JP4336504B2 - 遮水シートにおける接合部試験方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮水シートにおける接合部試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、廃棄物処分場、ため池、景観池、調整池、ルーフィングなどの遮水構造として遮水シートが使用されている。このような遮水シート自体には水漏などの欠陥はないが、接合部に欠陥が生ずる惧れがあるため、遮水シートの施工後に接合部の漏水の有無を検査している。具体的な検査方法としては、以下の各種方法がある。
すなわち、
(a)目視検査
(b)検査棒挿入検査
(c)ドライバ差込検査
(d)2列溶着による加圧検査
(e)真空箱による負圧検査
(f)テープ張りによる負圧検査
【発明が解決しようとする課題】
このうち、(a)〜(c)の検査方法は、継目部分を目視したり継目部分に器具を挿入することで、該当個所が剥離しているか否かを判別するものであるが、一回の作業により、接合部に沿って40〜50cm程度の長さしか検査することができず、すべての接合部を連続的に検査するためには多大な時間を要し、欠陥部を素早く検出することができないばかりか、微細欠陥を検出し難いという課題があった。
【0003】
また、(d)〜(f)の検査方法は、シート内部を加圧したり減圧し、空気の漏れ音、吸引音を聞き取ったり、漏洩箇所では塗布した石鹸水の泡立つことを利用して該当個所の漏れの有無を検査する方法であり、これらの方法では、微細欠陥を見出すことが可能であるものの、聴音方法では雑音の存在により確実に聞き取れなかったり、泡立ち箇所を目視確認する場合には検査箇所を箱で囲って吸引しなければならないため、広範囲を検査する場合に能率上の問題がある。
【0004】
また、以上の各種検査方法に変わるものとして、本出願人は、先に、超音波を利用する方法を開発した。この方法は、遮水シートの裏面側に向けて超音波を発生させ、遮水シートの表面側において超音波受波器を移動させる方法であり、隙間が生じている箇所では超音波が漏洩し、受波器により検出されることを利用している(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特願2001−398327
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した超音波を利用する方法にあっては、実際には超音波発振器の送波距離に応じて受波器側の受波感度が異なってしまうため、検査に対しては発振器に対する受波器の離間距離に応じて常に受波器側の感度調整を行うか、発信器側での音圧レベルを調整しなければならず、やはり検査範囲が広域に亘る場合には対応が難しいものとなっていた。また、遮水シート接合部の欠陥が大きい場合には、超音波が発生せず、受信器が感知しないこともあった。
【0007】
本発明は、以上の技術課題を解決するものであって、その目的は、遮水シートにおける溶着部の不良の有無を連続かつ迅速に検査できるようにした遮水シートにおける接合部試験方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明方法は、予め、遮水シートの接合部に、その長手方向に沿うように、その短手方向に間隔をおいて一対の導電体を埋設しておき、この状態で、前記接合部の前記各導電体の外側の部分を前記接合部の長手方向に沿ってそれぞれ溶着して一体に接合し、前記一対の導電体のうち、外側の一方の導電体にスパーク試験機の一方の極を接続し、該スパーク試験機の他方の極に接続された電極を前記接合部の表面に沿って移動させることにより、前記両溶着部のうち、外側の一方の溶着部の溶着不良を検知し、前記一対の導電体間にコードを接続し、該コードを介して前記一対の導電体間に電流を印加し、前記一対の導電体間の抵抗値を抵抗計により計測することにより、前記両溶着部のうち、内側の他方の溶着部の溶着不良を検知することを特徴とする。
従って、本発明方法では、両溶着部のうち、外側の一方の溶着部に対しては、非溶着部位、すなわち絶縁不良部位において、外側の一方の導電体とスパーク試験機の電極との間にスパークが発生することになるので、それを検出することにより外側の一方の溶着部の溶着不良部位を特定できる。
また、本発明方法では、抵抗計によって一対の導電体間の抵抗値を計測することにより、両溶着部のうち、内側の他方の溶着部に溶着不良部位が存在するか否かの判定も可能となる。
【0010】
さらに、本発明では、前記電極がブラシ状のものであることが好ましい。これにより、接合部表面に沿った移動をスムーズに行うことができ、検出も確実に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明方法の第一実施形態を示すものである。図1(a)において1は軟質合成樹脂、ゴム−アスファルトなどから構成された遮水シートであり、となり合う遮水シート1の接合部1aは所定の重ね合せしろで重ね合されているとともに、そのほぼ中央には接合部1aの長手方向に沿って銅線などからなる導電体としての導電線2を予め埋設しておく。なお導電線2の端部は遮水シート1の長手方向端部に露出させておく。
【0012】
その後、(b)に示すように、接合部1aの長手方向に沿って加熱ローラ3に内蔵された図示しないヒータを加熱しながら所定圧力を加え転圧しつつ接合部1aの長手方向に沿って移動することで、重合面を加熱溶着し、隣合う遮水シート1同士を一体化する。この状態では接合部1aの溶着部4は線状に凹み、かつ加熱ローラ3の凹凸がしぼ模様として転写されていることにより容易に確認できる。
【0013】
以上の溶着工が終了した後、(c)に示すように、鰐口クリップなどを介して前記導電線2の端部に接続コード5の一端を接続し、接続コード5の他端をスパーク試験機の本体6に設けたコネクタなどに接続する。その後、本体6に接続コード7を介して接続した例えばブラシ状の電極8を接合部1aの端縁に沿って移動させることで検査が行われる。
【0014】
ブラシ状電極8は、操作用長柄9の先端にT字型をなして配置された電極ホルダ10の先端に配列されたワイヤブラシ状のものであり、接続コード7は長柄9内部に挿通された状態で前記ブラシ状電極8に接続される。
【0015】
本体6の内部には、商用電源により駆動される高周波発生器、スパーク発生を検出するメータ及びメータと連動して警報音を発生するブザーなどが内蔵されている。また、ブラシ状電極8を支持する長柄9にはネオンランプ11、手元安全スイッチ12及び長柄9の長さ調節用ホルダグリップ13などが設けられている。
【0016】
以上の接続作業の後本体6に内蔵された高周波発生器をオンすると、前記ブラシ状電極8と、導電線2間には高周波電圧が印加され、ブラシ状電極8を溶着部4表面の長手方向に沿って移動すると、溶着が完全な箇所では、遮水シート1の絶縁性によって絶縁が保たれるが、溶着が不完全で隙間などが空いている箇所では絶縁不良となり、この結果スパークが発生し、そのスパーク音、メータのふれ、ブザー音の発生、ネオンランプの点滅、及びスパーク発生に伴う遮水シートの部分溶融により、溶着不良個所を検知特定することができるのである。
【0017】
図2はその具体的測定例を示すもので、本体6はショルダーストラップ14を介して作業員が携帯でき、他方の手に長柄9をグリップし、ブラシ状電極8を接合部1aの表面側端縁を中心に溶着部4の長手方向表面に接触させて滑らせつつこれに沿って作業員が移動することで検査がなされる。
【0018】
従って、以上における検査速度は作業員の移動速度に応じた速度であるため、溶着部4の全長を迅速に検査することができる。具体的には発生電圧15000V以上では、1m当り数秒間といった早さで連続的検査を行うことが可能となる。
【0019】
この検査作業において溶着不良個所があった場合には、長柄9に配置された手元安全スイッチ12をオフし、図2中に符号Mで示すように、該当する不良個所をチョーク等で円形状にマーキングすることで、その後の補修作業も迅速になされることになる。
【0020】
なお、本実施形態では、本体6を携帯しつつ移動検査を行ったが、本体6は適宜な箇所においたまま長柄9のみをもって移動検査することも可能である。
【0021】
図3は、本発明の第二実施形態を示すものである。本実施形態では、接合部1aの幅を広めに取り、二条の溶着部4を形成した場合を示す。この場合において、外側の溶着部4の溶着検査は、(a)に示すように、前記同様なスパーク試験機による検査を行うことができるが、内側の溶着不良個所については不明である。 そこで、接合部1aには予め平行な一対の導電線2を離して配置しておくことにより、(b)に示すように両導電線2間にコード15を接続し、直流電源16を印加し、抵抗計17によりその抵抗値を計測することで、両者間に水が存在するか否か、すなわち内側の溶着部4に溶着不良部位が存在するか否かの判定も可能となる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明による遮水シートにおける接合部試験方法によれば、遮水シートの接合部に一対の導電体を埋設して、各導電体の外側の部分をそれぞれ溶着したので、両溶着部のうち、外側の一方の溶着部の溶着不良をスパーク試験機により検査でき、両溶着部のうち、内側の他方の溶着部の溶着不良を抵抗計により検査できる。従って、両溶着部の溶着不良の有無を連続かつ迅速に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第一実施形態を示す断面説明図である。
【図2】同第一実施形態における実際の検査作業状態を示す説明図である。
【図3】(a),(b)は本発明の第二実施形態を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
1 遮水シート
1a 接合部
2 導電線(導電体)
3 加熱ローラ
4 溶着部
6 スパーク試験機本体
8 ブラシ状電極
Claims (2)
- 予め、遮水シートの接合部に、その長手方向に沿うように、その短手方向に間隔をおいて一対の導電体を埋設しておき、この状態で、前記接合部の前記各導電体の外側の部分を前記接合部の長手方向に沿ってそれぞれ溶着して一体に接合し、
前記一対の導電体のうち、外側の一方の導電体にスパーク試験機の一方の極を接続し、該スパーク試験機の他方の極に接続された電極を前記接合部の表面に沿って移動させることにより、前記両溶着部のうち、外側の一方の溶着部の溶着不良を検知し、
前記一対の導電体間にコードを接続し、該コードを介して前記一対の導電体間に電流を印加し、前記一対の導電体間の抵抗値を抵抗計により計測することにより、前記両溶着部のうち、内側の他方の溶着部の溶着不良を検知することを特徴とする遮水シートにおける接合部試験方法。 - 前記電極は、ブラシ状のものであることを特徴とする請求項1に記載の遮水シートにおける接合部試験方法。
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