JP4327286B2

JP4327286B2 - 水晶振動子の製造方法

Info

Publication number: JP4327286B2
Application number: JP02307999A
Authority: JP
Inventors: 潔荒武; 光男富山
Original assignee: Seiko Instruments Inc
Current assignee: Seiko Instruments Inc
Priority date: 1999-01-29
Filing date: 1999-01-29
Publication date: 2009-09-09
Anticipated expiration: 2019-01-29
Also published as: JP2000223981A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話及びコンピューターに用いる水晶振動子及びその製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の圧電振動子の、例えば、外部端子を接続する接続部６０等は、一般的に、複数の電極膜が積層された積層膜で構成されている。このような積層膜の形成方法としては、まず、図５（ａ）に示すように、実際の駆動部となる圧電振動片１０の表面に、例えば、Ｃｒからなる金属膜５１をスパッタリングにより形成し、図５（ｂ）に示すように、フォトレジスト等を用いてこの金属膜５１をパターニングすることにより第１の電極膜５３とする。
【０００３】
次に、図５（ｃ）に示すように、第１の電極膜５３上に、マスキング材等のマスク部材５４を用いて部分スパッタすることにより、例えば、Ｃｒからなる第２の電極膜５５と例えば、Ａｕからなる第３の電極膜５６とを成膜する。その後、マスク部材５４を除去して接続部６０とする。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら第２の電極膜５５と第３の電極膜５６とを形成する際、マスク部材５４と第１の電極膜５３との間に隙間が形成され易い。そして、この隙間から第２の電極膜５５又は第３の電極膜５５となるＣｒあるいはＡｕ等が、第１の電極膜５３のパターン間に入り込み、第１の電極膜５３にショートが発生し、水晶振動子が動作しなくなるという問題がある。
【０００５】
本発明は、このような事情に鑑み、確実且つ容易に電極膜を形成することのできる圧電振動子の形成方法を提供することを課題とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第１の態様は、一端部が容器に固定されると共に当該容器内に気密封止される圧電振動片と、当該圧電振動片の表裏両面及び側面にそれぞれ独立して設けられると共に外部端子を接続する接続部を有する励振電極膜とを具備する圧電振動子の製造方法において、前記圧電振動片の全面に第１の電極膜を成膜する第１の工程と、前記圧電振動片の一方面側の前記第１の電極膜上の少なくとも前記接続部となる位置に第２の電極膜と第３の電極膜とを部分スパッタリングによって順次成膜する第２の工程と、前記第１の電極膜をパターニングして少なくとも前記接続部を形成する第３の工程とを有することを特徴とする圧電振動子の製造方法にある。
【０００７】
本発明の第２の態様は、第１の態様において、前記第１の電極膜が、Ｃｒ膜であることを特徴とする圧電振動子の製造方法にある。
本発明の第３の態様は、第２の態様において、前記第２の電極膜が、Ｃｒ膜であることを特徴とする圧電振動子の製造方法にある。
本発明の第４の態様は、第１〜３の何れかの態様において、前記第３の電極膜が、Ａｕ膜であることを特徴とする圧電振動子の製造方法にある。
【０００８】
かかる本発明では、第２と第３の電極を形成した後、第１の電極膜のパターニングを行うことにより、第２及び第３の電極膜を形成する際の第１の電極膜のパターン間のショートが防止される。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図１は、本発明の一実施形態に係る水晶振動子の断面図であり、図２は、水晶振動片の平面図及び断面図である。
本実施形態の圧電振動子は、例えば、水晶（ＳｉＯ₂）からなる水晶振動片を有する水晶振動子であり、図１に示すように、水晶振動片１１とこの水晶振動片１１の一端が固定される容器１２と、この容器１２を気密封止する蓋体１３とを有する。
【００１０】
水晶振動片１１は、容器１２の凹部１４内に設けられた段差部１５に半田材等の接着層１６を介して固定されている。この水晶振動片１１が固定された容器１２の上部には、水晶振動片１１と同様の接着層１６によって蓋体１３が接合され、これにより水晶振動片１１が容器１２の凹部１４内に気密封止されている。
また、図２に示すように、水晶振動片１１の上面、下面及び側面には、クロム（Ｃｒ）からなる励振電極膜１７が、それぞれ独立して形成されている。
【００１１】
また、この励振電極膜１７は、水晶振動片１１の長手方向端部まで、延設されており、その長手方向端部近傍は、外部端子を接続する接続部３０となっている。すなわち、本実施形態では、励振電極膜１７の長手方向端部は、水晶振動片１１の幅方向に分離された２つの第１の電極膜２１となっており、それぞれ、水晶振動片１１の幅方向側面を介して上下面に連続的に形成されている。また、水晶振動片１１上面側の第１の電極膜２１上には、さらに、Ｃｒからなる第２の電極膜２２とＡｕからなる第３の電極膜２３とが形成されて、外部端子を接続する接続部３０となっている。一方、水晶振動片１１の下面側の第１の電極膜２１は、上述のように接着層１６を介して容器１２の段差部１５に接合固定される。
【００１２】
以下、このような水晶振動子の製造工程について説明する。なお、図３は、水晶振動片１１の接続部３０に対応する部分の断面図である。
まず、図３（ａ）に示すように、水晶振動片１１の全面に、Ｃｒからなる金属膜２０をスパッタリングによって成膜する。
次いで、図３（ｂ）に示すように、水晶振動片１１の上面側の金属膜２０上の所定の位置、例えば、本実施形態では、水晶振動片１１の基端部に幅方向に略対称的な位置に、第２の電極膜２２及び第３の電極膜２３を形成する。すなわち、これら第２及び第３の電極膜２２，２３を形成する部分の周囲をマスキング材等のマスク部材２４によって覆い、第２の電極膜２２及び第３の電極膜２３を、順次、スパッタリングによって成膜した。
【００１３】
次いで、マスク部材２４を除去し、図３（ｃ）に示すように、電極膜２０をパターニングして励振電極膜１７及び第１の電極膜２１を形成するためのマスクパターン２５を形成する。例えば、本実施形態では、水晶振動片１１の全面に、フォトレジストを塗布し、このフォトレジストを露光及び現像して、金属膜２０のマスクパターン２５とした。
【００１４】
次いで、図３（ｄ）に示すように、金属膜２０をこのマスクパターン２０を用いてエッチングして励振電極膜１７を形成すると共に、第２及び第３の電極膜２２，２３の間の金属膜２０をエッチングして第１の電極膜２１を形成する。すなわち、第１，２及び３の電極膜２１，２２，２３からなる接続部３０を形成する。
【００１５】
このように、本実施形態では、水晶振動片１１の接続部３０でのＣｒからなる第２の電極膜２２とＡｕからなる第３の電極膜２３とのマスキングによる部分スパッタを、第１の電極膜２１のパターニング前に行うようにし、その後、第１の電極膜２１をパターニングするようにした。これにより、第１の電極膜のパターン間に第２及び第３の電極膜となるＣｒあるいはＡｕ等の金属の付着が無く、パターン間のショートを防止することができる。
【００１６】
また、このように接続部３０を形成後、接続部３０以外の励振電極膜１７上に、各励振電極膜１７の短絡を防止するための、例えば、ＳｉＯ₂からなる保護膜を設けるようにしてもよい。これにより、接続部３０、すなわち、Ａｕからなる第３の電極膜２３に半田材等によって外部端子を接続しても、半田材に含まれる錫（Ｓｎ）は第３電極膜２３内には拡散されるものの、励振電極膜１７内に拡散されることがない。また、保護膜によって、各励振電極膜１７間での短絡を確実に防止することができると共に、励振電極膜１７の酸化も防止することができる。したがって、水晶振動片１１の振動特性を低下させることがなく、信頼性を向上することができる。
【００１７】
なお、このように形成された水晶振動片１１は、その後、容器１２の段差部１５に接着層１６によって固定され、さらに容器１２の上部に接着層１６によって蓋体１３が接合されて水晶振動子となる。
また、本実施形態では、凹部１４を有する容器１２内に圧電振動片１１を固定した構造の圧電振動子の製造方法について説明したが、この構造に限定されず、例えば、図４に示すように、水晶振動片３１と枠３２とが一体的に形成された水晶振動板３３の上下面に、水晶振動片３１の振動を妨げない程度の空間を画成する凹部３４を有する一対の蓋体３５を接合した構造の水晶振動子の製造法であっても適用でき、上述と同様の効果を得ることができる。
【００１８】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、第２及び第３の電極膜を形成した後、第１の電極膜のパターニングを行うようにしたので、第１の電極膜のパターン間に第２又は第３の電極膜となる金属が入り込むことがなく、第１の電極膜のパターン間のショートによる不良の発生防止ができ、圧電振動子の信頼性が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る水晶振動子の断面図である。
【図２】本発明の一実施形態に係る水晶振動片に係る平面図及び断面図である。
【図３】本発明の一実施形態に係る水晶振動子の製造工程を示す断面図である。
【図４】本発明の他の実施形態に係る水晶振動子を示す断面図である。
【図５】従来技術に係る水晶振動子の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
１０水晶振動子
１１水晶振動片
１２容器
１３蓋体
１４凹部
１５段差部
１６接着層
１７励振電極膜
２１第１の電極膜
２２第２の電極膜
２３第３の電極膜
３０接続部

Claims

一端部が容器に固定されると共に当該容器内に気密封止される圧電振動片と、当該圧電振動片の表裏両面及び側面にそれぞれ独立して設けられると共に外部端子を接続する接続部を有する励振電極膜とを具備する圧電振動子の製造方法において、
前記圧電振動片の全面に第１の電極膜を成膜する第１の工程と、
前記圧電振動片の一方面側の前記第１の電極膜上の前記接続部となる位置にのみ第２の電極膜をスパッタリングによって複数個所に成膜し、前記第２の電極膜の上面に第３の電極膜をスパッタリングによって成膜する第２の工程と、
前記接続部のうち、複数個所に成膜された前記第２の電極膜の間にある前記第１の電極膜をエッチングする第３の工程と、を有することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
請求項１において、前記第１の電極膜が、Ｃｒ膜であることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
請求項２において、前記第２の電極膜が、Ｃｒ膜であることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
請求項１〜３の何れかにおいて、前記第３の電極膜が、Ａｕ膜であることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
前記第３の工程の後に、前記第１の電極膜のうち、前記接続部を除く上面にＳｉＯ ₂ からなる保護膜を形成する工程を有する、請求項１に記載の圧電振動子の製造方法。