JP4334120B2 - 4サイクルエンジンのオイルタンク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,エンジン本体の一側にオイルタンクを配設し,このオイルタンク内に突入させたクランク軸に,それと共に回転してオイルタンク内の貯留オイルを飛散させることにより潤滑用のオイルミストを生成するオイルスリンガを装着した,4サイクルエンジンのオイルタンク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝる4サイクルエンジンのオイルタンク装置は,特開平9−170417号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に開示されたオイルタンク装置は,クランク軸がオイルタンクを貫通しており,そのクランク軸にオイルスリンガを固着している。こうしたものでは,オイルスリンガをクランク軸に着脱する際,オイルタンクを2つ割りに分解することを余儀なくされるので,組立性及びメンテナンスが良好とは言い難い。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,オイルタンクを分解することなく,その内部でオイルスリンガをクランク軸に装着し得るようにして,組立性及びメンテナンスが良好な,前記4サイクルエンジンのオイルタンク装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,エンジン本体の一側にオイルタンクを配設し,このオイルタンク内に突入させたクランク軸に,それと共に回転してオイルタンク内の貯留オイルを飛散させることにより潤滑用のオイルミストを生成するオイルスリンガを装着した,4サイクルエンジンのオイルタンク装置において,クランク軸の一端部をオイルタンク内に配置し,オイルタンクの外側壁に,該タンクへのオイルの注入,並びにオイルスリンガの前記一端部への装着を可能にするオイル注入口を設けたことを第1の特徴とする。
【0006】
この第1の特徴によれば,オイル注入口を利用して,該タンク内のクランク軸端部にオイルスリンガを装着することができるので,その着脱の都度,オイルタンクを分解する必要がなくなり,組立性及びメンテナンスの向上に寄与し得る。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,オイルタンクを,合成樹脂を材料として一体成形したことを第2の特徴とする。
【0008】
この第2の特徴によれば,オイルタンクを分解せずにオイルスリンガの装着ができることから,ブロー成形等によりオイルタンクの一体化が可能となり,該タンクの生産性の向上に寄与し得る。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明のハンドヘルド型4サイクルエンジンの一使用例を示す斜視図,図2は上記4サイクルエンジンの縦断側面図,図3は図2の要部拡大図,図4は図3のカム軸周りの拡大縦断面図,図5は図3の5−5線断面図,図6は図3の6−6線断面図,図7は図6の7−7線断面図,図8はヘッドカバーの底面図,図9は図3の9矢視図,図10はエンジンの潤滑系統図,図11はオイルスリンガのクランク軸への装着要領説明図,図12はエンジンの種々の運転姿勢におけるシリンダヘッドでの溜まりオイルの吸い上げ作用説明図である。
【0011】
図1に示すように,ハンドヘルド型4サイクルエンジンEは,例えば動力トリマTの動力源として,その駆動部に取付けられる。動力トリマTは,その作業状態によりカッタCを色々の方向に向けて使用されるので,その都度エンジンEも大きく傾けられ,あるいは逆さにされ,その運転姿勢は一定しない。
【0012】
先ず,このハンドヘルド型4サイクルエンジンEの全体的構成について,図2〜図5により説明する。
【0013】
図2,図3及び図5に示すように,上記ハンドヘルド型4サイクルエンジンEのエンジン本体1には,その前後に気化器2及び排気マフラ3がそれぞれ取付けられ,気化器2の吸気道入口にはエアクリーナ4が装着される。またエンジン本体1の下面には合成樹脂製の燃料タンク5が取付けられる。
【0014】
エンジン本体1は,クランク室6aを有するクランクケース6,一つのシリンダボア7aを有するシリンダブロック7,並びに燃焼室8a及び該室8aに開口する吸,排気ポート9,10を有するシリンダヘッド8からなっており,シリンダブロック7とシリンダヘッド8とは一体に鋳造され,そのシリンダブロック7の下端に,それと別個に鋳造されたクランクケース6がボルトにより接合される。このクランクケース6は,その中央で左右に分割された第1及び第2ケース半体6L,6Rで構成され,両ケース半体6L,6Rはボルト12で相互に接合される。シリンダブロック7及びシリンダヘッド8の外周には多数の冷却フィン38が形成される。
【0015】
クランク室6aに収容されるクランク軸13は,第1及び第2ケース半体6L,6Rにボールベアリング14,14′を介して回転自在に支承されと共に,シリンダボア7aに嵌装されたピストン15にコンロッド16を介して連接される。また第1及び第2ケース半体6L,6Rには,上記ベアリング14,14′外側に隣接してクランク軸13の外周面に密接するオイルシール17,17′が装着される。
【0016】
シリンダヘッド8には,吸気ポート9及び排気ポート10をそれぞれ開閉する吸気弁18及び排気弁19がシリンダボア7aの軸線と平行に設けられ,また点火栓20が,その電極を燃焼室8aの中心部に近接させて螺着される。
【0017】
吸気弁18及び排気弁19は,シリンダヘッド8に形成された動弁カム室21において弁ばね22,23により閉弁方向に付勢される。また動弁カム室21において,吸気弁18及び排気弁19の頭部には,シリンダヘッド8に上下揺動自在に軸支されたロッカアーム24,25が重ねられ,これらロッカアーム24,25を介して吸気弁18及び排気弁19を開閉するカム軸26が,クランク軸13と平行にして,動弁カム室21の左右両側壁ボールベアリング27,27′を介して回動自在に支承される。一方のボールベアリング27が装着される動弁カム室21の一側壁は,シリンダヘッド8と一体に成形されており,この一側壁には,ベアリング27の外側に隣接してカム軸26の外周面に密接するオイルシール28が装着される。動弁カム室21の他側壁には,該室21へのカム軸26の挿入を可能にする挿入口29が設けられ,カム軸26の挿入後,この挿入口29を閉鎖するベアリングキャップ30に他方のボールベアリング27′が装着される。このベアリングキャップ30は,シール部材31を介して挿入口29に嵌合された上,シリンダヘッド8にボルトで結合される。
【0018】
シリンダヘッド8の上端面には,動弁カム室21の開放面を閉じるヘッドカバー71がOリング72を介して接合される。
【0019】
カム軸26は,前記オイルシール28が位置する側でシリンダヘッド8の外側方へ一端部を突出させている。これと同じ側でクランク軸13も一端部をクランクケース6の外側方に突出させており,その一端部に歯付き駆動プーリ32が固着され,それの2倍の歯数を持つ歯付き被動プーリ33が前記カム軸26の一端部に固着される。そして,両プーリ32,33に歯付きのタイミングベルト34が巻掛けられ,クランク軸13がカム軸26を2分の1の減速比をもって駆動し得るようになっている。上記カム軸26及びタイミング伝動装置35によって動弁機構53が構成される。
【0020】
こうして,エンジンEは4サイクルOHC型に構成され,またタイミング伝動装置35は,エンジン本体1外側に配置される乾式とされる。
【0021】
このタイミング伝動装置35を収容するタイミング伝動ケース36がエンジン本体1の一側面に固着される。
【0022】
タイミング伝動ケース36は,タイミング伝動装置35の内側,即ちエンジン本体1側を覆う合成樹脂製の内側ケース半体36aと,タイミング伝動装置35の外側を覆う,同じく合成樹脂製の外側ケース半体36bとの対向周縁部を相互に嵌合して構成される。内側ケース半体36aには,シリンダヘッド8の,前記オイルシール28を囲繞する円筒状の支持部87に嵌合する支持孔88が設けられ,また両ケース半体36a,36bには,駆動プーリ32及び被動プーリ33間で互いに当接するボス92,92′が一体に形成されており,これらボス92,93はボルト37によってエンジン本体1に共閉めされる。こうしてタイミング伝動ケース36はエンジン本体1に固着される。
【0023】
図3及び図9において,上記外側ケース半体36bには,クランク軸13を中心とする円形のオイルタンク40が外側ケース半体36bと同材料をもって一体成形される。即ち,オイルタンク40は継ぎ目無しの一体成形物に構成される。
【0024】
再び図2において,クランク軸13の,タイミング伝動装置35と反対側の他端部もクランクケース6の外側方に突出しており,その一端部にはフライホイール43がナット44で固着される。このフライホイール43は,冷却ファンを兼ねるべく内側面に多数の冷却羽根45,45…を一体に備えている。またフライホイール43の外側面には,複数の取付けボス46(図2には,そのうちの1個を示す)が形成されており,この各取付けボス46に遠心シュー47が揺動自在に軸支される。この遠心シュー47は,後述する駆動軸50に固着されるクラッチドラム48と共に遠心クラッチ48を構成するもので,クランク軸13の回転数が所定値を超えると,遠心シュー47が,それ自体の遠心力によりクラッチドラム48の内周壁に圧接して,クランク軸13の出力トルクを駆動軸50に伝達するようになる。この遠心クラッチ48よりも,フライホイール43は大径になっている。
【0025】
エンジン本体1の,タイミング伝動ケース36側を除く部分,及びフライホイール43を覆うエンジンカバー51がエンジン本体1に取り付けられ,このエンジンカバー51には,クランク軸6と同軸に並ぶ円錐台状の軸受ホルダ75が連設される。この軸受ホルダ75は,前記カッタCを回転駆動するベアリング59を介して支持するものであり,この軸受ホルダ75に空気取り入れ口52が設けられ,冷却羽根45,45…の回転に伴い外気をエンジンカバー51内に取り入れるようになっている。また軸受ホルダ75には,燃料タンク5の下面を覆う台座54が固着される。
【0026】
而して,クランク軸13及びカム軸26間を連動させるタイミング伝動装置35が乾式に構成されて,エンジン本体1の外側に配設されるので,エンジン本体1の側壁には,該装置35を収容する室を特別に設ける必要がなくなり,したがってエンジン本体1の薄肉化及びコンパクト化を図り,エンジンE全体の大幅な軽量化を達成することができる。
【0027】
またエンジン本体1及びオイルタンク40間にタイミング伝動ケース36が介在するので,エンジン本体1の発する熱は,タイミング伝動ケース36によって遮られ,オイルタンク40内の貯留オイルOの過熱を防ぐことができる。
【0028】
しかも,タイミング伝動ケース36は,元々,OHC型エンジンEに不可欠なものであるから,これによってエンジンEの大型化を招くこともない。
【0029】
またシリンダブロック7を間に置いて,クランク軸13の両端部にタイミング伝動装置35と遠心クラッチ48の遠心シュー47とが連結されるので,クランク軸13の両端部での重量バランスが良好で,エンジンEの重心をクランク軸13の中央部に極力近づけることができ,軽量化と相俟って,エンジンEの作業性を向上させることができる。のみならず,エンジンEの作動中,タイミング伝動装置35及び駆動軸50による負荷は,クランク軸13の両端部に分散して作用することになるため,クランク軸13及びそれを支持するベアリング14,14′への荷重の集中を回避して,それらの耐久性をも向上させることができる。
【0030】
図5に示すように,シリンダヘッド8の一側面には,前記吸気ポート9有する吸気管94が一体に突設されており,この吸気管94に,ゴム等の弾性材からなる吸気パイプ95を介して前記気化器2が接続される。吸気パイプ95の一端部は,吸気管94の外周に嵌合され,更にその外周に締め付け環96が嵌合される。吸気パイプ95の他端にはインシュレータ98を介して気化器2が接続され,これら吸気パイプ94及びインシュレータ98の結合部を支持する支持板97はシリンダヘッド8にボルト109で固着される。
【0031】
次に,図3〜図8,図10及び図12により上記エンジンEの潤滑系について説明する。
【0032】
図3に示すように,オイルタンク40の,エンジン本体1寄りの内側壁40aの中心部にオイルシール39が装着され,このオイルシール39を通してクランク軸13の雄ねじが刻設された一端部,即ち雄ねじ部13aがオイルタンク40内に配置される。
【0033】
一方,オイルタンク40の外側壁40bの中心部には,クランク軸13の前記雄ねじ部13aに対向してオイル注入口85が形成される。このオイル注入口85は,オイルタンク40へのオイルの注入時,オイル注入ガンを挿入し易くするために,外端側が上向きとなるように傾斜して配置される。
【0034】
またこのオイル注入口85は,これを通してオイルスリンガ56をクランク軸13の前記一端部に装着し得るように形成される。オイル注入口85は,通常,ねじ込み式のキャップ86によって閉じられる。
【0035】
オイルスリンガ56のクランク軸13への装着に当たっては,図11の(A)に示すように,先ず,軸付きナット41の軸部41aにオイルスリンガ56の取り付け孔56cを嵌合した後,ロックナット42を螺合,緊締することにより,ロックナット42と軸付きナット41とでオイルスリンガ56を挟持する。軸付きナット41は,クランク軸13の前記雄ねじ部13aに螺合可能となっている。
【0036】
次に図11の(B)に示すように,オイルタンク40を,その外側壁40bが上向きとなるように配置し,挟み工具110で保持したオイルスリンガ56をオイル注入口85からオイルタンク40内に挿入し,図11の(C)に示すように,軸付きナット41をクランク軸13の前記雄ねじ部13aの端面に載せる。
【0037】
そして挟み工具110を引き上げた後,今度は図11の(D)に示すように,ロックナット42に対応したボックスレンチ111をオイル注入口85からオイルタンク40内に挿入し,これをもってロックナット42を回転することにより,軸付きナット41をクランク軸13の前記雄ねじ部13aに螺合,緊締する。
【0038】
このように,オイル注入口85を利用して,オイルタンク40内のクランク軸13の一端部にオイルスリンガ56を装着することができるので,その着脱の都度,オイルタンク40を分解する必要がなくなり,組立性及びメンテナンスが良好となる。またオイルタンク40を分解する必要がないことから,ブロー成形等によりオイルタンク40の一体化が可能となり,該タンク40の生産性の向上を図ることができる。
【0039】
尚,オイルスリンガ56の装着に軸付きナット41を使用することは,オイルスリンガ56に対する広い支持座面を該ナット41に付与することができ,またオイルスリンガ56,軸付きナット41及びロックナット42の三者の小組立体を構成して,その装着性を良好にし得るという点で有利である。
【0040】
オイルスリンガ56が装着されてからは,オイルタンク40に規定量の潤滑オイルOがオイル注入口85から注入され,その後,オイル注入口85にキャップ86がねじ込まれる。
【0041】
オイルスリンガ56は,その取り付け孔56cを有する中心部から互いに半径方向反対側へ延出する2枚のブレード56a,56bを備えており(図3及び図9参照),クランク軸13の回転時,エンジンEの如何なる運転姿勢でも,2枚のブレード56a,56bの少なくとも何れか一方が,オイルタンク40内の貯留オイルOを飛散させ,オイルミストを生成するようになっている。
【0042】
再び図3において,クランク軸13及び軸付きナット41には,オイルタンク40内とクランク室6aとの間を連通する通孔55が設けられる。オイルタンク40内の潤滑用オイルOの貯留量は,上記通孔55の,オイルタンク40内への開口端55aをエンジンEの如何なる運転姿勢でも常にオイルOの液面上に露出させるように設定される。
【0043】
図3,図6及び図7において,クランク室6aはオイル送り導管60を介して動弁カム室21に接続され,そのオイル送り導管60には,クランク室6aから動弁カム室21側への一方向のみの流れを許容する一方向弁61が介裝される。オイル送り導管60は前記タイミング伝動ケース36の内側ケース半体36aに,その一側縁に沿って一体に形成され,このオイル送り導管60の下端部は弁室62に形成される。内側ケース半体36aには,弁室62からタイミング伝動ケース36の裏側に突出する入口管63が一体に形成され,この入口管63は,クランク室6aに連通するように,クランクケース6下部の接続孔64にシール部材65を介して嵌合される。弁室62には,入口管63から弁室62への一方向への流れを許容させるべく,前記一方向弁61が配設される。この一方向弁61は,図示例の場合,リード弁からなっている。
【0044】
また内側伝動ケース36には,オイル送り導管60の上端から内側ケース半体36aの裏側に突出する出口管66が一体に形成され,この出口管66は,動弁カム室21に連通するように,シリンダヘッド8側部の接続孔67に嵌合される。
【0045】
ヘッドカバー71は,合成樹脂製のカバー外側板105と,同じく合成樹脂製のカバー内側板106とを相互に摩擦溶接して構成されるもので,これらカバー外側及び内側板105,106間に吸い上げ室74が画成される。この吸い上げ室74は,動弁カム室21の上面に沿った偏平な形状を成しており,その底壁,即ち内側板105の四隅に4つのオリフィス73,73…が穿設される。またその底壁には,その中央部でカム軸26の軸線と直交する方向に間隔を置いて並んで動弁カム室21内に突出する長短2本の吸い上げ管74,75が一体に形成されており,これらにオリフィス73,73が設けられる。
【0046】
図4,図5及び図8に示すように,吸い上げ室74は,オイル戻し導管78を介してオイルタンク40内と連通される。オイル戻し導管78はタイミング伝動ケース36の内側ケース半体36aに,オイル送り導管60と反対側の他側縁に沿って一体に形成される。内側ケース半体36aには,オイル戻し導管78の上端からタイミング伝動ケース36の裏側に突出する入口管78が一体に形成されており,この入口管78は,吸い上げ室74と連通するように,ヘッドカバー71に形成された出口管80にコネクタ81を介して接続される。
【0047】
また内側ケース半体36aには,オイル戻し導管78の下端から内側ケース半体36aの裏側に突出する出口管82が一体に形成されており,この出口管82は,オイルタンク40内に連通するように,オイルタンク40に設けられた戻し孔83に嵌合される。戻し孔83の開口端は,エンジンEの如何なる運転姿勢でもオイルタンク40内のオイルの液面上に露出するように,オイルタンク40内の中心部近傍に配置される。
【0048】
図4に明示するように,カム軸26には,ブリーザ通路68が設けられる。このブリーザ通路68は,カム軸26の軸方向中間部から動弁カム室21に向かって開口する,入口としての短い横孔68aと,この横孔68aに連通すると共に,カム軸26の中心部を通って,ベアリングキャップ30側の端面に開口する長い縦孔68bとからなっている。ベアリングキャップ30には,上記縦孔68bの出口と連通する拡大したブリーザ室69と,このブリーザ室69に連通してベアリングキャップ30外側面に突出するパイプ接続管107とが形成されており,そのパイプ接続管107に接続されるブリーザパイプ70を介してブリーザ室69は前記エアクリーナ4内に連通される。
【0049】
ベアリングキャップ30に保持されるボールベアリング27′はシール付きに構成される。したがって,動弁カム室21内のオイルミストは,ボールベアリング27′を潤滑し得るが,該ベアリング27′を通過してブリーザ室69に到達することはできない。
【0050】
主に図10を参照しながら,潤滑系の作用を説明すると,エンジンEの運転中,クランク軸13の回転によりオイルタンク40においてオイルスリンガ56が潤滑油Oを飛散させてオイルミストを生成すると,ピストン15の上昇運動によりクランク室23が減圧したとき,そのオイルミストは通孔55を通してクランク室6aに吸入され,クランク軸13ピストン15周りを潤滑する。次いでピストン15の下降運動によりクランク室6aが昇圧すると,一方向弁61の開弁により上記オイルミストはクランク室6aで発生したブローバイガスと共にオイル送り導管60を昇って動弁カム室21に供給され,カム軸26やロッカアーム24,25等を潤滑する。
【0051】
動弁カム室21内のオイルミスト及びブローバイガスが回転中のカム軸26のブリーザ通路68の横孔68aに流入すると,この回転する横孔68aにおいて遠心力の作用により気液分離され,オイル分は動弁カム室21に戻され,ブローバイガスは,ブリーザ通路68の横孔68aから縦孔68b,ブリーザ室69,ブリーザパイプ70及びエアクリーナ4を順次経由してエンジンEに吸入される。
【0052】
上記ブリーザ室69と,ブリーザパイプ70を接続するパイプ接続管107とは,前述のように,カム軸26の支持のためのボールベアリング27′を保持するベアリングキャップ30に形成されるので,ベアリングキャップ30がブローバイガスをブリーザパイプ70に受け渡すガス受け渡し部材を兼ねることになり,構造の簡素化及び部品点数の削減を図ることができる。
【0053】
ところで,動弁カム室21は,上記のようにブリーザ通路68,ブリーザ室69及びブリーザパイプ70を介してエアクリーナ4内に連通しているので,動弁カム室21の圧力は,大気圧もしくはそれより若干低圧に保たれる。
【0054】
一方,クランク室6aは,その圧力脈動の正圧成分のみを一方向弁61から吐出することから平均的に負圧状態となり,その負圧は,通孔55を介してオイルタンク40に伝達し,更にオイル戻し導管78を介して吸い上げ室74に伝達するので,吸い上げ室74は,動弁カム室21よりも低圧,オイルタンク40内は吸い上げ室74よりも低圧となる。その結果,圧力の移動が動弁カム室21から吸い上げ管75,76及びオリフィス73,73…を通して吸い上げ室74へ,更にオイル戻し導管78を通してオイルタンク40へと生ずるので,それに伴い動弁カム室21内のオイルミストや,動弁カム室21内で液化して溜まったオイルは吸い上げ管75,76及びオリフィス73,73…を通して吸い上げ室74に吸い上げられ,そしてオイル戻し導管78を下ってオイルタンク40に還流する。
【0055】
その際,前述のように,吸い上げ室74の底壁の四隅に4つのオリフィス73,73…が穿設され,またその底壁の中央部から動弁カム室21に突出して,カム軸26の軸線と直交する方向に間隔を置いて並ぶ長短2本の吸い上げ管74,75にオリフィス73,73が設けられているので,図12に示すように,エンジンEの正立状態(A)は勿論,左方傾け状態(B),右方傾け状態(C),左方横転状態(D),右方横転状態(E),倒立状態(F)など,如何なる運転姿勢でも,動弁カム室21に溜まったオイルには,6つのオリフィス73,73…の何れかが浸かることになり,そのオイルを吸い上げ室74に吸い上げることができる。
【0056】
かくして,オイルタンク40内でミスト化されたオイルを,クランク室6aの圧力脈動と,一方向弁61の機能を利用して,OHC型4サイクルエンジンEのクランク室6a及び動弁カム室21に供給し,それをオイルタンク40に還流させるので,エンジンEの如何なる運転姿勢においても,そのエンジン内部をオイルミストにより確実に潤滑することができ,しかもそのオイルミストの循環のための専用のオイルポンプは不要であり,構造の簡素化を図ることができる。
【0057】
また合成樹脂製のオイルタンク40のみならず,クランク室6a及び動弁カム室21間を結ぶオイル送り導管60,並びに吸い上げ室74及びオイルタンク40間を結ぶオイル戻し導管78は,エンジン本体1外に配設されるので,エンジン本体1の薄肉化及びコンパクト化を何ら妨げず,エンジンEの軽量化に大いに寄与することができる。特に,外部配置のオイル送り導管60及びオイル戻し導管78は,エンジン本体1からの熱の影響を受け難くなるので,潤滑用オイルOの過熱を回避することができる。またオイル送り導管60及びオイル戻し導管78とタイミング伝動ケース36との一体化により,部品点数の削減と組立性の向上に寄与し得る。
【0058】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨の範囲を逸脱することなく種々の設計変更が可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,オイル注入口を利用して,該タンク内のクランク軸端部にオイルスリンガを装着することができ,その着脱に都度,オイルタンクを分解する必要がなくなり,組立性及びメンテナンスの向上に寄与し得る。
【0060】
また本発明の第2の特徴によれば,ブロー成形等によりオイルタンクの一体化が可能となり,該タンクの生産性の向上に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハンドヘルド型4サイクルエンジンの一使用例を示す斜視図。
【図2】上記4サイクルエンジンの縦断側面図。
【図3】図2の要部拡大図。
【図4】図3のカム軸周りの拡大縦断面図。
【図5】図3の5−5線断面図。
【図6】図3の6−6線断面図。
【図7】図6の7−7線断面図。
【図8】ヘッドカバーの底面図。
【図9】図3の9矢視図。
【図10】エンジンの潤滑系統図。
【図11】オイルスリンガのクランク軸への装着要領説明図。
【図12】エンジンの種々の運転姿勢におけるシリンダヘッドでの溜まりオイルの吸い上げ作用説明図。
【符号の説明】
E・・・・・エンジン
O・・・・・オイル
1・・・・・エンジン本体
13・・・・クランク軸
13a・・・クランク軸の一端部(雄ねじ部)
40・・・・オイルタンク
40a・・・オイルタンクの内側壁
40b・・・オイルタンクの外側壁
85・・・・オイル注入口
Claims (2)
- エンジン本体(1)の一側にオイルタンク(40)を配設し,このオイルタンク(40)内に突入させたクランク軸(13)に,それと共に回転してオイルタンク(40)内の貯留オイル(O)を飛散させることにより潤滑用のオイルミストを生成するオイルスリンガ(56)を装着した,4サイクルエンジンのオイルタンク装置において,
クランク軸(13)の一端部(13a)をオイルタンク(40)内に配置し,オイルタンク(40)の外側壁(40b)に,該タンク(40)へのオイルの注入,並びにオイルスリンガ(56)の前記一端部(13a)への装着を可能にするオイル注入口(85)を設けたことを特徴とする,4サイクルエンジンのオイルタンク装置。 - 請求項1記載の4サイクルエンジンのオイルタンク装置において,
オイルタンク(40)を,合成樹脂を材料として一体成形したことを特徴とする,4サイクルエンジンのオイルタンク装置。
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