83(d、1H)、3.99(t、1H)、4.41(dd、1H)、5.27(AB5重線、2H)、6.13(m、1H)、7.33(m、3H)、7.46(m、2H)。
【0211】
段階F:
段階Eからの生成物(5.1mg、0.0087mmol)をメタノール1mLに溶かし、水酸化パラジウム炭素(パールマン触媒)約1mgを加えた。反応容器に水素ガスを流し込み、混合物を水素1気圧下に30分間高攪拌した。触媒をセライト層で濾去し、濾液を減圧下に濃縮して、標題化合物3.8mg(88%)を白色固体として得た。
【0212】
部分的H NMR(CDCl):δ0.77(d、3H)、1.01(d、3H)、1.04(d、3H)、1.02(d、3H)、1.17(d、3H)、1.22(d、3H)、3.67(t、1H)、3.98(t、1H)、4.05(d、1H)、4.55(dd、1H)、6.17(m、1H)。
【0213】
実施例6

【0214】
【化29】
段階A:
Figure 0004339505
【0215】
実施例4の段階Eからのα−アノマー(18.3mg、0.033mmol)をジブロモメタン1.5mLに溶かした。その溶液に50%水酸化ナトリウム水溶液1.5mLを加え、次にテトラブチルアンモニウムブロマイド(2.1mg、0.006mmol)を加えた。混合物を24時間高攪拌し、追加のテトラブチルアンモニウムブロマイド6mgを加え、混合物をさらに24時間攪拌した。2N塩酸9.4mLを加えることで反応停止し、混合物を水と塩化メチレンとの間で分配した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。得られた残留物をPTLC(4:1/ヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、生成物3.1mg(17%)を得た。
【0216】
部分的H NMR(CDCl):δ0.51(d、3H)、0.81(d、3H)、0.9(m)、1.00(d、3H)、1.05(m)、1.13(d、3H)、2.78(t、1H)、3.63(m、2H)、3.23および3.91(AB5重線、2H)、4.05(m、1H)、4.62(m、1H)、4.94(s、1H)、5.13(s、1H)、5.18(AB5重線、2H)、5.99(d、1H)、7.35(m、5H)、9.69(s、1H)。
【0217】
段階B:
段階Aからの生成物(3.1mg、0.0055mmol)をメタノール1mLに溶かし、水酸化パラジウム炭素(パールマン触媒)約1mgを加えた。反応容器に水素ガスを流し込み、混合物を水素雰囲気下に40分間高攪拌した。触媒をセライト層で濾去した。濾液を減圧下に濃縮して、標題化合物3.1mg(定量的収率)を得た。
【0218】
部分的H NMR(CDCl):δ0.80(d、3H)、0.95(d、3H)、1.01(d、3H)、1.27(d、3H)、2.39(m)、2.78(t、1H)、3.76(m、4H)、4.06(m、1H)、4.71(m、1H)、4.87(s、1H)、5.13(s、1H)、6.02(d、1H)、9.73(s、1H)。
【0219】
実施例7
【0220】
【化30】
Figure 0004339505
【0221】
段階A:
実施例5段階Cからのα−異性体(1当量)をエタノールに溶かし、等容量のピリジンを加え、次にヒドロキシルアミン塩酸塩(10当量)を加える。反応混合物を窒素雰囲気下に、約20分間または分析TLCによって反応が十分に進行したと判断されるまで攪拌する。混合物を減圧下に濃縮し、水と塩化メチレンとの間で分配する。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮する。残留物をPTLC(ヘキサン:酢酸エチル)で精製して、標題化合物を得る。
【0222】
段階B:
段階Aからの生成物(1当量)をトルエンに溶かし、バージェス塩(5当量)を加える。混合物を窒素下に60℃で約1時間または十分な量の原料が反応するまで攪拌する。反応混合物を冷却し、揮発分を減圧下に除去する。PTLC(ヘキサン:酢酸エチル)による精製によって、生成物を得る。
【0223】
段階C:
段階Bからの生成物をメタノールに溶かし、触媒量の水酸化パラジウム炭素(パールマン触媒)を加える。反応容器に水素ガスを流し込み、混合物を水素1気圧下に約30分間または原料が完全に反応するまで高攪拌する。触媒をセライト層で濾去し、濾液を減圧下に濃縮して、標題化合物を得る。
【0224】
実施例8
【0225】
【化31】
Figure 0004339505
【0226】
段階A
中間体5(16.3mg、0.039mmol)をベンゼンと3回共沸させ、脱水した化合物と無水臭化亜鉛(2.0mg、0.0078mmol)とを窒素下にフラスコに入れた。乾燥塩化メチレン(1.0mL)を加え、混合物を冷却して0℃とした。3,4−ジアセチルジギトキソース−1−トリクロロアセトイミデート(実施例4段階Cに記載の方法に従って製造)(29.2mg、0.078mmol)を脱水塩化メチレン0.0.75mLに溶かし、上記反応混合物に1時間かけて加えた。反応液を終夜にて昇温させて室温とした。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に投入し、塩化メチレンで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。残留物をPTLC(最初は9:1から次に4:1/ヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、生成物17.0mg(69%)を、比率が約1:2のα−およびβ−異性体の混合物として得た。
【0227】
段階B:
段階Aからの生成物をメタノールに溶かし、水酸化パラジウム炭素(パールマン触媒)を加える。反応容器に水素ガスを流し込み、混合物を約30分間または原料が残らなくなるまで高攪拌する。触媒を濾去し、濾液から揮発分を除去することで標題化合物を得る。
【0228】
MS:561.4(M+NH)。
【0229】
実施例9
【0230】
【化32】
Figure 0004339505
【0231】
段階A:
上記式で表され、R=−CH(CおよびX=−CHOであって、製造がWO 96/14326に記載されている化合物(1当量)をエタノールに溶かし、等容量のピリジンを加え、次にヒドロキシルアミン塩酸塩(10当量)を加える。反応混合物を窒素雰囲気下に、約20分間または分析TLCによって反応が十分に進行したと判断されるまで攪拌する。混合物を減圧下に濃縮し、水と塩化メチレンとの間で分配する。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮する。残留物をPTLC(ヘキサン:酢酸エチル)で精製して、標題化合物を得る。
【0232】
段階B:
段階Aからの生成物(1当量)をトルエンに溶かし、バージェス塩(5当量)を加える。混合物を窒素下に60℃で約1時間または十分な量の原料が反応するまで攪拌する。反応混合物を冷却し、揮発分を減圧下に除去する。PTLC(ヘキサン:酢酸エチル)による精製によって、生成物を得る。
【0233】
段階C:
段階Bからの生成物をメタノールに溶かし、触媒量の水酸化パラジウム炭素(パールマン触媒)を加える。反応容器に水素ガスを流し込み、混合物を水素1気圧下に約30分間または原料が完全に反応するまで高攪拌する。触媒をセライト層で濾去し、濾液を減圧下に濃縮して標題化合物を得る。
【0234】
実施例10
【0235】
【化33】
Figure 0004339505
【0236】
段階A:
上記式で表され、R=−CH(CおよびX=−CHOであって、製造がWO 96/14326に記載されている化合物(1当量)をエタノールに溶かし、等容量のピリジンを加え、次にヒドロキシルアミン塩酸塩(10当量)を加える。反応混合物を窒素雰囲気下に、約20分間または分析TLCによって反応が十分に進行したと判断されるまで攪拌する。混合物を減圧下に濃縮し、水と塩化メチレンとの間で分配する。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮する。残留物をPTLC(ヘキサン:酢酸エチル)で精製して、標題化合物を得る。
【0237】
段階B:
段階Aからの生成物(1当量)をトルエンに溶かし、バージェス塩(5当量)を加える。混合物を窒素下に60℃で約1時間または十分な量の原料が反応するまで攪拌する。反応混合物を冷却し、揮発分を減圧下に除去する。PTLC(ヘキサン:酢酸エチル)による精製によって、生成物を得る。
【0238】
段階C:
段階Bからの生成物をトリフルオロ酢酸の2%塩化メチレン(重量基準)溶液に0℃で溶かし、約4時間または十分な反応が起こるまで攪拌する。揮発分を減圧下に除去し、生成物をPTLC精製して、標題化合物を得る。
【0239】
実施例11
【0240】
【化34】
Figure 0004339505
【0241】
段階A:
ゾフィマリン(1当量)(R=−HおよびX=−CHO)を、p−メトキシベンジルブロマイドを5%(容量基準)で含む脱水DMFに溶かす。次に、過剰の固体NaHCOを加え、混合物を室温で約18時間またはかなりの量のゾフィマリンが消費されるまで攪拌する。混合物を減圧下に濃縮し、クロロホルムを加える。混合物を濾過してNaHCOを除去し、濾液を減圧下に濃縮し、分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)によって精製して、R=−CH−p−OCHおよびX=−CHOである生成物を得る。
【0242】
段階B:
段階Aからの生成物(1当量)をエタノールに溶かし、等容量のピリジンを加え、次にヒドロキシルアミン塩酸塩(10当量)を加える。反応混合物を窒素雰囲気下に、約20分間または分析TLCによって反応が十分に進行したと判断されるまで攪拌する。混合物を減圧下に濃縮し、水と塩化メチレンとの間で分配する。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮する。残留物をPTLC(ヘキサン:酢酸エチル)で精製して、標題化合物を得る。
【0243】
段階C:
段階Bからの生成物(1当量)をトルエンに溶かし、バージェス塩(5当量)を加える。混合物を窒素下に60℃で約1時間または十分な量の原料が反応するまで攪拌する。反応混合物を冷却し、揮発分を減圧下に除去する。PTLC(ヘキサン:酢酸エチル)による精製によって、生成物を得る。
【0244】
段階D:
段階Cからの生成物をトリフルオロ酢酸の2%塩化メチレン(重量基準)溶液に0℃で溶かし、約4時間または十分な反応が起こるまで攪拌する。揮発分を減圧下に除去し、生成物をPTLC精製して、標題化合物を得る。
【0245】
実施例12〜19
実施例9と同様にして、以下の化合物を製造することができる。
【0246】
【化35】
Figure 0004339505
【0247】
【化36】
Figure 0004339505
【0248】
実施例20〜22
実施例1と同様にして、以下の化合物を製造することができる。
【0249】
【化37】
Figure 0004339505

Claims (9)

  1. 下記式(I)の構造を有する化合物ならびに該化合物の塩および溶媒和物
    Figure 0004339505
    [式中、Zは
    Figure 0004339505
    から選択されるテトラヒドロピラノ基であり、
    は、C(O)CHまたはCHであり;
    は、水素、ハロゲン、水酸基、C1−4アルコキシまたはアシルオキシであり;
    およびRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキルまたはC1−4アルコキシC1−4アルキルであるか;あるいは
    とRとが、それらが結合している炭素原子とともに、C=O、C=SまたはC3−8シクロアルキルを表し;
    は、水素またはCHであり;Rは水素、水酸基、C1−4アルコキシまたはOCOR基であり;RはC1−4アルキルまたはアリールであり;
    およびRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキルまたはC1−4アルコキシC1−4アルキルであるか;あるいは
    とRとが、それらが結合している炭素原子とともに、C=O、C=SまたはC3−8シクロアルキルを表し;
    nはゼロまたは1であり;
    XおよびYはそれぞれ独立に、酸素、硫黄またはCR10であり(RおよびR10はそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキル、C1−4アルコキシまたはC1−4アルコキシC1−4アルキルであるか;あるいはRとR10とが、それらが結合している炭素原子とともに、C=O、C=S、C3−8シクロアルキルまたはC=CHR11を表し;R11は、水素またはC1−4アルキルを表す);あるいはXまたはYが酸素であってnがゼロの場合、−Y−CRもしくは−X−CR−がそれぞれ、−N=CR−または−NR12−CR−(CRおよびRはC=Oであり、R12はC1−4アルキルおよびアシル基COR13を表し;R13はC1−6アルキルである)を表すこともでき;あるいはYが酸素でnがゼロの場合、Xは、二重結合によってピラン環に結合している基CR11(R11は上記で定義のものと同じ意味を有する)を表すことができ;
    15は、水素、ハロゲン、アジド、C1−6アルキル、水酸基、C1−6アルコキシ(1個もしくは2個の水酸基もしくはそれのケタールまたは1個もしくは2個のC1−3アルコキシ基によって置換されていても良い)、アリールC1−4アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、OCOR18基(R18はアリールC1−4アルコキシまたは1個もしくは2個の二重結合を有していても良いC1−10アルキル基である)またはC1−6アルコキシカルボニルC1−4アルコキシであって、R16は水素を表すか;あるいはR15とR16とが、それらが結合している炭素原子とともに、C=OまたはC=CHを表すことができ;
    17はCH19であり;R19は水素、水酸基、C1−14アルコキシまたはOCOR20基であり;R20はC1−4アルキルであり;
    Wは酸素、硫黄またはCHであり
    1a は水素、ハロゲン、水酸基またはC1−4アルコキシであり;
    2aは、水素、ハロゲン、水酸基、C1−10アルコキシ、C1−10アルキルチオ、C1−6アルコキシC1−4アルコキシ、アリールC1−6アルキルオキシ、アリールC3−6アルケニルオキシ、アジド、NR5aCOR5a(各R5aは独立に、水素またはC1−6アルキルである)、OR6a(R6aは、環酸素原子に隣接する環炭素原子を介して酸素原子に結合している原子数4〜8個の環状エーテルである)またはYC(=O)−X−R7a基(Yは酸素、硫黄もしくはNHであり;Xは結合、酸素原子もしくはNR8a部分のいずれかであり;R8aは水素もしくはC1−6アルキルであり;R7aは1個もしくは2個の二重結合を有していても良いC1−10アルキル、アリール、アリールC1−4アルキル、アリールC2−4アルケニル、ハロC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシC1−4アルキルである)であり、R3aは水素を表すか;あるいは
    2aおよびR3aが、それらが結合している炭素原子とともに、C=OまたはC=NOR9aであり(R9aはC1−6アルキルである);
    4aは水酸基、C1−6アルコキシまたはOC(=O)R7a(R7aは上記で定義の通りである)である。]
  2. 下記の構造式を有する請求項1に記載の化合物。
    Figure 0004339505
  3. 下記の構造式を有する請求項に記載の化合物。
    Figure 0004339505
  4. 下記の構造式を有する請求項1に記載の化合物。
    Figure 0004339505
  5. 下記の構造式を有する請求項1に記載の化合物。
    Figure 0004339505
  6. 下記の構造式を有する請求項1に記載の化合物。
    Figure 0004339505
  7. 下記の構造式を有する請求項1に記載の化合物。
    Figure 0004339505
  8. 下記の構造式を有する請求項1に記載の化合物。
    Figure 0004339505
  9. 同化可能な炭素源および窒素源を含む発酵培地中でStreptomyces avermitilis菌株の培養物と4−シアノ−4−デホルミルソルダリンとを接触させる段階;ならびに該発酵培地から4−シアノ−4−デホルミル−4’−デメチルソルダリンを単離する段階を有してなる4−シアノ−4−デホルミル−4’−デメチルソルダリンの製造方法。
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