以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の生体加温装置の全体構成を示す図であり、図2は、図1に示される生体加温装置の上面図を示す。
生体加温装置1は、赤外線および/または遠赤外線である熱線を皮膚2の表面(生体の表面)に照射する照射機能を有する。また、生体加温装置1は、皮膚2から表面温度に応じて放射される赤外線(遠赤外線)を検出して非接触で皮膚2の温度を測定する温度測定機能を有する。本実施の形態の生体加温装置は、熱線の照射領域と、温度を測定するために赤外線を検出可能な検出領域とが皮膚2の表面で重なる場合に限って熱線を照射し、熱線の照射領域と検出領域とが皮膚2の表面で重ならない場合には、熱線の照射を自動的に休止するものである。以下、図1を参照しつつ、詳しく説明する。
生体加温装置1は、図1に示されるとおり、熱線を放射するハロゲンランプ100と、放射された熱線をスポット状に絞り込むための凸レンズ200と、皮膚までの距離を測定する距離センサ300と、皮膚2の温度を測定する非接触型の温度センサ400と、熱線の照射状態を制御する制御部500とを有する。本実施の形態では、各部は、プラスチック樹脂などで作られた筐体10に設けられている。筐体10の一部は、使用者が握るためのグリップ部12を形成している。また、筐体10の表面には、設定された目標温度および動作モードなどの各種の情報を表示するための表示パネル600、および使用者が目標温度を設定する際に使用される操作部700が設けられている。
ハロゲンランプ100は、供給された電力に応じて点灯し、熱線を放射する熱源である。なお、本実施の形態では、小型で熱量が大きいハロゲンランプを熱源として使用したが、熱源の種類は、この場合に限られない。熱源は、熱線を放射するものであればよく、本実施の形態と異なり、ハロゲンランプ以外の構成を採用することもできる。たとえば、ニッケルクロム合金線で構成されたヒータ、赤外線レーザ、または遠赤外線を放射するセラミックヒータを熱源として採用することができる。
凸レンズ200は、ハロゲンランプ100から放射された熱線をスポット状に絞り込むための光学素子(「第1光学素子」と称する)である。凸レンズ200の構造および材質は、適宜に選択することができる。たとえば、一般的なレンズ構造を用いた凸レンズのみならず、フレネルレンズ構造を用いた凸レンズを採用してもよい。また、材質は、ガラスであってもよく、熱線の透過性が高いポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂などの樹脂であってもよい。
距離センサ300は、生体加温装置1上の所定の基準点から皮膚2までの距離Dを測定するものである。より具体的には、距離センサ300は、凸レンズ200を経た熱線の光軸に沿って皮膚2の表面にいたる距離D(以下、単に「皮膚2までの距離D」と称する)を測定するものである。したがって、距離センサ300の軸線の方向と熱線の光軸の方向とが一致するように距離センサ300が設置される。
次に、温度センサ400を説明する。温度センサ400は、皮膚2の表面温度に応じて放射される赤外線を検知して、非接触で皮膚2の温度を測定するものである。温度センサ400の温度測定範囲は、たとえば、30℃から80℃程度であり、測定される温度の分解能は、たとえば、1℃程度であり、より好ましくは、0.1℃程度である。温度センサ400としては、ボロメータ型の赤外線センサ、およびサーモパイル型の赤外線センサなどの各種センサを用いることができる。
ここで、温度センサ400は、所定の指向性を有しているとともに、温度センサ400は所定の設置角度で取り付けられている。これらの点を図3を参照して説明する。
図3は、温度センサによる検出領域と凸レンズを経た熱線の照射領域との関係を示す図であり、図1に示される生体加温装置1の部分拡大図に相当する。
上述したとおり、凸レンズ200は、熱線を絞り込み、凸レンズ200を経た熱線が皮膚2に照射される。ここで、温度センサ400は、凸レンズ200を経た熱線の光軸に対して所定の設置角度を持つように、斜めに設置されている。言い換えれば、温度センサ400の光軸と、凸レンズ200を経た熱線の光軸とは、所定の位置で交叉する。
また、温度センサ400は、指向性を有しており、被測定物からの赤外線を検出可能な領域(以下、「検出領域」という)は、図3で点線で示されているとおり、比較的狭められている。たとえば、温度センサ400は、受光素子の周囲に凹面鏡などの集光部(不図示)を有しており、この集光部の形状によって、高い指向性が実現されている。指向性の程度は、少なくとも、皮膚2までの距離が後述する第1距離D1乃至第2距離D2に該当する場合において、温度センサ400の検出領域が熱線の照射領域と同程度の大きさであるか、または、熱線の照射領域よりも小さくなるように、設定されていることが望ましい。
このように、温度センサ400の指向性が高いことと、温度センサ400の光軸が熱線の光軸に対して斜めになるように設置角度θが定められていることから、皮膚2までの距離Dが所定の距離範囲に該当する場合に限って、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域が皮膚2上で重なることとなる。
具体的には、図3に示されるように、皮膚2までの距離Dが、第1距離D1≦D≦第2距離D2の条件を満たす場合に限って、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる状態となる。なお、本実施の形態において、「重なる状態」とは、温度センサ400の検出領域の全体が熱線の照射領域に包含される場合を意味するものとする。一方、皮膚2までの距離Dが、第1距離D1よりも短い場合、または、第2距離D2よりも長い場合には、皮膚2上で、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域との間にずれが生じ、両者は重ならない。たとえば、図3には、皮膚2までの距離DがD2より長いD3になった場合が示されている。この場合、熱線の軸線cを基準として、温度センサ400の設置側と反対側(図中の左側)へ温度センサ400の検出領域がずれており、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とは重ならない。
また、凸レンズ200によって熱線が焦点を結ぶ距離(以下、「焦点距離」という)をDfとすると、焦点距離DfがD1≦D≦D2の距離範囲に含まれないように、第1距離D1および第2距離D2が、設定されている。すなわち、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが重なるように設定された距離範囲(D1≦D≦D2)では、凸レンズ200を経た熱線が生体上で焦点を結ばない。
なお、第1距離D1および第2距離D2、すなわち、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが重なるように設定された距離範囲は、凸レンズ200の径、焦点距離、温度センサ400の設置角度、および温度センサ400の指向性などのパラメータによって定められる。
次に、図1に示される制御部500について説明する。制御部500は、距離センサ300によって検出された距離と、温度センサ400によって測定された温度とに基づいて、熱線の照射状態を制御するものである。制御部500は、凸レンズ200を経て照射される熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重ならない状態では、熱線の照射を休止するように制御する。具体的には、制御部500は、距離センサ300によって測定された距離Dが、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが重なるように設定された距離範囲(D1≦D≦D2)に該当しない場合には、熱線の照射を休止するように制御する。
一方、制御部500は、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる状態では、温度測定結果に応じて熱線の照射強度を調節する。たとえば、測定された温度が所定の温度範囲に該当しない場合は、熱線の照射を休止する。
以上のように、制御部500は、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる状態となった条件下で温度センサ400によって測定された温度に応じて熱線の照射状態を制御することとなる。以下に制御部500の具体的な構成例を説明する。
図4は、制御部500の構成の一例を示す図である。なお、図4には、説明の都合上、制御部500以外の構成(温度センサなど)も示されている。
制御部500は、距離センサ300によって検出された距離に基づく処理を行う第1制御機構と、温度センサ400によって測定された実測温度と設定された目標温度とに基づく処理を行う第2制御機構と、第1制御機構および第2制御機構による処理結果に基づいて最終的にハロゲンランプ100への電力供給を切り替えるスイッチ回路550とを有する。
第1制御部は、距離センサ300に接続されたウインドウコンパレータ502から構成されている。ウインドウコンパレータ502は、距離センサ300によって測定された距離D(実際は、距離Dに対応する電圧値)を第1距離D1および第2距離D2(実際には、これらの距離D1,D2に対応する電圧値)と比較して、比較結果に基づいて信号をスイッチ回路550に出力するものである。たとえば、ウインドウコンパレータ502は、距離センサ300によって測定された距離Dが、第1距離D1以上、かつ第2距離D2以下である場合、すなわちD1≦D≦D2の条件を満たす場合にのみ、スイッチ回路550に対して信号を出力する。
第2制御部は、CPU504、温度設定回路506、補正回路508、アンプ510、差動アンプ512、電流制御回路514、設定温度表示回路516、および実測温度表示回路518を有する。
CPU504および温度設定回路506は、熱線の照射によって加温される皮膚2の目標温度を設定するものである。なお、CPU504は、時間tによらず、一定の目標温度を設定することもでき、時間tの進行とともに変化するように目標温度を設定することもできる。たとえば、CPU504は、実際に「もぐさ」を用いた場合における各時間ごとの温度データをメモリ(不図示)に格納しておき、この温度データに基づいて各時点の目標温度を設定することができる。なお、「もぐさ」を用いた場合におけるデータを格納する際の処理は、従来の技術と同様であるので、詳しい説明を省略する。温度設定回路506から出力された目標温度値または最終的な目標温度値である設定温度は、設定温度表示回路516に入力され、設定温度表示回路516は、表示パネル600上に目標温度を表示させる。
一方、温度センサ400に接続された補正回路508と、補正回路508に接続されてゲインを調整するアンプ510は、温度センサ400からの出力を補正および調整して、実測温度値を算出するものである。算出された実測温度値は、実測温度表示回路518に入力され、実測温度表示回路518は、表示パネル600上に実測温度を表示させる。
差動アンプ512は、目標温度と実測温度とを比較して差分をとる増幅器である。差動アンプ512の出力は、電流制御回路514へ入力される。電流制御回路514は、入力された値に応じて、スイッチ回路550に対して信号を出力する。すなわち、差動アンプ512と電流制御回路514は、目標温度と実測温度とに基づいて、スイッチ回路550へ信号を出力するか否かを決定するものである。たとえば、実測温度T<目標温度T1の場合にのみスイッチ回路550へ信号が出力される。
スイッチ回路550は、第1処理部からの信号と、第2処理部からの信号とに基づいて、ハロゲンランプへの電力供給を切り替える。たとえば、スイッチ回路550は、第1処理部および第2処理部の双方から信号が入力されている場合に限って、ハロゲンランプへ電力を供給する状態に切り替える。
以上のように構成される生体加温装置1は、以下のように処理を行う。
図5は、本実施の形態の生体加温装置の処理内容を示すフローチャートである。
まず、初期設定がなされる(ステップS101)。初期設定では、温度が設定される。また、照射時間が設定されてもよい。なお、温度および照射時間を個別に設定する代わりに、「もぐさ」を用いた場合のように時間の進行とともに目標温度を変化させる温度パターンが設定されてもよい。温度および照射時間の設定、または温度パターンの設定は、ユーザが操作部700を用いて実行することができる。なお、既に設定が完了しており、その設定に変更がない場合には、ステップS101の処理は省略される。
次に、照射指示があるか否かが判断される(ステップS102)。たとえば、ユーザが操作部700に設けられたスイッチなどを押すことによって、照射指示がなされる。照射指示がなされていない場合には(ステップS102:NO)、熱線の照射は休止される(ステップS108)。なお、ステップS101で照射時間が設定された場合には、照射時間の経過後に、照射指示がなされている状態から照射指示がなされていない状態へと自動的に遷移する。
一方、照射指示がなされている場合では(ステップS102:YES)、距離センサ300によって順次に皮膚2までの距離Dが測定される(ステップS103)。そして、距離センサ300によって測定された距離Dが、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なるように設定された距離範囲(D1≦D≦D2)に該当するか否かが判断される(ステップS104)。
測定された距離Dが、上記の距離範囲(D1≦D≦D2)に該当しない場合には(ステップS104:NO)、即時に熱線の照射が休止される(ステップS108)。一方、測定された距離Dが、上記の距離範囲(D1≦D≦D2)に該当する場合には(ステップS104:YES)、ステップS105の処理に進み、温度センサ400によって温度Tを測定し(ステップS105)、温度Tの測定結果に応じて熱線の照射状態が制御される(ステップS106)。
具体的には、温度Tの測定結果に応じて熱線の照射強度が制御される。なお、熱線の照射強度の制御には、熱線を照射していた状態から熱線の照射を休止する状態(照射強度が0である状態)へ切り替える制御が含まれる。本実施の形態では、測定された温度Tが所定の温度範囲(T<T1)に該当するか否かが判断され(ステップS106)、温度Tが所定の温度範囲(T<T1)に該当しない場合には(ステップS106:NO)、熱線の照射が休止される(ステップS108)。一方、温度Tが所定の温度範囲(T<T1)に該当する場合には(ステップS106:YES)、熱線が照射される(ステップS107)。
熱線の照射が開始された後も、照射指示があるか否か(ステップS102)、距離センサによって測定された距離Dが、上記の距離範囲(D1≦D≦D2)に該当するか否か(ステップS103)、および測定された温度が上記の温度範囲(T<T1)に該当するか否か(ステップ106)が逐次、判断される。この結果、測定された距離Dが、上記の距離範囲(D1≦D≦D2)に該当し、かつ温度センサ400によって測定された温度Tが、上記の温度範囲(T<T1)に該当する場合にのみ、熱線を照射し、それ以外の場合には、たとえ、照射指示がある場合であっても、熱線の照射が自動的に休止される。なお、距離範囲(D1≦D≦D2)は、凸レンズ200を経た熱線が皮膚2上で焦点を結ばない範囲に設定されているため、熱線が皮膚2上で焦点を結ぶような配置となった場合には、即時に熱線が休止される。
以上のように、本実施の形態の生体加温装置1について説明したが、本実施の形態の生体温度装置1によれば、以下のような種々の効果が得られる。
(ア)凸レンズ200によって熱線をスポット状に絞り込んで皮膚2上に照射することができるにもかかわらず、生体を過度に加熱してしまうおそれがなく安全性の高い生体加温装置を提供することができる。
(イ)特に、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重ならない状態では熱線の照射を休止するように制御され、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる条件下で温度センサ400によって測定された温度に応じて熱線の照射状態を制御することができるので、実際の照射領域において十分な温度が得られているにもかかわらず、温度上昇が不十分であると誤って判断されるおそれがなくなる。
(ウ)生体加温装置に設けられた非接触型の温度センサ400により温度を検出するので、皮膚2上に個別に温度センサを配置する場合と異なり、熱線を温度センサが遮断してしまうこともなく、皮膚2上に配置した温度センサが脱落するおそれもなくなる。
(エ)距離センサ300を有しており、距離センサ300によって測定された距離が所定の距離範囲(D1≦D≦D2)に該当する場合にのみ、熱線を照射することができ、特に、距離範囲(D1≦D≦D2)は、熱線が皮膚2上で焦点を結ばない範囲に設定されているので、熱線が皮膚表面で焦点を結ぶことによって焦点部分で過度に温度上昇が起こることを未然に防止できる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、凸レンズを経た熱線が直接的に皮膚2に照射される場合を説明した。本実施の形態では、凸レンズを経た熱線が焦点を結ばない状態で、この熱線を平行化するためのコリメータレンズを設け、平行化された熱線を皮膚2に照射する生体加温装置について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の部材には、同じ部材番号を用いて説明する。
図6は、第2の実施の形態の生体加温装置の全体構成を示す図である。図6に示されるとおり、ハロゲンランプ100、凸レンズ200、距離センサ300、非接触型の温度センサ400、および制御部500に加えて、凸レンズを経た熱線が焦点を結ばない状態で熱線を平行化するためのコリメータレンズ800が設けられている。なお、コリメータレンズ800が設けられている点を除いて、他の部材の機能は、第1の実施の形態の場合と同様である。したがって、これらの他の部材についての説明は、省略する。
コリメータレンズ800は、凸レンズ200を経た熱線が焦点を結ばない状態で熱線を平行化するための光学素子(以下、「第2光学素子」と称する)である。コリメータレンズ800は、凸レンズ200に対して、照射対象物である皮膚2側に配置されている。特に、コリメータレンズ800は、凸レンズ200を経た熱線が焦点を結ばない状態で熱線を平行化することができる位置に配置される。コリメータレンズ800の材質は、レンズ200の材質と同様に、適宜に選択することができる。材質は、たとえば、ガラスであってもよく、熱線の透過性が高いポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂などの樹脂であっもよい。
図7は、温度センサによる検出領域と、凸レンズを経て更にコリメータレンズ800によって平行化された熱線の照射領域との関係を示す図であり、図6に示される生体加温装置1の部分拡大図に相当する。
上述したとおり、凸レンズ200は、熱線を「つぼ」や痛みのトリガーポイントのサイズに応じた所定のスポット径に絞り込み、コリメータレンズ800は、凸レンズ200を経た熱線を平行化する。そして、平行化された熱線が皮膚2上へ照射される。これにより、皮膚2上で熱線が焦点を結ばないことが保証され、皮膚障害の危険性がなくなる。
また、第1の実施の形態と同様に、距離センサ300および温度センサ400が設けられている。温度センサ400は、指向性が高く、しかも温度センサ400の光軸が熱線の光軸に対して斜めになるように設置角度θが定められている。したがって、皮膚2までの距離Dが所定の距離範囲(D1≦D≦D2)に該当する場合に限って、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域が皮膚2上で重なることとなる。
本実施の形態の生体加温装置1の処理内容は、第1の実施の形態において図5のフローチャートを用いて説明したものと同様である。したがって、詳しい説明を省略する。簡単に説明すれば、制御部500は、距離センサ300によって測定された距離Dが距離範囲(D1≦D≦D2)に該当するか否かを判断する。そして、距離Dが所定の距離範囲(D1≦D≦D2)に該当しない場合には、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域が皮膚2上で重ならず、正確な温度測定ができないと判断されるため、熱線の照射を休止する。一方、距離Dが所定の距離範囲(D1≦D≦D2)に該当する場合には、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域が皮膚2上で重なり、温度センサ400によって正確な温度が測定できると判断されるため、温度センサ400による温度測定結果に応じて熱線の照射状態が制御される。
ここで、第1の実施の形態では、距離範囲(D1≦D≦D2)は、熱線が皮膚2上で焦点を結ばない範囲に設定されていたが、このような制限はない。これは、本実施の形態では、熱線がコリメータレンズ800によって平行化されて、平行化された熱線が皮膚2上に照射される構成となっているため、凸レンズ200の焦点距離Dfによって、第1距離D1および第2距離D2の値を制限する必要がないからである。したがって、設計の自由度が高まる。
以上のとおり、本実施の形態の生体加温装置1によれば、第1の実施の形態で説明した効果に加えて、以下のような効果が得られる。
(オ)凸レンズ200を経た熱線が焦点を結ばない状態で当該熱線を平行化するためのコリメータレンズが設けられており、平行化された熱線が生体に照射されるため、熱線が皮膚表面で焦点を結ぶことがないように構成された生体加温装置を提供することができる。したがって、熱線が皮膚表面で焦点を結ぶことによって皮膚を過度に加熱してしまうおそれがなくなる。
(カ)照射される熱線は、平行光となるので、熱線の照射領域の大きさが距離Dに応じて、ほとんど変化しない。また、凸レンズ200の焦点距離によって、第1距離D1および第2距離D2の値が制限されることがない。これらの点から、設計の自由度を高めることができ、本発明を適用することが容易となる。
(キ)距離Dが変化しても、熱線の照射領域の大きさ、すなわちスポットサイズが、ほとんど変化しないため、距離Dが変化した場合であっても、「つぼ」または痛みのトリガーポイントのみを局所的に熱線を照射することができる。
(第3の実施の形態)
第1および第2の実施の形態では、温度センサ400の設置角度θが固定されている場合を説明した。本実施の形態では、皮膚2までの距離Dに応じて、温度センサ400の設置角度θを可変とする場合、言い換えれば、温度センサ受容面の向きで定義される検出角度を可変とする場合について説明する。なお、本実施の形態の生体加温装置の概略構成は、第2の実施の形態の場合と同様である。第2の実施の形態と同様の部材には、同じ部材番号を用いて説明する。
図8は、第3の実施の形態の生体加温装置の構成を示す図である。なお、本実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、ハロゲンランプ100、凸レンズ200、距離センサ300、非接触型の温度センサ400、およびコリメータレンズ800が設けられている。また、後述するように制御部500も設けられている。
そして、本実施の形態では、さらに、温度センサ400の設置角度を変えるための駆動機構410が設けられている。駆動機構410は、たとえば、小型電動機などのアクチュエータである。距離センサ300によって測定された距離Dに応じて制御部500が駆動機構410に指令を出し、指令を受けた駆動機構410は、温度センサ400の向きを変えて、検出角度を変化させる。
本実施の形態においては、距離センサ300によって測定された距離Dは、目標とする検出角度を決定するために使われる。たとえば、図8において、皮膚2までの距離DがD2である場合、検出角度がθ1であると、照射される熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重ならない状態となる。したがって、制御部500は、測定された距離D2に応じて、検出角度をθ2に切り替える。この結果、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる状態とする。そして、この状態で温度センサ400によって測定された温度Tに応じて、熱線の照射状態が制御される。
図9は、検出角度を切り替えるように制御する制御部500の構成の一例を示す図である。なお、図9には、説明の都合上、制御部500以外の構成(温度センサなど)も示されている。
CPU504、温度設定回路506、補正回路508、アンプ510、差動アンプ512、電流制御回路514、設定温度表示回路516、実測温度表示回路518、およびスイッチ回路514については、第1および第2の実施の形態の場合と同様であるので、詳しい説明を省略する。
本実施の形態では、検出角度制御回路520が設けられている。この検出角度制御回路520は、距離センサ300によって測定された距離Dを取得し、この距離Dに基づいて適切な検出角度を決定し、決定した検出角度となるように駆動機構410に信号指令を出力するものである。指令を受けた駆動機構410は、温度センサ400の向きを変えて、検出角度を変更する。
このように検出角度制御回路520と駆動機構410は、温度センサ400の検出角度を順次に切り替えることにより、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる状態を発生させる切替手段として機能する。特に、この切替手段は、皮膚2に照射される熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なるように、距離センサ300による距離測定結果に応じて自動的に検出角度を切り替える。
以上のように構成される生体加温装置1は、以下のように処理を行う。
図10は、本実施の形態の生体加温装置1の処理内容を示すフローチャートである。
ステップS201およびステップS202の処理は、第1の実施の形態における図5に示されるステップS101およびステップS101の処理と同様である。照射指示がなされている場合では(ステップS202:YES)、距離センサ300によって皮膚2までの距離Dが測定される(ステップS203)。
そして、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚上で重なるように、距離センサ300による距離測定結果に応じて検出角度が切り替えられる(ステップS204)。たとえば、距離Dと検出角度θ(具体的には、検出角度に対応する、駆動機構410への指令値)との関係をテーブルに記憶しておき、このテーブルを参照することで、検出角度θを算出するようにしてもよい。この場合、算出された検出角度θに対応する指令が駆動機構410に伝えられ、指令を受けた駆動機構410が温度センサ400の向きを変えることによって、検出角度θが切り替わる。
次に、ステップS204において検出角度θが切り替えられることによって、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる状態となった条件下で、温度センサ400が温度Tを測定する(ステップS205)。したがって、生体加温装置1は、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる状態を積極的に作り出し、正確な温度測定が可能な状態を実現した上で、温度測定を実行する。
そして、温度Tの測定結果に応じて熱線の照射状態が制御される。具体的には、測定された温度Tが所定の温度範囲(T<T1)に該当するか否かが判断され(ステップS206)、温度Tが所定の温度範囲(T<T1)に該当しない場合には(ステップS206:NO)、熱線の照射が休止される(ステップS208)。一方、温度Tが所定の温度範囲(T<T1)に該当する場合には(ステップS206:YES)、熱線が照射される(ステップS207)。これらの点は、第1および第2の実施の形態の場合と同様である。
なお、皮膚までの距離Dが変化する場合、距離Dに応じて温度センサ400の検出角度が自動的に変化することは勿論である。
以上のように、本実施の形態の生体加温装置1について説明したが、本実施の形態の生体温度装置1によれば、コリメータレンズを採用したことによる効果に加えて、以下のような効果が得られる。
(ク)測定された距離Dに応じて温度センサ400の検出角度を切り替えて、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる状態を積極的に作り出し、この状態で温度センサ400によって測定された温度に応じて熱線の照射状態を制御することができるので、実際の照射領域において十分な温度が得られているにもかかわらず温度上昇が不十分であると誤って判断されるおそれがなくなる。特に、皮膚2までの距離が比較的大きく変化した場合であっても検出角度の切り替えによって、正確な温度に基づく制御が可能となる。したがって、本発明を適用可能な範囲が広がる。
(第4の実施の形態)
第3の実施の形態では、一つの温度センサ400の向きを物理的に変えることによって、検出角度を変更とする場合を説明した。しかしながら、本実施の形態では、異なる設置角度θで設置された複数の温度センサを用意し、複数の温度センサのうちから能動状態とする温度センサを順次に選択することによって、検出角度を変える場合について説明する。なお、本実施の形態の生体加温装置の概略構成は、第3の実施の形態の場合と同様である。したがって、第3の実施の形態と同様の部材には、同じ部材番号を用いて説明する。
図11は、第4の実施の形態の生体加温装置の構成を示す図である。本実施の形態では、第3の実施の形態の場合と同様に、ハロゲンランプ100、凸レンズ200、距離センサ300、およびコリメータレンズ800が設けられている。また、後述するように制御部500も設けられている。
そして、本実施の形態では、異なる設置角度で設定された複数の温度センサ400a〜400cが設けられている。本実施の形態では各温度センサ400a〜400cは、それぞれ固定されており、各温度センサ400a〜400cの向きは変化しない。照射される熱線の光軸と各温度センサ400a〜400cの光軸とのなす角度を設置角度とすれば、温度センサ400aの設置角度が一番大きくなり(直角に近くなり)、温度センサ400b、温度センサ400cの順で設置角度が小さくなる。
図11に示されるとおり、皮膚2までの距離がD1〜D2の距離範囲に該当するときは、熱線の照射範囲と温度センサ400aの検出領域とが皮膚2上で重なる。同様に、皮膚2までの距離がD2〜D3の距離範囲に該当するときは、熱線の照射範囲と温度センサ400bの検出領域とが皮膚2上で重なり、皮膚2までの距離がD3〜D4の距離範囲に該当するときは、熱線の照射範囲と温度センサ400cの検出領域とが皮膚2上で重なる。
制御部500は、距離センサ300によって測定された距離Dに応じて、複数の温度センサ400a〜400cのうちから能動状態とする温度センサを選択する。図11に示される例では、距離Dが比較的短距離にある場合(D1≦D<D2)には、能動状態とする温度センサとして温度センサ400aが選択される。距離Dが中距離にある場合(D2≦D<D3)には、温度センサ400bが選択され、距離Dが比較的遠距離にある場合(D3≦D≦D4)には、温度センサ400cが選択される。
図12は、複数の温度センサのうちから能動状態とする温度センサを選択するように制御する制御部500の構成の一例を示す図である。
CPU504、温度設定回路506、補正回路508a〜508c、アンプ510、差動アンプ512、電流制御回路514、設定温度表示回路516、および実測温度表示回路518については、補正回路508a〜508cが複数個にわたって設けられている点を除いて、第1および第2の実施の形態の場合と同様である。したがって、詳しい説明を省略する。
選択回路530は、距離センサ300によって測定された距離Dに応じて、複数の温度センサ400a〜400cのうちから能動状態とする温度センサを選択するための回路であり、たとえば、マルチプレクサである。選択回路530は、たとえば、距離センサ800によって測定された距離D(具体的には、距離Dに対応する電圧)に応じて、温度センサ400aに接続された補正回路508a、温度センサ400bに接続された補正回路508b、および温度センサ400cに接続された補正回路508cのうちから一つの回路のみをアンプ510側へ接続する。
このように選択回路530は、異なる設置角度で設置された複数の温度センサ400a〜400cのうちから能動状態とする温度センサを選択することによって、温度センサの検出角度を順次に切り替えて、熱線の照射領域と温度センサの検出領域とが皮膚2上で重なる状態を発生させる切替手段として機能する。
なお、機械的に温度センサの向きを変える代わりに、複数の温度センサのなかから能動状態とする温度センサを選択することによって検出角度を変更する点を除いて、本実施の形態の生体加温装置1の処理内容は、図10に示される第3の実施の形態の処理内容と同様であるので、詳しい説明を省略する。
本実施の形態の生体加温装置1によれば、第3の実施の形態の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
(ケ)検出角度を切り替えるためのアクチュエータなどを必要としないので、装置の小型化を実現できる。したがって、装置の小型化を図りつつ、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる状態を積極的に作り出し、この状態で温度センサ400によって測定された温度に応じて熱線の照射状態を制御することができる。
(第5の実施の形態)
第3および第4の実施の形態では、皮膚2までの距離Dに応じて温度センサ400の検出角度を切り替えることによって、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚3上で重なる状態を積極的に作りだす場合を説明した。本実施の形態では、距離Dに依存ぜず独立して所定の範囲で温度センサの検出角度を変化させて、皮膚2上で温度センサの検出領域を移動(スキャン)させる。検出領域を移動しつつ温度センサによって温度を測定し、温度センサによって最も高い温度が測定された状態が、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚3上で重なる状態であると判断し、この状態で測定された温度に基づいて温度制御がなされる。
本実施の形態の生体加温装置の全体構成は、距離センサ300が設けられていない点を除いて、第3の実施の形態の場合と同様である。第3の実施の形態と同様の部材には、同じ部材番号を用いて説明する。
本実施の形態では、ハロゲンランプ100、凸レンズ200、非接触型の温度センサ400、制御部500、コリメータレンズ800、および駆動機構410が設けられている。
ここで、制御部500は、駆動機構410に指令を送り、広い範囲にわたって温度センサ400の向きを変えて、検出角度を変化させる。この結果、皮膚2上で広い範囲にわたって検出領域が移動(スキャン)される。検出領域の移動する途中で、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが重なる状態が生じる。ここで、熱線の照射領域において皮膚2の温度がもっとも高くなるため、温度センサ400によって測定される温度が最も高い状態となったとき、移動の途中で熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが重なる状態であると判断される。
そして、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが重なる状態となった条件下で温度センサ400によって測定された温度に応じて熱線の照射状態が制御される。
図13は、検出角度を変化させて得られた最高温度によって照射状態を制御する制御部500の構成の一例を示す図である。
CPU504、温度設定回路506、補正回路508、アンプ510、差動アンプ512、電流制御回路514、設定温度表示回路516、および実測温度表示回路518については、第1〜第3の実施の形態の場合と同様である。
本実施の形態では、検出角度制御回路520が設けられている。この検出角度制御回路520は、駆動機構410に信号指令を出力する。指令を受けた駆動機構410は、温度センサ400の向きを変えて、検出角度を変化させる。なお、検出角度を変化させる範囲は、想定される距離範囲にある皮膚2上で、検出領域が、検出角度の変化に伴って熱線の照射領域を横断して移動するような範囲に設定されることが望ましい。
最高値保持回路540は、検出角度を変化させつつ測定された温度のうちで最も高い温度を特定し保持するものであり、たとえば、サンプルホールド回路である。アンプ510から出力された信号は、最高値保持回路540に入力され、最高値保持回路540によって、その時点までの最高値が保持されて、この最高値が実測温度値として使用される。
以上のように構成される生体加温装置1は、以下のように処理を行う。
図14は、本実施の形態の生体加温装置1の処理内容を示すフローチャートである。
ステップS301およびステップS302の処理は、第1の実施の形態における図5に示されるステップS101およびステップS101の処理と同様である。照射指示がなされている場合では(ステップS302:YES)、温度センサ400の検出角度を距離Dによらず所定範囲にわたって切り替えて、検出領域を皮膚2上で移動(スキャン)させつつ(ステップS303)、温度センサ400によって逐次に温度が測定される(ステップS304)。
そして、測定された温度のうちから最高温度Tが特定される(ステップS305)。ここで、最高温度Tは、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが重なる状態となる条件下で測定された温度と考えられる。したがって、この最高温度Tが実測温度値として保持される。
そして、温度Tの測定結果に応じて熱線の照射状態が制御される。具体的には、測定された温度Tが所定の温度範囲(T<T1)に該当するか否かが判断され(ステップS306)、温度Tが所定の温度範囲(T<T1)に該当しない場合には(ステップS306:NO)、熱線の照射が休止される(ステップS308)。一方、温度Tが所定の温度範囲(T<T1)に該当する場合には(ステップS306:YES)、熱線が照射される(ステップS207)。これらの点は、第1〜第4の実施の形態の場合と同様である。
そして、照射指示がなされている限り(ステップS302:YES)、検出角度の切り替え(ステップS303)、温度の測定(ステップS304)、および最高温度の特定(ステップS305)の各処理は、引き続き繰り返される。この結果、熱線の照射中に皮膚2の配置が変化した場合であっても、対応することができる。
なお、以上の説明では、第3の実施の形態と同様に、一つの温度センサ400の向きを物理的に変えて、検出角度を変化させる場合を例にとって説明したが、第4の実施の形態と同様に、異なる設置角度θで設置された複数の温度センサを用意し、複数の温度センサのうちから能動状態とする温度センサを順次に選択することによって、検出角度を変化させてもよい。
以上のように、本実施の形態の生体加温装置1について説明したが、本実施の形態の生体加温装置1によれば、以下のような効果が得られる。
(コ)距離センサが設けられていない場合であっても、独立して検出角度を変化させて最高温度を測定する構成によって、熱線の照射領域と温度センサ400の検出領域とが皮膚2上で重なる状態で測定された温度に応じて熱線の照射状態を制御することができる。
以上のように本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した実施の形態のみに限定されるものではなく、当業者によって種々の省略、追加、および変更が可能であることは明らかである。
たとえば、上記の実施の形態では、実測温度値Tと目標温度値T1とを比較して、実測温度値Tが目標温度値T1より小さい場合には(T<T1)、熱線を照射する一方、実測温度値Tが目標温度値T1以上である場合には(T1≦T)、熱線の照射を休止する場合を例にとって説明したが、本発明はこの場合に限られない。すなわち、本発明は、熱線の照射領域と温度センサの検出領域とが生体上で重なる状態となる条件下で測定された温度に応じて熱線の照射状態を制御するものであればよく、たとえば、実測温度値Tが目標温度値T1より小さい場合には、実測温度値と目標温度値T1との差分(偏差)に応じて照射強度を変えることができる。具体的には、実測温度値と目標温度値T1との差分が大きい場合には、照射強度を高くし、差分が小さい場合には、照射強度を低くすることもできる。すなわち、制御方法として、比例制御、比例積分制御、および比例積分微分制御などのいずれの制御方法を採用することもできる。
上記の実施の形態では、第1光学素子として凸レンズを採用する場合を説明したが、熱線をスポット状に絞り込むための光学素子であれば、第1光学素子として凹面鏡などを採用することもできる。また、第2光学素子としてコリメータレンズを採用する場合を説明したが、熱線を平行化できる素子であれば、すべての光学素子を第2光学素子として採用することができる。
なお、生体加温装置において、熱線を絞り込むための第1光学素子と、第1光学素子を経た熱線が焦点を結ばない状態で熱線を平行化して生体に照射する第2光学素子とを有する構成は、距離センサによる測距および温度センサによる温度測定などを行わないタイプの生体加温装置においても、熱線を「つぼ」の大きさに絞り込みつつ皮膚上で焦点を結ばないようにする上で有効である。