JP4338932B2 - 表面張力と湿潤性の制御により改良された指向性を有するインクジェットインク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットインクに関し、より詳細には、インクジェットカートリッジのノズルを介する吐出に際して高い指向性を示すインクジェットインクに関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルインクジェットプリントカートリッジは、小体積のインクを急激に加熱してインクを気化し、複数のオリフィスの1つを通して吐出させることにより、用紙のような記録媒体上にインクドットを印刷するように動作する。通常オリフィスは、1つ以上の直線的なアレイでもって、ノズル部材に配置される。各オリフィスからの適切に順序付けられたインクの吐出により、用紙に対してプリントヘッドを相対移動させるにつれて、用紙上に文字又は他の画像が印刷される。用紙は通常、プリントヘッドが用紙を横切って移動し終わるごとにシフトされる。用紙に着弾するのはインクだけであるので、サーマルインクジェットプリンタは静かで速い。こうしたプリンタは、高品質の印刷物を生成し、またコンパクトで価格も手頃である。
【0003】
従来技術の1つの設計では、インクジェットプリントヘッドは一般に、(1)インクリザーバからオリフィスに近接した各気化チャンバにインクを供給するインクチャネル、(2)オリフィスが必要なパターンで形成されている金属製のオリフィスプレート又はノズル部材、及び(3)各気化チャンバに1つの、一連の薄膜抵抗を具備するシリコン基板を含んでいる。
【0004】
1つのインクドットを印刷するためには、外部電源からの電流が選択された薄膜抵抗を通して流される。この抵抗は加熱され、次いで気化チャンバ内で隣接するインクの薄層を過熱し、爆発的な気化を発生させ、その結果、関連するオリフィスを通してインク滴を用紙上へ吐出させる。
【0005】
長年にわたり繰り返されてきた問題は、オリフィスを通して印刷媒体、例えば用紙上へと液滴が吐出される際の、液滴の弾道(軌道)に関連している。例えば、インク滴がオリフィスプレートのオリフィスから吐出される時は常に、インク滴の尻尾の部分、即ち「テール」がその液滴と一緒に動く。このインク滴テールの少量は分離し、プレートの外側表面上に別のインク滴として着弾しうる。オリフィスの縁部付近でオリフィスプレート外側表面上に集積されるこうした残留インクはその後、吐出されたインク滴と接触し、それによってそれらの液滴の弾道を変えることがあるが、これは印刷画像の品質を低下させる。
【0006】
また、相当量の残留インクがオリフィスプレート外側表面上に堆積した場合には、オリフィス内のインクと外側表面上のインクとの間に連続的な液体経路が形成されることがあり、それによってオリフィス外部へのインクの漏れが助長される。さらに、相当量のインクがオリフィスプレート上に堆積されると、この大きなインク溜まりは、液滴が吐出されなくなる程度にまで、即ち一滴もその大きいインク溜まりを通過できなくなる程度にまで、液滴の吐出を妨げる恐れがある。その上、プレートの外側表面上の残留インクは、紙の繊維のような微小な粒子を捕捉しがちであり、それによって後に吐出される液滴の弾道を妨害することになる。
【0007】
長年にわたり、インクジェットプリンタなどのプリントヘッドの製造のために開発されてきたインクジェット技術は、隣接する印刷媒体上へのインク滴パターンやインク弾道を制御するための、出力用インク吐出オリフィスプレート又はノズルプレートの形成を特に対象とした、細分化されたカテゴリーや細分化された技術を含むようになってきている。当業者には周知のように、こうしたオリフィスプレート技術は、シリコンオリフィスプレート、ガラスオリフィスプレート、プラスチックオリフィスプレート、及び金属オリフィスプレートを、これら4種類のオリフィスプレートのカテゴリーの各々について、多くの異なる種類の材料から製造するための技術を含んでいる。加えて、金属(例えばニッケル)オリフィスプレート技術は、薄膜プリントヘッド基板へ取り付ける小寸法の精密構造オリフィスプレートを形成するためのマンドレルの製造を含めて、電鋳及び電気メッキ工程を包含する。
【0008】
液滴弾道に対処する解決策は、種々のものが特許されている。これらの解決策の多くは、プリンタの機械的な面について種々変更を行うことからなり、かかる解決策の例には、(1)抵抗からオリフィスをオフセットさせるもの(例えば「抵抗からオフセットしたオリフィスを有するサーマルインクジェットヘッド構造」と題する1988年12月27日発行のHoward H.Taub等の米国特許第4794411号参照)、(2)液滴の飛翔特性を測定する液滴検出器を設け、液滴吐出のタイミングと画像データを補正してより高品質の画像を得るもの(例えば「マルチペンインクジェット印刷システムにおけるペン間オフセット測定及び補償」と題する1992年4月28日発行のKeith E.Cobbs等の米国特許第5109239号参照)、(3)オリフィスプレートを排除するもの(例えば「インクジェットプリンタ用オリフィスレスプリントヘッド」と題する1994年12月6日発行のRobert J.Miller等の米国特許第5371527号参照)、(4)ノズルを僅かに内向きの角度で形成することにより、ノズルのスキューをもたらすノズル部材の曲げを防ぐことができるように、プリントヘッドの組み立てを再構築するもの(例えば「インク着弾エラーを排除するよう形成されたインクジェットプリントヘッド」と題する1995年11月14日発行のWinthrop D.Childersの米国特許第5467115号参照)、及び(5)ペンそのものの構造、即ちインクを吐出チャンバに導く通路及びランドを含む構造部分を変更するもの(「トレンチ及び後退したランドを備えたインクジェットプリントヘッドの製造方法」と題する1997年11月11日付けの、Yichuan Pan等の米国特許第5685074号)などがある。
【0009】
その他の解決策には、(1)オリフィスプレートの選択的な部分に湿潤表面特性及び非湿潤表面特性を付与するもの(例えば「インクジェットペン用オリフィスプレート」と題する1995年7月18日発行のSuraj L.Hindagolla等の米国特許第5434606号参照)、及び(2)自己集合単層によりオリフィスプレートの内側及び外側表面を処理するもの(例えば「自己集合単層によるオリフィスプレートの処理」と題する1997年1月28日発行のDavid J.Halko等の米国特許第5598193号参照)などがある。
【0010】
インクそれ自体も、液滴弾道の問題を克服することを意図して再調合されてきた。例えば(1)「印刷品質改善のための水性インク添加剤」と題する1992年3月24日発行のJeffrey P.Bakerの米国特許第5098476号、及び(2)「普通紙インク」と題する1992年5月12日発行のLeonard Slevin等の米国特許第5112399号などを参照のこと。
【0011】
上記の米国特許第5098476号では、インクの表面張力を低減させ用紙上での表面湿潤性を増大させるために、低分子量のアルコールや界面活性剤/消泡剤が添加される。米国特許第5112399号では、インクの粘度を高め、それによって噴霧を減じ、液滴の指向性を改良するために、アルギン酸塩のような粘度変性剤が用いられる。
【0012】
表面張力の制御を伴うインクジェットインクの他の改質も、種々の理由で試みられてきている。例えば「ドット広がりの小さなブラックインクとドット広がりの大きなカラーインクを含有するペンを備えたプリンタ」と題する1999年3月9日発行のJohn L.Stoffel等の米国特許第5880758号は、ドット広がりの比較的大きなインク(カラーインク)に25から40dyne/cmの範囲の表面張力と1.5から10cpの範囲の粘度を、ドット広がりの比較的小さなインク(ブラックインク)に45から65dyne/cmの範囲の表面張力とカラーインクと同じ範囲の粘度を用いることを開示している。
【0013】
インクの表面張力と、印刷媒体又はペン内部の表面のような固体表面に対するインクの接触角を組み合わせて調節することもまた考えられている。例えば「インク特性の調節のための共界面活性剤の使用」と題する1997年5月6日発行のNorman E.Pawlowski等の米国特許第5626655号を参照のこと。
【0014】
また、インクジェットプリンタに使用されているような液滴の噴霧に使用されるノズル向けの、新規なイオン性表面処理を開示している、何れも「液体ノズルにおける湿潤防止」と題する1985年11月26日及び1986年4月22日発行のYoung S.Youの米国特許第4555062号及び第4583690号も参照のこと。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
殆どの場合において、従来の技術は基本的に、印刷媒体上の印刷におけるヒゲ、ボケといった印刷品質の問題に対処するために、インクの表面張力を低下させることを指向しているようである。
【0016】
インクジェットプリントヘッドにおける最近の進歩は、液滴の体積をより小さくして印刷する方向に動いてきており、これに伴ってプリントヘッドのオリフィスの直径も縮小される。その結果として、吐出されたインク滴の弾道を適切にすることはますます重要になっており、所要の弾道を達成するために、インクはその処方、調合を通じて注意深く調整されねばならない。上記で見た米国特許は、それらの所期の目的には確かに適しているが、縮小された液滴体積及びそれが液滴弾道に及ぼす影響という問題は扱われていない。
【0017】
従って、プリントヘッドを離れる際のインクの指向性を改良する必要性が残存している。特に、印刷品質の改良を伴う、テール分離が減少し、液滴弾道が改良されたインクに対する必要性が存在している。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、印刷媒体上に印刷を行うためのインクジェットインクが提供される。インクジェットインクは、最小限のテール分離と改良された液滴弾道を示し、それによって改良された印刷品質をもたらす。最小限のテール分離と改良された液滴弾道は、インクジェットインクに少なくとも35dyne/cmの表面張力を付与し、オリフィスとの接触角を35から65度の範囲とするのに十分な量で少なくとも1つの表面活性添加剤を含むように、インクを調合することによって達成される。
【0019】
また本発明によれば、インクジェットのテール分離を減少させ液滴弾道を改良するための方法も提供される。、この方法では、少なくとも1つの表面活性添加剤がインクに添加される。
【0020】
【発明の実施の形態】
さて、本発明者らが現在、本発明を実施するためのベストモードと考えている、本発明の特定の実施態様を詳細に参照する。代替実施態様についても、それが適用できる場合について簡単に記述する。
【0021】
本明細書における全ての濃度は、別途記載しない限り重量パーセントで表される。全ての成分の純度は、インクジェットインクとして通常の商業的実施に用いられる純度である。
代表的なサーマルインクジェットカートリッジ
図1を参照すると、代表的なサーマルインクジェットカートリッジ10が示されている。このカートリッジは、Kowalskiの米国特許第6090749号、Keefe等の米国特許第5278584号、及びヒューレット・パッカードジャーナルVol.39,No.4(1988年8月)に図示され記載された一般的なタイプのものである。これらの文献の内容は、ここでの番号の参照によって、本明細書に取り入れる。カートリッジ10は概略的に示されているが、この製品を含むより詳細な情報は米国特許第5278584号に提供されている。図1に示すように、カートリッジ10は先ずハウジング12を含み、これは好ましくはプラスチック、金属、又は両方の組み合わせから作られる。ハウジング12はさらに、上部壁16と、底部壁18と、第一側壁20と、第二側壁22とを含む。図1の実施態様では、上部壁16と底部壁18は実質的に互いに平行である。同様に、第一側壁20と第二側壁22も実質的に互いに平行である。
【0022】
同様にしてハウジング12は、前部壁24と後部壁26を含む。前部壁24、上部壁16、底部壁18、第一側壁20、第二側壁22、及び後部壁26に囲まれているのは、ハウジング12内部の内部チャンバ又は区画30であり(図1では点線で示す)、これは後述するようにインクをその内部に保持するよう設計されている。前部壁24はさらに、外部に向けて配置され、外側に張り出したプリントヘッド支持構造34を含み、これは内部に実質的に長方形の中央キャビティ50を含んでいる。中央キャビティ50は図1に示された底面壁52を含み、これはインク出口ポート54を備える。インク出口ポート54は、全体がハウジング12に通じ、結果として、ハウジング12内の区画30と連絡して、インク材料が区画30からインク出口54ポートを通して外部へ流れることができるようにしている。
【0023】
中央キャビティ50の内部にはまた、その機能を後述するところの、上方に延びる長方形の取付フレーム56が配置されている。図1において概略的に示されているように、取付フレーム56は、プリントヘッド支持構造34の前面60と実質的に均等(面一)である。取付フレーム56は特に、二重の細長い側壁62、64を含んでおり、これも同様に以下で詳しく後述する。
【0024】
図1を続けて参照すると、インクカートリッジユニット10のハウジング12に固定される(例えば、外側に張り出しているプリントヘッド支持構造34に取り付けられる)のは、図1において参照番号80で全体を示したプリントヘッドである。本発明の目的に関連し、また従来の語法に従えば、プリントヘッド80は実際には、一体的に固定された2つの主たる構成部品からなる(その間に配置されたある種の副次的構成部品と共に)。これらの構成部品及びプリントヘッド80に関連した付帯情報は、やはり先のKeefe等の米国特許第5278584号に記載されており、インクカートリッジ10はかなり詳細に論じられている。プリントヘッド80を作るのに用いられる最初の主たる構成部品は、好ましくはシリコン製のプレート状支持部材、即ちダイ82である。この支持部材82の上面84には、在来の薄膜製造技術を用いて、複数の個々に付勢可能な薄膜抵抗86が固定されている。この薄膜抵抗は「インク吐出器」として機能し、好ましくは抵抗製造技術で既知のタンタル−アルミニウム組成物から作られる。明確化のため、図1の概略図には、少数の抵抗86だけを拡大形式で示している。また支持部材82の上面84には、抵抗86と電気的に連絡する複数の金属導線90が、在来のフォトリソグラフィ技術を使って設けられている。導線90はまた、上面84上の支持部材82の端部94、95に配置された多数の金属パッド状のコンタクト領域92とも連絡している。組み合わせて、抵抗アセンブリ96としてここに集合的に示されているこれら全ての構成部品の機能は、さらに後述する。抵抗アセンブリ96は、多くの異なる材料とデザイン形状を用いて構成することができ、本発明はこの点に関しては、特定の要素、材料、並びに成分のいずれの制限を受けるものでもない。しかしながら、Keefe等の米国特許第5278584号に記載の好ましい、代表的な、非限定の実施態様では、抵抗アセンブリ96は長さが約0.5インチであり、300個の抵抗86を含み、従って1インチ当り600ドット(DPI)の分解能を可能にする。抵抗86を表面に有する支持部材82は、好ましくは、取付フレーム56の側壁62、64間の距離「D1」より狭い幅「W1」(図1)を有する。結果としてインク流路100、102(図2に概略的に示した)が支持部材82の両側に形成され、中央キャビティ50のインク出口ポート54から流れ出るインクは、最終的に抵抗86と接触することができる。留意すべきは、支持部材82は、関心事となるインクカートリッジユニット10の形式に応じて、多数の他の構成部品(図示せず)を有していてもよいということである。例えば支持部材82は、抵抗86の動作を精密に制御するために複数のロジックトランジスタを含むことができ、また米国特許第5278584号で議論されたような従来形状の「デマルチプレクサ」を含んでいてもよい。このデマルチプレクサは、入力される多重化信号を分離し、その後これらの信号を種々の薄膜抵抗86に分配するのに用いられる。こうした目的でのデマルチプレクサの使用により、支持部材82上に形成される回路(例えばコンタクト領域92及び導線90)の複雑さ及び量を軽減することが可能になる。支持部材82の他の特徴(例えば抵抗アセンブリ96)を以下に説明する。
【0025】
支持部材82の上面84には、(図1の従来デザインにおけるバリア層及び接着層などの多数の介在材料層と共に)プリントヘッド80の第2の主たる構成成分が固定される。具体的には、オリフィスプレート104が図1に示すように設けられ、これは本発明の基体などの指定された印刷媒体材料へ、選択されたインク組成物を分配するのに用いられる。従来のオリフィスプレートの設計では、図1のカートリッジ10にも使用できる、不活性金属組成物(例えば金メッキしたニッケル)から作製された剛性のプレート構造が含まれた。しかしながら、最近のサーマルインクジェット技術の発達により、オリフィスプレート104を構成するのに非金属の有機高分子膜の利用が可能となった。図1に示したように、このタイプのオリフィスプレート104は、代表的な実施態様において約1.0から2.0ミル(0.00254から0.00508cm)の均一な厚みを有する選択された非金属有機高分子から製造された、可撓性の膜状部材106からなる。本発明の目的に関して、用語「非金属」は、いかなる元素状金属、金属合金、又は金属アマルガム(例えば金属混合物)をも含まない組成物を指すものとする。同様に、「有機高分子」という用語は、繰り返し単位を有する長鎖の炭素含有構造を指すものとする。多数の各種高分子組成物をこの目的に採用してよく、本発明は特定の構成材料のいずれにも制限されない。例えばオリフィスプレート104は、次の組成物から作製できる。ポリテトラフルオロエチレン(例えば、Teflon(登録商標))、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、又はそれらの混合物。同様に、オリフィスプレート104を構成するのに適している代表的な市販の有機高分子(例えばポリイミドベースの)組成物は、米国デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から商標「KAPTON」の下に販売されている製品である。KAPTONは芳香族ポリイミドであり、これは無水ピロメリト酸と4,4−ジアミノジフェニルエーテルとの間の重縮合反応の結果物である。図1の概略図に示すように、可撓性のオリフィスプレート104は、完成されたインクカートリッジ10において、外方に張り出すプリントヘッド支持構造34を「包み込む」よう設計される。
【0026】
オリフィスプレート104を作るのに使用される膜状部材106はさらに、頂上面110と底面112(図1及び図2)を含む。オリフィスプレート104の底面112上には、既知の金属蒸着及びフォトリソグラフィ技術を使って底面112に適用された複数の金属(例えば銅)の回路トレース114が形成され、それを図1で点線で示している。オリフィスプレート104の底面112には、多くの異なる回路トレースのパターンを採用することができ、それぞれの特定パターンは、関心事となるインクカートリッジユニット10と印刷システムの特有の方式に依存する。またオリフィスプレート104の頂上面110上の位置116には、複数の金属(例えば、金メッキした銅)のコンタクトパッド120が形成される。コンタクトパッド120は、オリフィスプレート104を通る小さな開口即ち「バイア」(図示せず)を用いて、下側の、オリフィスプレート104の底面112上の回路トレース114と連絡する。印刷ユニットにおいてインクカートリッジ10を用いる際、コンタクトパッド120は対応するプリンタ電極と接触して、プリンタユニットからの電気制御信号をオリフィスプレート104上のコンタクトパッド120と回路トレース114に送信し、最終的には抵抗アセンブリ96へと送る。抵抗アセンブリ96とオリフィスプレート104の間の電気的な連絡について次に説明する。
【0027】
オリフィスプレート104を作るのに使用される膜状部材106の中央部分122の内部には、オリフィスプレート104を全面的に貫通する複数の開口、即ちオリフィス124が配置される。これらのオリフィス124を図1では拡大様式で示す。代表的な実施態様では、各オリフィス124は約0.01から0.05mmの直径を有する。完成されたプリントヘッド80では、上に挙げた全ての構成部品がアセンブルされ、オリフィス124の各々が支持部材82上の抵抗86(例えば「インク吐出器」)の少なくとも1つと整列するようにされる。結果として、任意の抵抗86の付勢によって、オリフィスプレート104を介して所望のオリフィス124からインクが吐出される。本発明は、オリフィスプレート104に関するどのような特定の寸法、形状、又は寸法特性のいずれにも制限されるものではなく、同様にオリフィス124の数又は配置のいずれにも限定されるものではない。図1に示した如き代表的な実施態様では、オリフィス124はオリフィスプレート104上で2つのアレイ126、130に配置される。オリフィス124についてこの配置が採用される場合、抵抗アセンブリ96(例えば支持部材82)上の抵抗86もまた、2つの対応するアレイ132、134に、抵抗86のアレイ132、134がオリフィス124のアレイ126、130と実質的に整合状態となるように配置される。
【0028】
最後に、図1に示すように、二つの長方形の窓150、152をオリフィス124のアレイ126、130の両端に設ける。窓150、152の内部には、ビーム型リード154が部分的に配置されており、これは代表的な実施態様では金メッキした銅であり、オリフィスプレート104の底面112上に置かれた回路トレース114の端子端部(例えばコンタクトパッド120とは反対の端部)を構成する。リード154は、抵抗アセンブリ96と関連する支持部材82の上面84上にあるコンタクト領域92へ、ハンダ付け、熱圧着結合等によって電気接続できるよう設計されている。支持部材82上のコンタクト領域92へのリード154の取り付けは、量産製造工程では、これらの構成部品への即時のアクセスを可能にする窓150、152によって容易化される。結果として、オリフィスプレート104上の回路線114を介して、コンタクトパッド120から抵抗アセンブリ96への電気連絡が確立される。その後、プリンタユニット(図示せず)からの電気信号は、支持部材82上の導線90を介して抵抗86へ進み、それによって抵抗86(「インク吐出器」)のオンデマンド加熱(付勢)が生じ得る。
【0029】
この時点において、プリントヘッド80を製造するのに使用される、上述した構造に関連する製造技術を簡単に説明しておくことが重要である。オリフィスプレート104に関して、そこを貫通する窓150、152とオリフィス124を含む開口の全ては通常、やはりKeefe等の米国特許第5278584号に記載された在来のレーザ融除技術を用いて形成される。特に、この目的のためには、標準のリソグラフィ技術を使って最初に作られたマスク構造を用いる。次いで在来設計のレーザシステムが選択されるが、好ましい実施態様ではこれは、F2、ArF、KrCl、KrF、又はXeClから選択される種類のエキシマレーザを含む。この特定のシステムを(約100ミリジュール/cm2を上回る好ましいパルスエネルギ及び約1マイクロ秒より短いパルス持続時間と共に)利用することで、高度の正確さ、精度、及び制御性をもって上に挙げた開口(例えばオリフィス124)を形成することができる。しかしながら本発明は、いかなる特定の製造方法のいずれにも制限されるものではなく、在来の紫外線融除プロセス(例えば約150から400nmの範囲の紫外光線を用いる)、標準のケミカルエッチング、スタンピング、反応性イオンエッチング、イオンビームミリング、及び別の既知のプロセスなどの他の方法も、オリフィスプレート104を完成させるのに適切なものである。
【0030】
上述のようにしてオリフィスプレート104を作製した後、抵抗アセンブリ96(例えば抵抗86をその上に有する支持部材82)をオリフィスプレート104に取り付けることにより、プリントヘッド80が完成する。好ましい実施態様では、プリントヘッド80の製造は、テープ自動化ボンディング(TAB)技術を使って達成される。プリントヘッド80を作るのにこの特定の工程を用いることについては、やはり米国特許第5278584号にかなり詳しく記載されている。同様に、TAB技術に関する背景情報も、Dionの米国特許第4944850号に全般的に与えられている。TABに基づく製造システムでは、既に融除され回路トレース114とコンタクトパッド120をもってパターン化された処理済みの膜状部材106(例えば完成されたオリフィスプレート104)は、細長い「テープ」上に、相互に接続された多数の「フレーム」の形で実際に存在し、フレームの各々は1つのオリフィスプレート104を表す。このテープ(図示せず)はその後、光学アライメントサブシステムを備えたTABボンディング装置に配置される(不純物及び他の残滓を除去するべく在来方法で洗浄した後)。こうした装置は当業者に周知であり、日本の(株)新川(モデル番号IL−20)等を含む多くの様々な供給元から市販されているが、それらに限定されるものではない。TABボンディング装置内で、抵抗アセンブリ96及びオリフィスプレート104と関連する支持部材82は適切に方向付けられて、(1)オリフィス124は支持部材82上の抵抗86と正確に整合し、(2)オリフィスプレート104上の回路トレース114と関連するビーム型リード154は支持部材82上のコンタクト領域92と整列し且つそれに対して位置決めされる。TABボンディング装置は次いで、「ギャングボンディング」法(又は他の類似手順)を使って、リード154をコンタクト領域92上に押し付ける(オリフィスプレート104に開いた窓150、152を通して達成される)。その後TABボンディング装置は、在来のボンディング工程に従って熱を加え、これらの部品を一緒に固定する。超音波ボンディング、導電エポキシボンディング、固形ペースト塗布工程等を含む、限定のない他の標準的なボンディング技術をこの目的に用いてもよいことに留意することも重要である。この点に関し本発明は、プリントヘッド80に関連した特定の処理技術のいずれに限定されるものでもない。
【0031】
図1の在来のカートリッジユニット10に関連して前述したように、通常はオリフィスプレート104と抵抗アセンブリ96の間に補助的な材料層が存在する。これらの補助層は、電気絶縁や、オリフィスプレート104の抵抗アセンブリ96への接着等の種々の機能を営む。図2を参照して説明すると、プリントヘッド80が断面図で、カートリッジユニット10のハウジング12に取り付けられた後の状態で示されている。図2に示されているように、支持部材82の上部表面84も同様に、中間バリア層156をその上に含んでいる。この層は導線90(図1)をカバーするが、抵抗86に関してはそれらの間及び周囲に、カバーすることなく配置されている。結果として、インク気化チャンバ160(図2)が各抵抗86の真上に形成される。各チャンバ160の内部では、インク材料が加熱され気化され、その後オリフィスプレート104のオリフィス124を介して吐出される。
【0032】
在来のフォトリソグラフィ技術又は当分野で周知の他の適切な方法を使って、バリア層156(在来の有機ポリマー、フォトレジスト材料、又はKeefe等の米国特許第5278584号に概説されたような類似の組成物から常法に従って作られる)は支持部材82に適用される。気化チャンバ160を明確に画定することに加えて、バリア層156はまた、化学的及び電気的な絶縁層としても機能する。図2に示すように、バリア層の頂上には接着層164が配置され、これは多数の異なる組成物からなることができる。その例としては、在来のフォトリソグラフィ又は他の既知方法を使って適用される、未硬化ポリイソプレンフォトレジストがある。バリア層156の頂上を何らかの方法で接着性にすることができれば(例えばそれが、加熱時に接着性をもった状態で柔軟になる材料から成るならば)、別の接着層164の使用は実際上必要でないかも知れない、ということに留意するのが重要である。しかし、図1及び図2に示した在来の構造及び材料によれば、別個の接着層164が採用される。
【0033】
上述のTABボンディング工程の最後に、TABボンディング装置の加熱/加圧ステーション内で、プリントヘッド80(前述の構成部品を含む)に熱と圧力をかける。この処理段階(プリントヘッド80の外部加熱を含むその他の方法を使っても達成できる)は、内部構成成分を一体に熱接着させる(例えば、図2の実施態様で示した接着層164を使って)。結果として、プリントヘッド組立工程は、この段階で完了される。唯一残っている処理は、TABストリップ上の個々の「フレーム」を切断し分離し(この状態で各「フレーム」は、個別の完成したプリントヘッド80を含む)、続いてインクカートリッジユニット10のハウジング12にプリントヘッド80を取り付ける操作である。ハウジング12に対するプリントヘッド80の取り付けは、多くの様々な方法で達成することができる。しかし、図2に概略的に示された好ましい実施態様では、接着材料の一部分166が、ハウジング12上の取り付けフレーム56及び/又はオリフィスプレート104の底面112上の選択された場所の何れかに適用されうる。その後、オリフィスプレート104をハウジング12(例えば、図1に示す外側に張り出したプリントヘッド支持構造体34に結合された取り付けフレーム56上)に接着固定させる。この目的に適した代表的な接着材料には、技術的に周知の、市販のエポキシ樹脂及びシアノアクリレート接着剤を含む。接着工程中、抵抗アセンブリ96と結合された支持部材82は、図2に示すようにして中央キャビティ50内に、支持部材82が取り付けフレーム56(上述し図1に示した)の中心に位置するように精密に配置する。このようにして、インク流路100、102(図2)が形成され、これらの通路はインク材料を中央キャビティ50内のインク出口54から気化チャンバ160中へ流して、オリフィスプレート104のオリフィス124を通してカートリッジユニット10から吐出させることを可能にする。
【0034】
カートリッジユニット10を使って選択された画像受容媒体172(例えば普通紙、光沢紙、マイラーのような透明プラスチックシート等)の上に印刷画像170を生成させるため、ハウジング12の内部区画30の内部に存在する選択されたインク組成物174(図1に概略的に示す)が、中央キャビティ50の底面壁52内のインク出口54の中へ供給され、そこを通過する。その後インク組成物174(後述のように本発明に従って特に調合されている)は、抵抗86をその上に保持している支持部材82(例えば抵抗アセンブリ96)に向けて矢印176、180に沿って、インク流路100、102内を通って流れる。次いでインク組成物174は、抵抗86の真上の気化チャンバ160に入る。チャンバ160内において、インク組成物174は抵抗86と接触する。抵抗86を付勢(例えば通電)するため、このカートリッジユニット10を備えるプリンタシステム(図示せず)は、電気信号をプリンタユニットからオリフィスプレート104の頂上面110にあるコンタクトパッド120へと進ませる。この電気信号は次に、オリフィスプレート104内のバイア(図示せず)を通過し、その後オリフィスプレート104の底面112にある回路トレース114に沿って、抵抗86を含んでいる抵抗アセンブリ96へと進む。このようにして、抵抗86を選択的に付勢し加熱して、オリフィスプレート104を介しオリフィス124を経由して、プリントヘッド80からのインクの気化及び吐出を生じさせることができる。インク組成物174はその後、極めて選択的にオンデマンド操作を基礎として、画像受容媒体172へ分配され、印刷画像170が生成される(図1)。
【0035】
上述の印刷工程は広範囲の各種サーマルインクジェットカートリッジの設計に適用することができる、ということを強調することは重要である。この点に関し、後述の本発明の概念は、特定のどの印刷システムにも限定されるものではない。しかし、本発明に関連して使用することのできる、上述したタイプのサーマルインクジェットカートリッジの代表的な非限定的な例は、商品番号「51645A」の下に本出願人であるヒューレット・パッカード社から販売されているインクジェットカートリッジを含むものである。本発明に適用可能なヒューレット・パッカード社製の他のインクカートリッジユニットには、以下の商品番号の下に市販されているものがある。51641A、51640C、51640A、51629A、及び51649A。同様に、サーマルインクジェット工程に関する一般的な詳細は、ヒューレット・パッカードジャーナル、Vol.39,No.4(1988年8月)、Buck等の米国特許第4500895号、及びBaker等の米国特許第4771295号において議論されている。
本発明
在来型のサーマルインクジェットの構成要素と印刷方法を記述してきたが、次に本発明並びにその有益な諸特長を提示する。以下の記述は、主としてサーマルインクジェット印刷を対象としているが、圧電式のような他のインクジェット印刷方法も本発明の教示によって利益を得るであろうことは、当業者には明らかであろう。
【0036】
インクの物理的特性の幾つかは、サーマルインクジェットペンからのインクの吐出及び指向性に対して大きな役割を果たす。最も興味ある特性は、表面張力、即ち空気とインク間での気−液相互作用、及び接触角で表される湿潤性、即ち気−固−液相互作用、測定である。後者の場合、固(固体)は、KAPTON(又はその他の芳香族ポリイミド)から作られるオリフィスプレート104であり、液(液体)はやはりインクである。
【0037】
現在進行中の研究の一環として、本発明者らは、吐出されたインク滴の指向性並びにテール分離の双方に対する、インクの表面張力の影響を検討してきた。モデル化と実際のインクの両者を用いた研究の結果、表面張力が高いほど、テール分離は小さいことが示された。テール分離は、主液滴と共に着弾せずに、例えばテキスト文字の輪郭に不均一性を生じさせるような副液滴(サテライト液滴)を生じ、印刷品質(PQ)の劣化の重大な因子となる。それ故、インクにとって有益な一つの特性は、より優れたエッジ尖鋭度を得るために、できるだけ高い表面張力を有することである。こうした理由から、ヒューレット・パッカード社のブラックインクは、カラーインクよりはるかに高い表面張力を有している。例えば上記の米国特許第5880758号を参照のこと。モデル化の結果は、25dynes/cmの表面張力を有するインク(低表面張力インク−図3b)の分離と、100dynes/cmの表面張力を有するインク(明らかに超高表面張力インク−図3a)の分離を比較して、図3a及び図3bに示されている。
【0038】
本発明者らの知見によれば、インクジェットインクの最小限のテール分離と改良された液滴弾道は、インクに対して少なくとも35dyne/cmの表面張力と約35から65度の範囲内の接触角(KAPTONからなるオリフィスプレート104に対して)を付与するのに十分な量で、少なくとも1つの表面活性添加剤をインクに添加することによって達成される。この表面活性添加剤は、アミンオキシド、ベタイン、スルホベタインのような界面活性剤、又は高分子界面活性剤であってよい。あるいは、又はそれと共に、表面活性添加剤は、GTP(基転移重合)ポリマーのようなオリゴマーであってもよい。次に、これらの二種類の表面活性添加剤について詳述する。
1.界面活性剤
上述した表面張力という側面に加えて、インクにとって重要なのは、カートリッジ10のオリフィスプレート104のノズル又はオリフィス124の気化チャンバ160及び胴部200の壁156とできるだけ相互作用を行うことである。なぜならこれは、より良い指向性(吐出されるインクの方向付け)をもたらすからである。例えば図4は、種々のアミンオキシド(AO)界面活性剤及びそれらの混合物が指向性に及ぼす影響を例証している。図4に用いたテスト番号とインク組成物に対する関係を下の表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
特に検討したアミンオキシド界面活性剤は、オクチルジメチルアミンオキシド(C8AO)、ドデシルジメチルアミンオキシド(C12AO)、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド(C16AO)、(1)C8/C12、(2)C8/C16、及び(3)C12/C16の混合物、及びコントロールであった。コントロールインクは同じ基本組成を有し、アミンオキシドが添加されたものであって、「インクジェットプリンタ用の改良された色品質の染料セット」と題する1998年6月30日発行のPatricia A.Wangの米国特許第5772742号に開示されている。また全てのインク組成物処方は、0.1重量%の防腐剤(抗菌剤)Proxel GXLを含有していた。
【0041】
望ましいのは、標的からの半径方向変位がより小さいことであるが、図4からはC12AOが最良の値を示すことが分かる。
【0042】
本発明の実施に用いられるアミンオキシドは、下式で与えられ、式中のnは8から16である。
【0043】
【化1】
【0044】
C8AO(オクチルジメチルアミンオキシド、n=8)界面活性剤は親水性が強くなり、従って気化チャンバ160のバリア層156やノズル壁200のような内側表面材料よりも、水と相互作用しやすい。C16AO(ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、n=16)は疎水性が強くなり、従ってほとんどそれ自体と相互作用してミセルその他の不溶性構造を形成し、そのためやはり、指向性に影響する働きがない。C12AO(ドデシルジメチルアミンオキシド、n=12)は、内側表面に対する湿潤性及び誘引性に関して良好なバランス状態にあるため、最適な液滴指向性を達成する上で非常に優れている。インクとKAPTON(オリフィスプレート104)の間、並びにインクとポリメチルアクリレート(バリア層156)の間の両方について、表面張力及び接触角の両方をアミンオキシド界面活性剤について測定した。その結果何れのカテゴリーについても、C12AOがこれらの界面活性剤のうちで最も低い値を有することが判定された。
【0045】
さらに、C12AOを界面活性剤として使用した場合の図5に示したように、液滴の運動量とKAPTONに対する接触角との間には、強い相関関係(表面張力の場合より強い相関関係)が存在する。
【0046】
KAPTONに対する接触角の影響は、1つのモデル化研究から理解することができる。この研究では、吐出サイクル中の剪断速度と速度ベクトルの最大値が、チャンバ160のバリア層156と胴部200の壁に沿って見出されることが示された。この剪断速度の分布プロフィルは図6において、ヒューレット・パッカード社のDesignJet 2500プリンタに採用されるペンに関して示されている。この図では、陰が明るいほど、剪断速度及び速度のプロフィルが大きい。これは当然であるが、その理由は、ノズルの照準が正確で、インクがオリフィスプレート104のノズル124の壁200(即ちKAPTON材料)とより多く相互作用すれば、インクは標的により正確に差し向けられ、良好となるからである。この効果は、図5においてC12AOに関して明確に見られる。この場合、C12AOの濃度は、左から右に行くにつれ上昇し、接触角はそれに対応して減少していく。
【0047】
本発明の実施において適切に用いられるアミンオキシドは、炭素数nが8より大きく16より小さいアミンオキシド化合物を含む。好ましくはnは12である。
【0048】
関連する化合物もまた、本発明の実施に有用である。こうした関連する化合物には下記のものがある。
(1)ベタイン
【0049】
【化2】
【0050】
(2)スルホベタイン
【0051】
【化3】
【0052】
上式において、R1はC8−C22のアルキル鎖であり、R2及びR3は個別にC1からC4のアルキル鎖である。
(3)高分子界面活性剤
【0053】
【化4】
【0054】
上記の界面活性剤(アミンオキシド、ベタイン、スルホベタイン、高分子界面活性剤)はインク中で、その臨界ミセル濃度(cmc)以下の濃度を有する。例えば、C12AOのcmcは0.5重量%であり、従ってインク中のC12AOの濃度は、0.5重量%以下でなければならない。(cmcはコロイド種の濃度であり、cmcにおいて単純な電解質又は非電解質の化学作用よりもコロイドの化学作用が重要になる。両性及び非イオン性界面活性剤に関しては、cmcはミセル、又は凝集した界面活性剤分子が媒体の化学的性質に影響し始める界面活性剤濃度である。)
上述したところの結果として、より良好な指向性を有するインクジェットインク、従ってより良好な印刷品質を有するインクが、インクとオリフィスプレート材料の間での、比較的高い表面張力と比較的低い接触角という、一見したところ両立しない性質を有することが看取される。本発明の実施に用いられる界面活性剤は、インクに対して必要な表面張力と接触角を備えさせ、改良された結果をもたらす。
2.オリゴマー
上述の界面活性剤(アミンオキシド、ベタイン、スルホベタイン、及び/又は高分子界面活性剤)の何れかを使用するのに加えて、上記の非両立性(高い表面張力と低い接触角)を克服する別の方法は、非常に長さの短いポリマー、より適切にはオリゴマーと呼ばれるものを使うことである。オリゴマーは、空気−インクの界面で凝集しにくく、従って高い表面張力を有する。しかも、オリゴマーは極性が高いため、恐らくはポリイミド、ウレタン、アクリル樹脂等の極性材料であるチャンバ壁と強く相互作用する。これらのオリゴマー類は、次のDeskJetプリンタ、即ちDeskJet 2000、DeskJet 600シリーズ、DeskJet 800、及びDeskJet 900シリーズに使用されるインク中のブラックインク顔料を安定化させるのに利用されるポリマーの、より鎖長の短い種類のものとして、デュポン社から入手することができる。オリゴマーが長過ぎると、最終的に表面張力に影響することになる。従ってオリゴマーの鎖長と物理的性質の間には、達成すべき均衡点がある。デュポン社から入手可能なGTP型のアクリル樹脂及びメタクリレート樹脂以外の他のオリゴマーも、本発明の実施に用いることができる。インクに添加される他の溶媒もまた、インクの表面張力が少なくとも35dyne/cmになるように、高い表面張力を持つものでなければならない。そうした望ましい高表面張力溶媒の例には、N−メチルホルムアミドと2−ピロリドンがある。
【0055】
GTP型オリゴマー(ここでGTPは基転移重合)の例は、次の一般式で与えられる。
【0056】
【化5】
【0057】
インク中のオリゴマーの濃度は、臨界ミセル濃度に関連して上述したものと同様に考察され、また同じ範囲に基づく。しかし実際には、オリゴマーの濃度は界面活性剤の濃度より幾分高くなりがちである。
【0058】
ここに開示した1つ以上の界面活性剤、或いはここに開示した1つ以上のオリゴマーをインクに添加して、これまで記載した表面張力と接触角を実現することができる。好ましくは、少なくとも1つの界面活性剤と少なくとも1つのオリゴマーの組み合わせが、本発明の実施において有用に用いられる。
【0059】
本発明のインクは、(1)約5から50重量%の、好ましくは約10から25重量%の水混和性有機共溶媒と、(2)約0.05から10重量%の、好ましくは約0.5から10重量%の着色剤(顔料又は染料)と、(3)約0.01から10重量%の、好ましくは約0.01から5重量%の、最も好ましくは約0.05から2重量%の本発明の表面活性添加剤(1つ以上の界面活性剤及び/又は1つ以上のオリゴマー)と、(4)水とを含有する。このインクに対しては他の成分及び添加剤を、以下に記載するように添加してもよい。
【0060】
共溶媒は、インクジェット印刷に通常採用される一つ又はより多くの水混和性有機溶媒を含む。本発明の実施に採用される共溶媒の種類には、限定するものではないが、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、グリコールエーテル、ポリ(グリコール)エーテル、カプロラクタム、ホルムアミド、アセトアミド、及び長鎖アルコールが含まれる。また本発明の実施に用いられる化合物の例には、限定するものではないが、炭素数30以下の第一脂肪族アルコール、炭素数30以下の第一芳香族アルコール、炭素数30以下の第二脂肪族アルコール、炭素数30以下の第二芳香族アルコール、炭素数30以下の1,2−アルコール、炭素数30以下の1,3−アルコール、炭素数30以下の1,ω−アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルの高級同族体、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテルの高級同族体、N−アルキルカプロラクタム、未置換カプロラクタム、置換ホルムアミド、未置換ホルムアミド、置換アセトアミド、及び未置換アセトアミドがある。本発明の実施に好ましく用いられる共溶媒の具体例は、限定するものではないが、N−メチルピロリドン、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、ジエチレングリコール、1,3−(2−メチル)−プロパンジオール、1,3,5−(2−メチル)−ペンタントリオール、スルホン酸テトラメチレン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、グリセロール、及び1,2−アルキルジオールが含まれる。
【0061】
以下の顔料は、本発明の実施において着色剤として有用である。しかしながら以下の列挙は、本発明を限定することを意図するものではない。BASF社から市販されている以下の顔料、すなわちPaliogen(登録商標)オレンジ、Heliogen(登録商標)ブルーL6901F、Heliogen(登録商標)ブルーNBD7010、Heliogen(登録商標)ブルーK7090、Heliogen(登録商標)ブルーL7101F、Paliogen(登録商標)ブルーL6470、Heliogen(登録商標)グリーンK8683、及びHeliogen(登録商標)グリーンL9140。キャボット社から市販されている以下の顔料、すなわちMonarch(登録商標)1400、Monarch(登録商標)1300、Monarch(登録商標)1100、Monarch(登録商標)1000、Monarch(登録商標)900、Monarch(登録商標)880、Monarch(登録商標)800、Monarch(登録商標)700、Cabojet200、Cabojet300、IJX55、及びIJX76。チバガイギー社から市販されている以下の顔料、すなわちChromophtal(登録商標)イエロー3G、Chromophtal(登録商標)イエローGR、Chromophtal(登録商標)イエロー8G、Igrazin(登録商標)イエロー5GT、Igralite(登録商標)Rubine 4BL、Monastral(登録商標)マゼンタ、Monastral(登録商標)スカーレット、Monastral(登録商標)バイオレットR、Monastral(登録商標)レッドB、及びMonastral(登録商標)バイオレットMaroon B。コロンビアン・ケミカルズ社から市販されている以下の顔料、すなわちRaven 7000、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、及びRaven 3500。デグッサ社から市販されている以下の顔料、すなわちカラーブラックFW200、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW1、カラーブラックFW18、カラーブラックS160、カラーブラックS170、スペシャルブラック6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4、Printex U、Printex V、Printex 140U、及びPrintex 140V。デュポン社から市販されている以下の顔料、すなわちTipure(登録商標)R−101。ホイバッハ社から市販されている以下の顔料、すなわちDalamar(登録商標)イエローYT−858−D及びHeucophthal(登録商標)Blue G XBT−583D。ヘキスト社から市販されている以下の顔料、すなわちPermanentイエローGR、PermanentイエローG、PermanentイエローDHG、PermanentイエローNCG−71、PermanentイエローGG、HansaイエローRA、Hansaブリリアントイエロー5GX−02、HansaイエローX、Novoperm(登録商標)イエローHR、Novoperm(登録商標)イエローFGL、Hansaブリリアントイエロー10GX、PermanentイエローG3R−01、Hostaperm(登録商標)イエローH4G、Hostaperm(登録商標)イエローH3G、Hostaperm(登録商標)オレンジGR、Hostaperm(登録商標)スカーレットGO、及びPermanent Rubine F6B。バイエル社から市販されている以下の顔料、すなわちQuindo(登録商標)マゼンタ、Indofast(登録商標)ブリリアントスカーレット、Quindo(登録商標)レッドR6700、Quindo(登録商標)レッドR6713、及びIndofast(登録商標)バイオレット。サン・ケミカル社から市販されている以下の顔料、すなわちL74−1357イエロー、L75−1331イエロー、L75−2577イエロー、YGD 9374イエロー、YHD 9123イエロー、YCD 9296イエロー、YFD 1100イエロー、QHD 6040マゼンタ、QFD 1180マゼンタ、RFD 3217マゼンタ、QFD 1146マゼンタ、RFD 9364マゼンタ、QFD 9334マゼンタ、BCD 6105シアン、BCD 9448シアン、BCD 6060シアン、BFD 5002シアン、BFD 1121シアン、及びLHD 9303ブラック。
【0062】
染料は、それが水溶性であろうと水不溶性であろうと、本発明の実施において着色剤として用いることができる。水溶性染料の例としては、スルホン酸塩及びカルボン酸塩染料、特に、インクジェット印刷に通常用いられるものがある。具体例には、スルホローダミンB(スルホン酸塩)、アシッドブルー113(スルホン酸塩)、アシッドブルー29(スルホン酸塩)、アシッドレッド4(スルホン酸塩)、ローズベンガル(カルボン酸塩)、アシッドイエロー17(スルホン酸塩)、アシッドイエロー29(スルホン酸塩)、アシッドイエロー42(スルホン酸塩)、アクリジンイエローG(スルホン酸塩)、ニトロブルー・塩化テトラゾリウムモノハイドレート又はNBT、ローダミン6G、ローダミン123、ローダミンB、ローダミンBイソシアナート、サフラニンO、アズールB、アズールBエオシナート、ベーシックブルー47、ベーシックブルー66、チオフラビンT(ベーシックイエロー1)、及びオーラミンO(ベーシックイエロー2)が含まれるが、これらは全てアルドリッチ・ケミカル社から入手可能である。水溶性(アニオン)染料のさらに別の具体例には、アルドリッチ・ケミカル社のダイレクトイエロー132及びダイレクトブルー199、並びにマゼンタ377(イルフォードAG,スイス)が含まれ、これは単独で又はアシッドレッド52(アルドリッチ・ケミカル社)と一緒に使用可能である。水不溶性染料の例には、アゾ染料、キサンテン染料、メチン染料、ポリメチン染料、及びアントラキノン染料が含まれる。水不溶性染料の具体例には、チバガイギー社から市販されているOrasolブルーGN、Orasolピンク、及びOrasolイエローがある。
【0063】
インクのバランス量は水であり、これは特定用途向けにインクの諸性質を最適化するのに用いられる、インクジェットインクに通常添加される他の添加剤を含む。例えば当業者には周知のように、殺生物剤をインク組成中に用いて、微生物の成長を禁止することができ、EDTAのような金属イオン封鎖剤を含有させて重金属不純物の有害な影響を排除することができる。さらにインクのpHを制御するために緩衝剤溶液を用いてもよい。粘度調節剤のような他の既知の添加剤及び他のアクリル系又は非アクリル系ポリマーを添加して、インク組成物の種々の性質を思うように改良することができる。
【0064】
本発明の実施に適切に採用されるインク組成物の例は、下記の表2に記載の成分を含む。
【0065】
【表2】
【0066】
表2のGTPオリゴマーにおいて、R6は先に示した通りであり、R7は−COO-K+、R8はベンジル(−CH2−C6H5)、nは14から20、及びmは20から30である。このインクは、36dyne/cmの表面張力と、45度の接触角(KAPTONとの)を有する。
【0067】
【発明の効果】
少なくとも35dyne/cmの表面張力と35から65度の間の(KAPTON製オリフィスプレートとの)接触角をインクに付与する表面活性添加剤を有するインクジェットインクは、インクジェット印刷において有用であると期待される。かかるインクを用いた場合、サーマルプリントヘッドを離れる際のインクの指向性が改良される。特に、インク滴吐出の際のテール分離が減少し、液滴弾道が改良され、印刷品質の改良がもたらされる。
【0068】
以下に本発明の例示的な実施態様を示す。
1 最小限のテール分離と改良された液滴弾道を示し、プリントヘッド(80)のオリフィスプレート(104)のオリフィス(124)を介して印刷媒体上に印刷を行い、改良された印刷品質をもたらすインクジェットインク(174)であって、前記最小限のテール分離と改良された液滴弾道が、インクジェットインク(174)に対し、少なくとも35dyne/cmの表面張力と前記オリフィスプレート(104)との35から65度の範囲内の値の接触角を付与するのに十分な量で添加される少なくとも1つの表面活性添加剤を含有することによって達成される、インクジェットインク(174)。
2 前記オリフィスプレート(104)が芳香族ポリイミドから構成される、上記1のインクジェットインク(174)。
3 前記少なくとも1つの表面活性添加剤が、界面活性剤及びオリゴマーから成る群より選択される、上記1のインクジェットインク(174)。
4 前記界面活性剤が、アミンオキシド、ベタイン、スルホベタイン、及び高分子界面活性剤から成る群より選択される、上記3のインクジェットインク(174)。
5 (a)前記アミンオキシドが次式を有し、
【0069】
【化6】
【0070】
式中、nは8より大きく16より小さい
(b)前記ベタインが次式を有し、
【0071】
【化7】
【0072】
式中、R1はC8からC22のアルキル鎖であり、R2とR3は独立にC1からC4のアルキル鎖である
(c)前記スルホベタインが次式を有し、
【0073】
【化8】
【0074】
式中、R1はC8からC22のアルキル鎖であり、R2とR3は独立にC1からC4のアルキル鎖である
(d)前記高分子界面活性剤が次式を有する、上記4のインクジェットインク(174)。
【0075】
【化9】
【0076】
6 前記オリゴマーは、基転移重合ポリマーである、上記3のインクジェットインク(174)。
7 前記基転移重合ポリマーが次式を有する、上記6のインクジェットインク(174)。
【0077】
【化10】
【0078】
8 前記表面活性添加剤がインク中にその臨界ミセル生成濃度以下の量で存在する、上記3のインクジェットインク(174)。
9 前記量が約0.01から10重量%である、上記8のインクジェットインク(174)。
10 インクジェットインク(174)におけるテール分離を低減させ液滴弾道を改良するための方法であって、インクジェットインク(174)に少なくとも35dyne/cmの表面張力を与えると共に、インクジェットインク(174)が吐出されるプリントヘッド(80)の複数のオリフィス(124)を含むオリフィスプレート(104)とインクジェットインク(174)の間の接触角が約35から65度となるのに十分な量でもって、インクジェットインク(174)に対して少なくとも1つの表面活性添加剤を添加することからなる方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に適した代表的なサーマルインクジェットカートリッジユニットの概略図である。
【図2】図1のサーマルインクジェットカートリッジユニットに関連するプリントヘッドの概略的な拡大断面図である。
【図3A】100dyne/cmの表面張力を有し、気化チャンバから吐出されるインクジェットインクを示す連続的な図である。
【図3B】インクが25dyne/cmの表面張力を有する場合の、図3Aと同様の図である。
【図4】標的からの半径方向の変位(マイクロメートル単位)と各種のアミンオキシド界面活性剤とを示す座標上で、指向性に及ぼす各種のアミンオキシド界面活性剤の影響をプロットした棒グラフである。
【図5】運動量(Kg/m)と接触角(度)とを示す座標上で、主液滴速度の関数としての接触角(芳香族ポリイミドである商品名KAPTONからなるオリフィスプレート上での表面湿潤)の相関関係を示すプロットである。
【図6】図2に示したような気化チャンバから吐出されつつあるインク滴の側部立面図。
【符号の説明】
10 カートリッジ
20 ハウジング
80 プリントヘッド
96 抵抗アセンブリ
104 オリフィスプレート
124 オリフィス
160 インク気化チャンバ
174 インクジェットインク
Claims (4)
- 最小限のテール分離と改良された液滴弾道を示し、プリントヘッド(80)の芳香族ポリイミドから成るオリフィスプレート(104)のオリフィス(124)を介して印刷媒体上に印刷を行い、改良された印刷品質をもたらすインクジェットインク(174)であって、
前記最小限のテール分離と改良された液滴弾道が、インクジェットインク(174)に対し、少なくとも35dyne/cmの表面張力と前記オリフィスプレート(104)との35から65度の範囲内の値の接触角を付与するのに十分な量で添加される、ドデシルアミンオキシド、又はドデシルアミンオキシドと次式
- 前記表面活性添加剤が、その臨界ミセル生成濃度以下の量でインク中に存在する、請求項1に記載のインクジェットインク(174)。
- 前記量が、0.01から10重量%である、請求項2に記載のインクジェットインク(174)。
- インクジェットインク(174)におけるテール分離を低減させ液滴弾道を改良するための方法であって、
インクジェットインク(174)に少なくとも35dyne/cmの表面張力を与えると共に、インクジェットインク(174)が吐出されるプリントヘッド(80)の複数のオリフィス(124)を有する芳香族ポリイミドからなるオリフィスプレート(104)とインクジェットインク(174)との間の接触角が35から65度となるのに十分な量にて、インクジェットインク(174)に対して、ドデシルアミンオキシド、又はドデシルアミンオキシドと次式
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