JP4328855B2 - ナノワイヤー又はナノドット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
Appl.Phys.Lett.,Vol.70,No.14,7 April 1997
従来、ナノチップ先端に、その先端より細く長いワイヤー状の物質をつけた複合的材料は、原子間力顕微鏡等の走査探針として作製・利用されている。この複合的材料は、ナノワイヤーを作製後、ナノチップ先端に付着させて作製されているが、付着には強度の弱い非導電性の物質が使用されるため、付着していない方のワイヤー先端には電気が流れず、原子間力顕微鏡と同じ走査型顕微鏡である走査トンネル顕微鏡には利用できなかった。またその強度も付着のための接着材によって定まり、原子間力顕微鏡などで力を測定する際には、測定誤差を大きくする原因となっていた。
第2に、従来のように、金属ガスケットを用いて真空容器の密閉性を高くし、容器の洗浄と焼きだしによってガス放出を除去する高度の真空技術を要する10−7Pa以下の圧力中で、1000℃以上で加熱処理をしてナノワイヤーを作製するのではなく、高分子ゴムのシールで焼きだしを必要としないで手軽に得られる10−5Pa以上から大気圧までの圧力の空気中、もしくは液体中で、かつ加熱処理をしないで常温でナノワイヤーを作製することを目的とする。すなわち、本手法は、従来よりも簡便なコストのかからない方法で、これまでには得られない細いナノワイヤーを作製することを目的とする。
(2)また、本発明のナノワイヤー又はナノドット製造方法は、ナノワイヤー又はナノドットを作製後、電気を流す材料で形成されたナノチップ及び半導体材料又は金属材料で形成された原料側部材を引き離し、ナノワイヤー又はナノドットを、前記ナノチップ又は前記原料側部材のどちらか一方又は双方に保持させることを特徴とする。すなわち、電気を流す材料で形成されたナノチップもしくは半導体材料又は金属材料で形成された原料側部材の表面加工に応用できることを特徴とする。この電気を流す材料で形成されたナノチップに保持されたワイヤーは、絶縁破壊されたときに、前記ナノチップと電気的に接続された状態で形成されるため、ナノワイヤー先端は電気的に導電体になっている。このため、この電気を流す材料で形成されたナノチップとこれに保持されたナノワイヤーの複合的材料は、原子間力顕微鏡だけでなく、基板との通電信号で情報を得る走査トンネル顕微鏡の探針としても利用可能になることも特徴である。
(3)また、本発明のナノワイヤー又はナノドット製造方法は、原料側部材をシリコンで形成することを特徴とする。
(1)従来不可能であった、酸化皮膜の存在する状態において、シリコン材料からなる直径が1〜10nm、長さが50nm以上のナノワイヤー又は直径10nm以下のナノドットを作製することができる。
(2)ナノワイヤー又はナノドットの材料としては、シリコンに限らず酸化皮膜を形成する半導体または金属材料が適用可能である。
(3)10−5Pa以上から大気圧までの圧力の空気中、もしくは液体中で、かつ、常温で作製できる。
(4)製造時における酸化皮膜の除去作業が不要となる。
(5)ナノチップとこれに保持されたナノワイヤーの複合的材料は、原子間力顕微鏡だけでなく、基板との通電信号で情報を得る走査トンネル顕微鏡の探針としても利用可能である。
図1は、本発明によるシリコンナノワイヤー又はシリコンナノドットの製造方法および製造装置の概略を示したものである。
常温において、真空ポンプにより10−5Pa程度の圧力に設定された真空容器10内にシリコンナノチップ1とシリコン基板2をその先端が対向するように配置する。
一方のシリコンナノチップ1は、例えばピエゾ素子からなる微動機構5に支持されて、他方のシリコン基板2の方向に移動可能となっている。シリコンナノチップ1は電極反応用電源6に接続され、シリコンナノチップ1とシリコン基板2間には電圧が印加されるようになっている。両者の位置は微動機構5を制御するチップ微動操作系7の電気信号8によりモニター9上で把握できる。
真空容器10内の圧力は、10−5Pa程度の圧力であれば十分に作製可能であり、また、10−5Pa以下の圧力でも作製できることはいうまでもない。
また、ナノチップの材料はシリコンに限らず、電気を流すものであれば良く、また、基板の材料はシリコンに限らず酸化皮膜を形成する半導体または金属材料が適用可能である。
更に、平板状の基板の代わりに、微動機構5に支持されているナノチップ1と同様なナノチップを用いてもよい。したがって、本明細書においては、ナノチップ1と対向する側に配置する基板又はナノチップの両者を総称して「原料側部材」という。
酸化被膜を絶縁破壊する電圧の大きさは、シリコン材料の場合約10Vであり、この電圧は材料によって変わるものであるが、10〜100V、望ましくは10〜数10Vの範囲である。印加する電圧が高いほど絶縁破壊される領域が大きくなり作成されるナノワイヤーの直径は大きくなり、この電圧で望む直径のナノワイヤーを得ることが可能になる。
以上の条件で作製されたシリコンナノドット及びシリコンナノワイヤー表面は、シリコン酸化物に覆われている。
シリコンナノチップ1の先端とシリコン基板2表面の状態が示されており、シリコンナノワイヤー3とシリコンナノドット4が存在している。このままシリコン基板2とシリコンナノワイヤーを引き離せば、ワイヤーの突き出たナノチップが作製でき、走査プローブ顕微鏡用のプローブとして利用できる。
図4は、2つのシリコンナノチップ1及び2の間でシリコンナノワイヤー3を形成するもので、図3に示すように下方のシリコンナノチップ2の方にシリコンナノワイヤー3を残すか、あるいは、図5に示すように双方のシリコンナノチップ1及び2にシリコンナノワイヤー3を残し形成しても良い。
図6は、シリコンナノチップ1とシリコン基板2との間でシリコンナノドット4を順次複数形成するもので、シリコン基板2の方にシリコンナノドット4が複数作製されている。
2 シリコン基板
3 シリコンナノワイヤー
4 シリコンナノドット
5 微動機構
6 電極反応用電源
7 チップ微動操作系
8 電気信号
9 モニター
10 真空容器
Claims (3)
- 10−5Pa〜大気圧の圧力に設定された容器内に、電気を流す材料で形成されたナノチップと表面に酸化被膜が形成された半導体材料又は金属材料で形成された原料側部材とを対向して配置し、前記ナノチップと前記原料側部材との間に、前記酸化被膜が破壊される大きさの電圧を印加しながら、前記ナノチップを前記原料側部材に接触させた後に引き離すことにより、直径が1〜10nmのナノワイヤー又は直径10nm以下のナノドットを作製することを特徴とするナノワイヤー又はナノドット製造方法。
- ナノワイヤー又はナノドットを作製後、電気を流す材料で形成されたナノチップ及び半導体材料又は金属材料で形成された原料側部材を引き離し、ナノワイヤー又はナノドットを、前記ナノチップ又は前記原料側部材のどちらか一方又は双方に保持させることを特徴とする請求項1記載のナノワイヤー又はナノドット製造方法。
- 原料側部材をシリコンで形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のナノワイヤー又はナノドット製造方法。
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JP2003282093A JP4328855B2 (ja) | 2003-07-29 | 2003-07-29 | ナノワイヤー又はナノドット及びその製造方法 |
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