JP4326816B2 - 光学活性アゾール誘導体およびその製造法 - Google Patents

光学活性アゾール誘導体およびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医農薬分野をはじめ多方面において製造上の重要な化合物である光学活性2−フェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルアゾール誘導体の短工程な新規製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、AIDS等の感染による免疫不全患者の増加や高度医療の進展または高齢者の増加等による免疫力低下患者の増大によって、いわゆる日和見感染症に代表される真菌感染症が問題となっている。特に免疫低下者にとって、カンジタ症やアスペルギルス症などの深在性の真菌感染症は、生命にも拘わる重篤な場合も少なくなく、医療現場においては注意すべき感染症の一つである。 従来、これら感染症に対してはフルコナゾールに代表されるアゾール系の抗真菌剤が多用されてきたが、近年、耐性菌の出現や基本的な作用不足が指摘されるようになり、より広範囲な菌種に有効でより強力な治療薬の開発が望まれている(医薬ジャーナル, Vol.37(7), PP115-119,2001)。
【0003】
一方、近年開発中のアゾール系の抗真菌剤は、構造がより複雑化する傾向にあり、特にアゾールメチル基が結合する不斉炭素およびそれに連続して存在する不斉炭素部位をいかに効率よく構築するかが大きな技術上の問題点となっている(J.Med.Chem., Vol.41, PP.1869-1882, 1998)。しかし現在に至るまで、工業的な観点から、安価でかつ安定的な製造方法は確立されていない。
【0004】
以下に従来の製造技術に関して述べる。
連続する不斉部位の構築方法として、いずれの場合もα−ヒドロキシフェニルケトン誘導体を経由して、ケトン基に対するジアステレオ選択的な増炭エポキシ化を行なうことで構築している(Chem.Pharm.Bull., Vol.41(6), PP.1035-1042, 1993)。しかし従来製造法は、(1)ジアステレオ選択性が約4:1と悪く、(2)目的とする異性体のみを単離しようとすると低収率であり、(3)工程数が長く、単離、精製工程が極めて煩雑であり、(4)反応条件によってはラセミ化する、等工業的に見て極めて問題のある製造方法であった。加えて、α−ヒドロキシフェニルケトン誘導体自体の製造方法も多工程であり(Bioorg.Med.Chem.Lett., Vol.1(7), PP.349-352, 1991)、または不斉触媒等の高価な反応試薬を必要とし(Tetrahedron Letters, Vol.37(36), PP.6531-6534, 1996)、工業的な製造方法としては十分満足するものではなかった。近年、これらの既存法を改良したL−アラニンを出発原料とする新規な製造法も報告されているが(米国特許第6300522号公報)、α−ヒドロキシフェニルケトン誘導体を経由する点において根本的な問題を解決には至っておらず、必ずしも工業的に満足する製造方法ではなかった。
【0005】
このように、より有用な新規アゾール系の抗真菌剤の開発が望まれているにも拘わらず、2つの不斉炭素を有する光学活性な化合物であるため、従来の製造技術では、工業的な観点から安価でかつ安定的な製造方法は確立されておらず、これら中間体化合物に関して、より効率的な新規製造法の早急な開発が望まれている。
【0006】
【特許文献1】
&ト国特許第6300522号公報
【0007】
【非特許文献1】
J.Med.Chem., Vol.41, PP.1869-1882, 1998
【0008】
【非特許文献2】
Chem.Pharm.Bull., Vol.41(6), PP.1035-1042, 1993
【0009】
【非特許文献3】
Bioorg.Med.Chem.Lett., Vol.1(7), PP.349-352, 1991
【0010】
【非特許文献4】
Tetrahedron Letters, Vol.37(36), PP.6531-6534, 1996
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、医農薬分野における有用な化合物であり、特に光学活性なアゾール系抗真菌剤の製造過程において極めて重要な中間体となる、光学活性2−フェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルアゾール誘導体の製造方法であって、工業的な観点から、短工程で安価にかつ安定的に製造する方法と該製造法の幾つかの工程において製造される新規な中間体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意検討を重ねた結果、光学活性なα−ヒドロキシカルボン酸誘導体を出発原料とし、アゾール酢酸誘導体と反応させ、医農薬の非常に重要な中間体である光学活性な新規アゾールアルキルケトン誘導体を製造できることを見出した。さらに、光学活性な新規アゾールアルキルケトン誘導体に対するアルキル化反応を、保護基の選択と反応条件によって、自由にアンチあるいはシン配置にできる、高ジアステレオ選択的反応を見出し、医農薬の非常に重要な中間体である新規光学活性アゾールメチルアルコール誘導体を製造できることを見出した。さらに、新規光学活性アゾールメチルアルコール誘導体を選択的に脱保護を行うことで、医農薬の非常に重要な中間体である光学活性2−フェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルアゾール誘導体を得るまったく新しい製造ルートを見出した。このとき、反応に伴なうラセミ化がほとんど無く、高い光学純度で望む立体配置を有する化合物を選択的に製造できることを見出した。特に、光学活性なα−ヒドロキシカルボン酸誘導体として安価な乳酸誘導体を利用し、保護基としてシリル系の保護基を用い、光学活性な新規シリルオキシ−アゾールアルキルケトン誘導体を経由し、非常に高いシン選択性でアルキル化が行えることを見出し、光学活性なアゾール系抗真菌剤の製造のために極めて重要な中間体である新規光学活性シリルオキシ−アゾールメチルアルコール誘導体を得られることを見出した。これらにより、光学活性なアゾール系抗真菌剤の製造のために極めて重要な中間体であり、高い光学純度で望む立体配置を有する2−フェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルアゾール誘導体の製造が、工業的な観点から短工程で安価にかつ安定的に行い得ることが可能となり、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は以下の[1]〜[8]に記載のとおりである。
[1] 一般式(1)[化7]
【0014】
【化7】
Figure 0004326816
【0015】
(式中R1は置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアリール基または置換されてもよいヘテロ環を示し、R2は水酸基の保護基としてのエーテル系の保護基、アセタール系の保護基またはシリル系の保護基を示し、R3は置換されてもよいアルキルオキシ基、置換されてもよいアラルキルオキシ基または置換されてもよいフェノキシ基を示し、炭素原子上の*は不斉炭素を意味し、R配置あるいはS配置を取ることができる。)で表される光学活性α−ヒドロキシカルボン酸誘導体と、一般式(2)[化8]
【0016】
【化8】
Figure 0004326816
【0017】
(式中R4は水素、置換されてもよいアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属塩を示し、Yは炭素原子または窒素原子を示す。)で表されるアゾール酢酸誘導体を塩基性条件下反応させ一般式(3)[化9]
【0018】
【化9】
Figure 0004326816
【0019】
(式中R1、R2、*およびYは前記と同義である。)で表されるアゾールメチルケトン誘導体を製造し、さらに一般式(3)で表される光学活性アゾールメチルケトン誘導体と一般式(4)[化10]
【0020】
【化10】
Figure 0004326816
【0021】
(式中R5およびR6は互いに独立してハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換されてもよいアミノ基、置換されてもよいアミド基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルキルオキシ基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアラルキルオキシ基、置換されてもよいフェニル基、置換されてもよいフェニルオキシ基、置換されてもよいヘテロ環または置換されてもよいヘテロ環オキシ基を示し、AはLi、MgX、ZnX、TiX3、Ti(OR7)3、CuXまたはCuLiを示す。ただし、Xはハロゲン原子を示し、R7は置換されてもよいアルキル基を示す。)で表されるフェニル金属試薬をジアステレオ選択的に反応させ、一般式(5)[化11]
【0022】
【化11】
Figure 0004326816
【0023】
(式中R1、R2、R5、R6、*およびYは前記と同義である。)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体を製造し、さらに一般式(5)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体の、R2で表される水酸基の保護基を選択的に脱保護化することを特徴とする、一般式(6)[化12]
【0024】
【化12】
Figure 0004326816
【0025】
(式中R1、R5、R6、*およびYは前記と同義である。)で表される光学活性2−フェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルアゾール誘導体の製造法。
[2] 一般式(3)(式中R1、R2、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルケトン誘導体と一般式(4)(式中R5、R6、A、X、R7は前記と同義を示す。)で表されるフェニル金属試薬をジアステレオ選択的に反応させることを特徴とする、一般式(5)(式中R1、R2、R5、R6、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体の製造法。
[3] 一般式(3)(式中R1、R2、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルケトン誘導体と一般式(4)(式中R5、R6、A、X、R7は前記と同義を示す。)で表されるフェニル金属試薬をアンチ選択的に反応させることを特徴とする、一般式(5)(式中R1、R2、R5、R6、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体の製造法。
[4] 一般式(3)(式中R1、R2、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルケトン誘導体と一般式(4)(式中R5、R6、A、X、R7は前記と同義を示す。)で表されるフェニル金属試薬をシン選択的に反応させることを特徴とする、一般式(5)(式中R1、R2、R5、R6、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体の製造法。
[5] R1がメチル基であり、R5およびR6がフッ素または塩素である[1]から[4]の何れか一項に記載の製造法。
[6] 一般式(3)(式中R1、R2、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルケトン。
[7] R1がメチル基で表される[6]記載の光学活性アゾールメチルケトン。
[8]R2がシリル系の保護基で表される[7]に記載の光学活性アゾールメチルケトン。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に本発明の化合物についてさらに詳細に説明する。
本発明において「置換されてもよいアルキル基」とは、アルキル基の任意の位置が置換されてもよいアルキル基を意味する。アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基またはアリル基等を挙げることができる。置換基としては、水酸基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0027】
本発明において「置換されてもよいアラルキル基」とは、アラルキル基の任意の位置が置換されてもよいアラルキル基を意味する。アラルキル基としては、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェニルエチル基または9−フルオレニルメチル基等が挙げられる。置換基としては、メチル基、tert-ブチル基またはベンジル基等のアルキル基、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサン等のシクロアルキル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0028】
本発明において「置換されてもよいアリール基」とは、アリール基の任意の位置が置換されてもよいアリール基を意味する。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基またはフェナントレニル基等を挙げることができる。置換基としては、メチル基、tert-ブチル基またはベンジル基等のアルキル基、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサン等のシクロアルキル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0029】
本発明において「置換されていてもよいヘテロ環」とは、ヘテロ原子として酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を有するヘテロ環の任意の位置が置換されていてもよいヘテロ環を意味する。ヘテロ環としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチエニル基、ピペリジル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、フルフリル基、テニル基、ピリジルメチル基、ピリミジル基、ピラジル基、イミダゾイル基、イミダゾイルメチル基、インドリル基、インドリルメチル基、イソキノリル基、キノリル基またはチアゾリル基等が挙げられる。置換基としては、メチル基、tert-ブチル基またはベンジル基等のアルキル基、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサン等のシクロアルキル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0030】
本発明において「水酸基の保護基としてのエーテル系の保護基」とは、水酸基を保護する目的でエーテル結合を有する保護基を意味し、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、オクチル基、アリル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、フルオレニル基、トリチル基、ベンズヒドリル基等を挙げることができる。
【0031】
本発明において「アセタール系の保護基」とは、水酸基を保護する目的でアセタール結合を有する保護基を意味し、メトキシメチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等を挙げることができる。
【0032】
本発明において「シリル系の保護基」とは、水酸基を保護する目的でシリルオキシ結合を有する保護基を意味し、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0033】
本発明において「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素等を挙げることができる。
【0034】
本発明において「置換されていてもよいアシル基」とは、アシル基の任意の位置が置換されていてもよいアシル基を意味する。アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。置換基としては、メチル基、tert-ブチル基またはベンジル基等のアルキル基、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサン等のシクロアルキル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0035】
本発明において「置換されていてもよいカーボネート基」とは、カーボネート基の任意の位置が置換されていてもよいカーボネート基を意味する。カーボネート基としては、メチルカーボネート基、エチルカーボネート基、イソプロピルカーボネート基、ベンジルカーボネート基等を挙げることができる。置換基としては、メチル基、tert-ブチル基またはベンジル基等のアルキル基、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサン等のシクロアルキル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0036】
本発明において「置換されてもよいアルキルオキシ基」とは、アルキルオキシ基の任意の位置が置換されてもよいアルキルオキシ基を意味する。アルキルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基またはアリルオキシ基等を挙げることができる。置換基としては、水酸基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0037】
本発明において「置換されてもよいアラルキルオキシ基」とは、アラルキルオキシ基の任意の位置が置換されてもよいアラルキルオキシ基を意味する。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基、フェニルエチルオキシ基または9−フルオレニルメチルオキシ基等が挙げられる。置換基としては、メチル基、tert-ブチル基またはベンジル基等のアルキル基、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサン等のシクロアルキル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0038】
本発明において「置換されてもよいフェノキシ基」とは、フェノキシ基の任意の位置が置換されてもよいフェノキシ基を意味する。置換基としては、メチル基、tert-ブチル基またはベンジル基等のアルキル基、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサン等のシクロアルキル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0039】
本発明において「置換されてもよいアミノ基」とは、アミノ基の任意の位置が置換されてもよいアミノ基を意味する。置換基としては、メチル基、tert-ブチル基またはベンジル基等のアルキル基、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサン等のシクロアルキル基、フェニル基等を挙げることができる。
【0040】
本発明において「アルカリ金属」とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等を挙げることができる。
【0041】
本発明において「アルカリ土類金属塩」とは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムベリリウム等の塩を意味し、ハロゲン化マグネシウム、アルコキシマグネシウム、ハロゲン化カルシウム、アルコキシカルシウム、ハロゲン化ストロンチウム、ハロゲン化バリウム、ハロゲン化ベリリウムなどがあげられる。さらに詳しくは−MgCl、−MgBr、−MgOMe、−MgOEtなどのマグネシウム塩、−CaCl、−CaBr、−CaOMe、−CaOEtなどのカルシウム塩、−BaCl、−BaBr、−BaOMe、−BaOEtなどのバリウム塩を挙げることができる。また、アゾール酢酸誘導体2分子が1つのアルカリ土類金属塩を形成することもできる。
【0042】
本発明において「アルキルオキシカルボニル基」としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0043】
本発明において「アリールオキシカルボニル基」としては、フェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0044】
本発明において「置換されてもよいアミド基」とは、アミド基の任意の位置が置換されてもよいアミノ基を意味する。置換基としては、メチル基、tert-ブチル基またはベンジル基等のアルキル基、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサン等のシクロアルキル基、フェニル基等を挙げることができる。
【0045】
本発明において「置換されていてもよいヘテロ環オキシ基」とは、ヘテロ環オキシ基の任意の位置が置換されていてもよいヘテロ環オキシ基を意味する。ヘテロ環オキシ基としては、テトラヒドロピラニルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基、テトラヒドロチエニルオキシ基、ピペリジルオキシ基、モルホリニルオキシ基、ピペラジニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、チエニルオキシ基、ピリジルオキシ基、フルフリルオキシ基、テニルオキシ基、ピリジルメチルオキシ基、ピリミジルオキシ基、ピラジルオキシ基、イミダゾイルオキシ基、イミダゾイルメチルオキシ基、インドリルオキシ基、インドリルメチルオキシ基、イソキノリルオキシ基、キノリルオキシ基またはチアゾリルオキシ基等が挙げられる。置換基としては、メチル基、tert-ブチル基またはベンジル基等のアルキル基、シクロプロパン、シクロペンタンまたはシクロヘキサン等のシクロアルキル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0046】
一般式(3)の化合物から一般式(5)の化合物へのジアステレオ選択的に反応とは、一般式(3)の不斉炭素の立体に対し選択的に新しい不斉炭素を生じることであり、アンチ選択的とは、ある面上に炭素鎖をジグザグに置いたときに、光学活性な炭素原子上のR2O−基に対して逆側に水酸基を生じるものであり、シン選択的とは同じ側に水酸基を生じる選択性を意味する。すなわち、アンチ選択的とは一般式(7)[化13]
【0047】
【化13】
Figure 0004326816
【0048】
に表されるようなジアステレオ選択性であり、(S)体から(S,R)体を生じ、(R)体から(R,S)体を生じる反応である。
また、シン選択性とは一般式(8)[化14]
【0049】
【化14】
Figure 0004326816
【0050】
に表されるようなジアステレオ選択性であり、(S)体から(S,S)体を生じ、(R)体から(R,R)体を生じる反応である。
【0051】
以下に一般式(3)、(5)、(6)、(8)、(9)および(10)に含まれる化合物を表−1[表1]〜表−10[表10]に例示する。ただし、これは本願発明化合物を制限するものではない。
【0052】
【表1】
Figure 0004326816
【0053】
【表2】
Figure 0004326816
【0054】
【表3】
Figure 0004326816
【0055】
【表4】
Figure 0004326816
【0056】
【表5】
Figure 0004326816
【0057】
【表6】
Figure 0004326816
【0058】
【表7】
Figure 0004326816
【0059】
【表8】
Figure 0004326816
【0060】
【表9】
Figure 0004326816
【0061】
【表10】
Figure 0004326816
【0062】
以下に、本発明の代表的な製造法について説明する。
【0063】
[1]一般式(3)で表される光学活性アゾールメチルケトン誘導体の製造法について述べる。
一般式(1)で表される光学活性α−アルコキシカルボン酸誘導体に対し、一般式(2)で表されるアゾール酢酸誘導体を塩基性条件下にて反応させることで一般式(3)で表されるアゾールメチルケトン誘導体を製造することができる。本反応は、炭素−炭素結合反応の後に、あるいは同時に脱炭酸反応を進行させることで、効率良くアゾールメチル基を導入することが可能である。また本反応において、出発原料に光学活性体を用いるが、反応による光学純度の低下はほとんど観察されない。
【0064】
使用可能な塩基としては特に制限は無いが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基があげられる。また、トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロウンデセン等の有機アミン塩基があげられる。また、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシドなどのアルコキシドがあげられる。また、水素化リチウム、水素化ナトリウム等の金属水素化物があげられる。また、アルキルリチウム、Grignard試薬などの有機金属塩基、中でもn-ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロマイド、n-ブチルマグネシウムクロライド、tert-ブチルマグネシウムクロライドなどがあげられる。また、ナトリウムアミド、リチウムアミド、マグネシウムアミドなどの金属アミド塩基、中でもリチウムジイソプロピルアミド、ハロゲン化マグネシウムジアルキルアミド、中でも塩化マグネシウムジイソプロピルアミド等の金属アミド塩基等をあげることができる。これらの塩基は単独あるいは併用して用いることができる。
【0065】
使用可能な溶媒としては、反応の進行を妨げないものであれば特に制限はないが、水、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン等を挙げることができる。またこれら溶媒は単独で、あるいは2種以上の任意の比率での混合溶媒として使用可能である。
【0066】
反応温度に関しては、−78℃から使用する溶媒の沸点まで実施可能であるが、好ましくは、−20℃から溶媒の沸点の温度範囲である。反応時間は特に制限は無いが、数分間から24時間、好ましくは30分間から6時間の範囲である。
【0067】
[2]一般式(5)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体の製造法について述べる。
一般式(3)で表される光学活性アゾールメチルケトン誘導体に対し、一般式(4)で表されるフェニル金属試薬を反応させることで一般式(5)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体を製造することができる。この反応において、R2で示される水酸基の保護基とAで示される金属種の組み合わせにより、ジアステレオ選択性が変わり、適切な保護基と金属種を組み合わせることで、自由にシンあるいはアンチの立体を作り分けることができる。
【0068】
概論すれば、R2O基における酸素原子と反応に関与するカルボニル基が金属の配位により立体が固定された、いわゆるキレーションモデルにしたがって有機金属試薬が反応することで、高いアンチのジアステレオ選択性で目的物を得ることができる。より具体的には、S配置の化合物からはS−R配置の化合物を、R配置の化合物からはR−S配置の化合物を選択的に製造することができる。保護基として具体的にはベンジル基、メトキシメチル基などを用い、有機金属試薬としてGrignard試薬を用いることで高いアンチ選択性(>6:1)で目的の反応が行うことができる。
【0069】
また、R2で示される水酸基の保護基を立体的に大きくし、適切な金属試薬を選択することで、高いシン選択性で目的物を得ることができる。より具体的には、S配置の化合物からはS−S配置の化合物を、R配置の化合物からはR−R配置の化合物を高いシン選択性(>4:1)で製造することができる。具体的には、保護基としてシリル系の保護基を用いることで非常に高いシン選択性(>20:1)で目的の反応が行うことができる。シリル系の保護基としては、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリエチルシリル基などがあげられる。
【0070】
また、本反応において、出発原料を光学活性体とした場合、反応による光学純度の低下はほとんど観察されない。使用可能なフェニル金属化合物としては、フェニルリチウム誘導体、フェニルマグネシウム誘導体、フェニル亜鉛誘導体、フェニルチタン誘導体、フェニル銅誘導体またはフェニル銅リチウム誘導体等を挙げることができる。さらに、反応系に様々の添加物を加え、ジアステレオ選択性を変化させ、あるいは収率を向上させることができる。添加物として具体的には、ルイス酸、4級アンモニウム塩、などがあげられる。さらに詳しくは、CeCl3、MgBr2、MgCl2、ZnCl2、ZnBr2、CuCl2、TiCl4、BF3、AlCl3、SnCl4、SnCl2などが挙げられる。
【0071】
使用可能な溶媒としては、反応の進行を妨げないものであれば特に制限はないが、水、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン等を挙げることができる。またこれら溶媒は単独で、あるいは2種以上の任意の比率での混合溶媒として使用可能である。
【0072】
反応温度に関しては、−78℃から使用する溶媒の沸点まで実施可能であるが、好ましくは、−40℃から室温の範囲である。反応時間は特に制限はないが、数分から24時間、好ましくは30分間から6時間の範囲である。
【0073】
[3]一般式(6)で表される光学活性2−フェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルアゾール誘導体の製造法について述べる。
一般式(5)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体のR2で表される水酸基部分の保護基を選択的に脱保護化することで、一般式(6)で表される光学活性2−フェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルアゾール誘導体を製造することができる。水酸基の脱保護方法は、脱保護される部分以外の構造に変化を与えない方法であれば特に制限はない。エーテル系の保護基の場合は、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸または酢酸等による酸処理、あるいはパラジウム−炭素等を触媒とする接触水素化分解処理等により実施可能である。また、アセタール系の保護基の場合は、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸または酢酸等による酸処理等を用いることができ、シリル系の保護基の場合は、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸または酢酸等による酸処理、またはテトラn-ブチルアンモニウムフルオライド等のフッ素アニオン処理によって実施可能である。
【0074】
使用可能な溶媒としては、反応の進行を妨げないものであれば特に制限はないが、水、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。またこれら溶媒は単独で、あるいは2種以上の任意の比率での混合溶媒として使用可能である。
【0075】
反応温度に関しては、−20℃から使用する溶媒の沸点まで実施可能である。反応時間は特に制限はないが、数分間から24時間、好ましくは30分間から6時間の範囲である。
【0076】
なお、本発明の出発原料である一般式(1)で表される光学活性α−ヒドロキシカルボン酸誘導体は、市販で容易に入手可能であるか、または一般的に広く知られた方法で合成可能である。例えば、乳酸(Chem.Pharm.Bull., Vol.41(6), PP.1035-1042, 1993)、各種アミノ酸(Synthesis, 1987, P.479)、α−ハロカルボン酸誘導体(Tetrahedron Lett., 1985, Vol.26, P.5257)から既知の方法で合成可能である。さらに、一般式(2)で表されるアゾール酢酸誘導体は、既知の方法(Tetrahedron Lett., 2000, 41(8), 1297等)で容易に合成可能である。また、製造方法として特に明記していない試薬および使用原料に関しては一般的に市販されており、いずれも入手は容易である。
【0077】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
[実施例1](3R)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-3-(トリフェニルメチルオキシ)-2-ブタノンの合成:[化15]
【0078】
【化15】
Figure 0004326816
【0079】
トリアゾール酢酸(0.55g)にTHF(4ml)およびトリエチルアミン(0.44g)を加え、室温にて2時間撹拌し、続いて(2R)-2-(トリフェニルメチルオキシ)プロピオン酸メチルエステル(1.00g)を室温にて混合し、均一な溶液Aとした。0.91M tert-ブチルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(25ml)を40〜45℃に加温した後に、上記で調製した溶液Aを1時間かけて滴下した。滴下終了後、40〜45℃で4時間撹拌した。反応液を5℃に氷冷し、2N硫酸30mlを滴下した。酢酸エチル(50ml)加え目的化合物を抽出して有機層を得、この有機層を飽和重曹水40ml、次いで飽和食塩水40mlで順次洗浄した。洗浄後の有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck社製C-300相当品, 15g,クロロホルムのみ→クロロホルム:メタノール=8:2)にて精製した。得られた残渣をヘキサンから結晶化させ標題化合物(0.60g, 52%)を淡黄色結晶として得た。融点=162℃(分解)。
1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=7.84(s, 1H), 7.48(s, 1H), 7.45-7.25(m, 15H), 5.01(d, 1H, J=8.8Hz), 4.40(q, 1H, J=6.9HZ), 4.07(d, 1H, J=8.8Hz), 1.51(d, 3H, J=6.9Hz)
【0080】
[実施例2](3R)-3-(ベンジルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノンの合成:[化16]
【0081】
【化16】
Figure 0004326816
【0082】
(2R)-2-(トリフェニルメチルオキシ)プロピオン酸メチルエステルに代えて(2R)-2-(ベンジルオキシ)プロピオン酸メチルエステル(20.0g)を用い、実施例1と同様に処理することで、標題化合物(7.6g, 30%)を無色透明シロップとして得た。
1H-N.M.R.(270MHz, DMSO-d6): δ=8.44(s, 1H), 7.98(s, 1H), 7.50-7.20(m, 5H), 5.55(d, 1H, J=18.6Hz), 5.43(d, 1H, J=18.6Hz), 4.61(s, 2H), 4.26(q, 1H, J=6.9Hz), 1.34(d, 3H, J=6.9Hz)
【0083】
[実施例3](3S)-3-(ベンジルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノンの合成:[化17]
【0084】
【化17】
Figure 0004326816
【0085】
(2R)-2-(トリフェニルメチルオキシ)プロピオン酸メチルエステルに代えて(2S)-2-(ベンジルオキシ)プロピオン酸ベンジルエステル(1.88g)を用い、実施例1と同様に処理することで、標題化合物(340mg, 19%)を無色透明シロップとして得た。物性値は実施例2に一致した。
【0086】
[実施例4](3R)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノンの合成:[化18]
【0087】
【化18】
Figure 0004326816
【0088】
(2R)-2-(トリフェニルメチルオキシ)プロピオン酸メチルエステルに代えて(2R)-2-(メトキシメチルオキシ)プロピオン酸メチルエステル(2.96g, 20mmol)を用い、実施例1と同様に処理することで、標題化合物(1.59g, 40%)を無色透明シロップとして得た。
1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=8.14(s, 1H), 7.97(s, 1H), 5.36(d, 1H, J=8.8Hz), 5.22(d, 1H, J=8.8Hz), 4.73-4.70(m,1H), 4.40(q, 1H, J=6.9Hz), 3.95-3.87(m, 1H), 3.59-3.52(m, 1H), 1.91-1.55(m, 6H), 1.48(d, 3H, J=6.9Hz)
【0089】
[実施例5](3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノンの合成:[化19]
【0090】
【化19】
Figure 0004326816
【0091】
トリアゾール酢酸ナトリウム(1.02g, 6.87mmol)と無水塩化マグネシウム(1.31g, 13.7mmol)にテトラヒドロフラン(15ml)を加え室温にて2時間撹拌した。0.91M tert-ブチルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(15.1ml)を加え、40〜45℃に加温した。続いて、40〜45℃の温度範囲で、 (2R)-2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)プロピオン酸メチルエステル(1.00g, 4.58mmol)のテトラヒドロフラン(3ml)溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、40〜45℃の温度範囲で、4時間撹拌した。反応液に10%硫酸を加えて反応液のpHを2〜4に調整し、トルエン(20ml)で目的とする標題化合物を抽出した。抽出液を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、乾燥剤をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck社製C-300相当品, 15g, ヘキサン:酢酸エチル=3:1→2:1→1:1)で精製し、標題化合物(1.09g, 82%)を無色透明シロップとして得た。
1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=8.14(s, 1H), 7.98(s, 1H), 5.42(d, 1H, J=19.1Hz), 5.22(d, 1H, J=19.1Hz), 4.39(q, 1H, J=6.9Hz), 1.40(d, 3H, J=6.9Hz), 0.97(s, 9H), 0.16(s, 6H)
光学純度(キラルHPLC面積法)=99%ee。分析条件/DAICL CHIRALPAK AD, 溶離液組成 ヘキサン:2-プロパノール:ジエチルアミン=90:10:0.1, 検出法 UV 220nm
【0092】
[実施例6](3R)-3-(3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-1-イルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノンの合成:[化20]
【0093】
【化20】
Figure 0004326816
【0094】
(2R)-2-(3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラン-1-イルオキシ)プロピオン酸メチルエステル(3.77g, 20mmol)を用い、実施例1と同様に処理することで、標題化合物(2.15g, 45%)を無色透明シロップとして、THP基に由来する2種のジアステレオマー混合物として得た。
THP由来のジアステレオマーA;1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=8.11(s, 1H), 7.97(s, 1H), 5.36(d, 1H, J=8.8Hz), 5.22(d, 1H, J=8.8Hz), 4.73-4.70(m, 1H), 4.40(q, 1H, J=6.9Hz), 3.95-3.87(m, 1H), 3.59-3.52(m, 1H), 1.91-1.55(m, 6H), 1.48(d, 3H, J=6.9Hz)
THP由来のジアステレオマーB;1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=8.11(s, 1H), 7.96(s, 1H), 5.50(d, 1H, J=8.8Hz), 5.32(d, 1H, J=8.8Hz), 4.57-4.54(m, 1H), 4.24(q, 1H, J=6.9Hz), 3.95-3.89(m, 1H), 3.52-3.42(m, 1H), 1.89-1.84(m, 2H), 1.57-1.54(m, 4H), 1.39(d, 3H, J=6.9Hz)
【0095】
[実施例7](2R, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -2-ブタノールおよび(2S, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノールの合成:[化21]
【0096】
【化21】
Figure 0004326816
【0097】
2,4-ジフロロブロモベンゼン(202mg, 1.05mmol)をエーテル(4ml)に溶解し、-70〜-65℃の範囲で、1.59M n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(0.66ml, 1.05mmol)を滴下し、30分間撹拌しA液とした。別途、無水塩化セリウム(258mg, 1.05mmol)を減圧下、140℃で1時間乾燥した後、室温まで冷却し、テトラヒドロフラン(3ml)を加えた後、30分間超音波処理を行ない懸濁溶液Bとした。懸濁溶液Bを、-70〜-65℃の範囲で冷却したA液に滴下した。続いて(3R)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン(70mg, 0.35mmol)のエーテル(2ml)溶液を-70〜-65℃で滴下し、そのままの温度で30分間撹拌した後、室温まで昇温した。反応液に酢酸エチル(10ml)および水(10ml)を加え、有機層を分取した。有機層を飽和食塩水(5ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧濃縮し、分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Merck社製, 20cm×20cm×2mm, 展開液:酢酸エチルのみ)で精製し、標題化合物(38mg, 35%)をジアステレオ混合物として得た。無色透明シロップ。ジアステレオマー比(2R, 3R):(2S, 3R)=6:1。ジアステレオマー比は、実施例18の方法によりメトキシメチル基を脱保護化した誘導体で決定した。
(2R, 3R)体;1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=7.89(s, 1H), 7.73(s, 1H), 7.48-7.38(m., 1H), 6.79-6.71(m, 2H), 4.91-4.72(m, 4H), 4.29(q, 1H, J=6.6Hz), 4.13(s, 1H), 3.46(s, 3H), 1.03(d, 3H, J=6.6Hz)
(2S, 3R)体;1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=8.02(s, 1H), 7.72(s, 1H), 7.49-7.40(m., 1H), 6.79-6.69(m, 2H), 4.99(d, 1H, J=13.8Hz), 4.59(d, 1H, J=7.0Hz), 4.48(d, 1H, J=13.8Hz), 4.42(d, 1H, J=7.0Hz), 4.41(s, 1H),, 4.15(q, 1H, J=6.3Hz), 3.08(s, 3H), 1.28(d, 3H, J=6.3Hz)
【0098】
[実施例8](2R, 3R)-3-(ベンジルオキシ)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -2-ブタノールおよび(2S, 3R)-3-(ベンジルオキシ)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノールの合成:[化22]
【0099】
【化22】
Figure 0004326816
【0100】
窒素雰囲気下、マグネシウム(6.0g, 46mmol)をテトラヒドロフラン(120ml)に分散させ、よう素(5mg)加えて攪拌した。 2,4-ジフルオロブロモベンゼン(48g, 248mmol)のテトラヒドロフラン(120ml)溶液を、内温が30〜35℃になるように滴下し、グリニヤ試薬Aとした。別途、無水塩化セリウム(10g, 40.8mmol)を減圧下、130℃で1時間乾燥した。室温まで冷却した後、窒素雰囲気下にてテトラヒドロフラン(40ml)を加えて、懸濁の状態で30分間超音波処理を行ない懸濁溶液Bとした。続いて、(3R)-3-(ベンジルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン(5.0mg, 20.4mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を、懸濁溶液Bに加え、さらに30分間超音波処理を行なった。テトラヒドロフラン(4ml)を懸濁溶液Bに追加した後、0℃から−5℃に保って、上記で調製したグリニヤ試薬A(24ml, 24mmol)を滴下した。滴下後更に12時間攪拌した。氷冷下、1N塩酸(200ml)を滴下、酢酸エチル(400ml)で抽出して有機層を得た。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(400ml)、次いで飽和食塩水(400ml)で順次洗浄し、洗浄後の有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤をろ過、ろ液を濃縮して、残分(10g)の油状物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck社製C-300相当品10g, ヘキサン:酢酸エチル=2:1→1:1)で精製し、標題化合物(900mg, 12%)を得た。無色透明シロップ。ジアステレオマー比 (2R, 3R):(2S, 3R)=1:14。ジアステレオマー比は、実施例14の方法によりベンジル基を脱保護化した誘導体で決定した。
(2R, 3R)体;1H-N.M.R.(400MHz, CDCl3) δ=7.85(s, 1H), 7.67(s, 1H), 7.42-7.30(m, 6H), 6.76-6.68(m, 2H), 4.77(d, 1H, J=11.5Hz), 4.72(s, 2H), 4.51(d, 1H, J=11.5Hz), 4.15(q, 1H, J=6.3Hz), 4.02(s, 1H), 1.04(d, 1H, J=6.3Hz)
(2S, 3R)体;1H-N.M.R.(400MHz, CDCl3) δ=7.99(s, 1H), 7.72(s, 1H), 7.49-7.43(m, 1H), 7.29-7.26(m, 3H), 7.10-7.08(m, 2H), 6.80-6.75(m, 1H), 6.71-6.65(m, 1H), 4.96(d, 1H, J=14.5Hz), 4.53(d, 1H, J=10.4Hz), 4.45(d, 1H, J=14.5Hz), 4.36(s, 1H), 4.27(d, 1H, J=10.4Hz), 3.90(q, 1H, J=6.1Hz), 1.25(d, 3H, J=6.1Hz)
ヘキサン−酢酸エチルを結晶化溶媒として用いることで、上記操作で得られた無色透明シロップ状のジアステレオ混合物から、(2S, 3R)体を優先的に白色結晶(40g, 10%)として得た。融点=103〜105℃、ジアステレオマー過剰率=98%de。ジアステレオマー過剰率は、実施例14の方法によりベンジル基を脱保護化した誘導体で決定した。
【0101】
[実施例9](2S, 3S)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -2-ブタノールおよび(2R, 3S)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノールの合成:[化23]
【0102】
【化23】
Figure 0004326816
【0103】
2,4-ジフロロブロモベンゼン(139mg, 0.72mmol)をテトラヒドロフラン(4ml)に溶解し、-70〜-65℃の範囲で、1.59M n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(0.45ml, 0.72mmol)を滴下し、30分間撹拌した。(3S)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン(47.5mg, 0.24mmol)のエーテル(1ml)溶液を-70〜-65℃で滴下し、そのままの温度で30分間撹拌した後、室温まで昇温した。反応液に酢酸エチル(10ml)および水(10ml)を加え、有機層を分取した。有機層を飽和食塩水(5ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧濃縮し、分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Merck社製, 20cm×20cm×2mm, 展開液:酢酸エチルのみ)で精製し、標題化合物(15mg, 20%)をジアステレオ混合物として得た。無色透明シロップ。ジアステレオマー比 (2S, 3S):(2R, 3S)=5:1。ジアステレオマー比は、実施例18の方法によりメトキシメチル基を脱保護化した誘導体で決定した。物性値は実施例7と一致した。
【0104】
[実施例10](2R, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-3-(トリフェニルメチルオキシ)-2-ブタノールおよび(2S, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -3-(トリフェニルメチルオキシ)-2-ブタノールの合成:[化24]
【0105】
【化24】
Figure 0004326816
【0106】
(3R)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノンに代えて(3R)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-3-(トリフェニルメチルオキシ)-2-ブタノン(1.55g)を用い、実施例7と同様に反応を行い、標題化合物(200mg, 10%)をジアステレオ混合物として得た。淡黄色シロップ。ジアステレオマー比 (2R, 3R):(2S, 3R)=4.3:1。ジアステレオマー比は、実施例17の方法によりトリチル基を脱保護化した誘導体で決定した。
(2R, 3R)体;1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=8.10-7.08(m, 18H), 6.79-6.49(m, 2H), 4.47(d, 1H, J=15Hz), 4.40-4.20(m, 2H), 3.79(q, 1H, J=6.9Hz), 0.80(d, 3H, J=6.9Hz)
(2S, 3R)体;1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=8.10-7.08(m, 18H), 6.79-6.49(m, 2H), 4.58(d, 1H, J=15Hz), 4.46(s, 1H), 4.30-4.20(m, 1H), 3.71(q, 1H, J=6.9Hz), 1.00(d, 3H, J=6.9Hz)
【0107】
[実施例11](2R, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -2-ブタノールおよび(2S, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノールの合成:[化25]
【0108】
【化25】
Figure 0004326816
【0109】
(3R)-3-(ベンジルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノンに代えて(3R)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン(48mg, 0.35mmol)を用い、実施例8と同様に処理することで、標題化合物(28mg, 37%)をジアステレオ混合物として得た。無色透明シロップ。ジアステレオマー比 (2R, 3R):(2S, 3R)=1:8。ジアステレオマー比は、実施例18の方法によりメトキシメチル基を脱保護化した誘導体で決定した。物性値は実施例9と一致した。
【0110】
[実施例12](2R, 3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -2-ブタノールおよび(2S, 3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノールの合成:[化26]
【0111】
【化26】
Figure 0004326816
【0112】
マグネシウム(5.96g, 245mmol)をテトラヒドロフラン(175g)に分散させ、ヨウ素(5mg)を加えた後、室温で2,4-ジフロロブロモベンゼン(47.3g, 245mmol)のテトラヒドロフラン(60g)溶液を滴下し、グリニヤ試薬とした。(3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン(20g, 74.2mmol)および無水塩化マグネシウム(21.2g, 223mmol)をテトラヒドロフラン(100g)に懸濁させ、-35℃に冷却した後、上記で調製したグリニヤ試薬を45分間かけて滴下した。滴下終了後、15分間撹拌し、1N 塩酸(245ml)で反応を停止させた。得られた反応液からトルエン(180ml)で目的化合物を抽出して有機層を得、有機層を水(90ml)で洗浄した。洗浄後の有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、乾燥剤をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck社製C-300相当品, 300g, ヘキサン:酢酸エチル=3:1→3:2→1:1)で精製し、標題化合物(21.9g, 77%)をジアステレオ混合物として得た。淡黄色シロップ。ジアステレオマー比 (2R, 3R):(2S, 3R)=23:1。ジアステレオマー比は、実施例15の方法によりtert-ブチルジメチルシリル基を脱保護化した誘導体で決定した。
(2R, 3R)体;1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=7.94(s, 1H), 7.68(s, 1H), 7.42-7.33(m., 1H), 6.80-6.71(m, 2H), 4.82(d, 1H, J=13.8Hz), 4.55(d, 1H, J=13.8Hz), 4.45-4.42(m, 1H), 3.77(s, 1H), 0.98(d, 3H, J=6.0Hz), 0.98(s, 9H), 0.18(s, 6H)
(2S, 3R)体;1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=8.17(s, 1H), 7.80(s, 1H), 7.42-7.33(m., 1H), 6.80-6.71(m, 2H), 4.96(d, 1H, J=13.8Hz), 4.57(d, 1H, J=13.8Hz), 4.35-4.25(m, 1H), 3.77(s, 1H), 1.22(d, 3H, J=6.0Hz), 0.90(s, 9H), 0.09(s, 6H)
ヘキサンを結晶化溶媒として用いることで、上記操作で得られた淡黄色シロップ状のジアステレオ混合物から、(2R, 3R)体を優先的に白色結晶(17.3g, 61%)として得た。融点=106〜107℃、ジアステレオマー過剰率=99.5%de。ジアステレオマー過剰率は、実施例15の方法によりtert-ブチルジメチルシリル基を脱保護化した誘導体で決定した。光学純度(キラルHPLC面積法)=99%ee
分析条件/DAICL CHIRALPAK AD, 溶離液組成 ヘキサン:2-プロパノール:ジエチルアミン=90:10:0.1, 検出法 UV 254nm
【0113】
[実施例13](2R, 3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -2-ブタノールおよび(2S, 3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノールの合成:[化27]
【0114】
【化27】
Figure 0004326816
【0115】
(3R)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノンに代えて(3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン(55mg, 0.204mmol)を用い、実施例7と同様に処理することで、標題化合物(36mg, 46%)をジアステレオ混合物として得た。淡黄色シロップ。ジアステレオマー比 (2R, 3R):(2S, 3R)=6:1
ジアステレオマー比は、実施例15の方法によりtert-ブチルジメチルシリル基を脱保護化した誘導体で決定した。物性値は実施例12と一致した。
【0116】
[実施例14](2S, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ブタンジオールの合成:[化28]
【0117】
【化28】
Figure 0004326816
【0118】
実施例8で合成した(2S, 3R)-3-(ベンジルオキシ)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノール(719g, 2mmol)をメタノール(30ml)に溶解し、50%含水の10%-パラジウム炭素(0.3g)を加え、オートグレーブ中、水素初期圧(1.0MPa)、50℃にて8時間撹拌した。反応液から触媒をろ別し、ろ液を減圧濃縮し、標題化合物(480mg, 89%)を白色アモルファス状固体として得た。ジアステレオマー過剰率=98%de
分析条件/YMC-PACK ODS A-303, 溶離液組成 メタノール:水:酢酸=70:30:0.2, 検出法 UV 254nm
1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=8.04(s, 1H), 7.77(s, 1H), 7.58-7.52(m., 1H), 6.83-6.69(m, 2H), 5.03(d, 1H, J=14Hz), 5.02(s, 1H), 4.56(d, 1H, J=14Hz)4.03-3.97(m, 1H), 2.59(d, 1H, J=5.3Hz), 1.26(d, 3H, J=6.6Hz)
【0119】
[実施例15](2R, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ブタンジオールの合成:[化29]
【0120】
【化29】
Figure 0004326816
【0121】
実施例12で得られた(2R, 3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -2-ブタノール(2.0g, 5.22mmol)をテトラヒドロフラン(20g)に溶解し、テトラ-n-ブチルアンモニウムフロリド(2.05g, 7.83mmol)を加え、室温にて30分間撹拌した。反応液に水(20g)および酢酸エチル(40g)を加え、10分間撹拌の後、有機層を分取した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧濃縮した。得られた淡黄色シロップをトルエンで結晶化させ標題化合物(1.31g, 94%)を白色結晶として得た。融点:116-117℃、光学純度=99%ee、ジアステレオマー過剰率=99.5%de。
【0122】
分析条件/YMC-PACK ODS A-303, 溶離液組成 メタノール:水:酢酸=70:30:0.2, 検出法 UV 254nm
1H-N.M.R.(270MHz, CDCl3): δ=7.84(s, 1H), 7.82(s, 1H), 7.46-7.37(m., 1H), 6.80-6.72(m, 2H), 4.87-4.77(m, 3H ), 4.36-4.29(m, 1H), 2.63(d, 1H, J=9.2Hz), 0.97(d, 3H, J=6.5Hz)
【0123】
[実施例16](2R, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ブタンジオールの合成:[化30]
【0124】
【化30】
Figure 0004326816
【0125】
実施例12で得られた(2R, 3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -2-ブタノール(12.2g)をメタノール(41ml)に溶解し、3N 塩酸(21g)を加え、50℃にて4時間撹拌した。反応液にトルエン(120g)を加え、撹拌の後、水層を分取し、2N 水酸化ナトリウム水溶液(41g)を加え、約pH9に調整した。酢酸エチル(120ml)で目的化合物を抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧濃縮し、得られた淡黄色シロップをトルエンで結晶化させ標題化合物(7.9g, 92%)を白色結晶として得た。物性値は実施例15と一致した。ジアステレオマー過剰率=99.5%de。
【0126】
[実施例17](2R, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ブタンジオールおよび(2S, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ブタンジオールの合成:[化31]
【0127】
【化31】
Figure 0004326816
【0128】
実施例7で得られた(2R, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -2-ブタノールおよび(2S, 3R) (2R, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノールの混合物(225mg, 0.5mmol)を実施例17と同様に処理し、標題化合物(121mg,90%)をジアステレオマー混合物として得た。ジアステレオマー比 (2R, 3R):(2S, 3R)=4.3:1。
【0129】
分析条件/YMC-PACK ODS A-303, 溶離液組成 メタノール:水:酢酸=70:30:0.2, 検出法 UV 254nm
1H-N.M.R.は実施例15および16と一致した。
【0130】
[実施例18](2R, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ブタンジオールおよび(2S, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ブタンジオールの合成:[化32]
【0131】
【化32】
Figure 0004326816
【0132】
実施例10で得られた(2R, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) -2-ブタノールおよび(2S, 3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(メトキシメチルオキシ)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノールの混合物(38mg, 0.121mmol)を実施例17と同様に処理し、標題化合物(28mg, 85%)をジアステレオマー混合物として得た。ジアステレオマー比 (2R, 3R):(2S, 3R)=6:1。
【0133】
分析条件/YMC-PACK ODS A-303, 溶離液組成 メタノール:水:酢酸=70:30:0.2, 検出法 UV 254nm
1H-N.M.R.は、実施例15および16と一致した。
【0134】
【発明の効果】
医農薬の非常に重要な中間体である、光学活性な新規アゾールアルキルケトン誘導体と新規光学活性アゾールメチルアルコール誘導体の製法を見出し、工業的な観点から光学活性2−フェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルアゾール誘導体が短工程で安価にかつ安定的に製造することが可能となった。

Claims (8)

  1. 一般式(1)[化1]
    Figure 0004326816
    (式中R1は置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアリール基または置換されてもよいヘテロ環を示し、R2は水酸基の保護基としてのエーテル系の保護基、アセタール系の保護基またはシリル系の保護基を示し、R3は置換されてもよいアルキルオキシ基、置換されてもよいアラルキルオキシ基または置換されてもよいフェノキシ基を示し、炭素原子上の*は不斉炭素を意味し、R配置あるいはS配置を取ることができる。)で表される光学活性α−ヒドロキシカルボン酸誘導体と、一般式(2)[化2]
    Figure 0004326816
    (式中R4は水素、置換されてもよいアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属塩を示し、Yは炭素原子または窒素原子を示す。)で表されるアゾール酢酸誘導体を塩基性条件下反応させ一般式(3)[化3]
    Figure 0004326816
    (式中R1、R2、*およびYは前記と同義である。)で表されるアゾールメチルケトン誘導体を製造し、さらに一般式(3)で表される光学活性アゾールメチルケトン誘導体と一般式(4)[化4]
    Figure 0004326816
    (式中R5およびR6は互いに独立してハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換されてもよいアミノ基、置換されてもよいアミド基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルキルオキシ基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアラルキルオキシ基、置換されてもよいフェニル基、置換されてもよいフェニルオキシ基、置換されてもよいヘテロ環または置換されてもよいヘテロ環オキシ基を示し、AはLi、MgX、ZnX、TiX、Ti(OR7)、CuXまたはCuLiを示す。ただし、Xはハロゲン原子を示し、R7は置換されてもよいアルキル基を示す。)で表されるフェニル金属試薬をジアステレオ選択的に反応させ、一般式(5)[化5]
    Figure 0004326816
    (式中R1、R2、R5、R6、*およびYは前記と同義である。)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体を製造し、さらに一般式(5)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体の、R2で表される水酸基の保護基を選択的に脱保護化することを特徴とする、一般式(6)[化6]
    Figure 0004326816
    (式中R1、R5、R6、*およびYは前記と同義である。)で表される光学活性2−フェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルアゾール誘導体の製造法。
  2. 一般式(3)(式中R1、R2、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルケトン誘導体と一般式(4)(式中R5、R6、A、X、R7は前記と同義を示す。)で表されるフェニル金属試薬をジアステレオ選択的に反応させることを特徴とする、一般式(5)(式中R1、R2、R5、R6、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体の製造法。
  3. 一般式(3)(式中R1、R2、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルケトン誘導体と一般式(4)(式中R5、R6、A、X、R7は前記と同義を示す。)で表されるフェニル金属試薬をアンチ選択的に反応させることを特徴とする、一般式(5)(式中R1、R2、R5、R6、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体の製造法。
  4. 一般式(3)(式中R1、R2、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルケトン誘導体と一般式(4)(式中R5、R6、A、X、R7は前記と同義を示す。)で表されるフェニル金属試薬をシン選択的に反応させることを特徴とする、一般式(5)(式中R1、R2、R5、R6、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルアルコール誘導体の製造法。
  5. R1がメチル基であり、R5およびR6がフッ素または塩素である請求項1から4の何れか一項に記載の製造法。
  6. 一般式(3)(式中R1、R2、Y、*は前記と同義を示す。)で表される光学活性アゾールメチルケトン。
  7. R1がメチル基で表される請求項6記載の光学活性アゾールメチルケトン。
  8. R2がシリル系の保護基で表される請求項7に記載の光学活性アゾールメチルケトン。
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