JP4336564B2 - リリーフ機構を備えた流量設定器 - Google Patents

Description

本発明は、酸素ガスなどの流体を所望の流量に切り換えて供給する流量設定器に関し、供給ガス圧が過剰に高くなるとその圧力を安全にリリーフできるものでありながら、装置全体を小形で軽量に維持でき、安価に実施できるリリーフ機構を備えた流量設定器に関する。

一般に在宅酸素療法にあっては、酸素用ガス容器に付設したバルブ装置のガス取出路に流量設定器を取付け、酸素ガスを所望の流量で供給するように構成してある。
従来、上記の流量設定器としては、例えば本発明者が先に提案した特許文献１に記載のものがある。

即ちこの流量設定器は、第１ハウジングと第２ハウジングとを互いに連結固定してハウジングを形成し、上記の第１ハウジング内に第１ガス流路を設けるとともに、第２ハウジング内に第２ガス流路を設けてある。第１ハウジングと第２ハウジングとの間には、複数のオリフィスを形成したオリフィス板を回転切替可能に配置してあり、上記の第１ガス流路と第２ガス流路とは上記のオリフィスの１つを介して互いに連通することができる。そして、上記のハウジングの外側には、上記のオリフィス板に連係する切替ハンドルが配置してあり、この切替ハンドルを操作することにより、上記のオリフィス板を回転させて、上記の両ガス流路間のオリフィスを切換えるように構成してある。

通常、上記のガス容器内の貯蔵ガス圧は供給ガス圧力に比べて高く、上記の流量設定器或いは上記のバルブ装置に減圧弁が設けてある。そしてこの減圧弁で減圧されたガスが、上記のオリフィスを通過することにより所定の流量に調整される。
しかしながら、万一上記の減圧弁に異常を生じて適正に減圧できなくなると、上記の供給ガス圧が過剰に高くなる惧れがあり、このため、上記の減圧弁の二次側には、異常に高くなった圧力ガスを逃がすリリーフ機構が設けられる。

従来、上記のリリーフ機構として、例えば図４に示すように、減圧弁(51)の作動室(52)にガス放出路(53)を連通させて形成し、このガス放出路(53)に設ける安全弁(54)がある。この図４に記載の安全弁(54)は、安全弁室(55)に挿入した安全部材(56)を安全バネ(57)で閉弁方向に弾圧してあり、ガス放出路(53)の圧力が異常に高くなると、このガス圧力により上記の安全部材(56)を安全バネ(57)の弾圧力に抗して開弁移動させ、過剰に高い圧力ガスをガス放出口(58)から放出するように構成してある。

しかしながら、この種の安全弁を前記の流量設定器に設けようとすると、部品点数が多くなり高価につくうえ、流量設定器が大形化し、重量が大きくなって、取り扱いが容易でなくなる問題がある。

特開２００２−２１３６４２号公報

本発明は上記の問題点を解消し、供給ガス圧が過剰に高くなるとその圧力を安全にリリーフできるものでありながら、装置全体を小形で軽量に維持でき、安価に実施できるリリーフ機構を備えた流量設定器を提供することを技術的課題とする。

本発明は上記の課題を解決するため、例えば本発明の実施の形態を示す図１から図３に基づいて説明すると、次のように構成したものである。
即ち、本発明はリリーフ機構を備えた流量設定器に関し、
ハウジング(17)は、互いに連結固定された第１ハウジング(18)と第２ハウジング(19)とを備え、上記の第１ハウジング(18)内に第１ガス流路(23)を設けるとともに、第２ハウジング(19)内に第２ガス流路(24)を設け、上記の第１ハウジング(18)と第２ハウジング(19)との間に、複数のオリフィス(27)を備えたオリフィス板(26)を配置し、上記の第１ガス流路(23)と第２ガス流路(24)とは上記のオリフィス(27)の１つを介して互いに連通可能に構成した流量設定器であって、上記のオリフィス(27)に臨む、第１ガス流路(23)の端部(29)と第２ガス流路(24)の端部(30)の少なくともいずれか一方の周囲に、弾性変形可能な供給路シール部材(31)を設け、上記のハウジング(17)の外面にガス放出口(32)を開口して、このガス放出口(32)と上記の供給路シール部材(31)の外周部とを連通するリリーフ路(33)を、上記のハウジング(17)内に形成したことを特徴とする。

上記の供給ガスが正常な圧力範囲にあると、上記の供給路シール部材により第１ガス流路と第２ガス流路が、この供給路シール部材の外周部よりも外側の空間に対し封止されている。そして切替ハンドルで任意のオリフィスを選定すると、このオリフィスの開口面積に応じた所定流量の供給ガスが両ガス流路を経て供給される。

万一、減圧弁の異常等で供給ガス圧力が異常に高くなると、供給路シール部材がそのガス圧力で弾性変形し、或いはオリフィス板が下流側等へ偏位して、この供給路シール部材による封止が破られ、第１ガス流路と第２ガス流路はシール部材の外周部よりも外側の空間と連通する。この結果、上記の供給ガスはリリーフ路を経てガス放出口から放出され、これにより供給ガス圧力が低下する。

ここで、上記の弾性変形可能な供給路シール部材とは、供給ガス圧が過剰に高くなると弾性変形して、封止できなくなるシール部材であればよく、特定の材料や形状、構造等に限定されず、例えば樹脂製シール部材とバネとを組み合わせたもの等であってもよいが、Ｏリングなどゴム製の環状シール部材が好適である。
また、上記のリリーフ路は、ハウジングの内部に形成してあればよく、第１ハウジングや第２ハウジングに透設してもよいが、互いに当接する上記の第１ハウジングと第２ハウジングとの間に設けると、いずれか一方または両方のハウジングの表面へ凹溝状に形成すればよく、簡単に加工できて好ましい。

上記のオリフィス板の外周縁に沿って、このオリフィス板と上記のハウジングとの間の空間を封止する環状の外側シール部を備える場合には、前記の供給路シール部材による封止が破れた際に、オリフィス板に沿って流出したガスが、上記の外側シール部に封止されてリリーフ路に集められる。この結果、過剰に高い圧力のガスを全て上記のガス放出口から安全に放出することができる。

上記のガス放出口にリリーフ圧で容易に移動するキャップを付設した場合には、大量にガスが放出されると、その放出ガス圧により上記のキャップが突出し或いは離脱する。従って、このキャップの突出状況や離脱状況を確認することで、減圧弁の異常などを容易に識別することができる。

本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。

供給ガスの圧力が過剰に高くなると、そのガス圧力により供給路シール部材が弾性変形し、供給ガスがリリーフ路を経てガス放出口から放出されるので、圧力が異常に高くなった供給ガスを安全にリリーフすることができる。

しかも、リリーフ機構としては、安全部材としてオリフィス板に接する供給路シール部材を利用しているため、リリーフ路やガス放出口を形成するだけでよく、安価に実施できるうえ、流量設定器全体を小形で軽量に維持でき、容易に取り扱うことができる。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図１及び図２は本発明の流量設定器の実施形態を示し、図１はガス容器用バルブ装置に連結固定した流量設定器の断面図、図２はオリフィス近傍の拡大断面図である。

図１に示すように、この流量設定器(１)は、ガス容器用バルブ装置(２)の上面に複数の取付ボルト(３)で固定してある。
上記のバルブ装置(２)は脚ネジ部(４)がガス容器(５)の首部(６)に連結固定され、バルブハウジング(７)にガス入口(８)と入口路(９)と閉止弁(10)と出口路(11)と連結出口(12)とが順に形成してある。また、上記のバルブハウジング(７)の外面にはガス充填口(13)が設けてある。そして、このガス充填口(13)と上記の閉止弁(10)の弁室との間に充填路(14)が形成してあり、この充填路(14)に、閉止弁(10)からガス充填口(13)へのガスの流出を防止する逆止弁(15)が設けてある。

上記の流量設定器(１)のハウジング(17)は、第１ハウジング(18)と第２ハウジング(19)とからなり、固定ボルト(20)で互いに固定してある。この第２ハウジング(19)の外面にはガス取出しノズル(21)が付設してあり、このガス取出しノズル(21)の先端にガス出口(22)が形成してある。
上記の第１ハウジング(18)内には第１ガス流路(23)が、第２ハウジング(19)内には第２ガス流路(24)が、それぞれ設けてある。この第１ガス流路(23)は前記のバルブ装置(２)の連結出口(12)に連通してあり、中間部には減圧弁(25)が設けてある。また、上記の第２ガス流路(24)は上記のガス出口(22)に連通してある。
なお、この実施形態では上記の減圧弁(25)を上記の第１ガス流路(23)に設けたが、本発明ではこの減圧弁(25)をバルブ装置(２)の出口路(11)に設けてもよい。

上記の第１ハウジング(18)と第２ハウジング(19)との間には、ドーナツ盤状のオリフィス板(26)が回転切替可能に配置してあり、このオリフィス板(26)に複数のオリフィス(27)を形成してある。上記の第１ガス流路(23)と第２ガス流路(24)との間には上記のオリフィス(27)の１つが位置することができ、このオリフィス(27)を介して両ガス通路(23・24)が互いに連通される。
上記のオリフィス板(26)には、流量設定器(１)のハウジング(17)に外嵌した筒状の切替ハンドル(28)が連係させてあり、この切替ハンドル(28)を操作することにより上記のオリフィス板(26)を回転移動させて、上記の両ガス流路(23・24)間に位置するオリフィス(27)を切換えるように構成してある。

上記の閉止弁(10)をバルブハンドル(16)で開き操作することにより、ガス容器(５)内の貯蔵ガスがガス入口(８)と入口路(９)と閉止弁(10)と出口路(11)と連結出口(12)とを順に経て、流量設定器(１)の第１ガス流路(23)に案内される。そして上記の減圧弁(25)の作動により所定のガス圧力に低下したのち、上記のオリフィス(27)を通過してこのオリフィス(27)の開口面積に応じた所定の流量に調整され、第２ガス通路(24)を経てガス出口(22)から取り出される。
なお、ガスの取出しが進んでガス容器(５)が空になると、図示していない充填装置が上記のガス充填口(13)に接続され、上記の閉止弁(10)を開くことにより、フレッシュガスが充填路(14)から閉止弁(10)と入口路(９)を順に経てガス容器(５)内に充填される。

図２に示すように、上記のオリフィス(27)に臨む第１ガス流路(23)の端部(29)と第２ガス流路(24)の端部(30)の各周囲には、それぞれハウジング(17)と上記のオリフィス板(26)との両者に接する、弾性変形可能な環状の供給路シール部材(31)が配設してある。
一方、図１に示すように、上記のハウジング(17)の外面には、前記の切替ハンドル(28)の端縁で囲まれた部位、即ち、図１におけるハウジング(17)の上面の、前記の固定ボルト(20)の取付部に、ガス放出口(32)を開口してある。そして、このガス放出口(32)と上記の供給路シール部材(31)の外周部とを連通するリリーフ路(33)が、上記のハウジング(17)内で、上記の第１ハウジング(18)と第２ハウジング(19)との間に形成してある。

即ち、図２に示すように、上記の第１ハウジング(18)には供給路シール部材(31)の外側の一箇所に、この供給路シール部材(31)による封止が確保される状態で第１凹溝(33ａ)が形成してある。そして上記の第２ハウジング(19)には、この第１凹溝(33ａ)と連通する状態に第２凹溝(33ｂ)が形成してあり、この両凹溝(33ａ・33ｂ)で上記のリリーフ路(33)が形成してある。
なお、上記のガス放出口(32)には、上記の固定ボルト(20)を覆うキャップ(34)が嵌合してあり、このキャップ(34)は、リリーフ路(33)から放出されるガス圧で、容易に移動して離脱するようにしてある。

ガスの取出中に、万一前記の減圧弁(25)の異常等で供給ガス圧力が異常に高くなると、上記の供給路シール部材(31)がそのガス圧力で弾性変形し、オリフィス板(26)が下流側等へ偏位して、この供給路シール部材(31)による封止が破られ、第１ガス流路(23)と第２ガス流路(24)は、供給路シール部材(31)の外周部よりも外側の空間と連通する。この結果、両ガス流路(23・24)内の供給ガスは、上記のリリーフ路(33)を経てガス放出口(32)から放出され、これにより両ガス流路(23・24)内の供給ガス圧力が低下する。

このとき、上記のガス放出口(32)に嵌合した前記のキャップ(34)は、この放出されるガス圧力により離脱するので、このキャップ(34)の離脱状況を確認することで、減圧弁の異常などが容易に識別される。

上記のオリフィス板(26)は、円滑に回転移動できるように前記のハウジング(17)との間に僅かな隙間が形成してある。そしてこのオリフィス板(26)の外周縁は上記のハウジング(17)に外嵌された前記の切替ハンドル(28)に連係してある。このため、上記の供給路シール部材(31)の変形により流出したガスは、このオリフィス板(26)の全面に沿って広がり、ハウジング(17)と切替ハンドル(28)との間隙から外部空間へ漏出しようとする。

そこで、図１と図２に示すように、上記のオリフィス板(26)とハウジング(17)との間には、このオリフィス板(26)の外周縁に沿って環状の外側シール部(35)を形成してあり、この外側シール部(35)により、上記のオリフィス板(26)とハウジング(17)との間の空間が封止してある。この結果、上記の供給路シール部材(31)による封止が破られた際に、オリフィス板(26)に沿って流出したガスは、上記の外側シール部(35)により前記の切替ハンドル(28)側に流出することがなく、全て上記のリリーフ路(33)に集まって上記のガス放出口(32)から放出される。
なお、この実施形態では、上記の外側シール部(35)を断面が「く」形の樹脂製シール部材で構成したが、この外側シール部(35)はオリフィス板(26)とハウジング(17)との間の空間を外部空間から封止できるものであればよく、Ｏリングを用いるなど、他の形状や材質の部材で構成してもよい。

上記の実施形態では、上流側の供給路シール部材と下流側の供給路シール部材を共に１本のゴム製のＯリングで構成した。しかし、本発明ではいずれか一方または両方の供給路シール部材を、複数のＯリングを重ねて構成してもよい。さらに、この供給路シール部材は、バネ等、他の弾性変形可能な部材を用いて構成してもよく、例えば図３に示す変形例では、一方(図３では下流側)の供給路シール部材(31)をＯリング(36)と、バネ受け(37)を介してこのＯリング(36)を弾圧する付勢バネ(38)とで構成してある。
供給ガスの圧力が過剰に高くなると、上記の付勢バネ(38)が圧縮変形されてオリフィス板(26)が下流側へ偏位する。この結果、上流側の供給路シール部材(31)による封止が破られて、高いガス圧力が安全にリリーフされる。

本発明の流量設定器の各部の形状や構造は、上記の実施形態や変形例のほか、例えば、次のような変形例が考えられる。
・上記のリリーフ路を、第１ハウジングと第２ハウジングの少なくとも一方に透設して形成する。
・切替ハンドルを円板状等に形成してハウジングの一側面に設ける。
・この場合、ガス放出口をハウジングの他の側面に設ける。
・ハウジングに挿入した軸部へオリフィス板の中央部分を係合し、この軸部を回転させることでオリフィス板を切替移動させる。
・ガス取出しノズルを第１ハウジング側またはバルブ装置側に設ける。
但し、本発明の流量設定器はこれらの構成に限定されるものではなく、また、これを付設するバルブ装置も上記の実施形態のものに限定されないことはいうまでもない。

本発明の流量設定器は、供給ガス圧力が過剰に高くなると安全にリリーフできるものでありながら、装置全体を小形で軽量に維持でき、安価に実施できることから、在宅酸素療法に用いる酸素用ガス容器のバルブ装置に付設される流量設定器に好適に用いられるほか、各種ガス機器の流量設定器に用いることができる。

本発明の実施形態を示す、ガス容器用バルブ装置に連結固定した流量設定器の断面図である。 本発明の実施形態の、オリフィス近傍の拡大断面図である。 本発明の変形例を示す、図２相当図である。 従来技術を示す、安全弁の断面図である。

符号の説明

１…流量設定器
17…流量設定器(１)のハウジング
18…第１ハウジング
19…第２ハウジング
23…第１ガス流路
24…第２ガス流路
26…オリフィス板
27…オリフィス
29…第１ガス流路(23)の端部
30…第２ガス流路(24)の端部
31…供給路シール部材
32…ガス放出口
33…リリーフ路
34…キャップ
35…外側シール部

Claims (4)

1. ハウジング(17)は、互いに連結固定された第１ハウジング(18)と第２ハウジング(19)とを備え、
   上記の第１ハウジング(18)内に第１ガス流路(23)を設けるとともに、第２ハウジング(19)内に第２ガス流路(24)を設け、
   上記の第１ハウジング(18)と第２ハウジング(19)との間に、複数のオリフィス(27)を備えたオリフィス板(26)を配置し、
   上記の第１ガス流路(23)と第２ガス流路(24)とは上記のオリフィス(27)の１つを介して互いに連通可能に構成した流量設定器であって、
   上記のオリフィス(27)に臨む、第１ガス流路(23)の端部(29)と第２ガス流路(24)の端部(30)の少なくともいずれか一方の周囲に、弾性変形可能な供給路シール部材(31)を設け、
   上記のハウジング(17)の外面にガス放出口(32)を開口して、このガス放出口(32)と上記の供給路シール部材(31)の外周部とを連通するリリーフ路(33)を、上記のハウジング(17)内に形成したことを特徴とする、リリーフ機構を備えた流量設定器。
2. 上記のリリーフ路(33)を、上記の第１ハウジング(18)と第２ハウジング(19)との間に形成した、請求項１に記載のリリーフ機構を備えた流量設定器。
3. 上記のオリフィス板(26)の外周縁に沿って、このオリフィス板(26)と上記のハウジング(17)との間の空間を封止する環状の外側シール部(35)を備える、請求項１または請求項２に記載のリリーフ機構を備えた流量設定器。
4. 上記のガス放出口(32)に、リリーフ圧で容易に移動するキャップ(34)を付設した、請求項１から３のいずれか１項に記載のリリーフ機構を備えた流量設定器。

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