JP4339467B2 - 相対的回転のために連結された2つの機械部材用のシーリング組立体 - Google Patents

相対的回転のために連結された2つの機械部材用のシーリング組立体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばローリングベアリング(rolling bearing)の2つのリング等相対的回転のために連結された2つの機械部材のシーリング組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転部材のシーリング組立体により提起される主問題は、摺動接触シーリング部材が過熱することであり、これは特に高速回転時にシーリング部材のかなり急速な磨耗の原因となる。
現在利用できるこのタイプのシーリング部材はこの問題に対応できる解決を提供するに至っていない。特に、例えば相対的回転のために連結された部材に使用されるその潤滑剤を使用して、摺動リップ部を潤滑にする種々の解決が知られてるが、かかる解決は供給時に相当の潤滑剤漏れを一様に含み、加えて摺動部材の効率を長期間維持しかつ外部汚染物質の侵入を阻止するに至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、回転部材のための既知シーリング組立体の上述の欠点を、廉価かつ製造容易であるがシーリング部材の効率的潤滑、冷却、および効率の長期維持を可能にし、潤滑剤の漏れを最小限にしかつ特に過酷な運転条件下で汚染物質の効果的排斥を可能にするシーリング部材を提供することにより、解消することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相対的回転のために連結された2つの機械部材、特にローリングベアリングの2つのリングのためのシーリング組立体であって、前記機械部材の第1機械部材により一体的に担持された実質的剛性シールド、および前記シールドから半径方向に突設されかつ第1および第2軸方向シーリングリップ部を有する環状シーリング部材から成り、前記シーリングリップが前記環状シーリング部材の第1環状面から軸方向へ突出していて前記第1環状面に実質的に対面する前記第2機械部材のシーリング面と摺動により共働する構成のシーリング組立体を提供する。かかるシーリング組立体において、上記課題を解決するために、本発明によれば、前記環状シーリング部材は弾性変形自在であり、それにより前記環状シーリング部材の第1環状面がそれと反対側の第2環状面上の圧力と実質的同等の圧力を受けるときに第1作動位置に選択的に着き、かつ前記第1環状面が前記第2環状面上の圧力よりも相当に低い圧力を受けるときに第2作動位置に着き、前記第1作動位置において、前記第1シーリングリップ部は前記シーリング面と所定量の軸方向干渉をもって係合し、かつ第2シーリングリップ部は実質的軸方向干渉を伴うことなく前記シーリング面と係合して前記第2シーリングリップ部と前記シーリング面間の流体通過を可能にし、かつ前記第2作動位置において、前記第2シーリングリップ部は前記環状シーリング部材の変形により所定量の軸方向干渉をもって前記シーリング面と摺動により共働する構成であることを特徴とする。
【0005】
本発明の好適実施形態において、前記環状シーリング部材は前記環状シーリング部材の第1環状面から前記シーリング面に向かって軸方向に突出すると共に前記第1および第2シーリングリップ部に対して半径方向外方に形成された環状突起を含み、前記環状突起は少なくとも1つの半径方向リットを有していて前記環状突起への流体の通過を可能にする。
【0006】
本発明の好適実施形態において、前記環状シーリング部材は前記シールドから半径方向に突出するルート部、前記環状シーリング部材の半径方向自由端から軸方向へ突出する端部、および前記ルート部と前記端部間で半径方向に延在する中間部を含み、前記中間部は弾性変形自在の事実上のヒンジを形成する狭部により前記ルート部へ連続している。
【0007】
本発明の好適実施形態において、前記第1シーリングリップ部は前記環状シーリング部材の前記端部の第1円弧状軸方向端部により形成され、前記第2シーリングリップ部は前記環状シーリング部材の中間部から軸方向に突出し、かつ前記環状突起は前記環状シーリング部材の前記ルート部から軸方向に突出している。
本発明の好適形態において、前記第2機械部材はその第2機械部材の側面上に形成された周辺座を含み、前記シーリング面は前記第1および第2機械部材の相対的回転軸に実質的垂直の、前記周辺座の実質的平坦な環状側により形成され、前記周辺座の底面は突出成形部を有し、それにより前記底面は半径部において前記シーリング面と融合する波形の実質的S形形態を有し、前記環状シーリング部材は前記半径方向自由端に前記周辺座の前記底面に対面して半径方向へ突出した周辺縁を含む。
【0008】
本発明の好適形態において、前記環状シーリング部材は実質的T形であり、前記端部は前記環状シーリング部材の前記半径方向自由端の両側で軸方向に突出し、かつ前記環状シーリング部材の前記中間部の軸方向延在部よりも大きい軸方向拡張部を有し、前記環状シーリング部材の周辺縁は、変形されないときに、前記両機械部材の相対的回転軸と同軸の実質的円筒面により形成されている。
【0009】
上記構成により、本発明によるシーリング組立体は安価かつ製造容易であり、効果的に潤滑および冷却を行い、摺動接触シーリング部材の長期効率の維持を可能にし、潤滑剤漏れを大幅に減少し、かつ特に過酷な運転状況において汚染物の侵入を排斥してシーリング能力を改善する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照して本発明の非制限的実施形態を説明する。
図1および2を参照すると、参照番号1は、相対的回転のために連結され、かつそれぞれ図1および2に示された非限定例としてローリングベアリングの第1および第2リング(実質的に既知であり説明の単純化のために表現されていない)により形成される2つの機械部材2および3のためのシーリング組立体を示す。 図示例において、前記ベアリングの第1リング2は半径方向外方で定着位置にあり、かつ前記ベアリングの第2リング3は半径方向内方へ回転している。
【0011】
シーリング組立体1は事実上既知の方法によりリング2へ一体的に担持されかつ固定された(例えば弾性材の一部の介在により)実質的剛性シールド4を含む。更に具体的には、シールド4は円筒部5および半径方向内部のフランジ6を含む。
シーリング組立体1は、また、例えば弾性材により形成された、弾性変形自在の環状シーリング部材7を含む。環状シーリング部材7はシールド4から半径方向に突出し、かつ使用時にリング2,3の相対的回転軸に対して例示されたように実質的に垂直の内リング3のシーリング面8と摺動により共働する。
【0012】
環状シーリング部材7は実質的T形であり、かつシールド4の自由端縁のフランジ6から半径方向へ突出するルート部9(例えば既知方法により同時成形されて固定されている)、環状シーリング部材7の半径方向自由端14から軸方向に突出する端部10、およびルート部9と端部10との間で半径方向に延在して弾性変形自在の事実上のヒンジを形成する狭部によりルート部9へ一体的に連結された中間部11を含む。この図示例において、端部10はシーリング部材7の半径方向自由端14の両側で軸方向に突出し、かつ中間部11よりも長い軸方向の拡張部を有する。リング3のシーリング面8と対面する端部10の第1円弧状軸方向端12は、使用時にリング3のシーリング面8と摺動により共働する第1軸方向シーリングリップ部13を形成する。
【0013】
環状シーリング部材7の端部10は、また、半径方向周辺端縁16を含み、この縁部は未変形時にリング2,3の相対的回転軸と実質的同軸の円筒面により形成される。
第1円弧状軸方向端12と反対側の第2軸方向端17で、端部10は例えば約90°の鋭角環状エッジ18を有する。
【0014】
図1および2の好適形態において、環状シーリング部材7は、また、環状シーリング部材7の中間部11からリング3のシーリング面8へ向かって半径方向に突出しかつ2つの収斂環状側25,26により画定された環状縁により形成された第2軸方向シーリングリップ部23を含む。未変形時に、環状側26はリング2の相対的回転軸に対して、従って、環状シーリング部材7の周辺縁16に対して実質的垂直である。
【0015】
環状シーリング部材7は、また、ルート部9からリングのシーリング面8へ向かって軸方向に突出した環状突起27を含む。環状突起27は半径方向において第1リップ部13と反対側でリップ部23に対向して位置決めされ、かつ環状突起27それ自体から流体を通過させるための一対の直径方向に対峙した半径方向スリット28を含む。
【0016】
リング3は、図示例において、リング3の半径方向外側面31内に形成された周辺溝により画定される周辺座30を含む。周辺座30の実質的平坦な環状側32はシーリング面8を形成し、他方、第1リップ部13の周辺縁16に半径方向で対面する周辺座30の底面33は突出成形部34を含み、それにより半径方向部において底面33はシーリング面8に融合する実質的S形の波形形態を有する。
【0017】
環状突起27は、リング2,3間に形成されたキャビティ35の内側に位置し、少なくとも部分的にシーリング面8よりも軸方向へ突出し、リング3の側面31から所定間隔を置いて、側面31に実質的に対面し、かつリング3と実質的同軸同心に位置決めされるのが好ましい。キャビティ35は潤滑流体(潤滑油またはグリス)を含みかつ環状シーリング部材7により閉鎖される。
【0018】
図3および4を参照すると、上述の部材と同一または類似部材は同一参照番号により示されている本発明によるシーリング組立体1は、リップ部13によりシーリング面8と軸方向に所定量の干渉をもって係合するように組立てられる。リップ部23は実質的干渉を伴うことなく(即ち、小さい軸方向のクリアランスをもって)シーリング面8に係合して、シーリング面8とリップ部23との間への流体の通過を可能にするようにする。更に、環状スパー27はリング3の側面31から半径方向に小間隔をおいて対面するように位置決めされ、それにより環状シーリング部材7は全体として第1作動位置7aに位置決めされ(図3)、この場合、単にリップ部13のみが流体密にシーリング面8と共働し、他方リップ部23は流体通過、特にキャビティ35からリップ部13へ向かう潤滑流体の通過を可能にする。
【0019】
実際の使用において、環状シーリング部材7は環状シーリング部材7の対向環状面36,37が実質的に同等圧力を受ける限り作動位置7aに実質的に維持される。
上記作動状態において、環状スパー27は、既知方法により、キャビティ35の内側で潤滑流体に対して遠心分離作用をし、そのようにして潤滑流体は所定圧力になる。これに同時に、半径方向スリット28は潤滑流体をリップ部13,23の方向へ流してリップ部13,23の潤滑を可能にする。半径方向スリット28を流れる潤滑流体は、実際に、干渉を伴うことなく係合しているリップ部23とシーリング面8との間を流れ、上記作動状態において実質的ラビリンスシール(摺動シールと反対)を形成し、それにより潤滑流体はリップ部13の方向へ流れてリップ部13を潤滑する。
【0020】
本発明によれば、環状シーリング部材7は弾性変形自在であり、かつ使用時に、シーリング面8に対面する環状面36、従って潤滑流体を含むキャビティ35上の圧力が反対環状面37上の圧力よりも相当に小さいときに、第2作動位置7b(図4)に着く。この場合に、環状シーリング部材7は、特定部10および11において弾性変形して、リップ部23によるシーリング面8への干渉を可能にし、それにより作動位置7bにおいてリップ部23は所定量の軸方向の干渉をもってシーリング面8と係合し、かつそのようにして摺動により共働する。
【0021】
従って、本発明によれば、環状シーリング部材7は弾性変形し、環状面36,37上の圧力差により選択的に作動位置7aおよび7bに着く。即ち、両環状面36,37は実質的に同一圧力を受けてリップ部13のみがシーリング面8と摺動により共働する−作動位置7aにおいて所定値を越える圧力差が生じる場合に、環状シーリング部材7は弾性変形してリップ部23が同様にシーリング面8と摺動により共働する。シーリング面8と干渉により共働する両リップ部13,23により、シーリング部材7はこのようにそれ自身とシーリング面8間への汚染物質の侵入をより良く防止する。
【0022】
リップ部23をシーリング面8と干渉により共働させる環状面36,37上の圧力差は、環状シーリング部材7の適宜寸法の端部10および中間部11によりかつ適宜変形自在エラストマの使用により選択できる。
明らかなように、添付特許請求の範囲から逸脱することなく種々の変更が本発明のシーリング組立体についてなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシーリング組立体の半径方向の断面を示す。
【図2】中間組立体位置におけるシーリング組立体の図1の詳細拡大図を示す。
【図3】本発明よるシーリング組立体の作用を示す。
【図4】本発明よるシーリング組立体の作用を示す。
【符号の説明】
1…シーリング組立体
2,3…機械部材
4…シールド
5…円筒部
6…フランジ
7…シーリング部材
8…シーリング面
9…ルート部
10…端部
11…中間部
13,23…シーリングリップ

Claims (6)

  1. 相対的回転のために連結された2つの機械部材、特にローリングベアリングの2つのリングのためのシーリング組立体であって、前記機械部材(2,3)の第1機械部材(2)により一体的に担持された実質的剛性シールド(4)、および前記シールド(4)から半径方向に突設されかつ第1および第2軸方向シーリングリップ部(13,23)を有する環状シーリング部材(7)から成り、前記シーリングリップが前記環状シーリング部材(7)の第1環状面(36)から軸方向へ突出していて前記第1環状面(36)に実質的に対面する前記機械部材(2,3)の第2機械部材(3)のシーリング面(8)と摺動により共働するシーリング組立体において、
    前記環状シーリング部材(7)は弾性変形自在であって、前記環状シーリング部材(7)の第1環状面(36)がその第1環状面(36)と反対側の第2環状面(37)上の圧力と実質的同等の圧力を受けるときに第1作動位置(7a)に選択的に着き、かつ前記第1環状面(36)が第2環状面(37)上の圧力よりも相当に低い圧力を受けるときに第2作動位置(7b)に着き、前記第1作動位置(7a)において、前記第1シーリングリップ部(13)は前記シーリング面(8)と所定量の軸方向干渉をもって係合し、かつ第2シーリングリップ部(23)は実質的軸方向干渉を伴うことなく前記シーリング面(8)と係合して前記第2シーリングリップ部(23)と前記シーリング面(8)間の流体通過を可能にし、かつ前記第2作動位置(7b)において、前記第2シーリングリップ部(23)は前記環状シーリング部材(7)の変形により所定量の軸方向干渉をもって前記シーリング面(8)と摺動により共働する構成であることを特徴とするシーリング組立体。
  2. 前記環状シーリング部材(7)は前記環状シーリング部材(7)の第1環状面(36)から前記シーリング面(8)に向かって軸方向に突出すると共に前記第1および第2シーリングリップ部(13,23)に対して半径方向外方に形成された環状突起(27)を含み、前記環状突起(27)は少なくとも1つの半径方向リット(28)を有して前記環状突起への流体の通過を可能にすることを特徴とする、請求項1のシーリング組立体。
  3. 前記環状シーリング部材(7)は前記シールド(4)から半径方向に突出するルート部(9)、前記環状シーリング部材(7)の半径方向自由端(14)から軸方向へ突出する端部(10)、および前記ルート部(9)と前記端部(10)間で半径方向に延在する中間部(11)を含み、前記中間部(11)は弾性変形自在の事実上のヒンジを形成する狭部により前記ルート部(9)へ連続していることを特徴とする、請求項2のシーリング組立体。
  4. 前記第1シーリングリップ部(13)は前記環状シーリング部材(7)の端部(10)の第1円弧状軸方向端部(12)により形成され、前記第2シーリングリップ部(23)は前記環状シーリング部材(7)の中間部(11)から軸方向に突出し、かつ前記環状突起(27)は前記環状シーリング部材(7)の前記ルート部(9)から軸方向に突出していることを特徴とする、請求項3のシーリング組立体。
  5. 前記第2機械部材(3)はその第2機械部材の側面(31)上に形成された周辺座(30)を含み、前記シーリング面(8)は2つの前記機械部材(2,3)の相対的回転軸に実質的垂直の、前記周辺座(30)の実質的平坦な環状側(32)により形成され、前記周辺座(30)の底面(33)は突出成形部(34)を有し、それにより前記底面は半径部において前記シーリング面(8)と融合する波形の実質的S形形態を有し、前記環状シーリング部材(7)は、前記半径方向自由端(14)に、前記周辺座(30)の底面(33)に対面して半径方向へ突出した周辺縁(16)を含むことを特徴とする、請求項3または4のシーリング組立体。
  6. 前記環状シーリング部材(7)は実質的T形であり、前記環状シーリング部材(7)の端部(10)は前記環状シーリング部材(7)の半径方向自由端(14)の両側で軸方向に突出し、かつ前記環状シーリング部材(7)の中間部(11)の軸方向延在部よりも大きい軸方向拡張部を有し、前記環状シーリング部材(7)の周辺縁(16)は、変形されないときに、2つの前記機械部材(2,3)の相対的回転軸と同軸の実質的円筒面により形成されていることを特徴とする、請求項4または5のシーリング組立体。
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