JP4329141B2 - 液晶表示装置用マイクロレンズ基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明基板上に複数のマイクロレンズが形成されたマイクロレンズ基板に係わり、中でも特に、液晶プロジェクション装置等の液晶表示装置に用いられる液晶表示装置用マイクロレンズ基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、一般に、偏光膜と透明電極が各々配設された対向する一対の基板と、これら基板間に封入された液晶物質とでその主要部が構成されている。
また、カラー画像を表示するカラー液晶表示装置にあっては、上記一対とした基板のいずれか一方に偏光を着色するためのカラーフィルター層を設けている。
【0003】
画面表示を行なう際、対向する透明電極間に電圧を印加することにより電極基板間に封入された液晶物質の配向状態を変化させて、この液晶物質を透過する光の偏光面を制御すると共に、偏光フィルムによりその透過、不透過を制御している。なお、以下の記述で画素部とは、挟持した液晶へ電圧を印加し、液晶の配向状態を変化させる部位(すなわち、光の透過、不透過が制御される部位であり、通常は、対向した電極が平面視で重なる部位)を示し、非画素部は、各画素部間の領域を示す。
【0004】
また、上記一対とした基板の少なくとも一方の基板には、ブラックマトリクスと呼称される、各画素部に対向する部位に光透過用の開口を形成した遮光層を配設することが一般的となっている。ブラックマトリクスは画素部の外周領域の不要な光を遮光することで、画面表示のコントラストを向上させるものであり、さらには、液晶表示素子への配線や液晶駆動用の電極等を遮光部にて保護する役目を持たせる場合もある。
【0005】
液晶表示装置の種類として液晶表示画像をスクリーン上に拡大投影するプロジェクションテレビや、データプロジェクション等の液晶プロジェクション装置が知られている。液晶プロジェクション装置においては、内蔵式の光源(ライト)を配置し、内蔵式の光源より照射された光線を液晶パネル(上記液晶を挟持した一対の基板)に入射し表示画面を得る方式が広く普及している。
【0006】
近年、画像表示装置では、表示画像を高精細化する要求が高まっており、この要求は液晶表示装置においても高まっている。周知のように、高精細な画像を得るためには、画素数を増やすことが必要である。
しかるに、高精細な画像を得るために液晶プロジェクション装置の画素数を増やした場合、表示画像が暗くなり、表示される画像の品位が低下するという問題が生じていたものである。
【0007】
なぜならば、液晶プロジェクション装置を構成する上記一対とした基板の大きさは、内蔵式光源の出力効率上、対角0.9〜1.3インチ程度のものが一般的に用いられている。基板の大きさが決まっているため、基板に形成する画素数を増やした場合、画素間のピッチは狭まることになる。
さらに、液晶表示素子の配線や液晶駆動用電極にはある程度の領域が必要であり、そのためそれらを保護するために形成されるブラックマトリクスの遮光部領域の大きさは、たとえ画素数が増えたとしても小さくすることができず、従来と同じ程度の大きさとせざるをえない。
【0008】
そのため、画素数が増え画素間のピッチが狭まると、ブラックマトリクスに形成する個々の開口の面積を狭くせざるをえない。すなわち、ブラックマトリクスの開口率を小さくせざるをえないといえる。
液晶プロジェクション装置の画素数を増やしブラックマトリクスの開口率が小さくなると、開口を通過する光量が減り、表示画像が暗くなり、表示される画像の品位が低下することになる。
【0009】
この様な、ブラックマトリクスの開口率が小さくなることで生じる画像品位の低下を防止する手段として、液晶素子の片面にマイクロレンズを配設することが知られている。マイクロレンズを配設することで、従来ブラックマトリクスの遮光部で遮られていた光をマイクロレンズにより画素領域(ブラックマトリクスの開口領域)に集光することが可能となり、光の利用効率を上げ、明るい画像表示とすることができる。
【0010】
なお、マイクロレンズの形成方法として、以下に記す方法等が知られている。すなわち、ガラス基板に所定の開口パターンを形成した金属マスクを被せ、このガラス基板を特定の処理液に浸漬して、金属マスクより露出したガラス基板部位の屈折率をレンズ状に変化させレンズパターンとするガラス拡散法であり、また、ガラス基板を直接エッチングしレンズパターンを得るウェットエッチング法である。また、ガラス上に所定の形状としたレジストパターンもしくは金属膜パターンを設け、ガラスを直接ドライエッチしてレンズパターンを得るガラスドライエッチング法や、ガラス上に所定の形状としたレジストパターンを形成した後に加熱を行い、溶融したレジストパターンの表面張力によりレジストパターンをレンズ化する熱フロー法、ガラス上に透明樹脂を形成した後に金型等で圧着し、さらに熱硬化させてレンズとするスタンパ法等も知られている。
【0011】
マイクロレンズの平面形状としては、液晶素子の配線形態等の関係上、略四角形状もしくは略六角形状に形成されることが多いが、特に、略四角形状とすることが一般的といえる。
マイクロレンズの平面形状を図5(a)に示すように略四角形状とした場合、対角方向の距離aと短辺方向の距離bが異なることになる。このため、図4に示すように曲率に差が生じ、ひいては焦点距離が異なることとなる(図4は、図5(a)のマイクロレンズの対角方向aと短辺方向bでのマイクロレンズの断面を示している)。すなわち、マイクロレンズの平面形状を略四角形状とすると収差が大きくなるといえ、マイクロレンズのコーナー部での集光性が低下し、レンズ効率が落ちるという不具合が生じるといえる。
【0012】
ここで、レンズの集光性はレンズの曲率で決まる。また、基板上にマイクロレンズを形成した後に、平坦化を行う、または、マイクロレンズの焦点距離の調節を行なう等で、接着剤を介してマイクロレンズ上に透明薄板を貼り付けを行うことが多いが、その場合には、レンズと接着剤との屈折率差も集光性に関係することになる。レンズの曲率は、各レンズ間のピッチとレンズの高さとで決まるため、レンズの集光性を上げるためレンズの曲率を大きくしようとしても、液晶パネルの厚みの制約等、曲率の増加には限界があるといえる。また、レンズと接着剤との屈折率差が大きい程レンズの集光性が上がるといえ、レンズの材質として屈折率1.65程度、接着剤の材質として屈折率1.35程度のものが市販され用いられている。しかし、一般的に、レンズ材の価格は高屈折率になるほど高価となり、また、接着剤においても低屈折率となるほど高価になる。このため、レンズの集光性を上げるため、より高屈折率のレンズ材および低屈折率の接着剤を用いようとすると、非常に高価なものとなり生産コスト上不利なものとなる。また、屈折率1.5以下の低屈折率の接着剤にはフッ素を多く含有しているものが多く、フッ素の含有量が多い程接着性が低下するものである。このため、フッ素を多く含有する低屈折率の接着剤を用いた場合、液晶表示装置の製造工程で行われる加熱処理(200℃程度)で、接着性の低下により歪みや接着剤界面での剥離等が生じ、液晶表示装置の信頼性を低下させる要因となる。
【0013】
さらに、マイクロレンズを形成した液晶パネルを組み込んだ液晶プロジェクター等の投影型画像表示装置では、内蔵式の光源(ライト)としてメタルハライドランプ、UHPランプ等の強力なランプを用い、拡大投影した画像表示を行なうことが多い。このため、液晶パネルとしては、光源より照射される強力な光への高い耐光性が要求される。
上述したようにマイクロレンズの形成方法として種々のものがあげられるが、複雑な製造装置を必要とせず製造コストが比較的安価にすむ、有機系樹脂を用いてマイクロレンズを形成する方法が多く用いられている。しかるに、マイクロレンズを有機系樹脂で形成すると、強力な光源からの照射光によりマイクロレンズが経時変化により着色する等の劣化を生じ、液晶パネルの信頼性を低下させるという問題が生じることになる。
【0014】
有機系樹脂からなるマイクロレンズの厚みを薄くすれば、光源からの光によるマイクロレンズの劣化を防止でき耐光性が向上するといえ、液晶パネルの信頼性が上がることになる。しかし、マイクロレンズの厚みを薄くするとマイクロレンズの集光角が小さくなる(焦点距離が長くなる)ことで集光性が低下し、明るい画像表示が困難となる。この点につき以下に説明する。
仮に、図7中に示すマイクロレンズ73の曲率がr1 であり、集光角がW1 であったとする(マイクロレンズ73の平面形状は略四角形とする)。次いで図7中には、マイクロレンズ73と同一の平面視形状としつつマイクロレンズ73より厚みを薄くしたマイクロレンズ83を合わせて記している。マイクロレンズ83は曲率がr2 であり、集光角をW2 とする。図7に示すように、曲率r2 が曲率r1 より大きくなったことで、マイクロレンズ83の集光角W2 はマイクロレンズ73の集光角W1 より小さくなり、マイクロレンズ83の焦点距離はマイクロレンズ73の焦点距離より長くなる。このため、マイクロレンズ73で集光された光はブラックマトリクス77の開口78を通過できたとしても、マイクロレンズ83で集光された光の一部はブラックマトリクス77の遮光部で遮られ通過できなくなることになる。すなわち、マイクロレンズの厚みを薄くすると光の一部がブラックマトリクで遮られ集光性が低下することになり、明るい画像表示が困難となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような問題に鑑みなされたものであり、その課題とするところは、マイクロレンズの平面視での形状を正方形状または矩形状としても、集光性の低下がなく光効率の高い、また、耐久性が高く信頼性の高い液晶表示装置用マイクロレンズ基板を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、本発明に至ったものである。すなわち、本発明の請求項1においては、透明基板上に少なくとも、複数のマイクロレンズと接着剤層と透明薄板と、1画素領域毎に開口を有するブラックマトリクスと、電極パターンとが順次配設され、別途作成された所定の電極パターンを有する対向基板とで液晶物質を挟持する液晶表示装置用マイクロレンズ基板において、平面視で略四角形とした前記1画素領域当たりに、前記1画素領域より小さい複数のマイクロレンズであって、前記1画素領域当たりに1個のマイクロレンズを配設した場合の当該1個のマイクロレンズの焦点距離と各々同一の焦点距離を有する前記小さい複数のマイクロレンズを、前記1画素領域の中心領域に前記ブラックマトリクスの開口の大きさより小さい開口部を残して、前記ブラックマトリクスの遮光部領域を含む前記1画素領域内に連結して設置したことで、前記小さい複数のマイクロレンズの厚みを、前記1画素領域当たりに1個のマイクロレンズを配設した場合の当該1個のマイクロレンズの厚みより薄くしていることを特徴とする液晶表示装置用マイクロレンズ基板としたものである。
【0017】
かかる構成のマイクロレンズにおいては、個々のマイクロレンズを、開口部を取り囲むように曲率半径の小さな複数のマイクロレンズの集合体(連結体)で形成することになり、マイクロレンズ基板の厚みを薄くすることが可能となる。
この点につき以下に説明する。
図5は、従来のマイクロレンズ基板の一部位を模式的に示す拡大図である。図5(a)は平面視での図面であり、マイクロレンズを平面視略正方形としている。また、図5(b)は図5(a)の短辺方向bにおける断面形状を示している。
【0018】
上記マイクロレンズの底辺長をx、マイクロレンズの厚みをd、マイクロレンズの屈折率をn1 、接着剤の屈折率をn2 とすると、マイクロレンズ43の焦点距離fは、以下の(数1)の式で表せる。
【0019】
【数1】
【0020】
例えば、図5のマイクロレンズにおいて、マイクロレンズの底辺長xを25μm、マイクロレンズの厚みdを6μm、マイクロレンズの屈折率n1 を1.60、接着剤の屈折率n2 を1.43とした場合、上記の式よりマイクロレンズの焦点距離fは約135μmとなる。
【0021】
一方、図1は、本発明のマイクロレンズ基板の一例の要部を模式的に示す拡大図である。ここで、図1(a)は底面形状を略正方形としたマイクロレンズの平面図(例えば一辺の長さを25μmとした)を、また、図1(b)は、図1(a)のX−X’線(上述した図5(a)の短辺方向bに相当)における断面を示している。
図1(b)において、マイクロレンズを構成する曲率半径の小さなマイクロレンズの底辺長xを8μm、屈折率n1 を1.60、接着剤の屈折率n2 を1.43とすると、上述した従来のマイクロレンズと同じ焦点距離f(約135μm)を得るには、マイクロレンズの厚みdは約0.5μmとなる。すなわち、本発明のマイクロレンズ基板においては、マイクロレンズの厚みを薄くでき、従来のマイクロレンズ基板より薄板化が可能となる。
【0022】
また、高屈折率のレンズ材および、低屈折率の接着剤が高価であることから、マイクロレンズ基板の生産コストを下げるため、低価格で屈折率の低いレンズ材(例えば屈折率1.58)および、低価格で屈折率の高い接着剤(例えば屈折率1.48)を用いたとする。この場合でも、上述した従来のマイクロレンズと同じ焦点距離f(約135μm)を得るには、図1のマイクロレンズの底辺長xを8μmと同じとした場合、マイクロレンズの厚みdは約0.9μmですみ、上述した従来のマイクロレンズ基板よりも薄板化とすることができる。
【0023】
すなわち、本発明においては、マイクロレンズの厚みを薄くでき、マイクロレンズ基板の板厚を薄くできるため、所望される集光性を得るためのマイクロレンズの曲率設定が容易となる。
このため、マイクロレンズを有機系樹脂で形成しても、マイクロレンズの厚みが薄いため光源からの入射光によるマイクロレンズの劣化が少なくなり、耐光性が向上した液晶パネルが得られることとなり、ひいては信頼性の優れた液晶表示装置を得ることができる。
また、本発明に係わるマイクロレンズで集光された光はブラックマトリクスの遮光部で遮られることが無くなるため、集光性の低下の無い集光効率に優れたマイクロレンズ基板が得られ、明るい画像表示を得ることができる。
【0024】
さらにまた、レンズ材および、接着剤の材質も低価格なものを用いても(すなわち、レンズ材と接着剤の屈折率差を小さくしても)集光性に優れたマイクロレンズ基板とすることが可能となり、生産コストを低くすることができる。
【0025】
次いで、図1に示すように、マイクロレンズの中心領域に設けた開口部6の大きさを、対向するブラックマトリクス7の開口8の大きさより小さくした。
【0026】
液晶プロジェクションに用いる光学系では、一般的に±6°程度の入射角度にて光を液晶パネルに入射させている。その理由として、光源(ランプ)にメタルハライドランプを用いることが多く、このランプの特性として平行光が得にくいためである。なお、コンデンサーレンズ等の工夫により液晶パネルへの入射光を平行光に近づけることも可能であるが、その場合コンデンサーレンズ等の精度を上げねばならず、非常に高価なものとなる。
【0027】
上述したように、マイクロレンズの中心領域に設けた開口部の大きさを、対向するブラックマトリクスの開口の大きさより小さくすることで、マイクロレンズの開口部に入射する光が斜め光であっても、入射光はマイクロレンズで屈折され対向するブラックマトリクスの開口に導かれることとなる。さらに、画素領域のエッジ(縁)部に沿って形成された平面視略四角形状のマイクロレンズの頂点(角部および辺部)が、画素領域内(ブラックマトリクスの遮光部領域)に配置されることで、従来はブラックマトリクスの遮光部で遮光されていた光を、図3に示すように、マイクロレンズの頂点(平面視での角部および辺部)で集光し、ブラックマトリクス7の開口8に導くことが可能となる。
【0028】
次いで、請求項2においては、マイクロレンズが平面視略四角形状(例えば、正方形状または矩形状)の場合に、中心部に設ける開口部6の形状を具体化したものである。例えば、図1(a)に示すようにマクロレンズを平面視で正方形状とした場合、対角方向aにおけるマイクロレンズの角部から開口部までの距離をAとし、また、マイクロレンズの中心方向(短辺方向b)に向かいマイクロレンズの各辺の中点から開口部までの距離をBとしたとき、AとBがほぼ等しくなるよう開口部を形成することを特徴とするものである。かかる形状のマイクロレンズとすることで、マイクロレンズの対角方向の距離Aとマイクロレンズの中心方向に向かいマイクロレンズの各辺の中点から開口部までの距離Bとの差が縮まり、レンズ部位による収差の異なりを最小に抑えることができる。すなわち、レンズのコーナー部における集光性が損なわれない、光の利用効率の高いマイクロレンズ基板を提供することができる。
【0029】
なお、マイクロレンズ上に形成する接着剤、および、接着剤を介して設ける透明薄板の厚さは、マイクロレンズのピッチや液晶プロジェクションの光学系(基板に入射する光の角度、マイクロレンズが取り込める光の角度等)、マイクロレンズの焦点距離等から求められ、必要に応じ適宜設定するものである。
【0030】
上述したように、マイクロレンズの集光性は、マイクロレンズの曲率および、マイクロレンズの屈折率と接着剤の屈折率との差により決定される。ここで、使用するマイクロレンズの屈折率をn1 とし、また、接着剤の屈折率をn2 としたとき、n1 <n2 の場合はマイクロレンズの断面形状を図6に示すように、凹型とし、逆にn1 >n2 の場合はマイクロレンズの断面形状を図1に示すように、凸型とするものである。
【0031】
次いで、本発明に係わるマイクロレンズの形成方法としては、前述した(従来の技術)の項に記した各形成方法が適用でき適宜選択して構わないといえ、ガラス拡散法、ウェットエッチング法、ガラスドライエッチング法等のガラス基板を加工してマイクロレンズを形成する方法も適用可能である。確かに、ガラス基板を加工して、ガラスにてマイクロレンズを形成すれば、有機系樹脂でマイクロレンズを形成するよりも耐光性に優れたマイクロレンズ基板とすることができる。しかし、ガラス基板を加工してマイクロレンズを形成する方法は、高価なガラスエッチング装置を必要とし、また、ガラスエッチング技術も高度な技術を必要とするため、製造コストが高くなるものである。このため、マイクロレンズの素材に有機系樹脂を用いる熱フロー法やスタンパ法等のマイクロレンズを安価に形成できる方法が好ましい。すなわち、請求項3においては、マイクロレンズを有機系樹脂で構成することを特徴とする液晶表示装置用マイクロレンズ基板としたものである。
【0032】
また一般的に、光による有機系樹脂の着色等の経時変化は、膜厚の2乗に比例して生じやすくなるといえる。このため有機系樹脂で形成されたマイクロレンズの経時変化による劣化を防止するには、前述した(従来の技術)の項に記したように、マイクロレンズの厚みは薄いほうが望ましい。従来のマイクロレンズは厚みが5〜10μm程度で形成されている。このため、本発明者らは、経時変化による劣化を防止するため、マイクロレンズの厚みを従来より薄くすることを提案する。すなわち、請求項4においては、マイクロレンズの厚みを4μm以下としたことを特徴とする液晶表示装置用マイクロレンズ基板としたものである。
【0033】
上述したように、本発明によれば、画素部が四角形状(碁盤の目状)に配置されている場合であっても、集光効果が高く、耐光性に優れた信頼性の高いマイクロレンズ基板を提供することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態の例につき、説明を行う。
【0035】
透明基板2として日本電気硝子(株)製、商品名「ネオセラムガラス」を用い、この透明基板2上にマイクロレンズ母材であるジェイエスアール(JSR)社製ポジ型レジスト、商品名「MFR−352」(粘度80cp)を1800rpmにて60秒間の条件でスピンコートした。次いで、透明基板2に90℃、3分間のプレベークを行った後、ニコン(株)製ステッパーにてレジストにパターン露光を行った。
【0036】
次いで、ジェイエスアール(JSR)社製現像液、商品名「PD523AD」(1.2%液)を用い透明基板2をディップ現像(液温23℃、現像時間約40秒)した。現像後の透明基板2に十分な水洗洗浄を行った後、リンサー乾燥を行った。
【0037】
次いで、主波長を 365nmとする紫外線光を 600mJ/cm2 程度照射し、マイクロレンズ母材中の感光性レジストの感光基を消去するブリーチング処理を施した。
これにより光吸収の少ない透明なマイクロレンズとすることができる。
【0038】
次いで、ホットプレートにて透明基板2に90℃から 190℃まで段階的に加熱を行い、図1に示すように、断面形状が凸型であり、中央部に開口部を有する各マイクロレンズ3を得た。
ちなみに本実施例では、23μmの画素間ピッチに対しマイクロレンズ3間のピッチを22.5μmとしたものである。本実施例で形成したマイクロレンズ3の平面形状を図1(a)に、また、断面形状を図1(b)に示す。なお、図1(b)の断面形状は図1(a)のX−X’線における断面図である。平面視略正方形のマイクロレンズ3の一辺の長さは22.5μm、マイクロレンズの厚みは3μmとした。また、対角方向におけるマイクロレンズの角部から開口部までの距離Aを 8μm、マイクロレンズの中心方向に向かいマイクロレンズの各辺の中点から開口部までの距離Bも 8μmとなるよう形成している。なお、本実施例で形成したマイクロレンズ3の透過率を測定したところ、波長 450nmにおいて98%以上の透過率であった。
【0039】
上述した複数のマイクロレンズ3を透明基板2上に形成後、接着剤4として紫外線硬化型接着剤(アーデル社製、商品名「UT−20」)を用い、上記複数のマイクロレンズ3を形成した透明基板2上に板厚約70μmの薄板ガラス5を貼り合わせた。なお、接着剤4の硬化には、主波長が 365nmの紫外線光を用い、 15000mJ/cm2 程度の照射を行った。
【0040】
次いで、貼り合わせた薄板ガラス5上に金属クロムにてブラックマトリクス7(膜厚約1500Å)を形成した。ブラックマトリクス7の各マイクロレンズ3と対向する部位には各々開口8を形成しており、各開口8の大きさは約16μm角とした。また、ブラックマトリクス7の開口率(開口8の占める割合)は約50%とした。
ブラックマトリクス7の形成後、公知のスパッタリング成膜によりITO(酸化スズと酸化インジウムからなる混合酸化物)からなる透明導電膜9を形成し、図1および図2に示すマイクロレンズ基板1を得た。
【0041】
本実施例で得られたマイクロレンズ3の焦点距離は約 100μmであった。
また、本実施例のマイクロレンズ基板1と、従来の基板(マイクロレンズを形成することなく透明基板上にブラックマトリクスと透明導電膜とを形成した基板)とに、同一のプロジェクション光学系にて光照射(入射角10°、取り込み角14°)を行い、各基板を透過した光の照度を測定したところ、本実施例のマイクロレンズ基板1は、従来のマイクロレンズの無い基板の約1.7倍の照度が得られた。
【0042】
以上、本発明の実施形態の一例につき説明したが、本発明の実施の形態は上述した説明および図面に限定されるものではなく、マイクロレンズに形成する開口部の平面形状を円形、六角形等としても構わない等、本発明の趣旨に基づき種々の変形を行っても構わないことは言うまでもない。また、上述した説明では、ブラックマトリクスをマイクロレンズ基板側に形成したが、対向する基板側に設けることであっても構わない。さらに、マイクロレンズ基板もしくは対向基板のいずれか一方にカラーフィルターを形成しても構わない。
【0043】
【発明の効果】
上述したように、マイクロレンズ基板を構成するマイクロレンズの平面視形状を四角形とした場合、コーナー部では集光性が弱かった。しかるに、本発明のマイクロレンズ基板では、マイクロレンズの平面視形状を四角形としても、従来は集光性の弱かったコーナー部に入射した光であっても効率良くブラックマトリクスの開口に導くことが可能となる。
さらに、中央部に開口部を設けたことでマイクロレンズの曲率半径を小さくすることができ、ひいてはレンズの厚みを薄くすることができる。これにより、接着剤を含めた樹脂厚を薄くすることができ、液晶表示装置の製造工程で加えられる熱処理で生じる歪みを低減できる。また、マイクロレンズを有機系樹脂で形成してもレンズの厚みを薄くできることから、長時間光照射されマイクロレンズに着色が生じる等の劣化を防止した、耐光性の高いマイクロレンズ基板を提供できる。さらにまた、レンズおよび接着剤の屈折率差に幅を持たせても良好な集光性が得られるため、安価で良質の材質を使用することが可能となりマイクロレンズ基板のコストを低減することができる。
すなわち、本発明は、集光性の低下のない光の利用効率が高く、また、耐光性に優れた信頼性の高い液晶表示装置用マイクロレンズ基板を安価に提供するものである。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(b)は、本発明の液晶表示装置用マイクロレンズ基板に形成するマイクロレンズの一実施例を示す説明図。
【図2】本発明の液晶表示装置用マイクロレンズ基板の一実施例を示す断面説明図。
【図3】本発明の液晶表示装置用マイクロレンズ基板を用いた液晶表示装置の一実施例の要部を示す拡大断面説明図。
【図4】従来の液晶表示装置用マイクロレンズ基板に形成したマイクロレンズの収差の相違の一例を示す説明図。
【図5】(a)〜(b)は、従来の液晶表示装置用マイクロレンズ基板に形成したマイクロレンズの一例を示す説明図。
【図6】(a)〜(b)は、本発明の液晶表示装置用マイクロレンズ基板に形成するマイクロレンズの他の実施例を示す説明図。
【図7】マイクロレンズの厚みの変化による集光角の変化の一例を示す断面説明図。
【符号の説明】
1、41 マイクロレンズ基板
2、42、72 透明基板
3、43、73、83 マイクロレンズ
4、44 接着剤
5、45 薄板ガラス
6 開口部
7、77 ブラックマトリクス
8、78 開口
9 導電膜
10 対向基板
Claims (4)
- 透明基板上に少なくとも、複数のマイクロレンズと接着剤層と透明薄板と、1画素領域毎に開口を有するブラックマトリクスと、電極パターンとが順次配設され、別途作成された所定の電極パターンを有する対向基板とで液晶物質を挟持する液晶表示装置用マイクロレンズ基板において、平面視で略四角形とした前記1画素領域当たりに、前記1画素領域より小さい複数のマイクロレンズであって、前記1画素領域当たりに1個のマイクロレンズを配設した場合の当該1個のマイクロレンズの焦点距離と各々同一の焦点距離を有する前記小さい複数のマイクロレンズを、前記1画素領域の中心領域に前記ブラックマトリクスの開口の大きさより小さい開口部を残して、前記ブラックマトリクスの遮光部領域を含む前記1画素領域内に連結して設置したことで、前記小さい複数のマイクロレンズの厚みを、前記1画素領域当たりに1個のマイクロレンズを配設した場合の当該1個のマイクロレンズの厚みより薄くしていることを特徴とする液晶表示装置用マイクロレンズ基板。
- 対角方向におけるマイクロレンズの角部から前記開口部までの距離をA、また、マイクロレンズの中心方向に向かいマイクロレンズの各辺の中点から前記開口部までの距離をBとしたとき、AとBがほぼ等しくなるよう開口部を形成したことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用マイクロレンズ基板。
- マイクロレンズを有機系樹脂で構成することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置用マイクロレンズ基板。
- マイクロレンズの厚みを4μm以下としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の液晶表示装置用マイクロレンズ基板。
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