JP4335696B2 - 新規遺伝子 - Google Patents
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Description
本発明は複数の細胞種から構成される組織或いは細胞集団から増殖しているインスリン産生細胞を検出する技術に関わる。また、本発明はインスリン産生細胞である膵β細胞及びその前駆細胞、あるいは膵β細胞と類縁の細胞、たとえば神経細胞等を増殖させる技術に関わる。
背景技術
膵β細胞は血糖値を降下させる唯一のペプチドホルモンであるインスリンを産生する器官である。何らかの原因により膵β細胞のインスリン産生能が損なわれると血糖値を正常に保つことが不可能となり糖尿病を発症する。インスリン産生能が損なわれた糖尿病患者にインスリン産生能を回復させ、血糖値を正常に制御するためには、インスリン産生能を有する細胞を移植することが根本的な治療法となる。
インスリン産生細胞の供給源としては死体の膵臓、あるいは近い将来実用化されようとしている胚性幹細胞(ES細胞)または間葉系幹細胞から分化させたインスリン産生能を有する細胞等が考えられる。胚性幹細胞は胚盤胞の内部細胞塊に由来する細胞でほぼすべての組織、細胞に分化する能力を有している。また、間葉系幹細胞は骨髄、血液、真皮、骨膜等に見出される多分化能を有する細胞である。近年、これらの細胞から、試験管内及び生体内で人為的にインスリン産生細胞や神経細胞、心筋細胞等の機能を有する細胞を分化させうることが示されている。しかし、これらの組織あるいは細胞集団は供給に限りがあり糖尿病患者の治療に充分な細胞数を確保することは困難であると考えられる。そこでインスリン産生細胞あるいはその供給源となる細胞を増殖させることが求められる。
そのような効果を期待できる手法としてHGF(Hepatocyte growth Factor)、Reg蛋白質、ベータセルリン等の細胞分化・増殖因子を供給源となる細胞に作用させることが考えられる(Otonkoskiら、Diabetes 43巻、947−953頁、1994年、Watanabeら、Proc.Natl.Acad.Sci.91巻、3589−3592頁、1994年、Yamamotoら、Diabetes 49巻、2021−2027頁、2000年)が、現在までのところ実際の治療に適用できるような因子は見出されていない。
また、このような細胞分化・増殖因子を用いてインスリン産生細胞を含む細胞集団を増殖させてもその中から真に有効な細胞、すなわち増殖能を有するインスリン産生細胞だけを治療に用いることが望まれるが、このような細胞を選抜するための有効な方法は今までのところ明らかにされていない。
発明の要約
本発明が解決しようとしている課題は、細胞分化・増殖因子等を用いて治療に必要な数のインスリン産生細胞を含む細胞集団から目的の細胞、すなわち増殖能を有するインスリン産生細胞を検出する方法、さらにはそれらを選抜するための方法を提供すること、及び糖尿病等生体が産生する生理活性物質の絶対的不足に起因する疾患の治療のためにインスリン産生細胞である膵β細胞、あるいはそれと類縁の細胞、たとえば神経細胞等をより効率的に分化・増殖させる方法を提供することにある。
本発明は、PHHI患者の膵臓で特異的に発現している新規な遺伝子、およびその遺伝子から翻訳される蛋白質、そしてその利用法に関する。
本発明の蛋白質は、(1)配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、または、(2)配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質である。
本発明の新規な遺伝子は、(1)配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、(2)配列番号4、5または6で表される塩基配列からなるDNA、(3)配列番号4の174〜904番目の塩基配列からなるDNA、配列番号5の79〜2115番目の塩基配列からなるDNA若しくは配列番号6の28〜384番目の塩基配列からなるDNA、または、(4)配列番号4、5または6で表される塩基配列の一部からなるDNAであって、少なくとも、(3)の部分配列領域のDNAの塩基配列を有するDNAである。
本発明の新規な遺伝子及び蛋白質の利用法は、(1)本発明の新規なDNAを用いて、増殖しているインスリン産生細胞を検出する方法、(2)新規なDNAを組み込んだベクターより得られる形質転換体、(3)新規なDNAを、胚性幹細胞または間葉系幹細胞を含む初代培養細胞または樹立細胞株に導入して胚性幹細胞または間葉系幹細胞を分化させる方法、(4)新規なDNAを、胚性幹細胞または間葉系幹細胞を含む初代培養細胞または樹立細胞株に導入して、胚性幹細胞または間葉系幹細胞を増殖させる方法である。(3)の方法、及び(4)の方法においては、胚性幹細胞または間葉系幹細胞が生体の生理機能を有する細胞であることが好ましい。更に、(3)の方法においては、分化した細胞がインスリン産生細胞や神経細胞であることが好ましい。
また、本発明の蛋白質または新規な遺伝子がコードする蛋白質を抗原として認識する抗体もまた、本発明の1つである。
更に、該抗体を用いた疾患の診断法もまた、本発明の1つである。本発明の診断法における目的の疾患としては、細胞増殖性の疾患、膵臓の疾患、神経系の疾患、家族性持続性過インスリン性低血糖症等が挙げられる。
発明の詳細な開示
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、増殖しているインスリン産生細胞、または膵β細胞で特異的に発現している遺伝子の検索を行うため、このような遺伝子が発現している可能性の高い組織として家族性持続性過インスリン性低血糖症(persistent hyperinsulinemic hypoglycemia of infancy;PHHI)患者の膵臓を選んだ。PHHIはnesidioblastosisとも呼ばれるヒトの遺伝性疾患であり、膵β細胞上のカリウムチャネルの一部に変異があることが知られている。このため、この疾患の患者の膵β細胞は、常にインスリンの分泌が促されている状態になっており、重篤な低血糖症状を呈する(Science,268,426(1995))。また、PHHI患者では高い血中インスリン濃度とともにランゲルハンス島、特にβ細胞の過形成が見られるが、これは癌細胞のように形質転換した細胞とは明確に区別される。このため、PHHI患者の膵臓は膵β細胞の自然増殖モデルであるとされている。
したがって、本発明者らは、PHHI患者の膵臓で特異的に発現している遺伝子を同定すれば、それは増殖している膵β細胞を検出するためのマーカーとなり得る上、前駆体の細胞から膵β細胞に分化させるあるいは膵β細胞を増殖させる分子をコードしていることも期待できると考え、PHHI患者の膵臓及び健常人の膵臓からRNAを抽出し、それぞれの組織で発現している遺伝子のcDNAを合成して遺伝子サブトラクションを行い、PHHI患者の膵臓で特異的に発現している新規な遺伝子を取得することに成功した。
すなわち本発明は、PHHI患者の膵臓で特異的に発現している新規な遺伝子、およびその遺伝子から翻訳される蛋白質、そしてその利用法に関する。
本発明のDNAとしては、(1)配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、(2)配列番号4、5または6で表される塩基配列からなるDNA、(3)配列番号4の174〜904番目の塩基配列からなるDNA、配列番号5の79〜2115番目の塩基配列からなるDNAまたは配列番号6の28〜384番目の塩基配列からなるDNA。(4)配列番号4、5または6で表される塩基配列の一部からなるDNAであって、少なくとも、上記(3)のDNAの塩基配列を有するDNA、が挙げられる。
ここで、(2)の配列番号4、5または6で表される塩基配列からなるDNAはいずれも、本発明において初めて見いだされた新規な遺伝子である。これら新規な遺伝子は、以下に述べる方法によって取得できた。
PHHI患者の膵臓及び健常人の膵臓から酸性フェノール法によりRNAを抽出し、ポリA(+)RNAを精製した後、逆転写酵素を用いてそれぞれの組織に由来するcDNAを合成する。これらのcDNAを材料としてHubankとSchatzの方法(Nucleic Acids Res.,22,5640(1993))により遺伝子サブトラクションを行い、PHHI患者の膵臓で特異的に発現している遺伝子を検出する。今回、特異的遺伝子の塩基配列を決定し、塩基配列データベースを検索したところ、特異的遺伝子のうち少なくとも3種類の遺伝子は新規遺伝子、即ち機能が明らかになっていない遺伝子であることが確認された。
データベース検索により新規遺伝子であることが確認された3種類の遺伝子をそれぞれNC1、NC2、及びNC3と名づけ、それらの塩基配列を配列番号4(NC1)、5(NC2)、及び6(NC3)に示した。また、それらの遺伝子から翻訳されるタンパク質のアミノ酸配列を塩基配列から予測し、配列番号1(NC1)、2(NC2)、及び3(NC3)に示した。
本発明においては、上記新規遺伝子の塩基配列の一部分のDNAを用いても、後述する目的に利用できる。ここでいう、一部分の塩基配列を有するDNAとは目的を達することができれば特に限定されるものではないが、具体的には、配列番号4の174〜904番目の塩基配列からなるDNA、配列番号5の79〜2115番目の塩基配列からなるDNAまたは配列番号6の28〜384番目の塩基配列からなるDNAが挙げられ、また該部分配列領域を含む配列番号4,5または6の塩基配列の一部分からなるDNAが挙げられる。
本発明のDNAを得る方法は特に限定されず、上記新規遺伝子の取得方法によって得た遺伝子をそのまま、あるいはその一部のみを用いても良いし、該配列を有するDNAを化学合成によって作製しても良い。
本発明の蛋白質としては、(1)配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、(2)配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、が挙げられる。これら蛋白質を得る方法は特に限定されないが、例えば、遺伝子工学的に大腸菌、動物細胞等を宿主とし、先の本発明のDNAをベクターに組み込んで形質転換し、該形質転換体を培養して得ることができる。ここでのベクターへの組み込みや形質転換方法、その培養方法などは、公知の方法を用いることができる。
本発明において、これらのPHHI患者の膵臓で特異的に発現している遺伝子から由来するDNA、及びそのDNAから翻訳される蛋白質を用いれば、次に述べるような方法で様々な細胞種を含む組織あるいは細胞集団から、増殖しているインスリン産生細胞/膵β細胞を検出し、それを選抜することができる。
目的の組織または細胞集団からRNAを抽出し、特異的遺伝子に由来する本発明のDNAを適当な方法、たとえば放射性同位元素32PとDNA修飾酵素を用いて標識したものをプローブとしてノーザン解析を行う。目的の組織または細胞集団に増殖しているインスリン産生細胞/膵β細胞が存在すればオートラジオグラフィーにより検出される。また、目的の組織または細胞集団から抽出したRNAから合成したcDNAを鋳型として、本発明のDNAをプライマーとして用いてPCRを行うことによっても、増殖しているインスリン産生細胞/膵β細胞を検出することができる。
また本発明の蛋白質を抗原として認識する抗体を作製し、この抗体を用いて、免疫学的手法、たとえば組織免疫染色により、目的の組織または細胞集団から、増殖しているインスリン産生細胞/膵β細胞を検出することができる。また、この抗体を用いて、インスリン産生細胞/膵β細胞の増殖が関与する疾患を診断することができる。このような疾患としては、例えば、細胞増殖性の疾患、膵臓の疾患、神経の疾患等が挙げられ、なかでも、上記抗体は家族性持続性過インスリン性低血糖症の診断に好適に用いられる。
また、本発明の遺伝子は膵β細胞の自然増殖モデルであるPHHI患者の膵臓に特異的に発現していることから、膵β細胞或いはそれと類縁の細胞の増殖または分化に関与していると考えられる。したがって、該遺伝子を由来とする本発明のDNAをインスリン産生細胞/膵β細胞及び、例えば神経細胞等のそれと類縁の細胞の前駆細胞、あるいは前駆細胞に相当する培養細胞、例えば胚性幹細胞や間葉系幹細胞等に導入し、発現させることによりそれらの細胞の増殖を促進させることができると考えられる。また、同様に本発明のDNAをインスリン産生細胞/膵β細胞及び、例えば神経細胞等のそれと類縁の細胞の前駆細胞、あるいは前駆細胞に相当する培養細胞、例えば胚性幹細胞や間葉系幹細胞等に導入し、発現させることによりそれらの細胞のインスリン産生細胞や神経細胞への分化を誘導させることができると考えられる。これらの胚性幹細胞や間葉系幹細胞は、生体の生理機能を有する細胞であることが好ましい。ここで、生体の生理機能とは、in vitroまたはin vivoにおける高い分化能を意味する。これら導入発現の方法に関しては、通常行われる公知の方法を用いることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)新規遺伝子NC1,NC2及びNC3の取得方法
PHHI患者の膵臓及び健常人の膵臓からRNAzolB(バイオテックス・ラボラトリーズ製)を用いて全RNAを抽出し、PolyATract messenger RNA isolation system(プロメガ製)によりポリA(+)RNAを精製した。このポリA(+)RNAからRiboclone cDNA Synthesis System(プロメガ製)を用いて2本鎖cDNAを合成した。PHHI患者の膵臓由来及び健常人の膵臓由来の2本鎖cDNAをそれぞれ制限酵素DpnII(ニューイングランド・バイオラボ製)で完全切断し、フェノール処理により反応を停止した後、エタノール沈殿により切断したcDNA断片を回収した。回収したDNA断片を滅菌蒸留水に縣濁し、1.2μgのcDNA断片に対して8μgのR−Bgl−24(agcactctccagccctctcaccgcaの塩基配列を有するオリゴDNA)と4μgのR−Bgl−12(gatctgcggtga)を50μlのスケールでT4DNAリガーゼ(ニューイングランド・バイオラボ製)を用いて14℃、16時間の反応により結合させた。反応産物のDNA濃度を6μg/mlとなるように調製し、このうち1μl分を分取してR−Bgl−24をプライマーとしてPCR反応により増幅させた。PHHI患者膵臓由来の増幅産物をテスター、健常人膵臓由来の増幅産物をドライバーと呼ぶ。テスター及びドライバーをDpnIIで切断することによりR−Bgl−24、R−Bgl−12オリゴDNAを除去し、テスターのみに別のオリゴDNAJ−Bgl−24(accgacgtcgactatccatgaaca)、J−Bgl−12(gatctgttcatg)を結合させた。オリゴDNAを結合させたテスター0.4μgに対し100倍量(40μg)のドライバーを加え、エタノール沈殿させた後4μlのEE×3緩衝液[30mM N−(2−hydroxy−ethyl)piperazine−N’−3−propane sulfonic acid(シグマ製);3mM EDTA(pH8.0)]に縣濁した。このDNA溶液を98℃ 5分間の熱処理で変性した後、67℃で20時間保持してアニールさせ、TE緩衝液[10mM Trizma Base(シグマ製);1mM EDTA(pH8.0)]を加えて400μlとした。このうち10μlを分取し、72℃で3分間保持してJ−Bgl−12をcDNAからはずし、5単位のTaqポリメラーゼ(ニューイングランド・バイオラボ製)を添加してさらに5分間反応させて1本鎖になった部分を2本鎖にした。この反応産物を鋳型として95℃ 1分間/70℃ 3分間 10サイクルのPCR反応を行い、増幅産物をフェノール処理、エタノール沈殿し、400μlの0.2倍濃度TE緩衝液に縣濁し、40単位のMung Bean Nuclease(ニューイングランド・バイオラボ製)を加え、30℃で35分間反応させた。この反応産物をDP1と呼ぶ。10μlのDP1にプライマーとして2μgのJ−Bgl−24を加え、95℃ 1分間/70℃ 3分間 18サイクルのPCR反応を行って得られた増幅産物をDpnIIで切断し、1.2μgのcDNA断片に対し8μgのN−Bgl−24(aggcaactgtgctatcgagggaa)、4μgのN−Bgl−12(gatcttccctcg)を結合し、以下DP1を得た手法に準じてDP2を得た。DP2をN−Bgl−24をプライマーとしたPCR反応により増幅し、DpnII切断後J−Bgl−24、J−Bgl−12を結合し、同様にしてDP3を得た。J−Bgl−24をプライマーとしたPCR反応(95℃ 1分間/70℃ 3分間 22サイクル)によりDP3を増幅し、得られた増幅産物をDpnIIで切断後、pUC19のBamHI部位にサブクローニングした。得られたクローンの塩基配列を決定し、GenBank等の塩基配列データベースを検索したところ、それらのうち3個のクローンがデータベース上のあらゆる塩基配列と一致しなかった。さらにこれらのクローンをプローブとしてcDNAライブラリーをスクリーニングし、全長cDNAを得、それぞれNC1、NC2、NC3とした。
(実施例2)ノーザン解析による増殖しているインスリン細胞/膵β細胞の検出
実施例1で得られたNC1(配列番号4)、NC2(配列番号5)及びNC3(配列番号6)の遺伝子配列の一部分のDNAを用いて、目的の組織中に増殖しているインスリン産生細胞が含まれているか否かをノーザン解析により検討した。
健常人の膵臓(レーン1及びレーン2、2検体)及びPHHI患者の膵臓(レーン3、1検体)からTRIzol(ギブコ・ライフテックオリエンタル社製)を用いて全RNAを抽出し、精製した。これらを1.0%アガロースゲル電気泳動により分画した後、ナイロンメンブラン(ハイボンド−N、アマシャム・ファルマシア社製)にキャピラリー法により転写した。配列番号4の174〜904番目の塩基配列からなるDNA、配列番号5の79〜2115番目の塩基配列からなるDNA、配列番号6の28〜384番目の塩基配列からなるDNAを、それぞれPCR法により増幅し、アガロースゲル電気泳動により分画した後、目的のDNA断片をゲルから切り出し、精製した。これらをT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造製)と[γ−32P]ATP(アマシャム・ファルマシア社製)を用いて放射能標識し、ノーザン解析用のプローブとした。RNAを転写したナイロンメンブランと放射能標識したプローブを混合して65℃で1晩ハイブリダイゼーションを行った後、メンブランを洗浄し、オートラジオグラフィーによりプローブと反応するRNA分画を検出した(図1)。NC1、NC2及びNC3由来の部分配列のDNAのいずれも、それをプローブとして用いた場合に、PHHI患者由来のRNAからはシグナルが検出されたが、健常人由来のRNAからは検出されなかった。
(実施例3)細胞の分化に伴うNC3の発現の変化
ラットインシュリノーマから樹立されたRIN−m細胞のインスリン産生能は低いが、酪酸ナトリウムを培養系に加えることによりインスリンを高濃度に分泌するようになり、インスリン産生細胞に分化することが示されている(Bartholomeuszら、Endocrinology 24巻、2680−2685頁、1989年)。RIN−m細胞を6mMの酪酸ナトリウム存在下で16時間培養した後、全RNAを抽出し、配列番号6の28〜384番目の塩基配列からなるDNAをプローブとして、実施例2に記載したものと同様の方法でノーザン解析を行った。その結果、図2のAに示したように、酪酸ナトリウムを加えて培養したRIN−m細胞ではNC3遺伝子の発現が亢進していた。
また、副腎褐色細胞腫由来のPC−12細胞は神経成長因子(NGF)を添加することにより神経突起を伸展し、神経細胞様に分化することが知られている(Saltieiら、Bioessay 16巻、405−411頁、1994年)。NGFを50ng/mlの濃度になるように加えた培養系で16時間培養したPC−12細胞から全RNAを抽出し、配列番号6の28〜384番目の塩基配列からなるDNAをプローブとして、同様の方法でノーザン解析を行った。図2のBに示したように、NGFを加えて培養したPC−12細胞ではNC3遺伝子の発現が亢進していた。
(実施例4)NC1遺伝子を強制発現させたPC−12細胞の形態変化
配列番号4に記載されている塩基配列のうち、配列番号1のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードする領域である174〜904番目の塩基配列部分のDNAを動物細胞用遺伝子発現ベクターであるpCIneoの所定の部位に組み込み、NC1遺伝子発現ベクターを構築した。このものをリポソーム法によりPC−12細胞に導入し、強制発現させた。geneticinを500μg/mlの濃度で加えた培養系で細胞を維持し、発現ベクターを保持した細胞を選択した。図3に示したようにNC1遺伝子を強制発現させたPC−12細胞の中には神経突起を伸張させた細胞が観察され、NC1遺伝子の強制発現によりPC−12細胞を神経細胞様に分化させることができることが示唆された。
産業上の利用の可能性
本発明によって見いだされた新規遺伝子は、PHHI患者の膵臓に特異的に発現しているだけでなく、細胞の分化・増殖に伴って発現が変化したり、未分化の細胞に遺伝子工学的手法により強制発現させることにより機能を有する細胞への分化を誘導させうるものである。したがって、これらの遺伝子、及びその一部のDNAやそれらから翻訳される蛋白質を用いて、増殖能を有するインスリン産生細胞を容易に検出し、それらを選抜すること、さらにはインスリン産生細胞を分化・増殖させることが可能となる。さらにはインスリン産生細胞である膵β細胞、及びそれと類縁の細胞(たとえば神経細胞等)の分化・増殖の異常に起因する種々の疾患の新たな診断法が開発できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、家族性持続性過インスリン性低血糖症患者の膵臓に特異的なNC1、NC2及びNC3遺伝子の発現をノーザン解析により調べた結果を示す図である。
図2は、細胞の分化に伴うNC3遺伝子の発現変化をノーザン解析により調べた結果を示す図である。
図3は、NC1遺伝子を強制発現させたPC12細胞の形態変化を示す図である。
Claims (19)
- 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質。
- 配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質。
- 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA。
- 配列番号4で表される塩基配列からなるDNA。
- 配列番号4の174〜904番目の塩基配列からなるDNA。
- 少なくとも配列番号4の174〜904番目の塩基配列を有するDNA。
- 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、配列番号4で表される塩基配列からなるDNA、配列番号4の174〜904番目の塩基配列からなるDNA、及び、少なくとも配列番号4の174〜904番目の塩基配列を有するDNAからなる群より選ばれる少なくとも1種のDNAを用いて、増殖しているインスリン産生細胞を検出する方法。
- 請求の範囲第3〜6項のいずれかに記載のDNAを組み込んだベクターより得られる形質転換体。
- 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、配列番号4で表される塩基配列からなるDNA、配列番号4の174〜904番目の塩基配列からなるDNA、及び、少なくとも配列番号4の174〜904番目の塩基配列を有するDNAからなる群より選ばれる少なくとも1種のDNAを、胚性幹細胞または間葉系幹細胞を含む初代培養細胞または樹立細胞株に導入して胚性幹細胞または間葉系幹細胞をインビトロで分化させる方法。
- 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、配列番号4で表される塩基配列からなるDNA、配列番号4の174〜904番目の塩基配列からなるDNA、及び、少なくとも配列番号4の174〜904番目の塩基配列を有するDNAからなる群より選ばれる少なくとも1種のDNAを、胚性幹細胞または間葉系幹細胞を含む初代培養細胞または樹立細胞株に導入して、胚性幹細胞または間葉系幹細胞をインビトロで増殖させる方法。
- 胚性幹細胞または間葉系幹細胞が生体の生理機能を有する細胞である請求の範囲第9または10項に記載の方法。
- 分化した細胞がインスリン産生細胞である請求の範囲第9項に記載の方法。
- 分化した細胞が神経細胞である請求の範囲第9項に記載の方法。
- 以下の(a)〜(c)いずれかの蛋白質を抗原として認識する抗体:
(a)請求項1記載の蛋白質
(b)請求項2記載の蛋白質
(c)請求項3〜6いずれか記載のDNAがコードする蛋白質。 - 請求の範囲第14項に記載の抗体を用いた組織免疫染色による疾患の検出法。
- 目的の疾患が細胞増殖性の疾患である請求の範囲第15項に記載の検出法。
- 目的の疾患が膵臓の疾患である請求の範囲第15項に記載の検出法。
- 目的の疾患が神経系の疾患である請求の範囲第15項に記載の検出法。
- 目的の疾患が家族性持続性過インスリン性低血糖症である請求の範囲第15項に記載の検出法。
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