JP4330332B2 - サバイバースリング - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はサバイバースリング、さらに詳細には、救助者を吊り下げて救助する際に使用されるサバイバースリングに関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】
サバイバースリングは、図5に示すように、救助者の両脇の下に捲回されるサバイバースリング本体1と、このサバイバースリング本体1の両端に設けられた吊帯2を備えている。そして、前記サバイバースリング本体1には、両脇の下に捲回されたサバイバースリング本体1が救助者より抜脱しないように縛着帯3が設けられた構造になっている。
【0003】
このようなサバイバースリングを使用するに当たっては、前記サバイバースリング本体1を救助者の両脇の下に通して、前記縛着帯3を救助者に捲回して、縛着帯3に設けられた金具31を係止して、救助者を固定し、前記吊帯2に接続されたスリングによって吊り上げることによって救助するようになっている。
【0004】
このようなサバイバースリングの本体1は、カポックの繊維片を充填して構成されているのが一般的である。上述のカポック繊維片は、軽量で断熱性、弾性があり、水をはじきやすく、防腐性が良好であると言う特質を有し、サバイバースリング本体1への充填物として良好な特性を有している。しかしながら繊維片であるため、長年の使用によって、つぶれ、へたりなどを生じ、救助者の身体にフィットするため望ましい形状であるコの字状の形状を保持できなくなるという欠点がある。このような場合に、従来前記繊維片を交換するような構成がなされていないため、不便を克服してそのまま使用するか、サバイバースリング自体を交換するしかなかった。
【0005】
さらに、前述のカポック繊維片は、前述のように軽量であるため、ヘリコプターよりサバイバースリングを吊り下げて救助を行う場合に、ヘリコプターの回転翼によって形成する下降風によって、サバイバースリングが旋回しやすいという欠点がある。
【0006】
また、前述のような縛着帯3は、サバイバースリング本体1にその一端が固定され、他の部分はフリーの状態であるため、サバイバースリングの使用に際して、サバイバースリング本体1に絡まり、救助者を迅速にサバイバースリングに固定できないという欠点もあった。
【0007】
本発明は上述の問題点を解決するためなされたものであり、コの字形状を良好に保持可能であり、サバイバースリング本体内の充填物を交換可能で、しかもヘリコプターの回転翼よりの風によって、サバイバースリングの旋回を抑制可能なサバイバースリングを提供することを目的とする。さらに、縛着帯がサバイバースリング本体に絡みつかず、迅速に救助者に縛着可能なサバイバースリングを提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明によるサバイバースリングは、救助者の腋の下を挿通する二つの腕部分と前記腕部分の一方の端部を接続する連結部分を備えたほぼコの字状のサバイバースリング本体と、前記腕部分の他方の端部にサバイバースリング本体を吊り下げるための吊帯を備えたサバイバースリングであって、前記サバイバースリング本体内に、全体として前記サバイバースリング本体とほぼ同様な形状となる一又は複数の発泡成形体を着脱自在に充填したことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の実施態様によれば、前記サバイバースリング本体内に錘を着脱自在に備えることが可能である。また、他の態様によれば、縛着帯をサバイバースリング本体外側に仮止めすることが可能になっている。
【0010】
本発明によれば、サバイバースリング本体内に、あらかじめ全体としてサバイバースリング本体形状と同様な形状となるように成形した一又は複数の発泡成形体を充填しているため、コの字状に保形しやすく、かつ前記発泡成形体が劣化したときには交換可能であるため、常に最上の状態を保持可能であるという利点がある。さらにサバイバースリング本体内に錘を設けることによって、ヘリコプター回転翼の下降風によってサバイバースリングが旋回する事態を抑制でき、また、縛着帯がサバイバースリング本体外側に仮止め可能であるため、縛着帯がサバイバースリングに絡みつく事態を防止できるという利点がある。
【0011】
【実施例】
図1は、本発明によるサイバースリングの平面図、図2はその一部省略した概略図、図3は図1の概略A−A断面図、図4は発泡成形体の形状を示す平面図である。これらの図より明らかなように、ほぼコの字状のサバイバースリング本体1は救助者の腋の下を挿通する二つの腕部分11とこの腕部分11の一方の端部を接続する連結部分12を備え、前述のようにコの字状を形成している。この腕部分11の他方の端部にはヘリコプターなどよりのスリングを接続する吊帯2が設けられており、前記吊帯2の先端には、前記スリングと接続するための接続金具21が備えられている。
【0012】
この実施例において、縛着帯3はサバイバースリング本体1の外側に沿って設けられており、連結部分12でサバイバースリング本体1に固定されている。前記腕部分11には縛着帯3のフリー部分を仮止めするための仮止め布片13が設けられている。前記仮止め布片13は、図3に示すように一つの端辺がサバイバースリング本体1の腕部分11に固定されて、開閉自在になっており、前記仮止め布片13が前記固定された端辺に対向する端部内側には、面ファスナー131が設けられている。一方腕部分11の対応する位置に同様に面ファスナー111が設けられており、前記仮止め布片13の前記端部を固定可能になっている。前記仮止め布片13を開き、縛着帯3を前記腕部分11に沿わせ、前記仮止め布片13を閉じて面ファスナー111及び131で固定することによって、前記縛着帯3のフリー部分をサバイバースリング本体1の腕部分11に仮止め可能になる。前記縛着帯3の先端には、相互に縛着するための固定金具31が設けられている。
【0013】
図1及び図2に示すように、腕部分11の側部にはファスナー14が設けられており、腕部分11は開閉可能になっている。前記ファスナー14は腕部分11の吊帯2を固定する先端部あるいはその付近より連結部分12付近まで設けられている。さらにファスナ14は、ファスナーカバー15によって覆われるようになっており、前記ファスナーカバー15は面ファスナー151および112により開閉自在になっている。
【0014】
前記サバイバースリング本体1内には発泡成形体4が充填されている。発泡成形体4は、この実施例においては、図4に示すように腕部分11に対応する形状に成形された2つの腕部成形体41と連結部分12に充填される連結部成形体42とよりなっている。
【0015】
前記腕部成形体41は、腕部分11の前記ファスナー14を開き、腕部分11に挿入し、前記ファスナー14を閉じることによって、サバイバースリング本体1内に充填可能である。また連結部成形体42は、同様に腕部分11の前記ファスナー14を開き、連結部成形体42を連結部分12に押し込んだ後、腕部成形体41を腕部分11に押し込み、ファスナー14を閉じることによってサバイバースリング本体1内に充填可能である。その後、ファスナーカバー15をファスナー14に被せて面ファスナー151および112で固定することにより、ファスナー14の保護および救助者へのファスナー14の当接を防止するようになっている。
【0016】
このような発泡成形体4は、上記実施例においては、ほぼ直線状の腕部成形体41と鉤状の鉤状成形体42とより構成してもよく、コの字状に成形した成形体であってもよい(この場合、腕部分、連結部分、腕部分に連続したファスナーを形成する必要がある)。また、発泡成形体は、たとえば合成樹脂発泡体、たとえばポリエチレン、ポリウレタンなどの発泡体を成形したものであることができる。発泡成形体は、好ましくは独立気泡の発泡体より製造されるのが好ましい。独立気泡であると、水が滲み込みにくく、浮力を長時間維持できるという利点を備えているからである。
【0017】
本発明においては、図3に示すように、錘5を設けることが可能である。前記錘5は、たとえば鉛などの金属粒を袋体に充填したものであることができ、腕部分11内に、ほぼ腕部分11の全体に亘ってあるいはその一部に着脱自在に設けることができる。前記錘5は面ファスナー51を備えており、一方サバイバースリング本体1(この実施例では腕部分11)の内面も面ファスナー113が設けられており、サバイバースリング本体1内に固定可能なようになっている。この錘5が設けられる部分は、サバイバースリング本体1内の救助者の身体に当接しないような部分であるのがよい。救助者に苦痛を与える恐れがあるためである。
【0018】
このようなサバイバースリングを使用するに当たっては、たとえばヘリコプターで吊り下げて救助する場合には、前記ファスナーカバー15を開き、さらに前記ファスナー14を開き、サバイバースリング本体1内に面ファスナー51及び113により錘5を固定し、さらに発泡成形体4(腕部成形体41及び連結部成形体42)を挿入した後、ファスナー14を閉める。その後吊帯2をヘリコプターのスリングに接続する。このとき、前記サバイバースリング本体1内には錘5が装着されており、重量があるために、ヘリコプターの回転翼による風によって、サバイバースリングを垂下した時に、サバイバースリングが旋回する事態を最小に抑制可能である。また、腕部成形体41及び連結部成形体422から成る発泡成形体4をサバイバースリング本体1に充填しているため、コの字形状が良好に保持可能である。
【0019】
救助者を救助する場合、垂下されたサバイバースリングのサバイバースリング本体1に腕部分11が救助者の腋の下になるように捲回する。その後、前記仮止め布片13を開き、縛着帯3を取り出し、固定金具31によって縛着帯3を相互に接続することにより、前記救助者をサバイバースリングに縛着する。
【0020】
このような一連の救助作業において、前述のように縛着帯3のフリー部分はサバイバースリング本体1の腕部分11に仮止め布片13によって仮止めされているため、サバイバースリングが垂下されたときに、縛着帯3のフリー部分がサバイバースリング本体1に絡まることがなくなる。
【0021】
ヘリコプターを使用しない場合は、風の影響は受けない場合が多い。この場合には前記錘5を取り除き、上述のように救助者を救助可能である。この場合、サバイバースリングが軽量になるという利点があり、運搬時、保管時なども、錘を取り除いておくのが好ましい。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、サバイバースリング本体内に、あらかじめ全体としてサバイバースリング本体形状と同様な形状となるように成形した一又は複数の発泡成形体を充填しているため、コの字状に保形しやすく、かつ前記発泡成形体が劣化したときには交換可能であるため、常に最上の状態を保持可能であるという利点がある。さらにサバイバースリング本体内に錘を設けることによって、ヘリコプター回転翼の下降風によってサバイバースリングが旋回する事態を抑制でき、また、縛着帯がサバイバースリング本体外側に仮止め可能であるため、縛着帯がサバイバースリングに絡みつく事態を防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例のサバイバースリングの平面図。
【図2】本発明による一実施例のサバイバースリングの一部省略正面図。
【図3】本発明による一実施例のサバイバースリングの概略断面図。
【図4】本発明による一実施例の発泡成形体の平面図。
【図5】従来のサバイバースリングを示す斜視図。
【符号の説明】
1 サバイバースリング本体
11 腕部分
111 面ファスナー
112 面ファスナー
113 面ファスナー
12 連結部分
13 仮止め布片
131 面ファスナー
14 ファスナー
15 ファスナーカバー
151 面ファスナー
2 吊帯
21 接続金具
3 縛着帯
31 固定金具
4 発泡成形体
41 腕部成形体
42 連結部成形体
5 錘
51 面ファスナー
Claims (5)
- 救助者の腋の下を挿通する二つの腕部分と前記腕部分の一方の端部を接続する連結部分を備えたほぼコの字状のサバイバースリング本体と、前記腕部分の他方の端部にサバイバースリング本体を吊り下げるための吊帯を備えたサバイバースリングであって、前記サバイバースリング本体内に、全体として前記サバイバースリング本体とほぼ同様な形状となる一又は複数の発泡成形体を着脱自在に充填したことを特徴とするサバイバースリング。
- 前記発泡成形体は腕部分の形状に対応した形状の腕部成形体と、前記腕部分及び連結部分の形状に対応した鉤状成形体とより成ることを特徴とする請求項1記載のサバイバースリング。
- 前記発泡成形体は独立気泡の発泡体であることを特徴とする請求項1または2記載のサバイバースリング。
- 前記腕部分内に錘を着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のサバイバースリング。
- 前記サバイバースリング本体に救助者を縛着するための縛着帯が備えられており、前記縛着帯のフリー部分の一部は腕部分に仮止めされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のサバイバースリング。
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- 2002-12-25 JP JP2002373786A patent/JP4330332B2/ja not_active Expired - Lifetime
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