JP4332309B2 - 鉄道車両用ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両用ブレーキ装置に関し、適切なブレーキ動作を可能とする改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両用ブレーキ装置では、主として電気回生ブレーキを用い、補助として制輪子を車輪に押し付ける摩擦式の補助ブレーキ等を用いることで、省エネルギー化がはかられている。
【0003】
一般に、この種の補助ブレーキとしては、空気圧アクチュエータを備えるエアブレーキが用いられていた。しかし、このエアブレーキは、各車輪毎に設けられるアクチュエータに対して空気圧の供給が必要であり、車両に複雑な空気圧回路を配設する必要があるばかりか、空気圧源として設けられるコンプレッサの駆動に消費されるエネルギーが大きく、省エネルギー化が難しい。
【0004】
また、従来、油圧を用いたブレーキ装置として、以下に説明する(1)(2)のものがあった。
(1)各車輪毎に油圧アクチュエータ設けられ、各油圧アクチュエータに対して共通の油圧源から油圧を供給するもので、通常の走行時に用いられる常用ブレーキの機能と、停電時等に用いられる保安ブレーキの機能と、車両の停留時に継続的にかけられる停留ブレーキの機能とをそれぞれ果たすようになっているブレーキ装置(特開2000−168535号公報参照)。
(2)各車輪毎に電動油圧アクチュエータに設けられ、電動モータに駆動されるポンプの吐出方向を切り換えることによってブレーキ力がコントロールされるようになっているブレーキ装置(特開2001−153164号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、▲1▼のブレーキ装置は、各車輪毎に設けられるアクチュエータに対して油圧の供給が必要であり、車両に複雑な油圧回路を配設する必要があるばかりか、油圧源として設けられるポンプの駆動に消費されるエネルギーが大きく、省エネルギー化が難しい。
【0006】
さらに、▲1▼のブレーキ装置は、保安ブレーキ作動時のエネルギー源をアキュームレータとし、油圧回路は大気開放される構成のため、アキュームレータ内に封入されたガスが作動油を介して大気に放出され、アキュームレータに蓄圧されている圧力が経年的に減少する可能性がある。
【0007】
これに対して、▲2▼のブレーキ装置は、各車輪毎に設けられるアクチュエータに対して、空気圧や油圧の供給が不要であり、省エネルギー化が図れる。また、電動油圧アクチュエータは閉回路で構成されるため、アキュームレータの蓄圧できる圧力が経年的に減少することを防止できる。
【0008】
しかしながら、▲2▼のブレーキ装置は、ブレーキスプリングのバネ力を保安ブレーキ相当のバネ力とした場合、ブレーキスプリングが非常に大きなものとなり、結果として装置全体が大型化してしまう。装置が大型化すると車両の台車に搭載するのが困難で、台車に大がかりな改造が必要となってしまう。
【0009】
また、例えば電源やモータの失陥時等に車両を牽引する場合、油圧によって停留ブレーキの作動を解除することができないという問題点があった。
【0010】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、電動油圧アクチュエータを用いて保安ブレーキや停留ブレーキを安定的にかけることができ、コンパクト化が図れた鉄道車両用ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、制輪子を車輪の踏面に押し付け付勢するブレーキスプリングと、制輪子を車輪の踏面に対して変位させる出力シリンダと、出力シリンダと制輪子の間に介装されるジャークスプリングとを備え、ポンプの吐出方向を切換えることによって出力シリンダの作動方向が切換わるブレーキ装置に適用する。
【0012】
そして、出力シリンダを車体に固定されるボディと、このボディに摺動可能に収められるピストンによって構成し、ピストンを中空構造としてその内側にブレーキスプリングとジャークスプリングをピストンを挟むように並んで介装し、ピストン内にジャークスプリングを介して挿入されるジャークロッドと、このジャークロッドの変位を制輪子に伝える出力ピンと、この出力ピンをジャークロッドに対して回動可能に支持するベアリングと、制輪子をボディに対して回動可能に支持するリンクと、を備え、出力ピンと制輪子とリンクとを回動可能に連結する軸を設け、出力ピンと制輪子の間に前記出力ピンに対して前記制輪子が回動する相対変位を抑制するダンパ機構を設けたことを特徴とするものとした。
【0014】
第2の発明は、制輪子をボディに対して回動可能に支持するリンクと、リンクをボディに引き寄せて保持する緩解状態ロック機構とを備えたことを特徴とするものとした。
【0015】
第3の発明は、ブレーキスプリングは巻き径の異なるコイルバネを互いに同心上に並んで介装したことを特徴とするものとした。
第4の発明は、ピストンによって緩解側油室および制動側油室が仕切られ、外部の油圧源に接続して緩解側油室へ加圧作動油を導入し、制動側油室の作動油をリザーバタンクに導入する停留ブレーキ解除手段を備えた
ことを特徴とするものとした。
【0016】
【発明の作用および効果】
第1の発明によると、ブレーキ装置のコンパクト化がはかられ、従来の空気圧式のブレーキ装置が設けられていた介装スペースに組み付けることが可能となる。
【0017】
さらに、ボディのまわりにブレーキスプリング等が配置されていないため、ボディ内に設けられる油通路の配置自由度が高まるとともに、ボディの側部にポンプおよびモータ等を取り付けて電動油圧アクチュエータをユニット化することができる。
【0018】
独立したユニットを各車輪に設置することにより、例えば踏切事故等によるあるユニットの破損が他のユニットの機能に影響しないことにより、より安全なブレーキシステムとすることができる。
【0019】
そして、出力ピンはその軸方向に変位するのに伴いベアリングを介して回動して傾くことにより、制輪子が制動部材に円滑に押し付けられる。
【0020】
第2の発明によると、例えば電源やモータの失陥時等に車両を牽引する場合、緩解状態ロック機構によって停留ブレーキを緩解状態に保持することが可能となる。
【0021】
第4の発明によると、例えば電源やモータの失陥時等に車両を牽引する場合、油圧によって停留ブレーキの作動を解除することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は鉄道車両用ブレーキ装置のシステム図を示している。このブレーキ装置は、電動油圧アクチュエータ70が制輪子29を車輪60の踏面(制動部材)に押し付けることにより、制動トルクを発生させる。電動油圧アクチュエータ70は、ブレーキスプリング5の付勢力と出力シリンダ71の油圧力とによって制輪子29にこの押し付け力を与える。
【0024】
コントローラ50は上位側ブレーキシステム51との間で情報をやり取りし、図示しない電気回生ブレーキの補助としてこのブレーキ装置を作動させる。ブレーキ装置は運転条件に応じて次のブレーキ機能を果たす。
・常用ブレーキ作動…通常の運転中の車両の制動に用いられる。
・非常ブレーキ作動…車両の最大制動トルクを発揮するのに用いられる。
・保安ブレーキ作動…停電等による常用ブレーキ系の失陥時に用いられる。
・停留ブレーキ作動…留置中の車両の転動を防止するのに用いられる。
【0025】
図2、図3はブレーキ装置の具体的構造を示している。車体に固定されるボディ1およびピストン2によって両ロッド型の出力シリンダ71が構成される。ボディ1はピストン2を摺動可能に収めるシリンダチューブとして機能し、ピストン2によって緩解側油室3および制動側油室4が仕切られる。
【0026】
円筒状をしたピストン2の内側にはボディ1との間にブレーキスプリング5が圧縮して介装される。このブレーキスプリング5のバネ力は停留ブレーキ作動時に必要な制動トルクが得られるように設定される。
【0027】
ブレーキスプリング5は巻き径の異なるコイルバネ61,62からなる二重バネ構造とする。ピストン2の内側には、各コイルバネ61,62が互いに同心上に並んで介装される。
【0028】
ボディ1には内外のコイルバネ61,62に対するバネ座63,64がピストン2の軸方向についてオフセットして形成され、各バネ座63,64間に設けられる段差によって内側コイルバネ61の端部が径方向について位置決めされる。同様に、ピストン2には各コイルバネ61,62に対するバネ座65,66がピストン2の摺動軸方向についてオフセットして形成され、各バネ座65,66間に設けられる段差によって外側コイルバネ62の端部が径方向について位置決めされる。これにより、各コイルバネ61,62が互いに干渉しないようになっている。
【0029】
円筒状ピストン2の内側には円筒状ジャークロッド6が摺動可能に介装され、このジャークロッド6に出力ピン9が連結され、この出力ピン9は軸12を介して制輪子頭10およびリンク11の一端に回動可能に連結される。リンク11の他端は軸73を介してボディ1に回動可能に連結される。つまり、リンク11はボディ1に輪子頭10を回動可能に連結し、車輪60から制輪子29に働く力を支持する。出力ピン9と制輪子頭10の間には両者の相対変位を抑制するダンパ機構23が設けられる。
【0030】
出力ピン9の基端部は円筒状ジャークロッド6の内側にスフェカルベアリング8を介して回動可能に連結される。出力ピン9はその軸方向に変位するのに伴いスフェカルベアリング8を介して回動し、出力シリンダ71の中心軸に対して傾くようになっている。
【0031】
ジャークロッド6に対する出力ピン9の軸方向の位置を調整するアジャスト機構67を備える。制輪子29の磨耗が進むことに対応してこのアジャスト機構67によって出力ピン9が押し出されることにより、車輪60の踏面に対する制輪子29の隙間を調整できるようになっている。
【0032】
円筒状ピストン2の内側にはジャークロッド6との間には複数の皿バネからなるジャークスプリング7が介装される。このジャークスプリング7は、そのバネ力がブレーキスプリング5のバネ力よりも弱く設定される。ブレーキスプリング5のバネ力により制輪子29が車輪60に押し付けられるときに、ジャークスプリング7は緩衝部材として働き、ブレーキ動作時における押し付け力の急増が緩和される。
【0033】
中空構造のピストン2にはジャークスプリング7に対するバネ座68が環状に形成される。このバネ座68は、ブレーキスプリング5に対する各バネ座65,66と背反する位置に形成される。こうして、ピストン2の内側にブレーキスプリング5とジャークスプリング7がピストン2を挟むようにして並んで収められる。このため、ブレーキ装置はボディ1のコンパクト化がはかられ、従来の空気圧式のブレーキ装置が設けられていた介装スペースに組み付けることが可能となる。
【0034】
さらに、ボディ1のまわりにブレーキスプリング5等が配置されていないため、ボディ1内に設けられる油通路の配置自由度が高まるとともに、ボディ1の側部にマニホールドブロック16を取り付けて電動油圧アクチュエータ70をユニット化することができる。
【0035】
マニホールドブロック16には電動油圧アクチュエータ70を構成する各ソレノイドバルブ17,18,19、モータ20、ポンプ21、アキュームレータ22等が組み付けられるとともに、これらを結ぶ油圧回路が形成される。
【0036】
ボディ1には緩解側油室3、制動側油室4の圧力を検出する圧力センサ13,14がそれぞれ取り付けられる。こうして、ボディ1およびマニホールドブロック16に電動油圧アクチュエータ70がユニット化して設けられることにより、車体側に油圧配管等を設ける必要がなく、電気、信号配線のみを配設すればよい。
【0037】
図4は電動油圧アクチュエータ70の油圧回路を示している。これについて説明すると、図において21は双方向吐出型のギア式油圧ポンプであり、双方向吐出型の油圧ポンプ21の各吐出ポートを緩解側油室3および制動側油室4に連通する第一、第二通路41,42によってリザーバタンク22との間で閉回路が構成される。
【0038】
正逆転モータ20で駆動されるポンプ21の回転方向(吐出方向)を切換えることによって出力シリンダ71の作動方向が切換わるようになっている。
・ポンプ21の正回転時…ポンプ21から吐出する作動油は第一通路41を通って緩解側油室3へと流れる一方、制動側油室4の作動油が第二通路42を通ってポンプ21に吸い込まれ、出力シリンダ71が収縮して制輪子29を車輪60から離す。
・ポンプ21の逆回転時…ポンプ21から吐出する作動油は第二通路42を通って制動側油室4へと流れる一方、緩解側油室3の作動油が第一通路41を通ってポンプ21に吸い込まれ、出力シリンダ71が伸張作動して制輪子29を車輪60から離す。
【0039】
第一、第二通路41,42を結ぶ通路にはオリフィス27が介装され、作動時にモータ20の回転数をある程度以上に高めることで出力シリンダ71の作動が安定するようになっている。
【0040】
第一、第二通路41,42の途中には常閉型の第一、第二電磁バルブ19,18がそれぞれ介装される。第一、第二電磁バルブ19,18は、その通電時に第一、第二通路41,42を開通する開ポジションに切り換えられ、その非通電時にチェックバルブ49,48を介して緩解側油室3、制動側油室4から作動油が流出することを止める閉ポジションに切り換えられる。
【0041】
コントローラ50は、ポンプ21が回転する常用ブレーキの作動時にて第一、第二電磁バルブ19,18を開ポジションに切り換える。コントローラ50は、制輪子29を車輪60から離れた緩解保持時に第一、第二電磁バルブ19,18を閉ポジションに切り換えて、ポンプ21の回転を停止する。こうして緩解保持時に第一、第二電磁バルブ19,18によって緩解側油室3、制動側油室4の作動油圧が保持されるため、ポンプ21の作動を停止することが可能となり、省力化が図れる。
【0042】
この電動油圧アクチュエータの閉回路はドレーン通路45を介してリザーバタンク22が接続される。ドレーン通路45は第一、第二チェックバルブ46,47を介して第一、第二通路41,42に接続される。第一、第二チェックバルブ46,47は互いに連動して開閉作動し、一方が開弁すると他方が閉弁するようになっている。
【0043】
保安ブレーキ作動時および停留ブレーキ作動時に緩解側油室3から流出する作動油を制動側油室4に導く第三通路43が設けられ、この第三通路43の途中に常開型の第三電磁バルブ17が介装される。第三電磁バルブ17の開弁時、緩解側油室3から流出する作動油は、第三通路43→ドレーン通路45→チェックバルブ47→第二通路42→第二電磁バルブ18→制動側油室4の順に流れる。
【0044】
第三通路43の途中にはオリフィス26が介装される。このオリフィス26の絞りによって緩解側油室3から流出する作動油の流量が調節されるため、保安ブレーキ作動時の制動トルクの立ち上がり特性を任意に設定できる。
【0045】
次に、電動油圧アクチュエータ70の動作について説明する。
【0046】
・停留ブレーキ作動時
ブレーキユニットの全てが非通電状態となり、第一、第二電磁バルブ19,18が閉ポジションに切り換えられる一方、第三電磁バルブ17が開ポジションに切り換えられて第三通路43が開通する。ブレーキスプリング5の付勢力によってピストン2が制動方向に移動するのに伴い、緩解側油室3の作動油が第三電磁バルブ17を介して第三通路43を通って流出する一方、作動油が第二電磁バルブ18のチェックバルブを通って制動側油室4に流入する。こうしてブレーキスプリング5の付勢力によって制輪子29は車輪60に押し付けられ、停留時に必要な制動トルクが生じる。
【0047】
・ブレーキ緩解作動時上位側ブレーキシステム51から緩解動作指令を受けるとコントローラ50は次の順に動作させる。
(1)コントローラ50は第三電磁バルブ17,18,19を全て通電し、第一、第二通路41,42を開通させ、第三通路43を閉じる。
(2)電動モータ20を作動させ、油圧ポンプ21から吐出する作動油を緩解側油室3に送り込む。この油圧力を受けてピストン2はブレーキスプリング5に抗して緩解方向に移動し、制輪子29を車輪60から離す。
(3)この緩解作動時に、緩解側油室3の圧力P1が所定値以上に上昇すると、圧力スイッチ15がONとなり、コントローラ50は図示しない表示装置を作動させ運転者にこの緩解作動状態を知らせる。
(4)第一電磁バルブ19を非通電して閉弁させ、電動モータ20の作動を停止し、緩解側油室3の圧力P1を維持して緩解状態を保つ。こうして緩解保持時に第一、第二電磁バルブ19,18によって緩解側油室3、制動側油室4の作動油圧が保持されるため、ポンプ21の作動を停止することが可能となり、省力化が図れる。
【0048】
・常用ブレーキ作動時または非常ブレーキ作動時上位側ブレーキシステム51から常用ブレーキ制動動作指令または非常ブレーキの制動動作指令を受けるとコントローラ50は次の順に動作させる。
(1)コントローラ50は第三電磁バルブ17,18,19が全て通電し、第三通路43を閉じ、第一、第二通路41,42を開通させる。
(2)電動モータ20を作動させ、油圧ポンプ21から吐出する作動油を制動側油室4に送り込む。この油圧力とブレーキスプリング5の付勢力を受けてピストン2は制動方向に移動し、制輪子29を車輪60に押し付け、制動トルクを発生させる。このとき、コントローラ50は圧力センサ13,14によって検出される緩解側油室3と制動側油室4の圧力差P2−P1が所定値以上に上昇するように電動モータ20の作動をフィードバック制御する。
【0049】
・保安ブレーキ作動時上位側ブレーキシステム51から保安ブレーキの制動動作指令を受けるとコントローラ50は次の順に動作させる。
(1)コントローラ50は第三電磁バルブ17,19の通電を停止し、第二電磁バルブ18を通電する。これにより、第一通路41が閉塞され、第三通路43と第二通路42が開通する。
(2)電動モータ20を作動させ、油圧ポンプ21から吐出する作動油を制動側油室4に送り込む。この油圧力とブレーキスプリング5の付勢力を受けてピストン2は制動方向に移動し、制輪子29を車輪60に押し付け、制動トルクを発生させる。このとき、緩解側油室3の作動油は第三通路43のオリフィス26を通って流出し、制動トルクの立ち上がり特性がこのオリフィス26とジャークスプリング7によってコントロールされる。
【0050】
このように、停電時等の保安ブレーキ作動時に第三通路43が第三電磁バルブ17を介して開通し、保安電源によってポンプ21を作動させて作動油圧を制動側油室4に導く構成としたため、ブレーキスプリング5の付勢力と出力シリンダ71の油圧力とによって制動トルクが生じる。この結果、ブレーキスプリング5のバネ力を保安ブレーキ相当のバネ力とする必要がなく、ブレーキスプリング5によって装置が大型化することを回避できる。
【0051】
万一の保安電源の失陥等によって油圧ポンプ21が作動しない場合でも、第三通路43が常開型の第三電磁バルブ17を介して開通し、緩解側油室3の作動油を第三通路43から流出させる構成のため、例えば保安電源の失陥等によって油圧ポンプ21が作動しない場合でも、ブレーキスプリング5の付勢力によってピストン2が移動して制動トルクが生じる。この電源の失陥時、第二電磁バルブ18は閉ポジションに切換わるが、作動油はチェックバルブ48を開いて拡張する制動側油室4へと流入する。
【0052】
電源やモータ20の失陥時等に車両を牽引する場合、停留ブレーキの作動を解除する必要がある。これに対処して油圧アクチュエータ70の油圧回路には、外部の油圧源に接続して緩解側油室3へ加圧作動油を導入し、制動側油室4の作動油をリザーバタンク22に導入する停留ブレーキ解除手段が設けられる。この停留ブレーキ解除手段として、手動油圧源(手動ポンプ)80を接続させてこれから送り込まれる作動油を緩解側油室3に導く緩解通路(カプラ)81と、緩解通路81の途中に介装されるチェックバルブ82と、第三通路43を閉塞する止め弁83と、リザーバタンク22の作動油を制動側油室4に導く第四通路44と、この第四通路44を閉塞する止め弁84とを備える。
【0053】
停留ブレーキの作動を手動で解除する場合、止め弁83を閉じ、止め弁84を開き、手動油圧源80から加圧作動油を緩解通路81に送り込む。こうして緩解通路81に送り込まれる作動油は、チェックバルブ82を通って緩解側油室3へと流入し、ブレーキスプリング5に抗してピストン2を移動する。このピストン2の移動に伴って収縮する制動側油室4の作動油は、手動バルブ84を通ってリザーバタンク22に流入する。これにより、制輪子29が車輪60から離れ、停留ブレーキの作動が解除され、車両を牽引することが可能となる。
【0054】
停留ブレーキ解除手段により停留ブレーキの作動が解除された状態で、電磁バルブ18等からの作動油の洩れによって再び停留ブレーキが作動する可能性がある。
【0055】
これに対処して、図5の(a),(b)に示すように、リンク11をボディ1に引き寄せてブレーキ装置を緩解状態に保持する緩解状態ロック機構85が設けられる。この緩解状態ロック機構85は、ボディ1に貫通される固定ピン86と、リンク11に貫通される可動ピン87と、固定ピン86の両端部に連結される一対のプレート88と、各プレート88に螺合してその先端が可動ピン87に当接する一対のストッパボルト89とを備える。
【0056】
緩解状態ロック機構85を作動させる場合、停留ブレーキ解除手段により停留ブレーキの作動を解除してリンク11がボディ1に引き寄せられた状態で、各ストッパボルト89をねじ込むことにより、各ストッパボルト89の先端を可動ピン87に当接させ、リンク11の動きをロックする。
【0057】
以上のように、このブレーキ装置は電動油圧アクチュエータ70とブレーキスプリング5を用いて常用ブレーキ、保安ブレーキ、停留ブレーキを安定的にかけられる一方、電源やモータ20の失陥時等に車両を牽引する場合に停留ブレーキの作動を解除し緩解状態に保持することができる。
【0058】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すブレーキ装置のシステム図。
【図2】同じくブレーキ装置の縦断面図。
【図3】同じくブレーキ装置の横断面図。
【図4】同じく電動油圧アクチュエータの油圧回路図。
【図5】同じくブレーキ装置の平面図および側面図。
【符号の説明】
2 ピストン
3 緩解側油室
4 制動側油室
5 ブレーキスプリング
6 ジャークシリンダ
7 ジャークスプリング
9 出力ピン
10 制輪子頭
11 リンク
17 第三電磁バルブ
18 第二電磁バルブ
19 第一電磁バルブ
29 制輪子
41 第一通路
42 第二通路
43 第三通路
50 コントローラ
70 電動油圧アクチュエータ
71 出力シリンダ
81 緩解通路
85 緩解状態ロック機構

Claims (4)

  1. 制輪子を車輪の踏面に押し付け付勢するブレーキスプリングと、この制輪子を車輪の踏面に対して変位させる出力シリンダと、出力シリンダと制輪子の間に介装されるジャークスプリングとを備え、ポンプの吐出方向を切換えることによって出力シリンダの作動方向が切換わるブレーキ装置において、前記出力シリンダを車体に固定するボディと、このボディに摺動可能に収められるピストンによって構成し、前記ピストンを中空構造としてその内側に前記ブレーキスプリングと前記ジャークスプリングを前記ピストンを挟むように並んで介装し、前記ピストン内に前記ジャークスプリングを介して挿入されるジャークロッドと、このジャークロッドの変位を前記制輪子に伝える出力ピンと、この出力ピンをジャークロッドに対して回動可能に支持するベアリングと、前記制輪子を前記ボディに対して回動可能に支持するリンクと、を備え、前記出力ピンと前記制輪子と前記リンクとを回動可能に連結する軸を設け、前記出力ピンと前記制輪子の間に前記出力ピンに対して前記制輪子が回動する相対変位を抑制するダンパ機構を設けたことを特徴とする鉄道車両用ブレーキ装置。
  2. 前記制輪子を前記ボディに対して回動可能に支持するリンクと、このリンクを前記ボディに対して引き寄せて保持する緩解状態ロック機構と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用ブレーキ装置。
  3. 前記ブレーキスプリングは巻き径の異なるコイルバネを互いに同心上に並んで介装したことを特徴とする請求項1または2に記載の鉄道車両用ブレーキ装置。
  4. 前記ピストンによって緩解側油室および制動側油室が仕切られ、外部の油圧源に接続して前記緩解側油室へ加圧作動油を導入し、前記制動側油室の作動油をリザーバタンクに導入する停留ブレーキ解除手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の鉄道車両用ブレーキ装置。
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