JP4331455B2 - 内視鏡システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像素子を内蔵した内視鏡と、この内視鏡で撮像した被写体の撮像信号を所定の信号処理を行い映像信号に変換生成し、その映像信号により被写体像をモニター画面に表示させたり、録画記録機器で録画記録させるビデオプロセッサとからなる内視鏡システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から体腔内や管状内を観察する内視鏡システムが実用化されている。この内視鏡システムは、対物レンズ、被写体撮像用の撮像素子、及び照明光をガイドするライトガイド等を内蔵し、体腔内や管状内に挿入される挿入部と、この挿入部の基端に設けられ挿入部を湾曲操作する操作部とからなる内視鏡装置と、この内視鏡装置の撮像素子を駆動制御すると共に、撮像素子で撮像生成した被写体撮像信号に所定の信号処理を施して、モニターに被写体像を表示させたり、録画記録装置に録画記録させる映像信号を生成するビデオプロセッサとからなっている。
【0003】
この内視鏡装置の操作部には、挿入部を湾曲操作させる機能と共に、ビデオプロセッサやビデオプロセッサに接続されたモニター機器、録画記録機器、及びその他の機器等の外部機器を駆動制御するための操作スイッチが設けられ、且つ、撮像素子の高画素化により内視鏡観察対象や用途によって様々な種類の内視鏡が開発実用化されている。
【0004】
この多種類の内視鏡の撮像素子を駆動制御すると共に、撮像生成された撮像信号の信号処理と外部機器の駆動制御を行うビデオプロセッサも内視鏡に対応させて設ける必要がある。
【0005】
このような多種類の内視鏡を共通に駆動制御すると共に、内視鏡の操作部に設けられた操作スイッチの数や機能に応じて、外部機器の駆動制御を可能とする共通ビデプロセッサを有し、内視鏡観察撮像された被写体像の撮像映像信号をVTR機器に録画記録するための操作指示が前記操作部の操作スイッチから指示された際に、ビデオプロセッサはVTR装置を録画駆動させる内視鏡装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−2238号公報(カラム007−カラム0034,図1−図11)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の内視鏡装置は、ビデオプロセッサである撮像制御装置に接続される外部機器であるVTR装置に内視鏡で観察撮像した被写体像の映像信号を録画記録する際に、内視鏡の操作部に設けた操作スイッチからの録画記録指示を検知して、VTR装置を録画記録駆動させるようになっている。
【0008】
しかし、内視鏡観察を行う際に、内視鏡の準備、体腔内への内視鏡挿入、及び被写体像の観察と、あわただしく進行するために、内視鏡観察時に撮像生成された被写体像の映像信号のVTR装置への録画記録を忘れることがある。
【0009】
この内視鏡による観察の際の撮像素子で撮像生成した被写体像の映像信号のVTR装置による録画記録は、後日の内視鏡観察の見直や、さらなる内視鏡操作手技の改良・普及のためには不可欠なデータであり、もし仮に内視鏡観察の映像信号の録画記録を忘れることは非常に大きな損失である。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、内視鏡観察時に撮像生成した被写体像の映像信号を内視鏡観察開始から終了まで確実に録画記録できる内視鏡システムを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の内視鏡システムは、撮像素子を有する内視鏡と、前記内視鏡に接続され、当該内視鏡が接続された際、前記撮像素子を駆動制御すると共に、当該撮像素子で撮像生成された撮像信号を入力し、所定の信号処理を施し、モニター表示及び録画記録用の映像信号を生成するビデオプロセッサと、を備えた内視鏡システムにおいて、前記内視鏡に設けられ、前記撮像素子の識別情報を記憶する撮像素子識別情報保持手段と、前記ビデオプロセッサに設けられ、前記内視鏡が接続されているか否かを判定する接続判定手段と、前記ビデオプロセッサに設けられ、前記撮像素子識別情報保持手段に記憶された識別情報に基づいて、接続された内視鏡における撮像素子が当該ビデオプロセッサに適合するものであるか否かを判定する適合判定手段と、前記接続判定手段および前記適合判定手段の判定結果に基づいて、前記映像信号の録画記録の開始および録画記録継続の制御を行う録画記録制御手段と、を具備し、前記録画記録制御手段は、前記接続判定手段および前記適合判定手段の判定結果を常に監視し、当該判定結果に基づいて、前記ビデオプロセッサに所定の内視鏡が接続されており、かつ、当該接続された内視鏡における撮像素子が当該ビデオプロセッサに適合するものである状態にあるときに、自動的に前記映像信号の録画記録の開始または録画記録継続を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の内視鏡システムの前記撮像素子識別情報保持手段は、前記内視鏡を前記ビデオプロセッサに接続するために内視鏡に設けられたカメラコネクタ内に配置されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の内視鏡システムは、内視鏡をビデオプロセッサに接続させ、それらの駆動電源を供給すると、内視鏡の撮像素子撮像素子識別情報保持手段からの撮像素子の識別情報の基で、ビデオプロセッサから録画記録機器の録画駆動制御を行い、内視鏡観察の開始と共に、観察撮像した被写体像の映像信号の録画記録が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。最初に本発明に係る内視鏡システムの一実施形態を図1乃至図3を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明に係る内視鏡システムの一実施形態の構成を示すブロック図、図2は本発明に係る内視鏡システムに用いるビデオプロセッサに設けられている制御部の構成を示すブロック図、図3は本発明に係る内視鏡システムの動作を説明するフローチャートである。
【0016】
本発明の係る内視鏡システムは、図1に示すように、手術用の内視鏡(以下、単に内視鏡と称する)1、ビデオプロセッサ2、光源装置3、モニタ装置4、及び外部接続機器5からなり、外部機器5には、VTR装置5a、電気メス装置5b、気腹装置5c等がある。
【0017】
内視鏡1は、挿入部11と、この挿入部11の基端に設けられた操作部100と、この操作部100の基端から延出されたユニバーサルコード21と、このユニバーサルコード21の基端に設けられたカメラコネクタ6とライトガイドコネクタ7からなっている。
【0018】
この内視鏡1の挿入部11の先端側から順に先端硬質部13、湾曲部14、及び硬性パイプ15からなっている。先端硬質部13には、対物レンズ、撮像素子、照明レンズ等が内蔵されている。湾曲部14は、操作部100に設けられているレバー18の操作により、2方向、又は4方向に湾曲されるようになっている。硬性パイプ15は、前記先端硬質部13に設けられている撮像素子の駆動制御用と撮像生成された被写体撮像信号用の信号ケーブル、照明光を導くライトガイドファイバー、及び湾曲部14を湾曲操作する湾曲ワイヤー等が内装されている。
【0019】
また、この挿入部11の外周には、レンズ洗浄シース12が外装されるようになっている。このレンズ洗浄シース12は、挿入部11の外周面と、レンズ洗浄シース12の内周面との間に洗浄水を流入して、先端硬質部13に設けられている対物レンズ面を洗浄するものである。
【0020】
操作部100は、前記挿入部11と接続されている先端側から、操作スイッチ16a、16bを設けた第1グリップ17、この第1グリップ17の手元側に設けられ湾曲部14を湾曲操作するレバー18を設けた操作本体19、及び操作本体19の手元側に設けた第2グリップ20からなっている。この第2のグリップ20の基端から長尺のユニバーサルコード21が延出され、このユニバーサルコードの手元側にカメラコネクタ6が接続され、このカメラコネクタ6から延出したライトガイドファイバーを介してライトガイドコネクタ7が接続されている。
このユニバーサルコード21は、前記挿入部11の先端硬質部13に設けられている撮像素子の駆動及び撮像信号用、第1グリップ17の操作スイッチ16a,16b用のケーブルと、挿入部11の先端硬質部13から投射される照明光を導くライトガイドファイバー等からなり、それらケーブルがカメラコネクタ6とライトガイドコネクタ7に接続されている。
【0021】
なお、カメラコネクタ6には、後述する撮像素子識別情報保持回路22を有してる。
【0022】
ビデオプロセッサ2は、前記カメラコネクタ6が接続されるカメラコネクタ受け8を有し、前記内視鏡1の先端硬質部13に設けられた撮像素子を駆動制御する機能と、その撮像素子で撮像生成した撮像信号に所定の信号処理を施して、映像信号を生成する機能と、前記内視鏡1の操作部100の操作スイッチ16a,16bの操作に応じて、前記撮像信号から静止画と動画の映像信号生成やそれら映像信号の録画記録を行う制御機能、及びこのビデオプロセッサ2に接続される各種外部接続機器5や光源装置3の駆動制御機能等を内蔵している。なお、このビデオプロセッサ2で生成される映像信号は、テレビ映像信号である。
【0023】
光源装置3は、前記ライトガイドコネクタ7が接続されるライトガイドコネクタ受け9を有し、このライトガイドコネクタ受け9から照明光を投射するための光源ランプとその光源ランプの点灯制御機能とが内蔵されている。なお、光源装置3と前記ビデオプロセッサ2との間には、ライトコントロールケーブル10が接続されており、ビデオプロセッサ2で撮像信号の画像の明るさを検出し、この画像が適切な明るさになるように光源装置3の出射光量を制御できるようになっている。
【0024】
前記ビデオプロセッサ2に接続されているモニター装置4は、ビデオプロセッサ2で生成された映像信号を基にモニター画面4aに前記内視鏡1で撮像した被写体像を表示させるようになっている。
【0025】
前記ビデオプロセッサ2に接続されている外部接続機器5のVTR装置5aは、前記映像信号を磁気テープに録画記録するもので、電気メス装置5bは、前記内視鏡1に設けられている図示してない鉗子チャンネルに挿通された電気メス鉗子を駆動制御するもので、気腹装置5cは、前記内視鏡1で観察している部位に送気して気腹させるものである。
【0026】
このような構成の内視鏡システムにおいて、図2に示すように、前記内視鏡1のカメラコネクタ6に撮像素子識別情報保持回路22が内蔵され、ビデオプロセッサ2には、前述した各機能のほかに、内視鏡1の種別を判定し、且つ、VTR装置5aでの録画記録制御を行う制御部23が内蔵されている。
【0027】
カメラコネクタ6に内蔵される撮像素子識別情報保持回路22は、内視鏡1の先端硬質部13に設けられている撮像素子の種類、画素数、及び駆動形式等と、操作スイッチ16a,16bの数や各スイッチの機能等とから識別される情報を記録保持させるものである。つまり、撮像素子を主体とする内視鏡の種別を識別するための情報を記録保持させている。なお、以降の説明の関係から単に撮像素子識別情報と称する。
【0028】
一方、前記ビデオプロセッサに設けられている制御部23は、前記カメラコネクタ6の撮像素子識別情報保持回路22に記録保持されている撮像素子識別情報を読み出し検出する撮像素子識別情報検出部24と、この撮像素子識別情報検出部24で検出した撮像素子識別情報からこのビデオプロセッサ2に適合する内視鏡1であるか否か判定する非対応撮像素子判断部25と、前記カメラコネクタ6の撮像素子識別情報保持回路22から前記撮像素子識別情報検出部24が撮像素子識別情報を検出できたか否かにより、前記カメラコネクタ受け8に前記カメラコネクタ6が接続されているか否か判定する非接続判断部26と、前記非対応撮像素子判断部25と非接続判断部26の判定結果で、外部接続機器5の駆動を制御する駆動制御信号を生成する外部接続機器制御部27と、この外部接続機器制御部27で生成された駆動制御信号を外部接続機器5にそれぞれ伝達する外部接続機器インターフェース回路28とが設けられている。なお、ビデオプロセッサ2で生成された映像信号の外部接続機器5への供給ルートは図示していない。
【0029】
このビデオプロセッサ2に外部接続機器5としてVTR装置5aを接続して、内視鏡1で観察撮像した被写体像の映像信号を自動的に録画記録させる場合の動作について、図3を用いて説明する。
【0030】
ビデオプロセッサ2に内視鏡1、光源装置3、モニター装置4、外部接続機器5のVTR装置5a、電気メス装置5b、及び気腹装置5cが接続されて、各装置と機器の駆動電源が入力オンされると、ビデオプロセッサ2の制御部23は、図示していない駆動電源検知手段で駆動電源入力オンを検知する(ステップS11)。この駆動電源入力オンが検知されると、モニター装置4に対してビデオプロセッサ2が起動したことを表示するために、図示していないメッセージ生成手段で、例えば、モニター装置4のモニター画面4aに「Please Wait」等の文字を表示させるキャラクタ表示信号を生成して、外部接続機器制御部27と外部接続機器インターフェース回路28を介して、前記モニター装置4に出力表示させる(ステップS12)。
【0031】
次に、ビデオプロセッサ2の制御部23は、ビデオプロセッサ2に接続されているカメラコネクタ6に内蔵されている撮像素子識別情報保持回路22から撮像素子識別情報を撮像素子識別情報検出部24で読み込み検出する(ステップS13)。
【0032】
このステップS13で撮像素子識別情報検出部24によって撮像素子識別情報保持回路22からの撮像素子識別情報の読み込み検出が終了すると、非接続制御部26で、ビデオプロセッサ2のカメラコネクタ受け8に前記内視鏡1のカメラコネクタ6が接続されているか、つまり、内視鏡装置は未接続か判定される(ステップS14)。
【0033】
このステップS14の内視鏡装置の未接続判定は、カメラコネクタ6がビデオプロセッサ2に接続されていると、前記ステップS13で、ビデオプロセッサ2の制御部23の撮像素子識別情報検出部24がカメラコネクタ6の撮像素子識別情報保持回路22から撮像素子識別情報が読み込み検出できることから、撮像素子識別情報の読み込み検出されたか否かで判定される。
【0034】
このステップS14の内視鏡装置の未接続判定の結果、ビデオプロセッサ2に内視鏡1が接続されていないと判定されると、制御部23は、図示してないメッセージ生成手段でモニター装置4に内視鏡1の未接続を表示するための警告メッセージを表示するキャラクタ表示信号を生成して外部接続機器制御部27と外部接続機器インターフェース回路28を介して、前記モニター装置4に出力表示させる(ステップS15)と共に、外部接続機器制御部27で外部接続機器5のVTR装置5aに対しての録画記録停止、又は録画記録停止状態の維持等の制御信号を生成して、外部接続機器インターフェース回路28を介して、VTR装置5aに出力させる。
【0035】
前記ステップS14で、内視鏡1がビデオプロセッサ2に接続されていると判定されると、前記撮像素子識別情報検出部24で読み込み検出した撮像素子識別情報からビデオプロセッサ2で信号処理したり、VTR装置5aを録画記録駆動できるか否か非対応撮像素子判断部25で判定される(ステップS16)。
【0036】
このステップS16の判定の結果、ビデオプロセッサ2に接続された内視鏡1は、非対応であると判定されると、制御部23は、図示してないメッセージ生成手段でモニター装置4に内視鏡1は非対応であることを表示するための警告メッセージを表示するキャラクタ表示信号を生成して外部接続機器制御部27と外部接続機器インターフェース回路28を介して、前記モニター装置4に出力表示させる(ステップS17)と共に、外部接続機器制御部27で外部接続機器5のVTR装置5aに対しての録画記録停止、又は録画記録停止状態の維持等の制御信号を生成して、外部接続機器インターフェース回路28を介して、VTR装置5aに出力させる。
【0037】
前記ステップS16で、ビデオプロセッサ2に接続された内視鏡1は、対応である判定されると、外部接続機器制御部27で外部接続機器5のVTR装置5aに対しての録画記録開始、又は録画記録の継続の制御信号を生成して、外部接続機器インターフェース回路28を介して、VTR装置5aに出力させる(ステップS18)。
【0038】
前記ステップS15,S17、及びS18が終了すると、制御部23は、所定時間間隔でステップS13以降が繰り返し実行される。
【0039】
つまり、ビデオプロセッサ2に適合した内視鏡1を初めとする各種外部接続装置5が接続されて駆動電源が入力オンされ、ビデオプロセッサ2の制御部23で接続された内視鏡1がビデオプロセッサ2と適合すると判断されると、制御部23からVTR装置5aを録画記録開始させる制御信号が生成供給されて、内視鏡1で撮像生成した被写体像の映像信号が録画記録される。
【0040】
もし、録画記録中に内視鏡1がビデオプロセッサ2から外れた場合には、所定時間間隔でステップS13からS18までの繰り返し処理の過程のステップS14で「未接続」と判断されて、ステップS15の警告メッセージと共に、VTR装置5aへの録画記録停止制御が行われる。
【0041】
また、ビデオプロセッサ2に適合しない内視鏡1が接続された場合は、ステップS16で「非対応」と判断され、ステップS17の警告メッセージと共に、VTR装置5aに対しては、録画記録停止制御が行われる。
【0042】
さらに、ビデオプロセッサ2の駆動電源が入力オンされた時点では、内視鏡1が接続されていない場合は、ビデオプロセッサ2の制御部232は、ステップS14で「非接続」と判断し、ビデオプロセッサ2の駆動電源入力オン後に、内視鏡1が接続された場合は、その内視鏡1が接続された時点以降にステップS14で内視鏡1の接続が確認され、且つ、ステップS16でその接続された内視鏡1が適合であると「対応」と判定されると、VTR装置5aの録画記録が開始される。
【0043】
したがって、ビデオプロセッサ2に内視鏡1が接続され、且つ、その内視鏡1とビデオプロセッサ2とが適合した際には、VTR装置5aでの撮像信号の録画記録が自動的に開始され、且つ、内視鏡1とビデオプロセッサ2が接続駆動状態が継続されると録画記録も継続できる。
【0044】
なお、前記VTR装置5aは、磁気テープに撮像生成された映像信号を録画記録するものであるが、ハードディスクやDVD−R等の他の記録メディアに録画記録する装置を用いることも可能であることは明らかである。
【0045】
次に、体腔内に挿入される内視鏡の挿入部にレンズ洗浄シースを外装させて、挿入部の外周とレンズ洗浄シースの内周との間の流体通路に洗浄液を流水させて、挿入部先端の対物レンズを洗浄させている。しかし、レンズ洗浄シース内周に残存した洗浄液が対物レンズ面へ滴る現象で、視野不良となるために、レンズ洗浄シースに洗浄液のしたたりを防止するレンズ洗浄シースが本件出願人が出願した特願2001−381615号の明細書に記載されている。
【0046】
しかし、内視鏡の挿入部の外周と、レンズ洗浄シースとの間の流体通路に残存した洗浄液によって、レンズ洗浄シースが挿入部から抜けにくくり、無理に抜くとシースを破損する虞がある。このようなレンズ洗浄シースが内視鏡挿入部から抜けにくくなる現象による破損を防止するレンズ洗浄シースを図4と図5を用いて説明する。
【0047】
図4は本発明に係る内視鏡システムの内視鏡挿入部に設けるレンズ洗浄シースの一実施形態を示す平面図、図5は本発明に係る内視鏡システムの内視鏡挿入部に設けるレンズ洗浄シースの他の実施形態を示す平面図である。
【0048】
最初に図4に示すように、レンズ洗浄シース12は、前記内視鏡1の挿入部11の外径よりもやや大きい内径を有する円筒状で、先端側から先端硬質部30、この先端硬質部30の基端側に接続された柔軟で湾曲可能な湾曲チユーブ31、この湾曲チューブ31の基端側に接続された硬質パイプ32からなっている。
【0049】
前記先端硬質部30は前記内視鏡1の挿入部11の先端硬質部13の外周に、前記湾曲チューブ31は内視鏡1の挿入部11の湾曲部14の外周に、前記硬質パイプ32は内視鏡1の挿入部11の硬性パイプ15の外周に、装着位置されるようになっている。
【0050】
このレンズ洗浄シース12の先端硬質部30の先端側は、図示していないが、円筒軸方向に突き出した縁が設けられており、前記内視鏡1の挿入部11の外周面と、この挿入部11に装着した前記レンズ洗浄シース12の内周面と、の間に形成される空間内に洗浄液を流入させて、その洗浄液が挿入部11の先端硬質部13の先端に設けた対物レンズの表面へと噴射されるようになっている。
【0051】
前記レンズ洗浄シース12の硬質パイプ32には、この硬質パイプ32の外周面と内周面とを連通させる開口33が設けられている。
【0052】
この開口33は、前記挿入部11とレンズ洗浄シース12との間の空間に洗浄液を流入、又は流出させた後に、その空間に残存する洗浄液をレンズ洗浄シース12の外側に吐出させると共に、空気の流出入によりレンズ洗浄シース12の内周面と内視鏡1の挿入部11の外周面とを密着しにくくしている。
【0053】
このため、内視鏡1の挿入部11からレンズ洗浄シース12を取り外す際に、挿入部11とレンズ洗浄シース12が密着することなくスムーズに取り外しが可能となり、レンズ洗浄シース12を損傷することもない。
【0054】
なお、図5に示すように、レンズ洗浄シース12の硬質パイプ32に設けた開口33を湾曲パイプ31に外周面と内周面を連通する開口34を設けても、同じ作用と効果を有する。
【0055】
ところで図1に示すような手術用の内視鏡1は、手術中に患者の腹部等に刺入したトロッカーから挿入して腹腔内を観察する。この腹腔内を内視鏡1で観察する際には、腹腔内の観察中は常時内視鏡1を挿入させることなく、観察を中断させて内視鏡1を腹腔内から引き抜くこともある。
【0056】
この観察中断されて腹腔内から引き抜かれた内視鏡1は、再度の腹腔内への挿入に備えて滅菌ドレープ等の上に一時的に載置されることが多い。
【0057】
しかし、この滅菌ドレープの上に載置された内視鏡1は、安定性が悪く、場合によっては内視鏡1が滅菌ドレープから落下する恐れがある。
【0058】
また、滅菌ドレープの上に載置する内視鏡1の置き方によっては、柔軟な湾曲部14を破損する虞がある。
【0059】
このように、内視鏡観察持に、一時的に内視鏡観察を中断して、滅菌ドレープ等の上に一時載置する際の内視鏡の載置安定性と破損が防止できる保護シースを図6を用いて説明する。
【0060】
この保護シース35は、内視鏡1の挿入部11が先端硬質部13から挿入される円錐状の開口36と、この開口36の先端側に硬性パイプ37とから構成され、硬性パイプ37の外周には、保護シース35を滅菌ドレープに固定する把持具38が設けられている。なお、開口36は、内鏡1の挿入部11の外径に対して十分大きい内径を有し、入り口から硬性パイプ37へと徐々に内径が細くなるような円錐形状、あるいは漏斗状に形成されている。また、硬質パイプ37の内径は、挿入部11の外径よりも若干大きい(例えば、挿入部11の外形寸法よりも1〜3mm程度大きくする)寸法に形成されている。また、前記硬質パイプ37の長さは、前記内視鏡1の挿入部11の全長よりも若干長く、挿入部11の先端硬質部13が硬性パイプ37の先端から突出しない程度の長さ寸法とする。
【0061】
このような保護シース35に対して、観察を中断した際の内視鏡1の挿入部11を、前記挿入部11の先端硬質部13の先端から保護シース35の開口36から硬質パイプ37へと挿入すると、内視鏡1は、保護シース35に確実に収納保護され、保護シース35を逆さまにしない限り、内視鏡1は安定に保持でき、且つ、落下破損も生じることはなく、且つ、滅菌ドレープに取り付けられていることで、内視鏡1を滅菌状態に保持できる。
【0062】
次に、内視鏡1の挿入部11の先端に設けられている先端硬質部13の構成について、図7乃至図11を用いて説明する。図7は本発明に係る内視鏡挿入部の先端硬質部の構成を示す断面図、図8は図7の切断線A−Aから切断した断面図、図9は、本発明に係る内視鏡挿入部の先端硬質部の変形例を示す斜視図、図10は本発明ら係る内視鏡装置に産の先端構成部の変形例の組み立て状態を示す断面図、図11は本発明に係る内視鏡挿入部の先端構成部の応用例を示す断面図である。
【0063】
本発明の内視鏡1の挿入部11の先端硬質部13の内部には、図7と図8に示すように、複数の対物レンズと固体撮像素子等からなる撮像装置40と、ライトガイドファイバー41が固定され、先端硬質部13の手元側には、湾曲部14の先端側構成部品である湾曲管42が接着によって固定されている。この先端硬質部13は、湾曲管42と接着される部分において、切り欠き43を有し、この切り欠け43の無い部分の湾曲管42は、先端硬質部13の内側に配置するが、切り欠け43の部分では、湾曲管42を外側に凸状に加工した凸部44が設けられている。
【0064】
このような構成とすることで、先端硬質部13と湾曲管42の間の回転防止及び固定強度向上が達成できる。
【0065】
また、図9に示すように、先端硬質部13の手元側に軸方向に向けて延びる保護壁13aの手元側端部に突起45を設け、この突起45を図10に示すように湾曲管42に設けた切り曲げ部46の隙間47に差し込むことで先端硬質部13と湾曲管42の固定強度を向上することもできる。
【0066】
なお、図11に示すように、先端硬質部13の保護壁13aを切り欠け43側端部を先端硬質部13の内側に曲げることで保護壁13aに近接するライトガイドファイバー41を保護することもできる。
【0067】
前述の内視鏡1は、近年、より短時間で滅菌処理への対応が要望され、例えば、オートクレーブ滅菌への対応が望まれている。
【0068】
このオートクレーブ滅菌に対応した内視鏡1の挿入部11に設けられる撮像装置40の構成について、図12と図13を用いて説明する。図12は本発明に係る内視鏡の挿入部に設けられる撮像装置の構成を示す断面図、図13は本発明の内視鏡の挿入部に設けられた撮像装置を密閉接合する基板の構成を示す平面図である。
【0069】
本発明の内視鏡1の挿入部11に設けられる撮像装置40は、対物レンズ等の複数のレンズからなるレンズユニット50と、このレンズユニット50からの被写体像を光電変換して撮像信号を生成する撮像素子である電荷結合素子(以下、CCD=Charge Coupled Deviceと称する)51と、このCCD51の信号出力をインピーダンス変換する集積回路素子(以下、ICと称する)52とからなり、被写体光を取り込む先端側にサファイア53が設けられ、このサファイア53のの外周にはステンレス材で形成された第1の枠54が気密に半田接合されている。
【0070】
前記レンズユニット50は、絶縁セラミック枠55の内周面に取付固定されている。この絶縁セラミック枠55の両端の外周には、ステンレス材で形成された第2の枠56と第3の枠57が気密に半田接合されると共に、前記サファイア53を半田接合した第1の枠54と絶縁セラミック枠55を半田接合した第2の枠56を嵌合させ、その嵌合部をレーザー溶接している。
【0071】
さらに、前記絶縁セラミック枠55に半田接合された第3の枠57は、前記CCD51を取付固定するステンレス材で形成された第4の枠59の先端側と嵌合させてレーザー溶接されている。このCCD51を取付固定する第4の枠59には、CCD51の被写体光入射側にレンズ58が取付固定されている。
【0072】
このCCD51とレンズ58を取付固定した第4の枠59の外周には、ステンレス材で形成された第5の枠60が嵌合されてレーザ溶接されており、この第5の枠60の基端部の内周には、ガラス材で生成された基板61が気密に半田接合されている。
【0073】
前記第4の枠49のCCD51の後方で、前記第5の枠60と前記基板61とで形成する内部空間には、CCD51とIC52及び複数の信号線が配置されて接着剤で固化固定されている。
【0074】
前記基板61には、前記IC52の各種入出力端子と接続する複数のスルーホール63と、ケーブル66の複数の信号線67が接続される複数のケーブルスルーホール65と、前記スルーホール63とケーブルスルーホール65との間をそれぞれ接続する複数の導電パターン64が形成されている。なお、この基板61には、前記スルーホール63,65及び導電パターン64以外にIC52の入出力端子とケーブル66の信号線67との間に抵抗などを配置する場合の電子部品配置スペースも確保されている。また、前記ケーブル66は、内視鏡の挿入部11と操作部100からユニバーサルコード21へと延出されている。
【0075】
この基板61の各スルーホール63にIC52からの信号線がそれぞれ半田接続され、ケーブルスルーホール65にケーブル66の信号線67が半田接続されることで、基板61と前記第5の枠60で形成され、CCD51とIC52が配置される空間は気密に保持される。
【0076】
つまり、サファイア53、第1〜第5の枠54,56,57,59,60,絶縁セラミック枠55,並びに基板61で形成される空間にレンズユニット50、CCD51、及びIC52が気密に配置されるために、オートクレーブ滅菌の際の高温高圧水蒸気が侵入することなく、CCD51やIC52を高温高圧水蒸気から保護することができる。
【0077】
また、ケーブル66の信号線67は、軟性の導線とすることでサファイア53からケーブル66の先端部までの長さ(つまり、金属で接合されて曲げられない、所謂先端硬質部13)を短く形成でき、挿入部の体腔内への挿入性が向上する。さらに、基板61の外側面(高温高圧水蒸気が侵入する部分)に対して、耐性があるならば抵抗等の電子部品を実装しても良く、さらに先端硬質部13を短縮化することができる。
【0078】
一方、前記挿入部11に前記レンズ洗浄シース12を外装して体腔内に挿入させる際に、体腔の形状に応じて、前記操作部100のレバー18により湾曲部14を湾曲されながら挿入操作を行う。
【0079】
この湾曲部14には、図14に示すように、複数の関節70からなっている。この関節70の一方の端部には凸部71が設けられ、他方の端部には凹部72が設けられており、この凸部71と凹部72とを嵌合させると共に、凸部71と凹部72を貫通するリベット74にて回転自在に固定されている。
【0080】
この凸部71と凹部72は、それぞれ矩形に形成し、図15に示すように、リベット74を中心に関節70同士が回動したときに凸部71が凹部72に当接して回動角度(湾曲角)を制限できるようにしている。この回動角である湾曲角を制限することで、関節70の外側に配置したレンズ洗浄シース12の湾曲ゴム75を関節70同士の隙間77に挟み込むことがなくなる。これにより、レンズ洗浄シース12の破損を防止できる。
【0081】
[付記]
以上詳述した本発明の実施形態によれば、以下のごとき構成を得ることができる。
【0082】
(付記1)
撮像素子を有する内視鏡と、この内視鏡の撮像素子を駆動制御すると共に、撮像素子で撮像生成された撮像信号に所定の信号処理を施し、モニター表示及び録画記録用の映像信号を生成させるビデオプロセッサとからなる内視鏡システムにおいて、
前記内視鏡に設けられ、前記撮像素子の識別情報を記憶すると共に、ビデオプロセッサに対して、撮像素子の識別情報を送信する撮像素子識別情報保持手段と、
前記ビデオプロセッサに設けられ、前記撮像素子識別情報保持手段から送信された撮像素子の識別情報を基に映像信号の録画記録の開始と録画記録継続の制御を行う録画記録制御手段と、
を具備したことを特徴とする内視鏡システム。
【0083】
(付記2)
前記撮像素子識別情報保持手段は、前記内視鏡を前記ビデオプロセッサに接続するために内視鏡に設けられたカメラコネクタ内に配置されたことを特徴とする付記1の内視鏡システム。
【0084】
(付記3)
前記内視鏡の体腔内に挿入する挿入部の外径より若干大きい内径を有する略円筒状のシースと、このシースの軸方向に直交して設けられ、外周と内周とを連通する開口とからなるレンズ洗浄シースを前記挿入部に外装し、挿入部の外周面とレンズ洗浄シースの内周面との間に洗浄水を流水させて、前記挿入部先端の対物レンズを洗浄することを特徴とした付記1に記載の内視鏡システム。
【0085】
(付記4)
内視鏡を接続してモニターに画像を出力するビデオプロセッサと、端部にビデオプロセッサへと接続すれるコネクタを有する内視鏡と、からなる内視鏡システムにおいて、
内視鏡内に内視鏡が搭載する撮像素子の情報を記憶した撮像素子識別情報保持部を有し、コネクタをビデオプロセッサに接続することによりビデオプロセッサは内視鏡の撮像素子識別情報保持部から情報を入手し、録画開始または録画継続の信号を出力することを特徴とする内視鏡システム。
【0086】
(付記5)
上記撮像素子織別情報保持部は、内視鏡のコネクタ内に配置されたことを特徴とする付記4に記載の内視鏡システム。
【0087】
【発明の効果】
本発明の内視鏡システムは、ビデオプロセッサに接続された内視鏡の識別情報を基に、ビデオプロセッサと内視鏡の適合判定と、内視鏡とビデオプロセッサが適合した際には、内視鏡観察が開始されると、被写体像の映像信号が自動的に録画記録でき、内視鏡操作者者は、観察画像の録画を意識することなく観察を開始しでき、且つ、観察画像の録画忘れをなくすることができる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内視鏡システムの一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係る内視鏡システムに用いるビデオプロセッサに設けられている制御部の構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係る内視鏡システムの動作を説明するフローチャート。
【図4】本発明に係る内視鏡システムの内視鏡挿入部に設けるレンズ洗浄シースの一実施形態を示す平面図。
【図5】本発明に係る内視鏡システムの内視鏡挿入部に設けるレンズ洗浄シースの他の実施形態を示す平面図。
【図6】本発明に係る内視鏡システムにおいて、内視鏡を一時収納する保護シースの説明する説明図。
【図7】本発明に係る内視鏡挿入部の先端硬質部の構成を示す断面図。
【図8】図7の切断線A−Aから切断した断面図。
【図9】本発明に係る内視鏡挿入部の先端硬質部の変形例を示す斜視図。
【図10】本発明ら係る内視鏡装置に産の先端構成部の変形例の組み立て状態を示す断面図。
【図11】本発明に係る内視鏡挿入部の先端構成部の応用例を示す断面図。
【図12】本発明に係る内視鏡の挿入部に設けられる撮像装置の構成を示す断面図。
【図13】本発明の内視鏡の挿入部に設けられた撮像装置を密閉接合する基板の構成を示す平面図。
【図14】本発明に係る内視鏡挿入部の湾曲部に内蔵された関節の構成を示す平面図、
【図15】本発明に係る内視鏡装置に得初に内蔵された関節とレンズ洗浄シースの関係を説明する説明図。
【符号の説明】
1…内視鏡
2…ビデオプロセッサ
3…光源装置
4…モニタ装置
5…外部接続機器
5a…VTR装置
6…カメラコネクタ
7…ライトガイドコネクタ
12…レンズ洗浄シース
22…撮像素子識別情報保持回路
23…制御部
24…撮像素子識別情報検出部
25…非対応撮像素子判断部
26…非接続判断部
27…外部接続機器制御部
28…外部接続機器インターフェイス回路
Claims (2)
- 撮像素子を有する内視鏡と、
前記内視鏡に接続され、当該内視鏡が接続された際、前記撮像素子を駆動制御すると共に、当該撮像素子で撮像生成された撮像信号を入力し、所定の信号処理を施し、モニター表示及び録画記録用の映像信号を生成するビデオプロセッサと、
を備えた内視鏡システムにおいて、
前記内視鏡に設けられ、前記撮像素子の識別情報を記憶する撮像素子識別情報保持手段と、
前記ビデオプロセッサに設けられ、前記内視鏡が接続されているか否かを判定する接続判定手段と、
前記ビデオプロセッサに設けられ、前記撮像素子識別情報保持手段に記憶された識別情報に基づいて、接続された内視鏡における撮像素子が当該ビデオプロセッサに適合するものであるか否かを判定する適合判定手段と、
前記接続判定手段および前記適合判定手段の判定結果に基づいて、前記映像信号の録画記録の開始および録画記録継続の制御を行う録画記録制御手段と、
を具備し、
前記録画記録制御手段は、前記接続判定手段および前記適合判定手段の判定結果を常に監視し、当該判定結果に基づいて、前記ビデオプロセッサに所定の内視鏡が接続されており、かつ、当該接続された内視鏡における撮像素子が当該ビデオプロセッサに適合するものである状態にあるときに、自動的に前記映像信号の録画記録の開始または録画記録継続を行うことを特徴とする内視鏡システム。 - 前記撮像素子識別情報保持手段は、前記内視鏡を前記ビデオプロセッサに接続するために内視鏡に設けられたカメラコネクタ内に配置されたことを特徴とする請求項1の内視鏡システム。
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